電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第6回会合の模様(概要)

 

1.日  時    平成10年1月23日(金)10時00分〜12時00分

                  

2.場  所    大蔵省第2特別会議室(合同庁舎4号館4階)

                        

3.議  題    中間的な論点整理                                                  

              プリカ法等の電子マネーへの適用関係(事務局説明)                  

              発行体の財務の健全性について

                                      

4.議事経緯                                                                    

  電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第6回会合が開催された。会合の模

様は概ね以下の通り。

                                                            

                                                                                

(1) 前半は、基本的な視点と方向性に関して前回の懇談会で自由討議を行ったのを踏まえ

  て取りまとめた「中間的な論点整理」について討議が行われた。また、懇談会において

  考え方を示すべきとの意見が出されていた既存法令の電子マネーへの適用関係について

  事務局から説明が行われた。                                                    

    後半は、各論の議論として、電子マネー発行体の財務の健全性の論点について事務局

  から説明が行われ、その後、討議が行われた。

                                

                                                                                

(2) 「中間的な論点整理」は懇談会終了後に公表することの了承が得られたが、主なもの

  として以下のような指摘があった。

                                          

・法整備、制度整備、ルール整備等の言葉の使い分けをもう少し明確にした方がよいので

はないか。基本的には右に行くほど広い範囲の概念だと考えられるが、特にルール整備と

いった場合には、法制度から取引慣行まで含むという意味と、具体的な規範という意味の

双方があるのではないか。

                                                        

・「同様なサービスには同様なルールを」というルール整備の基本的考え方によれば、一

般論としては電磁的な方法によるものと既存の紙をベースとしたものが同じルールである

べきかもしれないが、懇談会の目的は現在、実験等が行われている電子マネー・電子決済

の環境整備を図ることであることであり、そのために必要なルールを考えるに当たっての

基本的な考え方として捉えるべきではないか。

                                      

・ルール整備の基本的考え方と利用範囲等に応じてルールの水準が異なるものとすべきと

いうのは、ルールの水準が異なれば全く別のルールという場合もあることを考えれば、両

立しないこともあるのではないか。したがって、今後工夫が必要ではないか。

          

・着目すべき三つの要素に該るかどうかの限界的なケースについては、今後、各論の中で

議論していくべきではないか。

                                                    

                                                                                

(3) 発行体の財務の健全性については、以下のような議論があった。

                  

・財務の健全性を議論する前提として、電子マネーが我が国でどの程度の規模で普及する

のか、何年先迄を視野において制度整備を図るのか、を明らかにするべきではないか。

  

・利用者から受けた見合資金を安全な資産に運用したとしても、他業での失敗により発行

体が破綻した場合に一般債権者と利用者が破産手続で同様に扱われるのであれば、利用者

の保護は十分に図れないのではないか。

                                            

・どれ程の財務の健全性を求めるかは、電子マネーを法貨、預金、一般債権との関係でど

こに位置づけるかによって決まるのではないか。例えば、預金以上の安全性を求めるので

あれば運用制限かつ預金保険的な保護、預金と同様であれば預金保険的な保護、預金ほど

でないというのであれば、現行のプリカ法の前受金保全措置的な保護といった考え方があ

り得るのではないか。一方で、電子マネーといっても様々なレベルがあり、切り分けて考

える必要があるのではないか。

                                                    

・諸外国では電子マネーをどのように位置づけているかを参考にするというのも一つの考

え方だが、海外では「誰が主体となるか」というアプローチであるのに対し、「何が行わ

れるか」に着目した機能的なアプローチをとっている当懇談会での検討とは馴染まないも

のもあるのではないか。

                                                          

・銀行が電子マネーを発行することを考えると、当面は銀行の債務の数%であり、したが

って、電子マネーが預金を顕著に代替するということはないであろう。制度整備ではその

程度の普及を前提に議論すればよいのではないか。

                                  

・発行見合資金について、安全確実な資産に運用を制限すれば、運用の失敗により発行体

が破綻することはないであろう。むしろ、設備投資コストをどのように回収するかが事業

の成否を決めることとなるのではないか。

                                          

・情報開示については、証券投信のように毎月ということでなく、年2回あるいは四半期

に1回程度でよいのではないか。

                                                  

・資産運用が安全に行われるとしても、内部不正や偽造等により発行体に損失が生じた場

合の引当ては資本であることを考えると、一定の資本を要件とすることは適当であるので

はないか。

                                                                      

・財務の健全性については、発行体にどの程度兼業が認められるのか(銀行等の場合はど

うなるのか)、利用者と一般債権者を区別して取り扱うことができるのか、預金保険に類

似した制度が導入できるか、等の様々な要素を総合的に勘案して考えていかなければ最終

的にどうあるべきかを決めることはできないのではないか。発行体の資産運用の制限は、

いわば連立方程式の中の一つの方程式であり、今後の各論と併せて解を求めなければなら

ないのではないか。

                                                              

                                                                                

  第7回の会合は2月18日(水)に開催する予定。

 

大蔵省 TEL03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657)
本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。