金融機能活性化委員会(第18回会合)議事概要


                                                                              

1.日  時    平成9年5月1日(木)14時00分~16時00分                    

2.場  所    大蔵省第一特別会議室(4号館12階)                            

3.議  題    金融機関の利用者保護のための諸施策                              

                                                                              

4.議事概要                                                                  

                                                                              

    本会合においては、まず、調査課長より上記の議題に関する論点について説明が行

  われた後、蝋山委員より消費者信用保護に関して「ノンバンクに関する懇談会」にお

  ける検討状況について報告がなされた。その後、自由討議が行われた。            

    各委員の主な意見は概ね以下の通り。                                        

                                                                              

  ・  銀行との取引にかかる約款について、銀行と消費者との間での契約であり、基本

    的には監督当局がこと細かに規制する必要は必ずしもないが、銀行と消費者とでは

    やはり一般的には消費者の方が立場が弱いと考えられるので、不公平が生じないよ

    うな環境整備を図るべきではないかとの意見があった。                        

  ・  「ノンバンクに関する懇談会」において多重債務者問題への対処のための施策と

    して検討されている、消費者信用教育の充実、カウンセリング機能の充実、信用情

    報の交流等については、一般的な消費者保護という観点からも重要であるとの意見

    があった。                                                                

  ・  銀行と消費者との関係を約款のような形で定型化しておくことは、消費者にとっ

    て見ればどの銀行とも安心して取引ができるというメリットがあるとの意見があっ

    た。                                                                      

  ・  論点に挙げられている約款をはじめとして、ひな型という形で業界内で統一的に

    取り扱われているものがあるが、これは民間同士の規制であるのか、行政の指導に

    よって行われているのか、それとも法的根拠があって行っているのかを明確にすべ

    きであるとの意見があった。                                                

  ・  信用情報に関して、何をもってプライバシーというのかをよく議論した上で、信

    用情報をより活用できるようにすべきではないかとの意見があった。            

  ・  約款の差し入れ方式については、現在でも写しを渡すこととしており、また、住

    宅ローンについては、欧米でも差し入れ方式を取っているとの意見があった。    

  ・  一方、実際には写しを渡していないこともあるので、写しを渡すことで対応する

    というのであればそれを共通のルールとするとともに、利用者にもわかるようにそ

    うしたルールを公表すべきであるとの意見があった。                          

  ・  現行の約款が不当かどうかについては、実際の運用がどうなっているのかという

    視点も重要である。また、例えば、約款に問題があった場合には、裁判において不

    当な契約でありその効力がないとされることもあり、実際日本の最高裁はこの点は

    比較的厳しく、約款の効力を制限することも少なくないとの意見があった。      

  ・  その場合、グローバルスタンダードから言って、仮に実際の運用が約款と余りに

    違うというのであればきちんと対応するべきではないかという意見があった。    

  ・  消費者ローンの利用者の保護のためのルールを考える場合、まず、利用者として

    銀行から借りる場合と、ノンバンクから借りる場合とで、共通したルールが必要か

    否かという問題がある。また、仮に必要だとした場合、法形式としては、消費者保

    護法という形で貸出を行うあらゆる者に適用される一般法を考えるか、それとも業

    法を統一することにより対応すべきなのかといった問題がある。一般法の場合、違

    反が行われた場合、基本的には裁判によって解決するしかないため、オンブズマン

    制度の活用等の工夫が必要となる場合も考えられる。一方、業法の場合、違反が行

    われた場合に、利用者にかわって行政が是正を図ることができる。このように、ル

    ール違反への対応力という観点において両者には違いがあり、こうした違いを十分

    踏まえ、一般法で規定すべき部分はどこまでか、業法では何を規定すべきかといっ

    た整理を行い、法形式を考えていくことが重要であるとの意見があった。        

  ・  消費者保護を考える場合には、大口か小口かという視点も重要であるとの意見が

    あった。                                                                  

  ・  業法と取引法が1セットとなっていることは、近年金融を巡る動きが非常に早く

    なっていること、業態の垣根が曖昧になっていること等を考えると、今後大きな問

    題となってくると考える。よって、今後の規制のあり方を考えると、取引法と業法

    を切り離して整理し直すべきとの意見があった。                              

  ・  今後の金融取引においては、むしろリスクのやり取りが中心であることから、リ

    スクの配分に関するルールという視点で取引法を規定すべきとの意見があった。  

  ・  今後次々と新しい金融サービスが登場してくることを考えると、金融サービス法

    的なものを念頭において改革を進めていくべきであり、しかもできるだけ急いで行

    うべきであるとの意見があった。一方、将来的には金融サービス法のようなものが

    必要となるであろうが、現実的に考えると段階論で考えざるを得ず、具体的には6

    月の取りまとめにおいては、現行法の枠組みの中で必要な改正を行い、次にそれを

    踏まえ、将来的な制度の構築を図っていくべきであると考えられるとの意見があっ

    た。                                                                      

  ・  ルールのグローバル化は勿論必要であるが、ルール違反に対するペナルティのグ

    ローバル化も同じく必要である。すなわち、規制を軽減・明確化することにより金

    融機関が活動し易くなることにより、日本の金融市場において国際的な金融取引も

    行われるようになると同時に、経済犯罪も日本で一番行いやすくなるというのでは

    困るとの意見があった。                                                    

                                                                              

                                                                              

                                                                              

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                │担当者:  大蔵省  銀行局  調査課        松  村、阿久澤      │

                │連絡先:  TEL03-3581-4111   (内線2801)                      │

                │                                                            │

                │  本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。        │

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