金融審議会「第一部会」第7回会合議事録
日時:平成11年5月21日(金)10時00分〜12時05分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室
○蝋山部会長 まだ5人の委員の方がお見えになってないんですけれども、ただいまから、第7回金融審議会「第一部会」を開催いたします。
お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
議事次第に従いまして、本日の議事を進行させていただきます。
今日、まず第1に、事務局から、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」及び「集団投資スキームに関するワーキンググループ」の二つのワーキンググループの検討状況につきまして報告をしていただきまして、自由討議を進めたく思います。そして、一区切りついた後に、ルールの実行性をいかに確保するか、あるいは適格な業者といったものをどう考えるか、こういった問題につきまして事務局から問題を提起していただきまして、自由な討議を行いたいというふうに思っております。
お感じになっているかもしれませんが、今日はたくさんオブザーバーの方がおられます。今までと大分違います。これは、日本の金融に関係する役所がたくさんございまして、流れ懇の場合には13省庁の方々に来ていただきました。今日から大蔵省以外の13の省庁の方々にもオブザーバーとして聞いていただくということにさせていただきたく思いますので、よろしく御了解いただきたく思います。
ワーキンググループの検討状況についてでありますけれども、二つのワーキンググループで全てのメンバー、オブザーバーにお願いしておりました意見の発表が17日までに全て終了いたしまして、次のワーキンググループの会合からは、いよいよレポートの取りまとめの段階に入ることになっております。そこで、それぞれのワーキンググループから御了解をいただきまして、事務局から今日この場で議論の内容を説明させていただくということになりました。
そこで、まず細溝さんから二つのワーキンググループに関するこれまでの議論、どういうふうにまとめようとしているか、こういう点について説明を20分程度お願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○細溝債権等流動化室長 お手元に第一部会7−1「ホールセール・リーテイルに関するWGにおける主な議論」という紙があろうかと思います。
まず、二つワーキングがありますが、ホールセール・リーテイルの方から御報告をしたいと思います。
今、部会長から御説明がありましたように、両ワーキンググループではメンバー、オブザーバーの方々の発表が一通り終わりまして、これから取りまとめに入るという段階でございます。その取りまとめに入るに当たり、今までの主な議論の論点といいますか、それを簡単にまとめたのがこの紙でございます。したがいまして、この紙の中には、それぞれ意見が集約されつつあるものもあれば、まだ集約されてないものもある。したがって、取りまとめはこれからであると、こういう段階の論点整理だと御了解いただいて結構だと思います。
それから、それぞれホールセール・リーテイルにつきましても、集団投資スキームにつきましても、一応ポンチ絵を付けてございます。ホールセール・リーテイルにつきましては、7−1で主な議論、縦書きのものですが、それから、7−2にイメージという横書きの絵があろうかと思います。このイメージの横書きの絵を横に置いていただきながら縦の7−1の主な議論というのを御説明したいと思います。適宜この図を参照いただければと思います。
それで、7−1の資料でございますが、問題意識と検討対象というのはここでは省略しておりますが、主な論点として議論の前提となる論点としては、金融サービス法が目指すものとは一体何だろうかというところでございますが、金融取引・市場の公正性・透明性を確保して、幅広い利用者の信認を得る。それによって円滑で効率的な資金・リスクの配分を実現するというのが目的であろう。
そのためには、適切な利用者保護の確保と、競争を通じたイノベーションの促進、この二つを両立することが必要であろうということでございます。
それで、議論の出発点として想定する利用者として、多種多様な利用者の存在を念頭に置きつつ、議論の出発点としては、一定の条件の下で自己責任意識を持ってリスクを負担できる者を想定し、その上で、無条件に自己責任を貫徹し得る者と自己責任を問い得ない者、この3分類ではないか。
いろんな出発の仕方がある。プロから始まってだんだんアマにいくやり方と、一番アマから始まってだんだんプロにいくやり方がございますが、イメージ図で御覧いただきますと、イメージ図の一番上に長い長方形がございますが、真ん中に「アマ(A)・個人 ・プロに該当しない法人」と書いてございますが、要は後で御説明するいろんな説明義務とか情報提供義務等々、業者サイドと顧客サイドの情報格差を埋める何らかの措置をすることによって自己責任を問い得る者をアマ(A)。
それで、右にいきますと、一番右には「プロ」と書いてございますが、例として金融サービス業者などが挙げられるのではないかという話でございますが、そういった者は、いわばそこまでのそういった義務をある程度免除ないし軽減して、要は無条件といいますか、自己責任を問い得る者。
それから、一番左ですが、例えば民法上の行為無能力者、これはわざわざ規定するまでもないことでございますが、どういう者が当てはまるかというのは非常に慎重に議論する必要があろうかと思いますが、自己責任原則を一部修正した方がいい者、そういった分類ができるのではないか。これは非常に抽象的な分類でございますが、したがって、具体的な線引きについて御議論をいただきつつある、いただいておるということでございますし、第一部会でも御議論いただきたいところでございますが、抽象的にはこの三つの分類ができるのではないかというような頭でございます。
それで、その次でございますが、リスクとその負担とか取引ルール、業者ルールの関係といったことを前提にしつつ、次に、2.で今申し上げました「ホールセールとリーテイルの区分」というのがございます。
区分の基準のあり方については、どういった基準がいいかといったときに、一つは、客観性・明確性がないと困るだろうと。とはいえ、いろんな多様な商品、主体がおられますので、きめ細かさも求められるだろうと。余りきめ細かくしますと、今度は実行可能性がなくなってくるので、この実行可能性というのも必要だろうと。そういったところで非常に難しいいろんな要請があろうかと思います。それで、最後に、では、一律にびしっと決めてしまっていいのかというと、いわば顧客が選択してもいいのではないかといった議論がございます。一応決めておいて、後で選択するというようなこともあり得るのではないかという発想でございます。
それで、区分の方法でございますが、これも主に二つの考え方があろうかと。プロとかアマといった取引の主体に着目した区分と、それから、取引の類型に区分して、例えば一定金額以上とか、短期金融市場のように、要はそういう業者間しか入ってこない市場とか、取引所取引とか、そういったような取引の区分、種類や、ないしは一定金額以上といった規模によって区分ができるのではないかという発想でございます。
それで、2ページ目にいっていただきまして、2ページ目には第一次的な区分の下で、それぞれの区分におけるルールを明示して、一定の明確な手続に従って、利用者がいずれのルールに従うのかを選択ないし転換できるという方法を検討すべきではないかということでございます。
それで、ここのところで、先ほどの絵を見ていただきたいのですが、絵で申し上げますと、プロをどう規定するかという議論と、それから、それの反射的に、したがって、プロとアマの線引きをどうするかという議論。それから、アマ(A)とアマ(B)をどう区分するかという議論。そして、アマ(A)でありながら、例えば私はプロだというふうに転換できる、ないしは私はホールセール取引のルールを選択しますというふうに選択できる、そういった人がいるかどうか。いたとして、では、転換するにあたっての手続はどう決めるべきかといったところがここの矢印のところでございます。
そうしますと、次に「具体的な区分の基準」と書いてございますが、取引の主体に着目した区分、プロとアマの区分、こういったのがございます。
プロとアマの区分で申し上げますと、例えばここの絵には金融サービス業者とか、いわばメンバーの御意見から出ておりましたのは、例えば一定規模以上の法人とかいったようなものが、とりあえずプロにしていいんじゃないかというような御意見がございました。それ以外にも、例えば金融を専門にやっているような、業者とまで言えない、例えばSPCとか年金基金とかはどうするのかとか、いろんな話がございます。例えば、取引でも反復、継続して非常に大きな取引をやっている人はどうなるんだと、こういうような話でございます。それから、2番目の取引の類型に着目した区分は、先ほど申し上げたような話でございます。業者間市場とか取引所取引とか、一定規模、金額以上とか。それから、それらを組み合わせた区分というのもできようかと。組み合わせますと非常に芸は細かくなるんですが、なかなか明確な線引きというのが本当にできるのかという話でございます。
それから、そういった意味で制度維持に係るコストというのは、要するにそういったものを一々確認するにはコストがかかる。コストがかかると自由な取引というのがどうなるんだろうかというような話。そういったところで、できるだけ明確な方がいいんじゃないかとか、そういった議論があるということでございます。
次に、販売・勧誘行為に関するルールというものでございますが、販売・勧誘行為に関するルールとしては、いろんなルールがあろうかと思いますが、このイメージ図で御覧いただきますと、例えば業者に対するルールとして業者ルールというのがある。それが、例えば私法上の効果をどうするかというのが取引ルールとしてある。それから、ここまであるのかどうかという話なんですが、要はマーケットに参加する以上、何人も守らなければいけないルール、それを市場ルールと概念的には分けられるか。こういうふうにきれいに割り切れるかどうかという話はあるんですが、とりあえずそうやって分けてみる。
そうしてみて、では、アマ(A)に該当する人の下を御覧いただきまして、これが一般的な義務になるのかどうかという話でございますが、例えば説明義務、情報提供義務、適正な勧誘の確保に係るルールとか、顧客の適合性を踏まえた内部ルールの整備とか、ないしはそういった場合、助言、アフターケア、警告義務等はどうするかというような話がございます。
また本文の2ページに戻っていただきますと、説明義務と適合性原則の定義・関係ということで、実は「適合性原則」という言葉、同じ言葉でいろんな意味があるものですから、一応二つの見解があるというふうに整理してございます。
適合性原則とは、要するに説明義務とは別個のもので、説明をやろうがやるまいが、売ったり勧誘したりしてはいけないという狭義の適合性。それから、要は適合性に配慮した説明をしなきゃいけないというのを広い意味での説明義務に含める見解、これは広義の適合性と、こう呼べば適合性原則という言葉でも二つあるのではないか。
それで、先ほどの絵で御覧いただきますと、例えばそれがどういうところに出てくるかということでございますが、アマ(B)の下にある適合性原則、事業者ルールにございます(例)と書いてある適合性原則ですが、これは多分狭義のものだろうと。意味としては一定の商品、例えばボラティリティーが大きくて利用者に負債の残るようなものについては勧誘してはいけないというような業者ルールを決めるかどうか、そういった意味でございます。
それから、アマ(A)のところにはどうなるかというと、顧客の適合性を踏まえた販売・勧誘のための内部ルールを整備しなさいという義務がかかる。要は販売・勧誘にあたっての適合性を踏まえたことをやりなさいといったようなのが、こちらは広義の適合性という言葉に入るだろうと、こういう整理でございます。
それで、?で説明義務・情報提供義務でございますが、説明義務と情報提供義務といいましても、いろんなディメンジョンの議論がございます。
例えば取引ルールとして要件・効果をどう定めるか。仮に何らかの説明をしなかったとすれば、即、例えば損害賠償とかそういう話になるのかどうか。それから、情報提供義務としての説明義務として、例えばどういった内容が要るのか。利用者の理解・納得まで要るかどうか。提供が必要とされる情報の内容とは何か。情報の内容としては、例えばリスクの種類とか内容、商品の基本的な仕組みといったものが入ってこようかと思いますが、そういったこと。
それから、ちょっと飛んでいきまして、業者ルール違反の私法上の効果。実はその業者ルール違反の私法上の効果といいますのは、先ほどのイメージ図で見ていただきますと、業者ルールと取引ルールの間に上から下へ行く矢印が2本、絵の中にございます。業者ルール違反で一定の民事効を付与する、ないし推定規定を置くといった形があり得るというのが最初の(一定の民事効の付与)。これも、どの業者ルールに違反した者がどの程度の私法上の効果があるかというのは実に議論になるところでありまして、非常に抽象的にしか書いてございませんが、例えば下の方で言いますと、取引ルールのところに書いていますが、説明義務違反に係る損害賠償責任とか、例えば上のアマ(B)のところから来ると、取引の無効ないし取り消しといったことまであるのかどうかといった議論でございます。
それから、右の方に書いてございますが、自主ルールの確立を通じた実質的な取引ルールの形成、これはもう業者ルールで内部ルールを決めろというようなことになって、業者が自分でいろんなルールを作る。それが実は取引ルールに反映されてくるのではないかといった御議論でございます。
逆に言えば、一番左でございますが、取引ルールから業者ルールに行く流れもございます。仮に取引ルールをきちんと書けば、訴訟リスク等を通じて業者の規律付けが行われるだろう。そうすると業者が自分で規律付けをするだろうといった流れもあろうかと。ここら辺が非常にややこしいところなんですが、上から行ったり下から行ったりするだろうと、こういう話でございます。
それから、元の本文に戻っていただきまして、そうすると、それ以外にも例えば立証責任をどう転換するのかどうか。それから、免責要件を作るのかどうかとか。あと、ルールの適用範囲がホールセール・リーテイルでそれぞれ違うのかどうか。例えばディスクロージャーをやっていれば一定の説明義務は軽減されるのかとか。あと、取引の種類によってルールの内容も変わってくるだろう。反復・継続取引については2回目からは一々説明しなくてもいいというようなこともあってはいいのではないか。最後に、どのレベルで、つまり法令、ガイドライン、自主ルールございますが、どのレベルでどの程度まできめ細かく示すのか、こういった議論でございます。
3ページに移っていただきまして、適合性原則は、先ほど申し上げました狭義の適合性原則と広義の適合性原則がある。ただ、狭義の適合性原則をやるとして、実は自己責任に私的自治ということがございます。ということで、民法の行為無能力者を超えて一体どこまでそんなものが本当に適用できる者がどういうふうに決められるんだろうかといった議論でございます。それから、取引ルール、業者ルールといった話。
それから、広義の方の適合性原則については、業者ルールとしての適合性への配慮義務があり得るのではないかとか。ただ、それをやるにはコストがかかるよねと、こういう話でございます。
それから、実は販売前段階として勧誘・広告をどうするかという話がございます。勧誘・広告にもいろんな定義がありますし、例えば詐欺的な勧誘、断定的な判断の提供等は禁止するのかどうか。不招請の勧誘というのもある。それから、ここでは「対面取引と非対面取引」と書いてございます。特にインターネットなんかで取引される場合はどうなるんだろうかという話。
それから、やや今までと次元が違いますが、販売・勧誘行為者の責任範囲として、信認義務、受託者責任、利益擁護義務といったもの。これは何かといいますと、一定の事実関係を基に一定の信認関係ないし受託者責任というのが発生するような関係があるのではないかという議論でございます。多分この中に継続的に取引しているような場合にどうなるんだろうかとか、そういったことも入ってこようかと思います。それから、助言行為。例えば助言にしても、販売・勧誘段階とアフターケアをしなきゃいけないかどうかといった問題。警告義務。それから、販売者の責任範囲といいますのは、実は金融商品の仕組み者・運用者・管理者といろいろ書いてございますが、集団取引スキームなどでは、その仕組みの中にいろんな業者が入ってまいります。そうした人たちと販売者ないし仲介者、その責任範囲をどうすべきかといった論点でございます。
それで、最後に「ルール形成・運用とエンフォースメント」というところでは、実は本日、後でまた御議論いただきますので、ここは簡単に御説明いたしますが、行政、自主規制、個別業者、司法それぞれの役割分担とかそういったものがあるのではないか。ただ、そうは言っても、できるだけ業者のセルフガバナンスとかコンプライアンスを重視するのがいいのではないかとか、そういった話。ないし横断的な自主規制機関が要るのではないかといった話。
それから、次の4ページですが、エンフォースメントがないとそれは意味がないので、そういう意味で我が国のインフラ等に応じた監視・チェック体制はどうあるべきか。私人による権利行使、これは専ら司法的な話。それから、行政の話、自主規制機関の活用の話。
そして、簡易・迅速な紛争処理制度。実は我が国の司法は時間とコストがかかる。片や、例えば被害額が少額であるとかいったような場合に、どういうふうな実効的な簡易で迅速な紛争処理制度があるんだろうかといったような御議論でございます。
それから、最後に利用者、消費者の学習・教育。利用者、消費者という言葉自体が非常にあれでございますので、二つ並べて書いてございますが、一応そういった意味で利用者、消費者の教育というのが最高の消費者保護ではないかといった御議論。それから、欧米は、例えば学校教育から社会教育の方にだんだんと広がってきているが、日本では社会教育から、ようやくこの頃、学校教育に入ってきた段階であろうかといったような御議論、そういった御議論がなされておるということでございます。
非常に駆け足でございますが、ホールセール・リーテイルにつきましては以上でございまして、引き続きまして、集団投資スキームについて御説明をしたいと思います。
第一部会7−3という資料と、それから7−4という資料があろうかと思います。7−4という資料はゼムクリップでとめてありますので、ページ数を申し上げますので適宜これをばらして、あけて御覧いただきながら御説明をしたいと思います。
それで、集団投資スキームのワーキンググループの主な議論ですが、まず、類型が二つあるのではないか。資産運用型と資産流動化型。7−4の資料の2ページと3ページを引っ張り出して並べて見ていただきたいのですが、2ページが資産運用型、3ページが資産流動化型と書いてございます。
このポンチ絵で御説明申し上げますと、資産運用型は投資者の資金をプールして資産に投資し、その資産が生み出すキャッシュフローを投資者に分配する仕組みということでございますが、一番左に投資者があります。投資者が投資をします。それで、ビークル、これはお金を運ぶ乗り物という意味でのビークルと通称しておりますが、そういったビークルに投資家からの資金をプールします。それをいろんな資産に運用します。その資産から返ってきたキャッシュフローで投資資産に配当などで返していくという仕組みでございます。この場合の特徴は資産運用のところでございまして、これはいろんなファンドがありますけれども、例えば頭の中で考えますと、不動産6割、株式2割、公社債2割といったような積極運用型とか、そうでなくて、デッドに比較的大きくやるような堅実運用型とか、いろんな運用型があろうかと思います。投資者は、その運用方針とかを自分で決める。つまり、上にございますが、議決権行使等によるガバナンス、これを効かせるわけでございます。したがいまして、運用方針を変えるときは投資者が議決権を行使してみんなで決めなきゃいけないとか、そういったガバナンスが一つポイントになろうかと思います。それで、そうして運用した資産で配当が返ってくる、これが資産運用型。
3ページで書いてございます資産流動型という次の表がございます。流動化型では、特定の資産から生じるキャッシュフローを組み替えて、投資者に証券等を販売することにより資金調達を行う仕組み。「オリジネーター」と書いてございますが、オリジネーターというのは原資産保有者という意味でございます。原資産保有者がその資産を、要は端的に申しますと切り売りしたい。そうすると、特定の資産をビークルに譲渡します。それで、投資家は、そのビークルが発行する証券等を購入することによりまして、この特定資産の購入代金をオリジネーターに払う。それで、この特定資産から資産の管理処分により発生したキャッシュフローが投資家に返ってくるといったもので、まず資産ありきというようなもの。それから、投資家にしてみればガバナンスというものは余りない。むしろ、資産の収益性そのものがこのスキームを決定づけるもの、収益性を決定づけるものといった意味で、類型的、理念的に分けますと資産運用型と流動化型、この二つがあるのではないか。
それで、7−3の資料に戻っていただきまして、類型がその上に書いてございますが、二つあるのではないかという話。
それから、そうした意味で集団投資スキームの定義というのは一体何だろうかといった議論でございます。こういった類型があります。では、それらを前提に物を考える定義というのは何だろうか。そうすると、アメリカでは連邦証券諸法の投資契約ということでハウイ・テスト。受動性とか共同性とかといった話。イギリスでは金融サービス法における集合投資契約。これも同じような話。そうするとメルクマールは、受動性・共同性になってくるのかなと。
受動性というのは何かといいますと、投資家が投資資産を直接コントロールできない。先ほど申し上げましたように、運用方針自体はガバナンスで決められるにしても、直接コントロールするわけではない。まして、流動化型においては、そんなコントロールなんていうのはしてない。そういった意味での受動性。
それから、共同性というのは、これはたくさんの投資家が集まってくるということでございますが、たくさんの投資家から集めて、例えば1人の基金運用者がやる場合でも、やはり一応集合投資スキームではないかというような御議論もございます。それから、ここでの御議論は、例えば、では、事業会社とどう線引きするんだというような話もございます。そういった意味で受動性・共同性というのがメルクマールになるのではないかと、こういうことでございます。
その次に、では、その集団投資スキームに何でルールを決めなきゃいけないか、こういう話でございますが、実はリスク・シェアリングの明確化と。これは投資家と多数の業者が関与します。多数の業者というのは後で申し上げますが、資産運用者、資産管理者、助言者、いろいろございます。そういった多数の業者が関与するものですから、その間のリスクをどういうふうに分けるのかというような明確化が要るのではないか。それから、市場適合性といいますか、要はこの集団投資スキームというのは、まさに金融商品を組成するための仕組みでございますので、投資家の信認を得られるような商品作りをしなければいけない。そのためには何かの法的な支援が要るのではないかといった発想でございます。
その次のビークルの組成に関するルール。このビークルの組成というのは、なかなか言葉で言うのは難しいので、7−4の1ページ目の絵を御覧いただきたいと思います。1ページ目には「集団投資スキームにおけるビークルについて」という横長の表がございます。
これで申し上げますと、例えば会社型、信託型、組合型、これがビークルというものでございます。それぞれ今ある商品をここに書いてございます。それで、例えば会社型という意味で言えば、商法ないし有限会社法というものかもしれませんが、そこに現にあります商品自体は証券投資法人もSPCも実はビークルの特別法みたいのを作ってございます。
それから、信託型というのは、これは信託法をベースにする。
組合型というのは、民法の任意組合とか商法の匿名組合をベースにする。
それから、その他民法の契約とかいろんなものがあろうかと思います。それらによっていろんな現にある集団投資スキームもそういったビークルを使っているという意味でございます。
それで、本文に戻っていただきまして、ビークルの組成に関するルールで、組織形態、投資者等の権利、責任分担、ガバナンス構造がいろいろ違います。
基本的にはこういった私法上の規定をそのまま使っていくというのが普通の集団投資スキームですが、例えばSPCのように特別に作ってしまう場合もあるということもあろうかと思います。
それから、機能面に着目した集団投資スキームに関するルール。これは、実はイメージ図の方の4ページと5ページを御覧いただきたいのでございますが、4ページ、5ページ並べて御覧いただきますと、4ページが資産運用型、5ページが資産流動化型、大きく分けてございます。
資産運用型で申し上げますと、一番下に投資家がおります。ディストリビューターから購入をするわけでございますが、そのときに販売・勧誘のルールが要るだろうと。今度は持分権があって、ガバナンスを効かせつつビークルの中にお金を投じ込んでいくわけですが、そうしていくと今度は、例えばそこで上の方に投資対象資産に投資してキャッシュフローが返ってくると、こういう絵がございますが、そこの段階で資産運用という業務がございます。そうすると、プルーデント・インベスター・ルールでありますとか利益相反防止でありますとか、そういったルールがそこのところに要るのではないか。運用者がそのまま管理する場合と資産管理者を別途設ける場合と、別途管理しろというのを強制する場合とございますが、そうすると資産管理という業務がここに出される。上にいきますが、資産管理という業務があって、そこには分別管理といったようなルールがあるのではないか。それから、全体として例えば投資顧問が助言をする場合にはベスト・アドバイスといったような助言に伴う一つのルールがあるのではないか。
それぞれに共通して言えるのは、このビークル自体の耐倒産性、これが例えば業者が破産したときどうする、ビークルの運営が失敗したときどうするといったような耐倒産性。ないしは外部監査等のチェックをするような話。それから、右下ですが、全体としてディスクロージャーというようなルールも要るだろう。それから、この運営者自体に参入要件が要るかどうか。そういったようなものが考えられます。
それから、5ページの資産流動化型になりますと、今度は先ほどよりはやや簡単で、資産運用というのがないわけですから、要するに投資家はディストリビューターから資産担保証券を購入します。その段階では、例えば資産管理といったような話が出てまいります。分別管理とかサービサーリスクの軽減とかいったようなことがあろうかと思います。それで、大体運用がない関係上、助言とか資産運用というのがここではなくて、ガバナンスルールもない。ただ、耐倒産性とか監査の外部チェックとかディスクロージャーとか参入要件とかいったようなものは同じようにあるのではないかといったことで、この類型によって相当違いつつ、やや共通するものがあるというような感じかなというところでございます。
それで、7−3の資料の本文の1ページに戻っていただきまして、機能面に着目した集団投資スキームに関するルール。その機能というのは、今申し上げたように販売・勧誘、資産運用、資産管理、助言、それから仕組み行為といったものがあるのではないか。
それで、受託者責任ですが、この受託者責任は、まさに投資家がそういった資産とか利益の管理・運用等について直接コントロールしない、受動性をメルクマールにするものですから、そうすると業者サイドに受託者責任というのが発生するのではないかといった議論、先ほど申し上げましたが、そういった議論がここでもある。それで、受託者責任に関するルールの具体性・明確性の確保及びその手続。これは委託者・受託者間で責任を負うべきリスクについて明確にすべきではないか。
それから、業者の適格性ですが、業者の適格性は、まさに参入要件という話ですが、参入要件にも何段階かの参入要件が考えられる。まさに金融サービス業者としての参入要件というような議論もありましょうし、それから、こういう集団投資スキームのそれぞれのスキームの適格性との関係で、あるスキームについて取り扱う業者としての適格性はどうすべきかといったような議論があろうかと思います。
次の2ページに移っていただきまして、集団投資スキームの耐倒産性。これは先ほど申し上げましたように両方のスキームにあるわけですが、例えば業者が破産した場合の取扱い。この業者というのは、例えば販売業者、資産運用業者、資産管理業者といったような業者があります。そうした業者が破産した場合と、それからスキームの運営に失敗した場合、これはビークル自体が破産しちゃった、SPCが破産しちゃったというような場合、二通りに分けて耐倒産性という議論があります。
それから、今度は集団投資スキームに関する取引ルール、これは司法上のルールでございますが、そういったものがある。分別管理と破産リスクからの遮断。受託者責任、信託法制といったようなものがあろうかと思います。
それから、市場ルールももちろんあるわけで、ディスクロージャーとか公正取引ルールといったルールもあろうかと。
それから、業者ルールとしては、利益相反の防止とか、例えば管理については分別管理義務とか。レバレッジというのは、これは本当にすごい高いレバレッジのものまで何でもいいのかという議論でございまして、これは程度問題ではないかと思いつつ、そういったものを規制するのかどうかといった議論。それから、業者の参入要件をどうするか。
それで、特性を踏まえた対応の必要性の要否ですが、資産運用型と資産流動化型で必要なルールが相違するところ。先ほど図で御覧いただきましたが、入ってくるもの、入ってこないものがあるのかなと思いつつ、両類型で考えなきゃいけないんじゃないか。それから、投資対象資産の属性やリスクの態様ということでございますが、この投資対象資産。資産運用型にしましても資産流動化型にしましても、投資対象資産をどう捉えるか。資産の範囲というのが、まず問題になろうかと思います。ワーキンググループでは、できるだけ広くとろうではないかといった御議論がございました。出ていた例示で言いますと、絵画とか競走馬、もちろん不動産、そういったものだってインカムゲイン、キャピタルゲインがあるではないか。それを集団投資スキームで売るようなことというのはあるわけでして、だから、そういったものも当然入ってきてしかるべきではないかといった御議論がございました。それから、組成される金融商品の流通性や流通市場の整備状況。参加する投資家・受益者の属性、不特定多数性、そういった議論がございます。
それから、横断的法制の確立に向けた方法論として、例えば集団投資スキーム法制というものを、今縦割りであるものを全部倒して横割りにできるのか、ないしは縦割りを残してルールを共通化すればいいのかといったような方法論。それから、金融サービス法との関係というものが主な論点でございます。
ただ、ここで書いてございませんが、ワーキンググループで出ていた議論はほかにも、例えば税制、金融商品として集団投資スキーム、同じ集団投資スキームであれば同じような課税をされるべきではないかといったような御議論、会計の中立性、時価評価をどうするか、強制するのかというような話も出ておりました。ただ、本審議会で決める話ではございませんので、あえてここには書いてございません。ただ、そういった税制、会計の中立性を確保すべきではないかといった御議論もワーキンググループで出ておったということを御紹介したいと思います。
私からは、以上でございます。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
二つのワーキンググループ、今まで延べ13回やったんですが、随分たくさんの会合を精力的にしていただきまして、それを30分で今日解説していただいたわけですから、聞く方も大変でしたし、しゃべる方も大変だった。御苦労さまでした。
まず、今日もワーキンググループのメンバーになられた先生方、何人か委員の方おられます。ホールセール・リーテイルに関しましては上柳さん、高橋さん、お二人がそうでしたし、集団投資スキームについては神田さんがそうで、あと、柳川さん、岩原さんは、今日はちょっとお見えになってないようなので、そういうメンバーとなっておられる委員の方から補足的な御意見がございましたら、まずお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。上柳さん、高橋さん、どうですか。
○上柳委員 短くしたいと思いますけれども、ワーキンググループ、それこそ論点はここに全部手元にあるんですけれども、特に説明義務であるとか、あるいは狭義の適合性原則について、そういうことを考えなきゃいけないということが共通の認識になったというところは重要だと思うんですが、しかも、それがエンフォースメントというのか、例えば裁判所での統制、具体的には民事効果をどこまで与えるかという問題ですけれども、そのエンフォースメントと重ねて説明義務なり勧誘の問題が議論されたというところが大変大事なところではないかと思いまして、期待されるところではないとか思うんです。
ただ、逆に危惧を言いますと、いずれも一定の場合というふうに、その一定をどこまでにするのかという問題ですので、そこのところについて具体化をどういうふうに図っていくのかというのが一番これからの問題だろうと。
それから、もう一つ、あえて危惧する点を申し上げますと、今日ホールセール・リーテイルの方の関係で、「第一部会7−2」という横長の表を配っていただいていますけれども、これに即して言えば、一番上の方に「アマ(A)」というところがありまして、そのうち、点線で区切ってはありますけれども、このアマ(A)のうちの一部分なり、場合によっては全部なのかもわかりませんけれども、ある種の手続を経ればプロに転換できると、こういうことがあるんですね。ここのところも技術的な決め方とも関わると思うんですけれども、そもそもプロへの転換が必要なのかという議論もあり得るでしょうし、それから、ここのところの工夫が緩いと、せっかく勧誘規制とかいろんな仕組みを作ったことが骨抜きになる可能性もあるわけで、ここのところの工夫が大変大事ではないかというふうに思っています。
あと、個人的には、例えばコンプライアンスの問題であるとか、裁判外処理の問題であるとか、それから広告、インターネット取引の問題について、さらに検討が必要ではないかというふうに思っています。
以上ぐらいにしておきます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
高橋さん、何か補足的な御説明ございませんか。
○高橋委員 私は、消費者のための関連インフラ整備というテーマで意見発表させていただいております。実は発表しただけで議論がされてない状況なんです。金融サービス法の早期制定を急ぐ一方で、同時並行的に行うべきインフラ整備がたくさんあるんですが、大きくは二つ出させていただいておりまして、一つは消費者教育、もう一つは苦情処理、紛争解決手段の充実ということです。
消費者教育に関しましては、やはり消費者に十分な情報が集まって、それに基づいて消費者が自発的に意思決定をできるようにするためには、やはり消費者の自立支援という観点から情報提供も含めた消費者教育が必要であるというふうに考えております。金融機関とか監督機関のより一層の情報提供の必要性、インターネットを使った工夫ですとか、特にアメリカのケース等に学びながら、日本でどうしていくべきかということを考えたいというふうに思っています。
それから、学校教育をはじめとして消費者教育、消費者啓発をどう行っていくべきかということに関しましては、やはり海外の例を見ますと、金融・経済に関する教育もそうですし、消費者教育というジャンルに関しても、統一したプログラムというのができているんだけれども、日本の場合はまだということで、ここを、やはり海外のケースに学びながら日本でどうするかを考えたいということです。この辺は、各ほかの省庁との調整も必要な部分ですので、ある部会、本審議で話し合われることを期待しております。
それから、苦情処理・紛争解決機関の充実につきましては、やはり違法な勧誘で利用者が損害を被った場合に、その利用者が被害、損害を早期に確実に十分に回復できるためには、それなりのシステムが必要でしょう。その金融サービスに関するトラブルが全て訴訟という公式で厳正な形になじむというふうには考えにくく、むしろ裁判外紛争処理というのが非常に大切になるのではないかというふうに考えております。そうしますと、やはり英国でやっておりますようなオンブズマン制度とか、ああいうものの日本的な導入が必要なのではないか。
私は、今までのワーキングの論議で、自主規制ということがかなり前面に出てきているのですけれども、自主規制というよりは、金融機関・行政・消費者の共同規制というふうな形で何かできないかということ。それから、横断的なことが非常に前提になるわけなんですけれども、まず入口の部分として、苦情処理の窓口に関して横断的な受付窓口を作って、その被害、どういうものが起こっているのかということを速やかに情報収集をするということで、そういう窓口を公的な機関で作っていただきたいというふうなことを提案しております。
どちらも今までも必要であるということはいろんなところで言われてきたと思うんですけれども、必要である論から具体的な実現のための方策までワーキング及び今後の部会の方で審議が深まることを期待しております。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
集団投資スキームについては、神田さんだけしか今日は出席してないので、神田さん、一言。
○神田委員 それでは、2点簡単に感想めいたことを申し上げます。
一つは、集団投資スキームに関する法制・ルールの整備というのは、どういうところを機能的にというか、ファンクショナルに見ているかといいますと、先ほどのポンチ絵にもありましたけれども、仕組み段階と販売段階があると。その販売段階の方はホールセール・リーテイルのワーキンググループで御検討いただいているものと基本的には共通の問題になるでしょうということでして、集団投資スキームであるがゆえに生じ得るであろう仕組み段階の仕組みの適正性と健全性の確保のためのルールと言っていいと思いますけれども、そういうものはどういうものか。
これは例えば何に運用するかとか、あるいはビークルの私法上の形態が何であるかということには関わらないのではないか、そういう意味で横断的なルール作りが必要なのではないか、そういうことを議論しているわけであります。したがいまして、集団投資スキームに関するルールと法制とかいうものは、ポンチ絵で言う仕組み段階というんでしょうか、私は「段階」という言葉をよく使いますけれども、についてのルールの体系になるというイメージです。
それから、もう一点は、何が集団投資スキームかということで、議論しているうちに、言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、その理念型としては二つのタイプがある。すなわち、資産運用型と資産流動化型があるんだということがかなり共通の認識になりましたので、それぞれを理念型として議論を整理しているということです。
これについては1点補足させていただきますと、これは昔から常に問題になるんですが、こういう表現がいいかどうかよくわかりませんが、いわゆる悪徳商品の取扱いはどうなるんだということが常に出てまいります。平成4年の証券取引法の改正等の場合にも問題になりました。当時で言いますと原野商法ですとか観音竹というんでしょうか、昨今で言いますと和牛商法とかです。そういうものもどういうふうに考えるかによって大分前向きの話と後ろ向きの話が混在するわけですけれども、私の個人的な感想は、これはワーキンググループでももう議論はしておりますけれども、私の個人的な感じは、余りそういうものも一つのルールで全部やりますという無理はしなくていいのではないか。むしろそういうものは別個の手当てで対応するという考え方でいいのではないかと私自身は感じております。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆さんから、あるいはオブザーバーの方も、今御説明いただき、補足的なコメントを頂戴しました二つのワーキンググループでの議論の内容について、御自由に御意見を頂戴したいというふうに思います。
岩村さん、大分久しぶりだね。議論の内容は進化したとお考えですか。どうぞ。
○岩村委員 今日は当たられるような予感がしていました。何を言ったらいいか、少し考えて。
ここでの二つのワーキンググループの議論のほとんどの話というのは、私は賛成か反対かという言い方をすれば、御議論いただいている方向に賛成で、むしろ大変強く賛成です。
いずれにしても、この種の話というのは、やはり時代の変化の中でいろんな要請を経ているわけですから、いわば不麿の法典を作り上げようなどと考えるよりは、現在の中でより良いものを作ればよろしい。その限りで、今までの流れ懇の議論を受けて議論していらっしゃる部分もあると思うので、考え方がそれはそうですねと言ってあいづちをしたくなるのも当然なのかもしれませんけれども、その意味では中身の問題は、個別に言い出すと、私好きですから、もっとこういうふうにとか言いたくなることもあるんですが、ただ、それはやはりむしろワーキンググループの専門家の方々にお任せすべき論点ではないか。
そうすると、むしろ私はこういう形でワーキングの議論が進んでいるときに、こちらは第一部会でいらっしゃいますので、何をこういう場では考えなきゃいけないかということについて整理というか、少しは提案をしたいと思います。もちろん今日この後段の中で、例えばエンフォースメントの話などが出てまいります。こういうものを考えるというのが、もちろん一つのテーマであります。
もう一つ、私はやはり御説明を伺っていて感じたのは、このようなルールは私大変強く賛成するわけですけれども、こういう考え方をどういう範囲に適用していけるのかということについて、私たちはそれなりに議論を尽くしておいた方がいいんではないかなと思います。
例えばということで具体的に申し上げた方がわかりやすいかもしれないんですが、例えばホールセールとリーテイルの区分のイメージで、恐らくこれで、例えばほかの法制度との整合性や何かの問題はそれなりにクリアされたとして、実施に移そうとするときに大きな焦点になりそうだなと思うのは、例えばプロとアマの区別の境目の置き方、あるいは「一定規模の法人」と、こういうふうに書いてありますが、その一定規模と、あるいはどういう括りの法人をもってプロとするかというあたりが実際的には大変重大な焦点になるような気がいたします。
私個人としての気持ち、考え方を言えば、ここで恐らく「法人」と書かれているのは有限責任性のある法人という感覚をお持ちだと思うので、つまり有限会社、株式会社ということだと思いますが、感覚的に言うと有限責任性を持って設立された法人が金融取引において私はアマですというのは随分虫がいいというか、おかしな話だという気がそもそもいたします。
しかし、そもそもいたしますけれども、日本には多分有限責任を掲げる法人が数百万、
300万か 400万あったと思うんです。実質的な問題あるいは政治的な問題を考えれば、その全てに、「あなたは今日からプロですよ」というふうに言い切れるわけはないという感覚も、やはり現実には出てくると思います。
そうすると、こういう話が出来上がっていて、一定規模というものをどうやって画するかということについて、いわば学の立場にある人間から言えば、私も最近学の立場に転向しましたので、一定規模というのの境目というのはできるだけ低くとろうよと、広い範囲をプロと考えるべきだというふうに主張したいわけでありますが、一方で、実際には法律を通すためには政治のスクリーンを経なければいけない。そこで利害調整が行われるだろうという観点から言えば、プロの範囲というのは、むしろ小さくするという、そういうプレッシャーはかかるだろうと思うんです。そこの中で、できる限り日本を良くするという感覚で良い線引きが行われる。良い線引きと私が思っている線引きというのは、できるだけこれを左に移せと、こういう線引きなんですが、行われることを望みたいし、そのための理論や考え方を整理する必要があろうと思います。
ホールセール・リーテイルの方だけ申し上げると、ここでも同じようなことを考えなきゃいけない論点がほかのいろいろな線の場所にあるわけですが、せっかくですから、そこでばかり発しないで、集団投資の方にも同じようなことがあるだろうということも申し上げたいと思います。
ここでやはり気になりますのは、集団投資スキームに関する法制というのは、実は私このとおりであるべきだと思うわけです。ですけれども、現実の日本には既に受動性・共同性を持っている集団投資スキームというのはたくさんあるわけであります。部会の議論の中でも証券投資信託、商品ファンド、不動産特定事業、特債というあたりぐらいまではカバーされているわけですが、例えばこれから年金の運用が始まれば、年金だってそういう性格を持つようになるだろう。
今まで見ますと、あるいは金銭信託、ここには書いていませんけど、貸付信託もそういう性格を持っているものが大変多いと思います。今までの過程を見ますと、やはり特定の分野、特定の事業者、あるいは特定の勢力、特定の集団へのある種の恩典の付与として集団投資スキームシステムというのが生み出されてきたというふうに言っても過言ではない。証券投資信託や金銭信託というのは、その事業を注目して括ったものでありますし、不動産特定事業とか特債法というのは、むしろ債務者に注目して括ったものであろうと思います。
問題は、既に存在しているそういう投資スキーム。それから、恐らくこれから年金運用という形でたくさん生じてくるだろう投資スキーム。その中には、官が運用するものでもあるわけです。今日オブザーバーで厚生省の方いらっしゃっているんでしょうか。官が運用するものもあるわけです。そうすると、そういうものは別に、いわば制度の外づけとして集団投資スキームを作るという話になるのか。それとも既に存在しているものや、これから存在するものも含めて、この考え方を適用する、あるいはできる限り適用する。現実の世界ではできる限り適用するということにならざるを得ないじゃないかと言われるかもしれませんけれども、適用する範囲を、この議論に賛成するんであれば広げたいと思います。反対するんであれば、もともとこういう議論をする必要はないわけですね。ということは、第1の論点についても、第2のワーキンググループ、どちらのワーキンググループでも、これだけの内容の議論をしていただいて、これだけの報告にならんとしているわけでありますので、それがカバーする範囲をできるだけ広くとるような努力というものをどうしたらいいかということを私たちは考えるべきなんじゃないでしょうか。
以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
大変重要な指摘だと思いますし、いずれ近い将来ですが、今の岩村さんの提起された問題を正面から取り上げなければならないときが来るだろうと私は思います。
ほかに御意見は。
田中さん、余り僕の方も指名しなかったんですが、今日はどうですか。
○田中委員 ありがとうございます。
率直な印象は、これだけ膨大なことを金融サービス法に書くのかなということであります。法三章というのがあるんだそうですが、先ほど高橋さんから教育の話が出ました。いずれにしろ、うまい話を人に持ってくる人はいないとか、ごく常識的なことさえ投資家に繰り返し教育する仕組みがあれば、受託者責任について明確にするとか、それから、ガバナンスの原理について明らかにすれば済むことではないかなと。
例えば今のアマとプロの基準分けとかというのは私にはちょっと理解、そういうことが必要なのかなという率直な印象があるんですが、自分が説明を聞いてもわからない商品を購入するなんていうことは、それはプロとかアマにかかわらず基本ですから、私はまずそういう具合に思うんですが。ただ、そうすると、いろんな問題が起きるだろうという話になります。ですから、裁判外紛争処理の問題は多分充実していく必要があると思いますし、業界団体がそうした起きるであろう幾つかの紛争について対応できる体制を作っていくということは重要だと思いますが、ここまで厚い法律になるのかなというのが率直な印象なんです。
○蝋山部会長 クーさんも同じような御意見ですか。
○クー委員 今の田中さんの話、全く私もそのとおりだと思います。このプロ・アマとやってしまいますと、アマと認定された人は大変な差別を感じるわけですね。本当に憲法上こんなことができるのかと思うくらい、私はこれは大きな問題になると思います。
実際の世界ではどういうふうになっているかというと、基本的には金額で決めているわけで、その金額で取引をやられる方はそういうふうに適用される。これは恐らくみんな納得いくと思うんですね。それを、ある証券会社のセールスマンに、あんたはアマだとか、あんたはプロだとか言われたら、プロと言われた人はそれほど腹立たないかもしれませんが、アマと言われた人が、何であんたがそんなことわかるんだと。それも差別じゃないかということなってしまう可能性は非常に高い。実際の現場でどういうことが起きるかというのは、想像したくもないことが起きると思うんですね。
したがって、こういうふうに書いて、例えば一定規模以上の法人といっても、なぜ法人なのか。どうして個人じゃいけないのか。アメリカのヘッジファンドは基本的に個人がやっているじゃないかということを見ても、これは全く私は無意味だと思います。恐らくここで議論されていることのかなりの部分は、本当に普通の一般庶民をどうやって勧誘から保護するかという部分が恐らくちょっと大きくなり過ぎてこういう形になっちゃったんじゃないかなという気がして、確かに悪徳商法ですとか、絶対儲かるとか、証券マンがちょっと業績を上げたいがために、ついそういう言葉を言ってしまうという例が過去にも何百何千何万もあって、それが多くの問題を引き起こしたという。だから、そこに絞って、もっと方策を考えたらいいんじゃないかなという気がします。
一つの例ですけれども、私は日本でどうなっているか、日本のレンタカー、余りにも高いからとても借りる気がしないんですけれども、アメリカなどで私はしょっちゅうレンタカーを利用していろんなところへ行くわけですが、そのときに保険をどうしますかという紙をもらうわけです。それで、外へ出ている、いわゆる1日29ドルという値段の中には保険は一切入っていないわけで、保険をどうしますかと。これはもう完全な自己責任になるわけですけれども、じゃ、対人まではお願いしますと。そうすると、そこに幾らかかるというのがあって、そこのますにチェックするわけですが、その車が万が一誰かに傷つけられた分に対しては自分で責任を負いますと言うと別のところ。だから、イエス、ノー、イエス、ノーというのがずっと続いているわけですね。そこに自分の判断で全部チェックして、そこで自分のサインをつけるわけです。一つ一つのコラムにサインをつけていく。それで一応出来上がったということで、イエスの分だけは余計に払うわけですが、これが結構高いんですけれども、それでレンタカーの契約が成立する。似たようなことが、恐らく現実この世界でも出てくるんじゃないかなと。こういうことについてどうですかと。一々説明を受けなくてもいいという人はそっちへチェックをしてサインをすればいいわけですし、いや、毎回ちゃんと説明してほしいという人はそっちにチェックして、そういうふうに取引を進めていけば、お互いそんなに大きな誤解は起きなくて済むんじゃないかなという気がします。
それから、ここに運用型と流動型という分け方があって、私も初めてこういうものに直面したんですが、私は、この中ではっきり分けるということ自体問題があるんじゃないかと思います。といいますのは、運用型がまず全てだと思うんです。その中の一商品としてこういうものもあるだろうし、また、運用型の人たちにとって魅力のないような流動型商品というのはほとんど売れないわけであります。又は売れたとしても、ごく少数のプロだけが、本当にその業務に、よく相手も知っているし、それならいいだろうという人たちはそういう取引に参加しますけれども、一般的な話として持ってくるには、例えば今言われている不動産の証券化、不良債権の証券化、一般の投資家まで持っていくには、一般の投資家から見て、つまり、一般に資金運用する人たちから見て魅力的なものでなくてはいけないわけで、そうなって初めて流動化された部分にもお金が入ってくることになるんだろうなという気がします。
したがって、こういうふうにはっきり分けちゃうというよりも、運用する人たちが魅力を感じる流動的な商品でなければ、恐らくその流動化商品、今、日本ではほとんどこれ魅力ないものですから、本当に極めて限られた市場しかないわけですけれども、これをどうやってもっと魅力的な商品にしていくのかというのがこっちの課題じゃないかな。そうすると、一般の資金運用者もそこに投資するようになりますから、そうすると、そこにマーケットが広がってくるということじゃないかという気がします。
高橋さんの方から十分な情報というお言葉があったわけですけれども、これは、例えば法律で書く場合に、どこまでを情報と呼ぶのかというのは非常に重要なポイントになってくると思うんです。といいますのは、我々金融業、証券業で取引しているものは、実は株でも債券でもなくて、情報であります。これだけを取引しているんですね。その対価として、また、その情報を信じるか信じないかによって株を買うか債券を買うか何も買わないか、キャッシュにしておくかという判断になるわけで、この情報というのが、したがって、一番高い、一番ある意味で普遍性がないというか、それをどのくらい早く人より先に入手するかということで、日本にもそういう業者はいますけれども、アメリカの幾つかの業者は月何十万という金を払って、そこからのファックスをもらうわけです。それにはいろんな情報が入っているわけですけれども、それを基に、次はこういうことになるんだな、じゃ、債券を買いましょうとか、なるほど、今は株だという判断をするわけですが、それまで一般公開しなくちゃいけないなどというような書き方にしたら、もう全く機能しないわけで。
だから、情報というのも、例えば商品に関する細かい説明、これはもちろん誰にもアクセスできるものでなくてはいけないわけですけれども、本当の意味での投資情報、これはそうはいかない類のものであって、野村證券も私のレポートで随分商売やっていると聞いておりますけれども、それは野村證券にちゃんと取引してくれる、又は取引してくれるだろうという人にだけそのレポートは回っているわけですね。また、私の書いたものがそのまま英訳されて、ブルンバーグというスクリーンに載るんですが、そのブルンバーグのスクリーンも商取引している人にはアクセスコードが与えられて、そうでない人には与えられない。これは、まさにこの世界の一般のやり方ですから、それまで全部ホームページにしろと言われたら、じゃ、証券会社、どうやって食べていくのという問題にもなってしまう。したがって、その情報という言葉を使われるときに、どこまでなのかというのははっきりさせていただきたいなという気がします。
○蝋山部会長 田中さん、補足的にありますか。
○田中委員 取引費用の問題なんですが、今、例えばアメリカで上場された企業なり、あるいは国債を購入するときの手数料というのは、パソコンネットに基づいてやると29ドル台というので1回の取引ができるわけですね。
3,000円です。恐らく日本でもディスカウント・ブローカーその他もいっぱい出てこられますから、1回の取引3,000
円という形で上場されている株式なり債券なり、あるいは簡単なデリバティブもその程度の取引でできるようになっているようですが、それに対して、我が国で都市空間を充実させるために、SPC法なり不動産の共同事業とか、こういう分野にも投資資金が回るということが非常に重要なことなんですが、これだけ膨大な仕組みを作って、これは結局、要するに投資家に費用としてかかるわけですよね。取引コストというのは相当な値段になると思うんですが、投資家が回らないんじゃないか。投資家のお金が、こういう集団投資スキームという形で、十重二十重のいろいろな投資家を保護するという名目の下に余りにもコストがかかる仕組みにすると、こういう集団投資が最もふさわしい分野に投資資金が結果として回らないという心配がある。それは長い目で見て我が国における投資資源の配分に歪みをもたらす可能性があるという気がちょっとするんですが、どのくらい取引費用にはね返る可能性があるのかというのは、やっぱり少し議論していただいた方がいいんじゃないかというふうに思うんです。
○蝋山部会長 クーさんと田中さんから、ある種極めて基本的な問題提起がされたんですが、ワーキンググループの委員の方で、やや誤解があるんじゃないか、あるいは現実的だとはおっしゃるけれども、一面では非現実的な側面もあるんじゃないか、いろいろなコメントがあるんじゃないかと思うんですが、まずお二人。
原さん、では。
○原委員 コメントに入られる前に、私のも一緒に回答していただきたいと思います。すみません。
○蝋山部会長 どうぞ。
○原委員 前の3人の方の発言にほとんど出てしまったんですけれども、私自身もここのプロとアマの区別のところ、大変危惧しておりまして、消費者から見ると、これは一体具体的にはどういうことになるんだろうかと。プロでさえアマの方へ行きたいというふうにおっしゃっているようなところに、なぜ、わざわざアマがプロに行くのか。そのときに一体どういう商品をもって、これはハイリスクがあるけれども、ハイリターンだよというような形でこちらのプロの方にというふうに勧誘をなさるのか、それとも、今お話が出ていましたけれども、手数料を安くするからこちらの方へというふうな話になるのか、その具体的なイメージというものが湧かなくて、もちろん消費者の選択ですから、プロの方にという方もあるとは思うんですけれども、どういった議論をなされたのかということをお聞きしたいというふうに思います。
それから、憲法違反になるかどうかわからないんですけれども、やはり基本は消費者の選択だろうというふうに思うんですね。消費者の選択をした上に金融機関がどういうチェックをかけるかということがやはり基本になるべきであって、金融機関の方から先に線引きをするということができるのか、可能なのかというようなことも疑問に思います。
基本は、やっぱり消費者の選択とは言いましたけれども、じゃ、その消費者の選択に関わるときに、どういう広告だとか勧誘だとか説明がなされたのかということは、やっぱり大きく関わってくるというふうに思っております。
それから、もう一つが、適合性の原則の広義と狭義の部分ですけれども、これを二つに分けて、アマのところも(A)と(B)に分けて適用を分けて考えていらっしゃるようなんですけれども、これもアマの(A)のところでの広義の適合性の話というのは、狭義の適合性というのは私ある程度イメージできるんですけれども、広義のところでの適合性、その適合性を配慮した説明義務とか広告という話になるんですけれども、それもどういった具体的な違いとなって出てくるのかという話もワーキングの中であれば聞かせていただきたいというふうに思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
この段階で時間の制限もややありますので、じゃ、井上さん、短く。
○井上委員 個別の話に入る前に、少し総括的な印象を短く申し上げたいと思うんですが、最初の7−2のイメージ図というのは非常に良くできていると思います。これで大体全体の考え方を整理する上で非常に多くのヒントがあると思います。
そういう点で今までのお話の中から見ると、普通の国民というんですか、普通の勤労者、普通の庶民の方から見ますと、今までの元本保証型のようなあり方が非常にまずいというふうには思っていないわけでありまして、基本的に言えば、そういう点でこれから変化する中で守らなきゃならぬ一般の勤労者の資産や資金について見ると、一番下の市場ルールに当てはまるところがやっぱり大事で、ここに金融サービス法みたいなものを、とにかく心配しているのは、全体のビッグバンの完了の中でこの分野が取り残されるというようなことを少し懸念しているだけに、金融サービス法はこれを中心に整備されていくという議論をぜひワーキンググループでも深めていただきたいなというふうに感じております。
それから、もう少し次元を違えまして、業者ルールとか、あるいはプロの世界だと思うんですが、基本的には今までの日本の金融システムの効率は非常に悪かったという事実があると思うんです。したがって、自主規制ということももちろん大切な側面があるかと思いますし、縦割りの業法というのも決して、これはなくした方がいいとも一概に言えないとは思うんですけれども、全体の効率が悪かった原因は何であるかということを考えたときに、かなり横断的な相互にアロケーションが効率的に動くような透明性というのが業者間ルールの中に必要なんじゃないかなという一般的な意見だけ申し上げておきます。
○蝋山部会長 ありがとうございます。
様々な御意見なり御注文も出たわけですが、答えられる範囲の中で御意見、自分はこう考えるということを細溝さんも含めて御紹介いただきたいというふうに思いますが、まず総括的なところで、細溝さん、どうぞ。
○細溝債権等流動化室長 まさにプロ・アマの線引き、それが多分これからのワーキングでも一番大きな議論になろうかと思いますし、それに応じたそれぞれの業者ルール、取引ルールをどうすべきかというところをまさにこれから詰めていく。そのためにも第一部会でもイメージを我々はワーキングにも御説明をしなきゃいけないということでは、第一部会でも御議論いただきたいというものであります。
ただ、1点誤解があろうかと思いますのは、誤解と言うまでもないかもしれませんが、プロとかアマとか主体で分ける、ないし取引の金額で分ける、それはそれぞれにメリット・デメリットがございます。
プロ・アマで分けますと何がメリットになるかといいますと、例えば利用者の保護の観点からすると、ルールの漏れが少ないだろう。それから、金融のイノベーションに対応しやすい。リーテイルとホールセールという取引を指定しますと、新しい取引が出てきたときにそれをどちらのルールに当てはめるんだというのを毎回大議論しなきゃいけないという話ですが、主体で分けておけばそういった議論は一々要らない。
主なデメリットとしましては、いわば何でおれがプロなんだよ、何でおれがアマなんだよという、何でそんな決めつけられるんだと、こういった選択の自由の話。それから、実務上、やっぱり業者サイドは確認をしなければいけない。コストがかかると、こういう話でございます。
それから、類型でやりますと、これはポジ・ネガが逆になりますので、確かにクーさんおっしゃったように実務上、金額でやっておられるのが多いでしょうし、それの方が実務はやりやすい、明確であるということ、コストがかからない。取引主体によって区別はされていない。
逆に主なデメリットとして、本当に金額で切るのかどうかというところはあるんですが、そういった意味での金融イノベーション、新商品にどう対応していくのか。それから、利用者保護に漏れが生じないか。たまたま例えば退職金ででかい金を持った人がでかい取引をするときにプロルールだったというようなことがあり得るというような、いろんなことがあって我々も悩み、ワーキンググループでも御議論いただいているというものでございます。
それから、アマの中で自己責任の一部修正はできるかどうかというところは、まさにそこで※で書いてございますように、これ以外の者を想定できるかどうかについて、私的自治の原則を踏まえて慎重に検討だということでございます。したがいまして、完璧に、例えば法律でこういう人が(B)なんですと本当に書けるのかと。そんな私的自治、憲法違反じゃないかと、こういった話でございます。そうすると、逆に言えば、業者にかけるルール、適合性の原則でこういう人にそういうものを勧めちゃいけないんだという類型があれば、その人は多分結果的にアマ(B)扱いなんだということになってしまわざるを得ないのかどうか。そういった手法でいいのかどうか、そういった御議論でございます。
それから、情報の内容につきまして、クーさんが本当に貴重な投資情報というのは高いんだし、そんなみんながもらえるものじゃないんだと、まさにそれはおっしゃるとおりでありまして、ここで言っています情報提供義務の情報というのの中身は何かといいますと、例えば元本保証があるのかないのか、その仕組みばどうなのか、セーフティネットがあるのかどうなのか。それとか、例えば拠出額を超える損失が発生し得るのかどうか、ワースト・シナリオはどうなのか。それとか、例えば譲渡性、譲渡方法はどうなのか、手数料が何ぼなのか、例えば換金、解約のときの手数料とか、それは何ぼなのかといったようなのが主な内容。つまり、それが商品の基本的仕組みであり、リスクの種類と内容であろうと。それはやはりみんなに売る場合は示すべきではないかと。そこから先ですね。これが上がりそうだ、下がりそうだかという話は、まさにそれこそ商売の内容でございますので、そこまでは議論のスコープには入っていないと思っております。大体そんなところでございます。
そうすると、取引のコストがどの程度大きくなるか、少なくなるか、今申し上げたような、例えば情報を提供するに当たっての販売員が窓口でそういうことを説明するコストがどれぐらいなのかということがどの程度かというのは、また商品によっても違ってくるだろうし、ハイリスクの商品は、やっぱりたくさん説明しなきゃいけなくて、ローリスクの商品は少なく説明すればいいとか、商品によっても異なってこようかというようなことでございます。
一応とりあえず補足です。
○蝋山部会長 神田さん、どうぞ。
○神田委員 田中さんやクーさん、それから、原さんから非常にコンストラクティブな御批判をいただいたように私は理解します。本当は30分ぐらいお答えしたいんですけれども、そうもいきませんので、二、三感じたことを申し上げます。
どういう順に何を申し上げたらいいのか、よくわからないんですけれども、それに私はホールセール・リーテイルの方のワーキンググループのメンバーでもありませんので、やや推測で物を言っているところもあるんですが、どちらのワーキンググループもワーキンググループの性格を反映してか、私の感想で言うと割と法律の専門家が多いと思うんですね。法律の専門家は、私もその端くれのつもりですけれども、ちょっと悪い癖が二つありまして、私自身も反省しなければいけないことだとは思いますが、一つは、そこでの議論がどうして各論になるために、それを聞くと結果としてこんな膨大な、言ってみれば規制強化の議論をしているんではないかと映る。実はそうではありません。それは今から申し上げます。
それから、第2点は、法律の専門家のこれも特徴の一つだと思いますけど、歴史というか、手順を重視する。つまり、流れ懇の報告書をある程度出発点にして、流れ懇のときに議論したことをもう一度議論するということは、もちろん必要に応じてすることは、特にこの部会では大変結構なことだと思いますけど、出発点にしているんです。
そういうことから申しますと、例えば田中さん御指摘の取引コストが増えるんじゃないかとか、それから、プロ・アマの言葉の問題、後で申し上げますけれども、あるいはそういったいろいろな点というのは、もう済んでいるというか、増えないという前提で、そのためのルール作りをしているという発想でおりますので、今もしこの時点でそういうふうにお感じだとすれば、それはむしろ流れ懇に対する批判であって、そのとき私はかなり議論したことだというのが私の理解です。ただし、ここでは流れ懇とメンバーは同じでありませんから、もちろんそういう御指摘をいただくのは非常に重要なことだし、また、この時点でそれを確認するのが大事なことだと思います。
もう少し具体的に申し上げさせていただきたいんですけれども、今回のルール作りは私は取引コストを下げるためにやっているので、その結果上がる膨大な法律ができるというのは本末転倒だと思っています。ただ、量から言うと膨大というか、増えるかもしれない。というのは、なぜかというと、ルールを具体的に書こうとしているからだと思います。
私、ある尊敬するアメリカの法律学者が二、三年前に出した本に「シンプル・ルールズ・フォー・コンプレックスワールド」という本があるんですが、そこで言っていることは、世の中がだんだん複雑になったらルールも複雑になるかというと、そうじゃない。ルールは三つか四つあればいいんだ。彼は六つと言っているんですけれども。そういうことから言えば、やや比喩的に単純化して言えば、世の中複雑になっても人をだましてはいけない、法律のルールはこの一文があれば、民法的に言えば不法行為という民法
709条という条文だけあれば、あとは何も要らないでしょう。
確かに理屈から言えばそうなわけです。しかし、それは取引コストが非常に高いという前提で流れ懇は議論してきたわけでして、つまり、人をだましたか、だまさないかというのは訴訟になれば、争いになれば、一方はだまされた、した方はだましたと言う。これは裁判所へ行って裁判官が判断するしかないんですが、しかし、裁判官としてもこれは本当にだましたのか、だまさないのか、その場にいたわけじゃありませんし、神様しかわからないということになるわけでして、これを日本のルールの特徴というか、これまでのそれを補完するいろんなルールの中でそういうことがあったと思いますけれども、流れ懇の言葉で言うと、ルールを明確にすることは日本の金融市場を活性化し、取引コストを下げるんだという問題意識で流れ懇の「論点整理」はまとまっていると思います。
では、ルールを明確にするにはどうしたらいいかというと、確かに書く量は増えるかもしれませんけれども、それは、それによってルールが明確になり、それは規制強化でもなく、ルールが明確になることによって取引コストが下がるということだと思います。
それから、もう大分時間しゃべってしまいましてすみません、プロ・アマは、言葉が悪いと思いますね。何かアマと言うと差別されているみたいで、プロの方が。ホールセール・リーテイルという言葉は、もうちょっと中立的な言葉かと思いますけれども、基本の考え方は原さんがおっしゃった、英語で言うコンシューマー・チョイスという考え方に私も尽きていると思います。
それから、経験的に言いますと、アメリカでは明らかに、もちろん法制上線引きがあるわけですけれども、プロ・アマとは呼んでいません。アマチュア・インベスターとは言っておりません。ビッグバンみたいな感覚で言いますと、アメリカなどの線引きなり、そのルールにキャッチアップしようという面がかなり大きいですね。日本はこれまで未整備だったというか。
例えばアメリカのルールで言いますと、アメリカのルールは、普通、資産規模を基準にします。確かに個人や法人による区分けは証取法上の適格投資か何かにありませんけれども、日本はこれまで余り資産規模ではない基準を−−これも言い出しますと長くなりまして、資料は既にもう配付されていますけれども−−してきましたので、そういうところにキャッチアップしようという感覚がかなりあると思います。ですけど、プロとアマという言葉を使うことから、やはりやや混乱がしているということと、それから、特にまた法律家が議論しますと行為無能力とか何か余り一般の人に受けないような言葉があるものですから、私も岩村さんがおっしゃったとおり、ポンチ絵の一番左側の欄は、今は3センチぐらいあるんですけれども、1ミリぐらいにした方が、1ミリぐらいにすると字が書けないんですけれども、そういうことではないかと思いますので、これはちょっとその辺の工夫をしていただければ、私、ホールセール・リーテイルに参加しておりませんのでよくわかりませんけれども、ほとんどいただいた御批判ではなくて、むしろそういう意味では誤解というか、食い違いはないと思います。
もう一点だけ、すみません。集団投資スキームの方の2類型を分けるのはよくないのではないかという御指摘を受けましたので一言だけ申し上げたいと思うんですが、これもなかなか難しい問題でして、つまり、あるものを違うと言うと同じではないかと言われますし、同じだと言うと違うではないかと言われるところがありまして、これも結局、実は流れ懇からの経緯もあって、日本では余りにこれまで両者はごちゃごちゃに議論されてきて、その結果、具体的なルール作りにあたって論点が明確になってこなかったんではないかという問題意識があるから分けようとしているわけです。もちろん現実には分けられないものもあります。
ただ、先ほどのクーさんの御指摘ですと、アメリカは明らかに分かれているんですね。1940年の投資会社法ができたときにマネジメントという運用裁量を持つ類型というもの、これが不祥事の原因であるとして、いわゆる三大不祥事規制、繰り返しになりますけれども、レバレッジの規制、ピラミッディングの規制、これ全部公募ファンドの話ですけれども、ヘッジファンドとは別ですけれども、それから利益相反取引の規制、これらは全てマネジメント・カンパニーというんでしょうか、マネージド・プールド・インベストメント・ファンドについてのルールであり、実際にマネジメントがないユニット・インベストメント・トラストと言っていますけれども、こういうものもルールの体系の中には入っているんですけれども、適用されるルールは非常に違うわけです。
それから、特にここで分けようとしているアセット・セキュリタイゼーションの話は、伝統的なプールド・インベストメント・ファンドとは実態も非常に違う。初めに資産ありきと言ってしまうと、ややミスリーディング。私はそういう言葉は使っていますけれども、クーさんなんか専門の方にはミスリーディングかもしれませんけれども、これは釈迦に説法で大変恐縮ですけれども、アセット・セキュリタイゼーションというのは、もともとそのアセットをプール化することによって、そこで例えばデフォルト・リスクみたいなものを統計的に処理する。それを格付機関が、運用機関の例えばポートフォリオ・マネジャーみたいなところへ持っていって、これはボンドの世界と同じでしょうと、こういうところから商売始まっているわけでして、これは公募型の証券投資信託なんかとは私はタイプは違うと言うと、もちろん共通面もあるかもしれませんが、具体的なルール作りをする上では違うと思うんですね。
つまり、着目すべき点が違うというんでしょうか。つまり、アセット・セキュリタイゼーションの場合は、ルール作りで着目すべき点はストラクチャリングの点であるのに対して、アセット・マネジメント型のものの場合にはルール作りで着目すべき点はマネジャーに対するガバナンスなりディスクロージャーなりということだと思いますので、そのルールの重点の置き方が違うということにおいては、やや日本でこれまで余りにそれが、ごちゃごちゃにと言っては失礼ですが、整理されてこなかったということなので、そこを区別して議論を整理しましょうということでありまして、もちろん共通の面も御指摘のとおりあります。ですから、その辺がややワーキンググループで置いていた前提と議論の進め方と、ここでいただいた御意見−−それは極めてごもっともな御意見だと思いますけれども−−との間にやや食い違いというか、認識のずれがあったように思います。
長くなってすみません。
○蝋山部会長 もうお一人だけ御意見を頂戴したいと思います。
能見さん、どうぞ。
○能見委員 余りいろんな皆様の御意見と重ならないようにしたいと思いますが、一つは、アマとプロの方の問題に関して言いますと、アマとプロの区別、ここではアマは(A)と(B)との区別がありますけれども、もちろんアマとプロの区別の方が重要なわけですが、ここに関しては、基本的にはもう皆様言われている点とある部分が共通ですけれども、私は、基本的にはこのスイッチというんでしょうか、アマであっても自分は安いコストで取引をしたいというのであればプロと同じように説明を受けないで取引ができるという選択肢が残されているということが重要で、したがって、この図ですと、このアマ(A)のところの点線、この点線は必ずしも量的に区切っているつもりではないと思いますけれども、この点線は特にアマ(A)については必要ないんではないかという気がいたしております。
若干残る問題として(A)と(B)の区別がありますけれども、この図は、先ほどからちょっと行為無能力者についての批判がありますが、民法上の行為無能力者というのは、そもそも自分で取引は契約上もできないわけですから、ここで挙げる意味は余りないんですね。したがって、問題は若干それを広げるかどうかという点だけに意味があって、これは、しかし、では、全然それがないかというと、私は若干やっぱりあるかもしれない。例えば判断力の問題よりは、判断力は行為無能力者の問題ですけれども、むしろ経験があるかないかというのは若干重要で、例えば第1回目の取引であると。これは仮に銀行なり何なりがそれだけは一応聞いて、経験があるかないかという形で、経験がないというときにはそれなりに説明をするというような選択はあり得るかもしれない。
それから、もう一つは、集団投資スキームとも関係しますけれども、ここでは一応投資をしたいというので投資をするという人を念頭に置いているんだと思いますけれども、やっぱり年金がちょっと厄介だろうという気がするんですね。年金は国の全体の政策とも関係するんでしょうけれども、ある意味で強制される投資家、年金というのは国が今までやっていたのが、だんだん自分でやれということになってきたときに、じゃ、全然年金をやらなくていいという選択肢を認めるという下では成り立たない議論かもしれませんけれども、年金は基本的に国民の全員がある程度持つべきだという立場をとったときに、誰でもとにかく自分は判断が十分できないけれども、一定の投資をしなくちゃいけない。そういう人が出てきたときに、これはちょっと特別ルールかもしれませんけれども、どうしたらいいかという問題は少し残るんじゃないかと思います。
それから、ちょっと細かい点ですけれども、いろんなところで業者ルールと取引ルールと出てきまして、私も基本的にはそれなりの区別は賛成なんですけれども、業者ルールというのは、なぜ正当化されるのか。一応司法上の取引ルールから出てきて、それを反映させているんであれば、これはそれなりに根拠があると思うんですけれども、そういう根拠がなくして業者ルールというのが出てきたときに、単なる規制だというのをどうやって回避するのか。やっぱり何か説明が必要になってくるのかな。したがって、逆に言えば、できるだけ取引ルールで説明できるものは、した方がいいということは思います。
それから、あと1点だけですが、集団投資スキームの方ですけれども、これは私も基本的にこの御説明に賛成ですが、1点だけ。
今までのいろんな議論と比較しますと、この受託者責任というのを非常に前面に出して、この図でもありとあらゆるところというんでしょうか、いろんなところに受託者責任等を負わせている。ただ、これは逆に、いろんな責任体制を不明確にする危険もあるんではないか。受託者責任というのは基本的には誰に対する受託者責任かといえば、これは恐らく投資家に対する受託者責任という形で考えているんだと思いますが、全員がそれぞれ受託者責任を負う。そうすると、実際に投資家に対する関係で誰がどういう責任を負うのかというのは、全員が負うというのは意外と不明確な責任体制になってしまって、これは諸外国の中でも基本的に受託者責任を全員に負わせるにしても、一種の窓口責任というんですか、投資家に対する関係では誰が、あるいはそのスキームでは誰が責任を負うという、そういう法制をとっている国もあると思いますが、そういう形で受託者責任の明確化、窓口責任的なものを考えたらいいんではないかという気がいたします。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ただ、これまでいただきました様々な御意見、御注文は、ワーキンググループとしてのこれからの取りまとめにできるだけ反映させていただくような形で、的確にここで発生した情報を細溝さんを通じてなり、ワーキンググループの方に伝達したいというふうに考えます。それでもって、今日提起された問題、全て完了した、解決したというふうには考えておりません。恐らく再びワーキンググループからのレポートが我々の方に提出された段階で、田中さん、クーさん、また御意見を、こんなものは考えられないという意見、神田さんはそうは理解していなかったようですけれども、十分にそしゃくした上で御意見を頂戴したいというふうに思います。
余り時間は残されておりませんけれども、ルールの実効性をいかに確保するかというエンフォースメントの問題と、ルールをどういうふうに形成・運用するかという問題、それから、専門的な金融サービス業を営む者の適格性に関するルール、こういう問題につきまして、一応事務局の方で用意いたしました論点を整理したものがございますので、その点についての御説明を細溝さんから頂戴して、自由討議は、恐らく時間が余り十分ないということで、次回に繰り越すということになろうかと思いますが、一応御説明だけは頂戴したいというふうに思います。よろしくお願いします。
○細溝債権等流動化室長 「第一部会7−5」という資料を取り出していただきたいと思います。表題が「「ルールの実効性の確保」、「ルールの形成・運用」、「業者の適格性等に関するルール」について(論点メモ)」となってございますが、実はこの枠内は、たびたび出ております流れ懇の「論点整理」をそのまま抜粋しております。したがいまして、簡単に御説明をしたいと思います。
まず最初に、ルールの実効性の確保ですが、基本的な考え方としては、最初の枠の中は、ルールの遵守に関する監視と違反に対する制裁、そういったものについての実効性の確保の仕組み、これが必要であろうと。二つ目の枠でアンダーラインを引いておりますが、市場メカニズムを通じたガバナンスや、当事者の権利行使によるガバナンスを最大限活用することが重要であろうと。それから、三つ目の枠ですが、司法・行政、自主規制機関等の役割分担を適切に定めることが基本的に重要であろう。
したがって、ここでの論点は、最終的にはそこの下に・で書いてございますが、実効性確保の仕組みとして、司法、行政、自主規制機関の役割分担をどうするのかというところがあろうかと思います。
2番目に、是正・救済の手段・体制ですが、次のページにいきますと、大きく分けて民事、刑事、行政、それから自主規制機関の是正というのがあります。最初のが民事でして、これは裁判手続の話。裁判手続の中で、例えば立証責任をどう転換するのかとか緩和するのかといったような話。それ以外にも、例えば被害者の立証を簡単にするようなディスカバリー制度といったようなものを考えるか。クラスアクションとか団体団体訴訟というようなものも考えられるのではないか。
3ページにいきまして、要は業者ルール違反、市場ルール違反で直接民事効を発生させてはどうかといったような考え方、そこら辺をどういうふうに考えていくかといったものが論点になろうかと思います。
それから、裁判外紛争処理制度ですが、アメリカにも証券仲裁制度、また、英国でもオンブズマン制度がございますので、そういったものを構築することは考えられないか。ないしは、行政や自主規制機関、関係団体等による裁判外紛争処理制度の拡充といったものが考えられないか。利用者にとっての窓口の一本化をどうするかといったような論点でございます。
その他、民事と言いながら、実は英米法の世界で懲罰的損害賠償とか数倍額損害賠償といった、いわば民事でありながら、罰金ではないんですが、そういったような制度がございます。そういったものも検討する余地があるのかどうか。我が国の法体系になじむのかという議論もございます。
それから、刑事ですが、刑事では、詐欺罪の周辺的な財産犯類型を新たに設けることが考えられないか。また、市場ルールについての罰則等々の話。それから、4ページの下の方ですが、証券取引法の没収・追徴のような是正・制裁手段を考えるかと。
それから、5ページですが、行政の方ですが、いわばやり得排除のために課徴金の賦課といったことが考えられないか。ただ、これは憲法的な問題、二重処罰の問題があるので慎重に取り扱うべきではないかといった指摘もありました。民事制裁金の話とか行政申立てで裁判所による違反行為者に対する差止命令、是正命令といったような活用をどう考えるか。
それから、5ページの下からは自主規制機関というものがあります。自主規制機関が必要とされる分野とか役割について改めて整理・確認。それで、自主ルールの制定とか違反に対する制裁の実施。中立的・効率的な紛争処理制度の運営といったものをどう確保するのか。ただ、そういうことをやろうとすると独禁法との関係があろうかと。それから、アウトサイダーをどうするか。今縦割りになっているのを業界横断的な自主規制機関を作れないか。でも、そうすると、人材とか財源をどうやって確保するのかといった問題があろうかと思います。
II のルールの形成・運用に入りますが、基本的には取引参加者に対して透明性が高くて、明確性、機動性に富む取引ルールとしていくことが重要であろうと。柔軟性も念頭に置く必要があろうかというようなことでございまして、その次の7ページですが、7ページの上の方の枠の真下に書いてございますが、法令、ガイドライン、自主ルール、社内規則、いろんなレベルのルール、ルーリングがあろうかと思いますが、その役割分担についてどう考えるのか。民間の自主ルール、業者のコンプライアンス体制の充実のための方策があるのかというような話でございます。
それから、7ページの下の方ですが、準立法的機能としてセーフハーバールールとかガイドラインの活用、ノーアクションレター制度といったものが実際できるのかどうかという話でございます。
それから、8ページ以降は参入要件といいますか、業者の適格性に関するルールでございます。
基本的には、一番上の四角でございますが、業者に係る情報コストの削減、利用者保護、悪質業者の排除といった観点から、行為規制だけではなく、業者に対して一定の適格要件(fit
and proper)
を課すことが望ましいのではないか。法人では、財産的基礎とかリスク管理、個人では資格要件といったようなものがありますが、ただ、競争制限的にならないようにすべきであろう。そうすると、論点としては、免許、許可、登録の制度、行政の関与のあり方についてどう考えるか。無免許・無登録の業者を排除するためにはどうしたらいいのか。
そうしておきながら、業務がいろいろ多角化しますので、8ページの一番下ですが、利益相反とかリスク遮断をしなければいけない。それから、9ページですが、金融サービス業者が担っている機能の組合せや、組織の形態等に応じて、業務分野規制が必要となる場合もあろうかと。ただ、それを余りやり過ぎると競争制限的なものになる。したがって、利益相反防止とかリスク遮断に関するルールとか、そういったことも明確化をやっていけば、業務分野規制自体は必要性は後退するのではないかといったような御議論、これが流れ懇であったということでございます。
以上、非常に駆け足でございますが、簡単に御説明させていただきました。
○蝋山部会長 やはり非常に重要な問題で、またこれを丁寧に議論していきますと、あるいは文章化していくと膨大なものになることもまた否定すべからぬ現実だろうというふうに思います。しかし、一応一度はそれにチャレンジしていってみなければならないんではないだろうか。しかし、基本は消費者、投資家の観点に立って不慮の不利益にならないような、いわば適格な、いい行為をすることに対するインセンティブをどうシステムとして高めていくか、こういうところに基本があるのではないかというふうに思います。
ただいま非常に時間の制限で駆け足でしか御説明できなかったわけですけれども、この三つのルールの実効性の確保、形成・運用に関する問題、さらにfit
and properの問題につきまして、これは部会の問題でありますので、ワーキンググループの問題でありませんが、したがって、もちろん次回にも時間を割いて議論したいと思いますけれども、ここで一言という御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
原さん、どうぞ。
○原委員 内容については、また別途機会があるということなので、今日触れませんけれども、消費者としては、この実効性確保は大変関心を持っております。ただ、気にかかりますのは、大蔵省だけでやれる範囲の話ではなくて、例えば法務省とも関わる部分ですとか、それから、私たちが消費者契約法の中に求めておりますクラスアクションの話ですとかとなると、消費者契約法との関わりのようなものも出てくると思いますので、他省庁とか関連をしていらっしゃるところの御意見とかも反映されるというんでしょうか、調整をできるような道筋で検討を進めていっていただきたいと思うんですが、そういう手立てになっているのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○蝋山部会長 今日から他省庁の方にもおいでいただいたということは、今、原さんが御指摘のイシューというのが、いずれは直面しなきゃいけないから、他省庁の方にも御理解をいただこうと思いましてオブザーバーとして参加していただいたわけであります。しかし、そのことは、ここでの議論がそうした他省庁の方々のサポートを受けられるということを担保するものでは決してありません。他省庁は他省庁なりに別のロジックで議論を出してくるかもしれません。いずれは最終的な形で法制化する、制度化するという場合には、当然そこでのやりとりというものがシビアなものになってくるだろうというふうに思いますが、当面は、我々としてどういうスタンスで、どういう内容の新しい包括的な、横断的な金融サービスに関する法律を考えているか、その将来像、近未来像というものをできるだけきちんとしたものにしていこうということでありまして、今の段階で他省庁からの意見を聞き云々ということは、私はやや早過ぎるのではないかというふうに思いますが、事務局はどう考えているのか、まだそういうところの打ち合わせは全然してないわけです。
どうぞ、課長。
○三國谷企画課長 いずれにいたしましても、この問題というのは幅の広い問題でございまして、その幅の広いということになりますと、当然実行段階に至るまではいろんな過程を踏むことになると思うんですが、今この段階でどういう過程を踏むかというのは、そこまで今部会長おっしゃられたとおり、こうする、ああするという状況ではないんだと思います。ただ、いずれにいたしましても、本日も流れ懇に御参加いただきました各省庁の皆様には今日の議論を聞いていただいておりますし、余り方式とか何とかということは決めつけることなく、いろんなことを処理してまいりたいと考えております。
なお、1点、併せまして申し上げさせていただきますと、今度はロジックというよりも内容の問題でございますけれども、こうやってポンチ絵と申しますか、これを作りましてお示しいたしますと、実は非常に物事、複雑な事象がシンプル化、抽象化されまして、いかにも一方では相当煮詰まったような感じを受けるとともに、実際にはそれぞれの線引きの一つ一つが、これから委員の皆様の御意見等を伺いながら判断していかなければいけない要素というのが多々あろうかと思います。
私ども現実にいろいろこれまで立法過程に携わりましても、先ほど来御指摘ありますような一定規模以上という、この「一定」とか「規模」とかというのは、これはいろんな捉え方があるわけでございます。この捉え方は、しからば、ここの部分だけで一面的に決まるかと申しますと、全体にその線に対してどのようなものを適合させるかという、そういったものとフィードバックするところもございます。こういった点につきましては、またいろんな議論を積み重ねていく必要があるかと思いますけれども、本日、委員の皆様からいただきました御意見につきましては、先ほど部会長の厳命ございましたので、ワーキンググループにそのとおりお伝えいたしまして、神田先生、上柳先生、それから高橋先生も交えながらまたもみまして、そこにはまたオブザーバーの方々も参加していただいておりますし、そしてまた部会の方にお持ちしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
原さんのプロセス論は、そういうスタンスでよろしゅうございますか。
○原委員 聞いておいていただければ結構です。
○蝋山部会長 そういうことでありますので、今日から、冒頭にお願いしましたようにオブザーバーの方々−−そうか、原さんおられなかった、ごめんなさい。
○原委員 いえいえ、最後になって自分の遅刻ですみません。
○蝋山部会長 出席、欠席って僕知りませんので、どの省庁が御参加、どの省庁が不参加かというのは知りませんが、我々としてはお呼びして、そして議論の煮詰まる過程をお聞きいただいて、問題を持ち帰っていただければ幸いだなというふうに思っております。
ほかに、 I 、 II 、 III のルールの実効性以下の、先ほど細溝さんから御説明いただいた点についてございませんか。
京藤さん、どうぞ。
○京藤委員 個々の論点について議論することはいいんですけれども、これをやっていくと同時に、全体の法制度にどういう形で載せるのかという、形式の問題も一つのイメージとして与えてくださるとありがたいという気がするんですね。それはどういうことかといいますと、取引ルールと業者ルールというふうに分けましても、実際上、こういう問題でこういう論点があると、それを個別の法律とか技術的に入れていくと、説明されると何となくわかったような気がするんですけれども、全体のイメージが抱けないので、どういう法形式の中にこういうルールをうまく盛り込んでいくのかと。これは業法と民法なんかに分かれているものが融合するとなると、非常にやっぱりイメージしにくいような気がするんですね。
それから、今日出ておりました適合性の原則などで、一定の人に取引させないというような考え方が入っちゃうと、これは何となく全体として民事法の感覚から言うと非常に抵抗があるんじゃないか。今の大きな流れというのは、そういう消費者にとっても全然取引できないという人を作るんじゃなくて、そういう人でもやりたいという意思がある場合にはそれをサポートするというんですか、意思決定とか自己決定をサポートして参加できるようにする。それが本人の本来の意思にかなっているので。ですから、やっぱり自己責任原則の一部修正というんじゃなくて、その実質化というふうに私は考えているんですけれども、そのあたりはどういう法制に、ばらばらに分解していくと非常に見えなくなるので、わかりやすいイメージを提供してくださればと思います。形式面ですけど。
○蝋山部会長 わかりやすいイメージは、逆にわかりやす過ぎて、この議論が難しくなるということもあるんですけれども。
○三國谷企画課長 一言で申し上げますと、これまで、どちらかというと私どもの法律というのは一つの法律で、閉じた社会の中でいろんなことを解決できたと。しかしながら、今直面しております現象というのが、それが民法と商法あるいは税法、そういったものとの関わり合い、さらに各法の横断という形でございまして、その意味では、新しい流れの中でそういった方法もこれから模索していく過程にあるんだと思います。したがいまして、過去の例を基に、今こういったイメージというところまで私ども申し上げられる段階にはございませんが、こういったことに世の中は流れとしてそういった方向と広がりを持ってきたという、その中で本当にこれからどうやって具体的にやっていくかということになりますと、さらにこれからいろんなことを検討していかなくちゃいけないと、現段階ではそこまでしか申し上げられないのかなという気がいたします。
○蝋山部会長 むしろ京藤さんあたりにそういう新しいイメージをはっきりさせていただいて、位置づけをお願いできればというふうに思いますが、岩村さん、最後に非常に短く。
○岩村委員 念押されるだろうと思っていました。
これについて、このルールの実効性、形成・運用、このペーパーですけれども、中を拝見しますと、やはり京藤先生おっしゃるように、日本の法律の体制の中にこういう考え方を入れられるのかどうかということについて、プロフェッショナルとしての検討が必要な部分がたくさんあります。挙証責任の転換とか、あるいは財産権に及ぶような損害の求償であるとか、そういう問題を考えることと、しかし、エキスパートという議論だけではなくて、むしろ政策のレベルで考えることとが一緒に入っている。
特に自主規制機関という問題については、今までの自主規制の考え方というのは、業者範囲を決めてその中で皆さん決めてくださいという自主規制であって、私はそれは余り機能しなかったと思うんですが、ここでは少し別の考え方に自主規制というものの意味を持ち込もうとしているわけですが、そうすると、「自主規制機関」と言うべきなのか、あるいは法の提案委員会であって、あるいは既成のルールの提案委員会であって、それを遵守するという人は、それは今消費者の側でチョイスの問題されましたけれども、業者の側でもチョイスの問題になるのかもしれません。そういういわば形成の大きな仕掛けをどうするかという話は、これは法の技術論とは少し違う世界の話で、その両方の検討をどういう手続をもって、どういうシステムを持ってやっていくかということは、部会長、それから、事務局にもぜひ考えていただきたい点だと思います。
以上であります。
○蝋山部会長 考えることは大いに考えますが、恐らく高橋さんが提起された共同規制というようなアイデアを、どんなふうによりアクチャライズするかという問題だというふうに思いますね。そういう点では、よく高橋さんの意見等も踏まえて、それはワーキンググループを通じて我々の方にフィードバックしてきますし、十分考えたいというふうに思います。
○岩村委員 要するにそういうことを考えることと、それから、この中でどう具体的ないろいろな事項ですね。例えば今申し上げた挙証責任転換、それを法律の体系の中にどうセットするかということは、いわばポリシーの話とエキスパートの話という意味で区別して議論しないと事態は混乱するのではないかなと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
残された時間は、あと4分しかないんですが、次回の部会について御紹介したいというふうに思います。
次回の部会ですけれども、二つのワーキンググループの成果物としてまとめられる予定のレポート案について、まず御報告をいただく。それが一つです。
それから、さらに、それらの前提となる大きな枠組みとして、前回の部会で我々が対象とする金融商品あるいは金融サービスというのは一体何ですか、そういう論点を議論していただきましたが、それをやはりきちっと現段階においてレポートの中に入れなければいけない、そういう問題があります。
さらに、今日議論いたしまして、ほんのちょっとしか議論できませんでしたけれども、特に今岩村さんから最後に御指摘をいただきましたけれども、ルールのエンフォースメントのあり方、形成・運用について、金融サービス業者の適格性について、今日最後の議論に提起させていただいた問題についても、部会として共通の認識をきちんと作らなければいけません。私の意見も反映させた形で事務局にこれまでの議論をまとめた素材を用意していただいて、さらに次回、議論を進めたいというふうに思います。
どうぞ、クーさん。
○クー委員 この中で、前回の議論の中で、どういう金融商品を扱うという議論を池尾先生などとやったわけですけれども、そのときに自己責任原則の一部修正という部分は、例えばペイオフの議論とも絡めて、結局そんなに投資はしたくないけれども、とにかく金融資産を安全なところに置いておきたいという企業、個人、これが日本中には恐らく何千万人もいるわけですから、そういう人たちの議論だったような気がするんですね。それが、今日になると突然、民法上の行為不能力者になってしまって、そういうふうになっているような気がするんですが。
○蝋山部会長 いやいや、前回議論したのは、むしろ(A)の人の議論であり……
○クー委員 でも、それを自己責任にすべきかというのが議論だったと思うんですよ。その自己責任にしちゃいますと、銀行が危なくなってきたら、この人たちはやっぱりペイオフを心配すると逃げ出さなくちゃいけないという議論をして、それは国民経済的にはロスじゃないかという議論だったと思うんですね。そうすると、それは自己責任原則の一部修正の部分に入っていたような気が私はしたんですが、ここでは全く能力のない人たちがそこに入っちゃっていて、単に預金を安全に持っておきたい企業、個人の話が全く抜けちゃったような気がするんですが、そういうふうに感じるのは私だけなんですかね。
○貝塚会長 預金の話というのは、ある意味では非常に重要なんですが、一番最初の流れ懇でも預金の話というのはそれほど扱われてないわけですね。だけれども、今おっしゃった点は非常に重要でして、ただ、それ自身は、もう問題意識として第二部会は非常にあるわけで、要するに預金保険その他の問題と必ず結び付いているわけですが、その点は神田先生なんか割り切って、その話は、やっぱり最終的にはつなげないと、これは非常に重要な話であることはそうです。ただし、この部会でそこを議論するか、それは別の話ですが、重要だという認識はもう……。
○クー委員 前回議論しておいて今回こういうふうになっちゃうと、ああいう人たちのことはどうなったのかなと。
○蝋山部会長 ちょっと誤解があるようなので。自己責任の一部修正というのは、自己責任原則の一部修正です。そして、例えば預金保険制度というものを幾らにするかと。これは自己責任原則の一部修正ではないんですね。自己責任原則が発揮される場として、ルールとして、例えば預金をする場合には預金保険料をこれだけ払わなきゃいけませんよというルールを作りましょうと。そういう点では、自己責任原則の一部修正ではないわけです。そういうルールの中で、共通の認識の中で自己責任が果たされればいい。だから、原則的な問題と制度の問題とはちょっと違うんです。
○クー委員 新たに投資をしたい人たち、先ほども委員の方から指摘があったんですが、新たに何か投資したい、リターンを高めたいという人たちが自己責任原則ではいいんですが、投資とは関係ないと。
○蝋山部会長 いえいえ、預金も投資ですよ。
○クー委員 しかし、給料を払うためにどうしても銀行に預金していなくちゃいけない、この金額が
100億ありますという人たち。この人に、いや、預金保険は1億までだからとやってしまうと、残りの……。
○蝋山部会長 それはこっちの問題ですけどね。
○クー委員 前回議論していたのに、今回そういう人たちの部分がなくなっちゃっているわけですよ。
○蝋山部会長 いえ、そんなことないと思います。含まれています。
○クー委員 含まれているんですか。
○蝋山部会長 はい。どういう自己責任原則をうまく発揮するためには、どういう仕組みを考えたらいいだろうかというのが、このホールセール・リーテイルのリーテイルの部分の一番重要な点です。
○クー委員 これ、3ミリにまでしようというようなことなので。そういう人はものすごく国民の中では多いんじゃないか。
○蝋山部会長 もちろんそうです。(A)の部分のことでしょう。(B)ではなくて。
○クー委員 でも、(A)は完全に自己責任原則ですよね。
○蝋山部会長 だけども、その自己責任原則が発揮される場が一部、例えば全体で共同でルールとして損失をお互いに保険し合う、それは保険ですね。これはもうルールとして確立していれば自己責任原則が発揮できるわけです。それはまた議論する。
○クー委員 そこを自己責任にしちゃうのは、私はまずいような気がしますけどね。
○蝋山部会長 だから、クーさんの理解と私の理解とちょっと違うんです。
○クー委員 違いますね。
○蝋山部会長 そういうところの誤解をなくさないようにしなくちゃいけないので、ちょっと大変ですね。
それで、もう一つまだこの場合あるわけでして、頭出し程度しかできないと思いますけれども、クロスボーダーの問題、これはまだほとんど議論してないような、インターネットで海外へ投資をします、あるいは海外で組成された商品が日本に持ち込まれてくる、こういうケースをどんなふうに考えたらいいのかというようなこと、やはりスタンスははっきりしておかなくてはいけないんじゃないでしょうか。そんなふうに、残された問題を流れ懇では若干取り上げられてはいるわけですけれども、我々としても詰めなければいけないのではないかというふうに思います。
ですから、我々の議論すべきイシューは大変山積しておりまして、したがいまして、日程も詰まってまいります。6月は3回この会合を開く予定にしておりまして、夏には何とか中間まとめをする。中間ですよ、ファイナルではありません。中間的な取りまとめをして、よりオープンな形で多くの方たちからのコメントを頂戴したいというふうに思います。
日程について。
○細溝債権等流動化室長 次回の日程について御紹介いたします。次回は、6月7日(月曜日)の午前10時から12時まで。場所は、この階の第三特別会議室を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○蝋山部会長 紙が配られておりますので御覧ください。第8回、次回は6月7日、今御紹介があったとおりですが、第9回は6月11日15時からです。それから、第10回はやはり10時から、6月18日です。6月はこの3回を予定しておりますので、どうぞよろしく。また、御多忙でしょうが、御出席いただければ幸いです。場所は、9回、10回は本庁舎ではありませんので、その点も御注意ください。その紙を御覧の上、次回からもよろしく御参集いただければ幸いです。
どうも今日はありがとうございました。
(以 上)