1.日 時 平成9年3月12日(水)14時00分~16時00分
2.場 所 大蔵省第二特別会議室(4号館4F)
3.議 題 銀行持株会社について
4.議事概要
本会合においては、まず、調査課長より、欧州における大口株主規制や米国におけ
る銀行と商業の分離に関する考え方等について説明が行われ、その後、自由討議が行
われた。
各委員の主な意見は概ね以下の通り。
・ 持株会社の解禁に伴う金融上の検討を行う場合、財閥の復活に代表されるような
金融資本の支配力の問題と預金者保護、信用秩序の維持をどのように図っていくの
かという問題が指摘されるが、国際的には、預金者保護等の観点から銀行持株会社
等の規制が行われている。したがって、金融業法上の検討としては、あくまで預金
者保護等の視点で検討していくべきであるとの意見があった。
・ 国際的な観点からみても、持株会社解禁を契機として銀行の親会社に関する法制
の検討を行うことが適当であるとの意見があった。
・ 今回の独禁法改正で持株会社が認められた意義は、これによって事業展開が自由
にできるようになることであり、追加的な規制が行われると独禁法9条を改正し持
株会社を解禁した意義が減殺されるおそれがあるが、要は銀行の公共性等の特殊性
をどこまで斟酌するかということであるとの意見があった。
・ 銀行の兄弟会社の業務範囲については、あまり制約をかけ過ぎるとシナジー効果
を減殺してしまうので好ましくない。兄弟会社の業務範囲については、銀行との間
に適切なリスク遮断が可能か否かという観点から検討していくべきであるとの意見
があった。
・ 持株会社の株式の保有については、銀行が事業会社を保有するという場合と事業
会社が銀行を保有するという場合があるが、純粋持株会社が銀行を保有することは、
この両方の側面があるので、この二つの側面を共に勘案して検討すべきであるとの
意見があった。
・ 兄弟会社の業務範囲については、
(1).現在の子会社や関連会社の業務範囲との整合性をどのように図るのか、
(2).金融と商業との分離を厳格に行ってきたアメリカにおいても、現在、金融改革
の流れの中で、業務範囲の規制に関して見直しの動きがある、
といったことにも考慮して検討すべきであるとの意見があった。
・ 銀行の親会社である持株会社が出てきた場合、預金者保護、金融システムの安定
性を確保するために銀行のみを監督しているのでは必ずしも十分ではないと考えら
れ、持株会社に対し銀行監督上どのような規制が必要なのか今後具体的に検討すべ
きであるとの意見があった。
・ 持株会社の解禁に伴い、銀行による産業支配や財閥の復活を懸念する意見も見ら
れるが、産業界の実感としては、資金調達面の多様化や事業の国際展開にともなう
外銀取引の増加等から、邦銀借入への依存度は低下しており、銀行による産業支配
を過度に懸念するよりは、持株会社解禁にともなう銀行持株会社規制はグローバル
スタンダードに沿った形で考えるべきである。それが日本経済の活性化につながる
21世紀を見据えた対応であるとの意見があった。
・ 検討の対象は、銀行の親会社、持株会社とすることが適当であるとの意見があっ
た。
・ 検討の視点は、銀行の健全性、金融システムの安定性の確保とすべきである。兄
弟会社の業務範囲については、銀行の健全性維持のための様々な工夫との関係で考
えるべきであり、技術進歩等との関係で柔軟に考えるべきとの意見があった。
・ グローバルスタンダードの観点からは、連結ベースでの銀行監督が先進諸国の標
準となりつつあり、我が国においても監督の具体的手法を検討していくべきである
との意見があった。
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| 担当者: 大蔵省 銀行局 調査課 松 村、阿久澤 |
| 連絡先: TEL 03-3581-4111 (内線2801) |
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| 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |
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