金融審議会第3回総会議事録
日時:平成11年3月19日(金)10時00分〜11時55分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○貝塚会長 ただいまから、金融審議会第3回総会を開催いたします。
皆様、本日は御多用のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。
こちらの座席は非常に空席が多かったのですが、本日は、国会でノンバンク社債法等の金融関連の法案が審議されておりまして、局長以下、大部分の方が出ておられますので、その点はお断りしておいた方がいいと思います。
次に、昨年10月、前回の総会以降の委員の異動でございますが、本会のメンバーであられる片田哲也委員が金融再生委員会委員に就任されまして、金融審議会委員を退任されましたので、御報告申し上げます。
本日のテーマは、特別保険料の料率の改定、部会等の審議状況の報告、及び規制緩和推進計画改定事項に関する御紹介の三つということになります。
それでは、早速、お手元にお配りしてあります議事次第に従って進めさせていただきます。
最初の議題であります特別保険料の料率の改定につきましては、第二部会及びその下に設けられました預金保険制度に関するワーキング・グループにおいて議論が行われておりますので、その概要につきまして、倉澤第二部会長、神田委員から御紹介がございます。
それでは、倉澤委員、お願いします。
○倉澤第二部会長 第二部会長の倉澤でございます。
第二部会は、設置要領の目的で「金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項」のうち、主として、「21世紀の安心で活力ある金融システムの構築に向けた環境整備に関するものについて幅広く検討を行い」云々というテーマをいただいておりますが、そうした足元の問題解決の積み上げ作業の一環として、本年度末に向け預金保険に係る特別保険料率の検討作業を進めてまいりました。検討のための基礎作業は、神田委員を主査とします預金保険制度に関するワーキング・グループにお願いしておりましたが、去る3月8日の第二部会において、ワーキング・グループでの議論も酌み上げるという形で部会としての検討を行い、大筋の考えを形成するに至りました。
本日御報告申し上げます内容は、そうした検討の中から得られた第二部会としての方向感とでも言うべきものです。本日の報告としては、まず初めに、事務局の方から、特別保険料率の検討に関する資料の説明を行い、引き続いて、「特別保険料の料率についての考え方(報告書案)」を読み上げさせていただきます。この報告書案は、第二部会までの議論の概要を私と神田委員から貝塚会長に事前に御説明申し上げ、それを踏まえ、貝塚会長の指示で事務局に作成いただいたものです。
その読み上げの後、神田委員の方から、特別保険料の料率についての考え方について補足説明がございます。
それでは、事務局の方からお願いいたします。
○貝塚会長 どうぞ。
○木下信用機構室長 信用機構室長の木下でございます。
それでは、お手元の「特別保険料率に関する資料」に基づきまして、簡単に資料説明をさせていただきます。
1ページ目でございますが、特別保険料につきましては、ここに掲げておりますように、預金保険法附則第19条によりまして、平成8年度から12年度までの間5年間、その機構の特例業務の実施に要する費用に充てるため徴収ができることになっております。これは平成8年改正、いわゆる金融3法と申しておりますが、それ以前はペイオフコストを超える資金援助ができないという状況の下で、破綻処理に当たりましてペイオフコストを超える部分を、いわゆる外部支援、例えば関係金融機関による債権放棄でございますとか、いろいろな外部支援によってバランスシートをスクエアにしまして、事実上全額預金保護を図っていた。それに対しまして、いわゆる金融機関のロスの額がペイオフコストを上回る事例が多くなってきたこと、あるいはその外部支援の奉加帳という批判を浴びたこと等を踏まえまして、この金融3法におきまして、特別保険料という形で5年間取ることにしているものでございます。そして、これは法定預金全額保護のためのいわばペイオフコストを超える資金援助が可能な特例期間の年限と対応をしておるわけでございます。
第19条3項にございますように、この特別保険料率は、二つの観点を勘案して決める。一つは、特例業務に要する費用の予想額、もう一つは、金融機関の財務の状況でございます。それを勘案し政令で定める。そして、この場合においては、「特定の金融機関に対し差別的なものであってはならない。」と、こういう規定になってございます。
下の方にまいりまして、それを受けまして、預金保険法施行令第3条の2項で、現在
0.036%となっておりますが、一方、政令の附則第2条におきまして、一番左でございますが、特別保険料の残る2年間の料率ということになりますが、遅くとも平成10年度末までに、この3月31日までにということでございますが、「特例業務の実施の状況を踏まえて検討を行うものとする。」とされておりまして、こういう観点から、会長や部会長の御説明にありましたように、預金保険制度におけるワーキング・グループ、あるいは第二部会でも御検討いただいたと、こういうことでございます。
3ページを御覧いただきますと、預金保険料の料率の推移がございまして、預金保険制度は、昭和46年発足当時は、付保対象預金の総額に対しまして
0.006%の保険料でございますが、ここにございますように順次増加しておりまして、平成8年度、ただいま私が申し上げました金融3法施行時からは、一般保険料の料率が
0.048%、それから、特別保険料が 0.036%、合わせまして 0.084%ということになりまして、それ以前の
0.012%に比べて7倍の水準に上げられて現在に至っているわけでございます。
4ページは、これまでの預金保険法改正を中心といたしました破綻処理制度の推移を掲げたものでございます。いろいろな改正がありまして、どうもわかりにくいといういろいろな御指摘ございましたので、ここにまとめてございます。この中から、預金保険の特に財務に関するところだけピックアップして申し上げますと、今申し上げました真ん中、○の四つ目「平成8年改正による措置」、これは2000年度末までの時限措置ということで、ただいま御説明いたしましたように、「預金の全額保護のため、受皿金融機関に対してペイオフコストを超える資金援助を可能とする。(その財源として特別保険料を徴収)」ということの法律改正を行っております。
それから、次の・のところでございますが、「信用組合に破綻が相次いで発生している状況に鑑み、」、1行飛ばしまして?でございますが、「破綻信用組合処理のための資金として、預金保険機構が行う借入に対し、政府保証の付与を可能とする。」公的資金がいわばここで入っているわけですが、二つ限定がありまして、一つは、信用組合だけが対象。それから、公的資金と申しますか、その公的な関与の形態も政府保証ということでございました。
それが4ページ目の一番下の○、平成10年改正、昨年の2月の改正でございますが、信用組合のみならず銀行の破綻が相次いで発生している状況に鑑みまして、5ページに移っていただきまして、上から2行目?でございますが、破綻金融機関処理のための資金として、預金保険機構に対し7兆円の国債交付、
預金保険機構が行う借入に対し、10兆円の政府保証の付与というように、その公的資金の関与のあり方が従前よりかなり前に出たという法改正がございました。
その後、次の二つ目の○の金融再生関連法の中では、?の特別公的管理制度、いわゆる現在、長銀、日債銀にこれを適用しております特別公的管理制度、これに対しても、特例資金援助と申しまして、その生ずるロスを埋める。これも今申し上げた7兆の交付国債の中から埋め得る。これは議員立法でございますが、そういう法律改正がなされております。
6ページでございます。なぜ 0.084という水準になったのかということについてでございます。平成7年12月22日の金融制度調査会の答申にそこが記してございますので、ここに掲げてございます。これが先ほど申し上げました平成8年改正の基礎となる考え方について、金融制度調査会答申でおまとめいただいたものでございまして、ここに線を引いてございますが、.のまず最初のパラグラフの3行目あたりでございますが、この4年間と同程度の破綻が生じた場合にも対処しうるよう、この間の破綻処理コスト合計額である
2.0〜 2.5兆円を今後5年間で引きなおしたという考え方。それから、後段のパラグラフでございますが、保険料負担の割合がアメリカのピーク時である8%とほぼ同程度という考え方がここに示されているわけでございます。
それから、7ページは、先ほど申し上げました公的資金との関係でございます。7ページの5.の?の.一番冒頭のところでございますが、金融機関の破綻処理は金融システム内の最大限の負担により行われることが原則だけれども、
.の後段の線を引いてあるところにございますように、「金融・決済システムは経済のインフラなので、納税者にも負担を求めることとせざるを得ない場合もある。
ただ、.で、当時としては、今申し上げましたように信組に限定をしておったということでございます。
8ページに移らせていただきます。現在の預金保険機構の財政状況でございます。5年間の財源見込みが2兆
7,000億円、これは8年度から12年度でございます。これは年間の保険料収入が、一般保険料が約
2,600億円、特別保険料が 2,000億円、合計4,600
億円でございますので、これを5倍いたしまして、(注1)にありますように、当時存在していた約
4,000億円のたまりを加えますと約 2.7兆円でございました。一般保険料、特別保険料それぞれ
1.7兆円、 1.0兆円という内訳でございます。
そして、本日現在のところ、40金融機関に対して実行済金銭贈与額の総額が4兆 2,000
億円ということでございまして、ここに見ていただきますように、一般勘定においては
3,000億円程度、特例業務勘定においては1兆 2,000億円程度、既にもう足りないという状況になってございます。一般勘定の
3,000億円につきましては、一般勘定の借入金で賄われております。一般勘定は未来永劫保険料を収納し続けることができますので、それで順次返済をしていくと、こういう考え方でございます。特例業務勘定につきましては約1兆
2,000億円の差額分、これは(注3)でございますが、交付国債が7兆円交付されている中から、現在約1兆
2,000億円が交付され、それで賄われている。こういう構造になっております。
それから、(注2)でございますが、今後、12金融機関(1銀行、11信用組合)及び特別公的管理銀行の処理が予定されております。したがって、さらに(B)の欄の数字は増えていくと、こういうことでございます。
したがいまして、こういう仕組みでございますので、現在の特別保険料を引き上げますと、7兆円の交付国債から償還される国民負担というか、税金というものの量が少なくなる。下げれば多くなる。そういう筋合いの関係になっているわけでございます。
9ページでございます。金融機関の現在の保険料負担の状況の日米比較でございますが、右の欄、アメリカを見ていただきますと、91年、先ほど申し上げましたように8.32とピークでございますが、現在は順次低下して、97年度は0.02%まで低下をしております。
それに対しまして日本は、現在6.46%、こういうことになっております。6.46ということだけ見ますと、アメリカのピーク時には達してないというふうに見て取れますが、次の10ページをおめくりいただきまして、この6.46というものを各業態ごとにばらしますと、地方銀行以下に記載された業態においては既に8%を超えておりまして、個別金融機関ごとに見ますと、さらにこの分布がばらついておるということが推測されるわけでございます。
簡単でございますが、こういう状況でございます。
○谷内補佐 続きまして、「特別保険料の料率についての考え方(案)」につきまして、事務局から朗読させていただきます。
1.はじめに
? 金融機関の破綻処理については、現在、預金者に負担を求めるための条件が整っていないとの考え方の下、金融システムの安定を図る観点から、平成8年度から12年度までの時限的な特例措置として、ペイオフコストを超える資金援助等を行うことにより預金等の全額保護が図られているが、その財源に充てるために、一般保険料に付加する形で特別保険料が金融機関に課されている。
? 預金保険法附則第19条第3項において、特別保険料率は、「特例業務に要する費用の予想額及び金融機関の財務の状況を勘案して、政令で定めるものとする。」とされるとともに、一般保険料率と同様に「特定の金融機関に対し差別的なものであってはならない。」と規定されている。
? なお、特別保険料の料率については、預金保険法施行令附則第2条に「遅くとも平成10年度末までに、預金保険機構の預金保険法附則第19条第1項に規定する特例業務の実施の状況を踏まえて検討を行うものとする。」との検討規定が置かれている。
2.特別保険料導入時の考え方
? 平成7年12月22日の金融制度調査会答申は、「金融機関の破綻処理は金融システム内の最大限の負担により行われることが原則であり、ペイオフコストを超える資金援助を行うために設けられる特別基金の財源も、基本的には金融機関の最大限の負担(特別保険料)により賄われることとなる。」とし、新たに制度化する特別保険料の料率については、「預金保険が発動されるようになったこの4年間と同程度の破綻が生じた場合にも対処しうるよう」、「保険料率は一般保険料で現行料率の4倍程度、特別保険料で3倍程度、合計7倍程度の水準に引き上げることが必要であると考えられる。」とし、その水準について、「この引き上げにより金融機関の利益に対する保険料負担の割合(保険料負担/業務純益+一般貸倒引当金繰入額+保険料負担)は、米国の金融機関の保険料負担のピークである8%(91年)とほぼ同程度となり、現時点においてこの水準を超える負担を金融機関に求めることは、我が国金融機関の国際競争力への悪影響等をも勘案すると、極めて困難と考えられる。」としていた。
? 同答申は、「上記のように金融システム内の手立てを講じてもなお破綻処理費用が不足するような場合には、経済全般の安定を確保するためのコストとして、広く間接的な受益者として、納税者にも負担を求めることとせざるを得ないと考えられる。」としていたが、その場合でも、「公的資金の導入は信用組合特別勘定に限定することが適当である。」とし、業務終了時点において赤字が生じているときに、「政府が適切な財政措置を講ずることが適当である。」としていた。
? なお、特別保険料率の検討については、「納税者に安易に負担を求めるべきではないこと等を踏まえると、3年後に損益の状況、金融機関の財務状況等を勘案の上、特別保険料の適正な見直しを行うことが適当である。」としていた。
3.その後の状況の変化
? 平成10年2月の預金保険法改正では、北海道拓殖銀行をはじめとする銀行の破綻の表面化という状況の変化を踏まえ、預金保険機構の財政基盤の強化を図るために、7兆円の国債が特例業務勘定に交付され、破綻処理に伴って発生する損失等に対して国債の償還金が充てられることとするとともに、信用組合以外の金融機関の破綻処理に当たっても、公的資金の導入が図られた。また、特例業務勘定における資金調達が円滑に行われるために、10兆円の政府保証が付与された。
? 7兆円の交付国債が導入された背景には、金融・決済システムは経済のインフラストラクチュアであり、その安定性確保は金融機関、預金者のみならず、広く国民経済全般の安定の基礎となるものである、
金融機関の破綻の増加に伴い特例業務に要する費用の全てを特別保険料に求めることは困難であり、財政基盤の強化を図る必要がある、との考え方があったものと考えられる。従って、その導入は、金融機関の保険料負担を現状より軽減することまでを念頭に置いたものではなかったと考えられる。
(注)なお、平成10年10月に成立した金融再生法では、特別公的管理銀行に対して、この17兆円の枠組みを活用して特例資金援助ができることとされた。
4.特別保険料の料率についての検討
? 上記の経緯に鑑み、預金保険法及び同施行令に基づき、これまでの特例業務の実施の状況を踏まえつつ特例業務に要する費用の予想額及び金融機関の財務の状況を勘案し、特別保険料の料率について検討を行うと、以下のとおりである。
特例業務の実施の状況及び特例業務に要する費用の予想額
平成8年の預金保険法改正以降、40件の金融機関の破綻事例に対し総額で約4.2
兆円の金銭贈与がなされており(3月19日現在)、既に平成8年度から12年度までの5年間の財源見込額約
2.7兆円を超過している。また、特例業務勘定だけをみても、財源見込額約
1.0兆円に対して実行済金銭贈与額は約 2.2兆円と大幅な超過になっている。更に、既に破綻を表明している金融機関及び2つの特別公的管理銀行の処理が予定されていることを勘案すれば、実行済金銭贈与額と財源見込額とのギャップは、今後一層拡大することが見込まれる。
また、一般に、金融機関は、預金保険制度の存在によって便益を得ており、それに対応する負担を負うべきものと考えられるが、特に預金等の全額保護が図られている特例期間中においては、例えば、預金吸収コストの面においてより大きな便益を受けていることに留意する必要がある。
以上から、特別保険料の料率を引き下げ得るような状況にはないと考えられる。
金融機関の財務の状況
我が国の金融機関の保険料負担の割合(保険料負担/業務純益+一般貸倒引当金繰入額+保険料負担)は、預金保険制度の対象金融機関全体でみると、平成8年度5.72%、平成9年度6.46%となっているが、平成9年度の業態毎の保 険料負担の割合をみると、地方銀行8.21%、第2地方銀行9.03%、信用金庫 8.45%、信用組合8.62%、労働金庫9.03%となっており、多くの業態において既に8%を超えている。一方、米国の金融機関の保険料負担の割合をみると、95年3.24%、96年0.08%、97年0.02%とピーク時の8%から大幅に低下しており、日本の保険料負担の割合は、米国の現在の水準と比較しても相対的に高い水準となっている。
以上から、特別保険料の料率を引き上げることは、特に中小金融機関についてはその利益に比較して保険料負担が過大となり、金融システムに対する不安を助長しかねない可能性があること、また、国際的に活動する金融機関については、その国際競争力への悪影響が懸念されることから、困難な状況にあると考えられる。
(2)
以上のような状況を総合的に勘案すると、残る2年間の特別保険料の料率については、これを据え置くことが適当であると考えられる。
以上でございます。
○倉澤第二部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、神田委員、お願いいたします。
○神田委員 神田でございます。
今読み上げていただきました「特別保険料の料率についての考え方(案)」について、若干補足的なことをお話しさせていただきたいと思います。
私が進行役をさせていただきましたワーキング・グループにおきましては、金融界からこの特別保険料率のあり方についてのヒアリングを行いまして、それに基づきまして審議をいたしまして、その結果を第二部会に御報告をし、第二部会で御議論いただきまして、その結果が、今読み上げていただきました案ということになっております。
言うまでもないことですけれども、今回はいわゆる特別保険料率の見直しということでありまして、2001年3月までの俗に言う特例措置期間中の特別保険料が、やや繰り返しになりますけれども、資料の3−1の方で申しますと、1ページの政令の附則にあります「遅くとも平成十年度末までに検討を行うものとする。」ということに従って、その点についてのどうしたらいいかという考え方を御提示したものであります。
そこの考え方は、今読み上げていただきました案に尽きているわけですけれども、3点ほどポイントがあるのではないかと思いますので、やや重複するかとは思いますけれども、申し上げてみたいと思います。
第1点ですけれども、今申し上げましたこととも関係いたしますけれども、現在存在している預金保険法の体系を前提といたしまして、その枠内で、今申し上げました平成10年度末までの見直しということを行ったわけであります。これは言葉を換えて申しますと、ワーキング・グループにおきましては、預金保険制度一般のあり方についての議論も別途行っておりまして、これは制度改正の可能性、具体的に申しますと、預金保険法という法律の改正の可能性の是非ということも含めた議論でありますけれども、それとは別に、今回は特別保険料の見直しという点に絞って、現在の法体系を前提として議論をしているということであります。
したがいまして、資料3−1の1ページに掲げてありますように、預金保険法の附則第19条3項では、「特別保険料率は、特例業務に要する費用の予想額及び金融機関の財務の状況を勘案し、政令で定める」と、こうなっておりますので、ここについての議論をしたところが、今読み上げていただきました案で申しますと、2枚目の一番下から3ページ目になります。
また、その附則ですけれども、先ほども申しましたけれども、「遅くとも平成十年度末までに、預金保険機構の預金保険法附則第十九条第一項に規定する特例業務の実施の状況を踏まえて検討を行うものとする。」と書いてありますので、この点も併せて勘案して、この考え方はできております。これが第1点です。
それから、第2点でありますけれども、こういう制度が発足してから今日に至るまでの考え方の歴史的な経緯というものに沿って、その趣旨を十分尊重し、そんたくして今回の考え方はできております。すなわち、これはメモで申しますと2.と3.に当たりますけれども、平成7年の金融制度調査会の答申、そしてそれを基礎に、先ほど御紹介ありました平成8年に成立しました金融3法、それから、その後の状況の変化といたしまして、昨年の2月の預金保険法改正及びその後の経緯ということで、その流れに沿って考え方ができております。これが第2点です。
最後に、第3点ですけれども、以上のように、現在の法令の体系、そして、これまでの金融制度調査会以来の考え方等に基づいて今回の考え方はできておりますけれども、何か理論的なロジックとしてどう考えたらいいかということが、特にワーキング・グループでは経済学者の先生方から御指摘をいただきました。
そこで、今回は、簡単に申しますと、2001年3月までは預金は全額保護するという特例措置が行われるわけでありまして、そういう措置が行われるということは、それによって金融機関は資金調達面等で便益を受けていることになると考えられます。したがいまして、そういうロジックを書きましたのが、3枚目のの下の方「また、一般に、」というパラグラフがありますけれども、そこにあります。すなわち、そういう特例措置期間は、金融機関はそれによって便益を受けているわけだから、それに応じた負担を負うのが適切であるという考え方。これはごく簡単にそこには書いてありますけれども、それも併せてお手元の案の中に入れさせていただきました。
以上でございます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続いて、自由討論に移りたいと思います。
ただいま御報告がありました「特別保険料の料率に関する考え方(報告書案)」につきまして、御意見、御質問等がありましたら、御自由に御発言いただければと思います。どなたからでも。
○原委員 よろしいですか。
○貝塚会長 はい、どうぞ、原委員。
○原委員 質問なんですけれども、御説明をお聞きする限り、現行これでやむを得ないのかなという感じがするんですけれども、アメリカとの比較ですとか、それから、日本国内での比較のところで、資料3−1の10ページのところで、実際に地方銀行以下が全部8%の負担割合を超えているということで、御説明の中にも、中に各金融機関によって相当な開きがあるというお話だったんですけれども、最大どれぐらいの負担割合を担っているようなところがあるのかという、そのばらつきの大きさというんでしょうか、負担割合の上限と下限というんでしょうか、そういったところをちょっと教えていただきたいというふうに思います。
○貝塚会長 ただいまの点について、木下室長。
○木下信用機構室長 我々も別途いろいろ集計をするべく試みてみたんですが、一般貸倒引当金のところが、実は数百の金融機関全部に聞かないとわからないということがございまして、ただ、分母に業務純益と保険料負担を置いて分子に保険料負担を置いた数値でできる限り取ってみますと、それが50%を超えている金融機関もかなりある。
と申しますのは、例えば信用組合の中には業務純益自体がマイナスというようなところもございますので、そういう意味で、同じ数字で比較はできないんですけれども、そのベースで8%を超えているところが、全業態の数で考えても約半数程度は、これはちょっとベースが違うので正確な比較じゃないんですけど、半数以上は8%を超えていて、50%を超えているところも幾つかあると、そんな現状だというふうにお考えいただければと思います。
○貝塚会長 平たく申せば、金融機関の利益といいますか、それが非常に減っている。損失もかなりあり得るわけですから、保険料負担というのは、普通は利益に対してどの程度かというのが指標になるわけですが、それがすごく落ちるというか、非常に高くなるということが必要だと思います。
何かほかに御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
この考え方というのは、先ほど神田さんから御説明ありましたが、要するに基本的には、今までの考え方の下では、今の保険料のシステムの中で、前にあるような特別保険料という制度があって、それをとりあえず2001年までのところの金融の破綻に関して言えば、金融機関の破綻に対しては、それを適用せざるを得ないというのは基本的に考え方としてあって、ただし、あとは実際に保険料を上げるとか下げるとかという議論がありますが、その点に関して言えば、これも先ほど神田委員から御説明ありましたように、私もその席には時々出ていたんですが、金融機関の方は下げてほしいと、こういう要望でありますが、下げるわけにはいかない。しかし、上げるというのは、今言ったようなこともありますね。ですから、今言ったような提案になったということです。
○原委員 もう一点よろしいですか。
○貝塚会長 はい。
○原委員 私たち金融機関に預けているという立場もありますけど、納税者の立場からしても非常にこの辺は関心を持っているところなんですね。とりあえず平成8年から12年ということの5年間で、その延長上で今の状況を考えると、これでやむを得ないかなとは思うんですが、今作業された作業部会の中では、2001年以後のこともかなり話に出たような感じなんですけれども、2001年というのもすぐに来てしまいますので、実際には何か新たな制度設計を考えるのでしたら、議論を本当は始めないといけないんだと思うんですが、具体的にどういうお話が出ていたのか、もうちょっと聞かせておいていただけたらというふうに思います。
○貝塚会長 神田委員、どうぞ。
○神田委員 まさに御指摘のように、2001年というのはもうすぐ来るわけでありまして、2001年4月以降について、先ほど申しましたけれども、現在の制度の改正ですね。法律の改正の可能性の是非も含めた議論を既に始めています。より具体的には、付保対象預金の範囲。例えば金融債のようなものも対象範囲に含めるべきかどうか。これはペイオフの方の対象範囲ということですけれども、預金保険料の支払いの対象に含めるべきかどうかというような対象の範囲。それから、前から議論がございますけれども、いわゆる可変保険料率という、金融機関によって保険料の負担が多少違ってもいいのではないかというような議論。
それから、ちょっとこれは技術的になりますけれども、保険金の支払い、これをペイオフというふうに言っておりますけれども、保険金の支払いが本当にきちんと行えるのかという実務的な詰め、あるいは法制度上のさらに改善すべき点はないのかといったようなことの議論を既に始めておりまして、今後かなり集中的に議論をして、その結果をまた部会に御報告し、そしてまた総会に御報告をして、そこで御審議をいただくという段取りになると思います。
○貝塚会長 何かほかに御意見あるいは御質問ございませんでしょうか。
また私の個人的な意見ですが、要するに2001年以降というのは、一応
1,000万円までは保証するけれども、それ以上はどうなるかという問題があって、それに対して預金保険機構で対応するという、一応の考え方はそうなんですが、大分状況が変わって、これから先は本当に個人的な意見ですが、アメリカでもそうだったんですが、ある時期、預金保険機構自身が経営破綻したというのかな、破綻しちゃったわけですね。お金がなくなっちゃった。実質的には、今日は日銀の方は来ておられませんが、結局、日本銀行がとりあえず資金を供与しているという状況ですね。直接的にはもちろん預金保険ですが、預金保険機構に日本銀行が相当お金を貸しているということですね。
ですから、大変状況は深刻であると同時に、逆に言えば、深刻であるがゆえに、多分相当基本的あるいは抜本的にいろいろ物事を考えて、長期的に対応できるシステムを作っていかなくちゃいかぬというのは、非常に課題としては難しい課題ですけれども、そういう状況に立ち至っているということではないかと思います。これは全く私の個人的な意見です。
何かほかにありませんでしょうか。
今の特別保険料の料率についての考え方の案というのを御提示いただきまして、文言その他でよろしゅうございますか。基本的な考え方で御異論はないと思いますし、これは非常に私自身はきっちり書かれていると思います。経済学者が書くとこういうふうに書けないんですが、経済学者の意見も斟酌していただいておると思いますが、よろしゅうございますか。審議会として、この案を了承するということで異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○貝塚会長 それでは、そういうふうにさせていただきたいと思います。
これは、本日この会議の終了後に、金融審議会の報告書として公表させていただきます。あと記者会見がございますので、私の方から概略を説明するということにさせていただきたいと思います。
以上で第1の議題は終わりまして、それから、今、金融審議会は幾つかのワーキング・グループを含めて大変精力的に議論をしておりまして、その状況を、これまでの部会等の設置及び審議状況について、事務局から概略の御説明をお願いします。
では、よろしくお願いします。まず、第一部会の方です。
○津曲調査室長
資料「総会3−2」でございます。部会のテーマとこれまでの審議状況についての資料でございます。
金融審議会の部会の構成等につきましては、既に御了承いただいておりまして、これがこの資料の4ページに付けてございます。ここに部会、それから審議会等についてのことが大体書いてあるわけでございますが、まず、第一部会でございます。
第一部会は、蝋山部会長、それから、神田部会長代理ということで進めていただいておりますが、その名簿は19ページに付けてございます。
この第一部会のテーマは、21世紀の金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきかということで、全体像としてのアプローチをしていただいております。この第一部会は、「新しい金融の流れに関する懇談会」の「論点整理」を足がかりにしまして、今後の21世紀の金融サービスの枠組みのあり方についての御議論をいただいているところでございますが、この第一部会は昨年の12月に発足いたしまして、これまで4回の開催状況でございます。この流れ懇の「論点整理」に基づく自由討議、それから、有識者のヒアリングということで、第3回でヒアリングがなされました。そしてまた、第4回では、日弁連の方からこの「論点整理」に対する意見書、出されました意見書についての意見表明ということなどをしていただいております。
この第一部会の下に、さらにより掘り下げて論点を検討しようということでワーキング・グループが二つ設けられておりまして、その一つが、「集団投資スキームに関するワーキング・グループ」、こちらの方は神田委員に進行役をお願いしてございます。これが、これまで2月から3月にかけまして3回。それから、他方、「ホールセール・リーテイルに関するワーキング・グループ」、こちらは進行役を山田誠一先生にお願いしておりますが、こちらの方も3回ということで議論していただいております。
なお、この両方のワーキング・グループの第3回目ということでございますが、これが先日行われましたけれども、受託者責任についての議論ということで、両方に関係するということで合同のワーキング・グループを開いて御議論いただいたところでございます。こちらが第一部会のこれまでの御審議の状況ということでございます。
○貝塚会長 第一部会の方の蝋山部会長は、今日はおいでになっておりませんので、神田委員、代理でどうぞよろしくお願いします。
○神田委員 部会長の蝋山先生は今日は御欠席のようでして、蝋山先生の代理はとても務まりませんけれども、1〜2分コメントさせていただきます。
今、津曲さんから御説明いただきましたように、1ページ目に書いてあるとおりに進行してきております。ワーキング・グループが発足してからは、ワーキング・グループの会合も含めますと、かなり忙し目の感じになってきておりますけれども、そこに書かれておりますように、基本的には21世紀を睨んで、金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきかということで、これも先ほど御紹介ありました「新しい金融の流れに関する懇談会」というものの「論点整理」が昨年の6月に公表されておりますので、その成果を存分に活かして、より具体的な議論、それから、21世紀の金融業、そのインフラのあり方といったものを議論しているわけです。
これまで実に多様な御意見が出て、第一部会としては非常に活発な御議論がなされてきていると思います。本日御出席の委員の皆様にも、第一部会と第二部会とに分かれて入っていただいておりますので、第一部会に御参加しておられる方々もおられるわけですけれども、ただ、一言ちょっと個人的な感想になってしまうかもしれませんけれども、「21世紀の日本の金融分野のあり方はこうだ」というのをぱっと言うところまで、まだ詰め切れてないというようなことではないかと思います。
ただ、ワーキング・グループを設けました集団投資スキームのあり方ということと、ホールセール・リーテイルについての整理という、この二つがかなり重要な柱になるという点については、共通の認識は出来上がっていると思います。したがいまして、今後、ワーキング・グループの検討状況等の報告も受けて、第一部会では、「21世紀はこうだ」というビジョンを、できればメンバーの共通の考え方として示すということができれば大変よろしいのではないかと思っております。
以上です。
○貝塚会長 ここに確か議事要旨は出ていますね。第一部会の議事要旨が4回まで出ておりますが、どういうことが議論されているかということについては出ております。
それから、次は、引き続き第二部会の方の概要をお願いしたいと思います。
津曲室長、お願いします。
○津曲調査室長
では、第二部会のこれまでの審議状況でございます。
なお、今、会長の方からお話がございましたが5ページ以下に、部会の議事要旨というのが付けてございます。これもまた後で御覧いただければと思います。
第二部会の方でございますが、こちらの方は、倉澤先生と江頭先生にそれぞれ部会長と部会長代理をお願いしてございます。このメンバーは、資料の20ページの方に第二部会の委員のメンバー表がございます。
この第二部会は、テーマといたしましては、「安心で活力ある金融システムの構築」というところでございまして、現在を出発点にして、21世紀の金融システムに向けての問題解決の積み上げと環境整備を目的とするというところでございます。
第二部会の開催状況でございますが、これまで4回開かれてございまして、昨年の12月に第1回、そして、今年の3月に第4回ということでございます。これまでは、第1回におきまして、今後の部会の運営などをどうするかということをいろいろ御議論いただいたわけでございますが、そこで保険相互会社の株式会社化のワーキング・グループ、それから、個人信用情報保護及びその利用に関するワーキング・グループというものの設置などをしていただいておりまして、それぞれまた議論が続いてきているということでございます。
それから、第2回では、金融を取り巻く最近の状況ということ。例えば日本債券信用銀行に対する特別公的管理はこうでございましたというような説明、それから、金融システム改革下の銀行業・銀行規制についてのヒアリングなどについての御審議が行われております。
それから、第3回では、例えば金融の改革・再編と保険業の役割ということで、こちらも生・損保の方からのヒアリングを行った。それから、資金調達サイドから見ました金融市場のあり方ということで、大企業、それから、ベンチャーという立場から御意見を聞いたということでございます。それと同時に、この第3回で、先ほど御検討いただきましたけれども、預金保険ワーキング・グループの設置、それから、銀行機能のインフォーマルグループの位置づけなどについて決めていただいたところでございます。
それから、第4回では、この後また御紹介いたしますけれども、規制緩和推進計画の概要と対応状況についての御検討もいただいたところでございます。
それで、その下にございますワーキング・グループでございますが、「保険相互会社の株式会社化に関するワーキング・グループ」、こちらは山下先生に座長をお願いしておりますが、これまで4回の検討をしてきていただいております。それから、3ページ目になりますが、「個人信用情報保護・利用のあり方に関するワーキング・グループ」、こちらは堀部政男先生にお願いしておりますけれども、このワーキング・グループは、ほかのワーキング・グループと違いまして、通産省の産構審と、それから、割販審との合同作業部会ということで行われてきております。これまで、昨年出されました懇談会の報告書を基にした議論、それから、関係者からのヒアリングということが続いております。
それから、もう一つが「預金保険制度に関するワーキング・グループ」、こちらは先ほどいろいろ御議論いただいたところでございますが、神田先生に座長をお願いしているところでございます。
先ほどちょっと触れましたけれども、この資料の5ページ以下に、第一部会、第二部会の議事要旨が付けてございます。なお、この議事要旨は既にインターネットを通じまして公表されているものでございます。
第二部会のこれまでの審議の状況でございますが、以上でございます。
○貝塚会長 それでは、倉澤第二部会長から補足されることがありましたら、どうぞよろしく。
○倉澤第二部会長 では、ごく一言。
第二部会は、資料の2ページの「テーマ」というところにありますように、現在を出発点にということでございますので、まず一つは、現在というものの状況、あるいはその問題点の把握ということで、ヒアリングが2回、3回というふうに行われたわけです。現在を出発点にということで、この第二部会としては、具体的に一歩踏み出すということになるわけですけれども、その場合に、一歩踏み出すといっても、どちらの方向へ踏み出すかということがやはり問題になるわけでして、そういう意味から言いますと、この部会でも、あるべき方向についてということを見据えた議論というものが行われてきているというふうに申し上げてよろしいかと思います。
それから、「現在を出発点に21世紀の金融システムに向けて」と言って、何かスタートとゴールの間に随分距離があるような感じがしないでもありませんが、カレンダーを見てみますと、これはすぐそこなわけでして、今ちょうど特別保険料の料率についての問題でも明らかになりましたように、現行法の下で見直すべき問題と、それから、さらにその先の問題というようなものが、いつもこの第二部会では関心の中に含まれざるを得ない。問題そのものがそういう要素を含んだものとして現れてきているということだけを申し上げたいと思います。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
以上、最近の第一部会、第二部会の御議論の概要の御紹介があったわけですが、現在までの審議状況につきまして、自由に皆さんの御意見あるいは御質問をお伺いしたいと思います。どなたからでも、第一部会、第二部会、これはかなり広範な話なんですが、御意見あるいは御質問がありましたら、どうぞ御自由に。
大塚委員。
○大塚委員 ちょっと質問なんですが、各部会に対してワーキング・グループができておりますね。この検討の結果が上がってくるといいましょうか、大体どの辺が時間的な目安として全体の今構造を考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいんですが、よろしいでしょうか。
○貝塚会長 事務局として、とりあえずどういう感じで考えておられるか。
○津曲調査室長
ワーキング・グループ、これだけたくさんございますので、それぞれやっぱり足取りというものがいろいろ違っているところではございますけれども、ワーキング・グループできっちりどこまでできた上で報告ということは必ずしもないかもしれませんけれども、この4月、5月のところで、可能であれば一区切りといいますか、大体こういうところまでの審議をしてきた、検討をしてきたということの御報告がいただければというふうには考えてございます。
○貝塚会長 これは私のやや個人の意見ですが、やっぱりワーキング・グループは相当広範な問題でいろいろな御意見があります。ただし、やはりある程度主要な論点といいますか、もちろん意見も賛否両論いろいろあるし、その辺のところはどういうことになるか。もしかなりの合意があれば、それはそれとしてよろしいのですが、その辺のところまで、ある程度まで論点を整理して、それで恐らくそれぞれの部会にお諮りして、その後の非常に重要な基礎的な議論の「論点整理」というふうなところに役立てたいというふうに考えております。
どうぞ、杉田委員。
○杉田委員 今の関連なんですが、もう少し踏み込んで、つまり当然事務当局は法改正のところまで考えておられると思いますので、この審議会を大体いつぐらいまでに取りまとめして、もし法的措置が必要ならば、この秋の臨時国会を狙っているのか、来年の通常国会を狙っているのか。私どもの方で意見を出すテンポが、どの辺で言っていいものかというのがなかなか。遅過ぎてもいけないし、早過ぎてもいけないというところも多分各先生方あるだろうと思うので、その辺のアウトライン。途中によっては変わることもあるでしょうが、どんな感じで見ておられるでしょうか。
○貝塚会長 これは局長に答えていただいた方がよろしいですか。
審議官。
○山本審議官 今そういうお話が出たわけでございますけれども、割合そういうことを事務局の方から、例えばこの秋の臨時国会。臨時国会というのは秋にあるかどうかもわかりませんけれども、例えば来年の通常国会にとかということは、必ずしも適当ではないのではないかというふうに思います。基本は今、各部会又は特にワーキングの段階でいろいろ活発な議論をしていただいているわけでございますので、その議論の具合を見ながら、今調査室長の方から、できれば4〜5月にということを申し上げたと思いますが、私は、4月というのは、今の状況から言って、いろいろなワーキングの進捗状況との関係から言うとなかなか難しいんじゃないか。恐らく5月から6月ぐらいに、できれば何らかの中間的なものになるのか、もう少し方向性を持ったものになるのか。そこは恐らくこれからの議論次第だろうと思います。
いずれにしましても、今の金融が抱える課題というのは大変広範囲にわたるわけでございますので、我々としては本当に一つ一つ方向性というものを、ワーキング、部会、そして総会という形で積み上げていっていただければなと。そういった中で法改正、これが緊急を要するものであるという御認識をいただければ、それに応じてやっていくと、こういうことではないのかなということで、少なくとも現段階において、事務局として何らかの予断を持っているということではないということでございます。
○貝塚会長 原委員、どうぞ。
○原委員 関連なので、ちょっと2点なんですけれども、一つは、一番最初に、この金融審議会を開いたときの話で出てきた部分に関わるんですけれども、今インターネットで議事要旨は開示をしているというお話だったんですが、議事録はどうでしょうか。インターネットでアクセスしようと思ったけれども、一番最初のは出ているようなんですけれども、何かアクセスしにくくてわからないと言われて、議事要旨は、すぐ次の日に開示をされているのかどうかということと、それから、今の作業スケジュールとも関係をするんですけれども、一番最初のときに、ある程度方向性とか報告的なまとめができたときには、国民のみんなに開示をして、皆さんから意見を求めるというお話があって、今すごくはやっているパブリック・コメントという形かと思うんですけれども、原子力行政ですとか、遺伝子組替え食品の表示のあり方とかというのは、そういうパブリック・コメントをやっていますけれども、そういう形で、今、5月、6月ぐらいになるかもしれないというふうにお話があったんですが、双方向のコミュニケーションということで、そこの段階は考えていらっしゃるのかどうかというのが第1の質問です。
それから、第2は、ちょっと内容的なところなんですけれども、私は第一部会に所属をしておりまして、今、神田先生の方から第一部会の雰囲気についてはお話があったとおりで、私自身も所属をしていて、ともかく私のような素人から神田先生のようなものすごい専門家まで同席をして話をしていますので、議論としては、少し私は散漫になるのかなというふうな感じがしているんですが、私自身は、第一部会に所属した気持ちとしては、金融サービス法を考えて、だから、いろんな発言も、金融サービス法に収斂をするような形で自分としては整理をして発言をしているつもりなんですけれども、金融サービス法の議論というのが、一応第一部会で、今日はこのテーマでというのがあるんですけれども、それは大蔵省事務局と部会長だと思うんですけど、それで決めてこられるんだと思うんですけれども、なかなか集中をして、せっかく流れ懇の下敷きがあるわけですから、やっぱりそれを少し具体化していくことで話を進められないかなというふうに思っているものですから、2点目は、金融サービス法について御意見をお聞きしたい。事務局としての作業スケジュールをお聞きしたいと思います。
○貝塚会長 ただいまの点、一番最初の議事録について、事務的な点。
○津曲調査室長
まず議事録、要旨の件でございますけれども、議事要旨につきましては、大体部会が終わりまして1週間ぐらいで載せるようには努力しております。急ごうと思って。ただ、不正確になると困るものですから、みんなで見てやっているところでございます。
それから、議事録は、一応会長の御判断ということで、節目節目でやっていこうということでお話しいただいたというふうに考えます。
それから、パブリック・コメントについてお話がございましたけれども、こちらは確か、この審議会の一番最初には、例えばここで答申なり報告案をまとめるときに、そういうときにやったらどうかということだったというふうに記憶しております。
○貝塚会長 議事録の公開につきましては、会長に任されているわけですが、タイミングというのが結構、どこでまとまりがつくのかというのが、今の段階でちょっとまだまとまりがついているという段階でありませんが、恐らく第一部会で言えば、金融サービス法の基本的な枠組みについてほぼ議論がある程度出て、その段階で公開するとか、その辺のところ。
それから、第二部会の方は、またいろんな話があって、ですから、ある程度議論がまとまったところ、その辺のところでなるべく議事録を出す。ただし、これは事務的にやや複雑な作業になりますので、そういう点は多少は考慮する必要があるんですが、一応とりあえずそういう考え方でございます。
それから、あとの御質問は、スケジュールのようなことでしょうか。
○原委員 パブリック・コメントなんですけど、私としては双方向のコミュニケーションという感じなんですけれども、そういう形での5月、6月の議論の取りまとめの方向のオープンの仕方というのは考えようとするのか。それとも一方的に、こういうふうな議論を今したんですよという形で、情報開示というところだけでおやりになろうとしているのか。
○山本審議官 5月、6月というのは、恐らく今までの議論の積み重ねというものを、その段階でのどの程度のものかはわかりませんけれども、それを総会の方に御報告をするということになるのではないのかなと思います。ちょっと私が言うのは差し出がましいのですけれども。ですから、恐らくその段階では、双方向のというようなことではないのではないのかなと。むしろ審議会の中での意思の形成ということになっていくのではないのかなというふうに思いますけれども。
○貝塚会長 ただいまの件ですが、これも私の個人的な意見になりますけど、やはり金融サービス法ということになると、基本的には考え方がどうかというのが割と重要なポイントで、それから、実際にある程度個別の業務とか、そういう話も入ってきて、それである程度はっきりしたものになったときに外へ出して、それで利害関係というのが非常にある意味で広いわけですし、それから、それぞれいろんな方々が御意見をお持ちですから、そこで、余り抽象論の段階というよりは、むしろある程度具体化して物事がかなり書いてあるというところで、その考え方についてはこういう考え方があるんじゃないかという御意見を伺って、相当まとまった段階で聞くのが、簡単に言えば、経済学者の言葉で言えば生産的であるというふうに考えておりますが、その段階はいつ来るか、ちょっと今のところはわかりませんが、なるべくきちっとまとまった段階でコメントを、もちろん総会で了承をいただいて、その後でこういう話があって、どこをどうしますかということがあれば、また多分お諮りするとか、そういうことになるのではないかとは思いますが、とりあえずそういうことであります。
ほかに御質問など、まだありましたか。
○原委員 金融サービス法について。
○貝塚会長 金融サービス法ですね。どうぞ。
○細溝債権等流動化室長 かねがねいろいろ早く作れというような声もございますし、ただ、今第一部会の下にワーキングを二つ作っておりまして、集団投資スキームと、それからホールセール・リーテイルのワーキング。その中の議論というのは非常に広範に及んでおります。それらがどういう方向でまとまるのか、まとまらないのか。実は私どもも、どうなるんだろうという感じで見ておりまして、仮に金融サービス法というものを作るとすれば、その重要なパーツになる部分でございます。したがって、そこら辺は、まさにメンバー、オブザーバーの方々にいろいろ参加していただいておりますが、それらの方々に、今のワーキング・グループの日程で言うと、4月、5月にメンバーの方々から意見を発表していただく。オブザーバーの方からも意見を発表していただくということで、そこから先どういうふうにまとまっていくのかというのがございます。そこで、それらを受けて、第一部会で今度は御審議をいただくようになるんだろうと思います。
ただ、金融サービス法と言われますと、実はそれだけではなくて、一体どの程度の範囲までの金融商品を対象にするのかとか、いろんな議論があるわけです。その中で重要なパーツを今そうやってワーキング・グループで多分議論している最中なんですが、そこから先の法案になりますと、それ以上もっと議論しなければいけないことがございます。
したがって、現時点で、その段取りといいますか、スケジュールといいますか、それはどうなるのかというところは、今のところなかなか申し上げにくいなというような感じでございます。ただ、その中身になる重要なパーツについて、今精力的に御議論いただいている。それが仮にうまくまとまれば、それはパブリック・コメントということもあるんでしょうけれども、まとまらなければ、そこまで至らないということもありますから、これは実際にやってみないとわからないというような感じでございます。という感じで4月、5月はいくのかなということでございます。
○貝塚会長 何かほかに御質問あるいは御意見ございますか。
例えば今までの部会の運営の仕方とか、その辺のところで、大体こういう形でやっておりますが、何か御注文がありましたら、どうぞ御自由に。
どうぞ。
○原委員 たびたびで申し訳ありません。金融サービス法のパーツになる部分をワーキングでおやりになっていらっしゃる。私も、そのワーキングのテーマを見る限り本当にそうだと思うんですが、もう一つ、金融サービス法を取り巻く状況として、これは消費者契約法も同じなんですけれども、実効性確保ですよね。やっぱり法律だけがあっても、本当にそれが有用なものになるかどうかというのは、実効性確保のところと、そのシステムと大きく絡むというふうに思っておりますので、私としては、今ワーキングでやっていらっしゃる、すごくターゲットを絞ってやっていらっしゃる部分がありますけれども、その実効性確保の部分も何らかの検討というのが必要ではないかなというふうに考えておりますので、それはいつスタートした方がいいとか、どうとかというのは、私はその時期的な判断というのはちょっとわかりませんけれども、お願いしたいというふうに思います。
○貝塚会長 ただいまの点も私の全く個人的な意見ですが、例えばホールセール・リーテイルですが、リーテイルに関して言えば、私も出て話を伺ったことがありますが、要するに金融商品の説明義務というのか、どこまで説明して、そこにおける法律的な関係というのは結構複雑ですよね。多分もしかすると、単純に言えばトラブルが発生する可能性が十分あって、そのとき一体どういうふうに法律的に処理するかというのは、これは相当。
しかも、金融サービス法は、私の理解では、居住者だけを念頭に置いているわけではなくて、非居住者も。ホールセールは当然そうですね。外国の人も入ってきている。ですから、やはり相当透明性が要求されるような感じはせざるを得ないんですよね。その辺をきっちり仕組むというのは、多分法律的にもある意味では大変な部分もあるような気もするんですが、しかし、それが何といっても宣言して、21世紀に向けて、要するに完全にフリーでフェアなマーケットを作るというとき、法律的な基盤をきちっと作るというのは非常に重要で、そこのところは、しかし、頑張ってやらなくちゃいかぬと、そういう意見を持っているわけですが、何かほかにあるでしょうか。
多少時間が少なくなりましたので、次の話題に移らせていただいてよろしゅうございますか。
それでは、規制緩和推進計画改定の概要ということでありまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
津曲室長。
○津曲調査室長
「規制緩和推進計画改定の概要」ということで御説明申し上げます。資料は「総会3−3」ということでございます。
目次を御覧いただきますと、一番最初に、「規制緩和推進3カ年計画改訂の新規追加項目と指摘事項」とございます。金融・証券・保険関係の規制緩和は、金融システム改革のプランの下に着実に進められているわけでございますが、一方、政府・行政改革推進本部は、平成7年から3年タームで規制緩和推進計画を策定してきてございます。現行の規制緩和計画は、平成10年に規制緩和委員会のイニシアチブで策定されました第2次計画でございまして、ここには金融・証券・保険関係67を含む全部で600
以上の改善措置が対象とされていたわけでございます。
この規制緩和委員会の方は、昨年の10月にこの計画の実施状況に関するフォローアップを行いました。ここで、例えばこの資料の16ページ以下に細かいものがいろいろ付けてございますが、これらが規制緩和推進3カ年計画で指摘された事項でございます。この網掛けの部分は既に措置済みということで、過半がこれまで措置済みとされておりまして、それ以外のものも今やっているところでございます。
本日御説明申し上げますのは、ここの1ページ目でございますが、これは、昨年10月に行われました計画の実施状況に関するフォローアップを踏まえまして、規制緩和委員会が12月に「規制緩和についての第1次見解」というものを公表いたしまして、この第1次見解の中で新たに指摘されたものということがここに挙げてございます。
ここには、1ページ目と2ページ目にまたがってございますが、銀行の営業免許、それからCPのペーパーレス化、店頭登録市場の活性化、それから、私募債市場における適格機関投資家の範囲の拡大、社債の発行登録制度の適用の拡大、保険商品の認可制の届出制への移行、銀行等による保険商品の販売。
それから、最後の保険相互会社の株式会社化は、これは大蔵省の方から出しました内外の規制緩和要望に対する検討状況ということで、こちらで追加したというものでございます。
次に、私の方から、中身について御説明申し上げたいと思います。資料の3ページ目を御覧いただきたいと思います。
これは「銀行の営業免許について」ということでございますが、銀行の営業免許につきましては、第1次見解の中で触れられてございまして、これが需給調整規制に当たるのではないかというふうな指摘がなされたわけでございます。この需給調整規制につきましては、経済的規制の代表例と言われておりまして、平成4年に第3次行革審が、このように需給調整規制については、「原則として、10年以内のできるだけ早い時期に廃止する方向で検討する」という答申が出されております。
それで、この銀行の営業免許につきましては、銀行法の第4条第2項第3号におきまして、「申請者による銀行の業務開始が当該銀行の業務が営まれる地域における資金の需給状況、銀行その他の金融機関の営業状況その他経済金融の状況に照らして、金融秩序を乱す恐れがない等適当なものであること」と、これを免許の要件と定めておりまして、これが規制緩和委員会から、「免許申請者の状況とは別に、周囲の市場状況を判断して免許の可否を判断する需給調整条項と見られる。」という見解が示されたわけでございまして、銀行法の見直しを行うに当たり、この条項を見直して、需給に係る規定を廃止すべきであるというふうにされたところでございます。
この銀行の免許に当たりましては、需給調整を行われているわけではございませんけれども、この規制緩和委員会の見解が出されたということでございまして、ほかの金融関連法制なども参考にしつつ、この見直しを検討していくということになってございます。
次に、今度は資料の5ページ目をお願いしたいと思います。こちらが「CPのペーパーレス化について」というところでございます。
これも第1次見解の中で示されたわけでございますが、ここではどういう指摘であったかといいますと、5ページ目のアンダーラインのところでございますが、CPにつきましては、「券面を必要としないCPの発行、移転、償還等の在り方について、「CPのペーパーレス化」を実現するための立法措置を含め、関係者の参加を得つつ、早期に検討を開始すべきである。」と提言されております。
また、次の行でございますが、1月29日の閣議決定「経済構造の変革と創造のための行動計画」におきまして、アンダーラインのところでございますが、「企業の重要な資金調達手段であるCPの市場の一層の拡大に資するよう、券面を必要としないCP制度の在り方について、立法措置を含め総合的見地から、早期に検討を開始する。」と決定されているところでございます。
現在、具体的な作業といたしましては、一つは、経団連の「CPペーパーレス化検討ワーキング・グループ」というものがございまして、これが昨年12月22日に設置されまして、これまで4回、CPのペーパーレス化について議論されてきております。このワーキング・グループの場には、私どもも法務省などとオブザーバーとして参加しているところでございます。これが経団連での検討でございますが、政府の立場といたしましても、まだ具体的な日程は決めておりませんけれども、法務省と共同の検討会というものを設けまして、CPのペーパーレス化について検討を進めていきたいというふうに考えております。
次に、資料の7ページに移らせていただきたいと思いますが、「店頭登録市場の活性化方策について」というところでございます。
この店頭登録市場の活性化につきましても、昨年12月15日の第1次見解におきまして3点の提言がなされております。7ページの5.?のところでございますが、ここでは、「マーケット・メーカー制度については、マーケット・メークの対象銘柄が限定的となっている等、段階的な導入となっていることから、上記措置を早い段階で見直し、引き続き改善を進めていくべきである。また、株式店頭市場の活性化の観点から、いわゆる「公開前規制」の見直しも早期に検討を開始すべきである。
日本証券業協会においては、証券業界以外の市場参加者、有識者等の意見を株式店頭市場の運営に適切に反映させるための具体的措置について、早期に検討すべきである。」と、こう提言されております。
また、1月29日の閣議決定「産業再生計画」、これは8ページの方になりますけれども、こちらにおきましても、規制緩和の第1次見解とほぼ同様の内容の決定がなされているところでございます。
このような閣議決定を踏まえまして、既に日本証券業協会においてマーケット・メーカー制度の改善や、日本証券業協会の組織運営のあり方について検討が開始されているということでございます。
また、公開前規制でございますが、8ページの下の方に付けてございますけれども、公開前規制につきましては、株式公開の公正性を確保する観点から、日本証券業協会及び証券取引所の規則において、株式公開前の第三者割当増資等について一定の規制を行っているところでございます。具体的には、この資料にございますように、一つは、公開前の第三者割当増資についての規制がある。それから、もう一つは、株式移動についての規制というものがあるわけでございますが、この公開前規制につきましても、閣議決定を踏まえまして、去る2月25日に日本証券業協会の「公開前規制検討グループ」というものが設置されまして、こちらで検討が開始されているところでございます。
引き続きまして、開示担当の内藤参事官の方から御説明します。
○貝塚会長 では、内藤参事官、お願いします。
○内藤参事官 それでは、引き続きまして、私募債市場の関係と、それから、発行登録制度の関係につきまして御説明いたします。
9ページを御覧いただきますと、まず、「適格機関投資家の範囲の拡大」でございますが、これは現在の証券取引法のディスクロージャー制度におきまして、有価証券の販売につきましては、公募という、ディスクロージャーを行って、それで一般大衆に販売するという制度と、それから、私募という制度がございまして、これは必ずしもディスクロージャーという義務が課されないで発行者が売り付けをできるというふうな形になります。その私募につきましては二通りございまして、少人数私募。50人未満のごく少数の者に対して売り付けるという場合と、プロ私募と呼んでいますけれども、適格機関投資家。一定の基準をクリアした知識経験を十分有するというようなこととして認められる場合には、ディスクロージャーの保護をあえて求めることはないということで、投資家にとっても十分それを承知の上で、そうした制度でいわば手続の簡素化を図ると、こういうふうなことです。
それで、経緯のところでございますが、昨年の12月に行政改革推進本部の規制緩和委員会におきまして、私募債市場においても、従来は適格機関投資家というものが金融機関に限定をされておったわけですけれども、いろいろ昨今の状況等を鑑みて、直接金融というものをより強化していくという観点で、適格機関投資家の範囲を拡大すべきではないかということで、「本年度中に結論を出し、早期に実施すべきである」、こういうふうな指摘が行われました。
それで、改正案でございますが、これは実は3月5日に、公開草案ということで私どもの事務局案を公表いたしまして、意見を求めました。また、3月8日、第二部会におきましても御紹介、御提案をいたしまして、御意見も頂戴をしたということでございます。
まず、最終的な結論でございますが、今日お諮りをしたいという形でお示しをいたしますのは改正案でございますが、「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者」として、これまでは金融機関に限られておりましたけれども、これに加えまして、国内の一般事業法人をもこの範囲に加えるということで、3行目あたりですが、「当面、最近2事業年度に係る有価証券報告書に記載された貸借対照表における『有価証券』の額と『投資有価証券』の額−−短期の目的あるいは中長期の目的−−との合計額が
500億円以上である国内の有価証券報告書提出会社のうち大蔵大臣に届出を行った者」というものを追加するという形で、一般事業法人にも拡大をするというふうにしたいと考えているわけでございます。
さらに、この「見解」におきまして「本年度中に結論を出し、早急に実施すべきである」というふうにされている関係がございますので、この3月末までには省令改正を行いまして、経過措置といたしまして、本年4月中に、まず申請といいますか、届出を受け付けまして、早急に官報に公告するという形で対応していきたい。その後は毎年1回ということで、7月中ぐらいに、つまり3月決算が日本の事業法人は多うございますので、6月末ぐらいに財務諸表が確定いたしますので、それを踏まえて7月中ぐらいに届出を受け付けまして、9月1日には官報に公告するという形にしたいということでございます。
この制度につきましては、3月5日から一般的に意見を求めました。それで、当初は、まず、有価証券の額と投資有価証券の額との合計額、これを
1,000億円以上というふうにいたしておりました。それで、やはり
1,000億円では数十社といいますか、かなり限定されているということで、もう少し拡大できないかということで、そういう意見はございました。
それから、一般事業法人に限らず、例えば厚生年金基金であるとか、あるいは外国法人、そういったものも幅広く拡大すべきではないかと、こういった意見もございました。
それから、先般の金融審議会の第二部会におきましても、当初は大蔵大臣の指定というふうな制度に乗せて認めていく、こういうふうなことで、若干その指定ということであれば、何か裁量的な色彩が出るのではないかということで、私ども全くそういうことではありませんけれども、そうしたことであるとすれば誤解を生むということで、そういう要件に該当した法人が届出を行いまして、それに基づいて、世の中にこうした会社は適格機関投資家であるということを公告するということで対応できるのではないかなというふうなことでございました。
それから、やはりこういうふうなせっかく規制緩和していくということですので、できるだけ早急に実施できるようにすべきではないかというふうな意見もございまして、4月中に、この段階では、この3月期の決算はまだ数字が確定しておりませんけれども、直近2事業年度ということで、9年3月期及び10年3月期の決算で当面それで動くと、こういうふうなことも考えて、4月中の受付と、こういうふうな経過措置も盛り込んだわけでございます。
以上が私募債関係でございまして、次に、10ページでございますが、「発行登録制度の利用適格要件の拡大について」というものがございます。
これは主に社債でございますけれども、有価証券を公募するときには、有価証券の届出書というものを出してディスクローズを行うというのが大原則でございますけれども、周知性、非常に発行体の知名度が高いとか、あるいは情報がかなり周知されているというような企業においては、一々発行の届出書という分厚い書類を出すまでもなく、有価証券報告書というのが毎年継続開示されていますので、発行においては簡単な書類で発行の手続を済ませると、こういうのが社債発行登録制度というものでございまして、アメリカの制度を受けて日本でも既に導入されておりますが、この中で、ここの「見解」におきましては、未上場・未登録という企業であっても、有価証券報告書を毎年継続して提出したり、経営情報を積極的に開示するなどしている企業については、そうした周知性の基準というものに該当するはずであるから、このような企業に対しても発行登録制度の適用を拡大する方向で検討すべきではなかろうかと、こういうふうな指摘があったわけでございます。
まず、現行制度を簡単に御説明いたしますと、現行制度におきましては、二つの基準がございまして、まず第1ののところに「継続開示要件」ということで、少なくとも1年間継続して有価証券報告書を提出しているということ。それから、
で「周知性要件」というのがありまして、企業情報が既に公衆に広範に提供されているということで、それについては、まず、「上場又は店頭登録企業である」ということ。さらに、いわば規模の基準みたいなようなものですが、「次のいずれかに該当すること」ということで、売買時価総額が
100億円以上かつ時価総額 100億円以上であるとか、あるいは3年平均時価総額が
250億円以上であるとか、あるいは社債券について複数の指定格付機関からA格以上の格付を取得していると、こういったような制度になっております。
ここで御覧いただけますように、今のこの制度は、いわば上場又は店頭登録ということで、株式の取引というものにかなり着目をしまして、株式について公開をしている企業について、さらにその規模基準を導入して、それで発行登録制度というものを利用を認める。こういうふうな考え方になっております。
この規制緩和委員会の考え方は、社債市場というものの改革がかなり進展をしてきておるということで、未上場・未登録であっても知名度があるとか、あるいは相当内容的にも問題がない、そういうふうな企業があるわけだから、そういったところについてはこういう発行登録制度というものを認めていく、こういうふうな考え方に立っております。また、その発行登録制度そのものを考えますと、これは株式というよりは、社債をどんどん発行していくための手続の簡素化というふうなことでもありますので、そうした意見が見解として示された。
改正案でございますが、まず、「1年継続して有価証券報告書を提出している」、これは基礎的、基本的に重要な要件でありますので、これを変えることはできないであろうということで、次の周知性の要件でございまして、これを社債という観点で考えた場合に、「社債券について複数の指定格付機関からA格以上の格付を取得していること」という要件を満たせば社債についての発行登録というものはできると、こういうふうなことでどうであろうかということで、これも同じく3月5日に一般的な意見を求めておりました。
それで、御意見としては、一つは、やはり慎重論といいますか、上場あるいは登録企業というのは、それなりの公開をするときの手続がございます。それから、随時のタイムリー・ディスクロージャーといいますか、そうした要件がございますけれども、日本の社債市場というものがそういうレベルに来ているのかどうかというところで、そうした周知性というものが果たして格付というだけで見られるのかどうかと、こういう意見が一方でございました。
他方、やはり社債市場というものの進展が最近目覚ましく進んでおりますので、ぜひA格と言わず、トリプルB以上ぐらいは認めるべきではないかと、こういうふうな意見もございまして、基本的には、今ここに書いてございますような案で取りまとめをさせていただければというふうに考えております。
以上の2点が規制緩和委員会から示されました見解に沿った今回の改正案でございますけれども、11ページの「 III 臨時報告書の重要性基準の見直し」といいますのは、これは今のディスクロージャー制度の中で、臨時的に何か重要な事項が起きたときには、その都度報告書を出す、ディスクローズするというふうな考え方になっておりまして、特に2.の現行制度の一番下でございますが、「財政状態及び経営成績に著しい影響を与える事象の発生」ということで、現在、総資産ベースの1%以上の事象、例えば損害額が何千億円というふうなものが起きたときには臨時報告書を出すというふうな規定になっております。
ただ、これは特に銀行の場合に、総資産が極めて一般事業法人と比べて大きいものですから、かなりの大きな問題でもそこに入ってこないということで、例えば大和銀行が、かつてニューヨーク支店の事件がございましたけれども、ああいったロスも、この1%という基準には到底入ってこない、こういうふうな問題がございました。
それで、これはやはり考え直すべきではなかろうかと、こういうことで、右に書いていますように純資産額のベースで考えますと、これは3%というような基準で考えますと、一般事業法人においては現在割合円滑に回っておりますので、一般事業法人には大きな負担にならない形で、金融機関については、かなり実質的に網が狭まるという形で、大きな負担にはならないような形で常識的な改善ができるのではないかということで、これも一般的な意見も掲げておりますけれども、概ねこういったことについては御賛同いただいているというふうなことでございます。
以上でございます。
○貝塚会長 あと保険関連がございますが、菅野室長、お願いします。
○菅野保険企画室長 保険企画室長の菅野でございます。保険関連の三つの項目について御説明を申し上げます。
まず第1点、保険商品の認可制を届出制へ移行すると、こういった件でございます。
まず、現在の制度について御説明した方がよろしいかと思いますけれども、保険業法第
123条、これは事業方法書等に定めた事項の変更に係る規定でございますが、この中で、事業方法書等に定めた事項の変更につきましては、これを「金融再生委員会の認可を受けなければならない」ということになっているわけですが、ただし、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ないものとして総理府令・大蔵省令で定める事項、これについては「届出をすること」というふうに規定されているところでございます。これを受けまして、保険業法施行規則の中で、届出で足りる事項につきまして列挙がなされていると、こういったこととなっております。
資料で申しますと12ページ。こちらに過去の審議会あるいは委員会からのいろいろな御指摘事項が書いてございますけれども、まず、平成9年6月の保険審議会報告におきましては、一般家計向け保険については、「事前認可制を含む必要最低限の監督を継続することが適当」とされる一方で、企業向け保険に関しては、「認可制の廃止を含む規制緩和を迅速に進めることが望ましい」と指摘されてございます。
さらに、将来、「例えば原則届出制に移行するような場合には、消費者保護や保険会社の健全性の確保に係る一層の措置を講ずることが必要であり、そのための検討を進めていくことが適当である。」と、こういった方向が示されているわけでございます。
その後、平成9年12月の行政改革委員会「最終意見」では、「企業向け保険に関しては、原則届出制に移行するべきであり、家計向け保険に関しても、原則届出制に移行することについて、2001年までの実現を目指して、検討すべきである。」と、このようにされているところでございます。
資料の2ページ、ちょっと戻って恐縮なんでございますが、こちらが行政改革推進本部・規制緩和委員会の第1次見解でございますけれども、この中では、届出制の対象となる保険商品の範囲を大幅に拡大することと、情報量・交渉力が比較的高いと考えるれる、企業や年金基金等に対する保険については、契約者保護の枠組みの整備状況を勘案しつつ、早期の原則届出制への移行について検討を進めると、こういったことが指摘されているところでございます。こういったことで新たに計画に盛り込まれるということでございます。今後、保険審議会報告等も踏まえまして検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
2点目、「銀行等による保険商品の販売について」でございます。資料で申しますと14ページになります。
銀行等による保険商品の販売につきましては、平成9年6月の保険審議会報告におきまして、利用者利便の向上と弊害のおそれに関する指摘を踏まえた上で、2001年を目途に、銀行等がその子会社又は兄弟会社である保険会社の商品を販売する場合に限定した上で、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険について認めることが適当である、等々の方向性が示されているわけでございます。
平成9年12月の行政改革委員会「最終意見」では、銀行等の窓口における個人に対する生命保険商品の販売を、原則として全ての商品について認めるべきであると考える。したがって、解禁後の対象商品の拡大については引き続き検討を進めていくべきであるとされたところでございます。
恐縮でございますけれども、資料2ページをもう一度御覧いただきますと、規制緩和委員会「第1次見解」におきましては、銀行等による保険商品の販売については、弊害防止措置を講じた上で、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険については、平成13年度までには銀行等による販売を認めるとともに、それ以外の保険商品についても早期に銀行等による販売の対象とすることを検討する。これが第1点。
第2点としまして、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険については、銀行等の販売はその銀行の子会社又は兄弟会社である保険会社の商品に限定しないこと、これを検討するというふうにされたわけでございます。これにつきましても、今後検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
3点目でございますけれども、保険相互会社の株式会社化の検討状況ということについて御説明を申し上げます。本日のお話の中でも、ワーキング・グループでこの検討をしているということが御指摘ございましたけれども、この点につきまして御説明するものでございます。
保険会社の相互会社から株式会社への組織変更、これにつきましては、資金調達手段の多様化、自己資本の充実、事業展開の自由度の向上等に資するものでありまして、現に諸外国では、活発に株式会社化の動きが見られるところでございます。
一方、我が国でも平成8年4月施行の新保険業法でございますが、この中で組織変更の規定が導入されたところでございます。この規定を用いました組織変更につきましては、平成9年6月の保険審議会報告におきましても、実務的な手続等について問題が指摘されております。具体的には、例えば端株が大量に発生するのではないか。株式割当において、これは寄与分計算に応じてするということにされているわけですが、具体的な寄与分計算のあり方をどういうふうにするのか、こういったことがあるわけでございます。
昨年12月7日の第1回金融審議会第二部会におきまして、この保険相互会社の株式会社化に関するワーキング・グループを設置するということが御了承いただきまして、現在、このワーキング・グループにおきまして、これらの問題に対する対応、あるいは商法との調整等について御検討をいただいているところでございます。
私からは、以上でございます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
規制緩和推進計画と金融審議会のいろいろ金融の規制に関する関連がありましたが、特に保険会社の問題はかなり制度的に複雑なことになっておりますが、ただいま第二部会を中心に議論を進めていただくことになっておりますが、ただいまの御説明に関して、もし何か質問等がございましたら、どなたからでも御自由に。
銀行の営業免許というのは、確か銀行のワーキング・グループがありますね。この問題はかなり制度的には重要な問題で、銀行というのをほかの金融機関と区別して短期を作るかどうかというのは非常に重要な問題ですが、多少そういう議論はもちろん出ております。何か御質問ございませんでしょうか。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 保険関連のことでお伺いしたいのですけれども、相互会社の株式会社化についてはワーキング・グループがあるわけなんですけれども、そのほかの2点ですね。認可制から届出制への移行と、それから、銀行等による保険商品の販売について、これは今後具体的にどういうふうな討議を経ていくのか。この審議会がどういうふうに関与するのかについて、見通しがあれば教えていただきたいんです。
○貝塚会長 ただいまの点について、現在の状況と今後の関連は。
菅野室長、お願いします。
○菅野保険企画室長 御指摘の保険相互会社の株式会社化につきましては、法制的に非常に複雑な問題、難しい問題がございますので、こちらに関しましてはワーキング・グループを立ち上げて、こちらの方で御検討いただくということでございますけれども、残りの2点につきましては、むしろまずは事務的なレベルで検討を進めていくのがいいのではないか。あと、これらの項目につきましては、金融監督庁の方の関係が非常に深いものでございますから、こちらの方ともよく相談をしながら、そこのところは検討を進めていきたいというふうに考えております。
○貝塚会長 どうぞ。
○高橋委員 この2点に関しては、やはり消費者保護とか弊害防止措置ということで検討される必要があることですので、審議会の現在の金融サービス法とか、関連インフラの整備と実は大きな関わりがあるのではないかというふうに思っておりますので、適宜その状況を見ながら、ぜひ審議会等でも検討を行っていただきたいというふうに思っております。
このうち、一つ、保険商品の認可制から届出制への移行についてなんですけれども、現在、損害保険の分野では、企業保険を届出制ということでやっているわけなんですが、家計保険の方は、消費者保護の観点からまだ認可制ということが続いているんですが、現状、料率の自由化等が始まっている段階を見ますと、企業保険の分野でかなり競争が激化してきておりまして、御存知のとおり、保険の勘定というのは、企業と家計というのが別勘定になっていないので、そちらの方でかなり付加保険料率なんかを安くする競争をしている結果、家計保険の分野が割を食うといいますか、全然競争になっていないという状況がありまして、消費者保護とか保険会社の健全性の確保について検討していくということも必要なんですが、消費者利益が実際に実現し得ない状況というのが生まれてきているということに関しても何らかの措置を講ずる。少なくともそういう分別管理するなり、会計上の遮断といったようなことをやっていく必要があるのではないかというのを現状感じております。
それから、銀行による保険商品の販売措置についてなんですが、これは必ず抱き合わせで、弊害防止措置等を講じた上でということがあるんですけれども、私は具体的に、その措置が今どういうふうに講じられる検討をしているのかというのが全く見えないのですけれども、これなどは、私もワーキング・グループに入っておりますけれども、金融サービス法とか、その関連インフラの整備のところで自主規制機関とか紛争処理制度をどうするのかということが進む、進まないということと非常に大きな関係があると思いますので、具体的な案件として上がるときには、必ず審議会で議論する形をとっていただきたいというふうに思います。
以上でございます。
○貝塚会長 ただいまの点で何か。今の御意見は、もっともなことだと思います。
○菅野保険企画室長 事務的に検討すると申し上げましたのは、そのワーキング・グループとか、そういうような組織を立ち上げたというイメージについて申し上げたわけでございまして、金融審議会にいろいろお諮りをするということは、当然に必要なのではないかというふうに考えているわけでございます。
○貝塚会長 これもまた個人的な意見ですが、保険商品というのは普通の金融商品とは、例えば銀行の商品と大分違いまして、ある意味では契約が非常に違った種類であるわけです。それを一体どういうふうに、説明義務とかいろいろなことがあるわけですけど、これは今までもいろいろな問題が多分発生している可能性があって、割合と個別的には重要な問題になり得る話だとは思っております。
ほかに何か御質問ございませんでしょうか。
大体時間が参りましたので、ほかに御意見等がございませんようですので、以上をもちまして、本日の総会を終了させていただきます。
なお、次回の日程等につきましては、事務局とも相談いたしまして、後日御連絡させていただきます。
本日は、皆様お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
これで終わります。
(以 上)