第14回金融審議会第一部会議事要旨
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・日時 | 平成11年10月8日(金)13時00分〜15時00分 | |
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大蔵省第四会議室 |
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・議事内容 |
・集団投資スキーム法制及びSPC法改正について |
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・議事内容 |
部会長より開会の挨拶があった後、事務局より資料を用いて説明があった。以下はその後の自由討議の模様。 |
○ |
不動産は指名債権とは全く異なるものであり、不動産をもっと扱いやすくするべきではないか。例えばビルの運営においては、修繕費や維持管理費、固定資産税や地震・火災保険など、指名債権にはない、一つ一つのビル固有の変動費用がある。こうした点を考慮すると流動化計画の簡素化においては、もっと不動産運営の現場の視点にたった流動化計画を立てられるような柔軟な制度にするべきではないか。具体的には不動産の流動化計画において2ヶ月前から定款ですべて定める必要はないのではないか。定款の作成後、実際に証券を発行する段階で具体的に定めていくなどもっと柔軟なものにしてもよいのではないか。 |
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○ |
不動産の証券化が大きな論点であるのだろう。本来、資産流動化型は、特定資産が生み出すキャッシュフローを独立させて維持管理して金融商品を組成する仕組みであるが、現行SPC法も要望項目も不動産を独立維持して証券化することが意識されていると思われる。ところが不動産は、賃料など比較的容易にキャッシュフローと言える部分と、価値の生ずるいわゆる底値部分があり、キャッシュフローだけでは考えにくい。今後のあり方としては、不動産自体の問題を解決するために、様々な要望を取り入れ、緩和・拡大をはかり、底値としての不動産をSPCに取りこんでいくのか、あるいは不動産とは別に賃料のようなキャッシュフローに限定していくのかの2つが考えられる。 |
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○ |
SPC法の特徴は対象資産に不動産を含め、不動産自体を流動化する器として商法・税法上の特例措置を設けたことである。不動産に関する今回の要望への早急な対応が望まれる。 |
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○ |
要望項目にあるオリジネ―ター自身による資産対応証券の取扱等についてであるが、特定社債は機関投資家に販売できたが、エクイティーの部分はオリジネ―ターが持っている。これは不動産のリスクがエクイティーの方に集約されていて、なかなか証券会社では扱えないからである。不動産の場合、日々の管理や維持管理費用等の変動的な要素があり、一般の債権とは異なった扱いが必要ではないか。 |
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○ |
流動化型の改善ももちろん必要であるが、運用型をSPC法で行えるようにすべきではないか。 |
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○ |
オリジネ―ターの立場からすると、流動化は資金調達の手段であるが、資産をSPCに譲渡した時点で課税されると、流動化を通した資金調達コストが高くつくことになってしまう。さらに優先出資の引受によって、税金と合わせるとほとんどキャッシュが残らなくなってしまい、有効な資金調達手段とは言えなくなってしまう。 |
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○ |
流動化対象資産は、不動産・指名金銭債権・信託受益権の3つに限定されているわけだが、もともと企業の特定資産を対象として異なる格付けを求めるという趣旨からすれば、3つに限定する必要はなく、たとえば有価証券等も対象にしてもよいのではないか。また、SPCが出す証券においても、優先出資証券・特定社債券・特定約束手形の3つに限定されているが、もうすこしバラエティーを持たせてもよいのではないか。例えば転換社債を想定すると、優先出資証券に転換できる特定社債券の発行等がある。 |
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○ |
対象資産の拡大について、借地権、建物賃借権、匿名組合への出資持分、有価証券一般等にまで対象資産を拡大してもいいのではないか。近年、借地上の建物の証券化のニーズが大きい。さらにはCBOすなわち社債担保証券が市場で厚みを増しているが、こうした状況に対して、対象資産を拡大することで簡便な組成が可能になるのではないか。 |
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○ |
借入金制限の緩和については、不動産の場合、修繕費・維持管理費等の変動費用や予期せぬ費用も生じるので、やはり緩和が必要なのではないか。 |
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○ |
SPCの発行する特定社債の銀行での取扱を全面的に認めてもいいのではないか。現状では、指名金銭債権を裏づけとした特定社債の引受・募集は認められているが、不動産を裏付けとした特定社債については銀行自身の不動産を流動化する場合に限られる。SPC法に基づく不動産証券化市場を活性化するためにも特定社債の流通チャネルを広くしていくべきではないか。 |
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○ |
取締役の義務・責任の緩和と監査役廃止については柔軟性が増すという観点から賛成であるが、投資家保護の観点からは一社専利に走るという点で疑問がある。 |
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○ |
日本の実状を鑑みると、SPC法において、商法・税法の特例措置としての扱いは今後も必要である。SPC法の枠組み、会社型投信の枠組みは維持しつつ、器の形成にあたっては、要望にある通り緩和の方向で行くべきなのではないか。 |
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○ |
流動化のスキームとしてSPCの他に信託方式も有力な手段である。金銭債権等の資産の流動化においては、特債法に基づく特定債権の流動化ではあるが、実績としては平成10年度の取扱は4兆円で、その内、信託方式は75%の3兆円であり、流動化の有力な手段となっている。したがって信託型の導入の要望に合わせて信託方式も改善する方向で見直すべきではないか。すなわち資産流動化を目的とする信託受益権の有価証券化への法整備をするべきではないのか。 |
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○ |
流動型と運用型の整理が必要である。本来のSPCはある程度キャッシュフローを生み出したものをSPC法の対象にするという考え方だが、実際のSPC法はそういう発想ではなく、いわば論理を棄てて実を取ったという形で、不動産も金銭債権も混在している。米国や英国と異なり日本の場合、SPC法には商法と税法の特例を与えている。この特例という点がポイントで、特例措置だからこそ不動産も金銭債権も一緒になっており、キャッシュフローという基準で線引きされているわけではない。 |
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○ |
流動化型、運用化型の線引きについて、仕切り直しが必要なのかどうかであるが、一般的に運用裁量という基準で線引きする場合、要望項目の中の資産の弾力的処分・追加取得等についてはむしろ運用型の方で対応するべきである。 |
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SPC法は資産流動化型タイプの証券のための仕組みであり、あまりに柔軟にすると運用型になってしまう。ガバナンスが問題になるようなところまで運用型になってしまうと、受け皿の仕組みとして適切ではなくではなくSPC法の対象とするところではない。むしろ運用型の証券を念頭においている証券投資信託及び証券投資法人に関する法律等を修正して幅広く考えるべきなのではないか。 (以上) |
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