電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第5回会合の模様(概要)

 

1.日  時    平成9年12月25日(木)10時00分〜12時00分

                  

2.場  所    大蔵省第1特別会議室(合同庁舎4号館12階)

                      

3.議  題    中間的な論点整理のための自由討議

                                  

4.議事経緯 

                                                                   

    電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第5回会合が開催された。会合の

  模様は概ね以下の通り。                                                            

                                                                                

(1)  懇談会のこれまでの議論を踏まえ、今後の検討をどのように進めていくべきか、検討

   の基本的な視点と方向性をどのようにすべきか、制度整備に向けた具体的な論点として

   どのようなものがあるか、などについて中間的な論点整理を視野に入れて自由討議を行

   った。                                                                        

                                                                                

(2)  主な内容は以下のとおり。                                                    

 ・議論の進め方としては、まずは、いわゆる電子マネー・電子決済について、その環境整

 備に向けた制度面での検討を早急に行い、具体的な方向性を示すことを目標とし、さらに

 関連する電子的な金融・決済サービス全般について検討を進めていくことにすべき。    

                                                                                

 ・制度整備に当たっては、特定の技術や仕組みにかかわらず同様なサービスであれば同様

 のルールが適用されるようにすることが重要であり、基本とすべき。制度としてそれをど

 のように実現するかは困難な問題であるが、各論を議論していく中で十分に検討していく

 必要がある。                                                                    

                                                                                

 ・制度整備の目的は、決済システムの安定性確保や利用者の保護であるが、電子マネー・

 電子決済については、社員食堂など限定的な範囲内での利用から企業間の大口取引に係る

 利用まで幅広く考えられるため、利用者保護についてもレベルに応じて考える必要がある

 のではないか。                                                                  

                                                                                

 ・電子決済についてどの範囲まで制度整備の対象とするかは、利用範囲や一般的な決済手

 段としての公共財的性質の有無によって違ってくるのではないか。                    

                                                                                

 ・何に着目したルールであるかについては、取引過程が専ら決済手段の提供主体のシステ

 ム内部で処理され、処理のプロセス全体を管理する単一の主体がいないために、利用者が

 その信頼性を判断するのが容易でないような、電磁的な(即ち、紙でない)方法による決

 済手段の提供について適切な執行を確保するという点に着目するという考え方には合理性

 があるが、その場合でも、紙による方法と電磁的な方法の境界的な領域をどうするか、紙

 と電子で本質的な違いがどこにあるかを検討する必要があるのではないか。            

                                                                                

 ・紙と電子の違いについては、紙では既存の確立された法秩序があるのに対し、電子では

 それが十分ではないと言えるのでないか。また、電磁的な方法では紙に比べて流通速度が

 速いという特徴があるのではないか。                                              

                                                                                

 ・利用者の信頼は事実の積み重ねによって形成される場合もあれば、制度化によって信頼

 性が高められる場合もある。一方、制度があるから利用者の信頼が必ず得られるというも

 のでもない。本懇談会の目的は電子マネー・電子決済について、まずは必要条件を満たす

 ような制度整備を図るということであり、そのためにも何に着目してルールを考えていく

 かという視点が必要ではないか。EFT、クレジット決済など既存の制度との関係もそう

 いった視点で捉えるべきではないか。                                              

                                                                                

 ・撤回や巻戻しが行われないような安全性、利便性の高い決済は公共財としての性格があ

 ることから支払完了性(ファイナリティ)があるかどうかに着目してルールを整備すると

 いう考え方には合理性があるが、それについてはファイナリティに焦点を絞って検討する

 ということでなく、ファイナリティの高い決済が広範に受容されるようなバックアップと

 なる制度整備を行うということでよいのではないか。                                

                                                                                

 ・プリペイドカード法の延長線上で考えると、前払いであることに着目してルールを整備

 することが考えられる。但し、前払いでないものにルールが適用されないこと等を踏まえ

 るとあくまで一つの観点として捉え、後払いのものも含めたルールの整備を検討する必要

 があるのではないか。                                                            

                                                                                

 ・発行体破綻の際に、発行体に対する債権者の権利を保護すべきか、債務者も含めた利害

 関係者の権利を保護すべきか、によって制度整備の方向が異なる(例えてみると前者がプ

 リカ法であり、後者が銀行法であると言える)。まず何をすべきかということを考えると

 利用者、即ち債権者の権利を重視して制度整備するのはそれなりに合理性があるのではな

 いか。                                                                          

                                                                                

 ・電磁的な方法により決済が行われること、ファイナリティのある決済であること、前払

 いであることに着目してルール整備をすることは適当であるが、それらの要素は相互に代

 替的なものでなく、組み合わせによって全体として考えるべきでないか。また、その他に

 着目すべき要素としては、利用者が不特定多数か否かということや一般換金性の有無とい

 ったものが考えられるのではないか。                                              

                                                                                

 ・ゲルトカルテやビザキャッシュでは一定の範囲で利用者に対する与信が行われているこ

 とを考えると、与信面でもきちんとしたルールが必要なのではないか。                

                                                                                

 ・利用者に対する説明や情報開示は当然必要であるが、電子マネーは元本が確定した商品

 であることを踏まえれば、自己責任原則に則ったリスク商品の販売であることを想定した

 証取法の説明義務やディスクロージャーとは質的に異なった対応になるのではないか。  

                                                                                

 ・プライバシー保護や電子認証の問題は電子マネー・電子決済のみに関連するものではな

 いため、まずは電子マネー・電子決済固有の問題について具体的な方向性が示された後に

 その他の広範な問題を検討していく中で、さらに検討を進めていくこととしてはどうか。





   第6回の会合は1月23日(金)に開催する予定。

 

大蔵省 TEL03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657)
本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。