金融審議会「第一部会」第9回会合議事録

 日時:平成11年6月11日(金)15時02分〜17時08分
 場所:合同庁舎第四号館(4階)共用第1特別会議室

○蝋山部会長 既に定刻をオーバーしておりますので、ただいまから、第9回金融審議会「第一部会」を開かせていただきます。
 今週は、もう2回目でして、皆様、お忙しいところを御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず一番初めに、今日、産業構造転換・雇用対策本部というところが決定いたしました「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策」というものの中に、この部会で議論しています項目に関連したものが盛り込まれているということですので、事務局より、その内容及び経緯について御説明をしていただきたく思います。
 細溝さん、よろしくお願いいたします。
○細溝債権等流動化室長 本日の朝でございますが、全閣僚出席いたします、ただいま蝋山先生からお話のありました緊急の会議がございました。産業構造転換・雇用対策本部というものでございますが、そこで「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について」と。それで、従来から産業競争力会議等々でいろいろな議論があり、また、昨今の雇用情勢を見て、緊急に何らかの対策を講ずべきではないかと、こういうお話があり、今週に入って与党の方でもいろいろなものが発表され、それを受けて、政府として今朝決定したというものでございます。
 この本部会に関係するものといたしましては、実は産業競争力強化の中で「事業再構築のための環境整備」というものがございますが、その中で「資産流動化の促進」という項目がございます。その「資産流動化の促進」という項目の中で、「土地等の資産の流動化の一層の促進を図るため、以下の環境整備を図る」ということで、実はSPC等が触れられております。「SPC法等資産流動化法制について、多様な投資商品の提供を促進するため、投資者保護の視点も踏まえ早急に結論を得るべく積極的に制度整備の検討を進める」といった文言でございます。「早急に結論を得るべく積極的に検討を進める」と。そのときのポイントは、「多様な投資商品の提供を促進するため」と。「ただし、投資者保護の視点も踏まえて」と、こういう建て組みでございまして、いわばまさにこの部会で御議論いただいております集団投資スキーム、これについて積極的に検討を進めてほしいという意味の内容が盛られております。
 以上、御紹介申し上げます。
○蝋山部会長 ただいまSPCにつきまして、いろいろな投資商品の提供を促すために、投資者保護の視点も踏まえ、早急に結論を得るべく積極的に制度整備の検討を進めてほしいと、こういう要望が上の方からあったということでございますが、何かこの点につきまして、御質問なり御意見なりございますでしょうか。
 私どもとしては、集団投資スキームを議論しているわけでありまして、その一環としてSPCが重要な導管の役を果たすという点で、政治の側でこういう動きが出てきたということは一面では歓迎すべきであるわけですけれども、これだけが取り上げられて、いわばつまみ食いされてしまうということでは困るという側面もあるわけでありまして、良いところはきちんと受け止めながら、全体としての我々の金融サービス法の整備というところに向けて努力を積み重ねていきたいというふうに思います。「早急に」ということでありますから、上の方もいろいろ我々の動きをサポートしてくれると、ほのかには期待していいでしょう。よろしゅうございますか。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の議事を進めてまいりたいというふうに思います。
 前回の第一部会に引き続きまして、自由討議をまず行いたいと思います。前回御欠席の委員、今日御出席になられている方がおられますので、まず冒頭、事務局から、前回(今週の月曜日)の議論を振り返って簡単に説明をいただきまして、その後、前回に引き続いての自由討議に移りたいというふうに思います。
 細溝さん、どうぞ。
○細溝債権等流動化室長 それでは、本日はお手元にいろいろな資料がいっておると思いますので、資料をまず確認していただきたいと思います。
 テーブルの奥の方の真ん中一番上に、前回の第8回第一部会の「議事要旨」が乗っておると思います。これは後で御説明申し上げます。それで、その右の方の山に「第一部会8−1」「8−2」「8−3」と、こういった資料が積んであると思います。これらにつきまして前回は、「8−1」、「8−2」、「8−3」を中心に私どもから金融商品の範囲を御説明し、御議論があり、その下にあります「8−4」と「8−5」というのが、実はそれぞれのワーキンググループの進行役の先生から、これに基づいて現在のワーキンググループの説明状況の御説明があったと。
 それから、奥の左の山に「たたき台」というのが二つありますけれども、この「たたき台」は、要するに両ワーキンググループで今議論を取りまとめをしようとしているその際のたたき台として出されているものであり、議論の素材として出されているものであって、これを基に今議論をしている最中ですといった御説明がございました。したがいまして、この「議論のたたき台」は、まだそういった意味での議論の途中段階のものでございまして、議論のためのものでございますので、終了後回収させていただくということで、前回も回収させていただきましたし、本日もそうしたいというふうに思っております。
 それでは、奥の一番上にありました第8回第一部会の「議事要旨」、これを取り出していただきたいと思います。今週の月曜日、7日の10時から12時まで、大蔵省の第三特別会議室で、議題としては、金融商品の範囲と、それから、ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループの議論の状況。これは進行役の山田先生に上京していただいて参加していただいて、山田先生から御報告があった。三つ目として、集団投資スキームに関するワーキンググループの「議論のたたき台」等について神田先生から御説明をいただきました。
 それで、前回の議論の要旨というのを簡単に取りまとめさせていただきましたが、<自由討議での主な意見>というものでございますが、まず、「金融商品の範囲」について申し上げますと、最初の○が預金の話。2番目の○が預金、保険等にもいろいろなものがあるので、もっとブレークダウンして議論する必要があるのではないかといった話。3番目の○が年金基金の話。こういったいろいろな個別商品について、どういった金融商品の範囲に入れるのか入れないのか。入れて、違ったルールを適用するというような御意見の方が強かったように思いますが、そういった御議論。それから、5番目の○で、郵貯、簡保についても御議論があった。その次に、そういった金融商品ではなくて、今度はルールの内容になってきますが、説明義務を尽くしたかどうかの事実確認を具体的にどうやってやるのか。確認書みたいなものを取るのかどうかといったような御議論。それから、利用者・消費者教育の話。そして、コンプライアンスに期待となると、運用の段階が非常に重要になるのではないかといった御議論。
 それから、2枚目にいきまして、集団投資スキームに入りますが、集団投資スキームの場合は、運用の対象資産、これはなるべく広くとっていいのではないか。いろいろなものが入ってきていいのではないか。その次に、悪質商法との関係も御議論が出ました。悪質商法については、そのために、それを目的として集団投資スキームの法制をやるというのではなくて、むしろ集団投資スキームを整備することによって結果的に悪質商法が排除されるということになるのではないかといった御議論。それからまた、悪質商法について、一つの法律だけで対処しようというのではなくて、民商法系統の話とか、刑法の系統の話、いろいろな手立てがあるのではないか。幾つかの手立てを考える必要があるのではないかといった御議論があったように記憶しております。
 大体以上のような御議論があり、なおかつ自由討議をもう一度やろうということで、本日の会議になったということでございます。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
 本日は、ホールセール・リーテイルのワーキンググループの議事進行役をお願いしております山田先生は御都合が悪く御欠席でございますが、前回欠席されました委員の方々を中心に、今室長の方から説明がありました金融商品の範囲、ホールセール・リーテイルWGの「議論のたたき台」、こういったところについて議論いただき、さらに、集団投資スキームWGの「議論のたたき台」についても議論をいただければというふうに思います。いかがでございましょうか。どなたか、前回に引き続いての議題でありますけれども、こういう点はどうかという御意見はございませんでしょうか。いかがでございますか。
 基本的な方向としては、伝統的なこれまで存在していた既存の金融商品、あるいは、これから出てくるであろう様々な多様な投資対象となり得る金融商品を、一応入口では排除せずに広く金融商品の範囲として捉えて、そして特別な性格なり、考慮すべき内容のある商品については、捉えるけれども、別個個別に対応する。こういう点が一つ金融商品の範囲という点については合意合意に近かったのではないかというふうに思います。
 そういう点では、お手元にもあるかと思いますが、横長のB4判の表、左側の表側に例示しております「金融商品名」というのはあくまでも例示でありますけれども、1枚目では、どちらかといえば伝統的なもの、そして2枚目には、集団投資スキームといったものとみなされるもので、我々が現に利用可能なもの、こういうものを考えていて、「販売・勧誘」というところでは、ホールセール・リーテイルの問題と絡んでくるわけでありますけれども、全部を一応網羅する形で考えておいて、特殊なケースはその上で除外していこう。そして集団投資スキームは、2枚目の表に掲げているところのでこぼこを整理する形で考えていこうと、こういうことではなかったかというふうに思うわけです。
 前回配付された表では、この表の1枚目が、「販売・勧誘」の列が網掛けになっていたわけですね。今回もこれは網掛けがちゃんと付いているんです。それから、2枚目のところは全部に網掛けが付いていた。一番最後の「デリバティブ商品」については除きまして、二重線で囲んであるところは全部網掛けが付いて、そして、網掛けというのは、金融サービス法という網に掛けようと、こういうことだったのではないかというふうに思います。
 いかがでございましょうか。こういう方向で進めてよろしいということであれば、次の議題に移ってしまってもよろしいわけですけれども、例えば、岩村さん、いかがですか。
○岩村委員 これで私が関心があるというと、ほかの中身の問題も関心があるんですけれども、前々回のときもちょっと申し上げましたけど、例えばホールセール・リーテイル。ホールセールとリーテイルに別のルールを付けようねと。その場合に、典型的なホールセールと典型的なリーテイルというものを考えたときに、それぞれこういうルールが要るだろうということは、むしろ自然にみんな合意できると思います。
 これからのことを考えると、何がリーテイルで何がホールセールかとか、あるいは金融商品の範囲の問題もそうですけれども、どこをもってクリティカル・ポイントとして切るかという問題が大変切実な問題になるような気がするんです。そこの部分をこれからの議論の中でもう少し整理をしていく必要があるいはあるかもしれないという気がしますので、ルールそのものについては、三つのワーキンググループで大変整理された考えた方を提示していただいているように思いますので、むしろ、では、これをどういうものにアプライできるのだろう。どういうものが外れようとするのだろうと。
 例えば、ホールセールとリーテイルなんていうのは一番わかりやすい話ですけれども、この前申し上げたように、現実の世界になってくると、リーテイルという顔をしたいケースというものがたくさん出てくるということは十分予想されるわけで、そういうものがどこまで、いわば市場という観点からホールセールという厳しいルールの世界に持ち込んでいけるのか、あるいはいくべきなのか、あるいはいくべきでないという考え方はあると思うんですが、そういう切れ目の問題が重要であると思いますので、ルールそのものの議論については、むしろ部会の皆さんで相当詰めた議論がなされているようですから、これは私は大変良くできている整理で、このままで進んでいただいた方がよろしいと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 大変重要な、しかし悩ましい問題。そういう、どのルールをどういう主体に、どういう観点に着目して、どういう観点からアプライするかと。外形基準でやるのか、よりファンクショナルにやるのか、いろいろ論点が多岐にわたってくると思います。そういうところをむしろ今後の問題として議論すべきだと、こういうことですか。
○岩村委員 補足いたしますれば、今までは、どういうものにアプライするかという話は、法律あるいはルールそのものではなくて運用の問題、あるいは行政の問題であるというように考えられてきた傾向が強いだろうと思うのですが、その考え方でいくのかどうかということでございます。
○蝋山部会長 非常におもしろい問題だと思うんですけれども、おもしろいし大事な問題だと思うんですが、岩村さん自身は、行政にそうした判断を委ねるということではなくて、というお考えですか。それとも依然として、やはりそういうところは行政が仕切るというふうにお考えですか。
○岩村委員 現実の問題として、それを全て例えばこういう部会で議論をしたとしても、この部会の持っている、誰がどういう主体に対して、国会に対して、国民に対してというような意味で、誰に対して責任を持って話をしていくか。ルールの中身の問題というのは、私はむしろ理論とか、法律論とか、あるいは正義という観点で議論できるものが多いと思います。しかし、どの範囲にどのルールをというのは、むしろ利害調整の問題になります。そうすると、それは今までは、むしろ一貫して行政にという性格が強かったのでありましょうが、しかし、行政にお願いするにしても、お願いする理論、お願いする基準というものがあってもいいのかもしれないし、想像すれば、運用する行政当局の方も、その点にむしろ悩みがあるのではないかという気がいたします。議論できるものであれば議論したいなというふうに思っている点がございます。
○細溝債権等流動化室長 まさに今二つの問題の提起がございました。どこまでを金融商品と考えるのかという話と、どういうのをホールセール、どういうのをリーテイルとするか。どこまでを金融商品と考えるかというのは、前回の資料の「第一部会8−1」というので前回も御説明したんですが、抽象的に定義をするというのは非常になかなか難しい。池尾先生のアプローチがあるわけですが、実はそれでやると、前回も御説明しましたが、本当に伝統的・典型的に金融と考えられないようなものまでこの定義に引っかかってしまう。例えば馬券とか、宝くじとかいったものまで入ってしまう。そうすると、こういう抽象的な定義を挙げておいて、ネガティブで抜くということが抜き切れるかどうか。では、船券はどうだ、サッカーくじはどうだと、こういう話になってきまして、本当にそうやって抜き切れれば過不足ない定義になるんですが、なかなか抜き切るというのは難しいかもしれない。
 そうすると、もう一つのアプローチとしては、そういう抽象的に定義するのではなくて、既存で大体これは金融商品だよねというのをずっと列挙していって、多分列挙し切れない分野でイノベーションがある分野が、デリバティブとCIS、集団投資スキームだとするならば、その集団投資スキームについて、例えば抽象的な定義を置くということによって新しい商品が出てくる余地をどんどん残しておくといった、ただ、預金とか保険とか有価証券とか、いわば伝統的に考えられているものは伝統的に列挙しておこうというような発想で実はこの二枚紙を作ったわけでありまして、こういうアプローチが一つの現実的なアプローチなのかなということで、例示なので、「これは抜けているのではないか」というようないろいろな御議論がありました。そこはもう少し事務局の方でも工夫をさせていただいて、できるだけこの第一部会の進行状況に合わせて、もう一回ぐらい同じような表を、今度はますます良くなるわけではないですが、ますます細かくなるような形になってしまうかもしれませんが、そういったイメージ図を出させていただこうかなとは思っております。それで、そこでまた御議論いただくのかな。
 いずれにせよ、何が金融商品なのか、金サ法の対象なのかというのは、まさに部会マターでありまして、この部会で御議論をいただきたいなということでございます。
 それから、もう一つ、おっしゃいましたホールセールとリーテイルの区分、基準の話でございますが、これは恐縮ですが、ホールセール・リーテイルWGの「たたき台」を取り出していただきまして、その中の14ページを開いていただきたいんですが、14ページの下の方に「具体的な区分の基準」という項目の記載がございます。「「ホールセール・プロ」分野と「一般リーテイル」分野を画する為の具体的な区分の基準」。これも前々回でしたか、ようかんの表みたいなイメージ図を出させていただきましたが、あれを思い浮かべながら、「プロ」と、あの頃言っていましたのはアマ(A)でしたか、その間の線引きをどうするかと、こういう話の線引きの話でございます。
 それで、14ページに「具体的な区分の基準」として、本当にケース・バイ・ケースになってしまうので、いろいろなアプローチがありますと。取引の類型からいくのと主体からいくのと、いろいろなアプローチがありますと。ただ、今後のイノベーションを考え、かつ、いろいろな取引を列挙し切れない以上、一番明確なのは主体なのかなということで、まずは主体で区分して、それから取引も勘案すればいいではないかというような御議論が大体ホールセール・リーテイルの中では大宗を占めておりますので、そうした場合のその主体に着目した基準というのが15ページ以降にありまして、金融サービス業者はどうだ。16ページになりますと、法人と個人、事業性の有無はどうだ。それから17ページにいきますと、一定規模以上の法人、上場会社というような基準、ないし商法特例法の大会社という基準。それから、今度は取引にいきまして、取引の反復・継続性がある場合はどうだ。それから18ページにいくと、子会社等の取扱いはどうする。それから、資力、知識・経験のある個人の取扱いはどうしようか。事ほどさようにいろいろな基準があるので、そこら辺は、まさに今回のワーキンググループでも、こうだと言うのではなくて、こんな基準があると。それについてどうでしょうか、どう思いますかというパブリック・コメントの中身に入ってくるといった感じでございまして、そこら辺は、まさにこの部会でも議論していただき、ワーキンググループでも議論し、もう少しきれいな整理の仕方があれば整理をしたいと思っていますし、ここら辺の議論というのは、今後まだ引き続きやっていくのかな。
 そうして、プロというのはプロテクションが与えられない人ですから、そうすると、それをどういうふうに広くとるのか狭くとるのか。先見的に決められるのかという話と、それから、そうするとアマからプロに転換するという話はどうかというのが22ページ以降にありまして、「ホールセールとリーテイルの選択、プロと一般利用者の転換」といったところで、いわばルールの選択なり転換なりを認めるべきであろうと。その場合の方向としては、多分アマからプロへが普通であろう。それで、その際にいろいろな手続を決めておく必要があろうかと。その手続に則っていけば、一般利用者からホールセール・プロ分野への転換ないし選択を認めていいのではないか。
 逆に、26ページですが、アマ(A)、アマ(B)の話もございます。当時は「アマ(A)」「アマ(B)」と呼んでおりましたが、今は「一般リーテイル分野」と「特定リーテイル分野」という、「アマ」という言葉を使わないで書くとすればこういう書き方になるんですが、そこら辺のことについても26ページから27ページに書いてございますが、実際これは主体を法令で明示するのはなかなか難しいのではなかろうか。したがって、販売・勧誘ルールの方から、自動的にそういった人たちというのが分野としているということを前提とした販売・勧誘ルールを作っていけばいいのではないかというような議論が今大宗を占めておるというところでありまして、非常にここら辺の線引きは悩ましいのでありまして、いろいろな御議論があるのだろうと思います。したがって、そこら辺も御議論いただいて、何となく方向性が見えてくればなあというふうに思っておりますが、なかなかこの基準のところは非常に悩ましい。いろいろなものが書いてあるという段階でございます。
○蝋山部会長 よろしゅうございますか。今の議論の段階は御理解いただけたのではないかと思いますが、それで十分尽くされたかというと、必ずしもそうでない。恐らく岩村さんの御質問の中で出てきた論点としては、一体どういうプロセスで一般リーテイル、特定リーテイル、プロというものを識別されるんですかと。その辺のところはまだこの「たたき台」でも必ずしも明確ではないですね。レジスターするのか。特定なり、あるいはプロという方々はレジスターして、自動的にそれが登録される。そしてどこかにリストがあって、公衆に縦覧される。みんなが利用可能になる。そうでないと、それは一般リーテイルだとみなされるということになるのか。
 しかし、一般リーテイルということになりますと、いろいろな形で規制もありますが保護も加えられるわけであって、その辺のところが運用上大変難しい問題を引き起こすだろうと。そういう議論もぜひ、恐らくされているだろうとは思うんですが、マネジメントという点で議論をお願いしたいと、こういうのが岩村さんのお願いですね。
○岩村委員 はい。
○蝋山部会長 クーさん、どうぞ。
○クー委員 恐らく同じような話の延長になると思うんですけれども、例えば「勧誘ルール」というこの書き方も非常に日本的だなという感じがするんですね。といいますのは、今の日本では、まだ大卒の銀行員が預金集めに回っているとか、証券会社のセールスマンも戸別訪問しながら株を買ったりしてもらっていると、そういう世界があるわけで、そういうときに、リスクの高い商品を、それをよく理解してない高齢者の方に売ってしまった。それで後で大きな社会問題になったと、こういうことがある。だから、恐らくそういうことを想定しながら今この議論が行われていると思うんですが、一方で、そんなことをやっていたから日本の金融機関はみんなだめになってしまったんですね。そんな高いコストを払いながら勧誘作業などをやっていたわけで、今の新聞なんかを見ていますと、もう外資系の保険会社はそういう作業を一切やらずに、新聞広告でどんと出てくる。それにおもしろいなと思った人が電話をして、そこから話が始まっていく、こういう世界に今どんどんなっていくだろうし、これからそれは急ピッチで進むと思うんです。
 今、もうアメリカでEトレードという形で、インターネットでトレードをやってしまうわけですが、そうなると、こちらが自分からログオンしてその商品に行くわけですけれども、そのときに、今度は業者側から見ますと、どんな人がログオンするかわからないわけですね。むしろ最初からアマチュアだとわかっていたら、アマチュアのページを出してやるのかもしれませんが、それは業者かもしれないし、そうでないかもしれない。いろいろな人がログオンする。そのときに、まず最初にどういうページを出すべきかと、そちらから考えていけば、この問題はもう少しわかりやすくなってくるのかなと。
 それで、恐らくそのスクリーンの中に「この商品についての細かい説明が必要ですか」というスクリーンが出てきて、「必要だ」というふうにマウスをクリックすると、パソコンが「この商品は元本が保証されておりません。元本が保証されておりません。元本が保証されておりません」と10回ぐらい言って、「理解できましたか」と出てきて、「理解できた」と押したら次に行くと。でも、もうそんなことはわかっているという人は、もうそれは要らないから次と。こういう形で実際はいっちゃうんじゃないかなという感じがするんです。
 それが究極な形だとすれば、恐らく近い将来、日本もセールスマンが一々ドアのベルを鳴らして株を売りに来る世界ではなくなって、そういうふうになってくるというふうにすれば、それを想定してこういうルールを作ったらいいのじゃないかなという気がします。
○蝋山部会長 多分に今クーさんの御提案のような考え方で議論が進められているというふうに私は理解します。
 どうぞ。
○細溝債権等流動化室長 今、岩村先生とクーさん両方からの御指摘、関係する部分は、多分このホールセール・リーテイルの「たたき台」の25ページがございます。25ページの上の方に、一旦アマからプロに転換しちゃった人の扱いを、他の業者との取引関係でどうしようかと。3段目のパラグラフですが、「なお、他の業者との取引については、」というところですが、他の業者の取引については、利用者の選択が相手業者に対する一定の信用に基づく場合もあり得ることから、取扱いに違いが生じても構わない。つまり、あるA業者に行くときはプロに転換した。ただ、初めて行ったB業者のところでは相変わらず最初はアマだということがあってもいいのではないかという議論でございます。ただし、もしプロに関する届出・公示といったものができるのであれば、そういう周知性を持たせるということは考えられるだろう。ただし、それにはコストがかかるのではないかといった議論もここではされております。
 それから、クーさんのインターネット、Eトレードを前提に物を考えてもいいのではないかというところは、一番私どももそう思うんですが、28ページを御覧いただきますと、28ページに、「海外主体の取り扱い」と「非対面取引の場合の取り扱い」、これらを併せて、その他関連する論点の中でロとハで整理してございます。それで、今のクーさんの御指摘はハに当たるわけですが、要するにインターネットを通じた金融商品の売買といったようないわば非対面取引で、特に業者から勧誘といった積極的な働きかけがなく、利用者側から業者に対してアクセスがなされる場合、確かに大きな論点になるだろうということでございます。
 ここら辺は、実は今回のワーキンググループの中でも、こういったものがあるよねというのは当然認識はしているんですが、それについて非常に大きな議論をやる時間が実はございませんでした。そこに書いていますが、「業者側の対応として、利用者の属性を確認するプログラムや質問事項等を盛り込むことは可能であるが、非対面性による一定の限界もあると予想される。」云々と、こうありまして、利用者は多分原則として一般利用者、いわばアマだと推定していいのではないか。ただ、いろいろな手続なりいろいろなやり方なりが考えられるので、そこについてはもう少し検討していく必要があろうということで、今回は積み残しに近い形になってしまっておる。ただ、販売・勧誘ルール、対面取引を念頭に置いた一般ルールを作ってしまえば、そこから先は論理的に全く違うルールが適用されるというのはあり得ないので、ルールの適用の仕方が、基本的な説明をしなければいけないとかいうのは一緒で、その適用の仕方、発現の仕方が、やっぱり非対面の場合は当然、ではどんなページから始まって、どういうふうなことをやって、どこをダブルクリックしないと次へ行けないとか、そういったところはまさに非対面の特殊性がありますから、そういった議論はもちろん今後、これ以降もやっていかなきゃいけないのではないかなというふうに思っております。
○蝋山部会長 では、クーさん、一言どうぞ。
○クー委員 私が指摘したかったのは、こういう世界になってきますと、その分けるコストというのも極めて小さくなっちゃうということなんです。つまり、その人がクリックを何回かするだけの違いだけであって、恐らくこの取引に、Eトレードに入りたいという人たちは、一番コストを低く抑えたいという人たちばかりですから、どちらかというと一般取引よりもプロ意識を持った人たちの方がどんどんそちらへ行っちゃうと思うんです。自分で判断ができる。セールスマンに「どの株が上がるの」と聞かなくても判断できる人は、セールスマンの顔なんか見たくないわけですから、当然そちらの方へ行くわけで、そうすると、こちらがやがてメインになってしまうんだと。
 そこで、業者側からすれば、コスト的にはアマとプロの差がほとんどないわけですから、それは反対側にいる人がマウスを何回押すかだけの違いであって、コスト的にはほとんど差がないと。そういう世界になってきたときに、対面でやった場合にはものすごいコストが違ってきて、株を買うのにもコミッションの率まで違うと。Eトレードにいったらほとんどその違いはないと。ますますそれが非対面取引の方が主体になってしまうのじゃないかなと。そうすると、こういう議論がだんだん、マウスを何回押したかという議論に全部終わっちゃうというような気もするんですけどね。
○蝋山部会長 岩村さん、どうぞ。
○岩村委員 今クーさんが話してくれたので、少しその話を続けたいんですが、確かに金融商品の議論とホールセール・リーテイルの議論では少し性格が違うと思うんです。金融商品は何かという議論は、そもそも金融法がターゲットにする視野がどこ、射程に置くのは何かという議論なので、これは多分クーさんのような議論を前提にしても、細溝さんがおっしゃったように、多少苦しくなってしんどくなっても、一つ一つ取り上げていくことが必要になるだろう。ただ、それでも今までだと、「その他政令で定めるもの」となって、政令を読むと「その他主務大臣が定めるもの」となっている構造があって、実際は、ほとんどの世の中のインタレストは「その他」の部分に集中しているという現象がありましたので、それについても、私の気持ちとしては、自明なものはもういいじゃないですかと。ただ、その他しかし考えなきゃいけないものがありますよというふうにいみじくも室長がおっしゃったのですが、そこの部分を考えることができるのか。考えるとしたら、やはり考えるための理論が要るでしょうと。あるいはそこの部分はやっぱり放棄して、似たものはということにしてしまいますかというのが今質問申し上げたかったことであります。
 それから、実はクーさんのおっしゃった点は、私も非常に前から気になっているというか、大変同感なんですけれども、主体に注目するのか、取引のスタイルに注目するのかというポイントで、やはり責任分解点とか説明義務という議論を焦点に置いたので、どうしてもホールセール・リーテイルという議論をすると、ますます誰と取引しているのかということに関心が集まって、そこでいわばルールを変えていこうと、こういうふうになるわけですが、クーさんのおっしゃっている点というのは、結局しかし誰なのか、本当にわかるのかどうか。わかるようなタイプの取引もあるし、そうでない取引もある。従来のカウンター越しの対面取引というのは、相手の顔を見て、いわば相手を認識しながら取引をする。それが金融のモデルだったのに、これから変わっているのじゃないかということをおっしゃっていると思うんです。そこの部分については、考え方を相当の割り切りの中で整理していなければいけないと私もやはり思います。
 最も単純な考え方は、恐らくEトレードは全部プロ扱いと言わざるを得ないのではないかと私は本当は思っているんです。ということは、整合性を考えていくと、プロの範囲というのはどんどん相当大きくしていかないと整理はつかないのじゃないかというふうに思います。さらに言うと、そうすると、Eトレードの中に入ってこれるものというのがどういうものなのか。例えば今、電子署名とか電子印章という話をしている世界もあるわけですけれども、例えば電子署名を出したら、何でも手書きの署名と同じ効力を持っていいのかどうかという問題が、さらにそこにつながってまいります。いずれにしても、この切り方のスタイルに関する問題提起だという面がありますので、ここの部分については、やはり積み残しという以上に、もう少し踏み込んで議論は必要かもしれませんね。
○細溝債権等流動化室長 再度また「たたき台」に戻って恐縮なんですが、「たたき台」の52ページをお開きいただきたいんですが、ホールセール・リーテイルの「たたき台」の52ページでございますが、「金融商品の電子取引(インターネット取引等)の取扱い」ということで、現時点で整理すればこんなところかというので、第一に、特徴としては、利用者の属性の把握が必ずしも容易ではないという点がある。それから、第二に、利用者としても業者の顔が見えないという問題がある。53ページにいきまして、したがって、第三にということで、十分な考慮なしに安易に取引にアクセスする利用者が増えるのではないかという懸念もある。したがって、ウオーミングアップとか警告とかいうのが重要であろうと。それから、第四に、勧誘とか広告という既存の概念がこの中では曖昧になってしまって、要は、より包括的な概念によるルールの整備・見直しが必要になるだろう。第五に、クロスボーダーも関係するだろうと。第六に、取引の安定性というところもあるだろうと。
 そういうような諸点を踏まえて、現時点で整理すればということで????とありまして、説明義務に係る重要事項の伝達をいかに確保するか、やり方の問題。それから、こうした説明義務を省略する場合の利用者に対する警告等の必要性及び具体的な対応についてどう考えるか。いわば言ってしまえば、アマからプロへの転換みたいなものを、簡易な転換みたいなものですが、その中で必要とされる警告というのがありましたけれども、それがまさにこの中ではクローズアップされてくるということでございます。逆に、そういうことをできる商品というのも限る必要があるのかどうか。つまり、周知性の高い商品とか流通性のある商品に限る必要があるのかどうか。
 それから、インターネット取引の対象とし得る商品の範囲に関するルールが必要となるのか。それは同じことですが、そういった????が今後の論点になるだろうと。これらについては今後検討を深めていく必要があるということで、いわば問題点指摘に現時点ではとどまっている。確かにそういった今おっしゃったような議論というのがあるものですから、それらについても今後検討を進めていきたいという現時点の整理ということなんです。
○蝋山部会長 そういう点では、クーさんや岩村さんからの発想からすれば、「ちょっと遅いんじゃない?」と、こういうことなんでしょうな。
 神田さん、どうぞ。神田さんは4時に退席せざるを得ないということなので、集団投資スキームに関する前回のいろいろお答えになったことも踏まえて、何か神田さんからメッセージがあればお伝えください。
○神田委員 では、ちょっと簡単にしますけれども、大学で授業があるので4時に失礼させていただきますけれども、今のお話を伺っていて、私も岩村さんとかクーさんがおっしゃる問題意識は全く同じでして、たまたま大蔵省からの委託研究として金融情報システムセンターというところで研究会をやっていまして、原さんにも御一緒にお出になっていただいているんですけれども、2点感想があるんです。
 一つは、クーさんがおっしゃったように、日本より進んでいるアメリカとかあるいはイギリスにおいて、もう既にいろいろな問題があって、そういう中から幾つか我々は学ぶことがあると思います。時間の関係で2点だけ申し上げますが、一つは、今の53ページにも出ていることなんですが、従来この種の分野で、アメリカと日本の法制が強く依存してきた「勧誘」という概念ですね、クーさん。これがもう概念として成り立たない。それは変わって、「広告」という概念と「勧誘」という概念が融合せざるを得ない。やや法律論になって恐縮ですけれども、法律的には、前に資料が配付されていましたけれども、イギリスでは、今度新しい法律では両者を統合して「プロモーション」という概念に統一しようということで今議論しているわけです。「勧誘」という概念を取り除きますと、例えば今の証券取引法の体系は法律から言うと非常に崩れるということになるぐらいに、今までは「勧誘」という概念を証券取引法の世界は重視しているんですが、銀行法には「勧誘」という概念は実は伝統的にはないんです。ですから、やっぱり「勧誘・広告」、この辺の概念をやはり大きく見直しをする必要があるというのが一つあります。
 それから、もう一つは、これは岩村さんがおっしゃったこと、クーさんもおっしゃったことですけれども、仮に「プロ」とか「一般投資家」ということを定義できたとしても、Eトレードの世界では、例えばアメリカの今のルールを申し上げますと、資産基準で一応「プロ」と「一般」が決まっているんですけれども、それをベアリファイするのにものすごいコストがかかるので、そこにコストをかけていたのではEトレードは成り立たないんですね。したがいまして、これは本人の自己申告制にせざるを得ない。そこでアメリカの場合には、画面が出てきて、「あなたはアクレディット・インベスターに当たりますか。資産要件を満たしていますか」。「はい」とクリックしたら、あとは先へ進んでいい、目論見書も配らないでいい「私募」と呼んでいる世界ですけれども、「当たりません」と、こう来たらやっぱり目論見書を電子的に配付しますと、こういうふうになっているんですけど、問題は、要件はどう決めたにせよ、プロか一般かというのは、それを確認しているのにコストをかけていたら、もはや電子取引は成り立ちませんので、そういうメカニズムの中では、そういったEトレードの枠の中で動くようなルールを作る。それでもって、また乱用とかおかしなことが起きないようなルールを考えていかざるを得ないというのがもう一つであって、私はその二つがポイントで、そういう意味で、かなり詰めた議論をする必要があるというのは全く同感です。
 もう一点、大きな感想としては、さはさりながら、日本もEトレードのボリュームが増えると思いますけれども、しかし、まだやはりそう全部がそちらへ行くわけではなくて、国民の金融資産のかなりの部分は高齢者の方々のところにある。すると、前回どなたかが御発言されましたけれども、年金で生活している方に金融商品を売ってこいというセールスというのは、大卒がやるかどうかは知りませんけれども、相当程度残るということかと思いまして、そういうものについてやはり勧誘ということはあるし、それについて今のルールがサティスファクトリーであれば、それはいいんですけれども、やはり今はまだちょっと、いろいろ努力はしているものの、縦割りで何よりもやや明確でないというところがありますので、やはりそこの部分は横断的にし、ルールを明確に、不確実性を下げることによって利用者の方も、それから業者の方も余計なコストを払わずに済むという、そういう改善は今回する必要があると思います。
 もう一点、ついでに集団投資で、前回伺っていて思ったことなんですけれども、余り寝た子を起こすようなことを言わない方がいいのかもしれませんけれども、一言感想で申し上げますと、この横長の、今日は網掛けがちょっと薄く出ていますけれども、終わった後で、ある方が1枚目のを見て、「これも集団投資じゃないか」と。預金というのは、託すみんなからお金をプールして、銀行というのは集団投資スキームの典型ではないかと、ファンクショナルに言えばですね。そういうことをおっしゃられた。確かに、集団か、単発(一人)かという違いは、デリバティブ取引は確かに一対一でもやろうと思えばできなくないかもしれませんけれども、大体金融というのは、ほとんどの部分が多数からお金をプールしてやっているわけですから、年金にしても何にしてもそういう面があると思うんです。したがいまして、集団投資というもののルール整備というのは、もちろんファンクションに注目してやることは間違いありませんけれども、何でも2人以上というか、多数の者からお金が集まってくるものを集団投資というふうにするんだという話とはちょっと性質が違って、多少今はでこぼこがあったり不都合が生じているところをなだらかにするということと、それから、今後の市場型間接金融という言葉でよく言っていますけれども、そういう部分がもっと活性化するようにという意味で、法律がそれを応援できるような、いわば必要最小限の制度整備をしたいということであって、そこはどうもロジカルにきれいに切れているという話とはちょっと違って、今の問題意識で言えば、2枚目に書いてあるようなところが、特にそういういろいろな意味で不都合というのでしょうか、改善の余地があると。
 これは前に田中さんやクーさんから御指摘を受けたように、これも何も規制を強化するという発想でやっているのではなくて、今いろいろ不都合が生じていますので、そういうものを取り除くという方をむしろ主眼に考えているということだけ申し添えさせていただきたいと思います。
 以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 まだプロ・アマ、勧誘云々の問題というのは残っているんですけれども、まだ時間があればやるとして、集団投資スキームについて、神田さんはあと10分で消えちゃうものですから、何か御質問なり御意見なりがございましたら、ただいまのことについて。
 では、クーさん、どうぞ。
○クー委員 今の神田委員の話で、銀行も集団投資スキームそのものではないかと言われたんですが、それはこの1ページ目の「郵貯」から「企業年金」まで全部そうですよね。ただ、決定的な違いが一つあると思いますのは、ここにはそれぞれの自己資本が入っている部分があるわけですね。恐らく我々がここで議論しようとしているこちらの投資信託等は、あくまで投資家の金だけであって、そこに金融機関の自己資本が入っているわけではない。こちらの上に出てくる「郵貯」の場合は、何が自己資本なんだかわからない大きな問題がありますけれども、「預金」「保険」「企業年金」、何らかの形で外の金が一部入っているというふうには分けられるのじゃないですか。自己資本が入っていて運用されているものと、入っていなくて運用されているものというふうに分ければ、もう少しわかりやすいのかなと思ったんです。
○神田委員 非常に重要な点で、これを議論し始めると切りがないんですけれども、いわゆる分別ファンド。ファンドはファンドとして投資家のお金を運用しているのか、それとも、それを他と「どんぶり勘定」、伝統的な銀行・保険会社の−−表現はよくないんですけれども、そうなってきますと、全体的に自己資本をもっていわばそのバッファーになる。これも従来の銀行規制とか保険規制から言いますと、従来いろいろ細かい規制をしていたのが、だんだん自己資本を中心の健全性規制に移りましょうというのが歴史的な経緯なわけですね。だから、今おっしゃったような分け方というのは一つあると思います。
 そうしますと、例えば特別勘定とかそういう別ファンドのものというのは、自己資本とは一応切り離された運営管理がされているものは2枚目に行くと。それから、同じ年金でも 401Kのようなものになると2枚目へいくと。それは別に運用されているという前提で。しかし、他方、元本保証というのでしょうか、受託者という言葉を使わせていただきますと、受託者がこういう財産でてん補しますと言っているものについては1枚目の方へ来るという、そういう整理は私は可能だと思います。
 ただ、それがいいのかどうかというのは、またそれは選択を認めていいかですね。投資家から受け入れたファンドを分別で運用しますと、そういうアナウンスメントをしてお金を集めた場合には2枚目のルールでやります。これは集団投資スキーム自体の「耐倒産性」とか何とかいう言葉を使ったりしていますけれども、2枚目の方の話でやります。そうでなくて、元本保証と言うか何と言うか知りませんけれども、受け入れられた人が自分の財産、あるいは他の受け入れたお金とコーミングルしますという場合には、今度は全部そういうものについては、業法として自己資本を要求すべきかと、これはそういう議論になっていくと思うんです。そこまではまだ十分に議論しているわけではなくて、ただ、そういう方向で議論を詰めるというのは非常に有益だし、私もぜひやっていただきたいと思います。
○蝋山部会長 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 今の点、私も整理し切れているわけではないんですけれども、やっぱり保険とか年金とかが2枚目の表には入らないというふうに言われると、何となくまた気になりまして、ある意味では、今の分別かどうかというところがメルクマールになり得るかなとも思うんですけれども、要するに「どんぶり勘定」とおっしゃいましたけれども、逆に言うと「どんぶり勘定」というのは、それこそその会社なり、あるいは銀行なり、郵便貯金なりの全存在をかけて守るということになるわけですね。
 そういうことで、例えば郵便貯金であれば、それ全体にガバナンスがいろいろな意味で民主的統制も含めてかかるということであれば、CISスキームということでの特殊な規制はしなくてもいいのかもわかりませんけれども、保険であるとか年金について、もう少し裁量性の強い、あるいは投資信託に近いようなスキームというのは十分あり得るわけで、そこの区別が問題だということになるんですけれども、何か自明に1枚目と言われると若干気になるので、留保だけさせておいてもらいます。今結論があるわけではありませんので。
○蝋山部会長 岩村さん、どうぞ。
○岩村委員 今の話の中で少し気になるんですが、余り青臭い議論をしたくないんですけど、例えば全部の資金がボンドの形で調達されているときと、ある投資スキームがあって、投資家から集めるときに、集めるのが「全部確定利付きだよ」と言って集めている投資スキームと、全部の資金を「これは株式だよ」と言って集めている投資スキームも、極端なこの二つのケースを考えれば、例えば株なのか社債なのかと区別する理由ってないわけですね。当然のことながら、全ての運用のリターンはそちらに移転してしまいますから。どうも、やはり資本という言葉に余り惑わされた議論は私は賛成できないんです。自己資本であるかないかとか、あるいは全力をかけて守るとか、資本が守るというような考え方でないところに答えを求めないと、これは混戦になると思います。
 この議論は資本というものを軸に、資本があるかないか、自己資金が入っているかどうかとか、あるいは自己資本比率規制が適合しているかどうかということに注目してこの議論をすると、結局は、いわばこのスキームのガバナンスの議論をしなければいけなくなる。これは議論の進行のために申し上げている感じなんですけれども、ここで整理されていた整理のプリンシプルは、むしろそういう議論を迂回して、金融商品の形に注目して、これは金融商品だというふうに切り出して、ともかくルールが作れないかというところにあるのではないでしょうか。
○神田委員 そんなに違ったことではないんですけれども、クーさんの御発言の延長で言いますと、岩村さんがおっしゃったように、今、あるスキームを考えるときに、分別スキームで考える場合、投資家から入ってきたお金だけをもって運用し、その成果を投資家に送るということであれば、社債の形で調達しようが、株式の形で調達しようが、ない場合はもうないんですね、投資家には。非常に極端に言うと。ただ、分別でない場合には、それが仮に投資家に約束した確定利付きの場合には、足らなくなった場合には、誰かが固有財産で保証していれば固有財産からてん補しなければいけない。現在の銀行とか保険会社というのはそういうスキームでできているんですね。それで、ロジックは、そこは岩村さんがおっしゃるとおり逆で、自己資本でどうこうしますという話ではなくて、そういう銀行とか保険会社に対する健全性の規制というのがどう歴史的に発展してきたかというと、従来は、危ないことをやってはいけません、競争してはいけませんということをやってきたものが、だんだん自己資本ということを言うようになった。そうだとすると、分別して運用されてないスキームの場合については、言ってみれば確定利付きのものについては、約束はしているけど、金がないとどうなるんだという、その業者の破綻問題を議論せざるを得ないようなロジックになっているというだけのことであって、良い悪いは別としまして。したがって、まさにおっしゃるように、自己資本がどうかというのはロジカルには先行すべき議論じゃないと私も思います。むしろ分別。投資家から集めたお金だけで運用されているかどうか。そのときのルールが何かというのが集団投資スキームのルールで、そういう意味で、私はクーさんがおっしゃっていることで、むしろ自己資本というのはそういう意味で岩村さんのおっしゃっていることと同じなんですけれども、後からついてきている話だと思います。
○蝋山部会長 しからば、先ほどのホールセール・リーテイル等の場合に境界が問題であるように、集団投資スキームと伝統的なそういう非分別的な、悪い言葉を使えば「どんぶり勘定」の運用を行う金融機関とのいわば境目というのは無限にあるわけですね。そこがおもしろいところかもしれません。
 神田さん、時間は。
○神田委員 もうそろそろです。
○蝋山部会長 はい。
 関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 神田先生のお時間があるので、ごく簡単にしますが、神田先生に。
 今の2枚目、1枚目と言っているこの表ですけれども、特に2枚目の方の投資スキームの方で、投資勧誘のルールと、組成に関するいろいろなルールというのが両方並んでいますね。勧誘のルールについては、国内の勧誘ですから国内でいいわけですが、組成の方のルールというのは、必ずしも国内ではなくて外で組成されるというものが現実にもあるわけですね。外の組成のいろいろなルールというのは、どういうふうに考えていったらいいのか。つまり外の組成の中身がディスクロージャーできちんとあればどんなことをやってもいいのかと、そのあたりはどういう御議論になっているんでしょうか。
○神田委員 正直言って、詰めて議論をしておりませんけど、私個人は意見は幾らでもあるんですけれども、私の考え方は、外のものはどうしようもないという面が、限界があると思うんです。これはこの分野に限った話ではなくて、クロスボーダーで提供されるようないろいろな金融取引について当てはまることだと思うんですけれども、例えば株式とか社債という形で入ってくるものでも、その株式や社債を生み出している主体は何だか全然わからないと。事業会社であっても、その事業会社がどういうことをやっているのかがわからないというような話は幾らでもあると思うんです。
 基本的な考え方は、それはクロスボーダー一般の話ですけれども、どういうふうに言ったらいいのでしょうか。よく使っている英語で言いますと「ミニマム・ハーモナイゼーション」ということと「ミューチュアル・レコグニション」という言い方をよくしますけれども、それはやはりその仕組みなら仕組みの組成についてのルールが、ミニマムにおいては諸外国でハーモナイズされていることを、調整されていることを目指す。そういう意味で、何のルールも置いてないようなところで組成されたものというのは困るということであり、ミューチュアル・レコグニションというのは、ミニマムにおいて調整されているようなところで組成されたものについては認めていくけれども、それはお互いに認めていくというような考え方で運用されることになるのではないかと、私は今のところそういうふうに感じていますけど、ただ、ワーキンググループでは、そういうところはまだ余り詰めて議論はしておりません。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 それでは、それもまたホールセール・リーテイル、あるいは全般的に我々の方でも対応できるところでやりたいと思います。
○岩村委員 すみません。
○蝋山部会長 短く。
○岩村委員 言われると思いました。
 Eトレードの話なんですが、大変重大な点に来ていると思うんですけど、要するに、脇に置いておいてという話にできるわけではないですね。そうすると、Eトレードというのは、この今まで続けていた金融商品の分類、あるいはホールセール・リーテイルの主体概念というものの中にEトレードを包含するのか、Eトレードは別のルールだよと言って外に作るのか。私は、外に作るというのが案外合理的なんじゃないかという感覚も少し持っているんです。ただ、その場合、むしろ今度は取引の手法とかスタイルに注目したルール作りになってきますから、売られているのが金融商品なのかどうかということが余り重要な要素にならなくなってくる可能性があると思うんです。
 例えば、わかっている人に売っているかとか、錯覚を起こしたときにはいわゆるクーリングオフができるかどうかとか、あるいは確認を、コンファメーションのメールなりレターなりを送ってネグリジェンスを考えるかどうかとか、そういうような話をし始めると、ほかの世界との関連が出てまいります。
 それから、この「たたき台」の中に書いてある細かい点ですけれども、私の感じでは大変重要な点が抜けているような気がします。それは一つは、今、インターネットというのはまだ誰でもがさわるものではないですね。インターネットを扱って、そこでフィナンシャル・トランザクションを試みようとする人は、そういうような人ですね。そういうような人というのは言い方が変ですが、要するに、ある程度教育レベルがあり、物をいじることが好き、新しいものが好き。それから、もう一つは、大人です。子供のインターネットというのは、今の通信料金では余り考えられないです。だけど、通信料金体系が大きく変われば、いつもインターネットの接続が可能な状態になっているということは当然あります。
 そうすると、事実関係がどうであろうとも、例えば最初の画面をお父さんが開いてしまって、ちょっと立ったすきに子供がリターンを押しちゃったということというのは、外からは判別できない。しかし、外から判別できない以上、本当にそうであったかどうかは別にして、後でそうだったと言い張る利用者というのも出てくるだろうと。そこまで考えて法律論を整理しなければいけない。それはEトレード全部に合致する話で、あるいは一定の金額以上のEトレードはこういうふうにというようなルールにせざるを得ないのかもしれません。そういう意味で、Eトレードの世界をこの世界から別の括りで持っていくのか、頑張ってこの世界の中に留めて包含してしまおうとするのかというのが、これからの考え方の作り方として議論を整理しなければいけない。括り出してしまった方がいいのかもしれませんが、考える必要がある点だと思います。
○蝋山部会長 問題提起として、それは受け止めさせていただきます。
 上柳さん。
○上柳委員 今の岩村先生の話を聞いておもしろいなと思った点は、私はむしろEトレードは、今の通信料金体系が変わらないと、むしろ導入すべきでないというような立論もあるかなというように思ったんです。というのは、先ほどクーさんの方から、インターネットではダイアログを工夫することによって本人の意向を確認していけるというふうにおっしゃったんですけれども、私が例えばインターネット上で電車のチケットを買ったりするようなときは、途中の警告のところは飛ばして、とにかく電話代がもったいないからどんどん進んで買っちゃうというような、電車の切符ならいいような気がするんですが、そういうふうに証券なり、あるいは金融商品がなるとすると、やっぱりちょっと問題があるなと思って、そういう意味でインターネット取引は気をつけなければいけないのじゃないかなと思ったんです。
 そうすると、市内料金を今のようではなくてフラットにすべきだということにつながるんですけど、今度、フラットにしてしまうと、皆さんが今までみたいな「そのような人たち」だけではなくて、そのような雰囲気でない人たちも皆さんさわるとなると、ますます大変だなということになるのかなと思ったんです。
 私は、むしろインターネットで言うと、技術的ないろいろな工夫ができるので、それ以外の通常の例えば説明義務の履行なんかについても、技術的な工夫でかなりコストを低くできるのではないかというふうに、テクノロジーの方の進展があるんじゃないかなというふうに思っているんですが、ですから、やっぱり基本的には勧誘でなくてプロモーションということになるのかもわかりませんけれども、金融取引をするときの基本ルールがきっちり決まっていれば、その応用系ではないかなというふうに期待はしているんですけれども、ちょっと違うかもわかりません。
○蝋山部会長 柳川さん、どうぞ。
○柳川委員 今、岩村先生、上柳先生がおっしゃったこととかなり関連するんですけれども、先ほどクーさんが、クリックして、それでオーケーになってしまうという話をしましたけれども、恐らく今の日本の現状とか日本の法制度からすれば、クリックしてオーケーとしてしまっていいのかどうかというところが明確でないというところに大きな問題といいますか、とりあえず考えるべきところがあるんだと思うんです。果たしてクリックしたことで、例えば自分はよく知っているということが立証されて、裁判の段階で業者側が免責になるのかどうかというところがまだはっきりしない。そうすると、業者の側としては、そういう取引は非常に躊躇せざるを得ないという現状があって、先ほど神田先生から出ましたけれども、とりあえずこの金融サービス法関係のルールにおいて大事なことは、まずそこの線引きをどうするのかを明確にして、どういう行為をしたらプロであったという立証になるのかというところをきちっとしなければいけないという問題意識が大事なんだろうと思います。
 その観点から、私はワーキンググループに出ていたので多少は議論に参加しているんですけれども、そういう意味において、ワーキンググループとしてはどういう線引きをしたらいいのか、そのためのルールはどういうふうなことがいいのかというのを議論してきたと思います。
 確かにインターネットにおいては、では、その線引きにおいてどういうルールが必要かというのは、普通の対面取引とは違う追加的な考慮の要因があるかもしれませんが、それは岩村先生がおっしゃったような何らかの追加的なルールが必要かもしれませんが、とりあえず、まずその前段階の段階で、どういうことをしたらお互い合意をしていたとみなされるのかという部分がまだ明確になってないような気がいたします。
 それに関連して言うと、やはり今ずっと出てきましたように、相手がどういう知識のある主体なのかということがインターネットだとわかりませんし、対面取引でもますますわからなくなっていて、相手が本当にプロなのか、本当にアマなのかということがわからないという部分があって、やはり自己申告ということが出ましたけれども、自己申告のルールをある程度使わざるを得ないということは出てくるんだと思います。そういうことで、この「たたき台」のところでも、本人の「選択」とか「転換」という言葉が使われておりますように、本人しかどのくらい知識を持っているかわかりませんので、本人の意思をかなり重視したメカニズムを作るというふうな議論だったように思います。その辺のところをぜひ、それでいいのかどうか、もうちょっと突っ込んだ議論をしていただければというふうに思います。
○蝋山部会長 原さん、どうぞ。恐らく関連したことだろうと思いますが。
○原委員 神田先生が席を立たれたので、一応神田先生と御一緒にFISCで去年1年間、このインターネットという電子取引をやっておりまして、今いろいろと出たような議論というのも結構詰めておりまして、神田先生が要約なさったように、勧誘の概念というもの、「勧誘と広告」というところを「プロモーション」というふうに言うという話ですとか、それから、プロとアマというところをある程度自己申告という点が、1年間かけて徐々にコンセンサスがとれてきた点なんですが、ただ、自己申告の部分も、上柳先生が御心配なさったように、ともかく電話代とかそういう通信代を安くしようと思うと、どんどんと飛ばしてやってしまって、果たしてそれでオーケーかというところがあるというふうに話されて、それで、神田先生は2点しか挙げられなかったんですが、私自身が非常に気にしていますのは、インターネットでの取引というのの閉鎖性というのでしょうか。透明性があるようでない。誰でもがその取引に参加ができるので、誰にでもオープンにその条件というのは公開されているように見えますけれども、実際の取引自体は、その当事者と自分ということになってしまうので、そういった透明性だとかチェック機能が働かないというのでしょうか。その辺をどうするのかというのが、また3点目の大きなポイントではないかなというふうに思っております。
 ただ、去年1年かけて議論をしたものを、また今年積み重ねて、またもう1年かけて議論をするということになっています。考え方としては、一応非電子の取引というのを原則に立てて、それにプラスどういうことを考えていったらいいのかということで、括り出すという形ではなくて、非電子にプラス何を考えていったらいいのかというような形での議論の展開に今なっております。補足的ですけれども。
○蝋山部会長 どうぞ。
○岩村委員 ですから、私が言いたいのは、今、原先生がおっしゃったような考え方が本当にいいのかということです。非電子の金融取引を下敷きにして、それが電子に変わったときに、電子に変わった部分で必要なところを補正するというアプローチがいいのか。いわゆる「Eトレード」という言葉が非常に象徴的な「トレード」なんですね。Eトレードということに注目して、ほかのトランザクション、金融以外の取引をするときと共通のルールを作った方がルールとして処理しやすい。これは私はプラグマティズムの問題だと思うんですが、実際にインターネットの画面の上でどういうことが行われるだろうかと考えたら、そこの部分というのは、時に私たちは、物に注目して、何が売られているかに注目して、つまりこの場合は金融商品が売られるということに注目して、それを電子的ネットワークですというときにも、必要な部分を補正したらいいじゃないかというふうに考えがちなのですが、実はクーさんは、それについては非常に本質的な問題提起をむしろしているんだと私は思います。そうすると、その考え方がいいのかどうかを、これはある程度割り切ってどちらかに決めないと話の処理というのは混乱するから、早く決めた方がいいと、こう言っています。
○原委員 30秒だけよろしいですか。
○蝋山部会長 どうぞ。
○原委員 神田先生がいらっしゃったら、ちょっと私も怒られると思いますので、きちんと話をしておかなきゃいけないと思うんですが、そういう議論をして、今、岩村委員がおっしゃったように、それが是か非かももちろん含めて議論をしているということで、これが正論で、それでやってみましょうということではないですね。そういうことが本当にできるのかどうか。だから、やっぱりおっしゃられたような形の方がいいのかもしれないという結論には、もちろんなる可能性も含めての議論をしております。ちょっと神田先生に怒られるといけませんので。
○蝋山部会長 関さん、何かありますか。
○関オブザーバー 今御議論になっているエレクトロニック・トレーディングについてどういう規制をかけるかという問題ですね。「Eトレード」というと、何か個別の会社の名前になるものですから、余りこういう場では使わない方がいいと思うんですが、エレクトロニック・トレーディングの問題についてどういう規制をしていくのがいいかというのは、実は国際的な規制当局の関心事項になっていて、IOSCOという組織でもいろいろな議論が行われて、報告書もある段階までまとまってきているということだと思うんです。そこもいろいろなことを言っていると思いますけれども、二つ原則がありまして、要するにエレクトロニック・トレーディングの手法というものは、これから積極的に伸ばすべきだと、それは前提で考えようというのが第1点なんです。
それから、第2点は、エレクトロニック・トレーディングの手法を使って取引をするときと、そうでない手法で取引をすることというのは、やはり同一に扱うべきだと、そういう考え方でいろいろ組み立てていこうという二つの原則として打ち出されているように思うんです。これは、もし今後の展開で事務局の方からその辺は説明していただければ、非常に役に立つのではないかなというふうに思うんです。
 それで、先ほどから、かなり前に室長も御説明になりましたけれども、私はやっぱり基本的に、証券取引法とかそういったことで、伝統的な取引についてのいろいろな規制の目的とか手法とか、そういうものがあるわけですから、それをできるだけ生かすという考え方でいくべきだと思うんです。それで、エレクトロニック・トレーディングは非常に伸びています。伸びていますけれども、アメリカでも今のところ個人投資家の取引の3割というようなのが大体の数字だと思うんです。今後もう少し伸びるかもしれませんが。ですから 100%それになるということはないわけでありまして、やはり伝統的な取引手法も引き続き残っているわけですから、そういうことを考えますと、二つは全然別なものだという発想をあえてとる必要はないように思うということがあります。
 それから、もう一つ、投資勧誘のところだけ今問題になっていますが、エレクトロニック・トレーディングの方の問題点は、実は、エレクトロニック・トレーディングの手法を悪用するやつが出てくるということなんです。特に詐欺的な行為というのがインターネット等を使って行われる。それをどうやって防止していくかということがものすごい大きな問題になっているということだと思うんです。そちらの方の考え方も必要ですし、それもまた伝統的な手法の取引についても、従来積み重なってきている考え方ですから、それを共通のものとして必要な修正を加えていくと。
 今私が申し上げたのは、いずれも証券規制の方の問題ですから、金融サービス法でいくと範囲広がりますけれども、あえてその辺を変えていく必要があるかなというのが私の意見です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 今後恐らくここでまた議論が行われると思いますが、問題をいろいろ提起していただいたという点で感謝申し上げたいと思います。
 ただ、我々としては、非エレクトロニック・トレーディングについてのルールさえはっきりちゃんとした形で持っていない。そういう現状から新しいフェイズに飛び込まざるを得ない。新旧ミックスした。そういう中で新しい部分、それが30%であるかどうかは別にして、そこだけを念頭に置くということもちょっと難しかろう。やはり伝統的な手法の中での少なくともルール。何も具体的な規制とか、縛るとかそういうことではないにしても、最低限必要なルールは何かということはしっかり持った上で、こういう新しいフェイズというものに入っていかなきゃいけないのではないか。そして、それは時間がかかるでしょう。そのフェイズに合った混合システムの中でのちゃんとしたルールというものを作るには、まだ紆余曲折はいろいろあって、下手にすればEトレードの世界に席巻されてしまって、慌ててルールを変えていくというようなこともシナリオとしては考えられるかもしれない。しかし、現状はそういうところであって、まず当面やらなくてはいけないことは、私としては、伝統的な取引における様々なルールというものを、ミニマムな形できちんとできるようなルールを少なくとも持っていなくてはいけないのじゃないかな、そんなふうに私は思って、今のエレクトロニック・トレーディングの問題も頭の中にもちろん全くないわけでありませんけれども、十分に頭の中に入れた上で、しかし、当面は、伝統的なところをきっちりルールとしては持ってみるという思考は絶対必要なんじゃないかというふうに私は思います。
 どうぞ。
○クー委員 エレクトロニック・トレーディングというと、そちらの方ばかりで、みんなパソコンの前でカチカチやっているイメージになってしまうわけですけれども、私が言いたかったのは、それプラス新聞広告という、一般の広告全てに関するものなんです。そういう場合は、先ほど3割という数字がありましたけれども、アメリカでそれを全部入れたら、恐らくそちらの方が大半になってしまうわけで、アメリカではセールスマンが一々物を売りに来ることはほとんどあり得ないわけですから、そういう世界がやがて日本でも来るんじゃないか。だから、パソコンの前でコンピュータの時間を心配する人ももちろんいるわけですけれども、これからどんどん新聞広告で、電話で保険を買っちゃうとか、そういう人が増えてくるという世界を想定して対応しなくてはいけないんじゃないかという気がします。
○蝋山部会長 まだまだ議論は尽きないかと思いますが、今日予定しているのは、もう一つ大きなテーマがありまして、前回からの引き続きの自由討議は一応ここで、しかし、非常に重要な問題提起をたくさん受けたということで感謝したいと思いますし、ワーキンググループにも関連するところはお伝えしたいと思います。
 引き続きまして、「ルールの実効性の確保」、「ルールの形成・運用」、「業者の適格性等に関するルール」といった点につきまして、前々回の第7回の「第一部会」に引き続いて議論を深めていただきたく思うわけであります。
 簡単に事務局から資料の説明をしていただきまして、御意見を頂戴したいというふうに思います。
○細溝債権等流動化室長 時間も迫っておりますので、ごく簡単に御説明したいと思います。
 手前の左手側の積んであります「第一部会9−1」「9−2」「9−3」が、今これから御議論していただこうかなというものに関する資料でございます。
 まず、「第一部会9−1」を取り出していただきたいんですが、「「ルールの実効性の確保」、「ルールの形成・運用」、「業者の適格性等に関するルール」について(論点メモ)」と書いてございますが、これは実は第7回の部会でお配りした「7−5」と全く同じものでございます。あのとき非常に早口でさっと御説明したかと思いますので、今日もこれは御説明は省略させていただきたいと思います。
 それから、「第一部会9−2」で、ちょっと細かいものですが、「「第一部会」における各委員の「エンフォースメント」に関する主な発言」というものも取りまとめさせていただきました。実は第4回に、日弁連の流れ懇に対する意見書の御紹介がございました。そういうことで第4回にも議論しているものですから、ちょっと思い起こす意味で、今までの主な御発言というのを整理させていただきました。
 まず、1.でございますが、「基本的な考え方」としては、流れ懇では「事後チェック型行政への移行」ということが非常に強く出ている。ルールの実効性というのは、現状を考えると十分に確保できないのではないか。ひいては投資者保護が十分に図れないおそれが極めて大きい。したがって、司法、行政といった公的主体による関与というのは、流れ懇の「論点整理」で考えている以上にもう少し積極的でもいいのではないかといった御議論。
 それから、新しい商品については、最もよく知っているのは売り手なのであって、売り手自らがルールを形成する、ないしコンプライアンス体制を充実するということがキーポイントなのではないかといった御意見。
 それから、各論に入って、「是正・救済の手段・体制」で、民事で、例えば「裁判手続き」の中では、最初の▼で立証負担の問題というのが御指摘にありましたし、2番目に、証拠の確保というのも問題点として御指摘いただいています。それから、取締法規違反の場合の民事的効果。いわゆる私どもの整理の言葉で言えば、業者ルールの取引ルールへの推定効。民事効は「一定の推定効」と言っているものですが、それも御指摘されていますし、例えば裁判で言えば「クラスアクション制度の導入」とかといった御議論もございました。
 それから、次に、2ページ目に移っていただきまして、「裁判外紛争処理制度」というものでも、全てのトラブルが訴訟という厳正な形での解決になじむわけではない。裁判外紛争処理制度は重要だ。オンブズマン制度の導入等が必要なのではないかといった御意見。
 それから、「その他の民事手段」としては、懲罰賠償制度というのもあるのではないか。
 それから、「刑事罰」では、例えば業者のコンプライアンス体制が充実している場合には、刑罰が若干減刑されるということも参考になるのじゃないか。
 「行政による監視・処分」も、苦情処理について業態横断的な窓口を公的に設けてはどうかといった御議論。
 それから、「自主規制機関」というものの御議論の中で、自主規制というよりも、「業者・消費者・行政」三者の共同規制といった形のルール作りはできないものか。
 それから、「自主規制機関」という言葉ですが、それは規制ルールの提案委員会のようなものに位置づけることもできるのではないか。
 それから、イギリスでは、自主規制団体に届出をしてない業者による不招請勧誘を禁止するといった形で悪質業者を排除しているといった御紹介。
 それから、次に、3ページ目ですが、「その他」ということで、エンフォースメントに関しては、法務省をはじめとする他省庁との意見調整が要るのではないかといったような御議論がございました。
 4ページ目以降は、日弁連の意見書の中から、「ルールの実効性の確保(エンフォースメント)について」というものと、それから、11ページ以降に「「ルールの形成・運用」について」という、この二つの項目について意見書の抜粋を付けさせていただいております。
 それから、「第一部会9−3」は全くの参考資料でございまして、日・米・英における比較でありますとか、他国の制度を御参考までにお付け申し上げているというところでございます。
 以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 この三つの問題は、これは何遍目ですか。ややばらばらと取り上げられている感がしないでもありませんけれども、いずれも重要な問題であります。今これまでの議論を「9−2」の資料で主な発言というものをまとめていただきましたけれども、大変良くまとまっているというふうに思いますが、こういうものを素材にして御意見なり御注文を頂戴したいというふうに思います。
 原さん、どうぞ。
○原委員 質問と、それからちょっとわからない点で、もう少し補足的に御説明をいただきたいところなんですが、よくオンブズマンの話はイギリスの紹介をされるときに出てくるんですけれども、これは消費者問題の中でも、スウェーデンなんかは消費者問題オンブズマンというのは20年も前からやっているんですが、日本にはどういうふうな仕組みでやれば定着するのかなというふうな気もいたしておりまして、ここについて可能性も含めてどんな議論がされたのかということ。
 それから、下の自主規制機関なんですが、これは多分、各既存の業界それぞれお持ちだとは思うんですが、ここはそれを変えて、事業者だけではなくて、消費者とか行政も含めた形での機関にしたいというふうに書かれているんですが、そういう構成はわかるんですけれども、ここで何をするのかというところで、「規制・ルールの提案委員会」というふうになっているんですが、これは事前的な形での自主規制機関という形を考えていらっしゃるのか、事後のフォローも含めたようなものも取り上げるというふうなことでお考えになられたのか。この自主規制機関についてどんな議論があったのかを、もうちょっと聞かせていただきたいと思います。
 それから、これは質問で大変申し訳ないんですが、私がちょっと知らなかったというか、こういうことだったのかというふうに思うんですが、イギリスの紹介のときに不招請勧誘の話がよく出るんですが、これは、これを読みます限り、自主規制団体に届出をしているところについては、イギリスも一応不招請勧誘というのは「してもいい」というふうにこれを読み取れるんですが、それで正解でしょうかということ。その3点をお願いします。
○細溝債権等流動化室長 実は、オンブズマンとか自主規制機関とかいうのは、ワーキンググループでもそんなに突っ込んだ議論がされている分野ではございません。ホールセール・リーテイルのワーキンググループでも若干触れられ、なおかつ第一部会でも触れられておる。むしろ部会の方がまだ議論はされているような状況でございます。それで、オンブズマンについてもそういったものがあるではないかという御紹介なり、そういったものを作ったらいいじゃないかという御意見があったという感じかなというふうに思っております。
 それから、自主規制機関については、事前的なものか事後的なものかと、こういう話ですが、頭の整理としては、事前にルールを作るのが自主規制機関であり、事後にやるのは裁判外の簡易な紛争処理機関。ぽっと分ければそういうふうな分け方になる。それが一緒であってもいい。もちろん一緒であってもいいし、ルールを作ってからもどんどん変えていくという意味においては、状況を見ながらルールの変遷は自主規制でやってもいいと、こういった意味では、やや継続的なものになっているのではないかと思っています。
 それから、3番目に、不招請の勧誘ですが、これはイギリスでも不招請の勧誘は全く絶対だめと言っているのではなくて、これこれこういった場合には不招請の勧誘もしていいと。要するに「原則禁止、例外やっていい」という体系になっておるので、全く全部禁止というわけではないんです。だから、その場合の一つの要件として「自主規制団体に入っていること」というのがあるというふうに、例外が適用されるのに自主規制団体に入っていることというようなことがあるという意味でございます。
○蝋山部会長 細溝さんが紹介された「9−2」の資料は、いろいろな発言をまとめているものでありまして、どこかがちゃんとこういうふうにしろと言っているということではありません。ですから、コラムを変えると、全然インコンシステントです。整合的でありません。ですから、原委員は自主規制機関についてどうお考えかということを、ぜひ私どももお聞きしたい。オンブズマンというのは、いろいろなところでオンブズマン、オンブズマンと言うけど、猿真似はあかんというふうにお考えかどうか伺いたい。そういうことなんです。そういう意味で、皆さんの御意見を、これはエンフォースメントその他の意見に関する問題は、この第一部会が主としてまとめていかなきゃいけませんので、「私はこう考える」という御意見をぜひ頂戴したいというふうに思います。いかがでございましょうか。
 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 そのエンフォースメントの関係では、やっぱり裁判手続が利用しやすくなるようにというのは私は基本だと考えていまして、その関係で、やはり証拠の開示の工夫ではないかというふうに思っているんです。それはそれとして、ただ、できれば今度の金融サービス法を作る機会に、統一的な裁判外紛争処理機関というのか、苦情の窓口は最低限統一化されるべきだと思いますけど、それに加えて、金融あるいはCISに関する問題は、裁判所に行くか、統一的な裁判外紛争処理機関に行けばいいというふうに一挙になればいいなというのは大変大きな希望であります。
○蝋山部会長 そうすると、業界横断的な苦情受付機関プラス、それと統合された形で裁判外調停機能を持たせると、こういうことを御提案すると考えてよろしいのですね。
○上柳委員 そういうことですね。それはぜひ業界だけではなくて、そういう意味では、行政の方も一部入り、消費者代表も入りというような形で、ボードというのか、オンブズマンではなくて、1人ではなくて、合議制のようなところが管理するような形がいいのではないかと思いますし、それから、さらに欲張りなことを言いますと、そういう形のところが事前チェックといいますか、例えば私の私見では、各金融業者さんがこれから内部でコンプライアンスのいろいろな体制を作っておられると思いますけれども、そこについても、干渉すると言うと問題があるんですが、各社でコンプライアンスをどういうふうにやっておられるのか、そこにも助言ができる、あるいは一部やりとりができるような、そういう体制がいいのではないか。
 というのは、裁判外紛争処理をやられる中でいろいろな問題点が浮かび上がってくるでしょうから、それを何らかの形で、すぐに法律にはならないかと思いますけれども、日常の商取引にフィードバックされるようになればいいなと。それは、そういう意味では業界の自主団体というよりも、繰り返しになりますけれども、第三者機関的なものが適当ではないかというふうに思います。
○蝋山部会長 そうすると、利用者からの苦情受付と、調停機能と、そして、ここでメモに書いてあるような規制・ルールの提案というようなものも含んで、すごい、すごい組織を作ろうというわけですか。
○上柳委員 そういうふうになりますと、まさにイギリスの新しい金融サービス法の下でFSAが同じようなことをすると、それこそ三権分立に反するのではないかとか、自分がルールを作って、最後の裁判処理までやってしまうというのはおかしいじゃないかというような議論があることも承知はしておりますけれども、そういう意味では、裁判外紛争処理に重点を置きながらも、ほかの事前のルール作りのところにも若干は意見の言えるような、そういう程度の機関というイメージです。
○蝋山部会長 そうですか。
 関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 紛争処理制度の問題については、現に制度としてはあるわけですから、それを前提にちょっと一、二申し上げたいわけですが、まず、証券業協会がやっております紛争処理機構は、確かに証券業協会は業界が作っている団体でございますけれども、紛争処理そのものをする人は、決して業者がやっているわけではないということは、ぜひはっきりさせておいていただきたいわけです。これは、そういう組織を作って、斡旋委員という制度を作って、専門の弁護士を雇って、その方にやっていただく、こういう制度になっているということでありまして、決して業者がそれをやっているということではありません。
 しかし、もし業界横断的に、今御提案があったように、全業界を挙げてそういう紛争処理制度を作るというようなことであれば、いや、証券は絶対証券業協会でやるんだと、こう頑張るつもりもございません。ただ、その場合は、やっぱり現実の問題として、組織を立派なものにすればするほどコストがかかります。コストをどうやって分担していくのかと。銀行、保険、証券、一体どういう分担をしていくのかという問題。それから、また、そういうものを国の制度として作る、金融サービス法として作るというのであれば、税金として運営するのかと、こういう問題もあります。
 それから、仮に作りましても、必ずそれを使いなさいということをどうやって義務付けるか、あるいはどの程度義務付けるかというのが問題になるわけですね。これは今日の資料がございますけれども、「9−3」という資料の6ページに、アメリカの証券仲裁制度というのが非常に要領良くまとめられているわけでありますが、私は前にもちょっと発言したような気もするわけですが、これの下の半分くらいのところにあります、2.というところですね。「紛争前仲裁条項」というのがありまして、アメリカはかなり早くから、口座開設時の顧客契約書には、「紛争が生じた場合には、裁判所における民事訴訟でなく証券SROまたはAAAの仲裁において解決することとする」と。要するに、必ず仲裁制度を利用しなさいということを顧客に義務付けると。この正当性が、さすがに法律の国でありまして、訴訟になって、その下に書いてありますが、「マクマホン事件」ということで、これはいいということが認められて、これが動いているわけです。日本で一体こういうことができるのかどうかという問題もあると思うんです。
 以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 原さん、どうぞ。
○原委員 私どもは、消費者としての意見を述べる前に、またここでオブザーバーの方から少し状況をお話をお聞きしたいと思うんです。
 2点あるんですが、一つは、苦情とか相談とかの扱いの現状なんですが、私どもが苦情とか相談ってどういうものがあるかというのを見るのは、一つは裁判というルートで公開されますからわかりまして、もう一つは、各地に消費者センターというのが 300何カ所あるんですが、ここに金融商品というものの被害というのでしょうか、相談が結構ここのところ上がってきていて、生命保険ですとか投資信託というのが出てきているんですが、原則民事不介入なので、余り中の詳しいところまで突っ込んだような形での解決をしているわけではないと。そうすると、ちょうどこの狭間にあるような相談とか苦情というのは、どういう受け皿でやっていらっしゃるのか。
 私どもは、保険会社の方々の消費者窓口とは結構おつき合いもあるんですけれども、銀行が、私の聞き違いでなければ、確か外部の方をお入れになっての相談業務というのは、協会としては今年の4月からではなかったかと思うんですが、それから、証券はちょっとよくわからないですよね。だから、そういった普段の相談とか苦情の扱いはどうやっていらっしゃるのか。
 それから、もう一つが自主規制機関なんですが、これについては、既存の業界というのでしょうか、ある業界でももちろん外部の方を入れて、弁護士も入れて、消費者団体も入れてやっていらっしゃるところがあるんですが、その方などのお話をお聞きすると、自分が担当してから一度も開かれてないと。その前の方は、8年間担当していたけれども、1回しか開かれなかったという話を聞きまして、一番問題なのは、どの案件をここにかけるのかというようなところを全部業界がやっていらっしゃるということなので、全く全体として何が来ているのかよくわからないというような話がありますので、既存のそういった相談・苦情の受け皿的なものと、それから、やっぱり同じく既存の自主規制機関を持っていらっしゃいますけれども、そこも恐らく第三者的という形で外部を入れていらっしゃる、そういう形にはとっていらっしゃるんですが、うまく機能していないように思うんです。だから、ここにある言葉どおりをとると、結局構成としては同じなんですよね。それがやっぱりうまく機能してないというふうに私には思えますので、現状をもう少しオブザーバーからもお聞きしたいと思います。
○蝋山部会長 利用者側からすると、いろいろな制度というものが、確かに制度はあるかもしれないけれども、うまく利用されてないのじゃないか、活用されてないのじゃないかという、まとめればそういうことではないかというふうに思いますが、今すぐにそれぞれの業界の方から御意見を頂戴するというのも余り意味がないと思いますので、一度何かの機会にまとまった形で、数字等もきちんと用意していただきましてお話をいただくということでいかがでございましょうか。委員の方々、そういう形で、実情、実際に関して、実際の苦情処理の活用のされ方ということについて、利用のされ方ということについて御報告を頂戴するということでお願いしてよろしいでしょうか。よろしゅうございますか。
 関さん、よろしゅうございますか。今まで関さんはいろいろな形で、「こういう制度がある」という御説明は頂戴したと思います。数字は白書でちゃんと出しているというふうに前にもおっしゃっていましたよね。
 保険協会の方もいかがでございましょうか。
○渡辺オブザーバー 概要だけでもよろしいですか。
○蝋山部会長 ええ。まあしかし、まとめて頂戴した方がよろしいかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。そのスケジュールは、また事務局等から。
 ほかに、エンフォースメント、あるいはこれからの実際のルールの形成・運用について、業者の適格性といったものについて。
 どうぞ。
○貝塚会長 SROの件でいいですか。
○蝋山部会長 どうぞ。
○貝塚会長 SROという自主規制機関、その地位というのは、必ずしも余り議論されてないで、私は昔のイギリスの例というのは、平たく言えば、要するにもともとのアクトがあって、法律があって、それをある部分授権を受けて規制をやっている。だから平たく言えば、ある部分は役所の代わりをやっているという部分があるんですね。
 日本で考えるときに、証券業協会はある部分そうですが、ほかの分野というのは、そういう形にはどの程度なっているのか。ですから、要するに自主規制機関なるものが一体日本でこれから金融サービス法を作るときに、実質的にどの程度の役割を果たして、権限はどういうもので、今までの役所との関係はどうなっているかですね。その辺のところは、ぜひ詰めておかないと、かなり重要なポイントで、実はそれは何を言っているかというと、わかりやすく言えば、要するに行政指導とか、そういう種類の今までの慣行は、今後とも明文に書かれた法律によってある程度処理していく。しかし、実際の処理は、実際問題として個別ケースの適用というのは非常に複雑であって、それをまた行政がやっている場合と同じことになるわけですから、そこらあたりのところを相当授権してやってやるというところは、かなり重要なポイントに実際問題としてなるんですね。その辺のあたりをぜひとも今後とも議論していただきたいというのが私の希望です。
○蝋山部会長 恐らく全銀協では、名前が変わって、同じ全銀協でも今度違ったわけですね。全国銀行協会になったわけですね。連合会ではなくなったわけです。組織替えをされたときに恐らくそういう議論を随分されたのではないかというふうに想像しますし、それぞれの事実上、デファクト自主規制機関的な団体というものを今後どんなふうにそれぞれお考えか。貝塚会長の問題提起はそういうところではないかというふうに思いますので、これは大蔵省なり何なりがいろいろ言うこと以上に、むしろその雰囲気を受けて、業界の方々がどういうふうなお考えを持っているのかということを伺うことが一番いいのではないかと思いますので、会長からの御質問を受けた形で、2番目の宿題として、そういう点もオブザーバーの方からお伺いしたいというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。「いや、それはちゃんとタッチーなので、ちょっとこういうところでは」というふうに言われるかもしれませんが、それも一つのお答えではないかというふうに思います。
 柳川さん、どうぞ。
○柳川委員 関連しているんだと思うんですけれども、私もこういうルールの設定に当たっては、やはり専門知識が必要となりますので、既存の業者の知識とか情報を利用しなければいけないというのはそのとおりだと思うんですけれども、金融ビッグバンで、これから自由化・競争化がますます進んできたときに、既存の業界団体と、この自主規制団体とをどういうふうに関連付けていくのか。例えば具体的に言いますと、異業種からの参入があって、金融の既存の業者団体に入らないんだけれども、金融はやっているというようなことが出てきたときに、どういうふうな形でやっていくのか。これは先ほどの会長の議論ともかなり関係する話だと思うんですけれども、その辺のところをぜひ、業界団体の方にお話しいただくのか、ここで議論すべきことなのかちょっとわかりませんけれども、少し考えたいと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございます。そういう問題もあるでしょうね。
 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 今の点に関連して、ひょっとすると大変失礼な言い方なのかもわかりませんけれども、一面では、これまたひがんだ言い方をしますと、自主規制機関ということで業界の方々だけで集まられると、何となく不安だという感じが一つにあるというか、業者に都合のいいような、あるいは業界に都合のいいようなルールにされるのではないかというような懸念があるということもさることながら、これからなかなか、個々の会社の方がいろいろな商品を出そうとするし、一方で金融サービス法の勧誘規制を守らなきゃいけないし、中でコンプライアンスも作らなければいけないというようなことで、業界としてまたそこで何かルールを考えていくということについて、余裕がどこまでおありになるのだろうかという気もしたりするんですが、ですから、そういう意味では、極論を言いますと、自主規制機関というのはもう期待しないというか、そんなのは作らなくていいということで、先ほどの話に戻るんですけれども、誰がお金を出すのかという問題はあるんですけれども、第三者機関ということにしかならないのではないかと、これは偏見かもしれませんが。
○蝋山部会長 今の上柳さんの御意見は、一つの試行実験として、業界ごとの自主規制団体というのはとても無理だろうと。むしろ、ある種全体をカバーする横断的な自主規制組織というものが必要になってくるのではないか。そこにある種の会長が言われたような法的なバックグラウンド、裏付けを授権という形で与えて、そしてそこに専門家も、業界からも、あるいは利用者からも、第三者もこういうような構成というものが考えられる、こういうことですか。
○上柳委員 もう少し推し進めて言うと、そういうのはもう自主規制機関ではなくて、むしろ何というか、ジョイントベンチャーなのか、第三セクターなのか知りませんけれども、余り個々の業者さんがお金を出し合って作るというイメージにとらわれない方がいいのではないか。でも、そこからしかお金は出ないのかもしれませんけれども。どう表現をすればいいんですか、そんな感じです。
○貝塚会長 今の点は、弁護士連合会の意見書にある程度書いてある点ですね。それをもっと先に進めたような趣旨の話もあります。
○蝋山部会長 高橋さん、どうぞ。
○高橋委員 先ほど原委員からの提案で、業界の現在の紛争処理の制度等についてのヒアリングということだったんですが、実はホールセール・リーテイルのワーキングの方で、証券業及び銀行についてはオブザーバーの方から一応レクチャーは受けているのですね。それで、一つはそれが進んではいるのです。それから、私がレポートを出すときに、全国銀行協会も含めて一応聞き取り調査はさせていただいたんですけれども、そこで出てきた問題を踏まえますと、その問題を、「現状がこうです」ということより、その現状に対して何が問題なのか。お金の問題なのか、何なのかという、その問題点をぜひ持って参加していただきたいというのが一つのお願いでございます。
○蝋山部会長 それはレポートを聞く側ですか。聞く側は持っていると思いますが……。
○高橋委員 ええ、発表するオブザーバーの側の方に、「現状こうです」だけではなくて、現状の問題点というのをぜひ明らかにしていただきたいと。というのは、聞き取り調査を私的にやっていますと、やはりお金の問題とか法的な位置づけをきちんとしてくれないとこれ以上のことはできないんですよとか、そういったことがあったものですから、そういうことを公式の場でお話しいただけた方が、一歩進めるのではないかということが一つの提案でございます。
 それから、もう一点、私は上柳委員がおっしゃるような組織になることが最終的には望ましいというふうに思っているんですが、現状との乖離がかなりありますので、そこに行く道筋というのが大変難しいと思っています。今日、事務局の方で出していただきました資料の「第一部会9−3」の3ページ目にイギリスのサービス・マーケット法案の概要というのが書いてあるんですけれども、ここが多分、我々が今後議論してたどるであろうことが先取りして起こっているわけなので、なぜ任意参加の自主規制がだめで統合していくのかと。その辺で、イギリスの実態についても当局の方でぜひ御説明をいただいて、問題点を明らかにすることで前に進めないものかということでお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○蝋山部会長 二つの高橋さんからの御注文は、まさに理想的にはそのとおりでありますが、できるだけその理想を実現できるような形でお願いしたいと思いますし、また、事務局にもその宿題をよろしくお願いしたいと思います。
 今のことに関連してですね。どうぞ。
○関オブザーバー いろいろな御説明が要れば、幾らでもやります。どうぞお時間さえいただけば、それに合わせてやりますが……。
○蝋山部会長 それと同時に、業界としてどういうところが問題なんですか。
○関オブザーバー ですから、私は先ほどの発言も、どこに問題があるかというのを随分踏まえて発言しているつもりなんですけれども、ぜひそこはお酌み取りいただきたいと思いますけれども、現状だけを弁護しているつもりで発言しているわけじゃないんです、私は。
 それで、私が今発言したいことは、ちょっとこれは蝋山先生にも御確認いただきたいわけですけれども、ついこの前、市場改革で、証券取引審議会等で議論をいたして、そこでどういう結論が出たかと。そうすると、自主規制機能というものは、これから大いに使っていくんだと、こういう御議論だったはずなんですね。これはいろいろなところに文章が出ているわけです。それで、あそこも悪い、ここも悪い、こういうふうに自主規制機関は努力しろというのをたくさん宿題をいただいて、それを一生懸命取り組んでいると。十分でないかもしれませんが、そういう事態です。
 今度、金融サービス法ということで横断的にすると、途端に自主規制というものは非常に否定するんだと、こういう御議論になるんでしょうか、そこのところは。先ほどから聞いていますと、どうもそういうことでいいんじゃないかという御議論があるわけで、そこは、余りにも同じことを議論するにしても、方向が 180度か何か知りませんけれども、違う。
○蝋山部会長 方向性は全く変わってないと思います。
○関オブザーバー 変わってないんですか。そうですか。
○蝋山部会長 いかに自主規制機能というものを高めるか、そういう発想から組織の問題ですね。
○関オブザーバー ただ、今の皆さんの御発言を聞いていますと、イギリスは典型ですけど、イギリスは、SROというものを作って金融サービス法を作ったというのは、これはある時期自慢だったわけですね。それを専ら宣伝していたわけですが、労働党政権になったら、SROじゃだめだと。全部国の機関としてやっていくということで、SROの機能を全部まとめた。ついでにバンク・オブ・イングランドの権限も少しそこへ集めましたけれども、そういうことをやっているわけですから、要するに国によってそういう方式というのはあり得るんだと思います。
 ですから、日本において、それはもうSROを否定して全部国の機関でいこうということは、一つの考え方だと思いますけれども、一連の金融についての議論というものは連続して続いていると思いますので、余り方向をずらしちゃったら変なことにならないかと、こういうことであります。
○蝋山部会長 方向をずらす気はないと。少なくとも私にはありません。
 京藤さん、どうぞ。
○京藤委員 ルールの実効性の確保について、いろいろ御議論をお伺いしていたんですけれども、ルールの実効性の確保と言っても、金融サービス法というのはかなり自由に商品を構想するということなので、意味合いが場面によって違うのではないかと。例えば商品の組成に関するルールですね。受託者責任をどうするか、資産運用・管理をどうするかと。こういった問題というのをどうエンフォースするかという問題は、一つ問題としてあって、これは確かにそれが崩れると、全体の金融市場に対する不信を招きますから、何とかエンフォースしなくちゃいけないという問題がある。
 それから、もう一つ、個別の事案についてトラブルが起こった。それを苦情処理するという問題というのは、1個1個が仮に正しく処理されないとしても、それは全体に必ずしも影響を与えるわけではないですし、通常の消費者が金融商品を買ってトラブル引き起こしたといった場合には、非常に極端に言うと、本人が納得すれば統一した画一的な基準で解決される必要は必ずしもないかもしれないような気がするんです。その点で、やはりエンフォースメントの確保といっても、特に販売や勧誘で後者の場合は問題になると思うんですけれども、そういう問題というのは少し次元が違うような問題が含まれているのじゃないか。
 もう少し言うと、そういう場合というのは、私も何かの形で調停をする機関、裁判外で調停をする処理機構というのが、件数が増えてきますから必要だと思うんですけれども、専門知識を持っていて、それである程度妥当な判断基準が下せるような一定の資格などを設けてやるといったような形で解決していって、それぞれが1個1個の件数では本人が納得しているので、全部を通覧するとそんなに基準は一定した形で解決されてないかもしれないけれども、そういうものとして何か、まさに買い手の側の不信を招かないような制度が作られればそれでもいい問題で、ルールの実効性を確保するといった場合に、全体が崩れるような運用とか管理についてのエンフォースメントをどうするかという問題と、ちょっと分けて考えた方がいいのではないかという気がしました。
○蝋山部会長 今、神田さんがおられれば一番よかったんですが、私の方から余計なことは言わないようにしますけれども、この表で、「販売・勧誘」以外の列で、いろいろ各CISの候補商品のリスト、例から言えばいろいろルールが書いてある。それが具体的にどんなふうな形で実行されているのか、実効性が担保されているのか、こういうのは大変重要な、それが「販売・勧誘」について、一番左側の列についてそうなっているのとは、またちょっと違うのではないかと、こういう御指摘で、これは神田さんの方によく伝えていただきたいというふうに思います。
 ただ、一つ気になるのは、自動車なんかの場合、例えばリコールしますね。これはある種の苦情を予め発見するなり、苦情があってリコールする。それが商品企画などにフィードバックしていくわけですね。個別で解決すればいいじゃないかという京藤さんのお話だと、そういうフィードバックが切れちゃう。その辺のところも一つ私は問題だと思うんですけど。商品性を考えるときに、エンドユーザーとの対面なり非対面なりで出てきたいろいろな苦情というものが、商品組成とかそういうところに十分にフィードバックしているかどうか。その辺のところもインセンティブとの絡みで、やっぱりエンフォースする一番の力はインセンティブだと思うんですけど、活用されてないのじゃないかなというような印象を個人的には持っているんですが、その辺のところは余り書いてない。
 ほかに重要な御指摘。
 田中さん、ずっと腕組みして黙っているけど、締めくくりの発言をしていただいて、締めくくらせてください。ただし、破壊的でないやつ。
○田中委員 私、伺っていて思うのは、今日のここでの議論は、日本の投資家の意識に合わないんじゃないかと、出ている意見は。
○蝋山部会長 やっぱり破壊的だ。
○田中委員 どなたの意見とは言いませんけれども、多分、今日出た意見の多くは幾つかの前提があって、日本の投資家は、例えばトリプルB格以下の社債はもう持たないと。あるいは何か損をしたときに、一時ありましたように、例えば変額保険の場合、大蔵省銀行局銀行課の業務がほとんどその苦情処理にとられるという、その場合は銀行が管理していましたからね。ですから、銀行課の業務が妨げになるほどのそういう問題があったとか、あるいは現在の法律の中で、投資信託の運用者にプルーデント・マン・ルールが法制上入ってない。そのことによって、投資信託のパフォーマンスが極めて悪いといいますか、業界に対する不信感がある。そういうことを前提として今この議論がなされているように思うんですが、実態はどんどん変わってきているわけですね。
 確かにそういう投資家のリスク回避行動もありましたけれども、システミックリスクが終わったこの4月以降で見ると、トリプルB格以下の社債に対する買いも相当個人から入っています。それから、いろいろありますけれども、都銀がATMを通じて預金者が自由に日本円から外貨建ての預金に替えられるわけですね。ずっといろいろなリポートを見ていますと、円がかなり高くなったところで、やっぱりドル建ての預金は増えているし、かなり正確なそれぞれの見極めを持ちながら、ATMでもう預金の振替をやっておられるんですよね。それが実態ですから、問題は、ルール形成機能がどういう形で社会の中に定着するのかということだし、立法上それをどう支援できるかということだと思うんです。そうすると、立法上の支援ということならば、例えば投資信託の運用者にプルーデント・マン・ルールをもっと早くから入れるということがあれば、それを通じて司法上の、判例上の積み重ねがあって、今日出ているような議論はとうの昔に克服されているはずなんです。
 ですから、私は、今日出た幾つかの議論は随分初歩的なところで、投資家というのはすぐクレームを、損をすれば商品が悪いとか、そんなことはない。損をすることは必ずある。アメリカの今のようにデッドマーケット。要するに株が下がるよりは、証券化商品でリクイディティに問題が起きる局面というのはこれから出てくるわけですね。どうも連銀は引き締めるようですから。そのときにどれだけその証券化商品にロスが出るかは、設計上の欠陥じゃないわけです。マーケットの中である条件が起きれば、マーケットが消えるほど、リクイディティを満たせないほどの商品が出ることは初めからわかっていて、だから通常の場合には高い利回りが取れるわけで、商品の欠陥ではなくて、そういう状況になれば必ずそれを持っていた人は損をするんです。だけど、それは商品の欠陥ではない。マーケットがそれを生み出すわけですから。
 ですから、そのときに、これは商品の欠陥だなんて、日本ではすぐそういう話になりそうですけれども、そんなことはない。それはマーケットがそういう状況を生み出した場合にはそうなるんだということが判例上定着して、それがルールとして形成されれば、要するにそういう場合には投資家は損をするんだと。だけど一方で、そうでないときには多大の利益が得られる、利回りになるということが定着していることが本来だし、今、投資家はそれを相当程度こなし始めているのに、自主規制、いろんな何か仕組みを作れとか、誰が費用を負担するんだとか、それはちょっと違うなと。ルール形成機能って、この社会でそんなに弱いのか。投資家って、そんなことも負担できないほどの投資家なのかということなんです。
 私は、随分現実に既に起きていることと、今日議論されたこととの差は大きいと。だから、投資サービス法というのは、もう少し21世紀の初頭を実際に頭に置いてというか、展望した上で議論された方がいいんじゃないかという感じをしております。
○蝋山部会長 ありがとうございます。田中さんらしいコメントで、それに対する反論は、原さんあたりからはいろいろあるかと思いますが、今日のところは引き取らせていただきます。
 私は、部会長としては極めてアンビバレント、田中さんのように言いたいなという気はものすごく強くするんだけれども、やっぱりそうかなという、非常に二律背反的に悩むところであります。ということだけで、ちょっと引き取らせてもらいまして、どうも大変活発に御議論を、特に後半いただきまして、ありがとうございました。
 我々の部会としては、ワーキンググループでの検討、いろいろ宿題もお願いしましたが、今まさに田中さん言われたように、21世紀の金融の姿を我々なりに睨んで、今後の金融サービスの提供の在り方についての全体的な議論をきちんと踏まえて、次回以降、どれだけ今の田中さんのような基本的な認識が反映されるかどうか。また、そうでないという意見も認識も反映されるか、難しいところでありますが、ともかく作業に入りたいと思います。
 すなわち、どういう作業かというと、中間的な論点整理の取りまとめの議論に入らせていただきたいというふうに思います。そして、その材料が出てくるわけでありまして、その材料の中で、これはという形でいろいろ御注文や、こういう意見を盛り込んでほしい、いろいろそういう議論を具体的に進めさせていただきたいというふうに思います。
 それから、二つのワーキンググループ、まだ作業が継続中でありますが、前回の部会、今回のこの部会、いろいろ御意見を頂戴いたしました。そうした意見を踏まえながら、「議論のたたき台」というものをさらに検討をお願いいたしまして、ワーキンググループとしての取りまとめの作業をお願いしたいというふうに思います。こういう形で、我々のこの「第一部会」としては、中間的な論点整理の作業に入る。具体的に紙が出てくる。それから、それを補強する形で二つのワーキンググループのファイナルな御報告を作っていただくという、こういうことでこれから進めさせていただきたいというふうに思います。
 最終的には我々の部会のレポート、それがどういうタイトルになるか、どういう形式になるか、論点整理ということになるか、中間報告になるか、これはまた細かいところはまだ未定でありますけれども、ともかく我々の部会としての紙、それから、二つのワーキンググループから専門的にそれぞれの案件について掘り下げた紙、こういうものをお互いに整合性のとれた形で合体して、全体として取りまとめて貝塚さんの方に御提出すると、こういうふうにさせていただきたい。こういう作業に入らせていただきたいと思いますので、次回以降もよろしく御協力を頂戴したいというふうに思います。
 こういう方向で進めたいと思いますが、よろしゅうございますね。
 ありがとうございます。
 では、どうぞ、次回の日程を御紹介ください。
○細溝債権等流動化室長 次回は6月18日、来週の金曜日を予定しております。午前10時から12時まででございます。場所は、今回と同様、この合同庁舎四号館の第1特別会議室を予定しておりますので、よろしくお願いします。
 それから、お手元にあるホールセール・リーテイルと集団投資スキームの「議論のためのたたき台」でございますが、これにつきましては、部会終了後回収させていただきたいと思いますので、その場に置いて御退席いただければと思います。
 以上でございます。
○蝋山部会長 どうもいろいろありがとうございました。
 本日は、これをもって散会いたします。
                                (以 上)