金融審議会「第一部会」第14回会合議事録

 日時:平成11年10月8日(金)13時00分〜14時56分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室

○蝋山部会長 1時に来られる予定の方は全員座っておられるようですので、第14回の金融審議会「第一部会」を始めさせていただきます。
 お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回御了解をいただきましたように、中間整理に対するパブリックコメントの中で関心の高い分野の一つであります集団投資スキーム法、これとの絡みでSPC法の改正につきまして御審議をいただきたく思います。
 SPC法の改正を手がけて、その中に集団投資スキーム法といったものを展望するといいますか、埋め込むといいますか、これは大変重要な作業であるというふうに思います。
 審議に先立ちまして、今回からこの問題の重要性を考えまして御参加いただくことになった臨時オブザーバーの方及び関係省庁の代表の方を御紹介したく思います。前回の会合でもこの点はお話し申し上げましたけれども、この部会において、年内で何とかこの件は具体的な法制化を視野に入れる形でのまとめをしたいというふうに考えておりますので、実務関係の方並びに関係省庁の方の御参加をあえてお願いした次第であります。どうか御了承いただきたく思います。
 それでは、事務局から御紹介をお願いしたく思います。よろしく。
○乙部債権等流動化室長 それでは、御紹介申し上げます。
 大川陸治東急不動産常務取締役、臨時オブザーバーでございます。
○大川オブザーバー 大川です。どうぞよろしくお願いいたします。
○乙部債権等流動化室長 野村 守建設省建設経済局不動産業課長でございます。
○野村建設省不動産業課長 よろしくお願いいたします。
○乙部債権等流動化室長 山下貴史農林水産省食品流通局商業課長でございます。
○山下農林水産省商業課長 山下でございます。
○乙部債権等流動化室長 山城宗久通商産業省産業政策局商務室長でございます。
○山城通商産業省商務室長 山城でございます。
○乙部債権等流動化室長 また、本日は御欠席でございますが、法務省民事局から江原健志様にも御参加いただくこととなりました。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○蝋山部会長 江原さんは御欠席ですけれども、以上の5名の方、どうぞよろしく審議に御参加いただきますようお願い申し上げます。
 時間も限られておりますので、早速今日の議事に入りたいと思います。
 今日は、集団投資スキーム法を展望したその第一歩としてのSPC法改正についての審議を行うということが今日の目的であります。
 初めに、事務局からお手元の資料に基づいて説明をさせていただきまして、その後、自由討議というふうにしたいと思います。やや長くなるかと思いますが、長くても30分以内でお願いいたします。どうぞよろしく。
○乙部債権等流動化室長 手短にいたします。まず、資料14−1でございますが、SPC法改正につきまして御議論いただく前提といたしまして、7月6日にとりまとめいただきました中間整理に示されました基本的考え方をお手元に要約してございます。
 「集団投資スキームの意義と制度整備の方向性」でございますが、高齢化社会における国民の有利な資産運用ニーズ、これは運用側でございます。成熟経済におけるリスク・テイクを伴う新規産業への資金供給ニーズの高まり、調達側でございますが、こうした変化の下、金融のあり方も、リスクが、市場を通じた利用者により分散して担われることが望まれるようになってきているという指摘がございました。
 こうした要請に対しまして重要な役割が期待される集団投資スキームについて、金融イノベーションを促進し、多様で魅力的な商品の提供を可能とするため、適切な投資者保護を前提としつつ、横断性と自由度の高い法制を検討する必要があるという考え方が示されていたと思います。
 具体的な各論点につきましてですが、現状の法律が投資対象や受皿に応じた各業法の縦割り規制になっておりまして、これが商品設計等について制約となっている面があるため、今後、各業法の枠を超えた横断性と多様性を持つ商品が生み出されるよう法整備を行う必要がある。
 投資者保護につきましては、ディスクロージャーの整備による自己責任原則を前提としつつ、集団投資スキームの適正な運営を確保する仕組みを構築する必要があり、投資者の権利行使や第三者の外部チェック等によるビークルのガバナンス機能の活用、スキームに関与する業者の投資者に対する受託者責任の明確化が重要という指摘がなされておりました。
 それから、具体的なルールにつきましては、資産運用型と資産流動化型という類型に分けて検討する必要があるということで、資産運用型につきましては、業者の裁量による運用を前提としているため、利益相反等の種々のリスクへの対応として、仕組み業者の受託者責任の明確化、投資者のガバナンス機能、外部チェック機能、それから、スキームや業者の適格性を確保するための行政の関与、運用業者の受託者責任の明確化、資産の分別管理が重要という指摘がされておりました。
 資産流動化型は、特定の資産が生み出すキャッシュフローを独立させて維持管理して金融商品を組成する仕組みであり、スキームの変動防止のため投資者のガバナンスの制約、仕組み業者の受託者責任の明確化、それから、全体としての投資者保護の枠組みの中でのスキームと業者の適格性の確保、資産の分別管理が重要、こういうような指摘がされていたと思います。
 次に、SPC法の改正の議論でございますので、その前提といたしまして、現在のSPC法の仕組みを簡単に御説明させていただきます。
 資料14−2でございますが、基本的なスキームは、不動産、指名金銭債権の保有者が、SPCに資産を譲渡し、SPCが当該資産を裏付けとする証券を発行することにより、資産を流動化する仕組みでございます。
 対象資産は不動産と指名金銭債権。それから、これらの資産を信託した場合の信託の受益権、これに限られております。
 このSPCが発行可能な証券は優先出資、社債、CPの3種類でございます。
 この流動化のビークルとなります特定目的会社の性格・特色でございますが、SPCは資産の流動化を行うための器であって、その機能は資産を維持管理するだけで裁量による事業活動を行わない、こういう特色がございますので、まず第一に、一般の株式会社と比較して、組織・資本を簡素化しております。取締役も1人でいい。資本金も最低資本金 300万円というふうになっております。それから、支払い配当を損金に算入するという法人税法の特例がございます。通常は利益に対して法人税を支払った後配当を行いますが、SPCは支払った配当は経費として算入されるという特例がございます。
 このように通常の会社と異なる特例を受けるための前提として、このSPCは通常の会社とは異なる仕組みとする必要がございますので、以下の制限がございます。
 一つは、業務が資産の流動化に限定されているのみならず、そのSPCが保有する資産の管理、処分業務については自分でやらずに他の者への委託を義務づけております。
例えば、不動産の流動化で、自分で保有して、これを管理、処分までやりますと普通の不動産会社と変わらなくなりますから、これはできないというふうに制限がかかっております。
それから、余裕金の運用制限もございまして、国債、預貯金のように元本の保証されたものにしか運用できないようになっております。このほか、資金借入れが制限されております。
 投資家保護の仕組みといたしましては、SPCが登録制になっておりまして、金融再生委員会の登録を受けなければ業務が行えないという規制があります。登録審査には標準処理期間として2カ月程度余裕が与えられております。
 次に、資産流動化計画でございますが、投資家の投資判断の前提として投資内容を資産流動化計画として定めるとともに、この内容が投資者の同意なしに変更されて不測の存在を被るということのないよう、流動化計画の変更が制限されております。そして、この流動化計画に反する行為が行われたときに、差止め請求権が発生するように、この計画を会社の定款記載事項としております。
 それから、やや技術的ですが、資産と証券の対応関係を明確なものとするため、一つのSPCが行う流動化は一つの流動化計画というふうに、1対1対応という制約を設けております。
 このほか、社債管理会社の設置義務づけですとか、優先出資の減資ができない、こういう制限を設けて投資家保護を図っております。
 次に、資料14−3を御参照いただきたいと思いますが、これまでのSPC法に基づく流動化の利用状況でございますが、登録順に書いてありますけれども、全体で9月30日までで約1年間ですが、19件流動化が行われまして、証券の発行予定総額が1兆   2,800億円。このうち不動産関連が8件、 1,400億円、金銭債権関連が11件、1兆1,400 億円に上っております。
 それから、次に、資料14−4、「SPC法に関する要望事項」でございます。これは私どもで9月に入りまして、金融界ですとか不動産業界、それから、格付機関その他の方々からヒアリングいたしましたし、また、資料、書類等で要望がなされたものをまとめてございます。いろんな方々から出された要望をそのまま書いてありますので、緊要度についても様々なものがございますし、相互に整合性のとれていないものもそのまま掲載してあります。中身の妥当性についてもいろいろ御議論があろうかと思います。
 要望の概要ですが、SPC法による資産の流動化を巡りまして、まず第一に、SPC法自体の緩和・弾力化の要望がございます。これは2. 以下で詳しく御説明いたします。
 それから、SPCを巡る税の軽減措置の拡大の要望がございます。これはコストとなってはね返ってまいりますので、なかなか投資家、それから、資金調達サイド両面に影響が出るということで、要望がかなりございます。
 それから、流動化を巡る上でいろいろと支障となるということで、借地・借家法ですとか破産法、その他一般民商法のような一般ルールについて幾つか要望がございました。さらに少し毛色が変わりますが、オリジネーター自身の資産対応証券の取扱いというような要望もございました。
 次に、SPC法自体の緩和・弾力化に関する具体的要望が以下に掲げてございます。
一番上の流動化対象資産の拡大は、先ほど御説明申し上げましたように、現行では不動産と金銭債権に限定されておりますが、これをもう少し広げていただきたいという要望。あるいは逆に全ての財産権を対象としてもよいのではないかという意見がございます。
 最低資本金の引下げですが、現在 300万円になっておりますが、これもコストとなってはね返ってまいりますので、この引下げの要望がございます。事業を行わないペーパーカンパニーのようなSPCにおいて、一般の会社のような最低資本金の定めが必要なのかどうかという観点からの要望だと思います。
 次に、流動化計画の簡素化。これはその次の登録審査期間の短縮とも関わる問題でございますが、今、SPC会社を設立いたしましてからSPCの登録を金融再生委員会に申請しまして、標準処理期間が2カ月ございます。審査が終わって登録されますと流動化業務が実際に行われると、こういう流れになります。投資内容が記載される流動化計画は定款記載事項ですので、会社を設立した段階で一応決まってなければいけない、こういうことになっております。ただ、実務上は投資内容というのは投資家に証券を発行する直前までいろいろ調整とか変更が行われますので、こういう詳細なものを2カ月以上も前に定めることは実際上は不可能で、仮に何か定めておいて、あとは変更していくということが必要になるようですが、これが大変事務コストがかかるようでございます。この問題は投資家に対して投資内容を提示するという必要性がございますので、詳細なものは、投資家に証券を販売する段階では、いずれにせよ定められていなければいけないわけですが、これが会社設立の段階で果たして必要なのかどうかという観点からの要望だと理解しております。これが同じようなことですが、登録審査期間が非常に短くて、あるいはゼロであればこういう問題はそもそも発生しないと、こういうことにもなります。
 次に、倒産隔離についての法的手当て。これも大変技術的でございますが、資産を持っているオリジネーターがSPCに資産を移す。そして、そのSPCがその資産の価値、キャッシュフローを担保に証券を発行するのが証券化でございます。この際、オリジネーターよりもSPCの方が格付が高くなることによって資金調達コストが下がることが大きな眼目でございますので、格付機関に高い格付を付けていただくということが必要になります。このとき、格付機関はSPCとオリジネーターの関係が切れていることを求めます。オリジネーターがSPCに対して何らかの議決権を通じて影響力がありますと、SPCの格付はオリジネーターよりも上がらないと、こういうことになりますので、この間の影響力が切れることを求めております。日本の法制では詳しくは技術的ですので省略しますが、なかなかこの影響力の切断ができませんので、ケイマンのようなところにSPCをもう一つ作りまして、それから、さらに信託宣言を利用した事前信託というふうな特殊な英米の仕組みを使ってこの倒産隔離を図っておりますけれども、費用と時間もかかりますので、できれば国内で、こんな海外に行く迂遠なことをしなくても、簡単に倒産隔離ができるようにしてもらいたいという要望がございます。
 それから、次は、余り強い要望ではないですが、一部の方からございましたけれども、取締役の義務・責任を法的に緩和してもらいたい。取締役のなり手が少ないようでございまして、これを解消するために法的に軽減してもらいたいということをおっしゃられる方もいらっしゃいました。
 監査役の廃止も同じでございまして、コストがかかるので、できればなしで済ませたいという要望をおっしゃる方もいらっしゃいました。
 借入金制限の緩和でございますが、これは現在のSPCは流動化を証券化というふうに捉えておりますので、SPCに特定資産を移す、そのSPCが特定資産を購入する資金は投資家に対する証券の発行によって賄うという仕組みをとっております。証券発行には時間がかかりますので、まず借入れを行っておいて資産を購入し、その後、証券を発行して借入れを返済するという形で一時借入れは認められておりますけれども、いずれにせよ最終的には証券に置きかわらなければいけないと、こういう法制になっております。
 ただ、実務の方からは、証券の発行か銀行借入れかは有利な方を選択させてもらいたいと、こういうニーズがございます。それから、不動産なんかで規模の小さいなものを証券化すると証券発行コストがかかりますので、ローンでSPCが建物を購入する。このローンを幾つかまとめて、それを別なSPCに移して、そこが証券を発行すると、こういうこともやれれば非常に効率的ではなかろうかという御意見もございます。
 あるいはまた、不動産の開発案件では、ビルが建ってテナントが入れる段階になればキャッシュフローも確実になりますので、格付が取れて社債の発行が可能になるわけですが、それ以前はどうしても借入れで行わざるを得ない。その後証券を発行して借入れを返済すればいいわけですが、計画段階からテナントが入るまで何年もかかりますので、その間の変化を勘案しますと、全額予定していた証券発行で借入れが返済できない場合もある、一部借入れが残ることも認めていただきたいと、こういうような要望かと思います。
 次の優先出資の消却払戻しですが、これも不動産の証券化の場合に発生いたしますが、減価償却が毎年発生します。これが費用に相当しますので、その費用相当分は利益として配当できないことから、SPCの中に滞留してしまいます。これを投資効率を上げるためには有価証券に運用するか、あるいは出資者に払い戻してしまいたいと、こういう要望がございます。現行では優先出資は社債権者保護のために期中では消却払戻しができないことになっておりますが、これを一定の社債権者保護手続をとった上で、あるいは社債権者に不測の損害が生じないような手当てをした上で払い戻すようにできるようにしていただきたいという要望がございました。
 業務委託制限の緩和は、これも先ほど申し上げましたように、SPCが法人税、それから、株式会社法制の特例を受けるために一般の会社と異なる制限を自ら課しておりますが、その制限自体を緩めてもらいたいという要望が要望としてございました。
 それから、次の三つは関連いたしますが、SPCは投資内容を流動化計画で定めますと、投資家はそれを自分で判断して投資決断を行う。その後投資内容は変えないと、こういうところに特色がございますので、SPC自身が裁量でお金を有価証券に運用するとか、あるいは資産を追加で購入するとか処分するということができないようになっておりますが、これをできるようにしてもらいたいと、こういう要望がございました。
 それから、一番下ですが、信託型の導入。SPCというのは流動化の器としてカンパニー、会社を使っておりますが、この会社のかわりに信託も使えるようにしてもらいたいと、こういう要望でございます。
 要望としては大体このようなものかと思います。
 御議論いただく際の参考といたしまして、海外の制度を少し整理いたしました。資料14−5でございますが、流動化のための各国法制度でございます。
 日本とフランスは流動化のための特別の法律がございますが、アメリカとイギリスはございません。一般の会社法とか信託関係の法律、有価証券関係の法律に基づいて流動化が行われております。これは英米と日本とで一般の会社法、それから、税法の扱いがもともと違うということからこうなっていると私どもは理解しております。アメリカの場合ですと一般の株式会社が取締役も1人でいいという州もありますし、最低資本金も非常に低い、あるいは定めのない州もございますので、一般の会社を流動化のビークルとして使ってもコストはそんなにかからないという問題がございます。日本の場合は最低資本金 1,000万円、取締役3人という非常に重たい制度ですのでコストがかかります。
もう一つ税の観点がございますが、ビークル、器の段階で法人税がかかりますと、投資家段階と合わせて二重課税の問題が出てまいります。これに対してアメリカは税制上の措置で一定の要件を満たせば二重課税が起こらないように税法として措置されておりますし、イギリスの場合は法人段階で支払った税は投資家段階で個人が払う際に控除されるインビテーション方式がございますので、もともと二重課税が大きな問題として起こってこないという違いがございます。こういうふうに税制と会社法制が異なりますので、英米では特別の法律が必要なかった。したがいまして、行政による関与も行われていませんし、業務制限もないと、こういう違いがございます。
 日本は特別法がございますが、日本で流動化を行う際に、必ずしも日本のSPC法は使わなくてもいいわけでして、日本の資産を流動化する際に規制のないケイマンとか、アメリカのSPCに資産を移して、そこで証券を発行して、それを日本にそのまま持ち込んで証取法のディスクロージャーを行って投資家に販売するということができますし、現にこちらの方がSPC法以前から広く行われてきております。
 次に、運用型について簡単に触れたいと思います。
 資料14−6は、我が国における資産運用型スキームの概要を幾つかピックアップいたしました。これは流動化型と異なりまして、業者が裁量で運用いたしますので、業者の適格性を担保する仕組みがございますし、それから、業者が自分の関連するものではなくて、受益者のことを第一に考えて行動するようにという観点から、いろいろな受託者責任の明確化が図られております。
 次に、14−7は省略いたしまして、一番最後の資料14−8でございますが、各国の投資信託の運用型の投資ファンド法制を比較した資料がございます。
3番目の行、投資対象資産というところを御覧いただきたいと思いますが、日本の場合は証券投資信託ということで、主として有価証券に対する投資ファンドの法制がございます。アメリカの場合も主として証券ですが、証券概念が日本より広くなっておりまして、集団的な投資スキーム商品もここに入ってきております。イギリスはあらゆる種類の財産を対象にこういう投資ファンドを組むことが可能になっております。ドイツはあらゆるファンドというわけではございませんが、有価証券のほかに不動産とか地上権、こういうものも組み込んだファンドが組成可能でございます。フランスは日本に近いと思います。オーストラリアはイギリスと同じようになっておりまして、あらゆる資産を対象としたファンドの組成が可能となっております。
 一つ行を飛ばしまして、業務の担い手、上から5番目の行でございますが、細かく書いてありますけど、基本は資産運用ファンドの運用に携わる業者については一定の財産、あるいは人的経験、組織というふうに守らなければいけない基準が定められ、しかもそれについて監督・検査が行われているというふうに、業者の適格性を担保するための仕組みがございます。そして監督としては、その下の行にございますが、金融監督当局の監督が行われております。
 それから、ファンドの証券を投資家に販売する段階では、いずれも有価証券を取り扱う者ということで、証券業に関する規制の下で行われている。これが各国共通のルールであろうかと、こういうふうに整理できると思います。ただ、海外の法制につきましては文献中心でございますので、抜けているところもあろうかと思いますが、現時点で私たちが調べたところではこういうふうになっております。
 以上でございます。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
 大変大きな問題を簡潔に説明していただいたというふうに思いますが、ただいまの説明に関しまして、まずはっきりさせるためにこういう点はどうなんだという御質問がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでございましょうか。その後で御意見等を頂戴したいというふうに思います。
 また、今日は臨時オブザーバーの大川さんが見えておられますので、現場のお話等も伺うことができるのではないかというふうに思います。
 まず、クラリファイン・クエスチョンがございましたらお受けしたいと思いますが、いかがですか。よろしゅうございますか。
 どうぞ、竹田さん。
○竹田オブザーバー 今のお話の中でSPC自身の税の問題が指摘されておりましたけれども、それ以外に税に関しまして、例えば、オリジネーターからSPCにどういう資産にしろ、これを譲渡するときにオリジネーターの簿価といいますか、それとSPCに移すときの譲渡価格といいますか、その間に差が出た場合の、特に利益が出た場合の税金をどうするかという問題ですね。この問題がもう一つ重要な要素じゃないかと思うんですけれども、その点についてもできれば議論の対象にしていただければと思いますけれども。
○乙部債権等流動化室長 今の点は竹田さんは大変良く御承知だと思いますが、ほかの方のために若干背景を解説いたしますと、不動産の流動化でこれが問題になっております。SPCに不動産を譲渡いたします。普通は利益が発生いたします。これを課税をしない、あるいは課税を繰り延べてもらいたいという要望がございます。不動産の譲渡であっても譲渡担保であれば利益は発生しないんですが、SPCに資産を移す場合は真正な譲渡でなければ社債が格付が付きませんので社債は発行できません。ですから、法律的には完全に売り切らなければいけないわけです。ここで法的にも経済的にも売った人には 100%利益が発生いたしますので、税法に基づき売った人は個人であれば所得税を納める必要がありますし、法人であれば法人税を納める必要がございます。これは私が土地をSPCに売ろうが、一般の不動産会社に売ろうが、あるいは個人に売ろうが、これはいずれも経済的には同じでございます。
 これに対して、どういうところでSPCに売ったときだけこういう要望が出てくるかという背景でございますが、後でまた違っていれば御指摘いただければと思いますが、普通に不動産を売り切った場合は、例えば、 100億で売れば 100億キャッシュが入ってまいります。そこから30%の法人税を納めれば手元に70億残るわけでございますが、SPCに不動産を 100億まず売りますと、本来であれば 100億お金が払われるはずですから、同じように30億払って70億手元に残せばいいわけですが、問題は多分その先に発生するんだと思います。
 SPCが次にそれを証券を発行して資金を調達するわけですが、社債を発行する場合、高い格付を取ろうとしますと 100億の不動産に対して 100億社債は発行できないわけであります。銀行でも同じでありまして、 100億の土地に対して 100億ローンを出すことはないわけであります。物にもよりますけど、大体40億も社債が発行できればいい方ではないかと思います。そうすると、40億社債が発行されて外部から資金が入ってくる。残り60億が優先出資という形でエクイティという形で組まれる場合が多いようでございますが、これが売れない。売れないというか、買ってくれる人が少ないという状況がございます。
 これは二つ問題がございます。一つは価格の折り合いがつかないということだと思います。もともと不動産の価格評価を巡って、それを流動化しようとする人とマーケットの認識が違っている。この食い違いが社債の部分ではなくてエクイティにいきますので、そのエクイティについて価格の折り合いがつかない。
もう一つは制度的な問題があるというふうに理解しております。優先出資には議決権が幾つか残っております。取締役の解任のための総会での決議権が残っておりますので、これが行使されますとSPC自体が不安定になりますので社債の格付が付かない、あるいは下がるという問題がございます。そこで、格付機関との交渉でこの優先出資はしっかりした人が持っていて、一般の人に売らないという制約が多分かかっているんだと思います。
 そうすると、商品としてこれを一般の人に売ろうにも売れないんだと。じゃ、誰が買うかというと、オリジネーターが自分で引き取ることになります。そうすると、オリジネーターは 100億不動産を売って現金が 100億来て、30億税金を払って残り70億。ところが、60億優先出資を引き受けると手元に10億しかキャッシュは残らない。これではかなわんので60億分エクイティを持っている分は課税を繰り延べてもらいたいと、こういう要望だと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
○竹田オブザーバー それと、もう一点は、こういう流動化というのはオリジネーターの立場からしますと、資金調達の一つの手段なんですね。それが、例えば、譲渡することによって、もし利益が出て、それに課税されれば、その資金調達のコストが非常に高いものになるという、そういうことも考えられるわけですね。今おっしゃったのに合わせてそういう問題点があろうかと思います。
○蝋山部会長 ほかに御質問、あるいは付け加えて説明を要するようなことございませんか。
 それでは、次は意見の交換ということにさせていただきたく思いますが、幾つか論点はあろうかと思います。ただ、資料14−4の税金の問題をどう考えるかというところはあるわけですが、とりあえずはこのアンダーラインが付いております2. の具体的な要望、こういう要望にどう応えるかということが一つの議論の仕方ではないかというふうに思います。どういう御意見でも結構でございます。これを参考にしながら、SPC法の改正の方向に関しましての御意見を頂戴したいというふうに思います。いかがでございますか。
 それでは、私の方から意見を言ってしまうと結論、さっさと終わっちゃうことになるので、せっかくお集まりですから、大川さんに、現場の目から見て、要望の中に恐らく大川さんの属する組織の御意見も盛り込まれているのではないかと思いますが、特にどういう点が一番大事と考えておられるのか、そういう現場感覚の一部を御披瀝いただけると大変助かるんですが、いかがでございましょうか。
○大川オブザーバー 東急不動産の大川でございますけれども、不動産業界ということで非常に場違いの場所へ出てきた感じがしているんですけれども、先ほど御紹介ありましたSPCの中で、14−3で第2番目に染井野エス・シー特定目的会社、2番目にSPCを取りまして、一応証券化したのは第1号ということで、ここにも優先出資の証券を持っておりますけれども、我々こういう証券を見まして、非常に不動産とかけ離れた雰囲気がするんですね。ここに持っていますけど、通常の証券になっているわけですけど、これを見たときに、不動産が担保になっているのかなと我々でも思ってしまうんですけれども。
 それで、証券化しましたのは、我々としましては土地が 5,300坪で建物が1万2,000 坪なんですけれども、90億を証券化したわけです。保証金、敷金が入っていましたので、1番抵当権は付けまして、残りの50億を証券化したわけですけれども、それをSPC法で流動化計画等やっていった過程で感じましたことを述べたいと思います。
 先ほど御報告された中にほとんど網羅されているわけなんですけれども、この具体的な要望、御指摘ありましたように我々の協会も出しておりますけれども、この要望を見たときに、大きく種類が二つある。
一つは、我々やっていて感じましたことは、やはりSPC法の対象が指名金銭債権と信託受益権、不動産、この三つになっていますね。それが我々不動産を一度信託しまして信託受益権という形でやったんですけれども、どうしてもこの法律は何となく指名債権がベースにあるんじゃないかという感じが非常にしておりまして、ただいまのこの要望の中でも流動化計画の簡素化とか、それから、借入金制限の緩和とか優先出資の消却払戻し、これは減価償却ですね。こういうものを見てみますと、これは不動産、あるいは不動産の信託受益権に特有の、そちらの方の不都合なんですね。それ以外の問題については、これは今後もう少しフレキシブルな、不動産でも資産の入れかえ等の対応をしていっていただきたいという要望と、この2種類に分かれていると思うんですね。
 我々今回感じましたことは、やはり最初に流動化対象資産の拡大というような項目も入っていますけれども、というよりも、やはり債権と全然違うんだと。このSPCをやっていまして、もう少し不動産を扱う場合に扱いやすいようにしてほしいなという感じが非常にしておりまして、その要望も今ちょっと申し上げましたけれども、例えば、流動化計画等の場合、不動産でしたら収益ビルの場合でも、これは維持管理費とか修繕費とか、それから、金銭債権ではございませんけれども、地震保険の問題とか、そういう費用とか、あるいは火災保険とか、固定資産税とか、固定資産税も変動の要素があるわけです。
 そういった意味で、この5年間なら5年間の証券化する場合に費用面での変動要素が不動産独自のかなり特殊なものがある。そういうものを登録申請のときに流動化計画で一応全部書かなければならないわけですが、一応予想しなければならないということで、それは予想はある程度はできるんですけれども、その辺の幅が非常に少ない。ある意味で突発的な問題が起こったときに借入れがなかなかできない。その借入金も流動化計画に入れておかなければならないという形で、収益ビルといいますのは、これはやはり維持管理等は日々動いていっているわけで、その収益を確実に維持させていくためには、やはりテナントとの接触とか、それから、ビルの維持管理、修繕関係の適切な費用を出していくとか、いろんな現場での対応というんですか、それぞれやっていく必要があるわけです。
 そういった意味で、この流動化計画の簡素化も確かに先ほどお話しありましたように、我々2回も流動化計画をやって流動化実施計画をやらなければならない。その内容はほとんど一緒なので、実際に証券を発行するときに必要なことは残していただきたいなと。最初の登録のときにはそういうお話をされましたのですけれども、できるだけ簡素化していただきたいなと。
 ただ、それを見ていますと、不動産に関して非常に流動化計画が立てにくいと。もう少し不動産面から見てフレキシブルなものにしていただきたいという要望で上げているわけですけれども。
 だから、我々としてこれを見まして、不動産といいますのは一言で言いまして、非常に俗な言い方ですけれども、現場 100回という言葉がございまして、ともかく現場へ行かないと、一つのビルの収支表を見ても、やはり現場へ行って隣にどんなビルが建っているのか、向かいは何なのか、地域の変化はどうなるのか、地域要因はその後どう推移していくのか、そういう形によってその単体のビル等の収益性の維持は変わってくるわけですから、だから、現場 100回ということを言いましたけれども、やはり債権とはかなり違う面があるという感じが非常にしておりまして、今後SPCを改正していかれるのであれば、不動産について、もう少しフレキシブルな対応ができるようにしていただきたいなという気持ちがありますね。
 不動産といいますのは、一般的に言いましたら自然的特性と人文的特性があって、自然的特性は、これは固定しているわけです。人文的特性というのは非常に変わるわけですね。その二つの要素がありますので、このSPC法を実際にやらせていただいて指名金銭債権のような形とはちょっと違うんじゃないかという認識が非常にいたしましたですね。その辺ぜひお願いしたいと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ただいまの大川さんからの非常に現場からの強い意見に関しまして、岩原先生、どうですか。例えば、ここに要望されているような、そして、今指摘された流動化計画の簡素化とか、届出制への移行とか、借入金制限の緩和とか、優先出資の消却の問題とか、こういうような点について法的には難しさというのがあるわけでしょうか。あるいは法学的には。どなたに聞くのが一番いいのか。
○岩原委員 では、最初に名前を挙げられましたので、私のわかる範囲で申し上げさせていただきたいと思います。
 ただいま大川さんの方から御指摘になった点はいずれも大変ごもっともな面が多いと思いまして、不動産というのは他の金融商品といろいろ違ったところがある。不動産というものは金銭債権なんかと違いまして、放っておいてもだんだん老朽化し、修繕その他が必要になってまいりますし、それは必ずしも予測できるものではありませんので、それに対応した備えをしていかなければならないという点等含めて、かなり普通の金融商品とは違ったところがあるというふうに思います。
 そこで、そのために流動化計画についてもそういうのをうまくカバーできるように仕組むのはなかなか難しいところはありますし、早い時点ですぐにやるのは難しいというのもごもっともな面があると思います。そういう意味ではこの流動化計画について、2カ月前の段階で定款に全て書いておくということが本当に必要かというと、これはもっとフレキシブルにして、定款を作成した後で実際に証券を発行する段階で具体的なものを作ればいいというふうにすれば、かなり対応が可能なのではないかというふうに思います。
 それ以外にも金銭の借入れ等について、もう少しフレキシブルにというところはあると思いますけれども、もしかそういった柔軟にやっていくのについて仮に問題があるとしますと、このSPC法というのは、先ほど最初に御説明いただきましたように、あくまで資産流動化型タイプの証券のための仕組みとして考えられておりまして、余りフレキシブルにという点を重視しますと、要するに一種の運用の面がどうしても出てきてしまいますので、運用の面が出てくる以上は、これはもう少し運用する以上はきちんとした仕組みが必要になるという側面が出てくるわけでありまして、特にガバナンスの面が必要になってきますので、ガバナンスが必要なような、いわば運用の側面が出るところまでいくと、これはSPC法でやるのはそもそも受皿として適切でないということになりまして、むしろ私は運用型の証券を主に念頭に置いて作られております証券投資信託及び証券投資法人に関する法律の方を修正して、そこで幅広い原資産を組み込んだ証券化商品を作れるようにするのが望ましい。
 資産流動化型のSPCについては、それから、今言いました投資信託法についても、それぞれ運用型と流動化型に分けて、両方とも全ての原資産を原則としてカバーできるような形に改めるのが一番いいし、それがまた、第一部会、特に集団投資スキームのワーキンググループで考えていた、あらゆる財産権を証券化していくための集団投資スキームの枠組みを作るという意味でも、それが望ましいのではないかというふうに思っています。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 今、現場の大川さんから不動産は特殊だという御発言があって、それはそれなりに極めて納得できるわけですが、そうすると、どの企業も実は特殊だから存在しているところがあって、そうすると株式も特殊だ、指名債権にしてもどういう企業が、どういう主体が発行したかによって倒産のときの状況とか、そういうことを我々が余り特殊性を強調すると、現場の方が強調するのは当然なんですが、我々として余りそこのところに目を向けてしまうと、我々が考えているような集団投資スキームといいますか、幅広く一般の投資家に新しい投資機会を提供する直接・間接の手段というものの発展の芽がつぶされて、従来型の縦割りがいいんだということになってしまう。その点は御注意いただきたいと思いますが、しかし、そこが難しいところで、今の岩原先生の御発言は、その点で大変バランス良く御発言をいただいたというふうに私は思います。特殊性を包含するような一般性をうまく組み立てて制度化していかなければならないのではないかというふうに思いますが、基本的な方向というのは、今、岩原さんからの御発言に十分反映されているのではないかというふうに思います。
 現状ではどうですか。不動産のアナリストというのは、例えば企業の株式その他金融型の証券については証券アナリストというのがあるわけですね。鑑定士と言うと、またちょっと意味合いが違うと思うんですが、投資の対象としての不動産アナリスト、今後日本で発展する可能性は、大川さん、どのように考えておられますか。
○大川オブザーバー アナリストというんですか、鑑定士の評価がかなり低いようなお話なんですけれどもね。そうじゃないですか。
○蝋山部会長 ビルそのものの使用価値を判断するという点では、僕は不動産鑑定士というのはそれなりの意味があると思うんですよ。そういう観点から。しかし、投資の対象として。
○大川オブザーバー そういった意味で、今まで鑑定評価の三原則で収益還元法と積算法と取引事例比較法があったわけですけれども、確かに御指摘のように、その土地に比重が鑑定はございましたし、そして、取引事例比較法というんですか、そういう形に重点があったということは、これは御指摘のとおりで、そういった考え方であれば当然投資判断ができるのかというお話だと思いますけれども、今、鑑定協会もその辺はDC法と言いまして、やはり現在価値に全部割り戻して収益還元法ですね、これで収益ビルは全部やっております。
 だから、投資する場合に他の財との比較をする場合に、収益還元法であればキャッシュ・オン・キャッシュが何%かと、これはきれいに出てきますので、十分に他の財との比較は可能です。そして鑑定士、あるいはまた、不動産コンサルティング技能士とか、ビル経営管理士とか、そういった流れの中でいろいろ専門の人がいるわけですけれども、そういった人々が将来の予測、修繕費とか設備の取り替えとか、この辺は不動産業界の中にも今までの実績がございます。これはやはり予測しようにもなかなか実績からある程度予測しないと予測できないわけですね。その辺も鑑定士の方もそういうものを取り入れて、将来収益並びに将来費用を現在価値に全部割り戻すという形で交換価値というんですか、それを出してきていますので、だから、商業ビル等については十分投資の判断材料になるという能力は備えております。
○蝋山部会長 どうぞ、関さん。
○関オブザーバー このSPC法のいろいろな商品、今日、19件あったということを伺ったわけですが、証券界はまだこの問題についてそんなにたくさんの経験はしてないと思うんですけれども、中でいろいろそういったことを担当している方の御意見などを聞いて勉強してきたところを申し上げますと、もっとも直接、冒頭お話がありましたように行政の方でもヒアリングをされて、それが今日の資料の中に出ているので重複するところがあるわけですが、出てまいりましたものをちょっと簡単に申し上げますと、まず、流動化対象資産というところが今三つに限定されているわけですけれども、もともと特定のある企業の中の特定の部分の資産を集めて流動化するということでアンバンドリングなり、リスクの違い、格付の違いを求めるということであれば、その三つに限定する必要は必ずしもないんじゃないか。例えば、有価証券というのが入っていてもいいのではないかと、こういう議論もあります。
 それから、今度は、SPCが出す証券の種類も3種類に限定されているわけですけれども、ここももう少しバラエティが付けられる可能性はないだろうか。例えば、転換社債を連想しまして、優先出資証券に転換できる特定社債権というのを出す道はあるのかないのかと、こういう議論がございました。
 それから、最低資本金が 300万ということになっているわけでありまして、これは有限会社が取ったというふうに伺っておりますが、これはもともと手段のための組織でありますから、もっと下げてもいいんじゃないか。しかし、どこまで、1円でいいということには多分ならないんだろうと思いますけれども、そのあたりはどうだろうかと、こういう議論でございます。
 それから、先ほどから出ておりますけれども、不動産で減価償却の部分がキャッシュ化されるわけでありますが、それの運用の効率化を図るということであれば、いろんな工夫があるのではないか。例えば、優先出資証券の消却というのは最後まで認めないという原則になっているわけでありますが、これもやりようによっては途中で優先出資証券を一定範囲で消却することあり得べしという制度だって入れられる余地はないだろうかと、こういう議論等がございました。
 それで、もう一つ、ここは私自身も完全に消化できてないわけですけど、原債権者に破産が発生したときに、その隔離というのが完全にできているのかどうかというところも、なおいろいろ御検討いただく余地が残っているのじゃないかという指摘もございました。
 これはいずれも、今お聞き取りいただきましたように非常に細かい問題でありまして、ぜひワーキンググループで専門家の皆様に詰めていただく必要があるんじゃないかと、こういうふうに思っております。その意味で問題提起の意味で申させていただきましたが、そういう議論をしている中で私感じましたのは、要するにこういう制度ができているわけですけれども、これはまだ完全に現行法でも使いこなせる状況になっているかどうかというところはどうだろうか。
 つまり、今の最後の蝋山先生の問題意識も多分それだったと思うんですけれども、例えば、こういったもののキャッシュフローをきちんと算定して、そういうようなことを商品に組み立てるような、そういう広い意味の訓練なり資質なり、そういったものが十分に行き渡っているだろうかというようなところは、やはりまだ問題点があるのかなという印象も少しあるわけでありまして、したがって、私が言いたいことは、全て制度の問題じゃなくて、まだもう少し運用の問題が完全に皆さんのところに、鑑定業界に消化されるまでいっているかどうか、そこも重要なポイントじゃないか、こんなふうに思います。
○蝋山部会長 確かに関さんの言われた最後の点は非常に重要で、こういうイノベーションの生まれてくるいわば主体的な条件、個別主体の条件というのは本当に十分整っているのかなという点は、証券界の関さんがそうおっしゃるんですから、大変現実を反映している面は多分にあるのではないかと思いますが、こういう点に関して、例えば野田さん、どんなふうに……。
○野田オブザーバー 私ども先ほどの資料の19件のうちの3分の1近くに関わらせていただいて、私どもというのは私どもの子会社も含めてでございますけれども、ただ、先ほど関さんおっしゃったように、昨年の9月にこの法律が施行されて、確かに十分使いこなせてないという面はあるんですけれども、ここまでやってきて、先ほど室長の方で手際よくおまとめいただきました資料の14−4を簡潔に御説明いただきましたけれども、あれに尽きるんじゃないか。そのベースとなるといいますか、その前に私どももいろいろ御意見を実務レベルで申し上げた次第なんですけれども、今日はその中から特に3点プラスアルファで、先ほどの室長の御説明の補足のような形になりまして恐縮でございますけれども、申し上げたいというふうに思います。
 まず最初に、皆様から御意見出ています対象資産の拡大でございますけども、御説明のとおり三つに限られているわけですけれども、私どもとしてはこれまでの経験上、例えば、借地権であるとか建物賃借権、あるいは匿名組合への出資持分、さらには先ほども出ましたように有価証券一般というようなところについても対象を拡大してはいかがかというふうに考えております。
 そうすることによりまして、例えば、現在、これは大川さんの方の御専門でございますけれども、借地上の建物の証券化、こういったものもニーズが結構高うございます。さらには、昨今、いわゆるCBO、社債担保証券というのがかなりマーケットの厚みを増しておりますけれども、こういった仕組みにつきましても、現在、ユーロ市場とか、あるいはSPCならずして一般の株式会社を使ったりというような仕組みでやっているわけですけれども、こういったものもより簡便に組成が可能になるのではないかということがございます。
 それから、二つ目は、これも出ておりますけれども、借入金制限の緩和でございます。例えば、私ども実際に扱っておりませんけども、考えられるものといたしましては、先ほども出ております不動産証券化の場合には、やはりどうしても予期せぬ出費、例えば、修繕費にしろ、さらには対象資産の価値を限りなく高めるためには、なお別途借入れというのも必要であろうかというふうに考えております。
 それから、三つ目が、資産の弾力的な処分とか、あるいは追加取得ということでございます。これも不動産について申し上げるようなことになりますけれども、御案内かと思いますけれども、この9月から不動産特定共同事業法というものの施行規則が改正されまして、これにつきましては資産の入れ替えが、不動産ですけれども、認められたということがございます。しかし、その不動産特定共同事業法というのは、御案内のとおり、あるいはまた、先ほどの別の資料にもございましたとおり、組成あるい販売は一定の宅建業者のみに限られているわけでございまして、これがSPC法なんかでも資産の入れ替えが認められるということになりますと、不動産関連の流動化商品の商品性の向上と多様化が実現するのではないかということでございます。
 これによりまして、この部会の中間整理でも指摘されておりますような投資家保護が確保された、多様で魅力的な金融商品が、より幅広い担い手によって提供できるのではないか。その結果、低迷する我が国の不動産市場の活性化にそれが資することにもなるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから、最後にもう一点、資料の14−4では掲げられてないんですけども、一つ政策的にお願い申し上げたい点がございまして、それはSPCが発行する特定社債、これの銀行での扱い、販売を全面的に認めていただきたいということであります。
 現在、指名金銭債権を裏付けとした特定社債については特に制限なく、私ども銀行にも引受・募集の取扱いが認められておるわけでございますけども、不動産を裏付けとした特定社債につきましては、銀行が引受や募集の取扱いができるのは銀行自身の不動産を流動化するという場合に限られております。今後、SPC法に基づく不動産証券化市場を活性化させると、先ほど申し上げたような観点から特定社債の流通チャネル、あるいはデリバリー・チャネルを多様化して、こうした商品が幅広い投資家の主体的な選択により分散して担われるということが不可欠だと思いますので、あえて御要望するわけでございます。
 念のため申し上げますと、こういうことを申し上げて銀行が即不動産業を認めろということを必ずしも申し上げたわけではなくて、あくまでも証券の担い手としての要望であるということをあえて申し上げたいというふうに思うわけでございます。
 私からは、以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 どうぞ、石橋さん。
○石橋オブザーバー 石橋でございます。生命保険業界の方の立場として一言御説明させていただければと思っています。
 私ども生命保険業界につきましては、オリジネーターとしての顔と、そして、投資家の顔と二つを合わせ持っております。
 まず、オリジネーターの立場から見ますと、当然のことながら利便性、あるいは機能性を高めていただくということ、これが要望になってまいりますが、一方では投資家という立場に立ちますと、投資家保護ということ、これが流通市場のより発展につながっていくということの二面性を持っております。
 投資家の立場から見ますと、現在のSPC法では特定社債等の債券と株式の発行・出資という二つの面を認めておりますけれども、債券の投資家と株式の投資家とではニーズがこの場合に一致しないといいますか、利益がある程度相反をしてくるような形が出てくる場合もございます。そこのところの調整をどういうふうにしていくのかということが課題ではないかというふうに思います。
 また、オリジネーターの立場といたしましては、当然のことながら収益力を高めるために弾力的な処分、あるいは追加取得や優先出資の消却払戻しとフレキシブルに対応するということが大事になってまいります。我々先ほど最初に御説明しましたように、この二つの立場をどういうふうに考えていくのかということ、自分たちの問題としても大変に重要でございます。
 例えばでございますが、SPCにおきまして特定社債等の債券も発行している場合と、それから、社債は発行せずに優先出資証券だけの純粋の株式型という場合とでは、そのフレキシビリティについて差を設けることが、例えば考えられないだろうか。特に純粋株式型の場合についてはフレキシビリティを入れて物件入れ替えや増減資等の思い切った方法ということが考えられないだろうか。
 あるいは先ほど岩原先生がお答えになられたとおりなんでございますけれども、物件入れ替えや増減資ということを自由に行えるスキーム、これを余りに入れてまいりますと、これはやはり一方での問題も出てまいります。そういう場合には資産運用型の商品の中でこれを位置づけまして、さらにそれを整備することによって、例えばでございますが、会社型投信のようなSPC法以外での法制で進めていくということも一つの考え方としてできるのではないだろうかというふうに思います。
 そういうような一般論に基づきまして、私見の入ることをお許しいただければと思いますが、この14−4の2番目の要望のところ、大ざっぱに私なりの考えを述べさせていただきますと、流動化対象資産の拡大ということにつきましては、我々業界の方の投資家の立場ということから見ますと、これは賛成ではないだろうかというふうに思います。そして、最低資本金の引下げにつきましても、これはコスト削減という面で、我々の業界も賛成という立場になろうかというふうに思います。
 そして、3番目の流動化計画の簡素化でございますが、これはオリジネーターとしては大変賛成でございますけれども、一方で投資家の立場から考えますと、過度に開示等が後退するということにならないような形での手当てが必要ではないかということで、ここは立場が二つに分かれてまいります。
 それから、審査期間の短縮につきましては、オリジネーターとしては強く要望をするところでございます。
 そして、倒産隔離につきまして、これはきちっとしていただければコスト削減にもつながってまいりますし、賛成をさせていただければと思います。
 あとの二つの取締役の義務・責任の緩和と監査役の廃止につきましては、これは便利になって非常にフレキシブルにはなると思いますが、投資家保護という立場を考えますと、ここについて一瀉千里に走るということについては多少の疑問を提示させていただければというふうに思っております。
 その下の余裕金運用制限の緩和、このあたりにつきましては、当然のことながら先ほど御説明させていただきました社債へ投資をしている投資家の立場ということで御留意をいただければというふうに思っております。
 大ざっぱな説明ですけれども、私見も入れて述べさせていただきました。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 岩村さん、どうぞ。
○岩村委員 各論的にいろいろ思うところもあるんですが、ちょっと議論として考えたいなと思っていますのは、不動産の証券化を巡る議論がやはり大きな比重を占めていると思うんですが、特に今日出た論点、あるいは緩和や弾力化に関する要望が出ている根底にも不動産の証券化というものが、例えば、クレジットカード債権の証券化と同じように一筋縄にいかないということからくる問題があるような気がするんですが、私は少し全体としての作戦をもう一度考える必要があると思いますのは、例えば、本日の資料の中間整理を見ましても、14−1で?のロでは、例えば、こう書いてあるんです。これは正しいと思っているんですが、「資産流動化型は、特定の資産が生み出すキャッシュフローを独立させて維持管理し」と書いてあるわけです。一方で現SPC法も、あるいは現SPC法を意識したと思われる様々な緩和、弾力化要望というのは、不動産の譲渡による不動産を独立・維持するということによる証券化を意識して作られているように思います。
 ところが、その不動産の価値の部分は、これはいろんな解釈の仕方があるわけですけれども、通常の意味でキャッシュフロー、あるいはキャッシュフローに対する期待と言える、例えば賃料収入のような部分と、あるいは減価償却の、これはキャッシュと言うべきかどうかわかりませんけれど、取り戻し分というような、いずれにしても純粋に比較的簡単にキャッシュフローと言い切れる部分と、なぜその価値が生じるのかはいろいろな議論があろうとは思いますけれども、現実に誰もが認識しているいわゆる底地部分というものがあると思うんですね。むしろ資産流動化として余り大きなSPCの裁量を期待しないで証券化するとすれば、特に賃料的なキャッシュフローの期待部分というのは比較的すんなりと証券化できるのだろうと思いますが、底地に対する部分というのは誠に難しいと、こういうことがあると思うんですね。
 そうすると、その作戦ないし整理が要ると申し上げましたのは、結局、不動産の証券化というものをどういうスタンスで扱っていくのか。つまり、不動産をSPCに譲渡してしまって証券化するという今のやり方の延長の中で、そこに不動産の証券化がもたらすいろんな問題をいわば吸収するために緩和や弾力化を加えていくのか。それとも、その不動産が生み出す特に比較的簡単に把握できる賃料収入のようなキャッシュフローを不動産とは別に、余り次々権利を作り出すのはいけないのかもしれないんですが、不動産とは別にSPCに譲渡して、要するにキャッシュフロー受取権を譲渡して、それを証券化するという形で整備するのか。後者のような整備ができれば、少なくともSPC法としては不動産の証券化というのはほかの金銭債権の証券化に近い性格を持つようになると思うんですが、ただ、そのかわり不動産のキャッシュフローというものを権利化する、むしろ一般法的な、民事法的な議論が必要になると思います。
 そうでなくて不動産をというのであれば、岩原先生おっしゃったように、不動産を裁量的に処分してしまったり看過するということを展望したスキームが要ると思うんですが、これはどちらの方向を展望するのか、両方やりますというのもあるかもしれませんけれども、考えておく必要があるように思うんですが、いかがでしょう。
○蝋山部会長 大変基本的な問題提起をされたわけですが、冒頭のところで大川さんに伺ったように、不動産のキャッシュフローというものが今は随分曖昧だ。そこのところは商業用不動産については、そうしたコンセプトがきちっと定着しつつあって、計算可能、予測可能性というものも高まっている、そういうお話でした。
 それを資産の分から切り離してどういうふうに証券化するか、まさにそれはここでSPCが一つのやり方ですけれども、SPCという仕組みはまさに岩村さんが言われるようなための仕組みじゃないんですか。そうじゃないんですか。
○岩村委員 少し違うかなという気がするのは、SPCというのは、いわば恣意性とか裁量性を小さくして、恐らく金を借りてくるというところに大変大きな主眼を置いた仕組みだと思うんですが、キャッシュフローを取り出してキャッシュフローを不動産そのもの、あるいは賃貸が終わった後の不動産の処分権と切り離して財産化してしまうというような、もちろんそういうSPCというのは考えてもいいんでしょうが、SPCのような形でいくのか。例えば、信託とかそういうものを考える。あるいは全く新しい財産権というふうに考える。いろんな方法論があるように思います。SPCの中にそれを押し込んでしまうのかどうかという自体が私は議論の余地があるような気がします。
○蝋山部会長 僕はちょっとフォローできないところがあるので、神田さん、解説してください。
○神田委員 いや、解説になりませんけど、ついでに発言してよろしいですか。
○蝋山部会長 はい、どうぞ。岩村さんの発言に乗っかって、岩村さんの解説兼神田意見をお願いします。
○神田委員 私も証券化とか流動化というのは多少勉強した時期もあるんですけれども、そういう感覚から言いますと、SPC法を作るときにはある程度キャッシュフローを生み出したものをSPC法の対象にするという考えの方が、筋から言えば素直な感じを持っていたんですね。しかし、実際のSPC法はそういう発想でできておりませんで、そういう意味では論理を捨てて実を取ったというか、不動産そのものも入れている。金銭債権もよろしいとなっているので、混在になっているんですね。今の岩村さんのお話は多分その混在しているうちの不動産そのもの、底地に代表される、賃料のようなものは債券と同じに扱ってもいいんですけれども、そのものというのは、やっぱり本質的に違う部分があるので、SPC法の構造では捉え切れない部分があるのではないか。その部分はもう一つ捉え切れないとしたら、何か別個の仕組みなりで考え直した方がいいのかどうかという議論をここで整理しておく方がいいのではないかと、そういう問題提起だと思うんです。
 私はついでに感想を申し述べさせていただくなら、今回のここでの審議というのは、従来の流れ懇談会からのこともありますし、中間整理の経緯もありますし、できれば「横断的」という言葉がいいのかどうかよくわかりませんが、対象資産というものは、あらゆるものというのも適切でないものあるかもしれませんけれども、できるだけ幅広く、流動化型にせよ、運用型にせよ、対象とする方向を目指していただきたいと思います。そういうことで言いますと、その器の形態もいわゆる会社型だけでなく、信託型も含めて幅広くやっていただきたいと思うんですね。
 そのことと大川さんが御指摘になった不動産は特殊な面があるということは十分両立するわけで、幅広く対象としても、その商品に応じてディスクロージャーのあり方とか、流動化計画の類の取扱いは当然変わってくるわけですから、不動産そのものが入っている場合には、それに応じたディスクロージャーがあるし、取扱いがあるし、借入れについてのルールがあるしということで、それは個別に対応できることでありますので、法制全体は横断的に何でもいいですよということにしておいて、商品性は制約しないで、あと中身でこういうルールですとか、あるいはフィデュシアリィー・デューティーとか、そういう方を横断的にかけていただきたいと思っているんですね。
 そういう中で、これは最初に岩原さんも指摘されたこととも関係しますし、岩村さんの問題提起に戻るんですが、流動化型と運用型をどう整理するかというのはなかなか難しい問題でして、これは空で白地に絵を描いて考えるんですと、そもそも流動化型についての法制は要るかということになると思うんですね。先ほど御紹介ありましたように、アメリカもイギリスもセキュリタイゼーションそのものについて、仕組み段階の規制はない。販売段階が証取法だ、簡単に言えばそういうことですけれども、ところが、日本は、これは釈迦に説法で恐縮ですが、乙部さんが先ほどちゃんと強調して解説しておられるんですが、SPC法というのは商法と税法の特例を与えているんですね。そこが非常にみそになっていまして、すなわち商法とか税法という一般法が非常に、少なくとも欧米と比較するとどうも重い。あるいはもうちょっと正確な言い方をすると、事業するような株式会社、あるいは有限会社を念頭に置いてある。したがって、このようにビークルというか、手段として使う場合にはどうも重くなる。そこで、SPC法というのは実は商法や税法の特例を「恩典」という言葉を私もよく使うんですが、認めた法律なんですね。ハィ
 そうだとしますと、実は先ほど岩村さんがおっしゃったようなキャッシュフローがどうかというところで線を引いてなくて、商法・税法の恩典を認めるという方に線を引いていますので、実はキャッシュフローかどうかの方は利を捨てていわば実を取っていて、債券、不動産、この二つを入れた、あとは入ってないという、こういう仕組みでできているわけですね。
 これを今後どう整理していくかということなんですけれども、外国のことを一言だけ申しますと、不動産をどう扱うかは非常にややこしくて、例えば、イギリスの例で言いますと、複数の不動産に運用するようなのはイギリスで典型的にある商品はプロパティ・ユニット・トラストと言っていますけれども、不動産投資信託ですね。
 では、一つの不動産はどうだ、これは流動化ではないかという話なんですが、これはむしろ集団投資スキーム、運用型の中のルールを緩和した特則としてシングル・プロパティ・スキームというのが用意されていまして、これはクロスエンド型ではありませんけれども、一つの不動産の場合にはプロパティ・ユニット・トラストだけれどもというか、正確に言うと集団投資スキームだけれども、適用するルールは大幅緩和する。そういういわば運用型の簡単なものというような整理になっているんですね。
 それから、今度は違った例で申しますと、アメリカの方で先ほどCBOというお話がありましたけれども、有価証券を流動化するものもいいじゃないか、それはもちろんいいんですけれども、アメリカでは投資会社法の中にユニット・インベストメント・トラストというのがありまして、UITと言っているんですけれども、これは実務的には証券会社がミューニシパル・ポンドというんですか、地方債をどんと信託に出しまして、そしてその受益権を売るんですが、裁量はないんですね。したがって、全く裁量はないので、そういう意味では地方債のリパッケージみたいな形なんですけど、これはUITと言われていまして、1940年の投資会社法の適用を受けるんですね。ただ、裁量がありませんので、一般のミューチュアル・ファンドのような細かい規定の適用はありません。したがって、これも運用型の方の、しかし、運用がないから簡素化されているに当たる。
 しかし、他方、CBOというお話が先ほどありましたけれども、CBOと呼ばれている仕組みは、投資会社法の今言いましたUITを含めて適用を受けない。これは実務的に言うと、アメリカではCBOは実務の中から40年法の適用を受けないように仕組まれてきた。もともとセキュリタイゼーション分野というのはそういう実務の集積なんですけれども、何が言いたいかと申しますと、今、日本は商法・税法の恩典というか、特例立法がSPC法だということを仮に忘れたとしても、実は不動産そのものとか、有価証券をリパッケージしたものを流動化型と整理するのか、運用化型と整理するのか、なかなか難しい問題があるということ。
 それにさらに日本の場合には商法・税法の特例立法だという性質が入ってきますので、余計錯綜するんですけれども、もう一つ日本の法制に即して言いますと、では、運用型の方で商法・税法の特例立法はないのかというと、実はあるんですね。これはSPC法と同時に会社型投信というのを導入していまして、会社型投信の方は税法の特例もあります。それから、商法の特例もあります。ただ、ガバナンスの仕組みが若干違うことは御承知だと思います。でも、あちらは最低資本金はないんですね。ですから、ゼロにしているわけです。
 したがって、この辺をどういうふうに整理していくかということなんですが、私の若干の方向感だけ申し上げますと、一般論としては、商法・税法の特例は日本では要るのではないかと思いますので、そういう意味でSPC法の枠組み、あるいは会社型投信の枠組みというのは引き続き維持しながら、あるいはもっと器としてこういうものを作る場合については、先ほどから要望にも出ておりますけれども、最低資本金等を含めて緩和の方向を考えていいのではないかというふうに思います。
 もう一点は、しかし、いわゆる流動化型、運用型の線引きというものを維持すべきなのか、あるいは仕切り直しが要るのかというところはよくわかりませんが、一般的な考え方としては、これは中間整理にも出ておりますように、資産というか、運用裁量があるかどうか。それは運用裁量があれば、そこにガバナンスのルール、受託者責任のルールというのは一層高いものが要求されることになると思いますから、そういう意味で運用裁量があるかないかで分ける。
 そういう意味で言いますと、SPC法に対する要望のうちの資産の弾力的処分とか追加取得をもっとできるようにしてほしい。あるいは先ほど乙部さんが3行まとめておっしゃったあの辺の話は、むしろ運用型の方で対応するのが整理の仕方ではないかと思います。
 そうしますと、全く運用裁量のないものとしての流動化型も残っていいし、そういうことを言うと資産の対象も幅広く取り込むような方向でいいと思うんですけれども、結局、先ほどから出ています岩村さんの問題提起の部分は残るんですね。
 もっと具体的に申しますと、不動産というものは全部運用型の方に整理しておいて、安定したキャッシュフローを生み出さないようなものは、その中でシングル・プロパティみたいなものは非常に緩和した特別の世界をそこへ作るのか。あるいはちょっとロジカルに一貫しませんけど、せっかくSPC法に入っているわけですから、それを入れ替えたりしないものについてはシングル・プロパティでいくようなもの、あるいはそれに準ずるものはSPC法の中に残しておくかということなんですけれども、これは私は法律的にはそんなに大した問題でなくて、運用型の方に入れたとしても、シングル・プロパティのものは比較的特則が適用になると思いますから、そういうことで言えば、やや特殊扱いになりますので、それは流動化型のところに残しておいてもいいように思います。
 ただ、ロジックの整理としては、岩村さんがおっしゃったとおりの話であって、従来、流動化というのは安定したキャッシュフローがあるものということで考えてきたという面があることも確かです。
 ちょっと長くなりましたけれども、ついでに感想を申し上げました。
○蝋山部会長 ありがとうございました。先ほどよりは大分わかった。
○岩村委員 あえて整理という言い方をしましたのは、やはりかなりな勢いでこの資産流動化スキームというものの整備を進めようとされているわけで、私はそれはぜひそうすべきだと思うんです。
 そうすると、出てきている要求の中で、ずばっとした言い方をすれば、不動産における、特に底地に対する評価というのが不安定だから対応し切れないようなものというのを、整備の作成の中でどのくらい重く取り入れるかということなんです。単純に言えば、特にいわゆる資産流動化型として考えるときには、余りそういうことを考えないで、すっきりと裁量が小さいんだから軽いスキームでいいじゃないか、最低資本金もやめちゃっていいでしょうとか、あるいはもっと簡単なガバナンス構造でいいでしょう。
 あと、私この要望の中に出てないんですが、例えば、社債管理会社も簡単にしちゃっていいですかとか、やめていいですかとかいうようなことも含めて簡単にしてしまう。そうすると、神田先生がおっしゃったように、不動産としてはまた残念な部分が出てくるので、ただ、どうなんでしょうか。むしろ不動産の中でもそれなりにキャッシュフローとして計算したり、安定しているかどうかはともかくとして、何らかのマクロ変動等の関連の中で予測可能な部分ですね、そういったものを別に権利化する方法論というのは、逆に資産流動化型として整備されたものが確立していけば、そこにはめ込むように新しい権利が要ると言えば要る。そうじゃなくて、信託とかそういう概念を活用してやるんだと言えばやるという形でまた整理されてくるでしょうから、差し当たっての作業目標としては、不動産の流動化ということのためにいろんな条件を入れていきますと、今、石橋さんからも御意見が出ていたように、エクイティ的な管理とデッド的な管理というののその引っ張り合いの問題も起こるわけですね。そういうものに余り引っ張られるよりは、あっさり単純な資産の予測可能なキャッシュフローの証券化なんだからということで、簡単にできるものをまずきちんとまとめていくということの方が、タイムスケジュールとの関係では建設的かなという気がした、こういうふうに申し上げました。
○蝋山部会長 御意見としてわかりましたが、私はどうも納得ができないところがたくさんある。
 貝塚さん、どうぞ。
○貝塚会長 私は不動産は特にあれですが、随分昔から税制調査会で地価税の議論とかいろいろとやってきたときに、やっぱり日本の場合、土地の評価というのは結構複雑な話で、ですから、土地の評価で今おっしゃった点は、キャッシュフローを割り引いて現在価値で地価が評価できるかできないかというのは、経済学者は普通できるというふうに言うんですが、日本の昔は絶対そんなものは、底地の値上がりの期待があって、すごく評価は難しい。今はちょうど地価が安定し、あるいは下がりつつあるところで、キャッシュフローとかそういうもので評価しやすくなってきているわけですね。
 ですから、その辺の日本の地価の決まり方ということと、今はタイミングが非常に良い時期なんですね。要するにキャッシュフローできちっとかなりの部分の商業不動産とか、そういうものがうまく評価できる状況のときに、やはりうまく活用して導入して、しかし、日本の土地というのはわけのわからぬところもありまして、底地の話ですが、それが動き出すのは10年か15年後ぐらいかもしれないんですが、とにかく今のニーズはそういうところはかなりあるんじゃないのかな。やや評論家的な批評ですが、キャッシュフローで勝負できるところはかなりあるんじゃないか。そうすると、いろんなことができるというのが私の意見です。
○蝋山部会長 神田さん、どうぞ。
○神田委員 意見なんですけれども、私も頭の整理としてはというんでしょうか、岩村さんがおっしゃるのと同じような感じは持っているんですけど、ただ、今回の法制整備ということから言いますと、繰り返しになりますが、SPC法はいいかげんなと言っては失礼ですが、キャッシュフローという意味で言いますと、いいかげんなものをどんと対象としたところが最大の貢献であって、もっと言いますと、不動産そのものを流動化する器として商法・税法の特典を定めたところが最大の目玉でもあるので、これはぜひ不動産についても私はやってほしい。やってほしいという意味は、今回のさらに整備というものをぜひやってほしいと思うんですね。
 ただ、その位置づけとしてはロジカルにはSPC法の枠もあるし、リート法のような、ここの言葉で言えば運用型ですね。運用型の方に整理するのかというのはあるんですけれども、それは大した問題ではなくて、どういうルールかという中身が問題ですから、どこへ書くかというのは技術的な問題で、そういうキャッシュフローを欧米的な流動化の常識から言えばいいかげんなものですけれども、実例から言いましても、まさにそればかりを行われてきているわけですし、ですから、それを対象にしないという趣旨で岩村さんもおっしゃっいるわけではないので、それも合わせてやっていく。
○蝋山部会長 神田さんの整理は僕はよくわかるわけで、そこのところをなくしたのでは何やってきたんだという印象が非常に強いわけで、ある種のチャレンジだと思うんですね。摩訶不思議な伏魔殿的なマーケットに対するある種のチャレンジであって、私はそんなふうに理解します。
 それから、もう一つは、権利というか、所有権みたいなものと切り離して、アセットから生み出されるキャッシュフローを証券化するというのは、組合方式とか、今までも従来幾つもあるわけで、競馬馬とか、あるいは競争馬とか、竹田さんに教えていただきたいけれども、映画の配給権とか、幾つもあるわけですね。しかし、不動産はそれにはなかなか乗りにくかった。乗らなかったとは言いませんが、乗りにくかった。やっぱりそれは、そういう従来の制度の不備を補うものとしてSPC法のようなものは、今の御報告であるとおり1兆 2,000億を超える金額がこの1年強で取引されているということは、僕はそれなりに前向きに考えなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですけど、どうなんでしょうか。
○岩村委員 今のSPC法から不動産を追い出せということを言っているんじゃないんですよ。というのは、1兆 2,000億できた。だから、1兆,000億もできるんだから、開き直って言えばよろしいじゃないですかという部分があって、ただ、さらに出てきている、提示されているいろんな要求の中には、やはり資産への裁量性を強く持たせるとすごく通しにくいだろうなと思える要望がたくさんあるような気がするんですね。そうすると、それを方向感として不動産を効率的に運用するという目的意識を強める方向にSPCを持っていくのか。それとも、税法・商法の特例として簡単な会社なんだからSPCは簡単な管理でいいじゃないですか、低コストで運用できるようにしましょうよという方向に持っていくのか。そこの点についてはまだ議論の余地があるというか、方向の整理の必要があると思うんです。
 あえて私が思っていると言ったのは、その方向で整備をすると、さらに不動産についてはもう少しSPC法に乗りやすい形になって、今はまだ証券化できないような資産が乗ってくる可能性もあるんじゃないですかというふうに言ってもよろしいと思うんですね。
○蝋山部会長 岩村さんの御意見だんだんわかってきた。これだけ議論するとほぼわかってきたのではないかと自分では思いますが、結局のところ、運用型の仕組みの問題との絡みをどう整理するかという神田さん御指摘のとおりだろうというふうに思いますね。
 そして、運用型の仕組み自体も今の日本はまだ証券投資信託、証券投資法人、会社型投信ですね。そして商品ファンドに関するもの、それから不動産特定共同事業と、非常にばらばらになっていて、それぞれの法律では受託者責任といったことは、それなりに明示されているけれども、やはり運用の効率化という点から考えてみると、まだまだ対象が限定されているという点で問題も多いかというふうに思います。
 そういう点では流動化型との絡みで考えると、それをどういうふうに整理するかというのは、後で申し上げるようにワーキンググループの意見の対象にしていただきたいと思いますけれども、やはり資産運用型については対象証券というのは余り限定しない方がいいんじゃないというふうに思いますね。
 大阪でオリンピックをやる、スタジアムを造る、スタジアムを造って興行権も一緒にオーストラリアのシドニーでやったはですよね。あれをやろうとするとなかなか難しいんですってね。いわば場所の証券化、スタジアムの証券化とスタジアムの入場料というものをセットにして証券化しようとすると、なかなかできないと。しかし、いろいろなチャンスというのは対象資産というものを広げて考えると生まれてくるんじゃないかというふうに思うんですね。
 そういう点では共通の問題も流動化型、運用型あります。しかし、基本はどういうふうにしろ、新しい資産を作るわけですから、投資家の目から見てちゃんとした商品であるということがわかる仕組み。それから、ちゃんとしたものがわかったとしても、それが維持されるガバナンスの仕組みがしっかりしているということが大事であって、そういうファンクショナルな観点から見てどんなふうな仕組みを導入した方がいいのかということを我々として今後議論したいというふうに思います。
 ただ、その前には大変いろいろ細かな法技術的な問題ということもありますので、例えば、流動化計画の簡素化、登録審査期間の短縮というような問題も実際にどうなのかということは大変細かな問題でありますし、神田さんが前から強調されているバンクラプシーリモートネス、この問題も一体この場合、どういうふうに考えたらいいのか。いろいろ優先出資の消却払戻しをやる場合にも社債権者の保護との絡みをどう考えるか、非常に幾つか具体的な要望を実際に取り入れて考えようとすると、法的な問題も合わせて考えなければいけないということがありますので、ぜひ今日の議論を踏まえて議論をワーキンググループでお願いしたい。乗りかかった船ですから、集団投資に関するワーキンググループで2回ぐらいは議論していただいて、この部会に御意見を具申していただきたいというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
 どうぞ、松島さん。
○松島オブザーバー 東洋信託の松島でございますけども、私どもも資料14−4の業界から要望事項を幾つかさせていただいておるんですが、先ほど神田先生の方からも器としての信託というような御指摘もございましたので、信託業界からSPC法改正の議論に絡んでちょっと申し上げたいと思うんですが、その前に、流動化のスキームとしてSPC法のほかに、かなり信託方式というのは有力な方式であるのは御存知のとおりなんですが、信託業界もかなりこれまで力を入れておりまして、金銭債権等の資産の流動化においては、これは特債法に基づく特定債権の流動化ではございますけども、実績としては平成10年度、年間ベースで我々が推計したところによりますと、年間の取扱高4兆円、そのうち信託方式が75%の3兆円程度を占めているんじゃないかという、資産の流動化の有力なスキームを提供しているという実態がございます。
したがいまして、SPC法の改正を契機にいたしまして、我々の要望でもあるんですけども、信託型の導入というのが最後のところにございますけども、これと合わせて信託方式も改善する方向で見直しをいただければ。具体的には前々から我々業界としていろんな場で主張させていただおるんですが、資産流動化を目的とする信託受益権の有価証券化の道を開くための法制上の手当てをお願いしたい。
 また、それと合わせて税制の整備ですね。信託の場合は税制が受益者が信託財産を直接保有しているという形で課税関係が形成されておりますが、このような信託受益権については、金融商品としての税制の整備も含めて御検討いただければというふうに思います。
 信託受益権の有価証券化につきましては、過去、平成9年の金融制度調査会の答申とか、この部会の中間整理とか、経済戦略会議の答申の中でも検討課題として盛り込まれております。信託受益権の有価証券化が実現して、その流通性とか、先ほど言いましたような税の手当てが加わりますと、投資家サイドが非常に投資対象として選択しやすくなるということで、今後さらなる信託を使った資産の流動化が促進されるのではないかというふうに思っております。
 ただ、そうは言いましても、従来型の全部を有価証券化するということじゃなくて、投資家が少ない場合とか、期間が極めて短い場合とか、従来型のスキームにも競争力が相当あると思いますので、信託受益権で一定の要件を満たすものについてのみ特例的に、先ほど神田先生がSPC法は民商法の特例法だというふうにおっしゃっておられましたけども、特例的に有価証券としていただき、これは主に不特定多数の投資家向けにと考えています。
 税制の整備については、先ほど言いましたように他の金融商品と同じような利子・配当所得に準じた扱いをしていただきたいということがございます。
 また、今、運用型の御議論が出ておりますけれども、信託スキームについても運用型について今後どういうふうに検討していけばいいのか、それは必要ではないかと、現段階ではその程度の認識でございますが、かように考えています。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 では、まず大川さん、どうぞ。
○大川オブザーバー 臨時で来ていますので、余り回数もないと思いますから、ちょっと言わせていただきますけれども、まず、要望関係で出ていますオリジネーター自身による資産対応証券の取扱い等というのがございますけれども、これは一つは、特定社債については我々も機関投資家に販売できたわけですけれども、こういうエクイティの方はやはりオリジネーターが持っている。やはり不動産のリスクがエクイティの方に全部集約されているわけですね。
だから、そういった意味で、我々も証券会社にはお願いはしているんですけれども、エクイティの部分についてはなかなか証券会社で扱えないというような話も出ていますし、だから、キャッシュ・オン・キャッシュでかなりそれは把握できるようにはなっていますけれども、ただ、それは債券の額面を見て何%だという形で出ますけれども、それが安定的に維持されるためには、そのビルのお守りというんですか、テナントのお守りとか、そういう日々のことをやっていかないとキャッシュ・オン・キャッシュというものは維持できないという面があるわけですね。
 だから、そういった意味で私はキャッシュ・オン・キャッシュでつかむことはできますけれども、債券とは違う面があるということを申し上げているわけです。だから、ちょうど中間みたいなお話をしているんですけれども。
 そして、株とどう違うのかというお話がありましたけれども、極端に言ったらベンチャー・キャピタルと上場株。ベンチャー・キャピタル はなぜかといえば、これはずっと繁雑にみていかないとだめなんです。だから、不動産のキャッシュ・オン・キャッシュの維持も日々テナントとか、維持管理をしていかないとキャッシュ・オン・キャッシュはきちっと維持されていかないという面が非常に大きな特徴としてあるわけです。だから、キャッシュ・オン・キャッシュでつかまえるようにはなってきていますけれども、そういう点と、もう一点は、受益権で流通させるなら別ですけれども、流通課税の問題を考えましたら、これは登録税と取得税でまともにいけば9%かかってくるわけですね。SPCは2分の1になっていますけれども。例えば、 100億であれば10億弱のものがかかってくる。だから、流通すること自体に流通課税が非常に大きな障害になっているという、流通財として見たときには大きなハンディがあるということが1点ございます。
 それから、私どもこのSPC法の要望を出した中には、先ほど御指摘のように資産流動化の観点で不動産をやってみた場合に、いろいろ改善点ということを要望を出したわけですけれども、それ以外の点は資産運用型についても現在のSPC法でやれるようにやらせていただきたいという趣旨でこれは要望を出しているわけですね。
 そして、今のお話でした入れ替え等は運用関係に絡んでくるから別の法律でというようなお話、証券投資信託というお話が出ていましたけれども、ただ、これは資産流動型においても不動産そのものから見たときに、いろいろ使い勝手が悪いわけです。そうしますと、資産運用型を持っていった場合に、もっと難しい問題が出てくると思うんです。いろんな情報収集の問題とか、不動産を買うか買わないかとか、その辺は資産流動化以上に他の債券、他の証券との違いというものはもっと明確に出てくると思います。
 だから、私思うんですけれども、現在のSPC法で不動産の、この会議はよくわからないんですけれども、不動産は流動化かつ不動産ファンドを作ろうと、不動産を証券化していこうというのが多少あるのであれば、私はこのSPC法をもう少し不動産が扱いやすいようにぜひしていただきたいなと。資産の運用も流動化に含めてやっていただきたい。運用するときには別の法律で、流動化するときにまた別の法律だ。規定はかなりオーバーラップするのかもしれませんけれども、資産を運用したら、必ず資産が入るわけですから、次に流動化するわけですね。そうしますと、別の法律で別の基準になっちゃうのかどうかわからないですけれども、非常に使いにくくなるんじゃないのかなという感じが非常にしています。ちょっとその辺申し上げたくて。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 竹田さん、どうぞ。
○竹田オブザーバー 今の大川さんのお話に若干関連しますけれども、もう少し一般論といたしまして、この要望書のマル4というところのオリジネーター自身による証券の取扱いということで、例えば、オリジネーター自身がそういう証券を販売するということも可能じゃないかというふうに実は思っております。もちろんこれは資産を管理するのは峻別して別の組織でやることが前提になっているわけですけれども、例えば、この14−2に書いてありますように、資産をベースにして発行可能な証券としてマル1マル2マル3とありまして、マル3にCPというのがあります。私の今まで見聞きしている限りは、このSPC、あるいは特債法等を使って流動化して、それでCPを出す場合には発行が証券会社といいますか、これを有価証券というふうな捉え方をしておりますから、結局、発行は有価証券が取り扱えるのは証券会社だということで、オリジネーターはそういう販売には関与できないという形になっているんじゃないかと思うんです。
ところが、CPにつきましては、御承知のとおり二通りの販売の形態がありまして、一つは、証券会社とか銀行を通じて、そういう機関がアンダーライターになって販売する、こういうやり方ですね。ディーラーペーパーというような言われ方をしておるようですけれども。それから、もう一つは、発行体が直接投資家にCPを販売するという、ダイレクトペーパーというような言われ方をしておりますが、そういう形態がCPに関してあるわけですね。
 ですから、このABS方式のCPについては証券会社を通さないと販売できないというのは、若干整合性に欠けるところがあるんじゃないかというふうに思うわけです。ですから、ABS方式のCPについては、管理はきちんと別組織のところでやって、販売については、場合によってはダイレクトCPと同じような形でオリジネーター自身が販売に関与できるというふうに、そういう可能性も検討の余地があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、いろいろまた御審議をお願いしたいと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
 ほかに御要望とか御意見ございますか。
 今日は原さんはずっと無言でありましたけれども、やはりこういう形でいろんな商品が今後SPCがうまく効果的に改正されて登場してくれば、間接的にせよ、投資家の投資の対象というのが非常に増えてくるわけで、それだけいろんな問題が起こる可能性があります。
○原委員 私も最後に感想的なことなんですけれども、私自身もSPC法についていろいろ、この頃、見聞き、分析しておりまして、それで、金融サービス法ももちろん大事なんですけれども、金融商品そのものも非常に多様化をしておりまして、やはりその金融商品がどういう形であるのかということについて消費者自身が知ることも大切ですし、それから、今回も当然ディスクロージャーですとか投資家保護の枠組みは決まっておりますけれども、今ももちろん不動産も入ってくるから商品としても多様化をしてくるし、販売のところも証券会社に限定をしない、いろんな販売方法の多様化というふうになりますと、消費者としては、今自分が購入したものが何なのかという点では非常に混乱もしてくるかと思いまして、今日は勉強がてら皆さんの御意見をお聞きしてみたいと思って伺いました。
○蝋山部会長 そこで終わっては困るわけで、我々としては、そういういろんな商品がきちんと投資家の投資対象としておさまるとならなくちゃいけないわけでして、ホールセール・リーテイルのところでも、やはりこうしたものを動きを踏まえて議論を進めていただきたいと思いますので、先ほど集団投資スキームに対するワーキンググループに御議論を具体的にSPC法の改正の問題について議論をお願いしましたけれども、同時にホールセール・リーテイルのワーキンググループでも、様々なコメントもいただきましたので、議論を進めていただきたい。この二つのワーキンググループの継続を第一部会としてお願いしたいというふうに思いますので、いかがでございましょうか。よろしゅうございますね。
 ほかに御意見がございませんようでしたら、今日は勉強会というところでありまして、大変いろいろ勉強させていただきました。臨時だというふうに言われていましたけど、大川さん、特にありがとうございました。臨時というのは忘れて、この会合のときには、入るまでは臨時かもしれないけど、入ったらワン・オブ・ゼムですから、SPCの議題のときはいつも来ていただくということですので、どうぞよろしくお願いします。
 今後の議事予定につきまして、乙部さん、どうぞ。
○乙部債権等流動化室長 次回は10月26日(火曜日)午後2時からとなっております。議事といたしましては、金融商品の販売・勧誘ルール等に関しまして、消費者契約法との関係も含め御審議いただく予定でございます。
 また、本日のテーマといたしました集団投資スキーム法制及びSPC法改正に関しましては、次回での審議はワーキンググループで御議論いただくため、やや先になってしまいますが、11月16日の午後を予定しております。よろしくお願いいたします。
○蝋山部会長 以上であります。どうもありがとうございました。
 それでは、今日、わざわざ来ていただきました大川さんには11月16日にまた再会するということで、皆さんは10月26日、火曜日の午後2時からよろしくお願いいたしたく思います。
 ありがとうございました。
                                (以 上)