企業会計基準設定主体のあり方に関する懇談会
第2回 議事要旨

日時 : 平成12年4月24日(月) 午後3時〜4時30分
場所 : 大蔵省3階 国際会議室
議題 : 民間設定主体が設定機能を担うこととした場合における満たすべき要件

議事内容:

 事務局より、本日の議題について米国FASBの例を中心に議論を行ったが、大要以下のような意見が出された。



民間設定主体としてもアメリカのFASBとSECとの関係とか、バックアップがあって権威を持てるという体制をとるというのが一つの主要な要件ではないか。


民間設定主体の場合は各方面からの独立性というものをどう担保していくかということが大きなテーマ。当局との間にどういう関係を持たせるかということはもう一つの大きなテーマ。


米国においてはSECがFASBと緊密な連携をとって、いろいろな会議に顔を出して議論している。


SECによるFASB基準に対する拒否権については、数は多くないが発動されたケースはある。また、実際拒否権が行使されるまでの間にネゴシエーションみたいなことが行われているようである。


ドイツの場合は公示という形で民間設定主体が作ったものを権限承認するが、FASBの場合は一般的に財務報告通牒でFASBが作ったものに効力を付与した形になっている。


米国においても、実は、民間設定主体と言うがあくまでも建前であって、国の投資家を保護するのは国であるというのは米国も同じである。米国ではSEC、民間設定主体というような言葉を使っても民間単独ではどうにもならない。国が投資家を守るためにはやはり国のパワーが必要であるが、民間というものを表に立てた形とするほうが良いのではないかということ。


当局からのサポートを受けるにしても、独立性、透明性、即時性、国際性等々の要件を満たしていなければ早晩サポート崩れが起こり得る。したがって、サポートするに相応しい要件としてきっちりしたものを考えることが前提ではないか。


SECのスタッフには弁護士とか会計士とかがたくさんいると聞いている。民間に比べるとずっと給料は低いが、政府にある程度勤めていると、それが実績となって民間に戻っていって非常にいい職に就けるということもあって自然に回転しているということを聞いている。待遇をものすごくよくしないと、なり手がいないのではないか。その意味で日本で民間設定主体を作るときもお金の問題とかきちんと考えなければならない。


米国の場合は横の動きが自由であり、そういう意味では必ず機会があり、キャリアアップして自分の値段を高くするというのが彼らの若いときの動きである。そういう意味では、喜んで安い給料のところへと言ったらおかしいが、今のところより少し安くともここに2,3年いたらまた上がるので、よく勉強する人が集まると聞いている。


今の日本の会計士市場から見ると、米国のように復職まで禁止するのは中々難しいのかなと思う。


企業から出る場合、復職を禁止されると出る人がいなくなる。企業の中に会計士の資格を持っている人はあまりいないので、経理の専門家として出た場合その企業に戻らないとなると外には出ずらいのではないか。


ノーリターンルールは、日本では無理か、少なくとも当面は現実的ではないとすると、それに変わる何らかの信頼策が必要。


委員をどうやって選ぶかは、その団体の寄附行為によってこういう決め方をしてスタートすれば決め方自体の問題であり、米国のFAFのような別の選出母体が選出するというのは必要ないのではないか。


資金の拠出の問題だが、市場関係者等広く薄く資金を集める必要があるのではないか。