電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた
懇談会第13回会合の模様(概要)

 

1.日  時  平成10年5月19日(火)10時00分〜12時00分                    

                                                                                

2.場  所  大蔵省第1特別会議室(本庁舎3階)                                  

                                                                                

3.議  題  報告書の取りまとめに向けた自由討議                                  

                                                                                

4.議事経緯                                                                    

    電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会第13回会合が開催された。会合の

  模様は概ね以下の通り。                                                          

                                                                                

                                                                                

(電子マネー・電子決済に係る利用者に対する情報の提供等)                        

                                                                                

・  インターネット上でのクレジット決済で、特に海外のサイトにアクセスしSSL      

  (Secure Sockets Layer、パソコンソフトに標準装備されている暗号化通信プロトコル)

  を用いてカード番号を送信する場合には、決済サービス提供者としてはエラー対応の窓口

  の役割を果たすにしても対応には限界があることを踏まえる必要があるのではないか。と

  りわけSET(Secure Electronic Transaction、オープン・ネットワーク上でクレジット

  による決済を認証技術を用いて安全に行うための通信プロトコル)がほとんど利用されて

  おらず、場合によっては暗号化もされないでカード番号が送信されている現状では、決済

  サービス提供者としては警告を発することしかできないのではないか。                

                                                                                

・  SSLとSETとではエラーが生じた場合のリスクの負担の仕方が違うのは当然である

  が、むしろ事業者は利用者にそのリスクを明らかにするとともに、トラブルに適切に対応

  できるような仕組みが普及するように努めるべきではないか。いずれにしても、エラー対

  応で利用者がたらい回しにされないよう誰が対応の窓口となるかは明確にする必要がある

  のではないか。                                                                  

                                                                                

・  取引開始時点での利用者への説明・開示は、更なる情報通信社会化を展望すれば、必ず

  しも書面により行うことを原則とする必要はないのではないか。                      

                                                                                

                                                                                

(電子マネー・電子決済に係る公正な取引ルールの形成)                            

                                                                                

・  取引ルールの説明・開示は法規制とし、その内容は約款で決めるべきであるというのが

  これまでの懇談会での議論であったが、利用者が電子商取引を行う場合に、商品購入も電

  子認証も決済もそれぞれ約款をよく読んだ上で選択して下さいというのでは、政府として

  電子商取引を安心して利用できるものにするための環境整備を進めていることを踏まえれ

  ば適切ではなく、特に決済については内容面で利用者保護にもう少し踏み込む必要がある

  のではないか。                                                                  

                                                                                

・  責任分担に関する特別のルール等について、共通性のある決済サービスでは標準約款等

  に基づきルールがある程度統一されることが望ましいのか、全く事業者の自由に任せてル

  ールが利用者に選択されるのが望ましいのか、方向性を明確にした方がよいのではないか

                                                                                

                                                                                

(電子マネーの発行体の参入適格)                                                

                                                                                

・  発行体の参入要件については、技術面等で適正性が十分に確保できない主体が電子マネ

  ーを発行して偽変造等により利用者が損害を被るような事態が生じた場合に適正な業務運

  営を行っている主体にも悪い影響が及ぶおそれがあることを考えれば、厳しいものとする

  必要があるのではないか。                                                        

                                                                                

                                                                                

(電子マネーの発行見合資金のリスク遮断)                                        

                                                                                

・  決済インフラとしての性格を持つ電子マネーでは、発行体自身の信用力が低いために信

  託、保証を利用することができない場合には、そのような発行体は発行見合資金を全て供

  託しなければならないということになるが、その場合には利用者への払出しのための流動

  性の確保が発行体にとって過大な負担となることに留意する必要があるのではないか。  

                                                                                

・  一方、信託を利用することもできないような発行体の発行する電子マネーが決済インフ

  ラとしての性格を持ち得るのかという現実的な問題があるのでないか。また、懇談会では

  あまり議論していないが、見合資金を全額保全する場合でも、半分は供託とし、残りを信

  託、保証とするような方法も検討されるべきでないか。                              

                                                                                

                                                                                

(電子マネーの発行体の破綻時の対応)                                            

                                                                                

・  利用者への発行見合資金返還ルール及び権利実行手続については、どこまで法制度とす

  るのかを明確にする方がよいのではないか。例えば、発行見合資金の返還方法を約款で決

  めてよいのか、権利実行手続における事務代行者の権限をどこまで法定するか、といった

  問題があるのではないか。報告書でどこまで書き込むかはあるが、この点は今後さらに検

  討をしていく必要があるのではないか。                                            

                                                                                

・  権利実行手続における事務代行者の権限は、権利届出等を行う場合には法律上の根拠が

  必要ではないか。また、利益相反の問題もあることから事務代行者の権利義務は法定して

  おき、どの主体を指定するかは契約で決めるようにすべきでないか。イメージとしては商

  法の社債管理会社が参考になるのではないか。                                      

                                                                                

                                                                                

(その他)                                                                      

                                                                                

・  電子マネーの偽変造等については、テレカの偽変造等が現実に社会問題化していること

  に鑑みれば、将来の問題としてでなくもっと積極的な取組みが刑事法上も必要ではないか

 

大蔵省 TEL03-3581-4111(代) 銀行局 総務課金融市場室(内線5657)
本議事概要は、暫定版であるため今後修正がありえます。