日銀法改正小委員会(第9回会合)議事概要


                                                                              

1.日  時    平成9年1月31日(金)10時00分~12時00分                  

2.場  所    大蔵省第一特別会議室(4号館12F)                            

3.議  題    報告書案                                                            

                                                                              

4.議事概要                                                                  

                                                                              

    本会合では、まず、事務局より報告書案についての説明が行われ、その後、自由討

  議が行われた。自由討議では、まず、日銀の経費予算について議論が行われた。        

    日銀の経費が通貨発行益によって賄われていること等の日本銀行の公的性格等を踏

  まえ、その経費を何らかの形で公的にチェックすることが必要であることについては、

  委員の間で概ね意見の一致を見ており、本日は、公的チェックの具体的方法について

  議論が行われ、概ね以下のような意見が出された。                              

                                                                              

  ・  日銀が経費予算を大蔵大臣に届け出る方式については、予算が不適切な場合の排

    除が担保されず、憲法上問題との指摘があった。そうであれば、大臣認可とする一

    方、日銀の金融政策の独立性確保のため、認可しない場合の理由を公表する等のセ

    ーフガード条項を入れるやり方が良いと思う。また、その場合、総則に業務運営の

    自主性への配慮を明記しておくべきとの意見があった。                        

  ・  政策論からいえば、予算が効率的に使われているかどうかについてのチェックは

    政策委員会に任せるべきで、政府には届出で足りるのではないかとの意見があった。  

  ・  これに対して、届出では憲法上問題であるという指摘がある以上、コンセンサス

    が得られないだろう。政府の認可としつつ、独立性を担保するような措置をつけれ

    ば良いのではないかとの意見があった。                                      

  ・  届出という形式自体が憲法上問題であるという訳ではなく、政府と日銀との関係

    において、内閣が責任を負える体制になっているか否かが問題。こうした観点か  

    らは、仮に、届出とすれば、問題があった場合これに対する修正命令が出せること

    が必要と考えられるが、それでは認可に比べかえって政府の関与が強くなってしま

    うという問題があるとの意見があった。                                      

  ・  届出でも憲法問題をクリアできるということであれば、この方が良いのだが、国

    民の財産が不適切な形で使われているという状態が仮に生じたとき、これを排除で

    きないというのはやはり問題なのではないかとの意見があった。                

  ・  日銀の利益の大部分は通貨発行益と準備預金の運用益という日銀にのみ認められ

    た権限に基づく利益であり、日銀の経費が多くかかれば、国庫への納付は減るとい

    う関係にある。日銀の予算はこうした公的な性格を持つ以上、憲法問題をおいても

    予算の効率性に関して、政府による認可といった事前のチェックが必要であろう。

    ただし、認可の対象から金融政策に係るものを除くとか認可しない場合には政府は

    その理由を公表するといった日銀の独立性確保のためのセーフガードをつける必要

    はあるだろうとの意見があった。                                            

                                                                              

    こうした意見を踏まえ、最終的には、総則で日銀の業務の独立性を広く認める旨の

  規定を置くほか、日銀の独立性確保のためのセーフガードを付した上で、日銀の収益

  の公的性格の面から、経費予算については政府の認可とすることで委員の間で意見の

  一致を見た。                                                                

                                                                              

    この他の論点について、出された主な意見は概ね以下の通り。                  

                                                                              

  ・  総裁、副総裁の任命については、「両議院の同意を得て、内閣が任命することに

    すべきである」との意見があった。                                          

  ・  理事に関しては、政策委員会の任命とすべきとの意見が出された一方、理事を役

    員とする以上は、政策委員会の推薦に基づいて、大蔵大臣が任命するということで

    はないかとの意見があった。また、理事については、政策決定権がない業務執行の

    ための役員であるので、政策委員と同じような身分保証を付す必要はなく、解任も

    あり得るとの意見があった。                                                

  ・  準備預金制度に関する準備率に係る大蔵大臣の認可を無くすのであれば、これが

    民間金融機関に対する負担の賦課である以上、今後日銀は準備率の決定に際しその

    理由を説明するなどアカウンタビリティの義務を負うべきではないかとの意見があ

    った。                                                                    

                                                                              

                                                                              

    次回(第10回)会合は、2月4日(火)14時から開催予定。                

                                                                              





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                  |  担当者:  大蔵省  銀行局  調査課        吉  井、阿久澤  |

                  |  連絡先:  TEL 03-3581-4111   (内線2801)                  |

                  |                                                          |

                  |    本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。    |

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