金融制度調査会総会(第29回会合)議事概要
1.日 時 平成8年11月19日(火)10時00分〜12時00分
2.場 所 大蔵省第一特別会議室(合同庁舎4号館12F)
3.議 題 金融市場改革に関する金融制度調査会での検討の進め方について
日銀法改正についての今後の金融制度調査会での検討の進め方について
4.議事概要
冒頭、大蔵大臣より、
(1) 先日総理から大蔵大臣に対し指示のあった金融市場改革について、金融制度調査
会におかれても御尽力いただきたい、
(2) 金融制度調査会において、日銀法改正について、中銀研報告書に示された基本的
な指針を踏まえ、精力的かつ迅速な御審議をお願いしたい、
旨の挨拶(政務次官代読)があった。
次に、館龍一郎会長より金融制度調査会会長代理として行天豊雄委員が指名された。
次に、金融市場改革に関する今後の金融制度調査会での検討の進め方について、議
論があり、金融制度調査会としては金融機能活性化委員会で検討していくこととなっ
た。その際に出された意見のうち主なものは以下の通り。
・ 総理から指示のあった金融市場改革については、その基本的方向は賛成であり、
前向きに取り組むべきであると考えるが、金融市場を改革するためには、この他、
公的金融の見直しも併せて取り上げなくてはならない。議論する場として金融制度
調査会が相応しいか否かという問題があり、金融制度調査会では取り上げないにし
ても、この金融市場改革と併せ、公的金融の見直しについてもしかるべき場にて検
討する必要があるとの意見があった。
・ 金融市場改革を検討していくに当たっては、預金者保護という視点も重要。すな
わち、今後預金者にも自己責任が求められることとなるが、そのための環境整備と
して、預金者にも分かりやすいディスクロージャーが実施されていることが必要で
あり、今後の審議においてはこのような点についても検討していくべきであるとの
意見があった。
次に、日銀法改正についての今後の金融制度調査会での検討の進め方について審議
が行われた。まず、中央銀行研究会の吉野直行専門委員から中央銀行研究会報告書に
ついて説明があり、その後本報告書並びに日銀法改正問題全般について質問や意見が
出された。委員より出された質問及び意見のうち主なものは以下の通り。
・ 中銀研の報告書において政府の経済政策と中央銀行の金融政策とが整合的である
ようにするためのメカニズム(政府の指定する者の政策委員会への出席、議案提案
権等)が盛り込まれていることに対し同意するとの意見があった。
・ 中銀研報告書に示されている日銀改革の方向性としては、日銀の独立性と日銀の
政策運営の透明化を基軸とするものであり、基本的には賛成できる内容である。今後、
日銀法の改正にあたって注意すべき点は、
(1) 日銀の独立性に関連して、政策委員が果たすべき役割が極めて重要であり、今
後の検討では、政策委員会の位置づけをいかに明確化し、いかに機能させていく
か、活性化させていくのかという観点からの具体的方策についての議論が重要に
なってくる。
(2) 透明性の確保に関して、中銀研報告では、金融政策の決定に係る透明性に重点
が置かれているが、金融システムの安定に係る部分、すなわち信用不安への対処
の場合の事後的な透明性確保などについても検討する必要がある。
(3) 日銀考査が法定化される場合、当局が行う検査と日銀考査との役割分担につい
て十分議論されるべきである。
との意見があった。
・ 政府と日銀の協調が大切であることは当然であるが、(政策の整合性を確保する
ため)報告書に従って政府と日銀の日々の意見調整を緊密にする以上、それに加え
政策委員会に政府の指定する者が出席する必要があるのかとの質問に対し、吉野中
銀研専門委員から、政府の指定する者が政策委員会に出席し、意見を述べあい、そ
の議論の要旨が公表されることを通じ、金融政策決定に係る透明性が高まることが
期待されることから、政府の指定する者が必要に応じ政策委員会に出席することは
好ましいと考えられること、また、政策委員にしっかりとした人を選任すれば、た
とえ政府の指定する者が政策委員会に出席したとしても、その政策委員は自らの判
断にしたがった結論を下せる訳であり、そういう意味で日銀の独立性に関しては政
府の指定する者が出席するかいなかということは重要なことではなく、どういう人
を政策委員に任命するかということが重要であるということから、中銀研報告で
「政府の指定する者が出席できることとすべき」とされたとの説明があった。
・ 物価の安定も結局は通貨価値の安定に行き着くとの考え方から、中銀研報告にお
いて為替の介入に一元的に責任を有するのが政府とされた根拠について質問があり、
吉野中銀研専門委員から、まず為替介入について責任の所在は一元的でなくてはな
らないこと、また、米国では為替介入は財務省が行うこととなっており、為替レー
トについて我が国ではまず円とドルの関係が最も重要であること等現在の国際金融
システムを考慮すると、為替介入については政府が一元的に責任を持つべきとされ
たとの説明があった。
・ 日銀特融は必要に応じて認めるということかとの質問に対し、吉野中銀研専門委
員から、金融機関の一時的かつ緊急の流動性不足のような場合には日銀独自の判断
で、それを超えて信用不安への対処などの場合には、政府のイニシアチブの下日銀
の合意、といった形で日銀は適切に資金供給を行うということであろうとの議論が
なされたとの説明があった。
・ 政府と日銀の関係で問題となるもののうち、中銀研報告に明記されていないもの
として、一般監督権と日銀の予算の問題があるが、一般監督権については日銀が認
可法人である以上今後も残るということなのか、また、予算について、政府による
チェックなのか、それとも国会によるチェックなのかといったことは金制に一任さ
れている事項と理解していいのかとの質問があった。
・ 日銀考査と当局の検査との関係について、無用の重複を避けるために、当局の検
査でカバーしきれない部分について考査を行うという調整するのか、それとも検査
・考査両方で調整を行うということであるのかとの質問があった。
・ 中銀研報告では、日銀が独立した場合、政府と動きが違ってくることを心配して
いる表現が多く見られるが、寧ろ別々の動き方をすることに意味があるのではない
のかとの質問があった。
・ 中銀研報告に出てくる「政府」とは、内閣ということなのか、それとも大蔵省と
いうことなのかとの質問があった。
・ どのような人が政策委員となるかが極めて重要であることから、今後、政策委員
を選任する際には、どのような人をどのような理由で選任したのか、その経緯が開
示されることが大切ではないかとの意見が合った。
・ 政策委員会の議決の方法(多数決か、全会一致か)や議長の選任の方法はどのよ
うになるのかとの質問があった。
上記のような議論を受け、館会長より、中銀研報告は中央銀行のあるべき姿につい
ての基本的な指針を示したものであり、金融制度調査会としてはこれを踏まえ、もし
くは重く受け止め、中銀研報告では明確になっていない問題について検討していくと
いうことではないかとの発言があり、今後は、日銀法改正については調査会の下に
「日本銀行法改正小委員会」を設置し、小委員会を中心に議論を進めていくことで委
員の了承を得た。
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|担当者: 大蔵省 銀行局 調査課 吉 井、阿久澤 |
|連絡先: TEL 03-3581-4111 (内線2801) |
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| 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |
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