未定稿

第1回金融審議会第一部会議事要旨

 

1.日 時:平成10年12月8日(火) 14時00分~16時00分

2.場 所:大蔵省第四特別会議室

3.議 題:最近の金融システムを巡る問題について、今後の部会の運営方針等について

4.議事内容 



部会長の選任が行われ、蝋山 昌一(ろうやま しょういち)委員が部会長に選任され、部会長代理に神田 秀樹(かんだ ひでき)委員が指名された。


続いて、以下の項目のそれぞれについて事務局からの説明と質疑が行われた。


最近の金融システムを巡る動き(金融システムの改革と金融業界・市場の動き等)


「新しい金融の流れに関する懇談会」の「論点整理」の概要説明


国内外の金融法制についての概要等の説明


最後に、部会長より以下の提案がなされ、了承された。


当部会に、問題に応じて適宜ワーキンググループを設置すること。


ワーキンググループのテーマ、人選については、部会長に一任すること。

〈一般討議での主な意見〉


21世紀の金融システムを論じる上では、日本経済に「空白の10年間」をもたらした「バブル」の発生と崩壊の過程についても議論を行うことが必要なのではないか。また、国際金融との連環についても念頭に置くことが必要なのではないか。


マスメディア等においては、金融業に厳しい論調が目立つが、金融業が一国の経済にとって、重要な戦略産業であることには疑いがない。金融サービス法の議論を行うに当たっては、日本の金融業者が正々堂々と利潤を上げ、かつ国際的な競争にも耐える存在になり得るような制度作り、という観点を重視すべきである。


70年代以降一貫して、日本の個人保有の金融資産の収益率が低下していることは見逃せない問題である。


間接金融と直接金融は、一概にどちらが優れていると言い得るものではなく、個々のマーケット参加者が、自己責任原則に基づき適切なリスクマネージメントを行う下で、両者の最適なミックスにより円滑な金融が達成されることが理想である。


金融制度の設計に当たっては、「簡素」「柔軟」「スピーディ」の三要素を常に念頭に置くべきである。


新たな制度について議論する場合には、現状の制度の在り方に過度に拘束されることなく、個々の制度の機能について考察することから始め、現行制度のアンバンドリング・リバンドリングも含めた柔軟な結論を導くようにすべきではないか。


イギリスでの議論にもあったように、金融サービス法はfairnessとefficiencyの両方を併せ持つものでなけでばならない。これは簡単なようで、実に難しい問題である。


日本のリーテイル市場興隆のためには、一方で新しい金融の流れにそぐう、市場を味方に出来る「賢い投資家」を育成するとともに、一方で集団投資スキームのための環境整備を行うことが必要ではないか。


本格的な金融自由化時代を迎え、一方で消費者教育の充実による事前のトラブル防止、一方で苦情処理機関の設置による事後のトラブル処理、という二重の消費者対策を講じる必要があるのではないか。


幼少期から「金融資産」=「預貯金」のイメージを植え付け、リスクとリターンの関係について十分に触れていない、現在の消費者教育の在り方についても検討の余地があるのではないか。


投資信託をはじめとする多様な金融商品が比較的容易に購入できる時代にあって、消費者と金融業者との間に対等な関係がないと、消費者問題が増加するのではないか。


国際化が進む中、「業者」を名宛人とする既存の金融規制では対応し切れなくなるのではないか。こうした観点からも、「取引」に着目する規制制度の構築を検討すべきである。


預金者や保険契約者だけではなく、金融システムの利用者としての「借り手」についても議論の対象とすべきである。


「金融サービス法」といっても、イギリスのものを丸写しするのでは駄目で、「日本版金融サービス法」といったものを考えていかなければならないのではないか。


何から議論すべきか、テーマを絞り込むことも重要である。

 

問い合わせ先
大蔵省金融企画局企画課  森田、安藤
TEL  3581-4111 (内線 6126)


金融審議会第一部会委員名簿

 

平成10年12月8日現在

 

部 会 長 蝋 山 昌 一 高岡短期大学長
部会長代理 神 田 秀 樹 東京大学法学部教授
委   員 井 上 定 彦 連合総合生活開発研究所副所長
岩 原 紳 作 東京大学法学部教授
岩 村   充 早稲田大学アジア太平洋研究センター教授
上 柳 敏 郎 東京駿河台法律事務所・弁護士
大 塚 宗 春 早稲田大学商学部教授
京 藤 哲 久 明治学院大学法学部教授
高 橋 伸 子 生活経済ジャーナリスト
田 中 直 毅 21世紀政策研究所理事長
能 見 善 久 東京大学法学部教授
原    早 苗 消費科学センター消費科学連合会事務局次長
福 間 年 勝 三井物産取締役副社長
柳 川 範 之 東京大学経済学部助教授
吉 野 直 行 慶應義塾大学経済学部教授
リチャード・クー 野村総合研究所主席研究員
[ 計16名 ]

(敬称略、五十音順)