金融制度調査会答申「我が国金融システムの改革について」の概要
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┃ 今般の金融システム改革においては、改革を通じて金融の持つ仲介機能 ┃
┃ や決済機能がより活性化することにより、活力ある国民経済へ貢献すること ┃
┃ を目指す。このため、(1)利用者の選好が的確に反映される市場の形成を進め ┃
┃ るとともに、(2)次代を担う成長産業及び世界の国々に対する資金供給や、個 ┃
┃ 人金融資産の効率的な運用を進める。 ┃
┃ この目標に向け、以下の課題に利用者を軸に据えて取り組み、2001年まで ┃
┃ のタイムスケジュールを明示して早急に実施する。 ┃
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(1) 商品・業務・組織形態の自由化・多様化
・ 思い切った自由化・多様化により利用者にできるだけ多様な選択肢が与えられ、
競争原理が徹底される中で様々な取引が行われることが重要。
→ 各金融機関の有する能力を最大限活かした特色ある経営・創造的経営を通じ、
利用者ニーズに応えることが可能に。
(2) 市場・取引のインフラ及びルールの整備
・ 自由化が進む中で、取引が適正な市場規律の下で活発に行われるためには、ディ
スクロージャーや会計制度・法制度をはじめ、市場・取引に係るインフラ整備及び
ルールの明確化が必要。
・ 自己責任原則の一層の浸透とともに適切な利用者保護を図る。
・ 検査監督体制の充実、虚偽報告に対する罰則強化の検討。
→ 金融市場としての国際競争力・透明性の向上。
(3) 金融システムの健全性の確保
・ 本改革の実施に当たっては、金融システムが安定していることが前提。そのため、
不良債権をできる限り速やかに処理しつつ、改革を遂行。
→ 早期是正措置の導入により、金融機関の自己責任原則に基づく経営改善へのよ
り早期の取組み。
○ 昨今金融機関を巡る様々な不祥事が発生していることは極めて遺憾。
金融機関がその社会的責任と公共的使命を今一度自覚し、企業倫理の徹底に
より、一刻も早い信頼回復を図ることが必要。
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┃ 事項 │ 措 置 内 容 │ スケジュール ┃
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┃(1) 商品・業務・組織形態の自由化・多様化 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 持株会社制度の活用 │・持株会社形態の利用を可能にするととも│・改正独占禁止法の┃
┃ │に、預金者保護等の観点から必要となる諸│施行をにらみ、所要┃
┃ │措置(弊害防止措置、兄弟会社の範囲制 │の法的整備を可及的┃
┃ │限、連結ベースのディスクロージャー等)│速やかに行う。 ┃
┃ │を講ずるため、所要の法整備等を行う。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ ABS(資産担保証 │・ABSの発行体であるSPC(特別目的│・次期通常国会法案┃
┃ 券)など債権等の流動化│会社)についての法的整備を行う。 │提出予定 ┃
┃ │・金銭債権信託受益権について、有価証券│・次期通常国会法案┃
┃ │の発行根拠を法定し、流通性を改善する。│提出予定 ┃
┃ │・銀行等によるABSの取扱いを広く認め│ ┃
┃ │ることを検討する。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ デリバティブの取扱い│・有価証券及び商品関連の店頭デリバティ│・次期通常国会法案┃
┃ │ブ取引について、原資産の受渡しを伴わな│提出予定 ┃
┃ │い範囲で、銀行等が行える業務とする。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 証券投資信託の販売 │・銀行等の本体による投資信託の販売を導│・次期通常国会法案┃
┃ │入する。 │提出予定 ┃
┃ │・銀行の店舗貸しによる投資信託委託会社│・97年度中実施予定┃
┃ │の直接販売を導入する。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 保険商品の販売 │・保険審議会の検討結果も踏まえ、できる│ ┃
┃ │だけ前向きな対応を行う。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 業態別子会社の業務範│・証券子会社、信託銀行子会社に係る残余│・99年度下期中に解┃
┃ 囲等 │の業務制限を解禁する。 │禁 ┃
┃ │・保険業務と銀行業務等その他の金融業務│・遅くとも2001年ま┃
┃ │との相互参入の実現を図る。 │でに実現 ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 普通銀行における長短│・普通銀行による普通社債等の発行等を認│・99年度下期実施 ┃
┃ 分離制度に係る業務上の│める。 │ ┃
┃ 規制の撤廃等 │・外国為替銀行法を廃止する。 │・次期通常国会法案┃
┃ │ │提出予定 ┃
┃ ○ 電子マネー・電子決済│・電子マネー・電子決済に関し、法律関係│・速やかに具体的な┃
┃ │の明確化、新規参入の促進、個人利用者の│施策に関する検討を┃
┃ │保護等に関する検討を進め、所要の措置を│進め、所要の措置を┃
┃ │講ずる。 │講ずる。 ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ ノンバンクの資金調達│・貸付資金調達に係る社債・CP発行を禁│・法改正を要する事┃
┃ の多様化 │止する出資法等の制約について基本的に廃│項については次期通┃
┃ │止する。 │常国会法案提出予定┃
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┃(2) 市場・取引のインフラ及びルールの整備 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 金融先物取引のあり方│・金融先物取引について、新商品の開発、│・日本円短期金利先┃
┃ │取引手法の整備、投資者保護措置の整備に│物に係るスプレッド┃
┃ │向けた検討等を進める。 │取引については98年┃
┃ │ │中にも導入 ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 短期金融市場の整備 │・短期金融市場について、取引慣行の見直│・RTGS化につい┃
┃ │しや日本銀行当座預金決済の即時グロス決│ては今世紀中に導入┃
┃ │済(RTGS)化等の導入を図る。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 金融機関等の利用者の│・消費者信用保護の諸施策については、統│・97年度中に結論を┃
┃ 保護 │一的な消費者信用保護法の法制も視野に入│得、速やかに所要の┃
┃ │れ検討を進め、所要の措置を講ずる。 │措置を講ずる。 ┃
┃ │・非預金商品に係る説明ルール作り等を行│・97年度中実施 ┃
┃ │う。 │ ┃
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┃(3) 金融システムの健全性の確保 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 早期是正措置の導入 │・経営の健全性を確保していくための透明│・98年4月より導入┃
┃ │性の高い監督手法である早期是正措置を導│ ┃
┃ │入する。 │ ┃
┃ │ │ ┃
┃ ○ 決済リスクの削減策の│・決済システムに関して、リスク削減策の│・一括清算ネッティ┃
┃ 強化 │強化に向けた体制整備等を図る。 │ングについては次期┃
┃ │ │通常国会法案提出を┃
┃ │ │目指す。 ┃
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