企業会計基準設定主体のあり方に関する懇談会
第3回 議事要旨

日時 : 平成12年5月11日(木) 午後4時30分〜6時30分
場所 : 大蔵省3階 第二特別会議室
議題 : 民間設定主体に求められる組織・体制等

議事内容:

 事務局(当局、会計士協会)より、本日の議題について資料に沿って説明を行った後、以下のような意見が出された。



SECとFASBとの関係では、財務諸表を作る人たちの自己責任が表になった形で民間設定主体が企業会計基準を作成するとともにSECは投資家の保護の視点で関わっているということではないか。


我が国では、国際社会で信頼される会計基準は必要であるが、投資家の保護は国そのものがやらなければならない。民間の会計基準設定主体を立派にするためには、国が投資家を安心させる仕組みは必要。


現在公認会計士協会で作成しているのは解釈指針と実務指針とQ&Aとの三層になっている。協会が提案しているのはQ&Aは引き続き協会で作成し、実務指針と会計基準とは設定主体で一体化させて作成すること。


意見書を書くのは設定主体の責任。責任を取ること、こういう意図でやっていると言うのが設定主体であり、実務指針や解釈指針も設定主体で作るのが望ましいのではないか。


現在の審議会は若干の指摘もあるが、非常に有効に機能してきたということも確か。今回は官から民にすることだけに意味があるわけではなく、まさに審議会を上回るパフォーマンスを上げられる組織・体制運営が新しい設定主体には必要ということ。そういうものが備わっていないと民間になってもまたいろんな所から指摘されて、早晩行き詰まってしまうと思う。


過去というか今、信頼感を失って問題提起がされている。どこがまずかったのかと将来につながる議論がないのではないか。今突きつけられている問題点の解決策として本当に有効なのかの検証というものがないとピンとこない。


審議会に対する指摘はいくつかあるが、大きく分けると次の二つになる。一つは行政の中で独立性の高い審議会としていても、結局行政が担っていると見られてしまうのではないかという指摘、もう一つは今の体制、スタッフが不十分であるという指摘である。これを民間に移すと行政からの独立という点については解決されるが、特定業界からの独立性をどう確保するのか等新たな問題点が浮かび上がってくる。組織・人員の確保は官民いずれであれ共通の問題である。


市場改革の一環として会計ビッグバンという言葉が使われているが、企業会計の整備が大変な勢いで進んできたその過程で、審議会も公認会計士協会も努力されてきた。その努力をして成果を上げてきた過程でもう少しうまくやる方法があるのではという問題点、つまり、もう少し迅速にやれなかったか、それに相応しいスタッフがいただろうかということ。もう一つは、国際的な会計基準設定の舞台があり、日本の立場から国内の専門的な検討を踏まえて、国際的な基準設定にもっと役割を果たすべきであるが、今後今の体制のままで果たして出来るのかという問題である。


良いものがプロダクツとして出来るのは勿論、今より結果として良いものが出来れば今のものが良くないということになってしまうので、同じ位のものがきちんと出来ればそれはそれで良いのではないかなとも思う。


国際的に見て尊敬されるというか、評価される形にしなければならないことを考えると、米国やドイツでも国からの拠出はない、英国は拠出がある代わりに人事的な面で政府から制約を受けている。これらを考えると、規制当局からお金が出ていない方が将来の目的に合うのではないか。


投資家保護のために立派な会計基準を作っていかなければならないとするのであれば、これは公的な市場規制であり仕事であるわけだから、初めから行政からのお金は出すべきではないとか、そういう一方的なことは出てこないのではないか。


資金の調達は、国から出した場合、会計監査があるだろうし、実務的に国のお金がダイレクトに出た場合に、いろいろ制限があるというのは考慮する必要があるのではないか。