金融審議会第4回総会・部会合同会合議事録
日時:平成11年7月6日(火)14時00分〜16時10分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○貝塚会長 それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。
本日は、皆様、御多用のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。
ただいまから、金融審議会第4回総会を、第11回第一部会、第8回第二部会と合同で開催させていただきます。
第一部会、第二部会も合同ということで、部会のオブザーバーの方にも御出席いただいておりますので、これだけの人数が一同に会することは初めてでございますが、皆さん、元来こういう会は多分御紹介するのが慣例でございますが、恐縮ですが、お手元の座席表がございますので、それを御参照ください。
さて、本日の議事でございますが、まず、第一部会、第二部会それぞれにつき、今回、公表に向けて取りまとめを行ってこられました内容の最終的な審議をお願いいたします。その後、やや議論が重複する部分もあるかとは存じますが、総会として、部分の議論・報告等を踏まえまして自由に御議論をお願いしたいというふうに考えております。
案件が非常に多数ございますので、早速、議事次第に従いまして議事を進めさせていただきます。
それでは、蝋山第一部会長、進行の方をお願いいたします。
○蝋山第一部会長 第一部会長の蝋山です。
御承知かと思いますが、第一部会では、「21世紀の金融取引やサービスのあり方はいかにあるべきか」と、こういうテーマを頂戴いたしまして、いわゆる金融サービス法ということを将来導入する、これを念頭に入れて検討を進めてきました。そして、「ホールセール・リーテイル」、「集団投資スキーム」と二つの案件につきましてワーキンググループで議論をお願いいたしまして、そのレポートを下敷きにしまして、部会として全体をとりまとめました「中間整理(第一次)」を作成いたしました。お手元に配付されております大変分厚い案でございます。
各ワーキンググループのレポートは、「中間整理」の後ろに、それぞれの委員の意見表明ペーパーと合わせてございます。前回の第10回の会合では、その場で示させていただきました「たたき台」に対して様々な御意見が出されまして、それに基づき修正をいたしました。その修正につきましては、私の方に御一任いただいたというふうになっております。本日は、その修正案に対して最終的な御了解をいただくために、「中間整理(第一次)」の概要につきまして私の方から説明させていただきたく思います。そして、その後、この「中間整理(第一次)」(案)というものについての第一部会としての御了解を頂戴したいというふうに思います。
分厚い資料に続きまして、右肩に「第一部会11−2」と書いた資料が配付されているかと思います。これは私どもの方でとりまとめました「中間整理(第一次)」の概要であります。今後、これももちろん正式な報告は、「中間整理(第一次)」という分厚い方になるわけでありますけれども、適宜使わせていただきたく思うわけであります。
この「中間整理(第一次)概要」に沿いまして説明をさせていただきます。
まず、大きなセクション、 I で「21世紀を展望した金融サービスのあり方について」という節がございます。ここでは三つの項に分かれておりますが、要するに、なぜ今の時点で我々はこういう問題を取り上げなければならないのか、金融システムの改革が進んでいる中で、今後、何をしなければならないか。その背景につきまして基本的な認識をまとめたものでございます。
るる説明すれば長くなりますけれども、冒頭にありますように国際化の進展、あるいは様々なインフォメーション・テクノロジー、情報通信技術の金融面での応用、こういうものは、これからますます大きな影響を金融に与えてくるだろう。そこから多様な魅力的な商品・サービスというものが提供される潜在的な可能性が非常に大きい。これを顕在化させなければならない。しかし、そのためには、従来の伝統的な銀行その他の金融機関を中心とする、いわゆる伝統的な間接金融に加えて、新しいタイプの金融仲介というものを、それと並んで大きな柱にしなければならない。そういう中で、そういうことを通して市場を通じた幅広いリスク負担を実現していくことが必要ではないか。
しかし、それにはいろいろ今の段階でしなければならないことがある。リスクとリターンの関係の明確化、透明性の向上といったことがどうしても不可欠であると考えられます。
また、いわゆる集団投資スキームといったものにつきましても、もちろん適切な投資家保護というものを考えるわけでありますが、それを前提として、多様で魅力のある商品を生み出すための枠組みというものを作っていく必要がある。こういう認識になっているわけであります。
そして、そういう枠組みとして、それがいわゆる「日本版金融サービス法」ということになるわけですが、そこでは最終的な目標は、今までの金融サービスの提供主体を中心に考える業の概念から、取引行為そのものに係る様々な機能面に重点を移して業の概念というものを整理していくことが基本的なアプローチとして考えられるだろう。業者に対する行為規制だけでなくて、民事上(私法上)のルールを明確にして、その実効性を確保していかなければならない。
こういう考え方は、もちろん一つの理念ではありますけれども、その理念だけを先行させていくということは難しい。現実に進んでおります金融システム改革の進展状況を十分に踏まえながら、市場参加者の実態を踏まえて具体的に検討を進めていかなければならない。
こういう認識から具体的なテーマとして何があるかということを考えてみると、一つは、今後、多様な金融商品の登場することを視野に入れて、横断的に金融商品の販売・勧誘についてのルールを確立するということ。それから、様々なリスクとリターンの組合せを実現している商品を提供する集団投資スキームについての具体的なルールの検討。この二つの課題があるだろう。
こういうことで我々の「中間整理」の具体的なターゲットを絞っているわけであります。
次には、新しい金融の流れを支えるルールの枠組みの基本的な性格ということでありますが、そこでは、透明性の確保を前提とした上で、公正さと効率性をともに実現させるということが必要だ。ともすれば金融サービス法は公正さ、利用者の保護ということに重点を置くものとして理解されがちでありますけれども、我々の考える金融サービス法は、公正性と効率性をともに実現させるということが重要だという考え方を示しております。
そして、その結果、全体としての社会的な取引コストを低くするということを目指さなければならない。大きな社会的なコストを負担させてしまうという結果にならならようにルールのあり方というものを様々なレベルで考えておく必要があるだろうというわけです。
こういう新しい金融のルールが、どういう金融商品を対象にすべきか、こういう点でありますけれども、ここでは基本的な考え方は、検討の入口の段階では、証取法で規定されております有価証券は言うまでもなく、預貯金、保険、融資と、こういった伝統的にこれまで利用されていた金融商品、あるいは最近盛んに使われておりますデリバティブ取引や、あるいは今ここで議論しようとする集団投資スキーム、そういうものを全部含んだ幅広く金融商品を新しいルールの対象として考えなければならない。そして、その上で、一つ一つの商品の固有の性格から生じる問題については、ルールの適用とか、規制の目的といったものに照らし合わせて個々に判断していくと、こういうことが考えられるのではないかというふうに思います。
なお、融資につきましては、融資固有の問題があります。利用者が資金の出し手でなくて資金の受け手でありますので、そういう点からくる固有の問題があると思います。そういう点では、別途の視点からの検討というものを今後深めていく必要があるのではないかと考えられます。
さて、一歩具体的に入りまして、第1の課題として上げました多様な金融商品の登場に備える意味で、横断的に包括的な金融商品の販売・勧誘についてのルールということでありますけれども、そこで重要となる点は、プロとアマ、あるいはホールセール・リーテイルの区別であります。
整理いたしますと、概要の3ページにありますような三つのタイプの区分が考えられます。
一つは、ホールセール・プロの分野。一つは、一般リーテイル、一般利用者分野。そして、特定のリーテイルあるいは特定の利用者の分野。
その三つの区分の中のまずは一般リーテイル、一般利用者分野の区分に関するルールを検討した上で、他の二つの区分についても漏れのないように考慮するという方法を我々はとるべきではないかと考えたわけであります。
それぞれに適用されるルールを考えていくということは、こういうような区別を基にそれぞれに適用されるルールを考えていくということは、金融の公正さを維持し、効率性を高めるという意味で重要と思われます。
具体的な区分のあり方というものは、今後十分にさらに検討して、細目を決めていかなければならないわけですが、利用者の選択の自由を尊重するという立場をその際忘れてはならないというふうに思います。
さらにもう一歩進めまして、こういう金融商品の販売・勧誘行為、あるいはプロモーション等に関する主要なルールとしては、一つは説明義務という問題があります。さらに適合性の原則という問題があり、また、勧誘ルールというものがあります。
説明義務というのは、業者が利用者に対して重要な事項の情報提供をしなければならないという義務を負うということであります。
何が重要事項かと考えられる事項については、法令等において各商品共通のミニマム・スタンダードとなる事項を明示した上で、さらに細目については、民間の自主ルールに委ねるといったことが考えられると思います。
さらに、適合性の原則というのは二つタイプが考えられます。
一つは、特定の利用者の一定の取引を制限するという、狭義の意味での適合性原則というのは、私的自治の原則に照らしてみれば、やや慎重であるべきと考えられますが、他方で、業者が利用者について知るための十分な体制整備を行うといったことなど、業者の内部で行為規範をきちんと確立し、それを義務づけるという形で、広い意味での適合性の原則というものを考えることが適当ではないかという意見が大宗を占めたというふうに思います。
なお、この広義の適合性の原則は、業者の内部的な行為規範に関するルールでありまして、個別の訴訟等において、業者の内部体制の不備が斟酌されるということはあるでしょうけれども、それが直ちに私法上の効果に直接連動するということはなかなか難しいのではないかと判断されます。
また、狭義の適合性の原則に準じた勧誘のルールとしては、しばしば新聞報道等で取り上げられることでありますけれども、取引経験のない一般的な個人に対して、大変レバレッジの高いリスクの大きい資産を勧誘する、こういったことは勧誘行為を禁止するとか、あるいはきちんとした厳格な会社内部でのコンプライアンスの確保といったことを求めるということで、もっと積極的に対応すべきではないかと考えられます。もちろん、勧誘に関しては、詐欺的な行為、あるいは誤解を招くような勧誘というものは禁止しなければなりません。
まだまだ不十分ではありますけれども、今後、業者の行為ルール、民法上のルール双方につきまして、具体的な内容を詰めていく必要があると思われます。
集団投資スキームにつきましては、集団投資スキームというコンセプトは二つに分かれるのではないかと思われます。
一つは、証券投資信託とか商品ファンドとか、実績配当型の合同運用金銭信託といった既に見られるものにおなじみのある資産運用型の集団投資スキームであります。多数の投資家から集めた資金をプールして、集めて、これをまとめて専門家たるファンドマネージャーが各種の資産に投資・運用する。これが資産運用型の集団投資スキームであります。
一方、もう一つ考えられるのは、資産流動化型と言われるものでありまして、既存のものとしては、SPC法とか特定債権法に基づきまして証券化された商品がこれに当たるわけでありますけれども、特定の資産から生じるキャッシュフローを、専門家たるアレンジャーがいろいろ組み換えまして多数の投資家に分配する、そういう証券を販売するものが資産流動化であります。
集団投資スキームは、投資家の資金が集められまして、第三者によって運用されるという性格を持っています。こうした特色から考えますと、スキームの適切な運営というものは確保することは言うまでもないことであります。また、同時に関係当事者間のリスク分担というものに明確にするため、予めルールをきっちりしておくということもどうしても重要なことになります。
現在の状況は、それぞれの業法、例えば証券投資信託法といった業法がファンド等により投資される商品の対象や、その受け皿として用いられるビークルの特性に応じまして投資家保護の枠組みをそれぞれ定めているわけであります。今後は、適切な投資家保護を確保しながら、各業法の枠を超えた横断性と多様性を持つ商品を生み出す環境を整備する必要があるわけでありまして、その際、資産運用型と資産流動化型の違いといったものを十分に踏まえながら、基本的なルールというものを具体的に設定していくことを考えなければならないというふうに思います。
その場合に、欧米では、いわゆる受託者責任、資金の運用を委ねられた者の責任、一定範囲の任務を遂行しなければならない義務を負わせる、義務を負わなければならない、こういう受託者責任という考え方がきちんと確立しているというふうに判断いたします。しかし、日本ではこれが必ずしも十分に明確になっていない。今後、横断性と多様性を持つ商品を生み出す環境を確保するため、集団投資スキームの法制・ルールの整備を図っていく場合には、幅広く受託者責任についてのルールの具体化・明確化を行い、それをこれに関わります金融サービス業者の行為規範として積極的に位置づけていく必要があると考えられます。
このコレクティブ・インベントメント・スキーム、集団投資スキームに関するルールにつきましては、大まかに言って、三つぐらいのルールに区分されるのではないかというふうに思います。
これは一つは、スキームの仕組みに関するルール。スキームの運営に関するルール。そして、組成されました金融商品の取引がいかにあるべきかという点に関するルール。こういう三つのタイプのルールがそれぞれきちんとしていなければならないわけであります。
こうしたルールについて、資産運用型、資産流動化型の特性によって必ずしも全ての集団投資スキームは同じではないと思われます。そういうルールの違いというものがあるということに注意しながら整理を行うことが適当ではないかと思います。
以上、販売・勧誘についてのルール、それから、集団投資スキームについてのルールの整備の具体化を一層進めるということが我々のこれからの課題になるわけでありまして、こういう問題提起をこの「中間整理」で行っているわけでありますけれども、言うまでもなく、ルールはその実効性が確保されなければなりません。また、ルールは、主として金融サービス業の側の行為なり、あるいは金融サービス業がマネージするマーケットについてのルールということになっていくわけでありますけれども、他方では、それを利用する利用者が十分にそうしたルールを理解して、支えていくことにならなければならないというふうに思います。
そういう点で、「ルールの実効性確保と消費者教育のあり方」ということが、これら二つの具体的なルールの一層の整備とともに必要になってくるわけであります。
このルールをどういうふうに作っていくか、さらにその実効性をどう確保するかという点については、法令、判例による法理、自主規制団体のルール、取引参加者による慣行、個別業者の内部的なリスク管理とかコンプライアンスといったものについてのルール、様々な段階が考えられます。それらについて適切な役割分担を考えていくことが重要であると思われます。
この点で、自主規制団体というものにつきましては、様々な議論が今後詰められなければならないというふうに思います。法令上の根拠があるかないか、設立・運営のコストをどうするか、そして、中立性や専門性をどういうふうに確保するか、こういった重要なイシューが自主規制団体の今後については存在しているわけで、さらに議論を深めて、具体的な形の提言にまとめていかなければならないというふうに思います。
ルールの実効性確保という点では、究極的には、最後の拠り所は司法的な解決ということにあるわけですが、日本の現状は必ずしも司法的解決のためのインフラは整備されていないというふうに思います。また、それを補完するものとして、裁判外の紛争処理制度の整備といったことにも我々は言及していかなければならないのではないかと思います。
消費者教育についてでありますけれども、金融商品の利用者が、様々な金融商品やサービスを自らの意思で自発的・主体的に選択して、そのメリットを実現していくためには、消費者の側にも一定の理解が必要ですし、また、消費者に対する情報へのアクセスが容易であるような、そういう環境の整備が必要であります。
この点についてはこれまで業界のレベルでは、それぞればらばらに行われてきました。ある程度行われてきました。こうした取組みは今後も一層拡充していくことが必要だというふうに思います。
また、行政の側でも、新しいルールの下での利用者の権利とか責任の範囲といったことについて広く国民に周知を図るということで、積極的な役割が期待されるところであります。
さらに、金融全般に関しましての、金融はプロに任せておけばいいということでは、もう今後はやっていけないわけでありまして、金融全般に関する消費者の基本的な知識の向上とか、金融を含む消費者教育全般について拡充を図ることが重要であります。教育関係者の理解も得ながら、広範な消費者教育の充実が図られていく必要があろうかというふうに思います。
今後の問題でありますけれども、今の説明からおわかりのように、販売・勧誘に関するルールといったものにつきましても、また、集団投資スキームのルールの検討につきましても、まだまだ具体的な内容で詰め切れてない部分がたくさんございます。「中間整理」を公表して、そして、たくさんのコメントが頂戴できるのではないかというふうに期待されます。そうした一般の方々からの御意見、専門家の方々からの御意見も踏まえながら、今後、残された問題についてさらに検討を続けていかなければならないというふうに思います。
また、販売・勧誘の問題は、新しい事態に直面しているというふうに思います。
一つは、インターネットをはじめとする、いわゆる電子取引が進展しているという中での販売・勧誘のルールをどうするかという問題であります。もしかしたら「販売・勧誘」というような言葉さえ、もう古くなってしまって、新しい言葉を作らなければならないのかもしれません。
さらに非対面取引、フェース・ツー・フェースではない形で取引が行われる。あるいは国境を越えてクロスボーダーの取引も恐らく今後増えてくるでしょう。こういう場合にどう対処するかという点も視野に入れなければならないというふうに思います。
集団投資スキームにつきましては、現在幾つかの制度が存在するわけでありまして、そういう現在の制度というものの存在を十分念頭に置いて、具体的な検討を進めていかなければならないというふうに思います。
要するに、以上が我々の「「中間整理(第一次)」の概要でありますが、いわゆるビッグバン、金融システム改革が今後もさらにその影響を広めていくでしょう。それを十分に踏まえながら、以上のような検討を行っていくことで、最終的には既存の業態別の法制という枠組みを抜本的に見直しまして、横断的な法制の検討というものが視野に入ってくるものではないかと考えられます。
以上が金融審議会第一部会の「中間整理(第一次)」に関する概要であります。
この「中間整理」そのものには、御覧になっていただければわかりますが、一番初めに「中間整理にあたって」ということで端書きがあります。その後、めくっていただきますと、ピンクシートの前に「金融審議会第一部会「「中間整理(第一次)」の構成」ということで、まず、本日、御承認をいただく予定の本文がございます。その後、ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループのレポート、集団投資スキームに関するワーキンググループのレポートがございます。そして、それぞれの後に専門家の方々の御意見が付いているわけであります。
三段重ねの非常に大部なものでありまして、一度に御意見をいただくということはなかなか難しいかと思いますが、「中間整理」の本体、部会報告の部分につきまして、第一部会の委員の皆様から最終的な意味での御発言なり、補足を頂戴できれば幸いだというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
やや私は右の方に向きながら司会をしなければならない。向こうの方よりも、こちらの方を向きながら司会をさせていただきますので、どうぞ、どなたからでも結構です。御発言を頂戴したいというふうに思います。
いかがでございましょうか。
御発言がないようでしたら、二つのワーキンググループのそれぞれのとりまとめ役を頂戴いたしました集団投資スキームに関します神田委員、ホールセール・リーテイルの山田先生、ワーキンググループのとりまとめに当たられた先生から、もしも御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
神田さん、どうぞ。
○神田委員 神田でございます。
ワーキンググループの進行役をさせていただきまして、集団投資ワーキンググループに御参加いただきました委員及びオブザーバーの方々には大変熱心に、また、前向きに御議論いただきまして、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
私、1点だけ感想なんですけれども、ルールを今後整備していただくに当たって問題となる点、あるいは詰めていくべき点は、それなりにワーキンググループのレポート、それから、この第一部会でのレポート案でかなり出ていると思うんですけれども、いつも感じることですけれども、議論をしているときは楽しいと言ってはちょっと失礼かもしれませんが、私などは楽しいんですけれども、これを実現していくというのが、言うは易く、なかなか大変なことかと思います。
そういう意味で申しますと、一生懸命議論したわけですから、今後予定される、世の中に公表して、各界からの意見を求めて、それを反映して、さらにその前へ進んでいく中で、とにかく良いものは早く実現する。そういう意味で早期実現へ向けての努力をぜひ関係者の方々には強く進めていただきたいと思います。
以上です。
○蝋山第一部会長 ありがとうございました。
山田先生、何かございませんか。
○山田委員
一言お許しいただきたいと思います。第一部会のホールセール・リーテイルWGの進行役をいたしました山田でございます。
6月22日にワーキンググループの最終会合の際に、メンバー・オブザーバーの方々から、今後の課題について御発言をいただきましたが、その中で多く指摘された点を1点御紹介させていただきたいと思います。
今、神田先生が御指摘なされたことと重なるわけですけれども、スピードが重要だろうと。私どものワーキンググループでは、販売・勧誘についての横断的なもので、そして、取引ルールと業者ルールを組み合わた形での規律というものの一定のイメージを打ち出すことができたわけですが、まだまだこれで終わりというわけではなくて、これを実現するにはまだ多くの作業が残っており、しかし、それをスピードに配慮して進めていただければというふうに私も考えておりますし、メンバー・オブザーバーの多くの方々の意見でございます。御紹介させていただきます。
ありがとうございました。
○蝋山第一部会長 ありがとうございました。
第一部会のメンバーの方々、ほかに御意見を頂戴できませんでしょうか。お二人のワーキンググループの取りまとめ役の方々は同趣旨の御発言を頂戴したと思いますが、いかがでございましょうか。
一番発言が多かったのは、私の大体の推測では原さんではないかと思いますが、中間的な締め括りとして、いかがでしょうか。
○原委員 実際に議論は神田先生おっしゃられたように大変楽しかったというのでしょうか、いろんな話ができてよかったように思いますけれども、これを具体的に実行していくというところでは、その実効性の確保の部分というところがまだ議論として十分詰めておりませんし、それから、既存のいろんな自主的なルールがありますけれども、そことどういうふうに絡めていくのかというところもまだまだだというふうに思います。
それから、適合性の原則のところも、本当に具体化していくとどういうふうにやっていくのかなというのが難しいところがあって、これは意見として私どもの方からまたこれを基にして出させていただきたいとは思うんですが、商品規制の話ですね。この商品は一般の利用者には提供できないんじゃないかなという商品規制とも絡めたようなことはできないのかという議論もしておりまして、説明義務のところも、生保の転換の話なんかも随分新聞記事を賑わせておりますけれども、説明義務とか、適合性原則とか、勧誘とか、いろいろ言葉は出ていますけれども、これを具体化していく、肉付けをしていくそこのところに、これを公表したところでまたいろんな御意見をいただけて、秋以降の実質的な議論を進めることができたらなということを中間的には思っております。
○蝋山第一部会長 大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
ほかにございませんでしょうか。
一番発言が少なかった方が何人かおられる。吉野さん、どうですか。
○吉野委員 ほかのところで意見を申し上げようと思っております。
○蝋山第一部会長 パスするならパスしてもいいです。
○吉野委員 では、パスして、また次のところで。
○蝋山第一部会長 柳川さん、どうですか。
○柳川委員 私はワーキンググループに出させていただきまして、部会にも出させていただきまして、私もいろいろ議論することができて勉強になりましたし、楽しい思いをさせていただきました。
それで、先ほどスピードとかいう議論が出ましたけれども、それにかなり関係する話なんですけれども、やはりこの分野に関しましては、将来の技術発展がかなり急速になることが大いに予想されておりまして、世の中、5年先はどうなるかよくわからないような状況でございます。
そうしますと、まず、法整備を早くやっていただくということのほかに、ある程度の将来の不確実性に見合った柔軟性のあるルール作りをできないものかというふうに常々思っているわけでございます。これは言うは易くでございまして、なかなか難しいことなんですけれども、将来、今まで予想してなかったような発展が起きたときにもこういうルールがうまく適用されるようにということをぜひ今後考えていけたらなというふうに思っております。
感想めいたことでございます。
○蝋山第一部会長 ありがとうございました。
5ページに「今後構築される制度は、簡素・柔軟・即応的、機敏なものでなければならない」と、まさにそのとおりだというふうに思います。
一番最後は田中さんに締めてもらう。その前にクーさん、どうぞ。
○クー委員 一つ言葉の問題なんですけれども、説明義務の中で情報提供義務という、「情報」という言葉が使われているわけですけれども、この言葉をどのくらいまで解釈するかによっていろんな問題が発生するんじゃないかなという気がするんですね。
といいますのは、いわゆる商品知識の部分と、それから投資情報、まさにそれを見て投資すると、そのブルーバーグにばっと出たそれを見て、売り・買いとやる情報の部分と、これをまず二つ分けなくてはいけないと思うわけですけれども、商品知識の中でも、つまり消費者にこれはどういう商品ですかと説明するときでも、最後はかなりの部分はファンドマネジャーの裁量に関わる部分がどうしても出てくるわけですね。そうすると、なぜそのときに売ったんだと、そのときにヘッジ売りしてなければ、もっと高いリターンになったはずだという議論がどうしても出てきちゃうわけで、そういう意味では、まず、投資情報と商品知識と分けるという表現と、それから、同じ商品知識の中でも、最後はファンドマネジャーの裁量に任されなければならない部分があるというのをどこかに明記した方が、このまま書いちゃうと、消費者としては何でも知る権利があって、そこでヘッジ売りが出るとは思ってなかったというような話にある人が解釈しちゃうんじゃないかなという懸念がちょっとあるんです。
○蝋山第一部会長 私の概要では確かにそういう可能性あるような形になっているかもしれませんが、本文の方ではある程度情報ということについても重要事項。その重要というのは何かということは、これはいつまでも続くわけなんですけれども、クーさんの御指摘については、ある程度の−−十分御満足いただけるかどうかわかりませんが、本文の方ではされているというふうに私は読んでおります。
お待ちどうさま。田中さん。
○田中委員 率直な全体の感想を申し上げますと、今回の一連の作業は、非常に手続的に、この前の金融審議会の前にあったサービス法を作る懇談会があって、その結論を受けて設置されて、そして、まだこれは中間整理ですから、この後また議論が行われていくということなんでしょうけれども、経済に関わる分野でもし本を書くとしますと、非常に抽象度の高いテーマの本でしたら、2年前あるいは5年前に目次を立てて、その間、一生懸命勉強して、5年後に本が出るということでも、多分本の構成を変える必要がほとんどないと思うんですけれども、もし現実の問題について1冊本を書こうと思いますと、もちろんその時点で目次を立てます。勉強いたしますけれども、それが出版の段階になると、その目次どおりにやって現実がフォローできているかというと、まずフォローできてない。フォローできてないだけではなくて、一度仮説として立てたものを引っ繰り返さなければいけないというぐらいの、この間大きな変化が起きているわけです。
ですから、アクチュルな問題を取り扱ってのなかなか良い本は残念ながらないというのが現状なんですけれども、それは筆者の力量もさることながら、ここのところの日本経済を取り巻く大きな環境の変化があると思うんですが、この投資サービス法に関わって言うと、この2〜3年の間でもものすごく情勢が変化してきているわけです。
それに対して法案を用意して、その後、政省令も付けてというような手順になっていくんだと思うんですが、果たしてそういうことで間に合うのかな。我々が今見聞きしているケースで言うと、判例法を中心として、そして、基本自由で、もし問題が起きれば、最終的にはコートで、あるいはその前でコートに行くのが手順が問題があると、時間がかかり過ぎとなれば、裁判外紛争処理、ADRという仕組みで問題を整理するというような、要するに失敗も含めていろんなプラクティスが積み重なる中で、結果として、ザ・ベスト・プラクティスというものが抽出される。それを通じて資源配分が行われることが、結果として事業会社をいっぱい群生させ、職場を増やすということにつながっているというのを我々見聞きしているんじゃないか。
実際にこういう審議会である時期からはずっと多分私出ていると思うんですが、いろんな御意見が出ます。確かにそうかなと思う面もありますが、例えば、金融取引において、一般投資家が結果的には思ったものが実現しないような商品を間々つかまされることがあるということから、議論の中にはクーリングオフというのは入らないかとかという議論があったんですが、これは羽布団やベッドを買う話と違いますから、引き取ってもらうというわけにいかない種類のこと、そもそもそういう性格のものですよね。
ですから、投資家保護というのは確かに重要なことですから、それを例えばプルーデント・マン・ルールとか、ごく基本的なフィデューシャル・デューティーに関わる法制をきちっと整備する必要があると思いますけれども、個々にわたって成文法として書いて、政省令を付けて、これにはまだ漏れがあるという類の対応というのは本当に正しいのか。
昨今のように資本市場についても市場間競争というものは現実に出てきているわけですから、日本相撲協会の土俵ではなくて、例えば花籠部屋が力士にどんどん登場させて、観客席を桟敷にして切符を売るというところまでやっていいということになっているわけですから、改正証取法で。市場間競争がそこまで入ることを前提としているときに、個別の商品について、やっぱり私は今でも違和感が残るのは、例えばプロ・アマとか、そういう話で本当に仕切れるのかな、あるいは本当に政省令まで作れると考えておられるのかということですね。あるいは、そこまで作ったものが当初意図したように機能するのかというふうに思うんですね。
ですから、もちろんこの作業はまだ法案になっているわけじゃないですから、いろいろ議論していくことは非常に重要ですし、これでパブリック・コメントを求めるということになれば、これは非常に貴重なデータですから、例えば裁判所でとかADRでこういうことが議論されていると。これは問題を大変良く整理されているから、これを勉強して、コートで裁判官が判決文を書くとか、あるいは仲裁に当たった人がここで出ている問題点を前提に一つ一つについて、ある種のソリューションを出していくというためには、大変勉強すべき立派な報告書だと思いますが、本当にここまで書き込んだ法律を書いて、政省令を作るんですかというのは、私はやっぱり本当かなと思っているんです。
○蝋山第一部会長 田中さんらしい御意見を頂戴いたしました。ということも含めて、今後、この「中間整理」の発表の後の対応というものをしていきたいというふうに思います。そして、ザ・ベスト・プラクティスだけじゃなくて、プライティスト・プラクティスに作っていきたいというふうに思います。
まだまだ御意見はあろうかと思いますが、ここで確認をさせていただきたく思います。こういう形で、この本文ですが、まずは第一部会として、第一部会の「中間整理(第一次)」をとりまとめさせていただくということについて、最終的にここで御了解を頂戴したいというふうに思います。
これがどんなふうに今後使われていくかという点については、さらに我々第一部会の方でいろんな御意見を頂戴して、考えていきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。よろしゅうございますね。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○蝋山第一部会長 それでは、第一部会の「中間整理(第一次)」をこのような形でとりまとめさせていただきます。
この「中間整理(第一次)」につきましては、本日この場で、ただいま総会に提出させていただいたというふうにさせていただきたく思いますので、貝塚さん、よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
次に、第二部会の審議に移ります。倉澤第二部会長、進行の方をお願いいたします。
○倉澤第二部会長 第二部会長の倉澤でございます。 第二部会では、「安心で活力ある金融システムの構築」というテーマの下に、現在を出発点に、21世紀の金融システムに向けての問題解決の積み上げと環境整備に取り組んでおり、去る3月に預金保険関連で「特別保険料率の据え置き」を提言させていただいたほか、金融システム改革の積み残し、規制緩和等の個別問題に鋭意取り組んでまいりました。
今回は、「保険相互会社の株式会社化」、「預金保険制度」の二つのワーキンググループの検討内容につき、部会名での公表資料を作成しております。名称からも明らかなとおり、ワーキンググループで扱っておりますテーマは、それぞれ独立した個別専門的事項であり、第一部会のような統合にはなじみません。また、二つの検討課題は、事柄の性質や対象範囲、要検討項目数等もまちまちであり、検討の進捗状況も一様ではありません。こうした事情に鑑み、第二部会ではワーキンググループそれぞれのテーマに対応した独立の資料を作成いたしました。また、その進捗状況に応じ、株式会社化ワーキンググループからの資料は「レポート」と、預金保険制度ワーキンググループからの資料は「論点・意見の中間的な整理」と、それぞれ呼び分けております。ここで「レポート」と称しておりますものは、与えられた範囲の課題について概ねの整理が行われたものという位置づけであり、公表して広く意見を募ることを目的に作成されております。「論点・意見の中間的な整理」は、現時点での審議状況を中立的に整理・公表するという位置づけであり、公表によって検討状況を世に知っていただくことを意図しているものであります。
以上の「レポート」及び「中間的な整理」のたたき台の修正につきましては、前回の第二部会第7回会合において、私方に御一任いただいておるわけですが、本日は、その修正案に最終的な御了解をいただく意味で、御担当いただきましたワーキンググループからそれぞれ御報告をいただきます。
では、まず、「保険相互会社の株式会社化」を担当された山下座長からよろしくお願いいたします。
○山下株式会社化WG座長 保険相互会社の株式会社化ワーキンググループで座長を仰せつかりまして務めました山下でございます。よろしくお願いいたします。
このワーキンググループでは、本年1月29日以来9回の会合を開催いたしまして、そこでの審議をとりまとめたものが席上の資料、第二部会8−2−1、「保険相互会社の株式会社化に関するレポート(案)」というものでございます。なお、この資料編といたしまして、同じく8−2−2というペーパーがあるかと存じます。こちらも適宜御参照いただければと思います。
ワーキンググループの審議結果を踏まえまして作成しましたレポート案は、前々回の第二部会で御審議をいただきまして、先ほど倉澤部会長のおっしゃいましたように修文が若干行われております。
1点だけ申し上げておきますと、池尾委員から御指摘のあった点ですが、これは8−2−1の真ん中辺にピンクのシートが入っておるかと思いますが、その次が目次でございまして、その次から下の方にページが打ってございますが、1ページの一番冒頭、「検討の背景」そこのところが、「金融を巡る諸条件の変更及びそれに対応するための金融システム改革の進展等に見られるように、」というような修文をさせていただきました。あともう1カ所小さい修文がございますが、これは説明を省略させていただきます。
このレポート、目次を御覧いただきますとわかるように、かなり細かい技術的な点について多面的に述べておりますが、概要につきましては、この8−2−1の上から6枚目を御覧いただきますと、ここに概ねの概要が5ページにかけて出ております。ただ、これにしても、10分で説明するには相当細か過ぎますので、資料編の8−2−2を1枚おめくりいただきまして、1ページのあたりからとりあえずお手元に開いておいていただければと思います。
この資料編の1ページにございますように、保険事業を取り巻く環境が近年急激に変化しておりまして、保険会社においても、自己資本の充実でありますとか、事業展開の多角化の要請というものに対応しなければならなくなっておりますけれども、相互会社形態のままでは自己資本の充実の方策に限界があるということでありますとか、事業の多角化に必ずしも柔軟に対応できにくい面があるということで、このような課題に対して、より柔軟に対応できる株式会社への組織変更、またの名を株式会社化と申しますけれども、これが国際的に見ましても重要な経営の選択肢として認識されるようになっていることがございます。
この株式会社化というのは、我が国でも現行の保険業法の下で既に認められているところではございますが、実際に現行の規定を使いまして株式会社化をしようとする場合には、様々な難点があるということが理論であるとか実務の立場から指摘されていたところでございまして、今回の検討では、改めて株式会社化が現実的な選択肢となってきつつある今日において、保険加入者が相互会社では社員となるわけでございますけれども、そういう保険加入者の利益の十分な保護に留意しつつ、制度的な側面から見直すべき点は見直していこうということで検討したものでございます。
その主要な点もいろいろあるわけですが、本日は、特に制度的な面で大きな改正となる2点についてお話しさせていただきます。これが資料編の2ページと3ページでございます。これはちょうど上下で見やすいのでお開きいただければと思います。
2ページを御覧いただきますと、これが現行制度による株式会社化のイメージでございます。相互会社には、保険会社たる性質上、保険加入者である社員が
100万から1,000
万の桁で存在しておりまして、これら社員に組織変更の一般原則に従いまして会社財産に対する実質的な持分である寄与分に応じて、株式を割り当てていくわけでございますが、商法では1株式の最低発行価額5万円というような制約が我が国ではございます。そうすると、通常の小口の保険に加入している社員には1株に満たない端数の割当てしかなされませんので、一番右の?にございますように大量の端数株主が発生いたします。
端数株主も幾つかの段階があるわけでございまして、真ん中の4段に分かれておりますが、端株未満の端数割当て、これは1株の
100分の1に満たないという部分でございます。これについては会社の方で一括売却して現金を交付するという形で社員権に対する補償がなされるわけですが、上から2段目の端株、
100分の1以上1株未満の部分につきましては売却するスキームが現行法ではございませんで、端株として存続する。これが保険会社では非常に多数に上りますので、端株管理コストの問題などが発生いたしまして、株式会社化をしたいというふうに考えましても、この点がそれを躊躇させる大きな要因となり得るということがございます。
そこで、検討した結果が3ページの下の方のページでございますが、端株未満相当部分のみならず端株相当部分、要するに1株分もらえない、そういう端数部分につきましては、これを全部会社の方でとりまとめまして一括売却をし、その売却代金を寄与分に応じて分配するということで、社員権に対する補償をしようということでございます。商法の基本的な考え方とは若干食い違ってくるわけでありますすが、保険相互会社は非常に多数の小口の社員がいる。こういうものが組織変更するという場合には、こういう制度もそれなりに合理性を有するのではないかということでございます。
当然のことでございますが、一括売却をするという場合には、公正な手続に従って、かつ、公正な売却価格で売却が行われるということが必要になるわけでございまして、レポートの中では、後ほど御覧いただきますと、その点についての配慮もしているところでございます。
次に、2ページの方へ戻っていただきまして、2ページの点線の下の方でございますが、現行の制度では、株式会社化をする際に、同時に、あるいは株式会社化をした直後に資本を増強するということに対する法的な手当てが必ずしも十分ではございません。株式会社化をした直後に新株を発行して増資をすることはもちろんできるわけでございますが、授権資本枠拡大のための定款変更でありますとか、新株発行における有利発行規制との関係で株主総会の特別決議を要する場合が多いのではないかと思われますけれども、多数の社員を株主にいたしておりますので株式所有が極端に進んでおると、こういう場合には、定足数の規制等から特別決議を経ることもままならないという状況が生じかねないということでございまして、そこで、3ページの下の方を御覧いただきますと、これを少し修正いたしまして、組織変更と同時の株式の発行、あるいは直後の新株発行による資本増強というふうなものをより行いやすくした。組織変更手続の中で新株発行の手続を進める、あるいは株式会社化の直後の新株発行について、予め決議を経ておくと、こういうふうなことを可能にする法的な手当てを提案しているということでございます。-」ィ
この2点が現行制度と比べると非常に大きな修正点というか、改正点になろうかと思います。
ただ、このほかにも幾つかの改正点がこのレポートには含まれておりますし、それから、寄与分という各保険加入者の実質的な持分の計算方法など、法律上のルールは変えなくてもいいけれども、今後、株式会社化を実施する上で詰めていかなくてはいけない技術的な問題、あるいは実務的な問題がたくさんございます。そういう問題についてもある程度の基本的な考え方をこのレポートの中では明らかにしているというふうに御理解いただければ幸いでございます。
私の方からは、以上でございます。
○倉澤第二部会長 どうもありがとうございました。
引き続き、「預金保険制度」について、神田座長よりよろしくお願いいたします。
○神田預金保険制度WG座長 預金保険制度に関するワーキンググループで座長を務めさせていただきました神田でございます。
お手元の第二部会の資料の8−1と8−3を御参照いただければと存じます。8−1の2枚目に預金保険制度について簡単に、現在第二部会としてどういう位置にあるかということが書いてございます。
その第2パラグラフにございますけれども、この預金保険制度に関するワーキンググループは、本年の3月には特別保険料率の据え置きを提案し、第二部会でその点を御審議いただき、提案という形で御決定いただきました。そのほかに、そこに書いてございますように、預金保険制度のあり方についての基本的な考え方、保険金の支払方式、それから一般資金援助方式、それから、破綻金融機関の継承先が見つからない場合やシステミックリスクが予想される場合の対応、それから付保対象、保険金支払限度額、預金保険料、そして、預金者に自己責任を問いうるための環境整備といったような問題につきまして、論点の絞り込みと意見の整理を行って、今日に至っております。
このような論点・意見につきましては、まだ十分に集約されているという段階にはございませんが、審議の公開と問題意識の共有という観点から、第二部会にも報告し、そこでも御審議いただいております。
第二部会では二度にわたって御議論いただいていると承知しておりますが、お手元の8−3の資料でございますが、この資料の基となるものはといいますか、前のバージョンでありますけれども、前回の第二部会に報告をし、そこで御審議をいただきました。
本日は、時間の関係もございますので、この8−3という資料は、前回の第二部会で御議論いただいたものを踏まえまして、前回提出したものに若干の追加を加えております。しかし、それ以外の部分は同じでございますし、前回の第二部会ではこの資料を事務局から読み上げていただいておりますので、以下、簡単に主要な項目、それから、前回の第二部会以降今回追加させていただいた点を中心に、私なりに御報告をさせていただきたいと思います。
この資料の性格でありますけれども、1ページ目の点線というのでしょうか、囲みが上にあります。この点、実は前回お出ししたものに追加した点なんですけれども、明らかだと思いますけれども、これは前回の第二部会でも申し上げたことですけれども、2点ほどの前置き的なことがございます。
第1点といたしまして、これまで出されました論点・意見等をこの時点において中間的に整理したものが今回のこの資料の性格であります。したがいまして、様々な論点・意見をいわば並列的に「論点・意見」という欄に並べていったものでありますので、論点・意見の中には抽象度の非常に高いもの、あるいは非常に高度な政策的な判断ないし決定が求められるものから、非常に具体的な、私どもの言葉で申しますと、法技術的な論点・意見の中にも法改正を要するもの、あるいは現在の法制度の下での法解釈に関わるもの、あるいは実務運用に関わるものといった具体的な論点・意見まで、そういう意味ではばらつきがあるものをいわば並列的に並べたものであります。
ただ、預金保険制度に関連して検討を要する論点といたしましては、かなり網羅的にここに取り上げることができているというふうに思います。
それから、前置きの第2点ですが、これも前回申し上げたことですが、今回の中間的な論点・意見の整理として掲げてあります事柄は、いわゆる特例措置終了後の預金保険制度の姿はどうあるべきかということについてのものであります。すなわち、その囲みにも書いてありますように、2001年3月末までは預金全額保護という特例措置が政府によって宣言されております。その後の預金保険制度のあり方について、基礎的・実務的な検討を行い、論点・意見を中間的に整理したものであります。
以上でありますが、あとが前置きでありまして、若干主要な点を、前回の事務局からの説明と重複する面もあるかもしれませんけれども、述べさせていただきます。
1ページ目にまず「預金保険制度のあり方に関する基本的考え方」として、目的、役割、機能についての論点・意見が並べてあります。
最初の○にありますように、そもそも預金保険制度の目的というのは、そこに「信用秩序の維持」と書いてありますが、さらにその機能として、預金者保護のほか、決済機能の保護も含むと考えるべきか。
また、金融機関の借り手の保護をどこまで考慮すべきかというのが一つの論点です。
その次の○にありますように、預金保険制度の役割・機能を考えるにあたっては、これをできるだけ限定的に考えるべきではないかという考え方、意見も出されております。
2ページ目にいっていただきまして、最初の○ですけれども、預金保険制度は、その制度を独立して取り上げて、そのあり方を論ずるのではなく、銀行監督政策のあり方と併せて、その中で預金保険制度のあり方を議論しなければいけないということで、この点は前回お出しした点に一部追加しておりまして、銀行規制システム全体の中での位置づけを議論する必要があるのではないかという点は、今回追加させていただいた点であります。
その下、丸が三つほどありますが、上の二つの丸は、いわゆる早期発見・早期是正というものを前提とすれば、いわば小さな預金保険制度を目指すというのがよいのではないかというのに対しまして、三つ目の○、2ページ目の下から二つ目の○になりますけれども、これはむしろある程度弾力的に考えていいのではないかということであります。
これらの点は、本来、預金保険制度の根幹に関わるというか、基本的な考え方に関わる部分でして、政策的な判断の決定というものが求められるものであります。
私の感想といたしましては、こういった問題はどこかの時点で集中的に御議論をいただく必要があるのではないかというふうに感じております。
3ページへ移っていただきまして、破綻処理のあり方でございますけれども、最初の二つの○に書いてありますことは、よく2001年4月以降ペイオフ開始などと言いますけれども、その意味が二つの意味があって非常に混乱を招いているので、その点をきちんと区別する必要があるということであります。
つまり、2001年4月以降という話はペイオフ開始という意味は、ペイオフということがあり得ると。すなわち特例措置の終了という意味であって、実際にペイオフをするかどうかは、ペイオフがあり得るという中で決められる問題であるので、この二つを区別すべきだということです。
二つ目の○に書いてありますのは、狭い意味でのといいますか、本来の意味でのペイオフが起きた場合に、
1,000万円を超える部分はもうゼロだという誤解が世の中にあるようですけれども、アメリカなどの例でも、超える部分も96〜97%は返ってきておりまして、日本の場合でも余り軽々に予想を言うのはどうかと思いますが、そういうことがあっても90%ぐらいは多分返ってくると。これは早期是正等にも関係しますので、そういうことも十分考えられると思いまして、その辺の誤解を解く必要があるのではないかということであります。
いずれにしましても、三つ目の○で、ペイオフコストの範囲内で、かつ、社会経済的コストの小さい処理方式を選ぶことを原則とすべきではないかといった点が基本的な重要な論点かと思います。
4ページ目へいっていただきまして、そこには一つ目の○価格メカニズムができるだけ働くような工夫。
二つ目の○これは現在の預金保険法本則にある二つの方式に加えて、その他の破綻処理方式も整備する必要があるのではないかということであります。
三つ目の○は、前回の第二部会での御指摘を受けて追加させていただいております。アメリカの制度を参考にするのはもちろん望ましいことかと思いますけれども、日米の制度の違いにも十分に留意する必要があるのではないかということでございます。
5ページ目からは、多少具体的というか、実務的な論点になりまして、保険金支払方式。その5ページ目に書いてあることは、一番上の○にありますのは、とにかく迅速に行うことが大事ではないかということ。
それに関連して、実務的に二つ目の○から、名寄せというのを迅速、正確に行うための制度整備というのでしょうか、実務的な検討が必要なのではないかということであります。
6ページ目にいっていただきまして、上から二つ目の○は、完全な名寄せを迅速にするのに困難であれば、ここは正確性か迅速性かというトレード・オフということかと思いますが、ある程度正確性を犠牲にしても、迅速にして、あと調整するということもあり得るかどうか。このあたり、実務的に最終的に詰めなければいけないかと思います。
6ページ目の下の方、仮払金。
7ページ目へいきまして、預金等債権の買取り。この預金等債権の買取りも重要ですが、そこには3点ほど論点・意見を整理してあります。
8ページ目へいきまして、一般資金援助方式。これもまず営業譲渡の迅速化ということで改善を要する点を一般的な論点・意見として8ページに三つ挙げてあります。
一つ目の○にありますように、アメリカのP&Aと呼ばれている方式がありますが、さらに日本でもそれを参考に、預金者に負担を求めつつ、より迅速に資産・負債を移転させることを可能とするような制度を導入すべきではないかというような論点であります。
9ページ目へいきまして、だんだん法律的な話になりますけれども、司法手続における営業譲渡について4点。それから、ロ)としまして、司法手続外における営業譲渡について5点。これは10ページまでですが、そしてその他、10ページ下の方で3点の論点・意見を整理してあります。
11ページへいっていただきまして、流動性の問題でありまして、これはなかなか悩ましい問題でありまして、法律的にも難しい問題であります。11ページでは法技術的な問題を上の二つの○で指摘、整理してあり、その下の二つの○は、むしろもう少しポリシーの政策的判断に係る問題かと思います。
続きまして、12ページもその続きでありますけれども、今申し上げた分類で申しますと、12ページでは一番上と一番下の二つが法技術的な論点であり、真ん中の二つが、もう少し政策に関わる論点かと思います。
13ページ目ですが、破綻金融機関の承継先が見つからない場合やシステミックリスクが予想される場合、これもなかなか重要な問題で、難しい問題ですけれども、5点そこに整理してあります。
14ページと15ページは付保対象でありまして、これは見ていただければわかると思います。
16ページが保険金支払限度額。それから、その下、16ページの下、預金保険料・責任準備金につきましても、これはそれぞれの○の性格はちょっと違いますが、最初の○は基本的な考え方。二つ目○、16ページの下から言うと三つ目になりますが、これは要するに、お金がなければ保険金も支払えないという話でありますけれども。それから、16ページの下二つと17ページの最初の○が、いわゆる可変保険料率をどう考えるかということについての論点・意見であります。
最後に、17ページの最後の三つの○は、そこには「預金者に自己責任を問いうるための環境整備」という題名に一応整理してありますけれども、これは最初の総論とも関連いたしますが、むしろ2001年4月までにやっておくべきことという観点からの論点・意見をここで並べさせていただいたわけであります。
そういうわけでありまして、中間的な整理であり、論点・意見を並列的に並べた性格のものですけれども、今後、必要なところから集中的・重点的に御議論をいただくことによって、前へ進んでいくことが今求められている状況にあるのではないかというふうに私は感じております。
以上でございます。
○倉澤第二部会長 どうもありがとうございました。
第二部会名での公表を予定しておりますのは、以上二つでございます。多岐にわたる専門的な検討であり、一度に御意見をいただくことはなかなか難しいとも思いますが、第二部会の委員から、最終的な意味というのは、蝋山先生がおっしゃったように中間的最終的な意味での御発言・補足等をいただければと思います。
堀内委員、どうぞ。
○堀内委員 私、預金保険制度に関する論点のところについて少し意見を述べさせていただきたいんですが、これは前回お話ししました点もありますが、この中間的な整理については、ワーキンググループの方でいろいろ検討された御意見が出てきているわけであって、中には私にとっては理解しがたいものもありますけれども、これはしようがないということだと思うんです。
問題は、私たちの部会の役割として、もうちょっと我々の部会の考えていた、あるいは考えるべき方向性をはっきり出した方がいいんじゃないか。つまり、この整理された案では、いろんな論が並列的に並べてありますけれども、そういう点で言うと方向性は非常に見にくいものになっているんじゃないかと思うんですね。ですから、私の個人的な意見としては、第二部会として、もう少し預金保険制度のあり方に関する方向性を、以下に申しますような形で鮮明にしてほしいというふうに思います。
それは、何といってもペイオフ、広い意味でのペイオフと考えていいと思うんですが、これは神田先生が少し御説明になった点と関係します。ペイオフがフィジブルであると。つまり選択しようと思えばできるんだというふうに法制度を整備する必要性をはっきり出して、それに向けて作業するというふうにしないだめなんじゃないかと思うんですね。
それは二つぐらい理由がありまして、一つは、新聞報道によればですが、総理大臣は公約されておられるわけです。つまり、特例措置終了後はペイオフ解禁しますと。つまり解禁を延期はしないんですというふうにおっしゃっています。ところが、私がいろいろ聞いた範囲では、現在の法制度の枠組みの中では、ここにも触れてありますように、ペイオフを実施しようとすれば、それは例えば預金の払い出しにしても、あるいはP&Aによる処理にしても、預金の一部カットを伴う作業は非常に時間がかかってしまって、結局、技術的に言うと、そういう形の手続を進めることは現在の状況の下では不可能だというふうに理解しているわけです。それが本当なのか、後で御議論いただきたい。私もそういうふうに理解しているわけなんですが、そうだとすると、幾ら総理大臣が公約されておられても、実際現行制度のままでいけば、その公約は実は絵にかいたもちのようなものであって、例えば実際に実行しようとなった場合には、実行できないようなものである。このことは多くの関係者が理解されておられて、だから、このままじゃまずいんじゃないかと思うんですね。それが第1です。
それから、もう一つは、これは前回の第二部会でサーキュレされた深尾さんのメモにありましたが、モラルハザードがやはり頻発しておる。前回、深尾さんは最近の例を挙げておられますが、それは、破綻に瀕した銀行はかなり高いレートを出して多額の預金を集めている。これは、しかし、最近起こったことだけではなくて、例えば、私がよく知っている例ではコスモ信用組合、名前を挙げてはちょっと悪いですが、マンモスなんて、名前がごついんですが、預金が出されて、その金利が非常に高くて評判呼んで、その後で破綻したという例があります。これは典型的なモラルハザードですが、つまり、預金の一部カットがあり得るというような状況にならないとモラルハザードの頻発はやはり今後防げない。そうすると、今の制度的な枠組みの中では、一般納税者の負担、あるいは預金保険機構そのもののバイアビリティが損なわれるということは目に見えていると思うんですね。
ですから、そういう点で申しますと、フィジブルにするべきである。しかもそれは、フィジブルということは、例えばアメリカで実際に実行されている程度の迅速性を持って、ペイオフなり預金の一部カットが進められるという枠組みを早急に作らないと非常に具合が悪いんじゃないかというふうに思いまして、その点をぜひ、そういう点は我々の共通の認識であり得るんじゃないか。つまり実際にペイオフを実施するかどうかは高度に政治的。これは神田先生がおっしゃったことですね。だけれども、実施するときには、実施しようというふうに意思決定すればできるんだというふうにしておかないと非常に具合が悪いんじゃない。
このペイオフの制度は、法律ができた1971年の段階から盛り込まれているんですが、30年たってもまだフィジブルでないというんだったら、ちょっとおかしいと思います。
以上でございます。
○倉澤第二部会長 ありがとうございました。よくわかりました。
その点が一つは、この論点で対立的なものが併記されていて、神田座長からのお話で、早い時期に政策的決定をすべきものについては、してもらわないと進まないというような話もございましたし、その上で、この中間的な論点・意見の整理の中では、そういうことを明示するような形でできているかなという感じもしたわけですが、いずれにしても、中間的なといっても、お話のように現行の預金保険法の期限は近づいているということは、第二部会長としても十分了解はしております。
池尾委員、どうぞ。
○池尾委員 今、倉澤部会長がおっしゃったことと実質的にはほとんど同じことになるので、ちょっと重複する形で申し訳ないかもしれませんが、私自身、預金保険制度に関するワーキンググループのメンバーをしているんですが、ワーキンググループでは、ありますように基礎的・実務的な検討を行うことになっているわけですが、その基礎的・実務的な検討を行う際にも、先ほど神田座長からもありましたように預金保険制度それ自体の位置づけという基本的なところでの政策的判断がないと、基礎的・実務的な検討自体が成り立ちがたい部分が非常に多い。
もちろんそういうことと関係なしに検討できるポイントは別途存在して、そういうところについては比較的議論が進んで、例えば、名寄せの問題等については比較的議論が進んだと思うんですけれども、それ以外の部分については、やはり前提となる預金保険制度の位置づけということが明確でないと、実務的な議論すら非常にしにくいという事情があると思うんですね。
そのために、私自身も反省しなければいけないと思いますが、結果的にはやはり検討が非常に遅れているんじゃないかというふうに思っておりまして、そうしたときに、では、その政策的な判断の部分はどこで議論するのかということで、それは預金保険のワーキンググループが議論するべきことというよりは、やはり第二部会の場で議論していただかないといけないことではないか。
当初からそういう切り分けなんでしょうけれども、どちらで議論するのかよくわからないまま議論がされないできたという傾向が残念ながらあったと思いますので、そういう基本的な判断について、できるだけ早く方向性を固めるという形で今後審議を行っていっていただきたいというふうに、委員の1人として要望させていただきたいと思います。
○倉澤第二部会長 確かに承りました。
この保険相互会社の株式会社化について、我が国で初めて突破口を開いた江頭委員、何か御感想ございますか。
○江頭委員 私は突破口を開いたとも認識しておりませんけれども、この間の保険業法の改正によってこの制度が織り込まれた。それに杉田委員等と御一緒に参加させていただいたということでありましたので、部会長の御指名でありますので一言申し上げますが、細かい技術的な問題についてワーキンググループには問題を詰めていただいて、大変感謝しております。
それで、一言感想を申しますと、どういう制度になるかなと思って私が関心を持っておりましたのは、社員への補償について、比較的大ざっぱな、監督当局が公正・公平と認めるような基準であればよいというような規定しか置いていない国もあるわけで、しかし、日本でそういうことになると、またまた監督官庁の裁量行政の復活であるということになりかねないので、そういうことにはなってほしくないと思っておりましたのですが、このレポートを拝見いたしますと、その点、そういうことにはならず、問題を詰めて解決していただいて、大変ありがたく思っている次第であります。
以上でございます。
○倉澤第二部会長 どうもありがとうございました。
時間が大分……
○杉田委員 部会長、よろしいでしょうか。ちょっと発言があります。
○倉澤第二部会長 では、恐れ入りますが、簡潔にお願いいたします。申し訳ありません。
○杉田委員 ほとんど議論が指摘されてないので、短時間に指摘できるかどうかちょっとわからないんですけど、私はこの議論に参加できなかったということが一つと。それから、ワーキンググループでどういう議論がされたのかわからないということで、御質問も兼ねて申し上げたいんですが、この株式会社化にあたりまして、保険会社、それから契約者等、双方にとりまして最大の問題が、どうも余りはっきりしないんですね。
それは何かといいますと、今年の保険総代会のレポートなんかずっと各社の報道を見ますと、やはり契約社員の方からは、果たして現行の既契約の保険金が維持されるのかどうかという質問が多数寄せられているわけです。これに対しまして、保険会社のトップの皆さんが、これは答えておられる社とそうでない社とあると思うんですが、報道によりますと、業界全体として検討したいと。つまり破綻処理のときの保険契約を一部カットするということじゃなくて、健全経営のときにおいても保険金の一部削減を検討させていただきたいと、こういうことを経営トップが表明されておられるわけです。これは保険契約者にとっては大変なことでございまして、保険の契約金が、過去に契約した保険金額が守られないということになると、これは保険に対する信頼の問題が根底から崩れていく危険性があると思うんです。
一方、相互会社の立場から考えますと、株式会社にするということは利益を出さなきゃいけない。ところが、過去の利率が高過ぎて、そこに実質損が発生しているということになると、いわば一種の含み損が出ている。言葉が適切かどうかわからないけれども、含み損が出ている。それで株式会社できるか。私はできないと思うんですね。実務的なこと幾ら付けても、リチャード・クーさんが存在されている野村総研が、これは赤字会社だみたいなことをおっしゃると、たちまち株は急低落するということで、実際に幾ら条件整備しても、保険会社は株式会社に実質的に転換できない。ですから、この問題をどうするかということが、実は私は最大の問題だと思うんだけれども、この議論は一体ワーキンググループでは、株式会社転換に絡んで議論されたのかどうか。私が欠席しているときに二部会全体でも、偉い先生たちがここでそろっておられわけですから、議論されたのかどうか、この辺が非常に大事なところだと思うんですね。
○倉澤第二部会長 杉田委員の御趣旨はわかりました。
この今の株式会社化における保険契約者に対する寄与分に基づく株式の問題というのは、保険契約者の持っている権利の中でも社員権の方でして、契約上の権利は、今の仕組みでは、そのまま何ら変更なしという話でございまして、それとは別に今、杉田委員の提案の問題というのは非常に大きな問題として、これは実は株式会社化だけにかかわらず大きな問題となって、恐らくこの金融審議会の第二部会でも、この問題は、今後あるいはテーマに上げられるべき問題かと思いますけれども、今回は、やれない会社は、やれないというような制度を作ったということでございます。
よろしゅうございましょうか。
私いつもの癖で、皆さんに御無礼ばかりして申し訳ありませんが、「保険相互会社の株式会社化に関するレポート」と「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」を、ここにございます形で、第二部会名としてとりまとめさせていただきますことをここで御了解いただきたく存じますが、よろしゅうございましょうか。大変お話がまだ尽きないところ恐縮でございますけれども、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤第二部会長 ありがとうございます。
○杉田委員 論点不十分なまま承認ということでよろしいですか。
○倉澤第二部会長 わかりました。
○窪野参事官
ただいま杉田委員から御指摘いただいた点でございますが、その点につきましては、これまでの部会でも御議論がございました。まさに今後の第二部会の進め方で、部会長とも御相談をこれからしたいと事務局では思っているところでございますが、保険につきましては、株式会社化のテーマは一段落した成果をいただきましたので、今後は、御相談の上、保険分野に係る様々な基本的な問題につきまして、例えば、ただいま御指摘の問題もありますし、これから保険会社についても時価評価が導入されるという問題がございます。さらには、ただいま御指摘のありました既契約の条件変更は、現在は保険業の継続が困難となったような場合に、一つは、監督当局の何らかの措置、例えば保険契約の移転の命令とか、管理人の選任という手続、それから、もう一方での社員自治、例えば総代会の決定等、それを組み合わた手続の中で可能となっておりますが、その辺をどう考えていくのか。
他方で、ただいま法務省で全体的な倒産法制の見直しの議論が行われておりますが、例えば保険、特に相互会社につきましては、会社更生法の適用がないといった問題がございます。その辺についてどう考えるか。こんな問題もございますので、杉田委員御指摘の問題を含めて、第二部会の夏以降の取組みとして、保険の分野で、なおいろいろ御検討いただく必要があるテーマがあるのではないか。その辺はまた部会長とも御相談の上お諮りをしたい、こんなふうに思っております。
○倉澤第二部会長 ありがとうございました。
どうか、杉田委員、御了解をいただきたいと思います。
○杉田委員 はい、わかりました。
○倉澤第二部会長 それでは、保険相互会社の株式会社化に関するレポート」と「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」を第二部会名で取りまとめさせていただきますとともに、本日この場にて、総会に提出した形とさせていただきます。
第二部会名での公表を予定しております資料の審議は以上ですが、第二部会関連ということで「個人信用情報保護・利用の在り方に関する作業部会」の方から、特別に作業部会名での資料を公表したいという話が上がってきておりますので、御紹介させていただきます。
「個人信用情報保護・利用の在り方に関する作業部会」は、御案内のとおり、第二部会と通産省の産業構造審議会、割賦販売審議会の合同設置となっております。合同部会の性格上、審議内容の公表は3審議合同で検討すべきものですが、今回は通産省審議会の開催時期と調整がつかず、検討の中間的な整理をとりあえず作業部会名にて公表したいとのことであります。本日はあいにく、座長の堀部先生が御欠席ですので、事務局の方からお願いいたします。
どうぞ。
○三國谷企画課長 企画課長の三國谷でございます。堀部座長に代わりまして、概要を御説明申し上げたいと思います。
お手元資料といたしまして、第二部会8−4という資料がございます。この資料でございますが、おめくりいただきまして、目次の後のページの1ページ目を御覧いただきたいと存じます。
「本作業部会における検討の位置づけ」でございますが、これにつきましては、○の二つ目でございますが、平成9年4月に、大蔵省銀行局長及び通産省商務流通審議官共同の私的懇談会として、学識経験者で構成されます懇談会が設置されまして、そこの報告書がとりまとめられたところでございます。これにつきましては、後ろにポイントを添付してございます。
そこで、(2)でございますが、「本作業部会設置の経緯」でございます。
この懇談会報告書におきまして、「今後、学界、関係業界、消費者保護団体、関係省庁等によって、新法整備の方向性を念頭に置きつつ、各業法、刑事法、民事法との関係等の法律面や情報システムの開発等の技術面、民間における自主ルール等を含めた多様な観点から検討が行われることを期待したい、また、法的措置のタイミングにかかわらず、新たに研究会などを設け、更に検討していくことが必要」という具合になっているところでございます。
こういったことで、今回、関係者をさらに実務者、消費者団体関係者、こういった方々にも拡大いたしましてこの作業部会を開催してきているところでございます。
内容でございますが、この問題は非常にプライバシーに係る問題でもございますし、かなり難しい問題は基本的にあることも事実でございます。何といってもプライバシーに係る事柄。それから、題名にありますとおり個人信用情報保護・利用。この保護と利用ということが一見相反するベクトルの方向に向くところもあるわけでございます。
それから、それぞれの情報に微妙な差異がございますし、その具体化あるいは線引きということにつきましては、いろいろな解決すべき問題も多々あるわけでございます。
そこで、論点を簡単に御紹介させていただきますと、まず3ページ目、例えば法制化ということがございますが、これは位置づけの問題といたしまして、個人信用情報はどういった位置づけなのかといったところからまた始まるわけでございます。
例えば、これにつきましては、個人保護一般との関係を考える、あるいは個人信用全体の中で考える、あるいは特別に考える等々の議論が、各種の意見があるところでございます。
次に、4ページに進んでいただきまして、「法的な保護・規制の対象となる個人信用情報の範囲」というところでございます。ページをおめくりいただきまして5ページでございますが、ここの線引き、図にいたしますとこのように同様な種類の線引きがあるということが説明できるわけでございますが、実際にどこがそれぞれ個別に該当するのかということになりますと、これにも様々な論点があるわけでございます。ハイリーセンシティブ情報という非常に機微な情報、あるいはネガティブな情報、ポジティブな情報、それぞれについての扱い方につきまして様々な意見があるわけでございます。
例えば、5ページの (イ)のところで、信用情報機関への登録につきましては、
(イ)では限定すべきとの立場、あるいはそういったところにも広げるという
(ロ)の立場、こういった等々があるわけでございます。
さらに6ページへ進みまして、マニュアル情報。一般的に電算に入っていない情報でございますが、この取扱い。さらには(3)の罰則の在り方とその適用範囲、これにつきましても種々の見解があるわけでございます。
次に、7ページ、今度はでございますが、行為規制の対象者。これは与信業者あるいは個人信用情報機関のみならず、その先々のいろいろな代行業者あるいは保証会社、ダイレクトメール会社、こういったところのどこまで対象とするかといったことの問題もございます。
8ページになりまして、でございますが、罰則の対象となる情報・行為というものの捉え方等々もございます。
9ページに入りまして、さらに自主ルールとの関係、でございますが、10ページに入りまして、ポジティブ情報というのをどこまで交流すべきかということにつきましても、それぞれの立場によって様々な意見が出ているということでございます。
例えば、11ページをおめくりいただきましても、では、積極的に推進すべきとの意見。
では、慎重にすべきとの意見。あるいは
で、交流自体好ましくないとする意見等々、分かれているところでございます。
12ページになりますと、今度は、一転、では、その与信にあたりまして、消費者に正確な情報提供を義務づけることが可能なのかどうか、あるいはそのときに虚偽の申告をした場合どうなのかとか。しかしながら、一方で消費者というのはもともと弱者でありますがゆえに、そこに強制するのはいかがなものか等々の意見があるわけでございます。
そういったことも踏まえまして、今後、この作業部会におきましては、4.の「今後の検討課題」でございますが、これまでの議論をさらに深化させますとともに、○の二つ目にから
まで掲げてありますようなこと等につきまして、さらに審議を進めていく必要があるわけでございますが、本日は、こういった審議の中間的な論点・意見につきまして、現段階での中間的な状況というものをそのまま公表させていただければということで御説明させていただいている次第でございます。
なお、これにつきましては、通産省の産業構造審議会、割賦販売審議会等々との関係もございますので、部会長からお話がありましたとおり作業部会名で公表させていただければと考えているところでございます。
以上でございます。
○倉澤第二部会長 どうもありがとうございました。
今お話にありましたように、これは金融審議会第二部会名ではなくて、作業部会名での公表ということでございますが、第二部会の委員の方で、何か特に御意見がこの際ございましたら、承りますが……。
こういう形で現在の作業部会の状況を開示するということですので、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤第二部会長 ありがとうございました。
この本資料も作業部会、ワーキンググループ名で公表するということで、部会資料と併せて、本日会議終了後公表させていただきます。
以上で、第二部会関連の審議を終了させていただきます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
以上で、第一部会、第二部会それぞれの審議は終了し、それぞれを総会へ提出いたしました。したがいまして、これから非常に形式的なことで恐縮ですが、総会の審議でありますので、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。
最初に、総会といたしまして、大変立派な資料をまとめていただきました蝋山、倉澤両部会長をはじめ、部会関係者、多数のワーキンググループのメンバーの労を多とするものでありまして、感謝いたしたいと思います。
本来でありますと、ここで部会から改めて資料を御報告いただくべきところでありますが、本日は合同開催ということもありまして、重複を避ける意味で、再度の御報告は省略させていただきます。
今回の公表は、あくまで中間的な性格のものでございまして、部会あるいは作業部会の責任で行われるものですので、総会として修文を求めるという性格のものではありません。しかしながら、中間報告は、いずれ私どもといたしましては、総会名で最終的な答申提出に向けて、今後の作業の出発点となるものでございます。
そういう観点から、本日の部会等より提出のありました「中間整理(第一次)」、それから、「レポート」、預金保険の「論点・意見の中間的な整理」につき、総会委員から、総会委員としての御意見をいただければと思いますが、どなたからでも御発言いただければと思います。先ほどもう発言されました委員の方も、実を言うと、ある意味では総会委員としての発言に近いようなこともございましたので、ほかの方でも、どうぞ御自由に、全体として御感想あるいは御意見があれば伺いたいと思いますが、どなたからでも。
○倉澤第二部会長 ちょっと私一言。
○貝塚会長 はい。
○倉澤第二部会長 大変恐縮ですが、杉田委員に大変失礼なことを申し上げて、謝罪の意味で少し言葉の足りない分を補足いたしますが、「やれない会社は、やれない制度を作った」と申し上げましたけれども、「今までは実質的にやれる会社も技術的にやれなかったという制度をやれるように改めた」という意味でございまして、言葉が足りずに、そのために無礼なことになりました。
ちょっと補足させていただきます。
○貝塚会長 翁委員、どうぞ。
○翁委員 先ほど時間がなかったので発言できなかった点を申し上げたいんですが、ペイオフ解禁問題につきましては、今非常に国民的にも大きな関心を集めておりまして、2001年4月以降どうなるのかということについては非常に国民も不安を持ち、また、それが早く示されることについて非常に関心が高まっていると思うんですね。
ですから、その意味でも、今後の審議の進め方として、極力早期に現行制度のどこを抜本的に変更して、どのような仕組みを残していくのかという、2001年以降の破綻処理のあり方につきまして、精力的に検討して、早く新しいセーフティネットの全体像を示していく必要があると思っております。
この点、先ほど第二部会の委員の先生方からも御指摘があった点なんですが、そうしたセーフティネットの全体像を示すということと同時に、やはりフィジビリティの面を、実際この中にP&Aというのが出てきておりますけれども、現状の金融システムの実態とか、破綻銀行を価格付けをしていくということのフィジビリティについて、実際どうなのかと、そういったマーケット調査なども含めて、実態についての認識も共有した上で、現実を踏まえた精力的な議論をして、早く方向を示していくことが非常に重要ではないかと思っております。
○貝塚会長 私も個人的には全くそのとおりだというふうに思っておりまして、相当基本的な問題から、先ほど池尾委員もおっしゃいましたように、これはある意味で大問題でありまして、しかし、基本的な論点。大学の教師は夏休みに入りますので、本当に鋭意、論点を詰めて、この点は非常に重要でありますので、私個人的には大蔵省の方にも申し上げたところであります。そういう問題であるということは十分認識しておりますので、そういうふうになるべくしたいと思います。
ほかに何か御質問ございませんでしょうか。
なるべく短くお願いします。吉野委員。
○吉野委員 関連ですけど、預金保険に関して、違うところは、日本は公的金融というか、郵便貯金があるということが一つ大きな違いだと思いますから、その点も考えながら、そして、ある程度、どういうケースにしたらどういうような資金配分になっていくのかとかいうようなシミュレーションも含めて、真剣に検討する必要があるように思います。
以上です。
○貝塚会長 福間委員。
○福間委員 預金保険の問題、今出ているとおりでございますけれども、要するに去年の金融国会のようなことにはもちろんならんと思いますけれども、やっぱりスピードが必要だと思うんですね。先ほどから出ているように、極めてサイコロジカルな動きで資金移動が起こり、結果として経済実体面に影響が出るということになりますと、景気対策上も困ったもんだと思いますので、先ほどからいろんな委員がおっしゃいますように早く、堀内さんの言葉を借りると、フィジビリティを詰めておく必要があるんじゃないかなと思います。
○貝塚会長 あとはよろしゅうございますか。
原委員、どうぞ。
○原委員 これを例えば消費者団体に持ち帰って、検討して、8月いっぱいということで意見を出すんですが、すごく膨大な資料で、なかなか読み解くのも大変なんですけれども、例えば、今朝の朝日新聞の朝刊に預金保険、ペイオフの後ということで出ておりまして、アメリカの制度のことがちょっと紹介されていて、先ほど、今回の議論は両論併記、並列的な話で余り方向性が出ていないという形だったんですが、確かに今日資料を拝見いたしますと、その部分がどのくだりかなと思うと、こちらの預金保険制度の文の8ページに非常にシンプルな書き方がしてあるんですね。
ところが、新聞記事にはすごく方向性が出たような形になっていて、みんなが見るのは新聞の方なんですけれども、議論の中でどうだったのかなというのがあって、少しあちらを下敷きにして話をしていってもいいのかどうかという点が一つ。
それから、もう一つは、金融サービス法についても新聞記事で少し出ていて、みんな関心を持ってきているところなんですが、一番最初に蝋山先生の方から、これから少し間接金融でなくて直接金融のシェアという話が出ているんですが、やっぱりこの部分をどれぐらいに広げるのか。そこにどういった魅力的な商品が出てくるかということなんですが、その全体像的なものも併せて発表していただいて、それで、私どもとしてはこういうふうに考えているとおっしゃって、世の中に公表していただけると、もっと議論ができるかなというふうに思います。
ですから、全体像的な広がりと、それから、スピードという話が今出ましたけれども、いつまでにということも含めて、これから記者発表なさるんだと思いますけれども、お話をしておいていただけたらというふうに思います。
○貝塚会長 ペイオフに関しまして、今年中に成案を得たいということです。ですから、それは、先ほどの皆さんの御意見、遅くとも今年中。ですから、そこがデッドラインでございますので、そういうふうに考えて、その他の問題は、いろいろ性格により、サービス法関連のことは蝋山部会長からお答えいただいた方がいいんですが、これからの進め方というのは、もしありましたら。
○蝋山第一部会長 先ほど方法論については申し上げましたけれども、私としては、先ほど田中委員の発言もありましたし、恐らく様々な反応が今日の「中間整理(第一次)」の後、それを受けて我々入手することができるのではないかというふうに思います。
それを見てからの話でありますけれども、望ましいと私個人として考えているのは、我々の第一部会の審議のいわばまとめは、できるだけ早い方がいい。しかし、早いといっても、夏休みをかければできちゃという話ではないと思いますので、今年というふうに今預金保険については触れられましたけれども、ターゲットはやはりその辺に置いて、それが望ましい目標だとセットするようなことも考えられるのではないかというふうに思います。
そういう点では、夏から秋にかけて、大いに夏には材料を仕込み、秋には侃々諤々の議論をさらに積極的に展開していきたいというふうに思います。そして、答申なり、あるいは報告を総会に「中間整理(第二次)」というのが出るのかもしれませんが、ともかくそういうものが総会に出て、相当程度我々としての意見がまとまったとしても、それを実際に法制化するプロセスというのは遠大なものだと思います。そんなに簡単ではない。これは霞が関全体の問題に関わってくる問題でありますので、そんな簡単ではないと思いますので、私としては、我々のスタンスは、できるだけ早く、可能ならば、本年中に遅くも、これから1年を超えてというのはナンセンスなんじゃないんでしょうか。私は自分で自分の首を切りたいというふうに思います。
それから、広がりという点で、私は数量的なことは申し上げるつもりはありません。これは非常に誤解を招くと思いますし、少なくとも態勢を決めるのは、どれぐらい新しい金融仲介のチャネルが利用されるかというのは、基本的にユーザーである国民であり、企業だというふうに思います。
そういう点で、今、原さん言われたような、これぐらい大きくなりますよ、だから皆さん利用しましょうというような誘導するつもりは毛頭ありません。ただ、仕組みとして、皆さんが利用しようと思ったら、いつでも、恐らく市場が今後期待されるとおり、あるいは希望するとおりに経済が改善し、市場の状況が改善していけば、新しいタイプのアイデアは次々と生まれてくるでしょう。そういうものがスムーズに生まれてきて、皆さんが自発的にそうした新しい仕組みを利用するようなフレームワークを作っていくということになるんじゃないかというふうに思います。
○貝塚会長 ほかに、時間がだんだん迫っておりますので、本当に短くお願いします。
どうぞ。
○クー委員 ペイオフの話が出てきて、意見を述べないわけにもいかないものですから、簡略に述べさせていただきますが、私は今回のレポートで結論が出なかったのは、むしろ安心しております。
その理由は、御理解いただけると思いますが、一般論としてこの議論を進める。これを2001年にちゃんとそういう形で方向を付けていくということは絶対重要であって、皆さんにもっとやってほしいと思いますけれども、今、日本は一般論で議論する状況なのかどうかというのをもう一つ議論としてなくてはいけないと思うんですね。
先ほど杉田委員から、含み損を抱えている企業がたくさんある中で株式会社化を考えてどうするんだというのがここにもあるわけで、実際に日本の銀行の格付が地に落ちている。幾ら大蔵省が大丈夫だ、大丈夫だと言っても、国際的に認められてないわけですから、それは基本的に無理なんですね。
そういう状況の中で、私は確かにモラルハザードの問題があると思います。それは預金者に選択をさせれば、その分だけコントロールできると思いますが、そのコストですね。何百万人、何千万人という預金者を動員して、また、場合によっては動揺させて、それで得られるベネフィットと、その預金者をこれだけ動員して、動揺させて得られるそこにかかるコストを見たら、私は今のような状況で果たしてそれをやるべきかというのは、もっと議論されるべきだと思います。
アメリカでやったじゃないか、やってるじゃないかとよく日本で言われますけれども、アメリカではこれは極めて例外的である。アメリカでやっていますけど、ほかの国でほとんどやってないわけですね。ということは、これは人類の知恵だと思うんですね。預金者に銀行を選別させるというような国民的コストが高過ぎるという人類の知恵がここにあるわけで、やったじゃないかという幾つかのところばかり注目して、あそこでやった、やったと。でも、やってない国の方がたくさんあるわけですし、そういう事例も含めて議論を進めてほしいなという気がします。
日本と今一番アメリカの近い状況は1934年ですよね。アメリカでは預金保険ができたのはそのときなんですが、そのときから本当に金融が安定するまで、ほとんどペイオフやってないんですね。全くやってないと言っていいくらいの時期が何十年か続きます。それでやっとそれなりの状況ができてから、少しペイオフを80年代、90年代にやっているわけですけれども、日本の状況を考えますと、現状と一般論と分けて、現状の厳しさ、これだけ地に落ちている銀行の格付、こういうところを考慮して、そっちの議論もやってほしいなと思います。だから、一般論としての議論は絶対重要ですけれども、現状論の方も落とさないでほしいなという気がします。
○貝塚会長 大変時間が過ぎちゃったので、恐縮ですが……
○高橋委員 一言だけ。
○貝塚会長 では、一言だけ。
○高橋委員 金融サービス法の法制化については来年の通常国会などという気の早い報道も先日見かけましたけれども、パブリック・コメント等の作業過程もありますから、もちろん慎重に作業は進むだろうと思います。しかし、第一部会のレポートを御覧いただければわかりますように、その法制化の作業とは別に進められることというのが実はたくさんあると思うんですね。
本日は、金融機関のオブザーバーの方もたくさんお見えでいらっしゃいますけれども、社内のコンプライアンス体制とか、自主規制の見直しとか、そうしたことはぜひ早く進めていただきたいと思いますし、そのほかに御当局とか消費者団体、消費者個人としても進めること、消費者教育等もございますので、法制化を待たず進めることを急ぎたいということをここに確認したいと思います。
以上でございます。
○貝塚会長 以上で、御審議いただきました内容につきましては、第一部会の「中間整理(第一次)」及び第二部会の「保険相互会社の株式会社化に関するレポート」、「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」の三つを、それぞれ部会名で、それから、個人信用情報保護・利用の在り方に関する合同作業部会の「中間的な整理」については作業部会名で、それぞれ公表したいということでございます。本日の会議終了後、私と蝋山、倉澤両部会長と行うことを予定しております記者会見の場で、対外公表をさせていただきます。この点、御了解いただきたいと思います。
〔政務次官着席〕
○貝塚会長 それでは、谷垣政務次官がおいででございますので、一言御挨拶をお願いいたします。
○谷垣政務次官
政務次官の谷垣禎一でございます。一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
金融審議会総会及び部会委員の皆様、並びに部会オブザーバーの皆様方におかれましては、日頃から御多用のところ、金融審議会の活動に御参加、御尽力いただきまして、誠にありがとうございます。
去年6月の金融行政組織改編を受けた金融審議会の発足から早くも1年過ぎまして、金融再生に向けた枠組みの整備や金融システム改革法の施行をはじめとして、我が国の金融環境を巡る変化には大変目まぐるしいものがあった1年間でございました。その間、審議会には宮澤大蔵大臣による「21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築へ向けて、金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項について、審議を求める」との諮問に基づき御審議をいただいてきたわけでございます。
検討項目が多岐にわたる中で、昨年12月以降は二つの部会を設けていただきまして、第一部会では「21世紀の金融システムのあり方」、それから、第二部会におきましては、「安心で活力ある金融システムの構築」を主題といたしまして、今日までそれぞれ11回、8回と、極めて精力的に御審議をいただいてまいりました。また、各部会の下にテーマ毎にワーキンググループを設けて、実務的・専門的な観点からの検討を深めていただきました。この場を借りまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。
今日は、これまでの部会等における審議状況を、中間的な整理という形で総会に御報告をいただいたわけでございますが、いずれのテーマもこれからの我が国金融システムのあり方に大きく関わる重要テーマでございます。この検討内容によりましては、この際、現時点での審議状況を整理・公表して、各方面からの意見を伺うべきものもあるかと存じます。事務局においては、いずれそうした意見をとりまとめて、これからの議論の素材として提供させていただきます。それらを踏まえまして、引き続き皆様方に御審議をいただくことになろうかと存じます。
最後になりましたが、議事運営の労をとられておられます貝塚会長、蝋山、倉澤両部会長はじめ、委員、オブザーバーの皆様方のこれまでの御尽力に改めて深く感謝を申し上げますとともに、今後とも引き続き御指導、御協力いただきますことをお願い申し上げまして、簡単でございますが、私の挨拶とさせていただきます。
誠にありがとうございます。
○貝塚会長 なお、谷垣政務次官には、所用のために、これにて退席されます。
どうもありがとうございました。
○谷垣政務次官 ありがとうございました。
〔政務次官退席〕
○貝塚会長 それでは、続きまして、本日最後の議題になりますが、今後の審議会の運営に議題を移させていただきます。
当審議会は、昨年8月に発足いたしまして、12月以降現行の2部会体制で審議を進めてまいったところでございますが、今回の公表はそれに一つの区切りを与えるものでありまして、今後さらなる検討を加える具体的なテーマや検討体制につき、改めて御審議、御了解いただくのが適当と考えます。
初めに、事務局より、今後の作業のイメージというものを御説明をお願いいたしたいと思います。
三國谷課長。
○三國谷企画課長 少しお時間いただきたいと存じます。
今後の金融審議会の作業イメージでございますが、今回の公表は、基本的に審議状況の中間整理でございます。今年、今度の夏以降も与えられた諮問内容、21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築に向けて、金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項について、審議を求める」という、この諮問に沿いまして、現在の2部会体制で審議を継続したいと考えております。
各部会が担当するテーマにつきましても、現行のものを継続させていただきまして、第一部会におきましては、「21世紀の金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきか」、第二部会は、「安心で活力ある金融システムの構築」ということで考えているところでございます。
第一部会でございますが、ワーキンググループが二つございますが、そのうち、集団投資スキームWGにつきましては、レポートをベースに議論を深める形の継続審議を考えているところでございます。各論等まだまだこれから継続審議するところがございます。例えば、今回のレポートで例示にとどまっている商品毎のルールの具体化、あるいは基本的には横断的な集団投資スキームを目指しました検討を行うといったことが考えられます。
なお、SPC等につきましては、各般の御意見もあり、そうした問題も考える必要があろうかと考えております。
次に、ホールセール・リーテイルWGにつきましては、「中間整理(第一次)」での残された検討課題に関する指摘を踏まえまして、一つは、インターネット等を通じました非対面取引による金融商品の販売に関するルール、二つ目は、クロスボーダーの金融取引に伴うルールの適用、こういったことを含むところまで議論を押し広げる必要があるかなと考えております。また、余裕があれば、その他インターネットあるいは電子系統、決済といったところの問題も議論に入ってこようかと思います。具体的な論点、人選等につきましては、会長、部会長と御相談の上、今年の夏のうちに事務的に御連絡あるいは御相談等をさせていただければと考えているところでございます。
続きまして、第二部会でございますが、預金保険制度WG、個人信用情報保護・利用合同作業部会、これらにつきましては、「論点・意見の中間的な整理」、本日お示ししているものでございますが、これを出発点に議論を継続したいと考えております。預金保険制度WGにおきましては、中間整理のポイントを軸に、部会、ワーキンググループの場において、関係者等へのヒアリングを行うことでいかがかと考えております。
次に、個人信用情報保護・利用合同作業部会では、まだ意見集約がされていない論点、あるいはこれまで議論が及ばなかった論点から検討を開始することがいかがかと考えております。
次に、既にレポートを提出して、与えられた課題の審議を概ね完了いたしました保険相互会社の株式会社化WGにつきましては、この形としてはとりあえず解散という形にいたしまして、別途、多様な保険分野の問題を扱うワーキンググループを設置することはいかがかと考えております。具体的な論点、人選等につきましては、会長、部会長と御相談の上、取り進めさせていただければと考えております。
以上でございます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
ただいま課長から御説明がありましたように、今後どういうことを議論するか、あるいは金融審議会の体制の問題、今後一応現行のやり方で、しかし、課題は少しずつ変わってきて、特に保険株式会社化WGは、また別の課題に取り組むということでございますが、ただいまの今後の審議の方向といいますか、この夏以降の審議の体制につきまして、委員の皆様の御意見、御質問がありましたら、どうぞ御自由にお出しください。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 お伺いしたいのですが、今までホールセール・リーテイルでやってきまして、検討課題として残っております裁判外紛争処理制度とか、自主規制機関のあり方というのは、特にワーキングは作らないで部会でやるということでしょうか。
○蝋山第一部会長 はい、そうです。
○貝塚会長 ほかに御質問あるいは御意見ございませんか。
ほかにもし御質問、御意見がございませんでしたら、ただいま課長が説明されましたような方向でワーキンググループを改編する、あるいは新しいワーキンググループを作るということにつきましては、私の方で、両部会長、事務局と御相談の上、委員の選任等、新しい体制に向けて具体的な事務を始めさせていただきたいと考えますが、本件につきましては私に御一任いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
それでは、新しいワーキンググループの正式の名称、メンバー等につきましては、事務局から追って御連絡させていただきます。
大分時間が超過いたしましたが、何か一言言いたいと言われる方がありましたら、どうぞ御自由に御感想でも、多少この審議会の論点をずれても構いませんが、何かございましたら、どうぞ御自由に。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、もう一つ最後に残っておりますが、次回以降の具体的な日程につきまして、事務局は何か付け加えることありますか。 ○三國谷企画課長 次回以降の日程につきましては、固まり次第、追って御連絡させていただきたいと思います。
○貝塚会長 それでは、ほかにございませんでしょうか。
ちょっと時間が超過いたしまして、しかし、非常に活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
今日の総会・部会合同会合はこれで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
(以 上)