未定稿


第15回金融審議会第一部会議事要旨

 

1.日 時 : 平成11年10月26日(火) 10時00分〜12時00分

2.場 所 :

大蔵省第3特別会議室

3.議 題 :

消費者契約法について
金融商品の販売・勧誘ルール等について

4.議事内容


 はじめに、今回から第一部会における金融商品の販売・勧誘ルールに関する審議に参加することとなった石戸谷豊[いしとや ゆたか]、宮部好広[みやべ よしひろ]両臨時オブザーバーの紹介が行われた。


 次に、国民生活審議会の事務局を務める経済企画庁から、国民生活審議会における消費者契約法の検討状況について説明があるとともに、その説明に関して自由質疑が行われた。


 次に、事務局から金融商品の販売・勧誘ルールに関わる論点等について説明が行われるとともに、ホールセール・リーテイルワーキンググループの山田誠一[やまだ せいいち]進行役から同ワーキンググループにおける金融商品の販売・勧誘ルールに関する議論の状況について報告が行われ、最後に自由討議が行われた。
 

<自由質疑における委員等からの主な意見>


(1)

 消費者契約法について


 金融商品の販売・勧誘ルール(以下「販売・勧誘ルール」という。)と消費者契約法は、内容的にバランスをとるべきではないか。例えば、販売・勧誘ルールにおいては重要な要素になると考えられる重要事項に関する説明義務が、「消費契約法(仮称)の具体的内容について(案)」(以下「消費者契約法(案)」という。)における民事効の発生要件とされていないのは、アンバランスではないか。


 販売・勧誘ルールは、金融商品の持つリスクも取引の対象ととらえ、リスクが当事者間だけではなく、社会全体で効率的にシェアされることも狙って制定されるものであるため、事業者と消費者との間の金融商品の販売取引に適用し得るルールという点で共通していても、非金融商品を含めた財・サービス一般の取引に関するルールである消費者契約法とは、性質が異なる部分も出て来るのではないか。


 「消費者契約法(案)」においては、消費者にとって不利益な事実を隠蔽することにより詐欺的に締結された契約を取り消し得るものとしているが、金融商品の販売取引においては、詐欺的な商法よりも金融商品の持つリスクが不明確なことが問題になるケースが多いことに鑑みれば、民事効の発生要件は、販売・勧誘ルールと消費者契約法とでやや異なるものとなるのではないか。


 消費者契約法は取消権の行使による原状回復を基本的な消費者救済手段としているが、証券取引の実情(善意取得が成立するケースが多いことから、事実上ほとんどの場合には金銭による処理となる。)や、過失相殺による柔軟な解決の容易性に照らせば、金銭処理による消費者救済も検討に値するのではないか。


 販売・勧誘ルールと消費者契約法の関係をどのように整理するかという問題についても、是非法制化に向けての検討対象に盛り込むべきではないか。


 個別業法の規定と販売・勧誘ルールや消費者契約法の規定とが重複する場合には、個別業法の規定の見直しも検討すべきではないか。


 「消費者契約法(案)」によれば、消費者契約法とは「規制緩和の時代にふさわしい消費者のため」のものであり、弱者たる消費者を何が何でも保護すべきとの考え方に依拠しているわけではない。また、消費者保護基本法第5条には、「経済社会の発展に即応して、みずからすすんで消費生活に関する必要な知識を修得するとともに、自主的かつ合理的に行動するように努める」消費者の役割が規定されている。こうした観点を、消費者契約法や販売・勧誘ルールについての今後の議論に盛り込むべきではないか。

(2)

 金融商品の販売・勧誘ルール等について

(a)

 総論的意見


 販売・勧誘ルールの法制化に当たっては、説明義務とその違反時に発生する民事効に規定内容を限定した法律とするのではなく、オンブズマン等に関する規定も盛り込んだ民事効+αの法律とするのが望ましいのではないか。


 現行の判例理論によってもある程度消費者保護が達成できていることに鑑みれば、販売・勧誘ルールは、単に早期に制定されればよいというのではなく、その内容を充実させることが重要ではないか。


 販売・勧誘ルールの早期法制化を念頭に置いた検討をするのであれば、販売・勧誘ルールを巡る論点全てについて法制化の是非を検討するのは困難であるから、重点的に検討しなければならない項目をワーキンググループにおいて検討する一方、残余の項目は部会で検討を行い、最終答申には全ての項目を盛り込むという作業プロセスの方が、結果として内容的に優れた販売・勧誘ルールの全体像を示すことができるのではないか。


 「中間整理(第一次)」や、それに対するパブリック・コメントの趣旨に従い、差し当たり法制化を念頭に置いての検討対象となる項目以外にも数多くの論点があることを踏まえつつ、法案作成を行うべきではないか。


(b)

 販売・勧誘ルールに関する検討項目について


 法制化を念頭に置いた検討には時間的制約があることを考えると、差し当たり資料15-2に掲載されている(a)金融商品概念、(b)プロ/アマ・ホールセール/リーテイル概念、(c)説明義務の明確化、(d)説明義務違反の民事上の効果、(e)金融商品の販売と融資との組み合わせ取引における融資者責任、(f)販売業者と資産運用業者との責任分担、の6項目をワーキンググループにおいて法制化を前提として重点的に検討すべきではないか。


 上記(a)〜(f)に加え、同じく資料15-2に掲載されている(g)広義の適合性原則、(h)不適切な勧誘の禁止、(i)狭義の適合性原則、(j)広告に関するルール整備、(k)不招請勧誘といった項目についても、可能な限り法制化を念頭に置いた検討をすべきではないか。


 エンフォースメントは重要な項目ではあるが、時間的制約を考慮して、当部会で差し当たり法制化に向けての検討対象とはせずに検討を行うのがよいのではないか。


 消費者教育の必要性についてはパブリック・コメントや各種会議等においても一致しているので、当部会での検討の対象とすべきではないか。


 各業法を超えた横断的な利用者保護ルールを最終的に制定することを目標とすれば、販売・勧誘ルールの法制化の次のステップとして重要なのは、裁判外紛争処理制度ではないか。

(c)

 説明義務と民事効のあり方について


 販売・勧誘ルールにおける民事効の発生要件には、説明義務違反だけではなく、適合性の原則や不当勧誘も含めるべきではないか。


 販売・勧誘ルールにおける説明義務の対象としては、商品のリスクに関する事項と、商品内容に関する事項の両方を含め得るが、損害賠償という効果は必ずしも後者に結びつかないのではないか。


 民事効については、他の財・サービスと比較した場合の金融商品の特性に照らせば、その行使期間というのも重要な問題の一つではないか。

 

問い合わせ先
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