1.日 時 平成9年3月4日(火)14時00分~16時05分 2.場 所 大蔵省第1特別会議室(合同庁舎4号館12階) 3.議 題 ・電子的な決済における消費者保護について 電子マネーと消費者保護 電子マネー・電子決済と損害保険 4.議事経緯 3月4日(火)、電子マネー及び電子決済に関する懇談会第9回会合が開催された。会 合の模様は概ね以下の通り。 (1) 最初に、今回の議題、電子的な決済における消費者保護について、○消費者保護の考 え方、○消費者が直面しうるトラブル、○消費者の立場に配慮した取引ルール、○国際的 な調和、等の論点について事務局から説明が行われた。 (2) 次に、議題に関連して、大野委員、島田参考人(安田火災海上保険 市場開発部長) 及び定行参考人(同社 火災新種業務部商品企画課長)から以下の説明がなされた。 ・大野委員からは、「電子マネーと消費者保護」と題して、ネットワーク上の取引(「シ ステム取引」)一般の問題と電子マネーに特徴的な問題を論じた上で、○「システム取引 」や電子マネーを包含する消費者保護法(約款規制法)の必要性、○システム提供者と消 費者との非対称性に配慮した合理的な約定の必要性、○セキュリティについての市場原理 の有効性、○電子マネーの利用データに関するプライバシー保護の重要性、等について説 明がなされた。 ・島田参考人及び定行参考人からは、「電子マネー・電子決済と損害保険」と題して、○ 電子マネーや電子決済に関連する既存の損害保険(コンピュータ総合保険等)、○顧客ニ ーズの存在、責任の明確化、「大数の法則」等の保険化一般に関する留意事項、○被害者 損害の直接補償と加害者の賠償責任損害の補償という、保険による補償制度の二面性、○ 現金、クレジットカードとの比較した場合の電子マネーのリスク、等について説明がなさ れた。 (3) その後、各説明に対する質疑応答及び自由討議が行われた。 主な内容は以下のとおり。 ・消費者の自己責任に基づく自由な選択については、決済手段の選択の場面では、一般の 製品の選択の場合と異なり、消費者に合理的選択を期待することは困難であり、消費者保 護の観点から、何らかの最低限の安全基準を定めるべきではないか。 ・安全性の水準とそのためのコストが示された様々な電子マネーが存在し、消費者が決済 手段を自由に選択することができる場合には、消費者保護に関しても、市場原理に任せる ことが可能ではないか。 ・電子マネーや電子決済について消費者保護の問題は、対象とするシステムによって大き く異なるのではないのか。例えば、クレジットカードや小切手の仕組みを応用した電子決 済制度であれば、人的抗弁の切断ということを考えることができるが、(狭義の)電子マ ネーでは、抗弁の切断のようなバッファーがないのではないか。 ・消費者保護として、例えば定期的な取引報告書の送付があるが、電子マネーが少額で使 用される場合にも送付することとすれば非常に高コストとなり、それが消費者制度にかな うのかという見方も必要。 ・インターネットでは事故が生じた場合に原因を特定することが技術的に困難。少額取引 なら社会的混乱のおそれは小さいが、多額の取引も想定すれば、サプライヤーとユーザー が一種の団体をつくり、共同して問題に対処する仕組みが必要ではないか。 ・決済手段についても、今は様々な選択肢が出てきており、できるだけ市場メカニズムに 従う方向性を指向するべきではないか。それが産業のイノベーションの促進につながるの ではないか。 ・電子マネーに関する損害を補償する保険のあり方については、自動車事故に関する保険 のように、被害者の損害を直接補償する保険と加害者の賠償責任損害を補償する保険が重 畳的に存在するというあり方もあるのではないか。 次回(第10回)会合は3月27日(木)、第11回会合は4月4日(金)、第12回会合は4 月25日(金)を予定。 +--------------------------------------+ | 大蔵省 TEL 03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657) | | 国際金融局 調査課 (内線2887) | | | | 本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。 | +--------------------------------------+