1.日 時 平成10年3月17日(火)10時00分〜12時00分 2.場 所 大蔵省第1特別会議室(本庁舎3階) 3.議 題 参入ルール・業務の適正性確保について 電子マネーの発行・流通等について 4.議事経緯 電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第9回会合が開催された。会合の模 様は概ね以下の通り。 (1) 「参入ルール・業務の適正性確保について」の論点メモ及び主に第6回〜第8回会合 の懇談会における議論等を適宜整理した「電子マネーの発行・流通等について」につい て事務局より説明が行われ、その後、討議が行われた。 (2) 参入ルール・業務の適正性確保について、主な内容は以下のとおり。 ・利用者保護及び決済システムの安定性確保の観点から、一般的に元本の返還を約して発 行される電子マネーには、より厳しい参入ルールが求められることが適当であると考えら れるが、一方で、元本の返還が約されていない電子マネーであっても、汎用的に利用され るものについては、実質的に上記の電子マネーと同じ機能を果たすこととなるので、同様 のルールが課せられる必要があるのではないか。 ・汎用的に利用される電子マネーであるかどうかを客観的に判断する基準としては、例え ば未使用発行残高を用いることが考えられる。しかし、当初は基準に満たなかった残高が 普及につれて基準を越えてしまった場合にどのように対応するかといった問題がある。し たがって、一つの考え方としては、一般に元本の返還が約されていない電子マネーについ ては、それは特定商品の購入のための前払いであると割り切るということもあり得るので はないか ・販売信用の一種である商品券・プリペイドカード等と決済手段としての電子マネーとは 連続的に繋がっていて両者を区別することは困難であるかもしれないが、区別するとすれ ば「一般的換金性」の概念整理が重要ではないか。一般的換金性の有無については、一般 的に元本の返還が約される、即ち、契約上換金が保証されるということ、利用者間で譲渡 ができることにより実質的に換金がなされること(転々流通性)、未使用発行残高が多く 汎用的に利用されること(汎用性)などに着目すればよいのではないか。 ・一般的換金性には権利義務としての一般的換金性と事実上の一般的換金性があると考え られるが、似たような概念整理を行っている例として、「流通性」のある有価証券の取引 ルール等を規定している証取法の有価証券概念が参考となるのではないか。 ・一般的換金性のある電子マネーの参入ルールについては、紙をベースとした決済手段の 提供を法規制や慣習により銀行のみが行ってきたこととの整合性に留意する必要があるの ではないか。 ・電子マネーの発行体には一定の財産的・技術的基礎や内部管理体制等が求められると考 えられるが、財産的基礎のように参入要件として担保するのが適切なものもあれば、技術 的基礎のように事業者の自主的努力や利用者の選択等により結果的に全体としての安全性 が高められるようにされるべきものもあるのではないか。 ・利用者に対面して決済サービスの提供を行う主体(電子マネーの場合、「流通取扱機 関」)の業務の適正性確保については、当該主体の範囲を明確にする必要があるのではな いか。 ・協会・自主規制団体については、様々な業態が電子マネー関連業務に参入することを考 慮すれば、どれほど実効性があるかという問題があるかもしれないが、他分野においても 協会・自主規制団体が標準約款の策定作業等でそれなりの役割を果たしているのも事実で はないか。 ・ネットワーク上での決済サービスの提供等では、海外の決済サービス提供者に直接アク セスして国内で利用することが考えられるが、そのような場合には自主規制団体で公正な 取引ルールを定めたとしてもあまり意味がないのではないか。 ・公正な取引ルールとなっているかどうか分からないような、自主規制団体に加入してい ないサービス提供者の提供する決済サービスは、利用者にとって安心して利用できるもの ではないのでそれ程普及しないであろうから、その点を殊更心配する必要はないのではな いか。 ・行政による規制から、できるだけ自主規制団体を活用するとの流れ自体は理解できる。 従って、電子マネー・電子決済に限った話ではないものの、自主規制団体のあり方そのも のについて議論することが重要ではないか。 (3)電子マネーの発行・流通等について、主な内容は以下のとおり。 ・発行見合資金の資産運用制限は実体的権利保護のための分別管理・優先弁済の仕組みが あることを前提とする必要があるのではないか。 ・電子マネーを利用者が安心して利用できるためには、発行体の破綻により電子マネー自 体が使えなくなってしまうことを防止するとともに、電子マネーを利用した際に生じたエ ラーに決済サービス提供者が適切に対応する体制が整っていることが必要であり、そのた めの制度整備も図るべきではないか。 ・実体的権利保護の範囲については、保有残高等の規模により100%の権利保護とすべきか どうかは議論の余地があるであろうが、原則として商店も含まれるべきではないか。 ・一般利用者が商店で商品の購入等を行う場合における決済サービス提供者の責任につい ては、決済サービス提供者が商店に支払いを行うのを差し止める権限を利用者が持つかど うかという議論で行なうべきではないか。 ・利用者の決済サービス提供者に対する支払差止権限(及び代金相当額の返還)について は、決済サービス提供者が利用者と商店との間のトラブルに関与するという付加的なサー ビスの提供としてとして行われるのはあり得るであろうが、一律の法規制とすることは適 当でないのではないか。また、利用者が支払差止権限を持つということは、即ち、電子マ ネーを商店での支払いに利用した後でも見合資金に対して一定の権限を持つということで あり、電子マネーがファイナリティの高い決済サービスを目指すものであることとの関係 をどのように考えるかについて検討すべきではないか。 ・電子マネー・電子決済に係る個人情報の取扱いについては、少なくとも開示・説明され るべき取引条件等の項目の一つとする必要があるのではないか。 第10、11回の会合はそれぞれ3月31日(火)、4月14日(火)に開催する予定。
大蔵省 TEL03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657) 本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。 |