金融審議会第2回総会議事録
日時:平成10年10月29日(木)14時01分〜16時07分
場所:本庁舎(4階)第3特別会議室
○貝塚会長 それでは、時間が参りましたので、金融審議会第2回総会を開催いたします。
本日は、皆様、御多忙のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。
今回から、この審議会には金融監督庁と日本銀行よりオブザーバーとして参加していただくことになりまして、御紹介いたします。
日本銀行より黒田理事です。
○黒田日本銀行理事 黒田です。よろしくお願いいたします。
○貝塚会長 それから、金融監督庁の方は浜中次長が本来は出席される御予定ですが、本日は代理の方ということでよろしゅうございますか。
〔青木金融会社室長 立礼〕
○貝塚会長 それから、前回のかなり前の会合ですが、総会で御議論いただきましたことで、多少持ち越しになっていた問題ですが、随行の方の話をどうするか。それから、議事録の取扱いをどうするかなどの問題が残っておりまして、私と事務局の間で、前回の御議論を踏まえまして御相談した結果をお諮りしたいと思います。
津曲室長、お願いします。
○津曲調査室長
随行と議事録の取扱いの件でございますが、随行につきましては、委員の先生への随行で来られる場合には、事前に事務局に登録をしていただきまして、その場合に、委員の先生と同様に審議内容の守秘について約束をしていただいて、随行の方はここに出ていただくということでいかがだろうかと考えております。
それから、議事録でございますが、発言内容の事後的なチェックということでございますが、話し言葉で速記になりますので、これを、お話の趣旨が明確になりますように、委員の先生には、公表前にもう一度御覧いただくということで考えております。
○貝塚会長 ただいまの点、いかがでしょうか。随行の方は、必要な場合には事前に御連絡いただきまして、そういう形で後ろで聞いていただくということでございますし、守秘義務的なものが適用されるということですが、その点よろしくお願いします。
それから、議事録の件は、確か前回議論になりましたが、本当にそのまま議事録にすべきかという話があったんですが、今事務局の方で言われましたように、話し言葉でそのままで出ていますと、多少要領を得ないこともありますので、一応文章にしたスタイルで書いて、それを発言された方に見ていただいて、それで議事録として公開するということになると思いますが、今の2点についてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○貝塚会長 それでは、そういう形で今後進めさせていただきます。
それから、今日の議事は幾つかございますが、議事次第というのがありますが、まずは、最近の金融を取り巻く状況というのは非常に変化が激しいということではございますが、先の臨時国会におきまして成立いたしました「金融機能の再生の為の緊急措置に関する法律」、それから、「金融システム早期健全化のための緊急措置に関する法律」等がございまして、これを三國谷課長から御説明いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○三國谷企画課長 企画課長の三國谷でございます。よろしくお願い申し上げます。
お手元に「金融機能の再生の為の緊急措置に関する法律」及び「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」、この2本を資料としてお出ししてございます。
このうち、最初の「金融機能の再生の為の緊急措置に関する法律」、これはいわゆる「金融再生法」と一般的に今呼ばれているものでございます。
そして、2本目の方は、「早期健全化法」と、大体今そういう言われ方をしている法律でございます。
この両法案の成立過程につきましては、新聞等でも逐次報道されたところでございまして、その辺の経緯につきましては説明は省略させていただきたいと思いますが、今回この関係で通りましたものは、金融機能再生関係のほかに3法ございまして、一つは、預金保険法の改正案。さらに金融再生委員会設置法案。それから、金融再生委員会の設置に伴います整備法案と、この4本が出たものでございまして、ただ、実態的な中身は、この金融機能再生法の中に相当程度集約されておるということでございます。
これからいろいろ金融につきまして、この再生法は、言うなれば基本的には破綻後対策と申しますか、破綻した金融機関への対応策。これに対しまして、早期健全化法は、破綻ということではございませんでして、資本注入等、金融機能の早期健全化のための法律と。この2本が車のいわば両輪として制度的なインフラになるわけでございます。
なお申し上げますと、この2法以外に、もともと預金保険法という、例の預金者保護のための法律がございまして、この3本が今後のこの関係の基本的なスキームになろうかと思います。
事柄の中身につきましては、この程度にしたいと思いますけれども、この3本のうち、再生法と早期健全化法は今回出来上がったものでございますが、もう一つの柱でありますところの預金保険法でございます。
その経緯等につきましては、委員の先生方、大体御案内かと存じますが、改めて御説明させていただきますと、昭和46年に預金保険制度が創設されたわけでございまして、当時は100万円までの保険金支払いという状態でございました。その後、昭和61年改正によりまして
1,000万円までの保険金の支払いということになりまして、その後、いろいろな手段につきましての多様化等が逐次図られてきたわけでございます。その後、平成6年から7年にかけまして、信用組合でございますとか、いろいろなところの破綻問題等が生じまして、平成8年に金融三法といった形で、2001年3月末までの時限措置といたしまして、いわばペイオフ・コストを超える部分につきましても資金援助を可能とするといった時限措置が出来上がったわけでございまして、この平成8年改正、金融三法と言われておりますが、このときに早期是正措置のための根拠規定も整備されたといった流れがございます。さらに平成8年の改正以後も、例えば阪和銀行、福徳銀行あるいは北海道拓殖銀行といった、いろいろな金融機関の問題が生じまして、平成9年には、一つのスキームといたしまして、預金保険機構からの資金援助のときに合併の場合も加えると。その中には特定合併と申しまして、経営が悪化した金融機関同士の合併も加えるといった措置が講じられたわけでございます。
なお、この特定合併につきまして言及しましたことは、今回の改正におきまして、特定合併は今年度限りの措置という形になりました。これまで進められてきたスキームは生きますが、特定合併に関しては来年の3月31日までという形になっております。
その後の改正でございますが、平成10年、今年でございますけれども、金融安定化二法という形になりまして、一つには、17兆円スキームと申しますか、いわば政府の保証枠の17兆円スキームが出来上がったわけでございまして、もう一つは、資本注入の13兆円スキームも出来上がったという形でございます。
これに言及させていただきましたのは、預金保険法の17兆円スキームは、基本的には預金者保護のためのお金でございます。金融機関が破綻した場合に、放っておきますと預金者への払い戻しがおぼつかなくなるといった場合に、救済金融機関に資金援助をするというスキームでございまして、今回の改正でも預金保険法の17兆円スキームは維持されているところでございます。これは2001年3月まで引き続きこのスキームが維持されているところでございます。
一方、13兆円スキームにつきましては、金融機能安定化緊急措置法という法律だったわけでございますが、この法律は今般廃止されることになりました。これにつきましては、金融機能の再生のための法律、お手元にございますけれども、ページ数で申しますと66ページをお開きいただきたいわけでございますが、66ページ、附則の第4条、ここで、これまで13兆円スキームでございましたところの金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は廃止するとされているわけでございます。
一方、附則の同じく1条を御覧いただきたいわけでございます。64ページでございますが、「この法律は、公布の日から起算して10日を超えない範囲内において、政令で定める日から施行する」とございまして、この法律は既に施行に入ったという形でございます。ただ、この法律の施行は、基本的な管理と申しますか、いろいろな認定等は金融再生委員会が行うことになってございますが、金融再生委員会の立ち上がりまでには所要の日にちが必要でございますので、その間におきましては、内閣総理大臣がそのことを行うことができるとなっているわけでございます。
このことにつきましては、同じく附則65ページの第3条というところを御覧いただきたいわけでございますが、金融再生委員会設置法の施行の日の前日までの間におけるこの法律の適用については、金融再生委員会とあり、及び株価算定委員会とあるのは内閣総理大臣とするという形でございまして、今般、後ほど説明あるかと思いますが、監督庁の方から説明ございますけれども、長銀の問題につきましても内閣総理大臣名でいろいろな措置が行われているところでございます。
次に、預金保険法の話はそういった流れを受けまして、したがいまして、基本的には、預金保険法、金融再生法、早期健全化法の3本という形でいろいろな物事が作動するといたしまして、今回の金融再生法につきましてポイントだけ御説明申し上げたいと思います。
これにつきましては、1枚目の目次でございますが、目次でまずポイントだけを申し上げたいと思いますが、第1章は総則の規定でございます。第2章は金融機関の破綻の処理ということでございまして、そこで、いろいろな物事の考え方といったことが記されているところでございます。それから、第3章では、金融機関の財務内容等の透明性の確保に関する諸規定が置かれているということでございます。
その次でございますが、破綻処理につきましては、基本的に三つのトラックが準備されているわけであります。これが第4章、第5章、第6章でございまして、第4章は、金融整理管財人による管理。第5章は、破綻した金融機関の業務承継とございますが、これはいわゆる公的ブリッジバンク。第6章は、特別公的管理というものでございまして、いわば国有化と申しますか、政府が株式を直接徴収、収用すると、そのようなスキームでございます。
第4章、第5章、この二つにつきましては、政府案というところと基本的なスキームは大体同じでございますが、ただ、政府案によれば、金融監督庁長官がいろいろな権限を行使することになっておりましたが、それが金融再生委員会という形になっているわけでございます。
因みに、基本的には、第4章、第5章は政府の方で提案したもの、第4章と第6章は野党が提案したものと、大体こういった形で整理できるかと思いますが、基本的にこの三つのトラックという形になったわけでございます。
中身につきましてこれも概略申し上げますと、金融整理管財人と申しますのは、言うなれば、金融機関が破綻した場合に金融整理管財人が乗り込む。進駐軍という言葉がいいのかどうかは別といたしまして、入りまして、執行権を専属すると。この執行権の専属というのは、会社更生法とかいろいろなところのスキーム、さらには保険業法のスキーム、こういったものを全部参照いたしまして、全部執行権は専属するという形でございます。
しかしながら、株主権との関係につきましては、株主権は直ちに侵害することはございませんけれども、しかしながら、いずれ、こういったものは民間に営業譲渡させるためには、会社の特別決議等の諸種の法的な措置が必要であるということでございまして、このスキームではいろいろな措置が講じられておりまして、一つは、特別決議に代替するものといたしまして仮決議方式。これは定足数が足りなかった場合のことを考えたものでございます。つまり、世上、日本の株式の保有構造もだんだん変化してきておりますけれども、いざといった場合に定足数が集まらない。しかしながら、一方で緊急の決議は行わなくてはいけないといったときに、出席した株主の3分の2で仮決議をしてもらいまして、一月以内に再度その仮決議を承認してもらう。これによって特別決議と同じ効力を持たせようという仕組みでございます。
なお、これにつきましては、昭和25年までの旧商法、あるいはフランスの商法典、こういったところに類似の制度がございまして、こういったものも参照させていただいた。金融整理管財人につきましては、保険業法でございますとか、そういったもののスキームを参照したというものでございます。
なお、一連の過程におきまして、実務的に相当大変なものといたしまして、根抵当を移管する場合に、一つ一つ個別の承諾が必要であるとか、あるいは預金者にいろいろな個別の催告、減資の場合にはいろいろな催告の通知をしなければいけないとかということにつきましては、これは全部公告で代替できる等の措置も講じております。
なお、さらに仮決議という形の方法をとらない場合におきましても、会社が債務超過という事態であれば、裁判所の許可を得ることによりまして特別決議に代替する、特別決議と同じ効力を持たせるといった道も講じているところでございます。これは代替許可と言っておりますけれども、これにつきましては、会社更生法等におきましても、債務超過ということになれば、その場合には株主権が凍結できるといった仕組み等を参考にしているわけでございまして、なお、その場合であっても、債務超過の認定は裁判所の許可を得る。
そういった形によりまして移行スキームが講じられているものでございまして、言うなれば、最初、会社というものに対して執行権は金融整理管財人に専属させますけれども、法人格の変更、営業譲渡、合併等につきましては、諸種の手続、あるいは決議が必要なわけでございますが、そこのところが少しでも、この緊急性に鑑みまして、実質を伴いながらスムーズにいけるような措置が講じられているところでございます。
第4章、第5章全体で見ますと、最初、金融整理管財人が入りまして、その後、相手方の民間金融機関があれば、そこに直接営業譲渡等が行われますが、なければ、公的ブリッジバンクが一たんつなぐと、こういうスキームでございます。
続きまして、第6章の特別公的管理でございますが、これはページ数でいきますと、29ページをお開きいただきたいわけでございますが、第36条。ここで柱書きは特別公的管理開始の決定をすることができるとございますけれども、これの後ろに、第37条にもう一つ同じようなものがございます。俗に言いますと、37条は、破綻に至らない直前と申しますか、破綻に至らない段階でも特別公的管理を開始することができる。第36条は、破綻という状態になった場合に特別公的管理を開始することができるという規定でございます。
この特別公的管理銀行の決定がございますと、第38条、31ページにございますけれども、預金保険機構が株式を取得することを決定する。2項において公告する。第39条におきまして、公告があった場合には、株式は機構が取得するという形になっているところでございます。
話をどんどん飛ばしまして40条にまいりまして、株式の対価でございますが、株価算定委員会は、公告時における当該特別公的管理銀行の純資産額を基礎として金融再生委員会規則で定める算定基準に従い取得株式の対価を決定する。再生委員会規則で定める算定基準に従いまして株価算定委員会が、純資産額を基礎として決定するということが一つのポイントかと思います。あとは、支払いの請求は機構に対して行う等々の種々の規定が置かれているというものでございます。これは36条スキームでございますが、現在発動が行われているということでございます。
ポイントはそういうところでございまして、もう一回目次に返っていただきますと、今度は、第7章では、預金保険機構が不良資産の買い取りに関します諸種の規定がございます。第8章では、こういったことを預金保険機構が行うための業務の特例、それから雑則という構成でございます。大体以上がポイントかと思います。
続きまして、金融機能早期健全化法。これは次の法律でございますが、目次で御覧いただくよりも、簡単に最初のところだけ申し上げますと、1ページ目の第1条、目的でございます。この中には基本的な、例えば2ページ目の冒頭ですが、金融機関等の不良債権の処理を速やかに進めるとともに云々といった目的が、そういったことで我が国の金融システムの再構築と我が国の経済の活性化に資するといった規定。2条は定義規定でございます。省略させていただきます。
第3条におきまして、金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則等、4ページでございますが、書かれております。これも詳しい説明は省略させていただきたいと思います。
7ページの第2章でございますが、金融機関等の資本の増強に関する緊急措置というのがございまして、ここで中身と申しますか、いろいろなものが書かれているということでございます。
ちょっと順序が逆になりますが、3ページ目を御覧いただきたいのでございますが、3ページ目の2条3項に、この法律において自己資本の充実の状況に係る区分につきましては1号から4号まで区分しております。
一つは、健全な自己資本の状況にある旨の区分。2は、過少資本の状況にある旨の区分。3は、著しい過少資本の状況にある旨の区分。4.特に著しい過少資本の状況にある旨の区分。これにつきましては、数値としては法律上は明定されておりませんけれども、基本的に、1は8%以上、あるいは2であれば4から8。3.4は4から0。特に著しい場合には0から2とか、そういったところが念頭にあるところでございます。
それで、第4条以下、7ページにおきましては、それらの違いを踏まえまして、諸種の規定が出ているわけでございまして、例えば第5条、経営の健全化のための計画。ここで基本的なことを書きました後、第6条、ここは議決権のある株式の引受けの要件。いわゆる普通株。この引受けの要件について書いているわけでございます。普通株につきましては、12ページの第4を御覧いただきたいわけでございますが、第4号におきまして、当該銀行が著しい過少資本の状況にある旨の区分、又は特に著しい過少資本の状況にある旨の区分のいずれかに該当すること。こういった、先ほど四つに分けましたうちのこの二つに対しては普通株の引受けができるというようなことがいろいろ書かれてございます。
それから、第7条でございますが、これはいわば議決権のある株式の引受け、優先株等でございますが、これにつきましても諸種の基準が書かれているということでございます。
さらに16ページを御覧いただきたいわけでございますけれども、16ページのところには、こういった形で資本注入するに当たりましては、リストラと申しますか、いろいろな経営合理化の基準と申しますか、そういったものが必要になるわけでございまして、ここにつきましては、1号では健全な自己資本の状況にある旨の区分。2は、過少資本の状況にある場合。3は、著しい、又は特に著しいと。それぞれによりまして、大体どのような内容のことを基準として含むかということを少しずつ書き分けているわけでございまして、それぞれの段階に応じまして、後でお読みいただければ、それぞれ書き分けが行われていることに御注目いただきたいと思います。
さらに、こういった形が実態的にもワークしますよう、第9条におきまして、19ページでございますが、資本の減資を行う場合に、商法関係の特例規定等をこしらえまして、その実効性が担保されるようにしているわけでございます。全体といたしまして、いろいろなスキームを作りましても、足腰の部分、根抵当、あるいは催告等、そういったところにつきましても、そういった措置と合わせることによって全体のスキームがワークするようになっているところでございます。現段階で、預金保険につきましては17兆円、それから、安定化法につきましては18兆円、それから、早期健全化につきましては25兆円、そういった予算総則をいただいているわけでございますけれども、これらは車の両輪、さらに預金保険法を加えますと、基本的なインフラという形で、全体として金融システムの安定化を図っていくことが肝要でございまして、それは、これからさらに運用の問題でもございますので、これからの金融情勢につきましていろいろ御指導を賜ればと思います。
相当はしょった感じもございますけれども、あらかた概略、法案の御説明させていただきました。
以上でございます。
○貝塚会長 ただいまの御説明に付け加えまして、日本長期信用銀行の特別公的管理について金融監督庁の方から御説明いただきまして、その後でこれらの件に関して御質問、御意見がございましたら。どうぞ、お願いします。
○青木金融監督庁銀行監督課金融会社室長 金融監督庁監督部の青木でございます。日本長期信用銀行、以下、長銀と略させていただきますが、その特別公的管理の決定について御説明をさせていただきたいと存じます。
お手元の資料、総会2−1というものを御覧いただきたいと存じます。
初めに、これまでの経緯を簡単に御紹介いたしますと、資料の後ろの方になっておりまして恐縮ですが、4ページを御覧いただければと思います。6月の初頭以降、様々な報道がございまして、長銀の株価の下落が続きました。そして、6月26日に住友信託との合併構想が発表され、金融監督庁長官、大蔵大臣、日銀総裁から歓迎の談話が発表されております。さらに、8月に入りまして長銀が経営改善策を発表し、住友信託との合併を引き続き前向きに検討する旨の談話を発表しております。その後、長銀問題について与野党間で様々な御議論が行われまして、結局、9月18日の与野党党首会談において、「長銀問題については、実務者協議で合意した事項に沿って、特別公的管理等で対処する」との合意がなされました。そして、10月12日に金融再生法が成立し、23日に同法が施行され、長銀の特別公的管理が決定した次第でございます。
それでは、特別公的管理の具体的内容でございますが、1ページに戻っていただきまして、内閣総理大臣の談話が出ております。これに沿って御説明を申し上げたいと存じます。
まず、「本日、」とありますが、これは10月23日でございますけれども、長銀より、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」、いわゆる金融再生法の規定に基づきまして内閣総理大臣に当てて、「業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれが生じると認められる」旨の申し出がございました。
金融再生法上、金融再生委員会が設立されるまでの間は、その権限を内閣総理大臣が代行することとされているということは先ほど御紹介のあったとおりでございます。したがいまして、内閣総理大臣は、長銀からの申し出を受け、その財務状況を勘案し、同日、金融再生法第36条に基づく特別公的管理の開始の決定を行い、併せて、同法第38条に基づきまして、預金保険機構による特別公的管理銀行の株式の取得の決定を行っております。
金融再生法の規定によりますと、預金保険機構は、公告があったときに株式を取得する。別な言い方をいたしますと、既存の株主が失権するということになりますが、この公告は昨日、28日付けの官報に掲載されております。そして、談話の三にもございますように、特別公的管理の決定後も、長銀は、基本的には、従前どおりに通常の業務運営を行うということになります。ただ、金融再生法上の特別公的管理銀行といたしまして、新経営陣の選任、それから業務基準、経営合理化計画の策定及び承認、さらに取得株式の対価の決定といった所要の手続を進めていくということになります。
なお、長銀からの申し出と同時に、資産の劣化を防止するという観点から、金融監督庁長官より、銀行法に基づく業務改善命令を発出いたしております。具体的には、資産の悪化を招く貸出の実行等は行わないようにといったような内容でございますが、長銀においては、新経営陣が就任する前であっても、この命令を踏まえまして、適切な業務運営を行っていくということが求められております。
今後でございますが、談話の四以降にもございますように、金融再生法に基づきまして、預金保険機構が業務に必要な資金の貸付、あるいは特例資金援助を行うということになります。したがいまして、長銀の預金、金融債、インターバンク取引等の負債は全額保護され、また、善意かつ健全な借手への融資も継続されるということになっておりまして、談話でも、利用者に良識ある行動をとられることを強く希望するとなっている次第でございます。
因みに、談話の最後には、預金者保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期してまいりたいという政府の決意が表明されております。
なお、その次、3ページには金融監督庁長官の談話をお付けいたしました。内容的には内閣総理大臣の談話と軌を一にしていると思われますので、併せて御覧をいただければと思います。
以上簡単ですが、御説明とさせていただきます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
それでは、金融再生法案、早期健全化法案、それから、ただいまの日本長期信用銀行に関わる特別公的管理、かなり制度的には複雑でありまして、概略を御説明いただいたわけでございますが、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたら、どなたからでも、どうぞ御自由にお願いします。
福間委員、どうぞ。
○福間委員 健全化法のことなんですが、新聞でいろいろ出たり、銀行とのやりとり、あるいは銀行の方からいろいろな、新聞の報道だけでございますけれども、先ほどの何兆でございましたかな、注入のところで、株式等という書き方になっているわけですが、ここには、劣後ローンといいますか、名前はどういう名前だったか知りません。ローンの形態も入っているんですが、今の銀行がおっしゃっているのは、優先株では、もちろん商法の問題もございますけれども、一つは、優先株発行の枠の問題があるとか、あるいはBISとの関係で言えば、Tier1にカウントされるとか、されないとか、いろいろ議論されているわけですが、むしろこれは監督庁にお聞きした方がいいのかもしれませんけれども、原点はこの法律だと思うんですが、この法をオペレートされる場合に、銀行側からのニーズといいますか、どういうメニューを個別銀行が望んでいるかというような。恐らく昨日あたりから始まったんだと思うんですが、そういうことは行われているのかどうか。例えば、これは緊急措置なんですけれども、余り時間がかかると、入口のところであれで、やはり個別銀行の優先株ですと発行枠の問題とか、あるいはTier1かTier2かというような問題とか、こういうのは今から個別行で始まるのかというところをまず。
入口の優先株で、うちは枠がないからできないとか、一般から見ると、これだけの法律ができたんだから、もう少し、そういう末梢議論よりは、早く個別銀行ごとに話したらどうなんだと、いらいらしているところがありますので、法律上の問題と、もう一つは運用上の問題を教えていただけたらと思います。
○貝塚会長 ただいまの件はどちらの所管になるのか、ちょっとあれですが、とりあえず企画課長。
○三國谷企画課長 それでは、法律上の問題と申しますか、そういう場合におきましては信用課の方からも補足してもらいますが、運用の話は監督庁でいたしまして、多分その問題は優先株と定款の関係でございますね。これにつきましては、今年の3月の段階から既に問題としてある話でございまして、それは各個別行も、それが定款に絡む問題であるということは当然のごとく承知しておられる話だと思います。
経緯的に申し上げますと、9月ぐらいまでは、いわゆる13兆円スキームにつきましては、政治的には、廃止すべきというグループと、そうでないというグループがありましたが、そういった中で、政府提案の段階で、それはそのまま維持されるという状態であったわけでございますが、そのいろいろな中で、こういった議員立法という形でこれが出来上がった。したがって、この金額自体は新しい話でございますが、基本的に優先株と定款との関係につきましては、従来からある問題でございまして、それはまた、執行の段階におきましては、そこは定款の問題でございますから、法律で自治の問題もございますし、そこは限界がある話でございますので、そういった点をいろいろ織り込みながら、運用の方でどうやっていくかという問題かと思います。
Tier1とTier2の関係につきましては、優先株であればTier1でありますが、劣後であればTier2ということで、制約があるという話でございます。したがって、Tier1の方が確かに自己資本に対する影響度という意味では非常に幅が広いということになろうかと思いますが、それも今後それぞれの銀行の実態、世の中のニーズ、こういったものを踏まえまして適正に処理されていくべき事柄と思いますが、御指摘の点は、制度的には重々、私どももそういった問題を一つ一つ乗り越えていかなければいけないという問題で意識しておりますので、またさらに我々の方として留意すべき点があれば、御指導いただければと思っているところでございます。
○青木銀行監督課金融会社室長 制度論は今お話があったとおりでございまして、私どもといたしましては運用ということになるわけでございますが、早期健全化法を受けまして、各行が主体的に対応していただくということを非常に強く希望しているところでございます。昨日、大手行に対しまして、まず法律、制度の説明を始めたという段階でございまして、これから順次、そういった取組みをしていくというのが今の状況でございます。
○貝塚会長 ただいまの御質問の趣旨は、要するに法律は早期に健全化するということなんですが、それを実際に動かすときに、実を言うと、個別の銀行の事情はかなり違うわけですね。ですから、福間委員のおっしゃった点は、個別の銀行は、今までの経営の仕方とか、過去の違いがあると、すごくこのスキームは実施しにくいとか、そういうことがあるんではないか、そういうふうに言われていると。その点はどういうふうに今後処理されるかという話でありますが、多分そういう法律の建前と、実施のプロセスで円滑に行われるかということですね。
何かほかに御意見あるいは御質問ございませんでしょうか。
この間の経緯は、私もそれほど、新聞に出ている程度以上知りませんが、銀行の個別の実態と、それから、こうあるべしという、ある種の建前の理屈の話と、そこのところの接合点が必ずしもぴたっとうまくいってない可能性があって、そこのところが、今後いろいろな運用で手当てをするとか、その辺のところが、細かく言えば、今後、問題として残っているというふうな感じじゃないかというのが、やや好きなことを言っているようですが、そういう感じを持っているということです。
○福間委員 早期かつ緊急にやっていただく。どうも、一般的にはというのは、要するに、こういう立ち入った話でないかと。この分野の人でない人は、やっぱり何だ、銀行は、法律まで作って金を取るんじゃないかと。だから、貸し渋りが全然あれだと、こういう極めて短絡的な議論になっているんでという。だから、その辺が、先ほど会長がおっしゃったような点で、私も全く同じような趣旨で申し上げたんですが、そういうところが一番問題、今後の実施の段階では問題になるのかなと。趣旨が早期かつ緊急でございますんでね。
○貝塚会長 ほかに何か御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
○福間委員 同じ人間が質問ばかりして申し訳ございませんけれども、ここまで来た段階で、いろいろ請求も違うし、いろいろ政治的にも世論背景も違うんですが、長年の間、トゥビック・トゥフェイルというのはいろいろなところで言われてきて、結局、拓銀がああいう状態で、みんなびっくりして、ジャパン・プレミアムがばーんと上がっちゃったというのが、まあまあ実態だろうと思うんですね。それで、アメリカの場合も、もちろんフィデシアリーの実施される前も、やっぱりトゥビック・トゥフェイルと。エッセンシャル・クローズといいますか、要するに地域の……
○貝塚会長 必要不可欠性原則とか何とかいう。
○福間委員 そうそう。地域金融機関の重要性は非常に書いてあるんですけれども、大きいシステム上の問題を書けなかったというのは、法律ですからしようがないんですけど、作成過程の中で、やはりそういう社会コスト論と、トゥビック・トゥフェイルの問題が余り議論にならなかったのかということなんですけど、これは単なる事実関係を知りたいだけでございますけどもね。
○貝塚会長 ただいまの点、何か議論。私の理解では、トゥビック・トゥフェイルという、アメリカのケースは、単純に言って、大きいからつぶしにくいという話は、もともとかなりありまして、それで議会筋が、わかりやすく言えば、やっぱり税金を入れるときには、その原則はおかしいんじゃないか。したがって、透明にして、いろいろなランクに分けて。
幸いにしてアメリカはその後、トゥビック・トゥフェイルはなかったと言われているんですが、しかし、この問題、ある意味では非常に難しい問題です。
その話は国会とかそういうところで御議論なさったのか。
○窪野参事官
必ずしも明示的な議論ではないかもしれませんが、私も銀行局時代からこういう作業をしておりまして、ずっと私どもの頭にありましたのは、海外とか、マスコミからはフォーベアランスじゃないかという批判もありましたが、むしろ二信組以来、破綻したものは、基本的にその金融機関はつぶすといいましょうか、法人格は継続しないという原則でやってまいりました。その最後の姿が、昨年11月の拓銀のケースであったと思います。
ただ、今振り返れば、今回、金融整理管財人という仕組みが入りましたので、破綻という状況がわかりますと、これからは直ちに破綻宣言をして、それから受皿を探すということはできますが、拓銀までのプロセスにおいては、破綻という認知をした後に、やはりその破綻というのを世の中に言うには、それこそ、あちこちで火が盛りそうな状況でありますので、やはり受皿を見つけて、安心していただくような破綻処理スキームを作ってからということで、そこでどうしても数カ月ラグが、時間がかかったのは確かでございますが、むしろ清々と破綻した金融機関は処理をする。そして、何といっても株主には責任をとっていただきますし、責任のある経営者も退陣していただくという方針でやってきたつもりであります。
その中で預金者は保護するという大原則でやってまいりました。そして、預金者を保護するために、いわゆるペイオフ・コストを超えて、特例までやってきたわけでありますが、少し疑いがかかったのは、恐らく11月の拓銀のケースを見て、預金者保護も大事だけれども、やはり金融のファンクション、特にローンの貸付のファンクション、借手が特に II 分類の人が迷惑をする。ですから、預金だけではなくて、金融の貸付の取引も継続するようにという。ですから、トゥビック・トゥフェイルではないんですが、金融のファンクション、これは維持すべきではないかという議論が11月から起きて、そこで、春先、2〜3月の30兆円のスキームで資本注入と。要するに破綻に追い込まれる前に、弱いけれども、復元可能なところには資本注入をして、むしろファンクションを維持させようという発想が入った。そして、今回のこの2法が、その仕上げと申しましょうか、一方で、破綻した場合にも金融整理管財人が入り、ブリッジバンクなり、あるいは直接的な公的管理銀行という形で、貸付の機能は、銀行のファンクションは維持しながら、何とか整理をしていこうというのが一つ。
そして、その手前の13兆円の見直しだったらしい早期健全化法で、破綻に至る前に、監督庁の早期是正措置と一体となって、健全性を回復させながら、必要なら思い切って資本増強をして金融機能を維持していく。そうしないと、大きな金融機関が倒れると、やはり経済への影響は大変なものがある。それが全体を貫いた思想であると思います。
因みに、そういう哲学がどこかに出ているかということでありますが、例えば早期健全化法に第3条ということで原則が書いてありますが、その第1号に、例えば我が国の金融機能に著しい障害を生ずる実態を未然に防止するとか、あるいは第4号に、社会経済的な費用が最小になるようにということで、この社会経済的な費用は、単に金融機関の部分だけではなくて、連鎖的な企業への影響、倒産とか、そんなものも含めた発想がここには入っているということが言えようかと思います。
○貝塚会長 時間がございません。ただいまの三つの法律ないし破綻処理、あるいは再生に関する御説明に加えまして、次の議題に移りますが、恐縮ですが、証券市場における空売り規制について御説明いただきます。
市場課長。
○楠市場課長 市場課長の楠でございます。証券市場における空売り規制の施行につきまして、総会資料の2−2で御説明させていただきたいと思います。
1枚あけていただきまして、そこに簡単に要点を書いておりますので、これに沿いまして御説明させていただきます。
空売り規制につきましては、本年6月に成立いたしました「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律」におきまして、従来は、空売り規制の対象としましては、有価証券を有しないで行う売付けだけであったわけですけれども、それに加えまして、3行目に書いてありますように、有価証券を借り入れて行う売付けにも適用することなどを内容といたします証券取引法の改正が行われまして、その施行は同法附則で12月1日とされておりました。
それで、この空売り規制の内容でございますけれども、先ほど申しましたように、株式を保有しないで、もしくは借り入れで行う売付け自体を禁止する、そういうことはやっちゃいけないという規制ではございませんで、そういうふうな場合には、(注1)に書いてございますように、空売りである旨の表示を義務づける。また、直近の価格未満での空売り、売り崩しと言っておりますけれども、そういうふうな態様での売付けはしてはいけないという内容でございます。
それで、2.でございますけれども、近時、6月以降の市場動向を見ておりますと、各種情報に基づきまして一部特定の銘柄の株価が大きく変動し、これに伴い株式市場全体も大きく変動したとの指摘がございまして、空売り規制に対する証券取引法改正規定につきまして、先ほど御説明いたしました12月1日という施行を待たずに、前倒しで施行してはどうかという議論が国会で起こりまして、それを内容とする議員立法が先の臨時国会に提出されまして、10月9日に可決・成立いたしました。その法律の名称は「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律」でございまして、次のページにその法律を付けております。先ほどの金融改革法と違いまして、金融システム改革法の中の空売り規制関係の部分だけの施行日を前倒しすると、非常に簡単な法律でございます。
それで、この法律の施行でございますけれども、また先ほどの紙に戻っていただきまして、この法律は10月13日に公布され、10月23日より施行されております。また、関係政省令につきましても、この法律と同じ日付で公布、施行されたところでございます。
以上でございます。
○貝塚会長 ただいまの御説明に関して、何か御質問、御意見ございませんでしょうか。
空売りの規制というのは、要するに、自分の手元に株がないにもかかわらず売るという。ですから、結果的に、場合によっては株価の変動を非常に大きくする危険性があるというので、一応法律的にはそういうことを規制するということになっているんですが、それを前倒しで早くやるという、そういうことでございます。
よろしゅうございますでしょうか。まだいろいろ御議論伺うべきことがありますので、次の議題に移らせていただきますが、12月1日に施行されます金融システム改革法に関連します政省令(案)について事務局より御説明願いたいと思います。
室長、お願いします。
○津曲調査室長
「金融システム改革関連政省令制定に当たっての基本的方向性について」という資料でございます。総会2−3の資料でございます。
この資料は、今年の12月1日に施行されます金融システム改革関連法の施行に当たりまして、その細目を定める政省令の制定についての現時点での方向性を主な項目について記載したものでございます。ですから、それ自体ではございませんが、内容をまとめてみました。
まず、証券取引法についてでございますが、3ページを御覧いただきたいと思います。3ページの上から二つ目のところでございますが、証券会社が今回登録制になりましたけれども、その場合の登録証券会社の最低資本金につきましては1億円ということでございます。
それから、4ページ目の一番上の欄を御覧いただきたいのですが、こちらは、証券会社の認可を要する業務については、別途最低資本金を決めるということになっておりまして、一番右の欄でございますが、店頭デリバティブ業務を行う証券会社等は10億円。それから、元引受け業務を行う証券会社につきましては、幹事の場合は30億円。それ以外は5億円。それから、私設取引システム(PTS)に係る業務の場合には3億円というふうなことで考えております。
それから、飛びますが、6ページ御覧いただきたいと思います。6ページの一番下の欄でございますが、証券会社のその他業務を行う場合の禁止の行為でございますが、証券会社がその他業務と証券の本業との利益相反の防止のために、例えば投資顧問、一任の顧客から買付けた有価証券を売り付けることを目的として、証券業のお客の方に買付けの勧誘をすることとか、そういうことは禁止というようなことが考えられております。
それから、飛びまして7ページでございますが、こちらの上から二つ目、47条第1項の有価証券の保管の分別管理のところでございます。これは、原則、顧客の有価証券と自分の有価証券を分別しなさいということが建前でございますが、中には契約によって証券会社が消費できる有価証券があるかもしれません。こういうものについては、この分別管理の対象から外してもいいのではないかということでございます。
それから、飛びますが、次は8ページ目でございますが、こちらは証券会社のディスクロージャーにつきまして、第50条でございますが、上から二つ目でございます。こちらの方は、公衆の縦覧に供すべき書類、例えばB/Sとか、P/Lとか、その他業務の内容などについて政省令で定めようということを考えております。
次が証券投資信託、証券投資法人法でございますが、24ページまで飛んでいただきたいと思いますが、一番下のところでございますが、証券投資信託委託業者の最低資本金が1億円ということでございます。
それから、25ページの一番上になります。これは信託財産相互間における禁止行為ということでございますけれども、これが信託財産の運用指図が禁止される信託財産間の取引といたしまして、例えば、ほかの信託財産の受益者の利益を図るため特定の信託財産の受益者の利益を害することとなるような取引、こういうものは禁止しようと、云々が書いてございます。
また飛びまして、28ページを御覧いただきたいと思います。28ページの一番下の欄でございますが、証券投資法人が常時保有していなければいけない最低の純資産額というもの、これは
5,000万円ということにしてございます。
次のページの一番上でございますが、こちらは証券投資法人、会社型投信でございますが、これの当初の成立時の出資総額の下限ということで、1億円ということを書いてございます。
それから、また飛びまして恐縮でございますが、次に、投資顧問業関係でございます。33ページを御覧いただきたいのですが、こちらの方には、投資顧問業者と顧客の間の取引に関しまして、顧客の保護をするための幾つかの規定がございます。下の方の三つのところにそういうことが幾つか書いてございます
それから、銀行法の関連でございますが、39ページまで飛んでいただきたいと思います。銀行法につきましては5点ほど御説明しようかと思っております。
まず、一番最初の39ページ目でございますが、預金者等に対する情報の提供ということでございまして、条文の本則では、銀行が預金の受入れなどに関し、預金に係る契約の内容その他参考となるべき事項の情報の提供を行わなければならない。預金本体については、こう書かれておりまして、それ以外のことにつきましても、その業務に係る重要な事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないと書かれておりまして、これを具体化しようということでございます。一番右の欄でございますが、一番上の・。これは預金等に関する情報提供については、金利の店頭表示、手数料等一覧表を備え置き、明示しなさいと。金融債についても同様と。
それから、二つ目、預金等との誤認のおそれのある商品。商品ファンド、投信などにつきましては、預金などではない。預金保険の対象ではない。元本保証はありません。それから、契約の主体云々というようなことを、特定の窓口で取り扱うとともに、顧客にわかりやすい形で提示しなさいということでございます。
また、それ以外の業務がございますが、銀行の全般的な業務につきまして、一番下の・でございますが、業務の内容に応じ、顧客の知識・経験・財産の状況を踏まえた、顧客への重要事項。例えば商品取引の内容、リスクなどの説明等の措置に関する社内規則等を整備して、その社内規則に基づく業務運営を確保するための体制の整備もしなさいということを考えております。
それから、次のページ、40ページでございますが、40ページから42ページぐらいまでございますが、ここは大口信用規制でございます。大口信用供与の方は、信用を受ける側も信用を出す側も、グループとして考えようということになっております。
ですから、まず40ページの上の方でございますが、こちらは、与信、信用を受ける側の合算対象はどういうことにしたかといいますと、商法上の親子関係に準ずる関係者の集合体ということにしてはどうかということでございます。
それから、40ページの下の方でございますが、こちらの方は信用供与の範囲ということで、貸出金云々に加えまして、私募による社債の保有とか、CPとか云々も入れようということを考えております。
それから、41ページの一番下の欄でございますが、ここは信用供与限度額の対自己資本比率でございます。こちらは信用供与限度額を計算するための自己資本額に対する比率を決めることになっておりますが、こちらはまだ検討が続いておりまして、まだ数字が入ってございません。
それから、42ページに移っていただきたいと思いますが、42ページの上の方は、大口与信規制の適用免除が幾つか書かれております。
それから、42ページの下の方でございますが、先ほど申し上げました、信用を受ける側は商法上の子会社とか兄弟会社ということで括っておりますが、信用を与える側の合算対象といたしましては、42ページの下の右の方に書かれてございますが、支配力基準による銀行の子会社、影響力基準による銀行の関連会社、これらも一つ合算するということを考えております。
なお、ここの支配力基準、影響力基準につきましては、企業会計審議会において検討が今進められております。
次に、44ページに飛んでいただきたいと思います。44ページは、アームズ・レングス・ルールでございます。アームズ・レングス・ルールの適用対象となる特定関係者の範囲につきまして、44ページの上の欄の右側に幾つか書かれてございます。支配力基準、影響力基準云々でございます。
それから、45ページでございますが、こちらの方はアームズ・レングス・ルールが適用されないやむを得ない場合というものが書かれておりまして、やむを得ない理由といたしまして、例えば破綻金融機関の場合には、緩和された条件で取引を行わないと、破綻金融機関の営業が立ち行かないような場合。それから、の方は、特定関係者の経営が悪化しており、合理的な経営改善のための計画に基づき特定関係者に対する経営支援を行う場合などが書かれております。
それから、45ページの下の欄でございますが、アームズ・レングス・ルールが適用される取引又は行為でございます。これにつきましては、当該特定関係者との間で行う取引で、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものということでございます。これは非常に類型化は難しゅうございましたので、今度は、当該銀行が、その営む業務の種類、規模及び信用度等に照らして当該特定関係者と同様であると認められる当該特定関係者以外の者との間で、当該特定関係者との間で行う取引と同種及び同量の取引を同様の状況の下で行った場合に成立することとなる取引の条件と比べて、不利な条件となるような取引ということで、少し回りくどい書き方をしておりますが、不利益を与えるものとして書かれてございます。
それから、次に46ページにいきますが、46ページの上から二つ目以下は、銀行子会社の業務範囲でございます。銀行子会社につきましては、既に持株会社によるものが、規制と同様に考えております。ほぼ同様でございます。
それから、次に48ページに飛んでいただきますが、銀行のディスクロージャーでございます。このディスクロージャーにつきましては、今回、罰則付きのディスクロージャーになるわけでございますけれども、全銀協の統一開示基準や有価証券報告書の記載事項のうち、預金者保護や銀行の健全性維持の観点から必要不可欠である事項、例えば業務概況、実績、単体及び実質支配力・実質影響力基準の連結の財務諸表、自己資本比率、リスク管理債権額云々について開示すべきであるということになっております。これは銀行持株会社についても、ほぼ同様の規定を整備しようということになってございます。
以上が銀行法関連でございます。
それから、49ページ以降は、保険業関連でございますが、49ページは取締役の兼職制限ということで、取締役の同一人格が情報を云々ということでありますが、遮断をする目的で、このようなことが書かれました。保険業法につきましても、先ほど銀行法のところで御説明いたしましたような大口信用規制、それから、業務上の説明義務など、アームズ・レングス・ルールについて入っておりますが、銀行法で御説明申し上げましたのと、ほぼ同様な内容となっております。
急ぎましたが、以上でございます。ありがとうございました。
○貝塚会長 ただいまの御説明は、ある意味で非常に広範囲なんですが、私が不正確かもしれませんが、要するに法律で書かれた条文を具体的に適用する際に、従来は、多分行政指導とか、いろいろインフォーマルな形で行われていたものがかなりあるわけですが、今回は、恐らくそれははっきり書くという趣旨ですね。ただし、現在のところ、まだ最初の表題は、ここに書いてございますが、政省令にいろいろ書くというわけですが、制定に当たっての基本的方向性についてという、ですから、今の段階ではこういうつもりでやりますということで、細目については、まだ細かい点まで煮詰まってないところもあるということですが、先ほど来いろいろ御説明がありますが、銀行が、又は金融機関が影響力を持つというのは、どういうふうな意味で影響力を持つかというあたりを、きちっとある程度はっきりした基準で書き込むというふうな感じですね。
ちょっと補足を。全体の政省令をどのぐらいか。
○三國谷企画課長 実は大変膨大な作業でございまして、これも本当のエキスでございますが、政省令を合わせると
2,000ページぐらいになる内容でございまして、また、こういう枕が何冊か出来上がる状態でございまして、かなりテクニカルなことも多々ございますけれども、大変重要なこともございます。これを熟読玩味して、ここで全部御説明する時間は正直言ってないんでございますが、ここに問い合わせ先もありますし、今日の金融審議会が終わりますと、世の中にも、記者発表あるいはインターネットで流しますし、そういった形でいろいろな御意見が来るかと思いますけれども、どうぞ、お気づきの点、あるいは御意見等があればお寄せいただければと思います。
金融の話でございますので、プロの目でよくチェックしていただきたいという点も多々ございます。それから、実際実務に携わる方からの視点というのも大変重要でございまして、よろしくお願いできればと思います。
なお、一つだけ申し上げますと、ずっと私どもこれまで、法案等の審議もある一方で、こういう作業もしておりまして、後ろにいるグループは、ほとんど睡眠時間、数時間で、土・日返上で、まだ私どもに休みがないという状態のグループがございますので、そういう事情だけは申し上げさせていただきます。
○貝塚会長 ただいまの金融システム関連、政省令制定ですか、ある意味では非常に細かい規定もありますが、また、非常に重要な部分でもあって、多分いろいろ、投資家保護とか、あるいは小口の取引をやっている人の保護とか、そういうこととも、ある部分は関連しているような性質のもので、もし今の御説明で何か。
どうぞ、原委員。
○原委員 ちょっと2点ほど方向性のところでお聞きしたいんですけれども、一つは、39ページの銀行法関連のところの情報の提供についてなんですけれども、具体的に、誤認のおそれのある商品については、????というふうに項目が書かれて、これについて説明義務を課すというふうな言葉が付いておりますね。説明義務のやり方なんですけれども、その下の段を見ていくと、当該窓口への掲示というような言葉が出ておりまして、消費者から見ると、その説明義務というものが、窓口の掲示だけではなくて、例えば文章の交付ですとか、いろんな形での情報の提供というのがあるかと思うので、文章での開示なのか、窓口の掲示だけで済むような話なのか、もうちょっと丁寧に区分けをして出していただきたいというふうに思います。
それから、もう一点が、48ページでディスクロージャーについて書かれているんですが、ディスクロージャーはかなり定着をしてきているというふうな感じはしているんですが、外国銀行の支店についてなんですが、これは銀行に限らず保険もそうなんですけれども、やっぱり広告なんかを見ると、かなりディスクロージャーされているという印象を、例えばシティバンクなんかを見たりすると思ったりするんですけれども、基本的に、日本の銀行と同じようなディスクロージャーになっているのかどうかと、ちょっと気にかかるようなところもありまして、ここに各銀行の支店については財務諸表ですとか、そういったものを出すようにというふうになっていますけれども、これと日本の例えば銀行のディスクロージャーとが同じレベルのものなのか、やっぱり少し簡略化してあるのかとか、それから、英訳でも可と書いてありますけれども、日本の人にわかりやすい形での和文と英文と、ここももうちょっと丁寧に方向性を出していただきたいというふうな感じがいたします。
以上の2点です。
○貝塚会長 ただいまの御質問に関して、最初は説明義務の具体的なやり方というのは、どうですか。
○津曲調査室長
原先生の方からお話がありました、預金などと誤認のおそれのある場合には、これは掲示だけでなくて、説明しなさいと、説明義務がまずかかっていまして、口頭で説明して、それと同時に……
○原委員 口頭での説明義務。
○津曲調査室長 はい。ですから、そういう説明をして、その窓口に同様に掲示をしなさいということであります。
○原委員 説明義務と書いてあったので、説明義務というのも、口頭での説明もあるでしょうし、文章による説明でもありますし、義務と書かれていても、何でやるのかというのは、前の何というんでしょう、言葉がないと、文章だけ読んでしまうと、ちょっとその辺がわからなかった。今の御説明でわかりました。
○津曲調査室長 失礼しました。書面などの提示などの適切な方法でもってというふうに書かれております。
○原委員 わかりました。
○貝塚会長 外国銀行支店ですね、要するに、最近は外国とのある種の金融資産取引というのは随分あるわけですが、日本の銀行と外国銀行を比べた場合、この辺のディスクロージャーというのは、外国銀行の場合、どういう感じになったか。今の原委員の御質問の趣旨は、同じような、同等のディスクロージャーが行われるように、この文章はそういうふうに読めるのか、単純に言えばそういうふうな話ですね。
○津曲調査室長 ここは同等ということを考えています。
○原委員 日本語ですね。
○津曲調査室長 ええ。実はここに書いておりますが、財務諸表については和訳をしなさいと。
○原委員 だから、和訳と英訳、いろいろ書いてあるので、いろいろばらばらのが出るのかなと思ったんですけど。
○貝塚会長 財務諸表の主要箇所は全て和訳ということですね。ただ、それから先の年次報告書というのはかなり厚い。細かいことがいろいろ書いてあるのが年次報告書だと思いますが、だから、財務諸表全体の総括の表があって、そこは普通のバランスシートは日本語で、あとの実際の業務の、今年はどういうことをやってとか、多分いろいろ銀行の営業の状況、私は余り細かく見たことはないんですが、かなり厚いものでやっているわけで、それは英文でという、大体そういうことでいいんですね。
○津曲調査室長 分厚い方は全部日本語という、そこまでいっていませんけれども、分厚いものの前には、数ページぐらいの日本語のは付けなさい、そういうことは考えています。
○貝塚会長 要約ないし重要な財務項目については和訳。
どうぞ、吉野委員。
○吉野委員 先ほどの支配力のある関連会社とか子会社は海外の子会社も含めるのかどうかというのが一つと、それから、例えば投信なんかですと、不動産金融商品とか、コモディティ商品とか、多分いろんなものが出てくると思うんですが、そういうものも全部含めた形での関連会社というふうに考えるのかどうかお聞きしたいと思うんですけど。
○津曲調査室長 海外の会社を含むということでございます。
○吉野委員 多分、金融以外のいろんな商品が出てきますと、不動産会社も関連会社として連結で見るようにされてくる。コモディティ会社とかですね。
○津曲調査室長 子会社ということで認められている範囲内においては、それは入ってくるだろうと思います。
○内藤参事官 ちょっと補足させていただきますが、今、企業会計審議会で検討をまさにしておりまして、それで実は明日、企業会計審議会の総会を開く予定がございます。それで、先ほどの後者のコモディティの問題ですけれども、今考えております支配力基準とか影響力基準につきましては、銀行のみならず、企業全体ですから、当然、子会社とか他の会社に対して支配が及ぶかどうか。基本的には議決権ということで見ておりまして、現在の基準では50%超の会社に対しては子会社との関係にあるというふうに考えておりますけれども、今回実質支配力を入れるということで、必ずしも50%でなくても、他の要するに緊密な会社と合算して、それで50%超であるとかいう基準で見ていく。実質緊密の関係会社が持っているわけですから、当該会社に対しては実質支配力が及ぶと、こういうふうなことで見ておりまして、その中には、当然コモディティとか、金融関連業務でない会社で、恐らくこれは今まで銀行の場合は、独禁法で5%の規制がありましたので、5%を下回っておっても、実質支配力であるというような場合には、実質支配力という形で子会社として捉えているというふうな、今基準の作成をやっている段階でございます。
○貝塚会長 ほかに御質問。
高橋委員。
○高橋委員 政省令制定に当たっての基本的な方向性について消費者からも意見を聞くとか質問を受け付けるということは、大変評価できるというふうに思います。
ただ、問題は日程的なことでございまして、これが決定して官報に載るというのがいつ頃なのかという御予定をお聞きしたいと思うんですね。一般の消費者の方がこれについて声を上げ始めるというのは、恐らく消費者大会2週間後ぐらいなのかなという感じがするのですけれど、間に合うのか間に合わないのか、どんなふうな形なのか、ちょっと予定をお知らせいただきたいと思います。
○貝塚会長 今の点いかがですか。
○三國谷企画課長 官報に載るのは、大体今のところ、11月の20日前後を目標にしておるということでございます。本来ならば十分な周知期間をとることが望ましいことにつきましては重々承知しておりますが、この
2,000ページにわたるもの。これをさらに言いますと、これは政令であれば、法制局審査というのも全部クリアする必要があるわけでございまして、それは物理的に大変な作業でございまして、例えば印刷局の印刷原稿を組むだけでも、実は大変な手間暇がかかるわけでございまして、そこで誤字、脱字があってはいかぬという、ちょっと完璧過ぎるのかもしれませんが、それらの手続を大車輪でやっているというのが実態でございます。ただ、それにいたしましても、官報すぐ施行というのでは余りでございますから、20日に向けて最大限頑張ってまいりたいということであります。
○貝塚会長 どうぞ。
○原委員 11月20日に官報に載るということは、11月20日には完全に印刷された状況で出るわけですね。そうすると、明日ぐらいまでに言っていかないと間に合わない。
○三國谷企画課長 そこまでは申し上げません。ただ、11月20日の官報ですから、その2日か3日前に言われても、これはちょっとツーレイトでございますが、一方でいろいろな手直しももちろんあるにいたしましても、やはり時がたてばたつほど、だんだん手直しの余裕がなくなるということでもございますので、できるだけ早目にお願いしたいと思います。
これも一応実務に確認しましたところ、大体11月6日ぐらいに−−ということは、今から1週間ぐらいなんでございますが、それくらいまでにいただければという感じでございます。大変無理なお願いをして恐縮でございますけれども、物理的な事情も何とぞ御理解賜ればと思います。
○貝塚会長 ただいまの点は恐らく、今ここで説明されている中でいろいろ御関心をお持ちの項目がありますよね。そこのところを、全体というよりも、それ自身について、やや詳しい点を実際問い合わせていただいて、それでフィードバックしていただくのが実質的だと思います。これ全部というのは大変ですので、それぞれ多分消費者ないし大口の預金者、大口の金融取引者に対してどういう点が一番重要かというのが御関心のことだと思いますので、大変恐縮ですが、絞ってしていただいた方が、話としてはスムーズといいますか、効果的じゃないかという気はいたしますけれども。
何かほかに、ただいまの政省令制定について御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
それでは、次の議題に移らせていただきますが、今後のこの審議会の運営方針についてどういうふうにするかということでございますが、審議会の方は、とりあえずは金融再生法案その他が施行されるわけでして、先ほど来事務的の方もやや余裕ができる体制にあるということもありますが、したがって、本当は時期的には、もう少し早いときから議論は始めなくてはいかぬですが、具体的なテーマや部会について、ここでとりあえず今考えているプランを皆様に御説明いたしまして、それで皆様の御意見を伺いまして、今後どういうふうに進めていくかということのおおよその方向を決めたいというふうに思います。
それでは、文章がありますが、事務局より、総会2−4、「今後の審議会の運営方針について」ということでございますが、ちょっと説明してください。
○津曲調査室長
「金融審議会の運営について(案)」という紙でございます。
第1回の金融審議会で大臣からの諮問がありまして、これが「21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築に向けて、金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項について、審議を求める。」という諮問でございました。
今後を考えてみますに、その審議の大枠といたしまして、2001年というものが間もなく近づいてきているということでございまして、2001年は金融システム改革を済ます年。それから、預金等の全額保護の終了。ペイオフの開始と自己責任という世界がそこに待っているというところでございます。こういうことを踏まえまして、大きく二つぐらい考えられるかなということで分けてございます。
一つの方が、「21世紀の金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきか」。もう一つが、「安心で活力ある金融システムの構築」ということが挙げてございます。
まず最初の方でございますが、こちらの方は、国際化の一層の進展。それから、市場の役割がいよいよ増大する。それから、金融情報通信技術の発展を背景とした金融の将来像、それから、どのような金融サービスがあり得るか。それから、規制のシステム・取引ルール。さらには規制の担い手のあり方などのポイントがあるんじゃないか。
さらに、それに向けまして、それぞれの主体、預金者・投資家・契約者、資金を調達する者、仲介者、行政当局などがなすべき課題はどういうものがあるだろうかというような、全体像としてのアプローチが一つあり得るのではないだろうかというふうに考えております。
二つ目でございますが、こちらは、現在を出発点に、21世紀の金融システムに向けての問題解決の積み上げと環境整備を図っていくということでございますが、こちらの方、まず、金融システム改革の積み残しの問題があるのではないか。それから、もう一つが、不良債権処理と金融システムの再生・安定を図りつつ、どのように21世紀の金融システム、信用秩序云々につなげていくかということの議論があるのではないかと思います。
1枚めくっていただきますと、部会構成のイメージとなってございます。本審議会の下に二つの部会を設けまして、第一部会、第二部会ということでございます。また、この部会の下にはそれぞれのテーマがまたあり得ると思いますので、必要に応じましてワーキンググループを設けて議論するということもあるだろうと。さらに、必要に応じましては、かつ、項目によりますが、他省庁所管の審議会と共同で作業をしなくてはいけないことも出てくるかもしれないと。そういうジョイントのワーキンググループということもあり得るだろうということを考えております。
それから、もう1枚めくっていただきますと、こちらはあくまでも御議論の御参考でございまして、ファクトといたしまして、これまでの審議会における指摘事項等を幾つか挙げております。金融制度調査会では、例えば金融サービスの将来像と規制の枠組みということが挙げられてございます。これは証券取引審議会でも同様の指摘がございますが、幅広い金融サービスに対して整合的な規制を行う新しい枠組みの検討云々ということがあります。
それから、消費者信用の保護。
それから、電子マネー・電子決済。
それから、個人信用情報の保護・利用云々がございます。
なお、本年6月の金融制度調査会に電子マネー・電子決済、それから個人信用情報保護・利用、それから新しい金融の流れに関する懇談会、これらの三つの懇談会からの報告書とか論点整理が出されております。
保険審議会の方からは、相互会社から株式会社への組織変更について今後検討していく必要があるんじゃないかという指摘があります。
この参考でございますが、銀行局長の懇談会として設けられました金融システム懇談会では、金融システム安定に関する基本論を中心に幅広く検討を行ってございます。
もう一点、お手元に配ってございますが、今日、蝋山先生が御欠席でございますが、蝋山先生から、本日出ることができないということで、貝塚先生宛にレターが来ておりますので、席上配付してございます。
ありがとうございました。
○貝塚会長 ちょっと話が前後しますが、蝋山先生の手紙は、やや辛口の手紙ですので、お読みいただいて。ただし、これはやや私信に近い形ですので、委員限りということにさせていただきます。
話は元来の話題に戻りますが、今後の金融審議会の運営について、平たく申しますと、先ほど来御説明がありましたように、一つは、金融システムを巡る取引あるいはサービスのあり方を、全体としてどういう枠といいますか、考え方でやるかという基本的な、世の中で言われている金融サービス法的なものをどういうふうにセットしていくかという話が一つあるだろうと思います。
それから、もう一つは、そこにありますように、従来議論されてきたことで、まだ積み残しの部分がかなりあって、例えばの話、一例としては、先ほど来保険審議会で、保険会社は大部分依然として相互会社になっていて、それを株式会社に変えていくというのは重要な意味があるんですが、そういう問題もあります。
それから、さらにほかには、前に確か神田委員なんかが、電子マネーの話をどういう形でこの中に組み込んでいくか。電子マネー・電子決済というのはやや専門家的な話題でもありますが、そういう話もございますし、それから、先ほど来消費者保護ないしそれと関係して、逆に個人信用情報、その辺の問題もいろいろ問題があり得るわけで、多分その点は、先ほどの室長のお話で、他省庁の所管の審議会、私、余り細かい点はあれですが、例えば企画庁の国民生活審議会というのは、かなり消費者保護法、そういうふうなことについて関心があり、多分ある程度実際的に立法措置とかがあり得るのかもしれませんが、しかし、そことの関係で、やはり金融サービスを巡るそういう問題は当然あるわけですから、そこのところは、この審議会で議論することの話題と重なり合う部分もあるということではないかと思います。そういう話が多分幾つかあり得るということではないかと思います。
全体としては、組織的には、表にありますように部分を設けて、この部会の名前は、私は、安心で活力ある金融システム構築とありますが、基本的には、先ほど来大蔵省の方が説明に来られたときに、部会の名称は、それぞれの部会が、単純に言えば、よさそうな名前をつけていただいた方がいい。そういう非常に細かい点は別ですが、しかし、それぞれの部会でもやや専門的あるいは技術的といいますか、あるいは細かい話があった場合には、やはり実質的にはワーキンググループを設けて入る。
それから、細かい点はあれですが、ここの金融審議会の委員の方は、少なくとも第一部会か第二部会に所属していただくと。他の部会にも出席されることは一向差し支えありませんので、御関心のある向きは、そういう形で一応運営させていただくのがよろしいんじゃないかというふうに思っております。
一応今申し上げましたような話題を中心に今後の審議会。ですから、本当を言いますと、2001年というのは、そんなに時間はないのでありまして、ある部分、法律的な枠組みというのは、その前に実質的に、基本方針は、ある段階でかなりはっきりさせておく必要があると思いますので、それほど時間の余裕はないんじゃないかという気がいたします。
今考えつきました私の個人的な感想でございますが、どうぞ御自由に、今の金融審議会の運営案につきまして御質問あるいはもう少しこういう話題もあるんじゃないかというふうなことで提言。
吉野委員。
○吉野委員 全体のところで、ぜひ議論させていただければと思うのは、農協とか、どこまでの金融機関の範囲を考えて、ここで議論するかというのが非常に重要だと思いまして。特に我々、私なんか研究しようと思いますと、農協のデータって非常に少ないんですね。金利すらよくわからないような状況でして、こういうので大丈夫かなと思ぐらいですので、やっぱり全体の金融を含めて、どこかできちんと審議できるということが、まず必要じゃないかと思います。
それから、先ほどのコモディティとか不動産とか、そういうものも証券化されてきますと、金融業でないところが金融になるわけですから、ぜひ、21世紀の金融取引という場合に、なるべく幅を考えていただいて、そこで議論をさせていただくことが必要じゃないかと思うのですが。
それから、2番目は、ここで議論することがやっぱり必要だと思うのは、日本の場合、預貯金の比率が非常に高くて、6割ぐらいでして、ドイツは昔そうだったんですが、最近投信とかいろいろな販売チャンネルで、大分低くなってきたわけですけれども、そういう預貯金の比率が余り高いことが全てリスクが金融機関に来るわけですから、そのセールスチャンネルとかそういうものも含めて、日本の場合、利便性が一番預貯金の選択に効いているわけですけれども、それは郵便局とか、農協とか、銀行の窓口でこれまでは預金しか売られていない。そのために消費者がいろいろな商品が買えないという、そういう制限があったわけですから、そういう預貯金が大きい、こういう日本の現状をどう考えるのかというのが2番目に必要ではないかと思います。
最後は、預金保険の議論も、2001年から 1,000万円にするのか。極端に言いますと、もっと縮めまして、それで消費者に情報を流して選んでもらった方がいいという議論もございますので、幾つかそういう議論もする必要があるんじゃないかと思います。その3点です。
○貝塚会長 ただいまの点、どうなんでしょうかね。要するに、役所的に言えば共管になる部分があるんですね。農協、農林省でして、ですから、委員がおっしゃるように金融として同じ側面を持っていて、そこをどういうふうにするかというのは、全体の金融システムでは非常に重要ではあるんですね。できる限りやはり、私の個人的な意見で、最小限やっぱり農林省の担当の方ないしは農林中金かな、いろいろ具体的に組織はあるんですが、その方にもいろいろ話を伺って、最小限その辺のところはある程度見通しをつけないと、吉野委員がおっしゃるようなことは重要じゃないかと思います。
今のところ、大蔵省では、レンジの問題ですけど、昔から、金融制度調査会はその問題が潜在的にはいつもあるわけですが、どういうことになるのかな。ですから、できる限り幅広にやって議論して、先ほどの消費者保護ないしは情報の話も、当然また別の省ですね。
原委員。
○原委員 消費者というものをかなり正面に出して議論をしていただけそうな雰囲気あるのは大変歓迎をしているんですが、消費者というものをどう捉えるのかというところなんですけれども、私どもの会で去年の秋というか、今年の1月ですけれども、全国
1,000人を対象にアンケート調査をしましたら、これからの金融機関の選択の仕方で、地の利が良いとか、そういうので今まで日本の金融機関というのは選ばれていたというお話だったんですが、それで選ぶという人は極端に少なくなっておりまして、やっぱり情報を得て、自分で判断をして、金融機関を選択をしたいという意見がかなりの勢いで大きく増えてきて、蝋山先生がおっしゃっているように、賢い投資家という言葉をお使いになっていらっしゃいますけれども、確かに情報を得て自分で選択をしたいというふうな層というのは確実に増えてきているのはあります。
ただ、一方で、各地の消費生活センターですとか、国民生活センターに寄せられる相談とか苦情なんですが、金融商品が非常な勢いで増えてきています。去年までは生命保険の解約みたいなものが多かったんですけれど、今年に入って、高齢者を中心にした投資信託の相談ですとか、被害というか、そういう形のものが増えてきていて、今のところ、国民生活センターの相談は、民事不介入ということでやっておりますので、一体どこまでをアドバイスをしたらいいのかというのも、大変現場としては悩んでいます。
私の自宅にも、10月20日なんですけれども、MMFのチラシがポストに投げ込まれていて、ここに確かに「元本保証はありません」と、小さくあるんですが、赤でわざわざ「どんどん殖える」と書いて、こういうのが入ってきているんですよね。やっぱり先ほど言いましたように、自分で情報を得て動きたいと思っている消費者が、特に、少し退職金なんかも得られた高齢に入りかかった方々がこういう形で、何というんでしょう、余りわからないままで手を出しちゃう。1年後がどうかというようなこともあるんじゃないかと思うんですが、消費者というものを、今ここで出ているのが、金融サービス法と、それと消費者保護という二つ立てて考えようということなんですが、私もそれがいいんだろうと思うんですね。ただ、そのときの、例えば金融サービス法の中で何をやるかというと、それは決して単なる消費者保護ではなくて、消費者と金融機関とが対等な関係で、情報ももちろん提供するし、それからディスクロージャー、開示もするし、そこで何か問題が起こった場合の係争の解決をどんなふうにするのか、紛争の解決をどういうふうにするのかという契約関係を基礎に置いたようなものでいいと思うんですね。
ただ、一方で、ここの大蔵省の前でも、毎日のように変額保険の被害者の方が立っていらっしゃいますけれども、やはり被害というものはあるんだろうと思うんですよね。そこの場合の消費者保護というのはどういうふうに考えていくのかというのと、ちょっと丁寧に切り分けて議論を積み重ねていただきたいというような感じがしております。だから、消費者という言葉だけで一括りにできない。一括りのシステムで考えるということができなくて、うまくいろんな方策があって、それが有機的に結びつくと良い形になっているというようなものを、ぜひ目指していただきたいなというふうに思っております。
○貝塚会長 ただいまの点は、例えばイギリスのビッグバンのときでもいろいろ議論がありまして、イギリスのビッグバン、一番最初は法律家の人が作った案なんですね。そうすると、ものすごく細かいことがいっぱい書いてありまして、そのとき問題になったことは、平たく言えば大口の取引に関しては、単純に言えば自己責任で、大口の金融資産を持っている人は、それなりに今おっしゃったようなある種の対等の関係にあった。しかし、それだけではうまくいかないので、小口といいますか、普通の投資家、家計を中心とする、その人に対して金融サービスをどういうふうに提供して、これは後でまた御議論をしなくてはいけないんですが、情報に関して、わかりやすく言えば、金融機関の側と個別の消費者の間で情報量が同じというのは普通は常識では考えにくいですね。
ですから、そういうときに、どういうふうにそこを仕組んでいくかというのは、小口の取引と大口では、もともと違っている面がありまして、消費者というのは恐らく常識的な意味では、金融の方で言えば小口、リテールといいますか、そっちの方の話がかなり多いと思います。ですから、そこのあたりもうまく。もともと金融サービス法的なもので、そこは基本的にどう考えるかという話がもともとあり得るわけで、そこはこういう原則でやりますという形になって、それで実際の細かい議論に入ると。その大枠のところは第一部会で、かなり原則論的な議論をしなくてはいかぬということは多分間違いないです。そこを余りごちゃまぜにしちゃうと、今おっしゃったように話が錯綜して、ごちゃごちゃになって困るという感じが。これは私の個人的な感想です。
何かほかにどうぞ。
井上委員。
○井上委員 今後の審議の進め方なんです。私、今、蝋山委員の話、このペーパーを見まして、前半の辛口と言われた部分は、どうしても自然な、決して辛口ではない、自然な受け止め方だろうというふうに思います。それから、後半の金融サービス法を中心にして、特に新しい金融の流れに関する懇談会の議論というのは、あのときの見方というのは、やはり日本の、今、原委員も言われましたけれども、消費者の視野から見た金融のあり方をかなり広く考えたという意味で、確かに討議の重要な出発点になるのではないかなというふうに感じております。
加えて、2001年の金融システムの改革ということなんですが、これまでの間にいろんなことを考えなければいけないんですが、同時に、わずかこの2カ月を考えても大変大きな変化がありました。この2カ月の金融システム構築の議論を整理しただけでも大変たくさんの含意があり、随分広い視野から議論していただいたあの流れ懇の中でも、やっぱり捉え切れない問題もあったと思います。
同時に、昨今のフィナンシャル・タイムズとか読んでいると、国際的な舞台でも、金融のあり方、もちろん日本の場合、本当の金融システム改革をある程度当たり前にやった後の話という面もないではないんですけれども、やはりセンイやBISのあり方や、金融に関わるいろんなリスク、ヘッジファンドの新しいレギュレーションの問題であるとか、こういうのは国内のあり方とも連動するのかと思います。2001年一応終わってから議論すればいいという問題もあるでしょうし、その前に並行して議論しておくべきこともあるんではないかなと。
私どものところへ、よくOECDで今議論しているMAI、多国間投資協定に関わる議論を、あんた方、どう考えますと言われて大変困ることもあるんですが、恐らくこういう事情ですと、去年OECDで議論していたような形では進まないで、論議が一たんストップすると思うんですね。かなり国際的な舞台でもこういう金融システムのあり方をもう一回問い直すという流れが新たにこの半年生じていると思うので、その辺をどの辺で議論するのか。とにかくなかなか進め方が難しいんですが、それぞれに部会に分けるとしても、そういう視野も必要かなという感じを持っております。
○貝塚会長 それは、ある意味でおっしゃるとおりでして、例えば、これも全く個人的に、IMFというのは一体どうすべきかというのが、今大問題になっています。だから、国際金融の場で、今までのやり方でうまくいくのかいかないのか、これ大議論です。ただし、その問題は恐らく日本の国内の、今やそこがある程度つながっているという部分があって、そういう意味では、広い視野でということで、国際金融的なところで、今起きているいろんな問題があり得るわけですが、その辺は最小限バックグラウンドにおいて、今後設計というんですか、考えなくてはいかぬというのは、それはそのとおりじゃないかと思います。
ほかにどうぞ。
高橋委員。
○高橋委員 金融システム改革の成功も、景気の回復も、やはり消費者の行動というのが非常に大きなかぎを握っていると思うんですが、この部会で論議するに当たっては、1の中に含まれるというのはわかるんですが、できれば、蝋山先生の御意見にもありますように金融サービス法を急がないと、消費者被害が起きてからですと、非常に高いコストにもつくのではないかと思われる旨がございます。ですから、先ほどからいろんなお話が出ていますが、広告ルールとか開示のルールとか勧誘のルールとか、それだけでもかなり大きな問題がありますし、そのほかに監視システムの問題、それから、当然すぐに起きてくるであろう紛争の解決に関する規定ですね、かなり問題が山積みなので、部会を三つにするのか、1の部会をかなり消費者保護ということに絞ってやっていただくのか、そういう検討が必要ではないかと思います。
以上でございます。
○貝塚会長 今のところは多分第一部会で、形の上では、一度会合を開いて、しかし、ワーキンググループで早くやるべき分野については早くスタートして議論を進めていくということではないかと思うんですね、実際問題として。
ほかにどうぞ御自由に、御希望あるいは御意見がありましたら。
例えば大塚委員は会計の方もあれですね。その辺のところの連動関係はどういう感じになっているんですかね、企業会計では。
○大塚委員 先ほど内藤参事官からお話がありましたように、企業会計審議会も、まだ若干幾つか積み残した会計基準の整備の問題がありまして、それを今審議しておりまして、今ここと一番関係あると思われるのは金融商品の会計基準なんですけれども、これはまだ決まっておりませんで、今、最終的な基準作りに向けて一応公開素案を出しまして、それで意見を求めて再度審議を開始したというところで、遅くとも来年の早々には一応基準案を作りたいという、そういう目標で今進めているというところであります。
私、個人的には、いろいろと今回、また金融上の問題というものについて、いわゆるインフラの一つとしての会計基準というものが、必ずしも透明性という観点で問題が全くないというわけではなかったという点は踏まえて、今回の金融商品の会計基準については、なるべく透明性を高めるという、そういう観点で今進めているということでございます。
そんなわけで、会計と金融というのは、ある意味で、特に金融機関の会計というのが、実は、我々個人的には余り金融機関の会計というのは、普通はいわゆる一般事業会社の会計をやっておりまして、私たちでも必ずしもよくわかるというところが、正直言いまして、そんなところで、私自身も今一生懸命勉強しているところなんですけれども、先ほどの、今回の方針にもありましたように、一般的には金融機関の中でも、銀行についてはかなり開示を積極的に進めていくという、そういう方向になってきていると思うんですけれども、問題は、先ほどちょっとお話がありました他の金融機関、生保とか、それからまた、先ほどの農協系とかですね。特に農協系のような場合には、かなり情報量が少ないだろうと。まさに情報の非対称性の最たるものじゃないかというような、そんな感じがするわけですね。
ですから、やはり全般的には、この中でいかにして透明性を高めるためのディスクロージャーをやるかというのも、どこかに入れてもらってもいいんじゃないかと思うんですね。その場合に、ディスクロージャーのやり方という、ミディアといいましょうか、そういったものも、新しい例えばインターネットを使うとか、いろんなミディアを今後は入れたような、そういった視点を入れてお願いしたいなという、そんなことは個人的には思っていたんですけれども。別に発言するつもりはなかったんですけれども、御指名ですので。
○貝塚会長 どうぞ、今まで御発言がなかった方、御自由に、御感想でもよろしいんですが、片田委員、神田委員あるいは倉沢委員。
倉沢委員。
○倉沢委員 やはり金融システム改革が、橋本総理のときのビッグバンの指令から始まってきて、それとともに、情勢はもちろん変わってはおりますけれども、いろいろ提言もあり、あるいは積み残された問題というようなものがあって、そういうものとの継続性みたいなものを、蝋山先生の討論にもちょっと出てきますけれども、考えていく必要があると思うんですね。
それで、2の「安心で活力ある金融システムの構築」で、現在を出発点にと書いてございますけれども、幸い付けていただきました2枚後のところを見ると、例えば電子マネーの問題なんていうのは、情報技術の方はもう既に先行していて、それに対して、財産権保護とか、あるいは取引の安全の制度がないという、そういう跛行的なというか、こんな言葉を使っちゃいけないのかもしれませんが、既成の技術的にあるものについて、例えば財産権保護の法制度がないという問題とか、それからまた、あるいは保険審議会の相互会社から株式会社への組織変更というものも、半世紀ぶりで、これが制度として認められたといっても、あの保険契約者というのは、実は会社の全員が社員で、毎日毎日、生保レディによって、次々と社員が増えているなんていうようなときに、株式会社化するのは難しいということはわかるんですけれども、一方で、もう一つの制度である持株会社の解禁とか、あるいは自社株の買い取りによる消却とか、その他株式あるいは資本というものを使った企業のリストラ、あるいはリオーガナイゼーションみたいなものの方はもうできている。それに、保険大国と言われる日本の保険会社の、殊に生命保険会社の大部分が全然のっかれないという、これもまた一つの食い違いのある状態なわけで、現在を出発点にというのか、過去を出発点にというのかわかりませんけれども、何か緊急性のある問題というものが、プライオリティなしにずらりと並んでいるような感じがしないでもございません。そういった点をちょっと考えます。
○貝塚会長 ほかにどうぞ。もし、片田委員あるいは神田委員、何か御感想でもあれば。
○片田委員 私ども経済界の現場から見まして、金融ビッグバンの問題、いろんな提言があって、レールが敷かれたわけですけれども、実際、そのレールの上を電車が走り始めているのかということには若干疑問がある。
例えば、極めて具体的なことを申し上げますと、今、今度の金融システムの問題もそうでしょうけれども、いわゆる間接金融依存過多のために様々な問題が起こっているとも言えるんで、それで直接金融、例えば社債の流通市場の問題だとかCPの問題、あるいは様々な配慮がなされて店頭公開市場が上場しやすくなったんですけれども、やっぱり流通しないために効力を発揮してないというふうな問題がございまして、ビッグバンのときの様々な御提案というのは大変中身が濃くて前向きなんですが、それをやっぱり少しフォローしてみるというふうな観点も必要なんじゃないかと。いろいろございますけれども、時間がないから一つだけ申し上げます。
○貝塚会長 どうぞ。
○原委員 たびたびになって申し訳ありません。蝋山先生が書かれていらっしゃるところの1枚目の一番最後のところで、私もこのことは思っていて、こういった場で質問をするのもあれなんですけれども、確かに法案の審議というのは国会の方にかなり場面が移ってきて、この2カ月というのも、そうだったというふうに思うんですけれども、今、私、全然別で消費者契約法の方の議論もやっているんですが、そちらの方も、行政の方でいろいろと検討はしているんですけれども、できれば、議員立法というんでしょうか、国会の方でというような動きがあって、例えばここで金融サービス法というようなものを検討を早急に始めると、必ず国会の方でも動きが出てくるのかな、議会でも、政党でも動きが出てくるのかなというふうに思うんですが、ここは行政の審議会ですから、ここでのいろんな意見というのは私も申し上げますけれども、できれば、本当は良い形で連携をとれて、良い法律が出来上がるのが一番良いというふうに思っているんですね。
だから、今も2001年はすぐ来ますとおっしゃって、本当に2年ですよね。実質2年ということだと思うんですけれども、その間に、例えば金融サービス法については半年と期限を区切ってやってみて、精力的に政党とか国会とも話をすり合わせて形にしていくとか、何かもうちょっと具体的なスケジュールというんでしょうか、そういうものが出ないんでしょうか。やり方とかスケジュールというのは。
○貝塚会長 その問題は、ある意味で蝋山さんが問題提起されて、これは恐らく日本の今までの霞が関−−私の個人的な意見ですが、霞が関のいわゆる中央官庁対国会ですね、政治家。その関係は今、恐らく政治関係がかなり流動化していますね。ですから、その辺のところで、実際問題として、やや変化しつつあることは間違いないです。変化しつつあるときに、どういう形で行政府に属している審議会が提案を出して、話はちょっと脱線ですが、私は年金審議会というところに入っていまして、厚生省が作った原案というのを、今さらってみると、えらく違っちゃっている。単純に言えばえらく違っちゃったんですね。そこは、だから、原案というか、選択肢はですね。
そういう問題が一番今端的にあるわけですけど、金融の場合は、できれば、それなりにある種の中立的な議論。金融というのは、年金よりもずっと難しいといえば難しい部分があるんです。年金というのは、幾らもらって使うという話ですから。だけど、その話とは、かなり技術的な面もあって、そこのところである種の、やや中立的にきちっと議論を詰めることは非常に重要で、あとは、できる限り、それはそれとして、皆さんが大体いいんじゃないかと言われたときには、やはりあとは行政府として、そうであれば、大蔵省がそこを受けて、きちっとそこのところは。そこで話が非常にこんがらがって、矛盾が起きるというケースも実際問題としてやや起きつつあって、今回の件も多少は、金融システムはそういうところがあるんです。
そこで、そういうことが起きたときに、それが実際問題として、何か実際の金融の場面で変なことになっちゃったときに非常に困るわけですよね。ですから、金融安定化のところは、ある意味で一番難しいところですけれども、将来像についても、できればそういう形で、今おっしゃった点について、結果的に変なことが起きちゃうと、せっかく議論していただいて、非常に残念なことになる。そうならないように、これは必ずしもそれほど簡単ではないんですが、いろいろ考えてみなくちゃいかぬということは、そのとおりです。それで、意見の所在、分布をはっきりさせておく必要があると書いてありますが、ただ、所在と分布がはっきりするかどうかも、まだやや不確定とか、いろんな政治の問題、野党と自民党が要するに参議院と衆議院と違いますよね。そういう情勢で、しかも、どうなんでしょうかね。確かにその問題が重要であるのはそうなんですが、ですから、おっしゃるとおり、その辺のところは相当よく考えてこれから議論をしなくちゃいかぬということは間違いありません。
ほかに何か。
どうぞ。
○田島委員
今の問題との関連で申しますと、昨今、審議会を廃止した方がいいというような、そういう国会筋からのお話もあったりしまして、そもそもこういう行政の分野での審議会というのは、不要論が出てきていることもちょっと気になるところであるんですけれども、2001年に向けてここで一生懸命みんなで議論したことが、形に残らないようなことにならないように、やっぱりそれは議論は活かしていただくようにしていただきたいなという希望が最小限ございます。
○貝塚会長 ほかにも御感想いろいろあるかもしれませんが、とりあえず、できたら、優先順位といいますか、早くやるべきこと等いろいろあると思いますが、本日の御審議を踏まえて、二つの部会を設けて、私の方で事務局と相談の上、部会の委員、どこに所属していただくかということの具体的な事務を始めさせていただきたいと思いますので、細かい点は私に一任していただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。部会の構成その他、先ほど来御議論のありました点を十分考えて、早く着手すべき点は早くやっていくということではないかと思います。
時間が既にたちましたので、以上をもちまして、本日の総会を終了させていただきます。
次回の日程につきましては、また後日事務的と相談いたしまして、御連絡いたしたいと思います。
どうも本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
(以 上)