金融審議会「第一部会」第13回会合議事録

 日時:平成11年9月22日(水)10時00分〜12時07分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室

○蝋山部会長 雨その他の理由で、ちょっとお集まりのスピードが遅いようでございますが、10時を少々回っておりますので、始めさせていただきたく思います。
ただいまから、第13回金融審議会「第一部会」を始めさせていただきます。
 足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今日は初めに、先般公表いたしました「中間整理(第一次)」に対しまして、8月末までに各方面からいただきましたパブリックコメントのとりまとめにつきまして御報告させていただきます。それから、二つ目は、第一部会、この部会の今後の運営についてお諮りすると、この二つのテーマで今日進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、「中間整理」へのパブリックコメント並びに新聞論調も含めまして、これも一種のパブリックコメントというふうに言ってもいいかと思いますので、その点につきまして、玉川調査室長から、とりまとめたものを御紹介していただきます。どうぞよろしくお願いします。
○玉川調査室長 それでは、8月の末まで募集しておりました金融審議会第一部会の「中間整理」に対するパブリックコメント及び新聞各社の論調につきまして、お手元の資料、部会資料13−1から3を用いながら紹介させていただきます。
 13−1には、パブリックコメントの概要を項目ごとに、比較的論点が分かれているということを示せるような形で、我々の方でピックアップしたものでございます。13−2 は、オリジナルの資料をなるべく忠実に、その項目ごとに振り分けて、提出者の名前を添えて並べさせていただきました。
そこで、これの説明といたしましては、両方を、右側にオリジナルを置いていただきながら、適宜まとめた方で御紹介させていただきたいと思います。
その前に、パブリックコメントは、全部で52通参りまして、その中で金融業者、業界団体から20通、消費者関連の団体から8通、労働組合の関係の団体から3通、それから、シンクタンク系から2通、その他の弁護団とか様々な団体から8通、そして、個人から11通寄せられました。
それで、ボリュームといたしましては、いわゆるホールセール・リーテイルグループの販売・勧誘ルール関係の方が、集団投資スキーム関係よりやはり一般受けしやすいということかもしれませんが、多かったのではないかと思います。
それで、まず、資料13−1の最初の部分でございますが、「今後の金融システムのあり方」という項目の中に、ちょうど公正性と効率性という一つのテーマがございましたが、これについては、抽象的な議論でございますが、効率性よりも公正性こそが重要であって、利用者保護を第一目的とすべきというふうな議論と、やはり利用者保護と効率性のバランスを図って、実務に配慮してほしいという二つの論調が見られております。
 それから、「今後の方向性」ということで、次の2ページに対応する部分につきましては、「中間整理」では、最終的には、既存の業態別法制という枠組みを基本的に見直す横断的な法制の視野という、この具体的イメージについて、どのような形で考えていらっしゃるかということだと思いますが、消費者団体の方とかを中心に、消費者トラブルを防ぐための金融消費者保護立法の早期制定が求められるとか、あと、包括的なというよりは、まず、販売・勧誘ルール等最小限必要な事項をとりまとめて、早く「第一次金融サービス法」的なものを立ち上げてほしいとか、あと、逆により大きく日本版ビッグバン仕上げのために、証券化市場を充実・構築するという視点に立って、金融サービス法を検討すべきであるということとか、また、逆にもう少しプラグマティックに、金融サービス法は、各業態別の業法の上位法ではなくて、金融サービスの機能に焦点を当てて既存のルールや、あるべきルールの明確化を図るという方向のものとすべきである。これは外国の損保協会からのコメントでございますが、そういうようなものがございました。
 それから、次の3ページあたりの「対象とする金融商品の範囲」ということにつきましては、金融商品の特性における例外は基本的に認めるべきではないという議論があり、特に明確に議論されてなかったかもしれませんが、金融先物等についても金融商品として対象に含めるべきだという意見が入っておりました。
 片方で、投資性の有無、社会的周知性という金融商品の特性に配慮して、伝統的な金融商品である預貯金や保険等については弾力的な取扱いをしてほしいというふうな要望が、これは銀行業界、生保・損保業界等からございました。
 それから、次が、「横断的な販売・勧誘ルールとプロとアマの区分のあり方」という部分でございますが、ここは比較的、このプロ・アマというところについてのコメントは多かったのでございますが、どこの部分でこのプロ・アマという概念を使うかということについて、必ずしも明確ではない部分が見受けられまして、抽象的なプロ・アマ論ということと、逆に説明義務に絞ったプロ・アマの区分と両方の視点が入っているような感じがございました。その中から代表的な意見を取り上げますと、実際の消費者像は、「自己責任意識を持って主体的にリスクを選択できる利用者像」からはほど遠いとか、アマからプロへの転換の勧誘が容易に行われることには問題がある。プロに転換したアマが、アマに戻る道を閉ざすべきではない。プロとアマの区分の基準は、営業の現場において容易かつ明確な判定を可能とするものにしてほしいと、そういうふうに意見が分かれておりました。
それから、「販売・勧誘ルールの位置づけ」のところに、一つ、融資についても、他の商品との組合せでリスクの高い商品が登場することは十分予想されるので、融資に関する販売・勧誘ルールというものも同様に議論すべきだということで、融資に特化した議論がございました。
 それから、6ページ、7ページのあたりの説明義務のところでございますが、この辺が大きな関心を集めたところではないかと思いますが、説明義務については、この定め方とか、それから、どんなものが説明義務に入るのだろうかというところについて違った見方が提示されておりまして、各商品ごとに必要な情報提供の項目や様式を細かく定めてほしいというふうな感じの意見と、重要事項の項目は明確化されるべきだが、細目まで法令で定めるべきではないという意見。それから、商品の基本的な仕組み等も、リスクを理解するために必要な説明事項であるという意見と、商品の基本的な仕組みとかについての詳しい説明は、リスクの内容とか程度との関連が希薄であるので、重要事項に含めるべきではないというふうな意見がございました。
 それから、一つの論点である利用者の納得、理解というものが必要になるかということについては、利用者の理解、納得まで踏み込んだ十分な説明を義務づけるべきであるという意見と、反対に、理解や納得という主観的事実を確認することは困難であり、確認書によってリスクは移転することを認めてほしいというような意見がございました。
 それから、「説明義務違反の民事上の効果」ということにつきまして、損害賠償責任が発生することをルールとして明確化することについては、比較的多くの賛同があったのではないかと思いますが、それだけではなく、ルール違反が私法的効果を持たなければ、当然のこと利用者救済にならなくて、損害賠償責任に加えて、契約の取消・無効・解除といった効果を認めてほしいということと、やはり金融取引の場合には、場合にもよるが、損害賠償責任でいいのではないかという議論。それから、今現在の判例をより一歩進めて、立証責任の問題とかについての規定をはっきりさせてほしい。それから、反対側に、業者が萎縮せずに取引できるように、説明義務違反の要件、効果を明確に規定する必要があるというふうな意見等がございました。
 9ページにあります「適合性原則」につきましては、これには狭義の適合性原則と広義の適合性原則があるという整理でございましたが、狭義の適合性原則、一定の取引を特定の利用者に対しては、老人とかに制限するということについては、これはやはり原則こういうことは禁止すべきだという意見と、私的自治の関係からいって、こういうことは適当ではないという、両方の意見がございました。
 広義の業者が利用者について知るための十分な体制整備を行うなど、業者の内部的な行為規範である、業者の適性に応じた販売ということにつきましては、利用者の知識、経験等に適合した形で販売・勧誘を行うことを法定すべきであるという意見と、片方で、客観的で明確な判断を可能とするルールを法定することは困難であり、業者の自主的なコンプライアンスに委ねるべきであるという意見。それから、利用者の属性について知らなくてはいけないのではないかということで、利用者の属性についての業者の調査義務までを課す、ノーイアカスタマールールを課すべきだというふうな考え方と、そこまでは慎重に検討すべきであるという考え方がございました。
 その他の勧誘についてのルールにつきましては、いろんな意見が入っておりましたが、代表的なものといたしましては、説明義務違反だけではなくて、詐欺的勧誘等の不適切な勧誘についても、民事責任発生の要件とすべきであるという議論。それから、不招請勧誘の業者の訪問とか電話のようなものは禁止すべきだということと、日本の中では、これは利用者の多様な商品・サービスのアクセスを担保する面もあり、勧誘行為自体を一律に制限すべきではないと、特に生保とかそういうふうなところからの議論がございました。
 それから、クーリング・オフも一つの論点でございましたが、リスク商品についてクーリング・オフを設けるべきだという意見と、クーリング・オフというのは、市場が不利に働いた場合のみ行使するなどモラルハザードの弊害も多いということで否定的な意見がございました。
 続いて、集団投資スキームに関するコメントでございますが、集団投資スキーム、これは12ページ以降でございますが、「集団投資スキームに関する法制の必要性」というところでは、従来の投資対象に基づく縦割りの法制ではなく、集団投資スキームとして個々の商品を包括的に規定するルール作りが必要である。集団投資スキームの法制と税制の統合的な整備・改善を希望する。特に流動化スキームについては、対象となる不動産の資産自体に特色があり、その市場等の特徴を踏まえてルール化の検討を行っていくことが必要である等の意見がございました。
それから、集団投資スキームの法制・ルールの中でも、受託者責任ということについては比較的注目を集めておりまして、14ページでございますが、集団投資スキーム全般に横断的に適用される受託者責任のルールを確立すべきであるという意見と、片方で、これは厚生年金基金からだと思いますが、個々の運用機関に求められる責任の内容は個別性の強いものとなるため、画一的に規定することができないといった問題や、英米と我が国では法体系が異なり、判例・学説の蓄積が十分ではないという問題がある等のコメントがございました。
 あと、集団投資スキームについては、御覧のとおり機能面に着目した集団投資スキームについてのルールとか、又は資産運用型、流動化型共通の商品取引に関するとかについてもコメントが寄せられているところでございます。
次に、16ページになります「ルールの実効性確保」ということにつきましては、一つはコンプライアンス体制の問題。これについては論点としては、コンプライアンス規定の整備、監督当局への提出の義務づけや、その公への開示等をべきだということと、反対に、コンプライアンスはあくまでも社内的なもの、自主的なものであり、コンプライアンスに反対して法的措置を講じることは過度な規制となりかねず、慎重に検討してほしいという両方の意見がございました。
それから、17ページの「自主規制団体」のあり方につきましては、業態横断化して、中立性・公平性を確保した自主規制団体があってほしいという意見と、それに対しまして反対に、横断的な自主規制団体については、本当に異なる商品ごとにフレキシブルに対応できるルールを作れるかという問題があり、まず、機能別に考えるべきだとか、そもそも自主規制団体については、コストの負担をどうするか、どのように自主規制を実効的にするかといった問題があるというようなコメントがございました。
それから、裁判外紛争処理制度の問題、これは18ページでございますが、これにつきましても、やはり中立的な立場の苦情処理機関や紛争処理機関の整備が必要である。また、特にイギリスのオンブズマンのような制度を導入すべきである。金融サービス法により裁判外紛争処理制度を画一的なものにするのではなく、弁護士仲裁センターといった、業界の自発的な動きによる民間型の紛争処理制度を中心に据えるべきであるというようなコメントがございました。また、裁判外処理だけでなくて、「ルールの実効性確保の最後の拠り所」である司法的解決について、審理の迅速化等、司法インフラの整備も求められるというコメントもございました。
それから、最後に、あと19ページでは、例えば、消費者契約法との関連につきまして、消費者契約法と金融サービス法の規制が二重規制にならないように役割分担についても検討してほしいというふうな意見もございました。
最後に、消費者教育につきましては、コメントは多くなかったですが、金融の基本的な知識に関する教育について、学校教育の場でもしっかり取り組む一方、社会人に対する継続的な生涯教育の環境も整備すべきであるというふうな議論がございました。
次に、13−3は、新聞の論調を整理したものでございますが、これもやはり論調が金融サービス法、主として販売・勧誘ルール関係と、それから、もう一つの集団投資スキーム関係に分かれてございますが、主として販売・勧誘ルール関係につきましては、5紙、東京、朝日、讀賣、産経、日経からのコメントがございまして、金融サービス法と消費者保護。金融サービス法の位置づけとして、やはり消費者保護の立法とすべきだというふうな論調が比較的強いと思われましたのと、それから、販売・勧誘ルールについてのルールの整備が必要だとか、特に説明義務が重要だと。あと、適合性原則や不招請勧誘について議論を論じたり、又は重要事項として苦情処理の問題、紛争処理の問題、自主規制団体の問題等について論じている論調でございました。
 次に、この論調の後に参考までに、3ページでございますが、経済戦略会議答申に金融サービス法関係ではどのように示されているかということについても御紹介させていただきますと、この経済戦略会議答申におきましては、「日本経済再生の戦略」というところの章におきまして、「金融商品・サービスの多様化や更なる技術革新に対応した法制度の整備」というところで、横断的な金融法制度の整備として、従来の業態別の縦割り法制を改め、横断的な法制を整備することが必要であり、有価証券の定義に米国証券法における「投資契約」のような包括条項を取り入れる、あるいは英国金融サービス法のような証券・投資信託・商品・保険などにわたる横断的な法制を制定するなど、広く投資家・利用者保護の実現を図るとともに、新商品開発等の金融技術革新の意欲を阻害しないような制度を整備するという、包括的な金融サービス法に向けての制定という提言が入っておりますが、同時に、併せて、投資者・利用者保護のあり方について見直さなくてはいけないということで、特に消費者信用を行う全ての業態に対して横断的に適用される法制等、与信の面についても重要視するコメントが入ってございます。
 それから、集団投資スキーム関係につきましては、新聞等の論調は、日経金融新聞、それから、日経で経済紙に掲げられていたということが特徴ですが、一つは、SPC法を改正すれば登録企業も飛躍的に増加するのではないかと、SPC法の改正に関心を持ったもの。それから、特に集団投資スキームに関して受託者責任の具体化を掲げたことについての評価をするもの。それから、あと、前年度に行われた不動産流動化に関するアンケート調査の結果がまとめられたときに、SPC法に対する不満が強くて、これに対する改正を求める声が相次いだということを紹介する記事等がございました。
 こちらは、関連する答申におきましては、同じくの先ほどの戦略会議答申におきましては、5ページでございますが、特にSPC法の改正。SPC法、「特定目的会社の証券発行による特定資産の流動化に関する法律」は使い勝手が悪いものであって、早急な改善が必要であるという意見と、不動産投資ファンドの創設。本格的な不動産投資ファンドの創設が必要であるというような意見が入っております。
 それから、先般6月11日に、政府・与党から出されました「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策」におきましては、その?のマル1といたしまして、SPC法等資産流動化法制について、多様な投資商品の提供を促進するため、投資者保護の視点も踏まえ、早急に結論を得るべく積極的に制度整備の検討を進めるということが明記されております。
以上、簡単でございました。説明を終わらせていただきます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
非常に52通という、こんなに厚いコメントを頂戴いたしまして、それを無理やり20分ぐらいでまとめていただきましたので、いろいろお尋ねしたい点もあろうかと思います。今事務局から報告がありました内容につきまして御意見なり御質問、あるいは感想を伺いたく思います。いかがでしょうか。
原さん、どうですか。
○原委員 消費者団体からも8通出されたということなんですが、整理をされたものを一読しますと、結構意見が分かれている。業界団体が出されている御意見と消費者団体の方から出している意見とがそれぞれ、それも重要な項目のところで分かれているというのが第一の印象です。それは、ここで議論をしていた中でも当然感じていることだったんですが、ですから、これの接点というか、法律としてどういう具体化が、今後の進め方というのが後段で話されるようなんですけれども、非常に感じています。
 ただ、消費者団体と話を、ほかのメンバーとも話をして感じることは、一つは、被害の実態が一体どれぐらいここで議論をされたんだろうか。やっぱり消費者の苦情とか相談、それから、被害の実態から議論を出発してほしいという意見が非常に強かったことと、それから、説明義務のところでの理解という部分ですね。この話も皆さんおっしゃっていたということです。
 それから、不招請勧誘ですが、生保の方からそういう御意見が出ているというお話でしたけれども、不招請勧誘についてもきちんとした議論をしていただきたいということ。
 あと、実効性確保のところがほとんど議論されてないではないかということを言われまして、それはワーキングの方ではなかなか時間が取れなかったので、第一部会の方で今後議論をするということになっているという説明はしたんですけれども、それで、「中間整理」の中では、ちょっとトーンが薄くなっているということはお話をしたんですが、法律ができたとしても、その実効性確保のところの議論をもうちょっと詰めてやってほしい。
 消費者団体、いろんな項目で意見は出していますけれども、そういったところが一番強いという、強弱で考える。文章というのは全部一律に出ていますから、並べてみると、こういう感じなんですけれども、強弱から言うと、そういったところが消費者団体としては気にかけているということなので、後段の議論の一つの議題としていただきたいというふうに思います。
○蝋山部会長 ほかにございませんか。
 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 整理というか、コメントの分布というのは両方に分かれているというか、とはいっても、バランスがある点もあるのかなと思ったりするんですが、私の偏った見方かもわかりませんけれども、注目されるのは、新聞の論調で、ここに掲げていただいたほかにも論調あるのかもわかりませんけれども、やはりどちらかというと、言葉としては消費者主体であるとか、あるいは顧客保護であるとか、そういう点がもう少し充実させるべきではないかという反論が来ているというのは、自分に引き付けかもわかりませんけれども、注目される点ではないかと思うんです。
 これもまた異論がたくさんあるかもわかりませんけれども、消費者団体の方ともそうですけれども、それ以外の人たちともお話なり意見交換させてもらう機会があるんですけれども、確かに余りいわゆる規制が厳しくて、金融機関なり金融業者が手も足も出ないとか、あるいは手足取られて行政の監視を受けるということでは困るわけですけれども、逆に、全体として消費者なり、あるいは利用者が安心できるようにならないと、端的に言ってお金が回らないというんですか、そういう意味で、確かに余り消費者保護を強調し過ぎると、そこを乱用して、実際には自分がよく商品のことを理解しているのに、訴訟になって後で損失補填を求めるというような、いわゆる利用者のモラルハザードが起こることは否定できないんですけれども、ただ、それを恐れる余りに多くの一般の利用者、あるいは国民なり、お金を持っている人たちが、何か重要事項しか説明されない、あるいは一部の事項しか説明されない、あるいは適合性原則もないということで、ひょっとすると金融機関の方が何か隠しているのではないか、あるいはどこかに見えない落とし穴があるんじゃないか。もっと言うと、金融機関の方も理解してないリスクがあるのではないかということでは、皆さん萎縮してしまうという感じのところは、経済界の方、あるいはメディアの方々も、特になかなか不況から脱しないこともあるのかもわかりませんけれども、そういう雰囲気が新聞の論調にも出ているのではないかと思うんですね。
 いずれにしても、最終的には意見の対立する点は国会が決めるということになるわけですけれども、そういうふうに言っていると審議会の役割はなくなるわけで、やはり私たちがもう少し全体を見て決断をする。それを立法化につなげていく。このスケジュールを見ますと、来年、金融庁の発足なんかがあるようで、これがどういうふうに影響するのかわかりませんけれども、それがある、ないにかかわらず、きっちりした第一弾の金融サービス法に早期に結び付けるという作業が必要なのではないかと思いました。
 ちょっと長くなりました。以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 一応総論的な御感想でも結構でございますので、御意見を頂戴して、内容に入っていきたいというふうに思いますが、いかがですか。井上さん、どうですか。
○井上委員 金融サービス法という考え方は、日本では一般的にはまだなじまないので、新聞の論調としては、当然、余りにもこれまでの金融の世界というのが利用者側の存在が見えない。多分これは日本経済全体のシステムが長らくそうであったし、産業界においてもようやく90年代になって消費者重視とか、あるいは生活者重視の視点からシステム全体を設計し直すという議論になってきて、この議論が金融界にはなかなかいかなかったということがあって、新聞では当然消費者サイド、利用者サイドからの考え方が非常に強く出されているのではないかと思うんです。
そこに関わって、前回の議論、裁判外の紛争処理の問題、ここで御意見出て、整理すればこういうことだと思うんですけれども、やはり前回のヒアリングでも感じたのは、自主規制団体という名前の内実がやや、製造業で言えばサプライサイダーズに偏っている。消費者側、あるいは第三者が入って、客観的に紛争処理するような自主規制団体に大半がなっていない。交通事故関係だけが唯一例外で、しっかりしたものになっていると思うんですが、そういう点で、この中立性を制度的にどう担保するかということをぜひ裁判外の紛争処理制度にも考えていただきたいということが1点。
 それから、本当は多分これは、むしろ今言った用語で言うと供給側の方なんですが、業態間を超えて全体として資金のアロケーションができるようにならなければ、本来のビッグバンの目的は完成されないわけなんです。そのところが各論、この文章で言うと、入口では「幅広い金融商品を対象とし」と、もちろん商品特性ごとのステップも考えなければならぬのですが、個別に見ていくと、うっかりすると、基本の市場効率というのをこの業態別の議論を足し上げていったときに、一体担保できるんだろうかというのが、むしろやや懸念のあるところで、やはりぜひ一般ルールとしての金融サービス法。つまり各業態を超えた市場効率を担保できるような枠組みはしっかりした上で、それぞれそうは言っても、現行の業法ごとのステップがあるわけですから、それを過渡的なものとして位置づけて、目標ははっきりさせた方がいいのではないかと、このように思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 能見さん、どうぞ。
○能見委員 すみません。遅れて来たものですから、どの点を強調されたといいますか、どの点を御報告されたのか、ちょっとわかりませんので、少し的外れになるかもしれません。
 ただ、ここにまとめられたものをざっと拝見いたしますと、ある意味で大きな基本的な方針のところでは、そんなに対立がないというんでしょうか、そういう問題と、それから、極めて対立の激しい問題と両方あるような気がしたんですね。
 例えば、重要事項の説明という問題がありますが、これももちろん細かいところで、どういう商品について、どういうことを重要事項として考えるかということについては対立がありますが、しかし、やはりリスクをちゃんと開示して取引をしないと、それは適切な契約にならない。そういう基本的な考え方については、恐らくそれほど金融商品を提供される側でも異論はないんだろうと思うんですね。
 そういう意味で、基本的に合意ができるところは、やはりできるだけ早急に詰めて、こういうところまでは合意ができそうだ、それから、こちらから先はまだ対立があると、そういう整理をされて、できるだけ早く法案までこぎ着けるのがいいのではないかという気がいたしました。細かい問題については、またいずれ何かの折に議論になると思いますので、そのときまた申し上げますが、一応基本的な考え方です。
○蝋山部会長 ほかにいかがでしょうか。
 岩原さん、どうですか。
○岩原委員 私の印象もただいまの能見委員と大体基本的に同じでありまして、意外と意見は実はそんなに違わないんじゃないかという印象を一部持っています。いろんな団体として出てきますと、一番強い意見に引っ張られた形で出てきますので、団体として見ると非常にディフェンシブな意見が目立つところもありますけれども、個々に見ていくと、実はそれほど決定的に対立しているというわけではないのではないかという印象を受けた部分がかなりありました。
 特に集団投資スキーム関連について申しますと、見てみますと、集団投資スキームについて横断的なルールが必要だという点については、いろいろな業界団体等においてもほぼ一致しているという印象を持っておりまして、そういうところはぜひ立法の歩みを速めていただきたいというふうに思っております。
 個別の業界の御意見を見ましても、私の印象以上に積極的なことを書いてくださっているところもありまして、例えば、16ページの全銀協の御意見を見ますと、29のところでありますが、「「金融サービス法」と現行の業法との二重規制や不整合回避の点からも、既存の業法等を見直し、整理することが必要である。」という、ある意味で言えば、思い切ったことを言っていただいているわけでありまして、実際、経済界の方も、そういう従来の縦割りの弊害ということは十分認識されていると思いますので、経済界の方でもそういう点の御理解はある程度いただいているのではないかというふうに私は思っております。
それ以外にも注目されるのは、例えば外国の金融機関等の御意見などを見ますと、日本の業界団体よりはかなり積極的な御意見が目立つという印象がしておりまして、例えばクーリング・オフなどにつきましても、外国損保協会、11ページでありますが、三つ目の意見でありますが、「少なくとも個人については、これを採り入れていく余地があるのではないか」というような御意見もいただいているわけでありまして、いわば従来の慣習に引っ張られた先ほどの業界団体として出てくるとどうしてもディフェンシブな立場が目立つというところのない、やや外の目から見ると、結構実際にはやれるところがあるのではないかという点が、こういうところからも示唆されるのではないかというふうに思っております。
それとあと、例えば受託者責任等については、なぜ集団投資スキームだけに限っているのか。むしろ金融機関の取引全体について考えてはどうかというような御意見が、構想日本などのシンクタンクなどからも出ているわけでありまして、こういった直接の業界あるいは消費者といったサイドでない立場からそういった御意見等も出ておりますので、こういったいわば第三者的な立場の御意見も重視されてしかるべきではないか。ここで取り上げたのは、ホールセール・リーテイルのワーキング部会で議論した問題と集団投資スキームで議論した問題にどうしても偏っているわけでありまして、それ以外の、金融サービス法というのはもっと広い問題をカバーするわけでありますから、そういうところについてももっと目配りが要るのではないか。そういう御意見も指摘されているのではないかというのが私の印象であります。
以上です。
○蝋山部会長 吉野さん、どうぞ。
○吉野委員 全体の印象としましては、日本のこれまで悪かったところは、何でも規制しようというところでしたから、ぜひ自由な商品・サービスの競争は阻害しないような形で考えていただきたいと思うんですが、そのときに、業界に関してはある程度ミニマム、これだけは表示しなさいということは必要だと思うんですが、それ以外には、各業者にもっと自由に自分なりの表示をさせまして、そういう表示の仕方でも競争させる。そうしますと、あの業者は割合本当に情報を出してくれる。この業者は同じ団体だけれども、少し情報を隠していると、そういうことの競争によって、いかに正確な情報を利用者に出すかということにもなるのではないかと思いまして、ですから、自主規制団体が全部ここまでにしなさいというのではなくて、これ以上は開示しなさいというような形の方がいいのではないかと思うんです。
 それから、意見の中で一部の例えば高齢者の方とか、低所得の方にこういう商品を売るなというのは私は全く反対でして、それはいろいろな所得階層の方だっていろいろ勉強されて、いろんな商品を買いたいわけだと思いますので。
 それから、あとはリスクとリターンなんですけど、これは経済学者が考えますと、リターンに関しては予定利率とか予想収益率というのを出すことができると思うんですが、リスクに関しても、例えば、これまで過去の標準偏差とか分散、そういうものは商品によって計算できると思うんですね。そうしますと、消費者の方に、この予定利率は3%プラス・マイナス5%のリスクがありますとか、1年当たりのリスクとか、3年とか5年とか、そういう形で、商品を買われる方にある程度わかるような方法もあるのではないかと思うんです。
 それから、最後は被害者のいろいろな問題がありますけれども、消費者、利用者の立場としても、勉強されている利用者と、全然何もしないでやられている利用者というのがおられると思うんですね。それはやはり勉強しながら一生懸命注意した利用者と、そうでない人も全部ひっくるめて同じに考えていいのかなというのが印象です。
 以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 ほかに。
 高橋さん、どうぞ。
○高橋委員 パブリックコメントという形でこれだけの意見をいただいたわけですから、今後の議論の過程をなるべく世間にきちんと知らせながら、法定化作業をしていく必要があるというふうに思います。特にスケジュールについても知らせながらやる必要がある。やはり時間的制約も含めて合意していくことが必要かなというふうに感じました。
 今後の進め方にもちょっと踏み込んでしまうんですけれども、進め方としては、やはり合意点と対立点を明確化した上で、対立点については、例えばさらなるパブリックコメントを求めるとか、有識者のヒアリングを行うとか、イギリスのようにタウン・ミーティングみたいな形をするとか、時間の制約がある上で何ができるのかを考えて、やはり広く知らしめながら合意していくことが必要かなと思います。
 もう一つは、法定化作業と並行して、実効性確保について、例えばコンプライアンス、自主規制について一つ、それから、消費者教育について一つ、きちんとワーキンググループを作ってやっていかないと、部会だけの議論では深められないのではないかという印象を持ちました。
 以上でございます。
○蝋山部会長 自主規制について一つと、それから……
○高橋委員 それから、消費者教育について一つ。つまり、こちらがきちんとしていれば、その法定化作業について一般の個人の方とか、特に消費者団体の方からの御意見を組み込んでいけると思うんですけれども、やはり同時並行でやっていかないと、そことの兼ね合いが重要ですので、法律の作業と同時に、ワーキンググループをぜひ作っていただきたいなというふうに思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 まだ御意見を全体的な展望して伺ってない方、何人かおられますが、福間さん、どうですか。
○福間委員 このパブリックコメントを見た限りでは、どうも市場の活性化が阻害されないかという懸念があります。市場というのはパブリックなものですから、投資家・消費者保護を重視するのはもちろんですが、発行者、仲介業者の利便とのバランスをとった上で国際競争力のある、効率ある市場にしなければならない。消費者団体の方の意見は非常に具体的で、説得力がありますが、一方で、少子・高齢化が進むなかで、金融資産を効果的に運用していくということも非常に重要なテーマ、あるいは国民のニーズです。やはり効率と公正のバランスをとって、グローバルにも競争力のある市場にしておかないと、最終的には運用機会を失うという形で、投資家・消費者が損をしてしまうということにもなるのではないかと思います。消費者団体の主張とか、仲介業者の主張とか、対立的にとらえるのではなくて、何が望ましい市場なのかというところに常に座標軸を置いて、議論を進めていかないと、これだけの大事な金融サービス法ができるわけですから、慎重に検討する必要があるんじゃないかと思います。
○蝋山部会長 柳川さん、どうぞ。
○柳川委員 感想としては、これだけのコメントをいただきましたので、やはりこのコメントにできるだけ対応できるような形で、今後議論を進めていく必要があるんだろうと思っております。
 それで、先ほど何人かの先生方がおっしゃったように、私もこれ、余り対立は本質的にはないと思っていまして、基本的には合意できる部分がかなりあるんじゃないかというふうに思っています。ただ、対立しているように見える部分の多くは、実際の実効性の部分に関してだと思っておりまして、理念形としてはわかるんだけれども、では、実際どこで線を引くのか、紛争処理に関してもどうやって処理をするのかといったところに関して、やはりかなりこの「中間整理」に関しても曖昧にしている部分があることもあって、そこの部分に関して、余り変な形で決められては困るというところにかなり論点が対立しているように見えるのではないかなというふうに思いますので、そこの部分を今後詰めていけば、かなり合意できるのではないだろうかというふうに思っております。
 それから、多少抽象的といいますか、理論的な話に関しましては、消費者保護という観点が新聞論調にもかなり出ていますけれども、一体何をすることが消費者にとっての保護なのかという点を少し詰めて、整理をした方がいいのかな。その部分に関しては、この部会ではかなりの点で対立している部分もあると思いますけど、整理をされていると思うんですけど、そういう部分を少しレポートなり何らかの形できちんと出す必要があるのかなという気もしております。
○蝋山部会長 パブリックコメントを紹介していただいて、それに対するとりあえずの御印象を伺ったわけです。岩村さんにはまたもうちょっと後から伺いますが、今までの委員の皆さんの印象を伺って、玉川さん、何かありますか。あなたが印象づけられたことが。
○玉川調査室長 特にはございませんが、おっしゃったように対立点がありながらも、共通点が見られるというところは、そのとおりではないかと思いました。
○蝋山部会長 オブザーバーの方、どうでしょうか。恐らくほとんどのオブザーバーの方々の所属する団体で、あるいは御関心のある団体で御反応を頂戴したというふうに思うわけですが、しかし、それはそれぞれミクロの観点からであって、全体として今御覧になると、改めて何かおっしゃりたいことございますか。
 それでは、また後の機会にさせていただきますが、私は初めは、委員の構成の点にクレームをつけられたとか、大分枝葉末節に、ざっとこの厚いのを読ませていただいたのですが、やや引っかかりまして、読むスピードが大分鈍ったこともあるわけですけれども、しかし、大体予想どおりだったというふうに思います。
 岩原さんが集団投資スキームについては、相当業界を超えて意見の一致点が見られるんじゃないかと。実務界ではそうなんだろうなというふうに思いました。ですから、集団投資スキームの問題については、それ自体として切り離して、こういう新しい制度を包括的な形で作るという作業は、これは非常に大事だし、また、実現する可能性は少なくとも制度の利用者の観点から言えば、サプライサイダーの方も、投資家の方も含めて考えてみると、そんなに問題はない。
 問題は、そういう潜在的な力を顕在化させる障害が別のところにある。いわば過去の歴史とか、法律的な解釈の仕方とか、そういうところにあるので、これはまた別の問題だなというふうに思います。このパブリックコメントに現れないようなところで実現性に問題がある。集団投資スキームという点は、ぜひそういう点を頭に入れながら、前向きに進めなければいけないなというふうに考えました。問題は、ここで焦点を金融商品の勧誘・販売に限って議論を提起した点にあるだろうというふうに思います。
 この点では、私の印象は、一つは、市場の競争というものとの関係で捉えなければいけないという点を改めて痛感したわけです。こう言うと競争至上主義者のようにとられるわけですけれども、もしも本当に利用者が、吉野さんの発言のとおり、全て勉強した消費者、利用者であるならば、そういう人たちを味方につけるようなちゃんとした情報の開示と、それから、理解というものを得る方法をサプライサイドの方も、井上さんの言葉を使えば、サプライサイダーの方も競争手段として生かしていくような戦略をとるんだろうと思うんですね。そういうメカニズムが本当に働いているのかどうかという点について我々の、なかなか検証は難しいですけれども、少なくとも基本的に認識をはっきりさせるべきなんではないか。
 私どもはある種の理想的かもしれません。やや現実とは距離があるのかもしれませんが、あるべき姿として、利用者というのは相当程度勉強していて、そして、この利用者の特性というものを十分に競争手段の中に反映できるようなメカニズムを考える。そういうものとして統一的、横断的な金融商品の販売・勧誘のルールを作るべきだ、こういう考え方だったろうと思うんですね。
 私はそれは基本的に間違いじゃないというふうに思うんですけれども、現実とは距離がある。その現実との距離を埋めるのが、一つは消費者教育のあり方の問題であり、もう一つは実効性確保のための諸手段をどういうふうに考えていくかというところにある。そんなふうな構成になっているわけなんです。
 原さんが一番初めの方に被害者の観点が不十分じゃないかということだったわけですけれども、私はそういう現実の被害、現実に迷惑を既に被ってしまった方の救済というものは、この場でシステムとして取り上げるということは余り望ましくないんじゃないか。別な方法でそれは具体的に今係争になっている点、あるいは現実の様々な紛争処理制度の中で処理していただくしかないわけであって、しかし、今後、そういうかつての被害の、これまで出てきた様々な迷惑を被ったものの中から何かを我々としては学び取る姿勢というのはどうしても必要だろうというふうに思いますね。
 そういう点では、我々としてもある程度の勉強はしていると思いますし、いろんな形で御紹介を得ていると思いますし、今回のケースでも消費者団体からの、全国消費生活相談員協会からの非常に丁寧な統計の紹介もございます。こういうのは私としては大変参考になりました。たくさん勉強しなくてはいけないことはあるかと思いますが、しかし、今の現実に起きている被害者の救済、現実的な救済のために我々が審議をしているのではないことははっきりしているんじゃないでしょうか。
 そんなふうに考えていきますと、対立点があるようでいて、本当にあるのという点は、もう少し整理してちゃんとやれるのではないだろうか。
 不招請勧誘のような議論にしても、海外の制度で、例えばノーコールリストですか、そういうような点もある。これは実効性確保の議論とも絡んでくるわけですけれども、そういうようなことを制度をデザインすることもできるでしょうし、まだまだ議論がし尽くされないと思いますけれども、私としては、利用者の保護といいますか、利用者のための制度は業界のためにもなるんだという形で、もう少し前向きに捉えることはできる可能性はあるというふうに思います。
 ただ、一言だけ、様々な利用者保護、あるいは公正さというのが非常に大事だということを主張される側の方々に注文するとすれば、やはりこういう場に対する、こういう審議に対する頭からの不信感というものがあるとすれば、どうもこれは払拭できないわけですね。どんなふうにしてそういう点を払拭したらいいのか。信頼を確保したらいいのか。最も金融仲介業者は信用できないんだと、あるいは大蔵省は信用できないんだと、あるいは大蔵省のこういう審議会は信用できないんだ、こういう議論に対して、いや、そうじゃないと言っても、もともとそういう前提があるとすれば、すごい難しい。この点に関して私は名案がありません。議論を積んで、結果で御理解をいただくしかない。結果と歴史が証明するしかないわけで、その辺のところがやや感じられる面もないわけではありませんけれども、私としてはそれに対して真っ正面からどうだということを言うつもりはありません。
 全体的な意見としては、私の感想としては、こんなことがあるわけなんですけれども、いかがでしょうか。それに対するコメントでも結構です。
 原さん、どうぞ。
○原委員 私の発言がどういう言葉を選んだかよくわからなかったんですが、私が申し上げたのは、消費者団体から出されているコメント、文章がずっと並んでいますけれども、強弱があって、強調したいのは4点だというふうに申し上げて、その最初に被害の話をしたんですが、「救済」という言葉を使ったのかどうか、ちょっと自分ではっきり……
○蝋山部会長 それは僕が勝手に使ったんです。
○原委員 ああ、そうですか。それで、消費者団体が言っているのは、被害の実態とか、それから、実際に現場での苦情とか相談の実態とか、そういう実態から出発をしてほしいということを第一に言っていますという感じですね。
 今のこちらの第一部会の13−2という方の資料を見て、「今後の方向性」のところを見ると、「被害の救済」という言葉を書かれていらっしゃるのは銀行の貸し手責任を問う会がそういう言葉を使っていらっしゃって、消費者団体は「消費者トラブルを防ぐため」とか、「消費者の権利の観点」という書き方をしていますので、金融サービス法の結果として、将来被害を未然に防ぐとかということにはもちろんなるんでしょうけれども、現実の被害の救済ということは別に消費者団体は念頭にあるということではないというふうに思います。
 それから、皆さん、出された全体の文章を読まれているわけではないのですけれども、消費者団体から出た意見に、メンバー構成の話が随分書かれていて、私もみんながどんなものを出したのか、ちょっと目を通したかったものですから、1週間ぐらい前に送っていただいて目を通しましたら、ここの審議会のメンバー構成について触れていらして、実際にメンバー表を見ると、消費者団体で私しか入っていないということもありまして、いろんな消費者が関わる法律を検討しているところは複数で入っているのがあるものですから、例えば、消費者契約法だと4人ですか、4団体ぐらい入っているんですね。そういった比較からして、ちょっと少ないというような印象は皆さん持っているというのは事実です。ただ、こういったふうに、その時々で皆さんの意見を聞くという形をとられるのであれば、そういったところで全く意見を言えないというままで進められるのは困ると思いますけれども、徐々に相互に意見交換できればいいのではないかなというふうな感じがしております。
 それから、先ほど高橋さんの方でおっしゃっていただいた消費者教育のところなんですが、私もどういった金融サービス法を作るかということと消費者教育ということはセットで考えていかなければいけないなというふうに思っておりまして、10日ほど前に証券会社を訪ねましたら、平日の午後ですけれども、主婦でごった返していて、びっくりしてしまいまして、すごく詳しくて2人連れぐらいでやってきていらして、ファックスか何かで取り寄せた資料をもとに検討して、こうやっていらっしゃる方もあるんですが、たまたま私のテーブルの隣に座っていらした方は、投資信託を初めて買いに来たという方で、30代の主婦の方だったんですけれども、金額としては30万円持って来ていらっしゃって、投資信託がまるでわからないで買いに来ていらっしゃったんですね。株と勘違いしていらっしゃって、自分が投資信託で組まれているいろんなものをいつ采配して売ったり買ったりするのか、そんな相談をしていらして、全然わからない。先ほど勉強している消費者と勉強していない消費者というのをお話しになったんですけれども、今は一般紙にも投信の広告やなんかかなり出るようになって、皆、結構、金利が低いから、手軽に。彼女としての最大の防御は30万という金額なんだろうと思うんですね。そこに 200万とか 300万はちょっと持って来れない。ともかく30万でやってみようというのが彼女なりの一種の勉強という形で来ているんだとは思うんですけれども。
そういう意味では、金融商品というんでしょうか、金融サービスについての消費者教育が遅れているというのがありまして、本当にそれとセットにしないと、きちんとした形での法整備は図れないと、私も高橋委員の意見を聞きながら感じました。
付け加えさせていただきます。
○蝋山部会長 高橋さん、どうぞ。
○高橋委員 僣越ながら、蝋山先生の御感想に一つコメントさせていただきたいんですけれども、大蔵省、審議会の信頼性の確保というのは、今これから我々が、これをどう議論するかということでかなり決まってくるのではないかというぐらい、この金融サービス法に関する世の中の注目が高いというふうに感じております。
多分、今日の記者会見で今後の日程などが出た場合に、今まで一般紙が早走って報道している部分、あるいは一般的な理解というのは、来年の通常国会に法案が乗るんじゃないかぐらいに、我々はそう思っていなくても一般の方は思っているし、マスコミの方も、記者の方とお話ししても、そう思っていらっしゃる方が非常に多いので、まずそこでたたかれるだろうなというふうに思うわけなんです。遅れる理由をきちんと示して、今後、どういうふうにこのパブリックコメントを生かしてやっていくのかということを理解をしていただくような方向に行くことが、今まず一つ目に大変大事なのかなというふうに思っています。
それから、先ほど柳川先生からも消費者保護とは何かということもきちんと話した方がいいというお話がありましたし、蝋山先生の方からも、あるべき消費者、あるいは学習した消費者と現実の消費者の乖離のお話がありましたが、私はホールセール・リーテイルのワーキンググループの方で消費者教育のところ、その他関連インフラ整備について書かせていただいたのですが、その中に、「消費者教育こそ最大の消費者保護である」というふうに書かせていただいています。一般の方々の中には、自分たちは学ぶ場がなかったとかおっしゃる方が非常に多いので、やはり姿勢として、消費者教育の確保に向けて、これからどういうことが行われるのかということが2つ目に大事だと思います。
それは学校教育もあるでしょうし、社会教育もあるでしょうし、イギリスの動向を見ていますと、今FSAがすごく消費者教育に力を入れてプログラムを組んでいます。私もインターネットでイギリスの情報を取っているわけですけれども、今年に入ってから消費者向けの教材はネット上で無料でどんどん出しておられるわけですよね。やはりその辺の差というのが非常に大きくて、日本の消費者もそうした教育が受けられれば、当然国に要望することと、自分たちでやらなきゃいけない権利と義務をはっきり認識できるんじゃないかなと思います。先ほどの補足なんですけれども、消費者教育に対してこの審議会が力を入れるということをアピールすることは、一般の方々も、自分たちも勉強していって、きちんと法律についても学ぶし、商品についても、金融機関についても学ぶという、いい機会になるのではないかなというふうに思います。
以上でございます。
○蝋山部会長 どうぞ、岩村さん、お待ちどうさまでした。
○岩村委員 遅れてすみませんでした。
予想はしていたんですが、このパブリックコメントの全体の方向というのは、私は多少失望した面はやっぱりあります。
 少し別な話からスタートしたいんですが、ちょうど生保さんもいらっしゃって、その生保さんの話をするつもりもないんですけれども、今、保険の切り替えの話が協会さんと役所と、それからマスメディア、消費者団体というところで難しい問題になっている。個別の事案を知りませんので、朝日新聞の主張が正しい、あるいは保険会社の主張が正しいということを申し上げるつもりはないんですが、ただ、大変難しい問題だろうなと思うんですね。
つまり、今回の保険の切り替えというのは本質的には、昔のリスク負担の下取りで、新しいリスク負担をまた別の価格で買っていただきましょうと、経済学的にはそう理解する話なんですが、結局、下取って新しいものをお売りするというのは非常に難しい。やはり常に後知恵で、ああすればよかった、こうすればよかったという考え方は出てきますし、もともと何らかの意味で、逆に今度は下取って新しいものを売る側に合理性がなければ、そういうセールスをかけないわけですから、この話というのは本質的には難しいと思います。
 ただ、例えば、下取りで新しい商品を売りますというセールスを繰り返しながら、それほど深刻な消費者紛争を起こさないで済んでいるというマーケットも、商品もたくさんあるわけです。典型的には、私いつも思うのは、自動車だなと思うんですね。自動車というのは中古車のマーケットが存在する。中古車のマーケットが存在するので、例えば、私はトヨタの車を持っていて、それをトヨタのディーラーさんに行って査定してもらって、次の車に買い替えるわけですが、査定価格というのは、普通、トヨタのディーラーさん、1回しかききません。ききませんけれども、昔はそうでもなかったと思いますが、変わった価格を付けられて損をしたんだろうと、内心では不満だなということもありますけれども、こんなものかと思ってあきらめる。あきらめることができるのは、それはやはり中古車マーケットというものの深さ、広さがあって、そのマーケットを考えれば、相対の取引ではあるけれども、そんなむちゃな査定はしないだろうというふうに信ずる。それはディーラーの個人を信頼していたり、あるいはその査定者を信頼している問題でなくて、マーケットの深みというものを信頼している。
 私は、昔、流れ懇と言っていたセッションから、この新しい金融のルールという話に加わらせていただいていたわけですけれども、私が思っておりましたのは、結局そこの点で、金融を巡るリスクの話と、あるいはリスク負担の話、あるいはその説明の話、販売・勧誘ルールの話というのは、当然にしてこれから出てくるだろう。
 しかし、個別の話を押さえて膏薬を張るようなルール作りをしていても、なかなか解決にはなるまい。そうすると、むしろリスクとは何か。リスクを売るというのは何か。売るときには最低どのような条件が満足されなければいけないかをまず先に議論して、それの整理が良くて、かつ、いろいろ考えてみると条件がいろいろあったわけですが、市場が確立すれば販売・勧誘のルールというのは最低限でいいだろう。
 実際、中古車の下取りのマーケットなんていうのは、ほとんどそんなルールは、お仕着せのルールとしてはないわけですけれども、それでも機能しているわけですから、それと同じようなことができるだろうと思っていたわけですけれども、こういうパブリックコメントを見ますと、やっぱりそういう物の考え方の甘さを思い知ったという気がいたします。
 現実に起こっていることは、ともかく、現状、金融商品を、本当にそれが強者が支配するジャングルのようなものかどうかは別にして、ジャングルのようなものだと見えるから、何とかしろという強烈な声だというふうに思います。
 もちろん、今回まとめの中で、例えば集団投資スキームについての議論は、ほとんどかみ合ったコメントになっておりますので、むしろそのかみ合っている部分は、できる限り早く法制化に向かっていけるんだろうと思いますが、問題はやはり販売・勧誘ルールの話でございます。
 私が思っておりますのは、リスクのマーケットというものを先に考えて、それからと思っておりましたが、これだけのものを見せられてくるというふうに考えると、そういういわば理念形的な社会改善というのが通用するのかどうかということについては、やっぱり懐疑的にならざるを得ないと思います。
 そうすると、考えていくことは、しかし、今までの議論がむだでなかっただろうと思うのは、最低限、そうすると、これだけの声が出てきた。それから、今、高橋さんがおっしゃったように、世間ではむしろ次の通常国会でというぐらいに思うほど、いわば世論として煽られてきている。それは、またこの1年、2年の間のいろんな金融に関する事件が明るみに出たということの影響があるんだと思いますけれども、それだけ煽られている情勢になっているということを考えると、やはりいつまでもリスクに対する法制を整備して、その後それを前提にしてという考え方ではいけない部分があると思うんですね。そうすると、ここでは、これだけのパブリックコメントを見て、あるいはこのパブリックコメントというのは、ある意味では新聞を含めたいわば大衆の声を代表している面もあると思いますので、こういうものがあることを前提にしてスケジュールを考えていかなければいけないと思います。
 そうすると、私たちのこの部会で考えなければいけないことは、やはりこういうものを踏まえて、販売・勧誘ルールの問題ですね。商品の説明責任の問題というものについて答えを見つけていくということだ。大事なことは、今までの議論を踏まえて、むしろ市場を壊さない。市場形成を壊さないようなルールを考えましょうねということ、それを指針にして考えて、市場を壊さないというのは、やはり同種の声には同種の対応をしようと。同種の対応がうまく閉じないものについては、やはりあきらめるものもあるだろうというふうに考えながら作っていく。
 それは要するに、いずれは努力して、そのリスクと金融というものについて深いマーケットを作るような、そういう世界を望むのでありましょうけれども、今世間から突きつけられている期待と雰囲気の中で現実的な答えを考えれば、そういうマーケットの理念を私たちの中である程度持ちながら、いや、むしろ確固として持ちながら、しかし、現実に出てきている特に販売・勧誘という世界については、世の中に受け入れられる答えを探していかなければならないかなと思って読んでおりました。
 以上です。
○蝋山部会長 それぞれ中間整理、パブリックコメントという感じでの反応、そして、それをどう受け止めて前に進むか、そこまでカバーして、これからの審議が難しくて頭抱えて云々ということではなくて、相当議論の過程の中でつぶしていける程度のことではないかなということで、一般的に言えば、今のパブリックコメントを頂戴した上で、それをきちんと消化して、我々としての判断をきちっと示していくということはできるのではないかというふうに思いますので、今それぞれの委員の方から一般的な話、あるいは具体的な案件について御提起を受けましたけれども、それをきちんと踏まえて、スケジュールというものを、審議のこれからというものを考えていきたいというふうに思います。
 今パブリックコメントそれ自体として、大変おもしろいので、事務局の方では「中間整理」を含めて印刷しているの? どういう形になっているんですか。
○玉川調査室長 「中間整理」は入っていない。
○蝋山部会長 「中間整理」は入ってない。今回まとめさせていただいたものと、それから、いただいたコメントそれ自体というもの、非常に厚くなるわけですけれども、それを閲覧ないしはコピー用の資料として今用意しております。印刷中であります。もしも委員の皆さん、あるいはオブザーバーの方々、全部見たいということであれば、原さん笑っておられるのは、読むの大変なんですけど、しかし、手分けして読むこともできるでしょうし、団体の組織の方であれば、御注文があれば応じますので、御関心のある方は御注文ください。余りに大部ですので、「どうぞ皆さん、読んでください」というふうに我々の方からそちらに申し上げることはいたしません。
 パブリックコメントがインターネットの上でパブリックコメントとして出しているのは日弁連と、幾つかしかないんですね。日証協が出しているんですね。僕らとしては、パブリックコメントなんだから、パブリックにしたつもりなんで、そのレスポンスもパブリックになっているのが当たり前だと思うんですが、そうなってないというのは、やや皮肉ですが、結局、もしも全部インターネットで取り入れることができるならば、そういう作業は必要ないわけですが、大蔵省にお願いして閲覧・コピー用の資料を用意しておりますので、近日中に利用可能となります。ぜひ、御希望の向きはおっしゃってください。
 今までの今日の議論はこれからの審議会をどういうふうに進めていくかということと非常に関係した形になっておりますので、その点も含めてまた議論をさせていただきますので、一応これから我々としてどういう議論を具体的に進めていこうとしているのかということで御紹介したいというふうに思います。
 内藤さんから。
○内藤企画課長 それでは、いろいろパブリックコメントについての御議論いただきまして、実は、今後のこの部会の運営について私の方から、事務局の一つの考え方としてお諮りをさせていただきたいということでございますが、既に今後の運営について若干御意見を触れられた委員もおられますけれども、資料の13−4というものがございますので、それを御覧いただきたいと思います。
 この1ページを御覧いただきたいと思います。この第一部会「中間整理」、御覧のとおり大きな二つの課題、販売・勧誘ルールと集団投資スキーム、この二つの課題について整理をされ、パブリックコメントが今日紹介されて御議論いただいているわけですが、これを今後どういうふうに進めていくかというところでございます。
 集団投資スキームについては、先ほど委員の何人の方から御意見こざいましたように、私どももパブリックコメントの内容を見ましても、かなり業界横断的な考え方が出来上がりつつあるのではないかということで、もう少しこれを検討を深めてまいりますと、かなり具体化が図られてくるのではないかというふうに考えております。
 さらに、先ほど御紹介いたしましたように、経済戦略会議の答申でございますとか、あるいは6月の政府・与党の対策の中でも、特に集団投資スキームの中の典型的な例として持ち出されますSPC法について、改正を急ぐべきではないか。現在のSPC法は流動化型というものを主眼に置いた、いわば導管性というものを非常に強い形で保持しながら、税制の恩典、あるいはその他の手続の恩典を受けられるような、そういう仕組みに出来上がっている。ただ、現実にこれを使っていくということになりますと、より広げた運用型といいますか、弾力的なものにしていくというふうな要望が強いわけでございまして、これを早急に考えていくということで、政府の立場としてもこれを早急に考えていくと、こういう形でうたわれているわけでございます。
 そういたしますと、現在この金融審議会で議論いただいております集団投資スキームというものの枠組みといいますか、この考え方と、SPC法をこれから改正をして、さらに使い勝手が良くなるような、そういう改正を図っていく。非常に関連が深い状況になってまいりますので、私どもとしては、来年の通常国会に法改正を視野に置いて検討していくという形になりますと、やはり年内にそうした集団投資スキーム、特になかんずく、SPC法の改正を睨んだ検討をこの審議会でぜひお願いをできないかというふうに考えております。
 それから、販売・勧誘ルールの方でございますが、これにつきましては、先ほど委員の皆様方からもかなり予想どおりの意見の食い違いがあると、こういう御意見があり、また、実は、いろいろ考えていくにさほど大きな本質的な違いはないのではないかと、こういうふうな御議論がこざいました。
 それで、この販売・勧誘ルールにつきましては、現在、金融商品のみならず、全般的な商品についての消費者契約法が経済企画庁の方でも御議論いただいておりますので、そうした審議の状況も十分見据えながら、かつ、特にこの販売・勧誘ルールの中でもある程度議論が集約されてきている部分もございますし、あるいはまた、相当まだまだ開きがある、十分にまだ中間整理の段階では詰め切っていないというふうなものも多々ございます。そういうことで、中間整理の中でも特に金融商品販売業者の説明義務違反というものに民事効を付与する、こういったものがルール化できるかどうか、あるいはそれに関連する諸法、諸制度の整備がさらに合わせてできるかどうかといったことについて引き続き御検討をいただきまして、集団投資スキームについても年内に御議論いただきますので、併せて販売・勧誘ルールについても、当面何が対応可能なのかどうかということを御議論いただきたいと思います。
 パブリックコメントでも御覧いただきますように、非常に世の中の関心も高いということもございます。それから、やはり早期に立法化していくというふうな御意見も多数寄せられておりまして、その中で種々法律的に詰めますと、様々に実は問題点もございます。現在の法律の仕組みが、業法中心に金融商品の販売業者を規定し、それで、投資者、利用者の保護の規定がございまして、そうしたものについて今度は横断的な金融商品の販売業者というものを規定いたしまして、民事の特則といった規定をしておくというのは、ある意味で非常に新しい考え方になりますので、そうした点についても法律論的な御議論もあろうかと思いますので、そうした点を含めて、併せて集団投資スキームと一緒に御議論をいただきたいというふうに考えております。
 その中で、12月目途に中間整理を、ここで書いておりますのは(第二次)ということで、当面のとりまとめをしたい。そこで法律化し得る、そういった形になってくるものであれば、それはそれでまとめて、来年の通常国会に法制化も考えていくと、こういうふうな可能性も十分踏まえながら、今後の御検討いただきたいということでございます。
それから、このパブリックコメントの取扱いでございますけれども、これはかなり広範な問題、論点がございます。先ほどの自主ルールの問題でありますとか、御指摘いただいた消費者教育の問題を含めまして、種々ございます。これをどういうふうにこれからさらに詰めていくかという問題がやはりまた底流としてあるのではないかなというふうに思っております。
 私どもとしては、全体を12月に結論付けるというのが理想的なんですけれども、恐らく種々非常に広範な問題がございますので、そうした当面の対応を年内にと、それからさらに全体的な議論の詰めというものを引き続き年明け後もやっていただきまして、金融庁発足が7月1日というふうに予定されておりますので、6月には最終報告をまとめて、中間整理のコンセプトを全体として整理をするというふうな形でお願いできればというふうに考えております。
 次に、スケジュールのイメージの右側に書かせていただきます証券決済システムの改革に関するワーキンググループの設置というものがございます。これは3ページを御覧いただきますと、「証券決済システムの改革に関するワーキンググループ」の設置について、これは初めてでございますけれども、今回お諮りをさせていただければと思います。
 「趣旨」でございますが、証券決済システムは証券市場にとって重要なインフラであり、諸外国では、決済期間の更なる短縮や取引処理の電子化の一層の推進など、様々な改革が進められようとしている。こうした改革の動きに乗り遅れることのないよう、我が国証券決済システムの抜本的改革を行うことが喫緊の課題となっているということで、この審議会第一部会の下に、いわば21世紀の我が国証券市場を支えるインフラとしての検討ということで、一方、21世紀を支える金融サービスのルール作りというものと対置させまして、このインフラ作りについても第一部会の下にワーキンググループを置いて検討を進めていきたいというふうに考えております。
 「テーマ」でございますが、そこに書いてございますように、安全性、効率性、利便性を備えた、国際的に通用する証券決済システムのあり方。現在の決済システムは、株、国債、社債等々、それぞればらばらの処理機関で決済が現実には行われている。それから、やはりT+1(翌日決済)というものが今後の21世紀の課題になっておりますが、そうしたものにはなかなか対応が難しいというふうな現実もございますので、そうしたものを十分見据えた上での、あるべき姿を御検討いただくということで、T+1の翌日決済の実現。
 それから、DVPということで、証券受渡と資金決済の同時履行というような問題。取引処理の電子化。決済機関のあり方。社債等登録法という、社債における基本法といいますか、この手続が非常にまだ今の電子化の動きには乗りにくいという問題がございますので、これについての関連法令の整備というような問題、これを含めまして御検討いただくということで、今後のインフラを整備し、証券決済の決済リスクの軽減化、あるいは市場の活性化といったようなことで考えていきたいということで、これをお諮りしたいと思います。
 以上でございます。
○蝋山部会長 パブリックコメントに対する皆さん方のレスポンスを、御印象を伺う中で、それをどういうふうに具体的に受け止めてこの審議会部会を進行していくかと、深く密接に関係しておりますので、ただいま第2の問題に移りまして、内藤さんの方から、一応事務局としての考えを紹介していただいたわけであります。
 繰り返すことになるかもしれませんが、簡単なコメントを付け加えるとすれば、集団投資スキームについては、集団投資スキームそれ自体としてリーガライズということはまだやや先の話であって、具体的なSPC法の改正という中で、我々がこの「中間整理」で盛り込み、多くの方々からほぼ共通して御賛同いただいているだろうなと思われる考え方を、精神を生かして、それを具体的にSPC法の改正の中にたたき込みたいと、こういう形で12月末にまとめを「中間整理(第二次)」という形で出したい。そういう点では、直接的な形でありませんけれども、間接的に我々の中間整理の法制化というものを一歩進めさせていただきたいというのが一つ。
 2番目は、金融商品の統一的な販売・勧誘ルールについてでありますけれども、この点については、やや他人のふんどしも期待している。他人のふんどしというのは、経済企画庁の国民生活審議会が消費者契約法の成り行き如何と。その辺を睨みながら、できるだけ可能な限り歩調を合わせる形で、同じ法律にするということではないですよ。しかし、金融商品の販売・勧誘に関するルールの統一化というものを消費者契約法の法案化、法定化ということと歩調を合わせる形で進めさせていただきたい。そこでは当然販売・勧誘ルールについてのいただいた様々なコメントを取り入れさせていただくと、こういうこと。これもまた12月の末を念頭に置いて、いつでも出せるような態勢を作っていくと、こういうことを考えていいですね。
それから、もう一つは、証券決済という新たな問題が出てきたわけです。これがどういう経緯で出てきたかはともかくとして、日本の金融システムのインフラとして、何も証券に限ったことでありませんけれども、ここにもばらばら性、縦割り性というものが牢固として抜きがたい形で存在しております。これに対してある種の風穴を開けてみたい。これは率直に言えば自民党の一部の中で金融問題に御関心のある向きの中で強く主張されてきていることで、情報革命の流れに対応するという意味でも時宜を得ているのではないかと思いますが、私としては、何も狭い意味での証券決済にこだわることなく、日本の金融全体の決済のシステムに関して展望が開けるような、そういう議論をワーキンググループを設置する形でお願いして、その具体的な展開をどうするか、どこから始めていくかということはともかくとして、21世紀の金融のインフラ整備、さらには21世紀の金融のあり方全体につながっていくような議論もお願いしたいというふうに思っているわけです。
そういうことで、先ほど通常国会にどういう形でということになるわけですが、一般的な形でこうなりますと、金融サービス法という形では出ていかない。しかし、我々が議論した精神というものは具体的には少なくともSPC法と、それから、金融商品販売・勧誘に関するルールの共通化、統一化に関する法律になるんでしょうか、どうなるか知りませんよ、それは。僕が今勝手に思いついて言ったわけですが、そういう作業を進めさせていただきたい、こういうふうに考えています。
御意見を頂戴したいと思います。どうぞ。
○原委員 確認なんですけれども、販売・勧誘のルール、継続的に検討して、消費者契約法の議論を見るということなんですか。
○蝋山部会長 議論ではない。
○原委員 消費者契約法がどういう形になっていくかということですね。消費者契約法制定の議論にも私は加わっていますのですけれども、結構金融業界はヒアリングをしますとトーンが低いというか、何か引き下がっているというような印象があって、それでも消費者契約法ができれば、一応業態横断的ですから、そこに乗っかるということになるんですが、その消費者契約法が来年の通常国会を目指していますから、できるとすると、今一番最後にお話しになったところなんですけれども、金融サービス法は、金融サービス法という形で契約法を追っかけて、例えば来年の6月ぐらいに通常国会に出されるのか。それとも、消費者契約法におんぶというんでしょうか、その契約法に委ねちゃうというようなこともあり得るのか。
 例えば、共通している問題ありますね。重要事項ですとか、その辺が、一番最後に御発言になったところがよくわからなかったんですが、集団投資スキームについてはとりあえずかなり合意があるから……
○蝋山部会長 いや、集団投資スキームも、集団投資スキームに関する法というような形で包括的にやることは、まだまだ大変難しい話であると思います。直接の当事者の間での了解はある程度可能であったとしても、レギュレーターの方の法律の問題というのはまだまだ残っているわけでありまして、それはそう簡単な話ではない。
 ですから、SPC法の改正という形態をとりながら、集団投資スキームに関する新しい仕組みのとっかかりとしたいと、こういうふうな作戦であるわけです。
○原委員 そうですね。それはよくわかったんですが、販売・勧誘のルールについてはどうですか。
○蝋山部会長 そして、販売・勧誘については、消費者契約法と一番いいのは共同戦線を張るという形になる。おんぶするとか何かということではなくて、経済企画庁と密接に連絡をとりながら、二つ合わせた−−合わせたというのは形の上ではないですよ。法定化に向けての歩調を合わせていこうと、こういう意味だというふうにお願いします。
○原委員 そうすると、必ず金融サービス法という形のあるものとして提案はされると。
○蝋山部会長 それを「金融サービス法」と言うかどうかともかくとして、どういうふうに言ったらいいでしょうか。
 高木さん、どうぞ。
○高木参事官 要は、金融サービス法というのはいろいろ御議論いただいていまして、販売・勧誘ルールの部分についてもいろんな御意見があって、それは先ほど部会長がおっしゃいましたように、いずれにしても、来年の6月末までかけて慎重な議論が必要だと思うんですね。
 とりあえず一方で、消費者契約法について企画庁の方で御審議されていて、その関係で金融取引について何らかの手当てが必要になるかどうか、もし必要になるようであれば、その分について先行手当てをすることも考えなければいかぬなという発想なんです。なかなか販売・勧誘全体について、原委員おっしゃるように、この時点で金融サービス法としてまとめられるというのであれば、それはもちろんいいと思いますが、現状では、集団投資スキームを含めて、とにかく各業法があって、それを前提に物を考えざるを得ないわけですね、今の時点では。そうすると、販売・勧誘ルールといっても、実質的にはともかくとして、建前上は各業法に基本的なことが書いてあるはずなんですね。金融サービス法というのはその全体を一定の理念で見直していく法律なわけですけど、現状そこは手がつきませんから、それ以外の部分、あるいは若干業法にかかる部分もあるかもわかりませんけれども、いずれにしても、消費者契約法を主として何か手当てする必要が出てくるのか、出てこないのか、そういう場合にとりあえずどういう点が手当てできるかということが一番私どもの関心事項であるんです。
○原委員 たびたびですみません。それで、その手当てというのがちょっとよくわからないんですが、金融サービス法という、別にまだ法律の形も何もないですから、そういう考え方というんでしょうか、販売・勧誘のルールについて金融サービス法みたいな総体のものがあるとしますと、それを消費者契約法が同時並行的にやっていますから、ひょっとすると、この理念のようなものは消費者契約法+業法の改正ということで、ここで議論をした金融サービス法の考え方というのは、そういう形でも実現をされるだろうというお考えもあるんでしょうか。法律というふうになるのか、1本のきちんと条文があるような法律という形になるのか、それとも、ここで議論された販売・勧誘ルールは金融サービス法と何となく総称で呼んでおりますけれども、これは消費者契約法と業法の改正でも同じ結果が得られるとして、そういう道のりをたどるということもあり得るという議論になるんですか。
○高木参事官 金融サービス法を考えるときの基本的な発想というのは、各業法である限り、商品の仕組みとか何か抜け落ちるとか、あるいは端境の商品についての販売・勧誘ルールが段差ができてしまうとか、そういう意味で投資家保護上も適切な仕組みができないとかいうことですから、金融サービス法ということを目指す以上は、各業法を前提にした規制というのは基本的に私はあり得ないんじゃないかと思っているんですが、いつまでも各業法がある前提で物を考えますと、今申し上げたような、どんどん発展するいろんな隙間の金融商品の開発が阻害されるとか、それから、ルールもいろいろ段差ができてしまうとか、そういうことになると思うんですね。
 ですから、原委員のおっしゃるような業法を前提にした、それを含めて金融サービス法という考えは、ちょっとどうかと思います。
○蝋山部会長 その一方、こういうことなんですね。私の理解では、消費者契約法という世界は、これは非金融商品だというふうに私は考えた方がいいと思います。もちろん連携する議論のプロセスの中で、一体金融商品はどういうふうに考えるのかということを消費者契約法を議論するサイドでいろいろ議論されるということは必要だろうと思いますし、平仄を保つということも必要でしょう。
 しかし、少なくとも体形としては、金融と非金融というものの一応分けて考える必要があるだろうというふうに思います。そして、その上で今度は、金融だけに焦点を絞ったときに、現在は様々な業法があって、業法で全てを覆い尽くしているわけではないし、しかし、今後は様々な狭間商品というのも登場してこなくちゃいけないし、登場してくるだろうというふうに思います。
 そういう点で、金融商品全体について統一的な販売・勧誘のルールというものは必要でしょう。それを「金融サービス法」と呼ぶなら、それはそれでいいと思いますが、金融サービス法というと、もっと私は概念は広いと思いますが、狭義の意味で「金融サービス法」というふうに呼んでもいいかと思います。
 しかし、そのときの基本的な考え方は、これまでに比べてみれば、より利用者、消費者の観点に立った販売・勧誘はいかにあるべきかという点で、消費者契約法の基本的な考え方と矛盾するものではない。
 そこで、法制化ということを考えたときに、具体的に統一的な金融商品に関する法律になるかどうかは別にして、消費者契約法と歩調を合わせて法制化というものを考えることが必要なのではないか。国会対策その他の点でも適切なのではないかというふうに考えているわけです。結果的に、今の法技術的に、統一的な金融商品販売・勧誘に関する法といったものができることが可能かどうか。法制化するときに同じ文句を各業法にはめ込んだ方がいいのかどうか。そして、プラスアルファ、業法ではカバーできないところにその他という形で入れるのがいいのか。そういう法技術的なことは私はよくわかりません。それは恐らくこの法制化を考えるときの法務省とかその他と折衝の過程で判断されることではないかというふうに思います。
 しかし、出来上がる姿というのは、あらゆる金融商品について、今後登場することも含めて統一的な販売・勧誘のルールというものが消費者契約法と歩調を合わせる形で整理すると、そういう考え方で進むことが必要なのではないか。そして、それはどういうふうに政治的に展開するかどうかは別にして、今までやや消費者契約法の法制化ということと切り離した形で議論してきましたけれども、法制化ということを考えたときには、そういうふうな作戦をとることもよろしいのではないか。しかし、精神は同じだと思っていますので、より具体的に金融サービスの特殊性というものを十分に加味しながら、議論は進めていかなくちゃいけないと思います。そんなふうに考えていますが、無理でしょうか。
○福田金融企画局長 一言。
○蝋山部会長 はい。
○福田金融企画局長 部会長の答えで尽きておりますが、原委員、大変緻密な御質問なんで困っちゃうわけで、要はその辺は少し曖昧なままに、玉虫にしておきたいというのが率直なところで、二つファクターがありまして、一つは、消費者契約法というバスが今度出ることがほぼ確実だということなんで、そうすると、我々の今お願いしていることと関連が出てきちゃっているということが一つ。
 それから、もう一つ、私も途中から乗っているようなものですけれども、今までの御議論で非常に幅広い問題なんですけれども、その中でも販売・勧誘ルールというのがどうも一つのコアらしいと、この問題のですね。そうすると、ここまでパブリックコメントまで頂戴しましたので、次に、まずそのコアらしい販売・勧誘ルールにもう少しフォーカス当てて、その全体の金融サービス法の中での政策的な意義付けがどうかというのは、これでどれぐらいカバーできるかという話もあるでしょうし、それから、これをもう少し立法化に向けて具体的に考えたときに、どのような問題が出てくるかというようなことも考えていただいて、つまり一つのコアだろうということで議論を少しフォーカス当てたいと、その二つ考えてみますと、この販売・勧誘ルールのところだけでも、全体の金融サービス法、将来に向けてのサービス法との位置づけはかなりはっきりできる。しかも、御意見の中にも、できるものからやれというものもあるわけですから、そうすると、ひょっとするとそういうプロダクトができて、あちらの出るバスと一緒に出す可能性もあるかもしれないということなんですけれども、この販売・投資勧誘ルールだけでも、我々中でちょっと議論していますと、結構難しい問題がたくさんございますから、商品をどう限定する、説明とは何ぞやとか、そうしますと、物理的な時間の制約もございますから、それでは、必ず来年の通常国会までに用意するかというまだ成算もないということですので、まさにそこが一つこれから御議論いただく点だと思いますので、余り詰めないでいただきたいというのが結論でございます。
○蝋山部会長 部会長としてウィッシュフル・シンキングを述べたわけでありまして、局長からは非常に現実の厳しさを強調された。その辺のことは御理解いただきたく思います。
 玉川さん、何か。その後、上柳さん。
○玉川調査室長 短くなんですけれども、消費者契約法というのは大体考え方としては、だんだんと不適切な勧誘に当たっては取消し効を与えるみたいな、そういう形に近づいてきているというふうな話になって、全体としてやや金融サービス法的な今までの議論としては、むしろ積極的に説明義務を負わなかった場合には、何か損害賠償みたいな責任を問われるのではないかという議論がありまして、その二つが相互に関連していますので、この二つの考え方について、どうリンクするかのあたりが一つの大きな論点になると思いますので、そこの部分をちょっと詰めてみたいと思っているわけなんです。
○蝋山部会長 だから、論点まで同じ答えを用意しようというふうに言っているわけじゃありませんよ、私は。金融のサイドは金融のサイドなりに、よりベターな方向というものを考えていかなければいけないと思うんですが、少なくとも、しかし、より消費者の側に立っての、使いやすい金融サービスの供給というものはいかにあるべきかということで販売・勧誘を取り上げ、ある種の我々の判断を示したい。その判断を示す一つのターゲットとして、経済企画庁の消費者契約に関する議論と歩調を合わせたいと、こういうことです。歩調であります。どっちを向いているか、鉄砲かついでいるか、何をしているかは、また別の話です。
 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 余り詰めない方がいいという御示唆もありましたので、お答えを求めるわけじゃないんですが、消費者契約法と今ここでイメージしている販売・勧誘ルールというのは、恐らく効果とか要件とかの問題で両立可能というか、もっと言えば、金融商品については独自の上乗せするルールというのが考えられるのではないか。そういう意味で、金融商品の定義の問題が省庁間の問題になってくることは承知しているんですが、定義と、それから、販売・勧誘ルールと、それの紛争解決については、それを「金融サービス法」と呼ぶかどうか別にして、折角の審議会ですし、それから、来年の7月に括弧の中に入っている金融庁発足というのがむしろ障害になっているのかもわかりませんが、これまでに仕上げるというのが求められていることではないか。その後にいろいろ金融の自由化の最終仕上げがきているわけですので、やっぱり多くの人たちからは、「金融サービス法」と名付けるかどうか別にして、かなり包括的な金融取引のあり方についてのルールが求められているのではないか。これは法律的に大変なことは承知しているんですが、もう一段エンジンをかけ直すというのか、緊急の問題として考える必要があるのではないかというふうに思います。
○蝋山部会長 岩村さん、どうぞ。
○岩村委員 局長から「詰めるな」と言われているので、ヒアリングになっちゃったんです。ただ、一つ、この形成の読みの中で気になりましたのは、消費者契約法は金融を除くという気分はわかるんですが、除けるのか。除くためには、今度は金融の側が定義とか、境界を整理するとか、そういうことが要るような気がするので、その辺の見通しというのはどんな距離感をお持ちなのか、むしろプロの方に伺いたいと思います。
○玉川調査室長 そこは一つの論点だと思うんですけれども、経企庁の方はあくまでも金融も除かないで、むしろ議論の出発点は変額保険とかそういう話であったので、特にその中から、だんだんと議論として、不適切なものがあったときには特に取消し可能にしろと。それと我々のこの議論の論調である、説明義務を満たさないときには損害賠償を付与しようと、二つの関係がどうなるかということで、経企庁は今のところ、金融サービスを排除しようとは考えていらっしゃらないと思いますし、我々も両立不可能だと思ってはおりませんが、そこは議論の必要があると思っています。
○岩村委員 ちょっと気になったのは、むしろ議論の内容の食い違いの問題もありますけれども、要するに消費者契約法と、それから、金融におけるルールというのが、金融におけるルールが別にあるとして、重ねて、重畳的にかけてしまうのであれば、それはわかるんですけれども、簡単なんでしょうけれども、重ねないんだとすると、重ねないようにするためには、それなりの金融とは何かとか、金融商品とは何かということについてのディフィニションが要りますよね。もしも消費者契約法と切り分けて進もうというふうな可能性もあるのであれば、そのディフィニションをどうするかという類の議論については、部会のこれだけの議論を共にやってきたわけですから、そこのディフィニション作りについては、むしろ技術的な問題としても、一定の詰めを行っておく必要があるのではないかなという気がしたので申し上げました。
○蝋山部会長 どうぞ。
○内藤企画課長 今の企画庁の行っております消費者契約法の中では、これから議論ですけれども、今のところは、金融という部分を排除して、非金融だけで議論するという考え方は必ずしもとっていません。全体的な消費者問題という手法の形で考えている。
 それから、金融というもののディフィニションの問題ですけれども、それは、いずれにいたしましても、販売・勧誘ルールも横断的な法整備という形でこれから御議論いただく中で、当然ながら金融商品とは何かという議論になってまいります。ある意味で抽象的な金融とは何かという形。これは「中間整理」でも御指摘いただいておりますけれども、そうした形で定義ができるのかどうか、あるいは、それではなかなか難しいから、やはり実態の各業法に立脚する金融商品という形で範囲を決めるというふうな議論になってくるのか。そうすると、やはり横断的な法律というか、コンセプトというものが果たしてそれが意味をなすのかどうか、あるいは、それでもなおかつ必要なんだと、こういうふうな論拠がどういう形で作れるのかと、そういった議論が今後出てくると思いますので、それはぜひまた御検討いただきたいというふうに思っております。
○蝋山部会長 初めから私の説明の仕方がまずかったかと思いますが、金融、非金融というのを初めから法律的に切り分けるということを前提にして議論しているわけじゃありません。
 要するに消費者の観点に立って、どっちがいいんですか。そして、それは直接的な効果のみならず、間接的なシステム全体のパフォーマンスから利益を得るわけですから、間接的な効果を含めて、全体としていわば国益、公益になるような考え方は何なんですか、こういうことであって、初めから制度として分けるということではないということを申し上げたいと思います。
 というような形でやや具体的にこの議論を進めされていただきたく思います。そして、今日いただいた御意見は、パブリックコメントを御紹介して、皆様方にそれを消化していただいたわけでありますけれども、消化したエッセンスは、ぜひ前向きに、積極的に取り入れる形でこの部会の議論を進めさせていただきますが、議論的には、新しい事務局の体制になりまして、しかも、金融庁の発足という来年の7月が間近になっておりますこともあり、極めて作業の具体的な目標というものは明確になってきたということを御認識いただきたく思うわけです。
 それから、我々の諮問された21世紀の金融のあり方というのが基本的な諮問事項。それが金融審議会に対して諮問されまして、それがストレートに第一部会の方に回ってきたわけでありますけれども、これは全部を法案化するということでは決してないというふうに思います。法案化できるものは大いに法案化しなくてはいけないわけですが、中には、法案化、法制化というのは金融庁にお任せする。しかし、少なくとも我々としては、21世紀の金融のあり方、将来の金融サービスと規制の枠組みのあり方についてのビジョンははっきりと、金融庁がどういうふうに審議会を作るのか、よく知りませんから、ともかく金融庁の発足の時期までに相当明確な将来の金融ビジョンというものを示すということは、どうしても必要だというふうに思います。そうでなかったら、諮問された事柄に対して、踏ん切りの悪い形で、ずるずると時間がたって、あの審議会どうだったのということになりかねない。
 部会長としては、その部分のどれかが法制化されるか。法制化できるものは法制化していただきたいとは思いますけれども、そのことも考えますが、同時に、来年の6月の最終報告のときには、その時点での我々の考える将来像というものをはっきりさせる。これは大きな仕事だというふうに思っておりますので、この点もよく、全てを法案化できるかどうかはともかくといたしまして、御認識いただきたいというふうに思うわけです。よろしゅうございますでしょうか。
 次回以降の審議テーマは、具体的にはお知らせいたしますけれども、まず一つは、臨時オブザーバーという形で、そのテーマごとにオブザーバーを招きたいというふうに考えております。これはどういうタイプのオブザーバーかといいますと、一つは、違う省庁からのオブザーバーであります。御承知のようにいろいろな問題が各省庁にまたがっておりますので、各省庁から適切な方をオブザーバーとして、また、実際の関係者、これは実務関係者の方も含むし、時には、場合によっては消費者団体の方ということも頭の中に入れてみたいというふうに思いますが、複数名追加する必要があるのではないかと思います。そうした点で御了解を頂戴したい。
 それから、もう一つは、どういうふうにワーキンググループの改編をし、証券決済システムの改革に関するグループを作るかという点につきましては、私の方で委員を選任させていただきたいと思いますので、次回の開催部会のときにはきちんとお知らせいたしますが、それを待たずに活動に入らせていただくことを御了解いただきたいというふうに思います。
 以上の点、御了解をいただきたく思いますが、いかがでございましょうか。
 一つは、テーマごとに臨時のオブザーバーをお願いするということ。それから、今まで集団投資スキームとホールセール・リーテイルという形でワーキングがありましたが、それをどういうふうに改編して、さらに証券決済に関するワーキンググループを作らなければいけない。この点についての人選を進めると同時に、人選が決まったところからは早々と活動をお願いしますので、中には次回の部会の前に活動を進めているかもしれません。その点の御了解を頂戴したいということ。以上であります。
 よろしゅうございますでしょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○蝋山部会長 ありがとうございます。
 次回以降、中身については、今申し上げた点、部会への追加メンバー、あるいは新しいワーキングのメンバーについては、次回にきちんと御報告させていただきますが、これは事後報告になることを御了解ください。
 では、次回の日程、よろしくお願いします。
○乙部債権等流動化室長 次回は、10月8日(金曜日)午後1時からとさせていただきます。議事といたしましては、「SPCと集団投資スキーム法制」に関しまして御審議いただくことを予定しております。
○蝋山部会長 よろしく10月8日、お願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 散会いたします。
                                (以 上)