電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第4回会合の模様(概要)

 




                                                                                

1.日  時    平成9年12月3日(水)10時00分〜12時00分                    

2.場  所    大蔵省第1特別会議室(合同庁舎4号館12階)                      

3.議  題    ・電子マネーの環境整備のために検討すべき法的諸問題                

                −私法上の法的構成を中心として−                                

                (森田委員)                                                    

              ・電子決済に関する環境整備の方向について                          

                (岩村参考人)                                                  

              ・電子マネーに係る法制面の諸課題について                          

                (事務局説明)                                                  

4.議事経緯                                                                    

  12月3日(水)、電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第4回会合が開

催された。会合の模様は概ね以下の通り。                                          

                                                                                

(1)  森田委員、岩村参考人から上記の議題に沿ったプレゼンテーションが行われた。    

・森田委員からは、電子マネーの法的位置付けの検討が必要であることが述べられた上で

○法的構成としては指図型と媒体型の二つの方向がある(債権譲渡構成は不可能ではない

が法律上難点が多い)こと、○「ストアドバリュー」型の電子マネーでも指図型と構成す

る方が適切でありかつ理解しやすいものもあること、○媒体型の電子マネーにはその法的

要件やデジタル・データの偽変造、強制執行等の課題があるが、新たな通貨媒体を社会が

受容し一般に利用されるかという問題もあること、○制度整備の方向としては、指図型・

媒体型に共通するものとしては前受金保全を目的とした発行体の破綻時のルールがあり、

また取引ルールに関しては法的構成に沿った約款によるルール作りと両者に共通する問題

として電子マネーの善意取得者の保護や紛失の際の対応の検討があること、等が説明され

た。                                                                            

・岩村参考人からは、これまではあまり取り上げられていないが今後の懇談会での議論に

当たって望まれる検討の視点として、○電子マネーも含めた情報通信技術の応用が金融シ

ステム・社会システム全体に変革をもたらす可能性がある(その萌芽は米国スプリング社

の例に現れている)こと、○それに対応するための法的なインフラ整備は何かという観点

からの議論が行われるべきこと、○その手掛かりとして小切手に関する善意取得、人的抗

弁の切断、除権判決等の制度があること、等が指摘された。                          

                                                                                

(2)  その後、各説明に対する質疑応答等が行われた。                                

主な内容は以下のとおり。                                                        

・新たな決済手段による新たな消費者被害の可能性、安全性と利便性などを考えれば、適

切な利用者保護を図ることが必要ではないか。                                      

・電子決済に関連して、電子商取引ではそのクロスボーダーな性格や地理的概念の欠如に

より新たな消費者保護が必要になるか否かも重要な論点であると考えられる。          

・電子マネーに有価証券法理を準用するのが素直であるとの考え方もあるが、そもそも有

価証券は少なくとも紙という媒体に署名(記名捺印)がなされているという点で電子マネ

ーのデジタル・データとは全く異なるものであり、これにはデータの世界を紙の世界のル

ールの延長線上で考えるのがよいのかということも含めて広い視野からの検討が必要では

ないか。                                                                        

・電子マネーに係る法制度を前受金等に関する規制法として考えるのであれば、結局、現

行のプリカ法同様に機能的、包括的な定義規定となるのではないか。                  

                                                                                

  最後に、事務局からこれまでの懇談会での議論を項目として整理したペーパーについて

簡単に説明を行った。                                                            

                                                                                

  第5回の会合は12月25日(木)に開催する予定。                              

                                                                                
大蔵省 TEL 03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657)
本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。