金融審議会第6回総会議事録
日時:平成11年12月21日(火)13時00分〜14時34分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○貝塚会長 ただいまから、第6回金融審議会総会を開催いたします。
皆様、御多用のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。
本日は、各部会より、今年7月の中間的なとりまとめ以降行っていただきました検討の成果をまとめた報告について御審議をいただくことを予定しております。
初めに、本日答申としてとりまとめを予定しております「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」の概要につきまして、倉澤第二部会長から御説明をいただくことにいたします。どうぞよろしく。
○倉澤第二部会長 第二部会長の倉澤でございます。
それでは、特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理について、第二部会で議論いたしました内容について御紹介申し上げます。
第二部会におきましては、「安心で活力ある金融システムの構築」というテーマの下、特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について、「預金保険制度に関するワーキンググループ」を設置するとともに、当部会においても精力的に検討を重ねてまいりました。今般、同ワーキンググループからの報告をベースに、当部会としてのこうした検討の成果を、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」としてとりまとめた次第です。
以下、とりまとめ案の具体的な内容につきまして、本日はとりまとめで中心的な役割を果たされましたワーキンググループ座長の神田委員が御欠席でございますので、事務局から説明していただくことといたします。どうかよろしくお願いいたします。
○林信用機構室長 信用機構室長の林でございます。
それでは、お手元の「総会6−1」と書いた資料に沿いまして、第二部会でとりまとめていただきました「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」について、ざっと全体の概要をはしょりながらではございますが、御説明させていただきたいと思います。
まず、1ページでございますけれども、「はじめに」というところでは、この答申の位置づけが書いてございます。?の中ほどにございますように、預金の全額保護が図られている間に、不良債権の処理を基本的に終了し、ゆるぎない金融システムを確立することが求められているわけですけれども、?にございますように、金融審議会としては、こういった特例措置が終了した後の恒久的な制度のあり方について検討を行ってきていただいたところでございます。
2ページ目を御覧いただきますと、精力的に検討を行ってきていただいて、以下のような最終的な考え方をとりまとめたという、ここまでの経緯を書いたところでございます。
2.のところは、「市場規律を中心とした預金者の保護」ということでございまして、預金保険制度が発動される前の段階で、金融機関において、適正な会計処理や内部管理の向上など、あるいは新たな金融商品の開発などの努力が求められるということが指摘されております。
それから、?では、特に問題のある金融機関の早期発見・早期是正が重要であること。このため、金融機関における公認会計士監査機能の充実強化、ディスクロージャーの徹底による市場のモニタリング、さらには監督当局の適切な対応が必要ということを書いてございます。
それから、また、基本的な考え方の以降、付け加えられた部分として、下のなお書きでは、協同組織金融機関における外部監査制の導入や員外監事の登用について、規模要件を大幅に引き下げることが適当であると書いていただいております。
3ページでございますが、?のところでは、特例措置終了後は、従来の慣行を見直し、かつ、多様な資金運用・調達・決済手段が提供されるべきであるということが書いてございます。このあたりは市場参加者のことというふうに書いてございますが、部会の議論では、当局においてもこういうことをきちんと進めていくのであろうなという確認も求められているところでございます。
3.の「金融機関の破綻処理のあり方」の「基本的考え方」のところでは、基本的に「小さな預金保険制度」を目指すべきであって、先ほどの早期発見・早期是正と合わせて、回復の見込みがなくなった金融機関を、債務超過の程度が極力小さい段階で早期に処理すべきことを書いてございます。それから、破綻処理コストをより小さくし、破綻に伴う混乱を最小限に止めるためには、4ページの方を御覧いただきますと、いわゆる狭い意味でのペイオフではなく、一般資金援助方式の適用を優先すべきである。その際には、決済機能の保護や借り手の保護は、破綻処理コストの最小化に寄与し、ひいては預金者保護にも資することになるということも指摘いただいております。
それから、二つ目の固まりの中では、日本銀行が「最後の貸し手」として、適切な役割を果たしていくことが期待される。さらには、経営者の責任追及、株主・出資者の損失負担が当然であると書いてございます。
以上が?でございまして、?では、そういった一般資金援助を伴う営業譲渡の迅速化ということをできるだけ図ることによって、金融機能をできるだけ早く受皿に引き継ぐことが求められるということで、5ページ以降にございますように、幾つかのことが必要になる。
まず第1は、の「事前準備」という点でございまして、これについては、名寄せや資産内容の把握を可能な限り準備を行っておくということで、名寄せについては、基本的な考え方のときから考え方は変わっておりませんけれども、預金保険機構が既にシステム開発をしておりますので、金融機関において必要な預金者のデータの整備と、そのデータを預金保険機構に引き継ぐことができるためのシステム対応を求める。
ただ、6ページにございますように、金融機関自身が平時から名寄せを行うことまでは義務づけないけれども、顧客サービスの観点から、自主的に名寄せが行われるのは望ましいという整理になっております。
それから、金融機関の資産内容の把握について、監督当局と預金保険機構が入手できるようにすることが適当であるということでございます。
の「資金援助が可能になる場合の拡大」については、基本的な考え方のときにもございましたけれども、健全資産と付保預金のみの譲渡のような場合などにも拡大することが適当であるということと併せて、一番下のなお書きにございますように、整理回収機構による資産買取りのスキームについて、これを継続することが適当であると書いております。
それから、7ページでは、現在の金融整理管財人制度を踏まえた管理人制度を導入することが適当であるということ。それから、二つ目のブロックでは、裁判所の代替許可制度等により、迅速化・簡素化が必要となること。以上によりまして、一番下の方に書いてございますように、この破綻処理の望ましい基本形というものができ、アメリカのP&Aと同様の機能となるということが書いてございます。
8ページに移らせていただきますと、今度は?ということで、はできるだけ営業譲渡を迅速化するという話でございましたが、?の方は、営業譲渡までに時間がかかる場合であっても、金融機能の維持のためにどういった方策をとるかということでございます。
?の二つ目のパラグラフにございますように、営業譲渡までに時間がかかる場合には、原則として金融整理管財人を選任した上で、司法手続を利用しながら、一定の金融機能を継続する。その司法手続といたしましては、この間の国会で民事再生手続というものが導入されましたので、金融機関の更生手続の特例法においても、民事再生手続の特例を盛り込むことが適当であると指摘されております。
の「預金者の利便性の確保」のところでは、倒産手続に入った場合でも、仮払金の支払や付保限度までの預金の払戻し、あるいは9ページにございますように、預金等債権の買取制度の適用が適当であると書いていただいております。
次に、「 流動性預金(主に決済のために使用される期限の定めのない預金)の問題」というところでございますけれども、これについては、基本的な考え方では、この決済の問題は、破綻処理の迅速化と民間のサービスの提供によって解決すべきであるという基本的な御意見と、全額保護すべきではないかという御意見と、それから、付保限度を超える一定額について、予め定められた比率で迅速に払い戻すという御意見を併記しておりました。さらに、10ページにございますように、仕掛かり中の決済取引をどう扱うかということも御議論いただいてきたわけですけれども、結論といたしましては、10ページの下のブロックにございますように、以上のような議論に基づき、流動性預金の扱いについて検討を進めた結果、迅速な破綻処理が確実なものとなり、また、民間の決済サービスの多様化が図られるまでの間は、企業や個人の決済が滞ることを通じて経済全般や金融システム等に大きな影響を与える事態とならないよう、何らかの特別な措置を時限的に講じることも止むを得ないのではないか。但し、その場合においても、できる限りモラル・ハザードの発生を抑えることが必要であり、例えば、全額保護される流動性預金を付利されない預金に限る(又はその金利に上限を設ける)ほか、その負担については、それ以外の預金よりも重い保険料負担を課すなど納税者負担によらない手法を採ることが考えられるという形でまとめていただいているところでございます。
11ページでございますけれども、「借り手の保護」については、本来の預金保険の機能ではないということから、融資については一定限度までということになりますので、国と地方の政策的対応が必要だということは基本的な考え方にも書いてございましたが、さらに相殺について書いていただいておりまして、金銭消費貸借契約上、借り手の債務不履行や倒産手続の開始が債務の期限の利益の喪失事由となっていながら、金融機関の破綻の方は、預金の期限の利益の喪失事由にはされていないという問題がございまして、これについては、預金取引約款において、保険事故が発生したときには期限未到来の預金債権と借入金債務との相殺を預金者の側から行うことを可能とする。
イ)にございますように、こういった約款の見直しにより、借り手である預金者の相殺によって、より優先して弁済を受けるのと同じ結果となることも容認されるという指摘をいただいております。
なお、借り手が預金を有している場合には、継続的な取引関係を維持する観点からは、営業譲渡において預金と借入金をともに譲渡することが望ましいという観点から、両建てになっている場合には、次のページにございますように、両建てで受皿に譲渡しても他の債権者を害しないということから、ともに譲渡する扱いとすることが望ましいと言われております。
こういった?営業譲渡が時間がかかる場合の問題点というのは、?の迅速な場合についても同様の措置を講じることが求められるという整理をしていただいております。
次に、受皿の問題、?でございますけれども、では、受皿が現れやすい環境の整備といたしまして、いわゆるロス・シェアリング、あるいは利益が出た場合のプロフィット・シェアリングを導入することが適当であること。それから、資産の承継によって自己資本比率が低下するということから、受皿に対する資本増強の措置が講じられるようにすることが適当である。
ただ、その際、一番下にございますように、増強した資本の価値が減少することのないよう、次のページですけれども、この株式の消却に対応できる財源を確保するための方策を提出させなければならない。
それから、現在は、受皿は金融機関か銀行持株会社に限定されているわけですけれども、株式取得の場合については、これらに限定する必要はなく、範囲を拡大することが適当である。
それから、の承継先が直ちに現れない場合については、ブリッジ・バンクの導入が必要なわけですけれども、このブリッジ・バンクの事後設立の特例を措置することによって、設立及び営業譲渡を速やかにすべきである。
それから、承継先のラスト・リゾートを確保する意味での整理回収機構の受皿が必要であるということも書いていただいております。
4.がシステミック・リスクが予想される場合の対応でございまして、これは基本的には基本的な考え方でも書いていただいてございますけれども、14ページの?にございますように、例外的な措置の内容及び手続をさらに具体的に書いていただいておりまして、例外的な措置として、の破綻を未然に防止するという観点からの直接の資本増強、
のペイオフコストを上回る資金援助、
の再生法にある特別公的管理の枠組み、これは最後にとるべき手段ということかと思いますけれども、が挙げられて
また、手続といたしましては、平成13年1月に発足いたします金融危機対応会議の議を経て、例外的な措置の発動を決定する。さらに事後的な説明が認められるということでございます。
その場合の財源でございますが、一番下にございますように、一般保険料で賄い得るものではないと考えられる一方で、納税者に安易に負担を求めるべきではないということから、金融機関に一般保険料とは別に特別な負担を課すことが妥当である。次のページには、しかしながら、金融・決済システムは経済のインフラということで、広く経済全般の安定の基礎となることから、例外的な措置をとらなければ信用秩序全体の維持に重大な支障が生じるような場合には、政府が適切な財政措置を講じ、広く間接的な受益者である納税者にも負担を求めざるを得ないことがある。また、流動性については、政府保証借入れや日銀による信用供与で確保することが適当であるとしていただいております。
次に、「預金保険制度の他の論点」でございますが、?の「付保対象」については、三つのメルクマールにより議論いただきました。
の前のなお書きに書いてございますが、「金融機関において個々の金融商品が付保対象であるか否かを利用者に明確にする必要があることは言うまでもない。」ということでございます。
の「金融債」につきましては、「金融債の中で上記の3つの基準を満たしているものは実質的に定期預金と同じ性格と考えることが可能であり、しかも通常個人向けの貯蓄手段として販売されているものに限定すれば、付保対象とすることが適当である。」としていただいておりますけれども、ワーキンググループ、第二部会でも、金融債のあり方と申しますか、長期信用銀行法のあり方については、今後議論すべきであるという御指摘はいただいているところでございます。
16ページでございますが、公金預金・特殊法人預金、これらも預金保険の対象になってございませんけれども、流動性預金に関して特別な措置を講じることになれば、地方公共団体の歳入歳出の管理にメリットが期待できることから、付保対象とすることが適当としていただいております。
それから、「預金利息」についても、預金利息を守ることで少額預金者に安心感を与え無用の資金シフトを防止する。倒産手続の迅速化、郵便貯金との均衡ということで付保対象とすることが適当であるわけですけれども、早期是正措置によって金融機関の高金利の預金の受入れを禁止又は抑制することで、歯止めをすることも必要だということでございます。
外貨預金についても俎上に上がりましたが、従来どおり付保対象としない。
次に、?の「預金保険の対象金融機関」でございますけれども、いわゆる金融機関のほかに連合体組織、全国信用金庫連合会、信用組合の連合会、労働金庫の連合会を預金保険の対象とすることが適当である。
17ページに移りますと、外銀の在日支店については、将来的な制度のあり方としては、預金保険の対象とすることが望ましいとしながらも、この具体的な取扱いについて、引き続き、外銀在日支店に対する規制、検査・監督、破綻処理のあり方等について検討を進めた上で、結論を得ることが適当であるということでございます。
保険金支払限度額の 1,000万円については、引き上げる必要はない。仮払金の20万円については、相当引き上げことが適当であるという結論をいただいております。
次に、「預金等債権の買取り」でございますけれども、この買取りについては、非付保対象預金の流動性の確保の観点及び債権者の集約による倒産手続の迅速化の観点から、対象範囲を拡大すべきとの意見がある一方、この非付保対象預金の中には権利関係が複雑で定型的な処理にそぐわないものも少なからずあるということと、仮に買い取って預金保険機構に損失が発生した場合には、結果的に保険料を財源とする一般勘定の負担となってしまうという問題がございますので、18ページにございますように、債権及び債権者が明確に確定できるものに限定するなどの工夫を行った上で、買取りの対象範囲を拡大することが適当であるとしていただいております。
次に、?の「預金保険料」でございますけれども、預金保険については、多額の借入金残高が一般勘定にございますので、これを早期に返済し、一定規模の責任準備金を積む必要があるということを念頭に置かなければなりませんので、現行の水準をベースに、特例措置終了後の保険料の水準を検討していくことが必要になると考える。
一番下のなお書きのところでございますが、なお、財務状況に応じた保険料率の導入につきましては、市場規律を補うという観点から、本来望ましいものと考えるが、当面、慎重に対応すべきであるとしていただいております。
19ページで、これも基本的な考え方になかった預保の資金調達の問題ですけれども、一般勘定の資金調達につきましては、現行法上は、まずは初めは日本銀行から借り入れまして、返済のための借入れについては、原則、民間からの資金調達に振り替えていくということになっております。
しかしながら、実際の運用なども踏まえますと、一般勘定の当初からの資金調達についても、日銀に限定せず、可能な範囲で民間から資金を調達する努力を行うことが適当である。
それから、最後に、今回の預保制度の改正なり、新たな制度の構築に伴いまして、系統金融機関の貯金保険についても、特殊性に配慮しつつ、同様の方向で検討を行うことが望まれると書いていただいております。
最後に、「特例措置が終了するまでに整備すべき環境」でございますけれども、平成7年の金制答申では、ディスクロージャーが充実の過程にあり、また、金融機関の不良債権から信用不安を醸成しやすい金融環境にあるということで、未だペイオフを行うための条件が整っていないとされております。
その後の状況といたしましては、まず、ディスクロージャーにつきましては、これは、経営の透明性を高め、市場規律により経営の自己規正を促すとともに、自己責任原則の確立のための基礎となるということから、非常に重要であるということで、20ページを御覧いただきますと、平成10年3月期から(協同組織金融機関は11年3月期から)SEC基準と同様の不良債権の情報開示、また、11年3月期からは連結ベースの開示が罰則付きで義務化されております。さらに、再生法に基づきます資産の開示が11年3月期から大手行について、12年3月期からは全ての金融機関について行われることとなっております。
なお、我が国の金融システムの今後を考えますと、決算期にとらわれることなく、適時適確な情報開示を行うことが適当である。
それから、さらに、こういった法令で定められた情報の提供以外に、預金者に対して、自己の経営・財務状況をわかりやすく示すとともに、預保制度について正確な情報を提供することを望みたい。
それから、?の「金融システムの安定」につきましては、再生法と早期健全化法により、一時の金融システムの不安定な状態は解消されつつある。
さらに、13年3月末までに、金融システム安定を一層強固とする取組みが引き続きなされるとともに、個々の金融機関においても、経営基盤の強化を図ることが求められる。
一番最後、21ページになりますけれども、ペイオフの制度については、いろいろ誤解があり、これが特例措置の終了について不安を国民が感じている面もあるということから、政府、預金保険機構、金融界の関係者が、この制度の広報のためにさらなる努力を望みたいということを書いていただいております。
以上、はしょりながらでございますが、簡単に全体を御紹介させていただきました。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの倉澤部会長と事務局の御説明を踏まえまして、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」に関して御意見、御質問を御自由にお出しください。どなたからでも結構です。
蝋山委員。
○蝋山委員 非常に簡単な質問だと思うんですが、今2人の人がいて、2人とも1,500
万円の預金を持っていた。1人は普通預金 300万円、1人は定期預金
1,200万円。もう1人は逆で、普通預金に 1,200万円、定期預金に 300万円。この銀行が倒産したとします。いろいろ早期是正とかそういうことができなくて。そうすると、初めの方の人は、流動性預金
300万円、普通預金持っていますから 300万円保証されて、 1,200万円のうちの
1,000万円までの預金が保証され、合計 1,300万円保証される。あとの人は流動性預金
1,200万円ですから全額保護されて、そして定期預金が 300万円ですから、
1,000万円までの中に入って 300万円保証されて、合計 1,500万円そっくり保証されると考えてよろしいんでしょうか。
○貝塚会長 どうぞ。
○林信用機構室長 そこは、制度の仕組み方といたしまして、流動性預金を全額保護した場合に、
1,000万円はその外で考えるのか、まずそちらの方で 1,000万円カウントするのかどうかという問題があることはあるんですけれども、恐らく制度としては、流動性預金とは別に
1,000万円という考え方になるのではないかと思っております。おっしゃったようになるのではないかと思います。
○蝋山委員 そうすると、今のような形でなるわけですね。
○林信用機構室長 はい。
○蝋山委員 そうですか。わかりました。ですから、簡単な質問とお断りしたんです。その結果をどうお考えになるかは、お任せします。
○貝塚会長 ほかに御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
元来は、この破綻処理、預金保険制度につきましては、神田委員がワーキンググループの座長でして、今日、御欠席ですので、そのワーキンググループに所属されている翁さんから、何か補足的なことありましたら。
○翁委員 この報告書については、全く完全なものというふうには思っておりませんけれども、相当程度まで議論をして、こういったものがまとまってきておりますので、これが立法化の過程で、できるだけここでの審議の趣旨とか報告書の内容が実現されていくように望みたいというように感じております。
○貝塚会長 ほかに。
原委員、どうぞ。
○原委員 納税者としてということで、納税者負担について書かれている部分なんですけれども、10ページのところで流動性預金の部分なんですが、これは納税者に掛けるのではなくて、また別に別途、特別な保険料をそれぞれの金融機関に掛けるという言い方になっていて、それから、もう一つが、14ページから15ページにかけて、これは危機的な状況になった場合というのが書かれていて、逆説の次ぐ逆説の書き方で、最後が一体どこにいったのかというような感じの書きぶりになっているんですが、ここも14ページから15ページですね、例外的な措置ということで、危機的な状況の場合を書いてあるんですけれども、これも最後のところが逆説でずっときて、15ページのところに、「政府が適切な財政措置を講じる」ということで、経済の安定性を図るため、そのコスト負担は広くまた納税者というふうな意見が出てきているんですけれども、これは私どもが2年前に金融ビッグバンについて、全国
1,000人のアンケート調査をしたときに、この納税者負担によるところについては、ものすごく批判が強いですね。
ですから、安易な形での経済の安定性を図るという意味での納税者全体への負担というのは、今、翁委員の方から、これが完全なものではないという御意見があったんですけれども、慎重に考えていただきたい。それぞれの金融機関の責任ということをもっと前面に出していただきたいというふうに思います。
それから、一番最後のところに、これは一般の消費者への広報ということで、「その他」の項目に書かれているんですけれども、確かに自分の預金が
1,000万円を超えた部分についてはどうなるんだろうというのは、確かに不安はあって、こういったことの広報が必要だということはあるんですけれども、このあたりの誤解は今かなり解けてきているように思っていて、それで、消費者もそれほどひ弱ではなくて、今、蝋山先生がおっしゃられたようなペイオフ全体としての仕組みですよね。そういったところを、自分の預金がどうなりますよといったところの広報だけではなくて、全体的な金融機関の負担とか、保険料による負担ですとか、それから納税者の負担とかというものを含めた形での全体像としての広報というものをぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○貝塚会長 福間委員。
○福間委員 流動性預金ですけれども、先ほどの蝋山さんの質問に関連しますが、こういう措置をとっていただくのはソフトランディングを図るためにはいいんですけれども、10ページのところに、「時限的に講ずることも止むを得ない」とありますが、「時限」というのは何か期間のイメージがあるのか、あるいは特別な措置を解除する前提条件があるのか。この辺はワーキングレベルでは意見が出たことがあるんでしょうか。
○貝塚会長 私が承知しています限り、要するに時限というのは、具体的な年数としては、2年ないし3年とか、そういう感じの話でしたということです。ですから、この部分は、流動性預金というのは、先ほど御質問ありましたけれども、扱いがちょっと別のものになっておりまして、したがって、特段高い保険料を課しているというのは、そういう趣旨もあると思います。ですから、スキームの中で言うと、ちょっと別扱いになっていると、私が正直言えば、そういう感じだというふうに思っています。
ほかに何か御質問ございませんでしょうか。
ほかにもし御意見がございませんでしたら、先ほどここで提案させていただきました「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」の取扱いに関して、お諮りしたいと思います。
この報告については、この問題に関する最終的なとりまとめとして、当審議会の総会の答申とすることにいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○貝塚会長 それでは、そういう扱いとさせていただきます。
○原委員 答申としては特に異議はなくて、一生懸命考えられた成果というふうに私も思うんですけれども、新聞記事がすごいですね。新聞報道、テレビ報道もペイオフことについてずっと追っかけていて、政治的な要素が随分入り込んできているんですけれども、これはここで出されたものだから、特に私としては意見はないですが、出されたものが政治の場に出ていったときのその扱いですとか、そういうのは、今日お見えになっているけど。
○貝塚会長 私のやや個人的意見ですが、やはり実際すごく外野席がいろんなことがありまして、しかし、第二部会の任務は、要するに経過措置が終わった後の恒久的な預金保険のシステムがどういうものであるべきかということをお考えいただいたわけで、それは委員の共通の理解としては、ペイオフ終了後ということでございますが、その辺のところ、具体的な処理を、簡単に言うと、金融企画局の手をある程度放れて、実際の……。
どうぞ。
○林政務次官
御指名があったわけじゃないんですが、折角、陪席をさせていただきましたので、皆様方の御努力によりまして、立派なレポートをまとめていただきましたことに、まず御礼を申し上げたいと思います。
その上で、いろいろ報道がなされておりますのは皆様御承知のとおりでございまして、我々大蔵省といたしましては、このいただいた答申に基づいて、先ほど翁委員がおっしゃったように最大限これを配慮しながらやっていくというのは当然のことでございますが、一方で、政治の場でいろんな御心配というのが出てきておるのも、これも事実でございまして、それから、これは私から申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、今、全体の政府の枠組みとして、金融再生委員会と大蔵省と共管ということでございますから、共管の相手方の御意見もこれまたあるだろうなということでございまして、その二つの役所。それから、今、政党政治でございますので、3党で連立を組んでおりますから、それぞれの3党の御意見というものを踏まえて、最終的にはこれは決めていかなければならないのかなと、政治の場に身を置く者としてはそういうふうに考えておるところでございまして、その中で、なるべく我々といたしましては、このいただいた答申を守ってまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○貝塚会長 よろしゅうございますか、ただいまの点は。
○原委員 尊重していただければと思います。
○貝塚会長 金融審議会の全体としては、当然それは強調すべき点でありますし、全体として筋が通った案でありますので、プッシュするのは、当然そうではないかと思います。
元来の議事に戻りますと、この案の取扱いにつきまして、この問題に関する最終的なとりまとめとして、当審議会の答申といたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。念のために確認させていただきます。
それでは、続きまして、答申と合わせ第一部会から公表を予定しております第一部会「中間整理(第二次)」の概要につきまして、蝋山第一部会長から御説明いただきたい。どうぞよろしく。
○蝋山第一部会長 第一部会長の蝋山です。
第一部会では、7月に「中間整理(第一次)」をまとめましたが、その後、パブリック・コメント等を頂戴いたしまして、幾つかの点で強い法制化への期待というものが感じ取れました。
一つは、集団投資スキームに関する法制であります。もう一つは、金融商品販売・勧誘ルールという問題であります。この二つの問題につきまして、さらなる法制化の可能性を念頭に置きながら検討を続けてまいりまして、第一部会では、「集団投資スキームに関するワーキンググループ」と「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」という二つのワーキンググループを設けておりましたけれども、そこに、それぞれ集団投資スキームの法制、金融商品の販売・勧誘ルールに関する検討をお願いいたしまして、報告を頂戴いたしました。このワーキンググループの報告を下敷きに、検討の結果をとりまとめまして、「中間整理(第二次)」というものを当部会として作成いたしました。本日は、この「中間整理(第二次)」というものの白い、やや厚い表紙の付いているものであります。「総会6−2」でありますが、これにつきまして報告をこの総会に申し上げるということになるわけであります。
これは表紙をめくっていただきますと、構成という形で○が四つ付いております。1ページから始まります一番上の○が、この「中間整理(第二次)」であります。そして、第二次の中間整理が下敷きといたしましたワーキンググループ報告が、次のそれぞれの二つの○であります。そして、最後の○は、記録といいますか、活動の状況を記録したものであります。
御説明させていただきますのは、7ページの「目次」から始まります「中間整理 (第二次)」ということになるわけであります。この「中間整理(第二次)」は、全部で、「はじめに」と「終わりに」というもののサンドイッチのパンがありまして、中身は2.3.4.というのがサンドイッチの具であります。しかし、なかなかパンも大事でありまして、「はじめに」では、新しい金融のルールの枠組みとして、金融取引を幅広く対象として、従来の縦割りの規制から機能別規制に転換すると同時に、ルール違反に対しては、行政上の規制に止まらず、民事上の責任も追及可能なような仕組み、こういうことの整備を念頭に置いて検討を進めてきたという基本的なスタンスがありまして、こういう整備されるべき仕組みというものが、私どもいわゆる日本版金融サービス法というふうに考えております。
そして、その実現のための第一歩といたしまして、集団投資スキーム及び販売・勧誘ルールについて、当面可能な法制化というものに関係する検討結果をこの第二次としてまとめたものであります。こういう基本的な我々の立場というものが「1.はじめに」で説明されています。
最後の「終わりに」というところでは、あり得べき日本版金融サービス法というものの内容は、今後、来年の6月を目処にして、我々議論を進めていきたい。いわば最終報告のとりまとめに全力で取り組む。しかし、今、具として、サンドイッチの中身として指摘しました、特に集団投資スキームの整備と金融商品販売・勧誘ルールの整備という二つの具体的な議論というものは、日本版金融サービス法の枠組みのパーツとして大変重要なものであるので、法制化の実現を期待したい。全体像は6月にちゃんととりまとめます。こういう「終わりに」という書き方になっているわけであります。したがいまして、パンもなかなか味があるというふうに御理解いただきたいと思います。
具でありますけれども、集団投資スキームについてでありますが、これは多数の投資者から資金を集めて、マーケットで、市場で専門家が管理・運用する、そういう仕組みに関する法整備であります。
二つの内容があります。一つは、資産流動化型スキームと言われるものであって、集団投資スキームには資産流動化型スキームと資産運用型スキームというものがあるわけですが、資産流動化型スキームというのは、特定の資産を保有者である企業から切り離して、証券化といった手段によって流動化を図る仕組みであります。この点については、SPC法という法律が、特別目的会社というものがございますが、現在のSPC法を改正して、もっと使い勝手のいいものにしよう。そして資産流動化を促進しようというわけであります。正確には、促進する環境を整えようというわけであります。
その内容は、投資者保護というものに十分配意しながらも、簡素・合理化を図るということであります。また、流動化の対象となる資産を拡大する。現在のSPC法では、不動産並びに指名金銭債権というふうに限定されているわけですが、もっと幅広い対象へ拡大しよう。そして、流動化の器、ビークルといたしまして、SPCに加えまして、信託も利用可能とする。こういうような形で資産流動化型スキームの充実を図る。具体的には、SPC法の改正をお願いしたい。こういうことが第1であります。
第2は、資産運用型スキームでありますが、これは投資者から集めた資金を合同して専門家が運用し、その利益を投資者に配分するわけでありますけれども、そういう資金運用のための仕組みでありますが、これにつきましては、証券投資信託及び証券投資法人法という、証券投資信託に関する法律を改正いたしまして、不動産を含めた幅広い資産への投資運用を可能とするようにお願いしたい。
こういう二つの内容の集団投資スキームの整備というものを提案させていただいているのが、2.であります。
それから、第3章、具で言いますと第2の具は、金融商品の販売・勧誘ルールの整備ということでありますけれども、ここでは、説明義務を明確にして、民事上の効果をはっきりさせようということが第1であります。すなわち、金融商品の販売に際しまして、販売業者に必ず一定の説明をしなければならないという義務を課しまして、これに違反した場合には損害賠償責任が生じますよということを明確にしましょうというわけであります。
この場合、金融商品の範囲は、できるだけ広く対象とすることが望ましい。一般的に定義することは、将来の課題としても、できるだけ商品を幅広く列挙したいと、こういうふうにすることが望ましいと書いてあります。
2番目は、販売業者って何だということでありますが、これは、対象となる金融商品の販売行為を業として行う者を広く対象とする。
3番目、説明すべき内容というのは何か。これは、顧客のリスクの判断にとって重要な事項とし、収益の変動とか、あるいは元本割れの可能性ということを商品の仕組みに沿ってきちんと説明するということであります。
もちろん、こういう一定の説明義務を課し、それに違反した場合には損害賠償責任が生じるというのは、その根拠は、情報の格差というものが売り手である販売業者と買い手である投資者の間に存在する場合であります。そういう情報の格差が考えられない、いわゆるプロというものが顧客である場合には、プロとプロの取引の場合には、あるいは顧客が、「自分は説明は要らん」と、こう明言した場合には、こうした説明義務は不要であるということで、この点もいわばプロの世界、専門家の世界については自由な取引を活発にさせようという意図があるわけであります。
これが説明義務の明確化と民事上の効果をはっきりさせるということの骨子であります。
それから、2番目に申し上げたい点は、販売業者のコンプライアンス、内部管理体制の整備ということであります。
一体この説明義務を課して、それに違反した場合には損害賠償責任が生じますよと、こう申しましても、それがどう担保されるのか。担保するメカニズムというのはいろいろ考えられると思いますが、この「中間整理(第二次)」で提言しているのは、販売業者に対し、勧誘に関する社内規程の整備、遵守を義務づけるということ。そして、それの基本的な方針、その規程の基本的な内容について公表しなければならない。こういうことによってマーケットの力で、あすこの会社が、あすこはこういう規程がずさんですよというような企業はマーケットの中で相手にされない。こういうような環境を作り上げようということが、当面この提案の中で、我々の中間整理の中で法制化することをお願いしている点であります。
なお、詐欺的な勧誘とか、著しくおかしなというような点については、現在、国民生活審議会で検討されております「消費者契約法」というものが適用されるということも、蛇足ながら付け加えさせていただきたいというふうに思います。
こういう内容を持つ金融商品の販売・勧誘ルール、いろんな点でまだ不十分だという御意見もあるでしょう。我々の部会の中でもまだ御不満が残っています。我々としては、これは第一歩といたしまして、さらに特に、こうした法律的な義務を確実に実行させる実効性を高める仕掛けについて議論を進めたく思っているわけであります。
4番目の第3の具になるわけですが、これは辛子の程度であるかもしれません。辛子やケチップであるかもしれませんけれども、「裁判外紛争処理制度の整備等と消費者教育の充実について」というところでは、まずは業界団体等において自主的な取組みを、この趣旨を生かしてやってほしい。また、行政当局の努力を期待する。そして、裁判外紛争処理制度の整備あるいは消費者教育の充実といった問題は、すなわち一方では、販売業者に対して、販売業者と顧客との間の紛争というものを直ちに司直に持っていくというよりも、中立・公平、かつ迅速に処理ができるような仕掛けというものを今後我々として考えていきたい。それから、消費者というものが、賢い投資家、賢い資金提供者でなければならないはずでありまして、こういう点についての消費者教育の仕掛けというものについて、我々として議論を進め、具体的に6月の答申の中に盛り込みたい。こんなふうに考えているということを4章で述べているわけであります。
以上、法制化をお願いしたいという御提案させていただくのは、集団投資スキームと金融商品の販売・勧誘ルールの整備に向けての第一歩でありますが、我々としては、この「中間整理(第二次)」に盛り込まれたこの二つの内容の実現を期すると同時に、さらに日本型金融サービス法のあり方、全体像というものを提言するための作業を今後も続けていきたいというふうに考えております。
以上です。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
ただいまの蝋山部会長の御説明に対しまして、何か御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
何かございますか。では、井上委員。
○井上委員 質問ではなくて、ややこの原案の用語及び補足的な意見を申し上げたいと思います。
いろんな議論の経緯がありました。本文中にも、これは第一歩であると。つまり、本来我々が先ほどあったペイオフ完了後のシステム整備という報告が一応その全体像、今後の日本の金融システムの安定に関わる全体像を描く努力をして、およそこぎ着けたということと対比してみますと、本来これをもう一つの柱である金融サービス法というものによって、もう一本の柱を建てて、しっかりしたものにするというその最初のスタート時点から見ますと、大変な大きな努力を特にワーキンググループ等でいただいたわけでありますけれども、ここで踏み込まれたのは、非常に大きな努力ではあるが、慎重な第一歩である。つまり、これは来年6月を目指す重要な足掛かりにはなるが、これから本当にここで議論をして、本来のFree、Fair、Globalという新しい金融秩序を担保するもう一本の柱であるものを完成する一歩であるということをここでぜひ私は確認をしておきたいと思います。
そのためには、全体の完結する金融サービス法の策定についても、最終報告までにその全体像の法制化の手順と、それから、タイムスケジュールをぜひ明示できるような審議をこれからもしていきたいなと思っております。
ありがとうございました。
○貝塚会長 原委員、どうぞお願いします。
○原委員 私はこの第一部会のメンバーでも、それから、ワーキングのメンバーでもありましたので、ここでとりまとめられていることについては了承しております。
それで、補足的にちょっとお話をしておきたいと思うんですけれども、これは第一歩なんですけれども、山に登り始めて、何合目かなというようなところを今やっているんですね。それで、完全に山に登るために、まだいろいろと解決をしなければ、考えなければいけない点があって、一つ大きくは、これを大蔵省で議論していますけれども、金融商品全般というところを本当は最終的には考えたいということですので、それは一番長くかかる課題かもしれませんけれども、やっていただきたい。
それから、2点目は、不適切な勧誘の部分なんですけれども、これがやはり時間的な制約が、実質1カ月ぐらいの討議でしたので、なかなかやり切れなくて、積み残しになっておりまして、一応コンプライアンス体制のところの規程と公表の義務づけというところになっております。
私どもとしてはやはりこの規程と公表の義務づけということは、確実に法制化の段階でやっていただきたいということと、それから、その不適切な勧誘について、もう少し要件を絞り込んで柱として立てられないかということも、最終報告までの議論の中に入れていただきたい。
それから、裁判外の紛争処理と消費者教育についても同様です。今、井上委員の方からタイムスケジュールの話が出ましたけれども、6月に最終報告ということであれば、2、3、4の3カ月が実質的な議論ができる場ということなんですね。
それで、こういう形のある、金融サービス法の説明義務のところが今回形があるものになってきますけれども、1カ月本当に精力的に議論を重ねて、それでようやく形になるということなので、私どもとしては、ワーキングを設けてほしいとか、何回ぐらいやってほしいというのは、一応大蔵省の方でそのタイムスケジュールを立てられるので、その2、3、4の中に、あれほどタイトなのはちょっと私も大変なんですけれども、やはりきちんと組み入れて議論の場を確保していただきたいというふうに思います。
○貝塚会長 ほかにあるいは御意見おありかもしれません。時間のタイムスケジュール上、恐縮ですが、よろしゅうございますでしょうか。
ただいまの蝋山部会長の御説明につきましては、一応ここで議事を終わらせていただきまして、それから、もう一つの議題が残っておりまして、第二部会から公表予定となっております「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ」につきまして、倉澤第二部会長から御紹介をお願いしたいと思います。
どうぞよろしく。
○倉澤第二部会長 それでは、保険会社のリスク管理と倒産法制の整備についての第二部会報告につきまして御紹介申し上げます。
当部会におきましては、保険会社のリスク管理及び倒産法制の整備について、「保険の基本問題に関するワーキンググループ」を設置するとともに、当部会においても精力的に検討を重ねてまいりました。今般、同ワーキンググループからの報告をベースに、当部会としてのこうした検討の成果を、「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ」として作成した次第です。
以下、本とりまとめ案の内容の概略につきましては、同ワーキンググループの座長をお務めの山下委員から御説明をいただくことといたします。
どうかお願いいたします。
○貝塚会長 それではどうぞ。
○山下保険WG座長 ただいま御紹介いただきましたワーキンググループの座長を務めました第二部会の山下でございます。
それでは、中間取りまとめにつきまして、駆け足ではございますが、御説明させていただきます。お手元の白い小冊子で、最初に要旨が5ページばかり出ておりまして、その赤紙の次が本文でございますが、いずれも文章で、なかなか簡単に説明するのは難しゅうございますが、2枚目の赤紙の次のページから「資料」という項目になっておりますが、その最初のページに「中間とりまとめ」の概要というのがございます。大体これとこれ以後のページを使いまして、簡単に御説明させていただきます。
今回の検討の背景でございますが、一つには、保険会社の抱える様々なリスクの高まりに対して、従来のリスク管理の手法が十分機能していたかという疑問があるのではないか。実際に保険会社の破綻事例が出てきておりまして、これを見ると、やはり破綻処理開始の立ち遅れによって損失が増大しているのではないか。あるいは、現在では行政的な破綻処理手続しか使えないという限界があるのではないかというような問題意識がございました。この両面から二つのテーマであるリスク管理の充実というテーマと倒産法制の整備というテーマを取り上げたわけでございます。
前者のリスク管理の充実につきましては、1995年の保険業法の大改正によりまして、一応の制度的枠組みが整備されているわけですが、やはりその実効性というものをもう少し強化する必要があるのではないかということでございまして、今回のこのレポートでは、中間取りまとめということで、課題と方向性を提示しております。来年に入りまして、さらにワーキンググループで審議を継続する見込みでございます。
後者の方の倒産法制の整備につきましては、特に生命保険会社の大半を占めております相互会社へ会社更生法を適用するなどの制度的な整備をしようというわけでございまして、これはここ数年来の課題であったわけですが、一応今回で法整備の骨格を提示できたのではないかと思います。
ですから、この倒産法制の整備の部分は、中間まとめというよりは、一応の結論というふうに御理解いただければと思います。
この二つの課題の関係でございますが、前者の方のリスク管理の側面で破綻というものをなるべく早期に把握する。そして、早期に破綻処理手続へ移行すると、そうやって破綻処理コストを極力下げる。破綻処理手続の方もコストが一層下がるような合理的なものにしていく。そういうふうなつながりがあるというように御理解いただければと思います。
リスク管理の方でございますが、次の資料2ページ目を開けていただきますと、リスク管理につきましては、貸借対照表の負債の部に出てまいります責任準備金というものと、それから、資本の部を中心に出てまいります項目をもとにしたソルベンシー・マージン、この両面から、リスクを管理しようというわけでございますが、今回は責任準備金を中心に検討しております。
現在の仕組みというのは、この2ページの図にあるとおりでございまして、多くの保険種類につきまして、標準責任準備金制度というものでスタンダードな積立基準を設定している。しかし、実際に資産の質など、あるいはキャッシュフローなどを合わせて考慮していくと、これよりも追加して積み立てる必要があるのではないか。そういうことを保険計理人という各社に置かれている専門家が検証していこうと、こういうシステムがあるわけでございますが、今回のこの中間まとめでは、標準責任準備金制度の対象となる保険種類を今よりも拡大すべきではないかとか、あるいは、標準責任準備金というのは標準ですから、実際にはこれを下回る積立ても制度的には可能になっているわけですが、これはどういう場合に認められるかというのを、今より、もう少し明確にしていく必要があるのではないか。あるいは追加責任準備金の積立てについては、これは将来収支分析、一定の仮定的なシナリオを設けて、実際に十分だろうかということを検証していくわけですが、この分析のあり方などを、より現在よりも精緻なものにしていく必要があるのではないか。
そういうふうな検証を取締役、保険計理人、監督庁がそれぞれの立場から責任を持っていただいて実施していく。そうやって破綻につながりそうなケースは、より早く把握するというようなことを考えているわけでございまして、この充実の方向性として上がっているような課題を、来年に入って、より細かく検討していこうというわけでございます。
もう一方の課題でございます倒産法制の整備につきましては、中心は、相互会社に会社更生法を適用できるようにするということでございますが、それに加えて、既に法律がございます金融機関の更生特例法の枠組みを参照しながら、保険会社特有の規定というものを整備していこうと。特に保険でございますから、保障の継続ということが望まれるわけですが、そういうものを更生手続の中で、より円滑に実施していけるようなシステムを考えていこうということでございます。
それから、リスク管理との関係で一番重要なことは、この破綻処理というか、更生開始をいかに早く行うかということでございます。そのために、必要最低限の責任準備金を将来に向かって積み立てることができるかどうかを先ほどの将来収支分析によって確認していただきまして、そういう見込みがないという場合には、会社に監督当局へ事業継続困難であるということの申出義務を課して、通知をしていただく。実際そうなりますと、更生手続も申立てるであろう。ただ、会社の方がそうしない場合については、監督当局自体も更生の申立権限を付与して、申立へつなげていこうというようなことでございます。
その他どういう改正を考えているかというのが、3ページの図にあるとおりでございまして、円滑な更生手続の実施がどうすればできるかというふうなことを提案しているわけでございます。
4ページに具体的なリスク管理から更生手続への流れというものを図にまとめておりますので御覧いただければと思います。これで破綻保険会社の方で、まず、自分の状況を十分把握していただいて、それで、もう継続が困難であるということになれば監督庁へ通知が行き、さらに更生手続が開始されていく。この更生手続の中で、右上の方の四角にありますが、更生計画を練り上げて、それから、右側の一番下に保険契約者保護機構からの資金援助と、こういうふうなものを合わせて契約者を保護しながら、保険会社の更生を図っていくということが可能になるであろうと、こういうふうなことでございます。
大変急ぎ足でございました。このレポートについて、以上の報告をさせていただきます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
ただいまの倉澤部会長及び山下委員からのお話、すなわち、「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ(案)」を御覧になって、お聞きになって、何か御質問あるいは御感想でもございましたら、どなたからでも御質問ください。あるいは意見をお述べください。
よろしゅうございますでしょうか。保険会社の問題というのは、かなり複雑な問題でありまして、普通の銀行と随分違った感じになって、そこらあたりが苦心のところだと思うんですが、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、以上で各部会からの報告に関する議論は終わらせていただきます。
既に御了承いただきましたように、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」につきましては、金融審議会の総会の答申として、そして、後で御報告いただきました「中間整理(第二次)」、それから、ただいま御報告のありました「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ」は、それぞれ各部会名で大蔵大臣に提出するとともに、本日の会議終了後、私と蝋山・倉澤両部会長で行います予定の記者会見の場において対外公表させていただくことにいたしたいと思います。
それでは、答申等を提出させていただこうと思いますが、大蔵大臣がお見えになるまで、しばらくお待ちください。
〔大蔵大臣着席〕
○貝塚会長 それでは、宮澤大蔵大臣がお見えになりましたので、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」の答申、及び「中間整理(第二次)」、「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ」を提出させていただきます。
〔答申・報告手交〕
○宮澤大蔵大臣 ありがとうございました。どうも皆さん、ありがとうございました。
○貝塚会長 それでは、大臣、御挨拶をいただきたいと思います。
○宮澤大蔵大臣 歳末になりまして、何かと御多用のところを、今日またこうやって答申をいただきまして、ありがとうございました。
昨年の8月に、私がお願いを申し上げましてから、これまで1年半でございますが、大変に御熱心にこの問題につきまして御審議をいただきました。また、事の重大さ、タイミングなどを考えまして、夏休みにも仕事をお願いをいたしまして、いろいろ御予定のところを、夏休みをつぶして、不休で御検討いただきました。総会・部会合わせて四十何回に及ぶ御会合をしていただいたと承知をいたしております。
本日、このような形で「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」の答申、及び二つの部会報告をまとめていただきましたことにつきまして、改めて御礼を申し上げます。また、心から敬意を表したいと存じます。
近年の金融システムを巡ります喫緊の課題として、預金保険制度に係る特例措置終了後の環境整備をどうするかということが大変問題になってまいりまして、預金保険制度や金融機関の破綻処理制度のあり方は、国民の生活に密接に関連する問題でありますだけに、国民の高い関心を集めております。
また、保険会社につきましても、厳しい経営環境の中にあって、契約者保護等の観点から、適切なリスク管理、あるいは保険会社に係る倒産法制の整備が強く求められております。
一方、21世紀の我が国のこれからを展望いたしますと、高齢化や経済の成熟化、急速な情報技術の発展といった環境変化に対応できる、公正で効率的な新しい金融システムを実現するための基盤整備が、我が国にとりまして極めて重要なテーマとなっております。
ただいま頂戴いたしました答申・部会報告は、こうした課題に対する考え方をお示しいただきましたものと承知をいたしております。従来からこの審議会の御審議につきましては、広く世間が注目をいたしておりまして、やがて正常の状態に戻さなければならない今のペイオフに関する制度等につきまして、国民が心配をしなくていいような形で、しかも、フェアな条件をどうやって整備すればいいかということは、やがて正常化しなければならないということが言われながら、そのための条件というのは、ほとんど実は議論されないままになっておりましたので、これならば安心できる、あるいはフェアであるということの条件をどのように整えるかということにつきまして、大変に長いこと、いろいろな角度から御審議をいただいたと承知をいたしております。
政党の間にも、また、専門家の間にも、マスコミュニケーションの中にも、いつ、どの時期に正常化をすべきか、そのための条件が十分に整備されているかどうかといったようなことについて、いろいろな議論が今日現在ございますわけですが、今日こうやってこの答申を頂戴して、これが公になりますと、かなり世間の議論も整理されてくるであろうというふうに思っております。その上で、なおいろいろな意見があるとは思いますけれども、どのような条件の下にこれが行われるかということがはっきりいたしませんと、議論というのはなかなか集約できないことでございますので、そういう意味からいたしましても、大変にこうやって御労力と時間を費やしていただきまして、この時期に間に合って答申がいただけることは大変に幸せなことでございます。本来ならば、もう1年余りしか時間が残っていないはずでございますから、そういう中で、少なくともこういうグラウンドルールのようなものがはっきりしましたことで、議論がだんだん集約するのには、私は大変にありがたいことであったと存じております。
私といたしましても、これらの答申あるいは部会報告における御提言を踏まえまして、これから所要の法令改正等、制度の整備に全力で取り組んでまいりたいと思いますし、また、できますならば、今世の中にあります議論が余り時間をかけませんで、もうかなり議論をしておりますので、集約ができればということを希望いたしておるところでございます。
最初になりますが、審議会の運営の労をお取りくださいました貝塚会長、蝋山・倉澤両部会長をはじめ、委員の皆様方のこれまでの御尽力に改めて深く感謝を申し上げますとともに、今後とも引き続き御指導、御協力をくださいますようにお願い申し上げます。
また、年末でございますので、御多忙ではいらっしゃいましょうが、どうぞ、いいお年をお迎えになられますようにお祈りをいたします。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
大臣は、大変お忙しいことでありまして、次の御予定が迫っておりますので、御退席になります。
どうも、お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございました。
○宮澤大蔵大臣 それでは、御無礼でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。会長、ありがとうございました。
〔大蔵大臣退席〕
○貝塚会長 それでは、最後になってしまいましたが、生命保険会社に係るセーフティネットについて、事務局より御報告案件があるとのことです。
よろしくお願いいたします。室長。
○菅野保険企画室長 保険企画室長の菅野でございます。では、御報告させていただきます。
「保険のセーフティネットの整備と課題」と表しております「総会6−4」という資料を御覧いただきたいと思います。
保険のセーフティネットの整備につきましては、従来、ソルベンシー・マージン比率に基づきました早期是正措置の導入ですとか、生命保険契約者保護機構の創設といったことで整備が図られてまいりました。
また、課題といたしまして、保険相互会社の株式会社化、また、保険会社に係る倒産法制の整備といったテーマがあるところでございます。
ここで、保険契約者保護機構の機能の維持という第3のテーマがあるわけでございますけれども、これにつきましては、2ページ目を御覧いただきたいと思います。
現行の保険契約者保護機構の仕組みでございますが、これには、破綻会社の契約者御自身の負担、それから業界の負担、これは機構の基金に年間
460億円を拠出するということでございますけれども、さらに公的関与といたしまして、政府保証があると、こういった仕組みとなっております。
この仕組みの下で、対応可能な資金援助額は 4,600億円となっておりますが、東邦生命の要処理額が多額となる見通しでございまして、この中でセーフティネットの機能が低下し、生命保険に対する信頼が損なわれるおそれがあるところでございます。ここで破綻契約者負担のあり方、業界負担のあり、公的関与のあり方、これを見直していく必要があるわけでございます。
お時間の関係もございますので、ページを1ページ飛ばしていただきまして、4ページを御覧いただければと思います。
生命保険のセーフティネットの再構築ということでございまして、目的のところを御覧いただきますと、今般、東邦生命処理により生命保険契約者保護機構の財源の相当部分が使用される見通しであることから、保険契約者の保護及び国民の基礎的な生活保障手段である生命保険に対する信頼の確保、生保危機に端を発する金融不安の再燃の防止のため、以下のような生命保険セーフティネットの再構築を図ることとしております。
まず、契約者の保護水準でございますけれども、これにつきましては、現行の水準を堅持する。
(注)で特例措置についてございますけれども、これにつきましても、現行のとおり平成13年3月末までということといたしたいと思っております。
セーフティネットの規模以下でございますけれども、次のページを、これは図表化したものでございますので、御覧いただければと思います。
セーフティネットの規模を 5,000億円追加する。現行は 4,600億円でございますけれども、これに
5,000億円追加する。この中で、業界の追加的な負担は 1,000億円。これで対応不能な部分については、平成15年3月末までの破綻を対象に公的資金4,000
億円を充てることを可能とするといった制度でございます。
下の図にあるとおり現行の限度額に業界の追加的な負担分 1,000億円、さらに4,000
億円を限度とする財政措置を可能とするということでございまして、右肩を若干御覧いただきますと、平成15年3月末までの期間において、保険契約者保護機構のための資金援助の財源について業界のみが負担することになれば、経営の長期的健全性が維持されなくなる事態を招き、ひいては、国民生活の安定や金融市場に不測の混乱が生ずるおそれが認められる場合に対応と、こういった考え方になっております。
なお、このためのこういったスキームにつきまして、実際には借入れで対応をまず行うという必要が生ずることが考えられまして、これにつきまして、一番右側にございますように、借入れについては政府保証で対応をすると、こういった考え方。
さらに、(注)のところでございますけれども、現行制度の下で制度の見直しに関する法律上の規定がございまして、こういった考え方は存続していくということでございます。
なお、1ページ目をもうちょっとだけ御覧いただきますと、一番最後のところに、自助努力等というのがございます。破綻会社の経営責任の追及のほか、健全生保会社についてはディスクロージャーの強化、経営の合理化の徹底等が求められるところと考えております。
以上、生命保険のセーフティネットの再構築につきまして、ごく簡単でございますけれども、御説明させていただきました。
○貝塚会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、質問などがございましたらどうぞ。
原委員。
○原委員 生命保険のセーフティネットのあり方について、消費者の関心も高いので、こういう形で示されることは妥当だとは思うんですが、事業者の追加負担は
1,000億で国が 4,000億という、この1対4は、どういうところから出てきたのか。先ほど申し上げましたように、国の負担という、結局、納税者負担ということについては、すごく批判が強いですので、この1対4の根拠が何だったのかということを少し御説明いただきたいのと、それから、平成15年3月末という、時限というんでしょうか、こういう時期を切っていらっしゃいますけれども、今回のペイオフみたいにまた延び延びというのか、生保に対して本当にここで大丈夫ということの目処でのこの平成15年という数字なんでしょうか。その2点お願いしたいんです。
○貝塚会長 ただいまの御質問について、どうぞ事務局。
○菅野保険企画室長 御説明申し上げます。まず、全体のセーフティネットの規模の追加
5,000億円ということになるわけでございますけれども、これにつきましては、現行の借入限度額が
4,600億円となっております。最小限、現行以上の規模に復元するというようなことでこのセーフティネットの信頼性を確保したいと、こういった考え方でございます。
業界負担の 1,000億円ということでございますけれども、これにつきましては、実際にその業界、日産生命の処理分を含めまして、現在、保護機構に対する拠出、かなりの拠出をしているところでございます。その中で、実際にこの負担が業務純益といったところでどのぐらいの負担になるのだろうか、これを考えてみまして、銀行の負担との比較、こういったものを勘案して
1,000億円という水準を出したと、こういった考え方になっております。
また、もう一つ、15年3月末までという、ここの考え方でございますけれども、御紹介申し上げましたように、保険相互会社の株式会社化に係る法制ですとか、あるいは保険会社の倒産法制という、こういったことが現在取り組むべきテーマとしてあるわけでございます。こういった制度が定着するというところを見まして、それまでの時限的な措置といった考え方で、15年3月までの時限的な措置というふうに位置づけいるところでございます。
○貝塚会長 ほかに。追加的な御質問ですか。
○原委員 生保でたった−−たったと言ってはあれですが、 1,000億ってすごく大きい金額ですけれども、これはやっぱり銀行との比較で出されてきた数字ですか。
○貝塚会長 金額的なことは私はコメントはできないんですが、銀行のケースに比べて、私の私的な意見ですが、保険会社が経営がおかしくなったときの処理というのは、極めて難しいんですね。銀行ですと、預金というのは同じ商品でぱっと移せばいいわけです。
○原委員 ええ、そうですね。
○貝塚会長 だけど、保険会社の契約というのは、非常にそれぞれ個別的で、会社ごとによって契約内容がある意味で違うんですね。それをそのまま銀行預金のようにすぐ移すというわけじゃなくて、別会社で。ですから、保険の破綻の処理というのは、制度的には難しいような印象を元来持っているんです。しかし、日本の保険会社は、事実上相当かなり経営が悪化しているケースがあるわけです。それは放置できないんですね。その辺の非常にジレンマがあって、というところは、国の
4,000億に出ているというのが、金額それ自身の正確なことではないんですが、単純に申せば、相当難しい問題だ。しかも生命保険というのは、契約が本当に無効になっちゃうと、これはやっぱり大問題ですよね。ですから、そういうことです。
○福田金融企画局長 今の大変重要な御指摘ですし、これからいろいろ御論議があると思うんですけれども、一つは、菅野が申し上げましたように、現行の限度額
4,600億円というのは、まだ積み上がっておりませんで、昨年できた機構ですから、毎年460
億円ずつまだこれから払い続ける。その前に日産生命で 200数十億円あったと思います。合わせて
690億円くらいこれから払い続けるという既に負担が起きておることと、それから、業務純益との比較は、一つの指標でございますけれども。
もう一つ決定的に違いますのは、銀行はまだ低金利の恩典で業務純益があって、その中で不良債権を処理したり、預金保険料を払っておるんですが、保険会社は御案内のとおり、毎年大体1兆
6,000億円くらいの逆ざやを抱えているものですから、業務純損みたいな状態。体力を取り崩しているということもございまして、そもそも昨年の
4,600億円の枠をセットしたときに、もうこれ以上は勘弁してくれというのがスタートにあったものですから、そうは言っても、ですから、業界はもう追加負担なしというくらいのことを言っております。むしろ全額銀行のような交付国債を充ててほしいということもございましたが、さすがに決済システムそのものでもないということで、交付国債はいかがかということで、業界には
1,000億円程度、そして、財政措置として予定されている 4,000億円も、これは交付国債のように既に渡してしまうお金でなくて、この財源が次第に枯渇してきたときに、つまり
1,000億円まで使っても、足らないときに将来財務措置が出動できるというスキームですから、そこは、将来足らなくならなければ、発動もされないということでございます。
ただ、本質的な問題として、 5,000億円の枠で、将来本当に足りるかどうか。片方で倒産法制等を整備しますので、破綻処理のコストはぐっと低くなると思いますけれども、今の逆ざやのような基本問題が残っている以上、本当にこれで解決されているのということは、まだまだ問題だと存じます。
○貝塚会長 ほかに御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
それでは、ほかに御質問がございませんようですので、本日予定しておりました議事は一通り終了いたします。
この1年間、本当に相当インティンシィブといいますか、夏休みも返上して議論をしていただきまして、大変ありがとうございました。非常に御苦労さまでした。
それから、最後に、会合を終わる前に1点お断りしたい点がございますが、当審議会の議事録につきましては、一番最初、総会その他で議論されたことですが、節目節目に公開するということとなっておりますが、本日、このような形で一つの節目を迎えましたので、預金保険制度等に関する答申、それから、両部会の報告書が公表されましたので、議事録の公開の準備に入りたいと思います。
議事録の内容につきましては、既に逐次チェックをお願いしてきたところでありますが、今後公開へ向けて、本日までのものを一通り精査していただきたいと思います。年明けに皆さんのところへ議事録が参ると思いますので、お目通しをくださいまして、精査していただきたいと思います。その点お願いいたします。よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、事務局より、簡単に事務連絡をお願いいたします。
○内藤企画課長 御連絡いたします。
先ほど会長からお話もございましたとおり、本日御審議いただきました答申と報告につきましては、この後、会長と両部会長により行います記者会見の席上で公表するというふうな手順になっております。
また、「中間整理(第二次)」及び「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備・中間取りまとめ」の両報告につきましては、パブリック・コメントの手続に付すこととなっておりますが、期限はいずれもやや短めでございますけれども、年明け早々からまたいろいろ事務的な作業が行われますので、その中で可能な範囲で反映させていくというスタンスを考えておりまして、1月14日(金曜日)までにコメントいただければ、それはそれで参考にさせていただくというふうなことで考えております。
その点につきましては、今日お配りしております6−2と6−3のそれぞれ資料の見開きの中にパブリック・コメントの要領が書いてございます。
次回以降の総会・部会の日程につきましては、現時点では未定でございます。正式に日程・議題等が固まりました段階で、追ってメンバーの皆様方には、事務局より御通知申し上げます。
以上でございます。
○貝塚会長 どうもありがとうございました。
それでは、本日の総会は、これにて散会いたします。
(以 上)