総会2−1

日本長期信用銀行に係る特別公的
管理の開始の決定について

 

平成10年10月29日

金融監督庁



内閣総理大臣の談話 ---日本長期信用銀行について---

平成十年十月二十三日

一.本日、日本長期信用銀行より、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(金融再生法)第六十八条第二項に基づき、「その業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれが生ずると認められる」旨の申出を受けた。

二.金融再生委員会の設立までの間、同委員会の権限を代行する内閣総理大臣としては、長銀からの申出を踏まえ、その財務状況をも勘案し、本日、金融再生法第三十六条に基づく特別公的管理の開始の決定を行い、併せて、同法第三十八条に基づき、預金保険機構による特別公的管理銀行の株式の取得の決定を行ったところである。

三.今般の特別公的管理の開始の決定後も、長銀は、基本的には、従前通り、通常の業務運営を行うことになるが、金融再生法上の特別公的管理銀行として、例えば、新経営陣の選任、業務基準及び経営合理化計画の策定及びその承認、取得株式の対価の決定等、所要の手続が進められていくことになる。また、長銀からの申出と同時に、資産劣化防止の観点から、金融監督庁長官より同行に対し、銀行法第二十六条に基づく業務改善命令を発したところであり、長銀においては、新経営陣の就任前であっても、この命令を踏まえ、適切な業務運営を行っていくことが求められる。

四.今後、長銀に対しては、金融再生法に基づき、預金保険機構が業務に必要な資金の貸付けや特例資金援助を行うこととなっており、この結果、長銀の預金、金融債、インターバンク取引、デリバティブ取引等の負債は全額保護され、期日通り支障なく支払われるとともに、善意かつ健全な借手への融資も継続されることとなっているので、利用者におかれては、心配されることなく、良識ある行動を取られることを強く希望する。

五.政府としては、今後とも、預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期して参りたい。


平成10年10月23日

金融監督庁長官談話

 

1(1) 本日、日本長期信用銀行から内閣総理大臣に対して「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(金融再生法)に基づく申出があり、これを踏まえ、内閣総理大臣は同法に基づく特別公的管理の開始の決定等を行った。

 (2) 長銀の業務運営については今後も従前通り行われることになるが、資産劣化防止の観点から、長銀から内閣総理大臣への申出と同時に、当庁より同行に対し、銀行法第26条に基づく業務改善命令を発した。長銀においては、この命令を踏まえ、適切な業務運営を行っていくことが求められる。

(3) さらに、当庁としては、今般の長銀に関する決定の内容等が、内外の市場関係者に正確に理解されるよう、大蔵省、日本銀行とも協力して、海外の関係当局に十分な説明を行うなどの努力を行っていきたいと考えている。

2(1) また、本日、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」(早期健全化法)が施行された。これを受け、内閣総理大臣から、同法を真に実効性のあるものとして機能させるために、明確なルールに基づく公正な金融行政という枠組みのなかで、早期健全化法との効果的連携を図るために検査監督上必要な措置を迅速に講じるようにとのご指示を頂いた。

 (2) 当庁としては、この内閣総理大臣のご指示を踏まえ、我が国金融システムの早期健全化のため、検査、モニタリングの強化と早期是正措置の厳正な運用などの監督権限の適切な行使を通じ、個々の金融機関の経営の健全化を図り、もって預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期して参りたい。


長銀を巡る状況

6月26日(金)
  • 住友TB、長銀の両行から合併構想を発表。

  • 金融監督庁長官、大蔵大臣、日銀総裁から、住友TBと長銀の両行の合併構想を歓迎する旨の談話が公表される。

8月21日(金)
  • 長銀による経営改善策発表。住友信託による合併交渉を引き続き前向きに検討する旨の談話を発表。

  • これを受けて、総理大臣、金融監督庁長官、大蔵大臣、日銀総裁から、歓迎する談話を公表。

9月18日(金)
  • 与野党党首会談において「長銀問題については、実務者協議で合意した事項に沿って、特別公的管理等で対処する」旨合意。
10月12日(月)
  • 金融機能の再生のための緊急措置法が成立。

10月23日(金)

  • 金融機能の再生のための緊急措置法が施行。

  • 内閣総理大臣は、金融再生法第36条に基づく特別公的管理の開始の決定を行った。内閣総理大臣談話、金融監督庁談話を発表。

  • 内閣総理大臣談話、金融監督庁談話を発表。