金融審議会「第一部会」第15回会合議事録
日時:平成11年10月26日(火)14時01分〜15時57分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○蝋山部会長 それでは、時間になりましたので、ただいまから、第15回の金融審議会「第一部会」を開かせていただきます。天気が良いにもかかわらずか、天気が良い中を、またお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
今日は、審議に先立ちまして、今回からこの部会に御参加いただくこととなりました臨時オブザーバーの方々を御紹介いたします。これは、当部会が審議しております金融商品の販売・勧誘ルールに関する諸問題を考えるに際しまして、広く金融サービスの利用者の方々から意見を募るべきであると、こういう声がパブリックコメント等を通じまして多数寄せられましたので、それに鑑みまして、販売・勧誘関連の臨時オブザーバーとしてお願いした方々でございます。
事務局より御紹介をお願いしたく思います。よろしく。
○玉川調査室長
それでは、御紹介申し上げます。お手元にお配りしております名簿の方も適宜御参照ください。
まず、石戸谷 豊臨時オブザーバーでございます。
○石戸谷臨時オブザーバー 石戸谷です。よろしくお願いします。
○玉川調査室長
それから、宮部好広臨時オブザーバーでございます。
○宮部臨時オブザーバー 宮部です。よろしくお願いします。
○玉川調査室長 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○蝋山部会長 どうぞお二人、遠慮なく御発言をお願いしたく思います。
それでは、本日の議事に移ります。
本日は、先般発表されました当部会の「中間整理(第一次)」における大きな柱の一つであります、また「中間整理」に対するパブリックコメントも多数寄せられております。そういう意味では関心が厚い金融商品の販売・勧誘のルールにつきまして、別途、国民生活審議会において検討中の「消費者契約法」との関係も踏まえながら審議を行う、これが我々の基本的な方針なわけですが、本日この議題を取り上げる場合、ホールセール・リーテイル・ワーキンググループ進行役の山田神戸大学教授、また、国民生活審議会事務局より川口経済企画庁国民生活局消費者行政第一課調査官にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今日は、川口調査官より、国民生活審議会での消費者契約法の検討状況につきまして、我々が検討しております金融商品の販売・勧誘ルール、それとこの消費者契約法の関係といったところに焦点を当てながら、御紹介をいただければというふうに思います。
川口さん、どうもお忙しい中来ていただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○川口経済企画庁調査官 ただいま御紹介いただきました経済企画庁の川口でございます。
国民生活審議会消費者政策部会の事務局を務めておりまして、国民生活審議会の方で消費者契約法についての検討をしておりますので、本日はお手元の資料15−6、15−7、また必要によりましては、その後の平成11年9月17日「検討状況」という資料を使いまして御説明をさせていただければというふうに思います。
15−6でございますが、これは消費者契約法についての背景、あるいは検討経緯をまとめたものでございまして、検討経緯は、平成6年4月以降、PL法等の審議を終えた後、消費者政策上の重要なもう一つの柱として消費者取引上の問題を検討を開始したというところが本格検討の始めでございます。それ以来何度か報告書を出しておりまして、次のページ、2ページには、平成11年1月、報告をとりまとめたということを書いてございます。
その後、関係省庁との検討等もございまして、平成11年4月から17次国民生活審議会で、本格的な検討を行っているところでございます。
4ページをお開きいただきますと、各界の状況を書いてございますが、政党レベルでも、例えば自由民主党の方で14回統一地方選挙の公約におきまして、「消費者契約法の制定に向けて努力します」とされておりますほか、関係各党、公明党、自由党、民主党等で活発な御議論が行われているところでございます。
経済界におきましても、経団連の方で、昨年12月に「規制緩和と自己責任原則に沿う「消費者契約法」の立法について基本的に賛成である」という御意見をいただいております。その他、消費者団体、弁護士会、あるいは地方自治体の方からも99条2項に基づきます早期制定要望を多数いただいております。労働界からも御意見をいただいております。
そういうことで、6ページ以降、具体的な検討スケジュールを書いてございますし、7ページが消費者政策部会の委員の名簿でございます。実際には消費者政策部会の下に消費者契約法検討委員会というのを設けておりまして、これが8ページでございます。本部会と共通の委員の方としては原委員が消費者契約法検討委員会の委員として、検討に参加されておりますし、1ページお戻りいただきますと、7ページの方では、山田委員が消費者政策部会の委員ということで御参加をいただいているところでございます。その他金融界からも、7ページ、8ページ御覧いただきますと、7ページでは河野東京海上火災保険株式会社取締役会長、それから、8ページでは日本証券業協会から菅野委員、全国銀行協会から早川委員に御参加をいただいておりますが、その他、例えば医師会、私学連合、警備業協会など、幅広い団体から御参加をいただいております。
それでは、経緯は以上で省略させていただきまして、15−7という資料にまいりたいと思います。
最初に、この資料の性格でございますが、本資料は消費者契約法検討委員会が現在既に8回開催されておりますが、9月27日に消費者契約法検討委員会の委員会報告のたたき台として提出をされたものでございますけれども、現時点で多数の御意見をいただいておりますので、まだとりまとめの段階、最終案という段階には至っておりませんが、現時点でいろいろな方向から御意見がございますので、本日はタイミング的に今の案、この案を軸に検討が行われているということで御紹介をさせていただければと思います。
それから、もう一つ、平成11年9月17日というペーパーがございますが、これはもう少し、15−7はやや結論めいた書き方をしておりますので、9月17日はそこに至る考え方をまとめております。これは消費者契約法検討委員会から消費者政策部会に9月17日段階で御報告をした中間的なものでございますが、これも委員長落合誠一東京大学教授が委員長の責任でまとめたということで、個々の委員の御了解を得ているものではございません。
そういう前提でございますが、本日15−7について御説明をさせていただきたいと思います。
15−7、1ページ表紙をおめくりいただきますと、「審議の経過」について書いてございます。この考え方自体は概ね御異論のないところでございますので、ここを少し拾い読みをさせていただきます。
「審議の経過」でございますが、現在、規制緩和・撤廃が我が国では推進されているところでございますが、「規制緩和・撤廃は、無責任な自由放任や弱肉強食の社会を目指すものではなく、その進展に併せ、規制緩和の時代にふさわしい消費者のための新たなシステムづくりを行うことが大きな課題となっている。」と。
ここで「消費者契約」という概念を立てまして、これは消費者が事業者と締結した契約でございますが、に係る民事ルールの整備が消費者のための新たなシステム作りの上で現在最も重要な課題であるという認識でございます。国民生活審議会としては、製造物責任法がこうした視点での立法のいわば先駆け的な位置づけにあるというふうに理解しておりますが、現在の課題としては、消費者契約に関する民事ルールであるということでございます。
16次国民生活審議会消費者政策部会の1月の報告書では、「消費者と事業者との間で締結される契約を幅広く対象として、具体的な民事ルールを規定する消費者契約法をできる限り速やかに制定すべき」とされたところでございますが、さらに詰めるべき論点も指摘されたところでございます。
その後、経済企画庁としても、また、国民生活審議会としても、早期の立法化を実現すべく、幅広い関係者によって構成される消費者契約法検討委員会を設置いたしまして、大きな課題としては、消費者契約に関する重要事項、無効とされるべき契約条項の内容、適用対象の範囲を中心にした検討をしております。平成11年、本年末を目途にとりまとめを行うということでございます。
今の検討のスタンスでございますが、「取引の実情やトラブルの実態等を踏まえ、公正で予見可能性の高いルールを策定するという観点から、立法によって措置するにふさわしいものを採用する」ということでございます。
2ページをお開きいただきまして、こういうことで議論をしておりますが、第2の冒頭にございますが、これからは消費者、事業者双方に自己責任に基づいた行動が求められる。消費者契約においても、契約自由の原則が妥当するということですが、有効に成立した契約によって消費者は、権利を得若しくは失い、又は義務を負い、若しくは免れるということがございます。これが権力によって強制されるわけでございますので、本法は、消費者に自己責任を求めることが適当でない場合について、実態を踏まえ、契約締結過程及び契約条項に関して消費者が契約の全部又は一部の効力を否定することができる場合を新たに定めようという考え方でございます。
このことが紛争の公正かつ円滑な解決に資する。また、このことが、ひいてはトラブルの発生防止にも寄与するだろうという基本的な考え方でございます。
立法の考え方、抽象性、包括性を巡ってなお議論をしておりますが、かなりの程度裁判外紛争処理の指針ともなるというところにアクセントを置いて議論をされております。
それから、「適用範囲」でございますが、概ねこの [説明]
で書いてあるところのその上の部分が法律事項といいますか、法律に何らかの形で書く内容をイメージしております。「適用範囲」につきましては複雑な書き方をしておりますが、消費者契約は、当事者の一方のみが、業として又は業のために財産権の設定、移転、消滅をする契約と。その相手方が消費者になるという考え方で一応整理の努力をしているところでございます。細かく書いておりますが、趣旨はそういう方向でございます。
この場合、消費者はこの説明の2でございますが、法人は消費者とはならないという考え方でございます。
それから、4でございますが、営利を目的とした事業に限らず、つまり営業に限らず、一定の目的を持って同種の行為を反復継続的に行うものを広く対象とするということでございます。行政主体も事業者になり得るということを前提にしておりまして、行政法上の行政契約も「適用範囲」として検討をしております。
次に、本審議会と関係の深いものとしては、契約締結過程のルールが関係が深いものと考えるわけでございますが、その要件、効果といたしましては、これは基本的には契約するまでの間の消費者、事業者の交渉過程を評価をし、一定の場合、現在民法で規定されております詐欺、強迫以外にも取り消しができる。消費者が意思表示の取り消しができる場合を定めるというものでございます。
要件、効果ですが、「消費者は、事業者の下記に該当する行為により誤認したことによって、又は、事業者の下記
に該当する行為により拒むことを得ず、消費者契約を締結したとき、当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示を取り消すことができる」と。意思表示を取り消しますと、消費者契約は遡及的に無効になるということを前提にしております。
不実告知等の場合でございますが、これにつきましては、事業者が消費者契約締結の勧誘に際し、次に掲げる、ア.
イ. ウ.
のいずれかに関する事項であって、消費者が当該消費者契約を締結する判断に影響を及ぼす重要なものにつき、これは3類型ございまして、1番目が不実のことを告げ、2番目が将来の見込みについて断定的な判断を示し、又は告知した事実に密接に関連する消費者に不利益な事実を隠蔽することと、こういうような場合には、こうしたことによって消費者が誤認して、そのことによって消費者契約を締結したときには、事後的に契約の意思表示を取り消すことができるという考え方でございます。
4ページお開きいただきますと、不退去等という場合を考えておりまして、これにつきましては、基本的には強迫類似行為、強迫ではないような場合といたしまして、害悪の告知がないような場合にも、アのような場合、不退去−−退去しない。セールスマンが帰ってくれないような場合。イについては、消費者の行動の自由を拘束するということでございますから、一定の場所、勧誘されている場所から消費者が帰してもらえないような場合につきまして、一定の要件によりまして取り消しを認めようということでございます。
?でございますが、第三者が契約締結に介在する場合。取引実態を見ていきますと、実際には事業者、あるいはその代理人とは言えない第三者が勧誘行為をしている場合が多数あるということでございまして、こういう場合につきまして、いわば民法96条2項類似の規定を置く必要があるだろうという議論でございます。消費者に対して、当該消費者契約を締結する旨勧誘することを事業者が依頼し、その依頼された第三者が上記、ただいま御説明しましたような行為を行ったことによって当該消費者が契約をした場合には、取り消すことができるという考え方でございます。
?は第三者への対抗でございますが、これは民法96条3項類似の規定ということでございますが、不退去の場合も含めまして、「上記取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない」という考え方でございます。
それから、 [説明]
といたしまして、動産及び有価証券の善意取得、これは民法192
条、あるいは商法 519条、 229条などの場合、それから、不動産の登記制度等の対抗力については民法及び商法の規定どおりにするという考え方でございます。
行使期間の制限につきまして、行使期間につきましては、現在の案は、取消権は形成権で裁判外で行使可ということを前提に、追認をすることができるときから6カ月、あるいは契約締結のときから5年を経過したときにも、これは取消権を行使できなくするという考え方で、民法
126条よりも限定をするという方向の案となっております。
以上につきましては、これでは十分ではないという御趣旨の御意見、やや広過ぎて取り消しの場合が大き過ぎるのではないかという御意見がございますが、概ね取り消しという効果を前提に、今要件の細部を議論をしていただいているところというふうに認識をしております。
「契約条項」につきましては、これは出来上がりました契約のうち、一定の要件を満たすような条項につきましては、これを無効とする。効力を認めないということで、ここに?に書いてあります八つのパターンというのは、具体的に明確にした個別不当条項、個別条項と言われているものですが、これ以外に一般的な不当条項を定める必要があるかにつきましても議論がなされているところでございます。
時間の関係少し長くなりました。一応これで終わらせていただきます。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
それでは、皆様方から御質問等をいただきたく思います。やや法律上の専門的な用語も使われておりまして、なじみにくいかなとも思いますけれども、この機会にできるだけ論点を明らかにしておいていかがかというふうに思います。どうぞ御自由にお願いいたします。
原さん、何か補足することありますか。
○原委員 私は契約法の検討委員会にも入っておりまして、それで集中的な議論をしているところなんですけれども、一応これは9月の終わり、27日に出されたペーパーに基づいて御説明があったんですが、その後、本当にたくさんの委員から意見が寄せられておりまして、今とても事務局としては大変だというふうに思いますが、少し補足的なということと、質問にもなるかと思うんですけれども、話をしておきたいんです。
3ページのところで、ここの契約締結過程のところが金融サービス法にとっても重なるようなところもあるというふうな御説明だったんですが、ここにで「不実告知等」というところからすぐに入っているんですが、実はこの前段に重要事項の情報提供義務という話がありまして、これがここのページから落ちているんですが、契約法で考えているのは、効果としては取り消しということを考えているので、その入口が少し狭くなって不実告知というところから書き始めてあるんですが、重要事項の情報提供義務というのをずっと議論をしてきておりまして、金融サービス法も説明義務ということを主眼に置こうとすると、だから、サービス法が考えていることはここに重要事項の情報提供義務があって、その義務違反があったときの民事効がどうかという形になるかと思うんですが、契約法はちょっとそれがすっぽり落ちた形になっちゃうということと、これはまたワーキングでの議論になるのかもしれませんけれども、私としては、ここは契約法の議論をしているところではないんですけれども、やはり
の前の段階として〓で重要事項の情報提供義務というのを入れておかないと、契約法と金融サービス法とを並べたときに、歪な形にならないのかなというところがちょっと懸念をしておりまして、そこを少し事務局としては補足的に話をしておいていただきたいというふうに思います。
あと、この中に入っておりませんが、4ページのの「不退去等」のところも、私どもとしては、アとイで書かれている部分は、私がその契約をもう取り消すから帰りたいと言ったときに帰してくれない。それから、相手が訪問してきて、もう契約しないから帰ってほしいというのに帰ってくれないという、非常に場所に限定したような書きぶりになっていて、私どもとしては範囲が狭くて、ソフト類型というか、威迫・困惑の部分も範囲に入れてほしいということを言っておりますので、その部分も金融サービス法と絡んでくるかというふうに思いますので、追加的に消費者団体としてはそういう意見を上げているということを申し上げておきたいと思います。
それから、もう一点なんですが、同じような趣旨で、5ページのところなんですが、ここで3番で「契約条項」というふうに書かれていて、一般条項と、それから、無効とすべき不当条項が八つ並んでいるんですが、この一般条項も実は途中まで議論をしておりまして、消費者に不当に不利益になるような、そういう条項は設けてはならないというようなものなんですけれども、ここも、何ていうんですか、それに効果をどういうふうにくっつけるのか、それから、要件の明確化というところで事務局としては落とされてはいるんですが、この一般条項のあり方についても金融サービス法と並べて少し議論を私はしておく必要があるのではないかなというふうに思っておりまして、向こうでも話しておりますけれども、こちらの場でも申し上げておきたいというふうに思います。
そういったところがちょっと補足的なことと、それから、私としては質問としては、不実告知の前に重要事項の情報提供義務を入れなくていいのかということをちょっと経企庁の方から。
○蝋山部会長 川口さん、いかがでございましょうか。今の原さんからの質問、重要事項の情報提供義務ということですね。
○川口経済企画庁調査官 消費者団体の皆様、委員の皆様の御意見の要約として原委員の御説明のとおりでございますが、ちょっと補足させていただきたいことは、二つ論点がございまして、まず情報提供について、事業者は一般的な情報提供義務があるのではないか、あるいは情報提供をすべきであるということ、一般的に情報提供が必要ということを確認すべきであるというような御意見が一つございます。
ただ、これとは別に、実際に何かを告げなかったことから取り消しがされる場合があるという御意見がございまして、これは大きく言えば、関連はしておりますが、別のことでございます。不告知の場合についても取り消しになり得るという意味では、今、御指摘のところの3ページの「告知した事実に密接に関連する消費者に不利益な事実を隠蔽すること」と。これは限定された場合ではございますが、事業者が何かを告げなかったと、不告知の場合についても取り消しがなされる場合として書いてございますので、そういう意味においては、狭い意味では取り消しの要件の一つとして現在の案には入っているということでございます。ただ、損害賠償などの前提となるような情報提供義務というのは、少なくとも今の案では書いてないというのが現状でございます。
以上でございます。
○蝋山部会長 現状についてはよくわかりました。どうもありがとうございます。
山田先生、この点については何か御意見ございますか。説明義務のところですね。
○山田委員 特に意見は今申し上げるために用意してないんですけれども、一言だけ申し上げることをお許しいただくならば、消費者と事業者との間で金融商品が取引される場合には、今考えている二つの法律、どちらも適用されることになるんだろうと思います。その上で金融サービス法は、やはり金融商品であるからというところに着目して、リスクが取引の対象であると。そしてそれは当事者間のリスクの移転だけでなく、社会全体というか、経済全体でリスクが効率的にシェアされるようにするということをも狙って作ろうとしている。私はそれは適切だと思うんですけれども。そうしますと、自ずから金融ではない様々な財とかサービスにおける販売・勧誘ルールとは異なってくるところがあっていいだろうというふうに考えております。
○蝋山部会長 今のところは大変重要な点ではないかというふうに思いますが、消費者団体の方々は、今のような山田さんの理解に関しては首を傾げておられるわけですか。イエス・オア・ノーだけで結構です。
○原委員 共通性と特殊性と両方あると思います。
○蝋山部会長 ほかにございませんか。
関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 御説明いただきました15−7の7ページの一番上の「その他」の4の?に「他の法律との関係」というのが書いてあります。それから、また、今、山田先生から、金融の方で金融商品の投資勧誘ルールをこれから作るとすれば、両方の法律がダブってかかることになるだろうというお話もあったわけですけれども、ここの4の?の書き方の文字の上からだけ見ますと、又書きのところには、「消費者契約について、民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによるものとする。」と、こう書いてあるわけです。
それで、定め方というのはいろいろあるわけですけれども、あくまで頭の体操として聞いていただきたいわけですけれども、金融商品については全て適用除外をすると。仮に金融サービス法、投資勧誘ルールの方で書けば、この文章上はそういうふうになるんだと思うんですね。それがいいかどうかは別であります。
それから、金融のどなたかの言葉の特殊性ということを加味して、いろいろ特則を入れるということであれば、その特則の部分が付加して効いてくると。それから、それはきつくする場合も緩くする場合もあると思うんですね。もちろん金融サービス法というのは、消費者ということだけを相手にする法律じゃありませんから、私どものプロとかアマとかということで、厳密に相互の関係というのはもうちょっと複雑になると思いますけれども、したがって、私の言いたいことは、まさにその辺の定め方について、この部会でこれから議論するわけでありますから、二つの法律は当然両方かかるんだと、こういう前提ではないんではないかと、今の段階ではこう思うんですが、いかがでしょうか。
○蝋山部会長 これは、今、山田さんに対する御質問と考え……
○関オブザーバー もあります。
○蝋山部会長 まず、川口さんの方からどういうお考えかということを、今の点についてお願いしたいと思います。それから山田さん。
○川口経済企画庁調査官 関連する7ページの理解としてということで申し上げますと、まず、7ページの4の?
[説明]
の3番というところがございまして、「消費者の取消権の行使及び不当条項の無効の主張は、不法行為による損害賠償の請求を妨げない。」ということを書いてございますので、これは特別法を新たに課すというよりは、民法の、新たに消費者に取消権を与えた場合でも、取消権を行使するということとほぼ同じ事情に対して不法行為法の損害賠償、取り消した上で残されたものに損害賠償するとか、あるいは同じような事象に不法行為による損害賠償請求ができるということは、これは前提にしているということでございます。
それから、「また、消費者契約について、別段の定めがあるとき」というのは、別段の定めが現在どういうものがあるかということはありますけれども、現時点では念頭に置いておりますのは、不当条項につきまして、例えば宅地建物取引業法において、この6ページのにいわばそっくりな条文が既にございまして、ただ、「通常生ずべき損害」というのを、いわば特定の世界、取引において具体的な数字をもって表すというようなことをしておりますので、そうした場合にはそれが優先することになるだろうという前提で考え方を整理しているところでございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
山田さん。
○山田委員 簡単にお答えさせていただきます。おっしゃるとおりであって、そこはまさに議論をして決めていくところであろうかと思います。ただ、私が両方とも適用があるだろうというふうに申し上げましたのは、現在の消費者契約法の議論の状況というものが特別の取引について適用除外をできるだけ設けずに、あらゆる財、サービスに共通したルールというものを目指していると理解しておりますので、差し当たって、それに立って御発言をさせていただいたということに止まります。
○蝋山部会長 ほかに。
能見さん、どうぞ。
○能見委員 この金融サービス法と消費者契約の関係をどう理解するかというのはなかなか難しい問題だと思うんですけれども、先ほど山田さんが言われた点が第1点なんですが、両者やはり必ずしも全く同じものを狙っているわけではないのではないか。消費者契約法というのは非常に一般的な法律ですし、これはおよそ町の中のいろんな小売商も全て入るような法律で、そういうところでどういう規制が適切なのかという問題と、それから金融のサービス、これは今ちょっと御指摘もありましたように、必ずしも消費者だけではないし、プロも入るわけですけれども、そういう意味で複雑なんですが、その点もちょっと捨象するにしても、金融商品取引業者ですか、販売業者ですか、ちょっと概念は忘れましたけれども、まずは一方の売り主の方のサービスの提供の主体もかなり違う。そういうことで、両者完全にオーバーラップする必要はない。あるいは同じような規定の仕方をする必要はどうもないんではないかと思うんですね。
ただ、それを前提にして、では、実際に違おうとするとどう違ってくるかというのは、今度なかなか難しい問題でして、場合によっては、金融サービスにおいては、自ら情報を取ってくるべきだということで、情報提供義務がむしろ積極的には課されないというふうに考えるのか、あるいは金融商品における非常な情報の格差ということを考えると、一定の範囲では情報提供義務を認めるべきだということで、重要事項についての告知というのを認めるべきだというような考え方になるのかもしれません。これは恐らくこれから詰めていくんだと思います。
いずれにせよ、第1点はそういうふうに、両者は少し規制の対象も違うし、あるいは考え方もそれによって違ってくる可能性があるということを指摘しておきたいと思います。
それから、ある意味では同じことなんですけれども、この「契約締結過程」において、どういう理論的な考え方に基づいて一定のルールを作るのかというときに、現在の経企庁の案もいろいろなものを取り込んでそれなりに努力されているんですけれども、先ほど取り消しに至るものに三つあるということで、不実告知と、それから将来についての断定的判断、それから消費者にとって不利益な事実の隠蔽ということで、これはもう恐らくそちらの部会でいろいろ議論されたことで、ここで改めて議論する必要はないんだと思いますけど、最後の消費者にとって不利益な事実の隠蔽というのがなかなか概念としてちょっとわかりにくい。隠蔽というんだからわざと隠すんだろうなというぐらいに大体理解しますけど、ちょっとはっきりしない点がありまして、先ほど最初説明のところで、これは民法の詐欺よりも少し取り消しの範囲を広げるんだという形で、若干今のニュアンスは、必ずしもそれだけで説明できませんけど、やっぱり詐欺を少し広げる。
金融の場面というのは私も実際にどの程度、どういうことが行われているのか実際にはわかりませんけれども、詐欺的な商法もあるのかもしれません。しかし、同時に、その詐欺的な商法よりも、やはりこのリスクが不明確であるために問題となるという領域がかなり大きいのではないだろうか。これもそういう意味では、消費者契約一般の重点と金融サービス法の重点が若干違うかもしれない。ちょっと抽象的ですけれども、そんな感想を持ちました。
○蝋山部会長 山田さんに続いて、能見さんからもある種の整理をしていただいたというふうに思いますが、この点について、川口さん、どんなふうにレスポンスされますか。どうぞ。
○川口経済企画庁調査官 消費者契約法の締結契約過程の効果につきましては、ここ半年ばかり改めて議論をいたしましたが、やはり取消しということで考えるべきだろうというのが一つの議論の方向でございますが、他方、取り消しということで考えると、自ずと取り消しにふさわしいもの、「瑕疵ある意思表示」とするにふさわしいものが要件になるだろうということで要件が狭まってきたところがあり、そこから漏れたものについて消費者団体の方等から御意見がある。ただ、それは取り消しについて、取消しにはふさわしくないが、救済する必要はないということではないということで、当然ほかの民事ルール等が、特に民法を前提に救済がされる場合があるだろうということを前提としております。ただ、今議論しておりますのは、取り消しというのは、今、詐欺と強迫しかないということで、そこから意思表示理論でそこを拡張するには相当高いハードルがあるだろうということで厳しいということです。情報提供について十分救えているかというのが、現在消費者契約法の方で議論があるわけですが、ここも消費者契約法というのは、あらゆる業種に適用される最低限のルールとして構成されておりますので、その意味では、ある意味では特定の分野を前提にすれば、もう少しいろいろあるのではないかという御議論があるわけですが、やはり業種横断的に考えますと、一概には言えないということが何度も出てまいりまして、その業種が非常に広いということと「瑕疵ある意思表示」というハードルを越えられるかと、そこがいわば消費者契約法の現時点での悩みになっているということでございます。
○蝋山部会長 柳川さん、どうぞ。
○柳川委員 今の御発言とかなり関係するんですけれども、その取り消しというところに焦点を絞って組み立てられてきたということに関しては何か経緯があったのか、その辺のところ、お差し支えない範囲で少し説明していただければと思います。
○蝋山部会長 どうぞ。
○川口経済企画庁調査官 契約締結過程に係る現在の裁判例等を見ますと、相当程度損害賠償に関わるものであるということがございますが、ただ、これにつきましては、消費生活相談の実情等を見ますと、消費者が希望しているのは、そこのところは法律的には必ずしもよくわからないんですが、契約の拘束から解放してほしいという声がかなりあるということでございまして、いわば消費者は誤認をして契約をしていて、こんなはずじゃなかったというところから、拘束から、契約上の義務の内容もよくわからず義務を負ってしまったと、そういうところから解放してほしいという希望がかなりあると、そこを素直に受け止めるには、現在の民法の理論は、なかなか厳しくて、弁護士の先生方、いろいろ御努力をされても、なかなか詐欺で認めることは難しいということで、意思表示の瑕疵について新たな類型を作ってはどうかという方向での議論がされてきたわけですが、現時点で9月17日のとりまとめ段階で、消費者が相手方の不適切な動機づけによって、意思形成が正当になされないまま契約締結の意思表示をしたという場合には、契約からの離脱を認めることによって原状回復を実現するというのが自然であり、また、消費者契約全般について、最低限のルールを作るということからすれば、それが適切ではないかということになったということでございます。
損害賠償ですとか、ほかの効果につきましては、消費者契約全般の特則として作るには、むしろ適切ではないんじゃないかということで否定されてきたという経緯がございます。
○蝋山部会長 柳川さん、よろしいですか。
ほかにございませんでしょうか。
上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 今の取り消しの件について、恐らく損害賠償だけでは足りなくて、まさにその契約から離れたいというんですかね。そういうのが例えば、いろんなものを教える、サムライ商法と呼んだりしますけれども、社会保険労務士になれるからということで教材が送られてきて、その教材費を追加して払えというようなことで、そんなの弁護士から言わせると、「嫌なら払わなくていいじゃないか。居直れ」というふうに言うんですけれども、なかなか人の善い方、世の中多くて、やっぱり請求されると、私、約束したんだから払わざるを得ない。何とか契約を取り消せないのかという御相談が多いこと事実なんで、そのとおりだろうと思います。
それで、私の質問は、今現にこの消費者契約法の適用除外を認めるべきだというようなことで、例えばうちの業界については除外してほしいとか、あるいはこういう取引類型については、こういう法律が規制している類型については適用除外にすべきだというような、そういう意見というのは上がってきてるんですか。
○蝋山部会長 どうぞ。
○川口経済企画庁調査官 個々全てではございませんが、現時点で大きな意見として適用除外を主張されて、業種全体を法律の適用除外とすべきとされている御意見は、宅地建物取引業については、業界団体としてこれは適用除外という考え方でございますけれども、その他法律全体から適用除外すべしという考え方は、もうほとんどなくなっていております。個別の条項についてどうかという御意見はございます。
ちなみに、本日お配りしている資料の9月17日の紙、番号のない資料でございますが、21ページでございますが、個別法との関係につきましては、基本的にはむしろ、業法等が整備されている業界の方から適用除外的な御議論があったわけですが、「個別法の中には消費者契約を対象としたものが多数みられるが、それらは行政庁による事業者の監督を主とする行為規制やそれを通じたトラブルの防止を目的とした業法であり、契約当事者間を直接に規律し、トラブルの公正で円滑な解決を目的とする消費者契約法とは役割が異なるものと考えられるので、適用除外を認める理由としては疑問であるという意見が大半を占めた。」大半という意味では、宅建業法的な業法的規制によって適用除外というのを認めるのは適当でないという意見が大勢を占めております。
また、個別法でも、クーリング・オフや中途解約権を定めたような法律というのがございますが、これらについては消費者契約法と、取り消しと中途解約権は似ているわけですが、やはり要件が異なりまして、「消費者は具体的なトラブルの態様に応じて選択的に行使することができると考えられる。」ということでございます。「また、個別法において無効とされている契約条項は、一般に、消費者契約法の不当条項の規定よりも優先」。この範囲においては優先するだろうということでございますが、先ほどの場合でも、中途解約権ということでありますと、消費者が事業者に損害賠償を払って中途解約ということになるんですが、もともと事業者の説明が非常に事実に反するような場合まで、消費者が損害賠償を払って中途解約をするというのは、やはりこれは十分な救済ではございませんし、クーリング・オフにつきましても一定の期間がございますので、やはり十分ではないということで、別途取り消しということが必要であろうということが議論の大勢であろうかと思います。
消費者契約法の中身については相当議論がされておりますが、適用範囲については、概ね、非常に個別の業界、委員の方を除きますと、幅広いものにするということについては相当程度コンセンサスができてきており、横の包括性は相当達成しつつあるわけですが、縦の包括性といいますか、内容面で十分ではないという御議論を、原委員ほか皆様よりいただいているところでございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
関さん。
○関オブザーバー
今ちょうど発言しようと思っていたことが、今直前の御議論にも関連いたしますので、私ども先ほど冒頭に御紹介ありましたように、この消費者契約法の検討委員会にも私の方からも参加をさせていただいて、いろいろ議論のフォローはさせていただいているわけですけれども、そういう意味で、証券界として、消費者契約法からの適用除外をすべきだというところまで、別な業界のようにはっきりは申しておりませんが、皆様御記憶のとおり、この委員会の7月の中間整理でも、金融サービス法の分野でも民事的な効果、単に行為規制だけじゃなくて、民事的な効果についても金融サービス法の中に入れることを検討する余地があるということは入っているわけですね。
したがいまして、私の先ほどからの問題意識は、もし金融サービス法の方のこちらの方の議論で、金融サービスについての民事上の効果についても、金融の特性を含めてこういうふうに決めた方がいいよということがここで決まったとすれば、それについては、何も消費者契約法をそのまま適用する必要はないということは理屈の上では私はあり得るんだと思うんですね。ですから、そこのところはどうなるんでしょうかということを申し上げているわけです。
もちろん、民法が金融取引法の中に、金融取引の適用になると、それはもう当然のことでありまして、そこまで外せということを言っているわけではありません。あくまで、民法、商法という一般法があって、それにそれぞれの立場から特例法を設けていくわけですから、それについてなるべく重複を避けるというということはあってもいいんではないかと、これが私の問題意識であります。
それで、もう一つ、これはもともと発言申し上げようと思ったわけですけれども、最初の1ページの「審議の経過」の第1の4行目に「規制緩和の時代にふさわしい消費者のため」というふうに書いているわけですね。ですから、消費者は全て弱きものであると、何でも保護しろという考え方でできているわけじゃなくて、これはそういう観点でいろいろ御苦心して、この消費者契約法の具体的内容というのはいろいろ出てきていると思うんです。
また、私もちょっと勉強しましたら、「消費者保護基本法」という法律がございまして、これは消費者保護のために政府としてやるべきことというのが随分いろいろ書いてあるわけですが、第5条という条文がありまして、消費者の役割というのを書いてあるわけですね。それで、「消費者は経済社会の発展に即応して、自ら進んで消費生活に関する必要な知識を習得するとともに、自主的かつ合理的に行動するように努めることによって、消費生活の安定及び向上に積極的な役割を果たすものとする。」こう書いてあります。消費生活に関するということを、例えば金融取引に関するというふうに読み替えるべきですし、自主的というのは自己責任と読み替えるべきでありまして、これは昭和43年の法律です。ですから、そういう観点というのは、やはり今度の議論の中に当然織り込んで検討すべきであります。
そこは、どういうところになるかというと、実は取消権というふうに消費者契約法はなっています。これは原状回復。それは法律上当然でありますが、そうなった場合に、金融、特に証券取引についてはほとんど先ほどの善意取得の規定がありまして、事実上の原状回復というのはほとんどないと思います。結局金銭上の、要するに実質的には損害賠償と同じような金銭上の処理になることが多いと思うんですが、その場合どこが違ってくるかというと、結局、私は全く原状回復か、消費者のそういう自主的な、先ほど私が申し上げた自主責任とか、消費者にとっての注意義務とか、そういったものが十分でなかったと。
結局、今のいろんな起きている問題で裁判例にされているような、要するに過失相殺とかそういうものを織り込めるかどうかというところが私は違ってくるんだと思うんですね。そこのところを十分これから議論していただきたいなと、こういうふうに思っております。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
時間もそろそろ予定されたのを大分過ぎておりますので、ここで消費者契約法の関係についての質疑は終了させていただきます。私としてもある程度まで、経済企画庁国民生活審議会がどういうことを考えておられるかというのがわかったような気がします。
どうも、川口さん、ありがとうございました。また今後もいろいろ、歩調を合わせるべきところは合わせなきゃいけないし、いろいろお知恵をお借りする、議論するということもあり得るかと思います。その折にもどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、もう一つの今日の主要なテーマであります金融商品の販売・勧誘ルール関連の審議に移りたく思います。
9月22日の会合で、年内、一部でも法制化できるものはしたい、そういうものがないかと、こういう視点に立って、当面の対応に議論の重心を置くということで御了解をいただいたと記憶しております。前回の部会で、あり得べき論点の整理につきまして、ホールセール・リーテイル・ワーキンググループに検討を行っていただくということになりました。
以下では、まず、今日ワーキンググループの議論で取り上げられた金融商品の販売・勧誘ルールに関わるいろんな論点につきまして、事務局より網羅的に御紹介をいただき、引き続いて、ワーキンググループの進行役をお願いしております山田さんから、10月15日のワーキンググループでの議論につきまして補足説明を頂戴したいというふうに思います。
それでは、玉川さん、よろしく。
○玉川調査室長 それでは、主に15−2に即して説明させていただきます。
中間整理ワーキンググループレポート、パブリックコメントを含めまして、販売・勧誘ルールにつきまして、その実効性の確保の手段とも言える裁判外の紛争処理や利用者の教育の問題等も含めまして、包括的な視点に立って、法制度の整備等を進めていく上では、さらに検討すべきどのような項目や論点があるかについての整理、又は例示を試みさせていただきました。
参考資料といたしましては、15−3は、ここで項目としては17項目ほど挙げておりますが、そのそれぞれの項目につきまして、部会中間報告の議論をもう一度取り上げたものでございます。15−4は、パブリックコメントの概要をこの項目に沿いまして整理を試みたものでございます。
それから、15−5は、現行の販売・勧誘ルールに関係する法規定につきまして、異なる金融商品を取り扱っております九つの法律について、主な項目についてどんな規定ぶりになっているかということにつきまして、一応整理を試みたものでございます。これをベースといたしまして、簡単にその項目と、どんな論点かを紹介させていただきたいと思います。
まず、大きくは販売・勧誘ルールそのものについての論点と、その実効性確保のための論点に分かれておりますが、15−2の1ページ目でございますが、まず項目といたしましては、この金融商品概念をどうするかという問題がございまして、共通ルールを考える上では、やはり金融商品の範囲を確定するということが必要になってまいりますが、中間整理では、キャッシュフローの移転、リスクの移転などがメルクマールとして示された一方で、なかなかこれだけで包括的な定義を創設するのは困難ではないかという議論が示されたかと思います。
では、逆に、具体的に列挙するかということになりますと、その中で、ここで言われている商品先物や共済、企業年金、郵便貯金など、こういうふうなものがどう入ってくるのかというふうな具体的な議論もあるということと同時に、新たに出現した商品とかをどうするか。こういうような場合におきまして、何か全体の金融商品をカバーすることはなくても、少し集団投資スキームとかをカバーできるような包括的な規定ができないかとか、政令における政令指定とかができないかというふうな知恵がないかとか、あとこれは法技術的な問題でございますが、デリバティブ取引、預金の受入れだとか、行為で大体現行法で定義されている関係もございまして、商品として定義することができるかとか、こういうふうな問題がいろいろと含まれているわけでございます。
プロ・アマ、ホールセールにつきましてもレポートで大分議論されたわけですけれども、販売・勧誘ルールの中で考える場合に、適用すべき具体的な場合としてどんな場合があるか。その基準はどうか。また、特定リーテイルというのが、特定の人にはこういう金融商品は売ってはいけないという議論がなされましたけど、こういう議論というものが引き続きパブリックコメントを踏まえてどう考えるかというふうな論点がございます。
次の2ページ目の説明義務の明確化でございますが、先ほどの川口さんの御説明の対比では、今までの中間報告までにおきましては、説明がなければ、やはりリスクは移転しないという原則を明らかにして、それの具体的な内容を明確化していくということが望ましいという方向が打ち出されていたと思いますが、だとすると、金融商品の販売・勧誘を行う者が顧客に一定の重要な事項を説明する義務を積極的に法制化するということについてどう考えるかという問題が出ますが、さらに何を説明したらいいのかというところが非常に大きな点になりまして、中間整理ではリスク判断にとって重要な事項ということが整理されていますが、どこまで詳細な説明を、例えば法律でここまで説明しなさいと書かなくちゃいけないのか、又はより抽象的な規定で済むと考えるのか、この辺につきましての意見は分かれるのではないかと思います。
また、全てに説明義務を課さなくてはいけないのかという問題に対して、課さなくていい場合。この例としましてのプロ・アマの問題とか、また、自分の方から説明を不要とした場合はどうするかという問題があると思います。
さらに、民事上の効果としては、一応今まで業法の規定では確かに書面交付義務とか情報提供義務、様々な義務が業法として課されているわけですけれども、今回民事上の効果に直結した説明義務というものを考える価値があるのかというふうな確認的な論点もございます。
それから、併せてこれの並行した論点でございますが、これを進めるとしました場合に、でございますが、判例を見ると、一般的に信義則に基づいて説明義務があり、それが満たされない場合には不法行為責任で賠償を求めるということがございますので、金融においてはこのようなルールを具体化して、要件・効果を明確化するということには意義があるのではないかという議論がございますが、こういうふうな法制化についてどう考えるか。その場合、やはり損害賠償規定を設けるとすれば、成立要件、免責要件、立証責任の分配、誰が責任を負うべきか。損害賠償の推定規定は要るか。過失相殺や先ほどの時効の問題とかがあり、また、消費者契約法との対比では、果たして損害賠償効果だけでいいのか。取消法なども要るのかというふうな論点が含まれくるかと思います。
3ページ目でございますが、これは、
は金融商品の説明義務に関連した論点かもしれませんが、片方では金融商品と融資と組み合わせ取引でやっているというような類型が、変額保険とかの場合で問題になりましたけど、こういう場合に一定の要件の下で融資を行った者が、例えば販売の席に同席していた者かとか、その連帯責任を負うとか、そういうケースなども考えられるのかという問題。
それから、番は、これは販売業者について責任を負わせるというのが販売・勧誘ルールであるんでしょうけれども、販売もチェーンのようになっておりまして、オリジネーターがあり、そして販売を委託するものとか、そういうものがいる場合に、どこまで責任範囲を整理するのかというふうな問題があろうかと思います。
、
は適合性原則の問題でございますが、広義の適合性原則として整理されたもの。業者が利用者の知識・経験、財産力に適合した形で販売・勧誘を行わなければならない。又は適合しない形での販売・勧誘を行ってはならないというふうな広義のルールに対して、これに違反したら直ちに司法上の効果を結び付けるのは難しいのではないかという議論が中間整理では出されておりますが、パブリックコメントを踏まえてどうか。さらに、この説明義務に合わせまして、例えばこのような適合性原則などの立法とかいうことの価値についてどう考えるかという問題などがあろうかと思います。
さらに絞った狭義の適合性の意味といたしましては、ある特定の利用者に対しては、一定の商品の販売や勧誘を行ってはいけないと、ここまで踏み込んだ規定をまた置くか。また、行った場合にはその取引を無効とするとか、そういうことについての考え方についてどう考えるかという論点があろうかと思います。
それから、4ページ目の不適切な勧誘の禁止でございますが、不適切な勧誘の禁止といった場合、先ほども御紹介ありましたように、代表的には、金融の場合、各業法でもって、詐欺的、断定的、また、強迫等の不当な勧誘に関しては禁止規定がございますが、これについては何かまだ整備が足りないとか、そういう御意見があるのかと。それと併せて、消費者契約法の取消項を、詐欺に限りなく近い類型については取り消しをするという消費者契約法の立場を金融サービス法の立場としてどう考えるのかという問題があるかと思います。
それから、番はクーリング・オフで、これから後は十分に必ずしも中間報告において議論された論点であったとは言えないのですけれども、クーリング・オフの問題などがパブリックコメント等では提示されておりまして、クーリング・オフにつきましては、保険業法や商品ファンド法、特債法などにおいて既に規定はございますが、これについて拡大していくとか、横断的なルールが要るかとか、そういうふうな論点についてはどう考えるかという問題があろうかと思います。
あと不招請の勧誘につきましても、電話や訪問とかによる不招請の勧誘についての禁止ということが言われておりますが、現在ルールとしまして省令のレベルでありますが、抵当証券法とか、商品ファンド法とか、特債法とかにおきましては、「迷惑な時間の電話・訪問による勧誘の禁止」や、「拒絶の意思を明らかにした者に対する執拗な勧誘の禁止」などの規定がございますが、これの拡充ということの意味なのか、それとも、より一般的な不招請の勧誘ということを考えているのかというそもそもの議論があります。
広告においては、これも明示的に今まで議論されてきたわけではございませんが、もしも論点として考えていくと、現在の広告については大きな「不当景品類及び不当表示防止法」とかによる規定、又は現行の業法、業界ルール等でかなり整備されている中で、何を広告のルールの整備として考えていくのかという議論がございます。
インターネットについても、これは指摘されたとおり、販売・勧誘ルールというのがインターネットに適用される場合に、それは特則を考えなくてはいけないのか、それとも、基本的には当てはまると考えるのかという問題がございます。
これがルールに関係した問題でございまして、次のページはルールの実効性の確保に関係する問題といたしまして、一つ目に、業者のコンプライアンスと言われた中で、業者が自らの責任の範囲を主体的に考えることを促すような仕組みを作ることが必要という議論がございましたが、この中で、コンプライアンスの整備を図るためには、何かの法的な義務づけみたいなのが要るのか、それとも、自主的な対応に任せればいいのか。例えば、金融商品の販売・勧誘においては、社内規定を整備し、かつ、それを公衆の縦覧に供するとか、そういうふうなアイデアなども考えられるのか、それとも、こういうことはとんでもないと考えるのかというふうな議論がございます。
それから、自主規制機関のあり方につきましては、機能別、商品分野別、業界横断的な自主規制機関のあり方についての検討の価値があるのではないかということが中間整理ではありましたけれども、具体的にどのように機能分けするのか。それに対しての業者の参加ができるのか。その運営の効率性やルール制定の機動性などが確保できるのか。運営費用などがちゃんと集まるのか。そういう実務的な問題もあろうかということで議論が残っております。
裁判外の紛争処理制度についても、統一的・包括的な紛争処理制度のあり方について考えることは望ましい。また、窓口段階での一本化が苦情処理については望ましいとなっておりますが、現行諸制度との関係をどう考え、また、業者の参加を強制するようなものを考えるのか。それとも、任意的な参加を前提としながら、その周知を図るよなソフトなアプローチをとるのか。また、苦情処理窓口の一本化という場合に、具体策としてどういうようなものがあるのかということがございます。
それから、利用者・消費者の学習・教育。この問題についても重要であるということの認識は示されておりますが、何かこの問題について、特別な法的な手当てが要る問題なのか。さらに具体的な具体策として、また、その利用者・消費者教育の担い手・手段としてどういうものがあるかというような問題があろうかと思っております。
以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
これがただいまワーキンググループの議論で取り上げられました諸論点であります。今の玉川さんのお話の中から、全体の中での強弱というものはある程度御理解いただけたのではないかというふうに思いますけれども、またその点は後ほど改めて議論させていただきたく思います。
山田先生からは、ワーキンググループの15日の状況につきまして御報告をいただきまして、ワーキンググループから第一部会へのいわば要請といったものがあればおっしゃっていただきたく思うわけです。よろしくお願いいたします。
○山田委員 ありがとうございます。ホールセール・リーテイル・ワーキンググループの進行役をしております山田でございます。
本日は10月15日のワーキンググループの会合の議論の様子につきまして御報告を申し上げ、最後に私個人の印象を申し添えたいと思います。10分程度お時間を頂戴することをお許しいただきたいと思います。
10月15日には金融商品に関する販売・勧誘ルールに関しまして、中間整理に対するパブリックコメント等を踏まえ、法制化という視点を含めまして、今後どのようにフォローアップしていくかについて意見交換を行いました。その議論の一般的なアウトラインについて、まず最初に申し上げたいと思います。
ワーキンググループにおきましては、幅広くメンバー、オブザーバーの方々から議論がございました。
まず、金融サービス法の捉え方が人により異なっており、どこまでの範囲で法制化が図られるべきであるか、そもそも何を目指すのか、はっきりさせた上で議論をしていく必要があるという意見がございました。具体的論点については続けて御説明を申し上げますが、説明義務違反に関連する論点のほかに、適合性原則、不適切な勧誘、不招請の勧誘、クーリング・オフ、インターネットの問題について関心が示されました。さらにエンフォースメント関連でも、オンブズマン制度を含めた裁判外の紛争処理制度の整備などをさらに議論すべきであり、また、消費者教育の充実についても、法制化とは直接結び付くものではないかもしれないけれども、具体化していかなければならないなどの意見がございました。
続きまして、具体的な論点についての議論を、今の玉川室長の報告との重複を避けるように努めながら御紹介したいと思います。
玉川室長の御報告で利用しました資料番号15−2の「金融商品の販売・勧誘ルール等に関する主な論点(例)」を御覧いただければ幸いでございます。
1ページ目の「 I .販売・勧誘ルールについての論点」が挙げられているところから御説明を申し上げます。
まず、項目と項目
の金融商品の概念、プロ・アマの概念につきましては、説明義務などの金融商品の販売・勧誘についての包括的な制度を考えていく上で基本となる概念でありまして、制度化の趣旨に沿ってその対象となる金融商品の範囲やルールをプロ・アマに分けて適用すべきかどうか。具体的なプロの範囲をどう考えるのかといった問題を議論していくことの必要性が認識されたように思います。プロ・アマについては、プロについて現状より説明義務を軽減し、アマについて厳格にするというように、消費者保護のみに特化するのではなく、ホールセールからリーテイルまで幅広い顧客を対象としたルール化を検討すべきであるという意見もございました。
また、特定利用者につきましては、民法の行為無能力者制度との関係についてこれまで主に議論がなされてまいりましたが、さらに個人の信用情報とも関連付けて検討すべきであるという意見も頂戴いたしたところであります。
ページを一つおめくりいただきまして、2ページの項目「説明義務の明確化」、項目
「説明義務違反の民事上」の効果につきましては、法制化の検討を行うに当たりまして、金融商品、プロ・アマの概念をはじめとして説明すべき内容、どのように民事的な効果を構成するかについて多くの論点がございます。ワーキンググループでは、幾つの主要論点について議論が行われました。
その一例を御紹介させていただきますならば、説明義務の内容としてどこまで説明すべきであるのか。リスクについてなのか。商品構造まで説明する必要があるのか。そもそもリスクの中身とは何か。立法化する場合、どこまで法令で詳しく規定するか。抽象的な規定に止めるのか。説明の程度として、顧客の理解、納得は必要か。説明義務違反の効果として、不法行為責任に基づく損害賠償のみとするか。契約の取り消し、無効まで法定するかといったものであります。
また一つおめくりいただきまして、3ページの項目になりますが、融資者責任や項目
の販売業者と資産運用業者の責任分担等についてどのように考えるかにつきましても重要な論点でありますが、これらについては、10月15日のワーキンググループの会合では、基本的には論点の指摘に止まり、踏み込んだ議論は行われなかったように思います。
3ページの項目と項目
の適合性原則につきましては、法制化の観点から詰めた議論には至りませんでしたが、顧客保護のためには特定の利用者に対しては一定の商品を販売・勧誘してはならないというルールはぜひ必要であるという意見と、私的自治の原則の観点から法制化することは妥当ではないという意見が対立いたしたところであります。
ページを一つおめくりいただきます。4ページの項目の「不適切な勧誘の禁止」につきましては、説明義務とセットで何が不適切な勧誘に当たるか検討を進めるべきであり、今後登場するであろうハイブリッドな商品、チャネルにも対応できるよう、早期に十分な明確化が必要であるという意見がありました。また、消費者契約法の検討作業において、不適切な勧誘による契約が取り消し可能とされるのであれば、金融商品の販売・勧誘ルールとしてどのように対応すべきか検討していく必要があると思われます。
なお、消費者契約法との関係については、消費者契約法の議論は議論として見守りつつ、金融分野で必要十分なルールを作るよう検討を進めるべきであるという意見もございました。
同じページ、4ページの項目の「クーリング・オフ」、項目
の「不招請の勧誘」につきましては、金融商品の販売・勧誘ルールとしてクーリング・オフや不招請の勧誘についてのルールを備えていなければならないという意見がある一方で、既に一部の法令でクーリング・オフや執拗な勧誘の禁止などを定めている例もある中で、追加的にどのようなことが望まれているのかについては、いまだ具体的なイメージが全体で共有されているかどうかについては自信のないところかと思います。
4ページの項目の広告につきましては、特に議論はございませんでした。
同じページの最後、項目のインターネット関連の問題につきましては、販売・勧誘ルールがインターネット取引にもそのまま修正されることなく適用されるのか、特則が必要なのかは重要な論点であり、今後十分な検討が必要であるという認識が示されたところであります。
1ページおめくりください。最後のページであります。5ページ目は「 II .ルールの実効性確保等に関する論点」が挙げられております。
このまず最初の項目のコンプライアンスにつきましては、コンプライアンスルールを業者が定めて、公衆の縦覧に供することを義務づけることの適否については意見が分かれたところであります。
項目と項目
の自主規制、オンブズマンと裁判外紛争処理につきましては、販売・勧誘ルールと車の両輪をなすという意味でメンバーの関心は高く、特にオンブズマン制度と裁判外紛争処理はセットで検討すべきであるという意見がありました。
項目の消費者教育につきましては、英国の金融サービス・マーケット法案でFSAが消費者教育を所掌することになっているのと同様に、日本においても金融庁設置法では新たに金融に係る知識の普及が金融庁の所掌事務として明記されているところでありますが、今後具体的にどのような施策を行っていくべきかについて関心が示されました。
駆け足で申し上げましたが、具体的な論点についての議論は概ね以上のとおりでございます。
なお、ワーキンググループの会合当日においては、時間の制約上、とりわけオブザーバーの方々から幅広く意見を伺う機会が少なかったという可能性が残りましたため、ワーキンググループの会合後、書面で意見を追加的に提出していただいております。これらの意見は、本日の私の報告に反映させておりますが、もし足りないところがありましたら補足をいただければと思います。
以上のように、ワーキンググループの会合では、2時間という限られた時間ではありましたが、密度の濃い議論を行うことができたように思います。
以下、私個人の印象として申し上げたいと思います。
金融商品の販売・勧誘ルールの包括的な整備を図るという観点からは、掲げられた項目、論点は、エンフォースメント関係も含めていずれも重要であると思われます。しかし、これまで十分に議論されていない項目も多くありますし、また、意見がなお鋭く対立している論点が多くあるように思います。したがって、その一部でありましても、法制化することは困難な作業になるのではないかと思います。
そこで、第一部会におかれましては、本日出席をお許しいただいたのでありますので、その機会を使ってお願いを申し上げたいところでありますが、年内、集団投資スキームについてはSPC法改正を念頭に置かれて、また、販売・勧誘ルールについては一部でも法制化できるものはないかという視点から議論を進めていかれると伺っているところでございます。そうでありますならば、ホールセール・リーテイル・ワーキンググループといたしましては、本日のこの第一部会で御了解をいただけましたら、11月には3回ないし4回の会合を開催して、法制化に必要な論点についてさらに詰めていくことに力を注ぐこととしたいと考えております。短期間でございますので、どこまで詰め切ることができるか、正直なところ確信を持つものでありませんが、精いっぱい努力したいと考えております。
本日の御議論において、早期に法制化を進める上で必要かつ優先度の高いと考えられる項目に絞り込んでいただけますようガイダンスをお示しくださいますと、誠にありがたいと考えております。
また、他方におきまして、ややこれは僣越でございますが、ルールのエンフォースメント関係、とりわけ裁判外紛争処理制度や利用者・消費者の学習・教育につきましては、広く金融サービスの提供者と利用者との間で生じるトラブルをどのようにして未然に防止し、また、円滑に解決していくかという基本的なテーマに関わるものと考えます。
これらは法律論というよりは、あるいは法律論であるとともに、政策論に関わる問題であり、むしろ第一部会でこれらを御検討いただくという対応をおとりいただくことができないかと考えますので、このことにつきましても御検討をいただけますと、誠に幸いであります。
以上、ワーキンググループの検討状況、ここら辺については御報告申し上げ、ワーキンググループの今後の運営方針については、私の印象、感想というものとして、部会に対するお願いを含めて申し上げました。よろしく御検討をお願い申し上げます。
○蝋山部会長 どうも山田さん、ありがとうございました。大変明快に整理をして、どういうところに論点の争点があるかということも相当にはっきりしたというふうに思います。
一口に金融商品の販売・勧誘というテーマ一言で言えるわけですけれども、玉川さんの整理によると全部で17の項目が I 、 II についてあるわけでありますし、また、それぞれ一つ一つについて意見の対立といいましょうか、争点というものがあるわけでありまして、決して易しい作業ではない。こういうものを詰めて、そして法制化に向けていくということは、特に全体を網羅的に進めていくということは大変難しいことではないかというふうに思います。
そこで、この部会としてもある程度の交通整理というものが必要なのではないか。その交通整理を中心に今日の審議を進めていけたらなというふうに思うわけであります。
ただし、後にも申し上げますけれども、ここで出された法制化というのは、比較的早期の法制化を念頭にしているわけでありまして、この審議会の部会が、恐らく審議会もなくなるし、部会もなくなるんでしょうね。よくわかりませんけれども、金融庁が発足するまでの我々が生き続ける限りにおいては、最後の報告書なり答申なりでは、可能な限り全体を網羅して、そこまでのぎりぎりの内容のものに詰めて提示したいというふうに思います。そしてそれが、いわばその後に金融庁なりに引き継がれて、さらなる法制化というものが、あるいは制度化が実現する方向というものを期待したいというふうに思うわけです。そういう点では、2段ロケットの1段ロケットをどう発射させて、その上でうまく火星なり金星のターゲットに着地させるか。そういうところを頭の中に入れておいていただいて、ワーキンググループへの論点、交通整理、論点の強弱をお伝えできれば幸いだというふうに思うわけです。
では、どうぞ御意見を。
原さん、どうぞ。
○原委員 私自身今回からワーキングにも所属することになりましたので、ワーキングの議論でも詰めたいと思うんですが、この第一部会で少し議論をしていただきたいというふうに思いますのが、法律の作り方というんでしょうか、目指す着地点というのは、やっぱり立法ということになるのであれば、どういう法律を作るのかというところで、今ここで出されている論点を見る限りでは、一応その重要事項の説明義務、その説明義務に違反した場合は民事効としての損害賠償というところにすごく焦点が当たったような形で書かれています。もちろん適合性の原則や何かもみんな入っていて、民事効、民事的な効力を発揮するような法体系だけにするのか。それとも、オンブズマンの話もワーキングで出たんですけれども、そういうものをくっつけると、民事効プラスアルファになってしまうんですが、そこまでを考えた私としては法体系を作りたいというふうに思うんですけれども。
今、御説明の中では、そういうオンブズマンみたいなことは、コンプライアンスみたいなことはその他というか、別なところになっていて、第一部会でのテーマにしたいという山田先生からの御発言ではあったんですが、そうするとワーキングでは、それはもう議論をせずに、民事効だけに絞っちゃったような議論での法律作りを考えるのか。私はそれは狭いと思うので、それを議論していただきたいということと、それから、民事効に焦点を絞って損害賠償をやるとしても、今までのここでの書きぶりというのは、本当に説明義務だけに焦点が当たっていて、私としては適合性の原則、それから不適切な勧誘、不当勧誘ですね。これは不招請勧誘も含めてですけれども、やはりここまで盛り込んだ形での法案ということを非常に期待をしておりますので、それもぜひこの第一部会で、ワーキングの方でそれで検討するようにというふうにおっしゃっていただきたいというふうに思います。
それから、もう一つなんですが、先ほど契約法と金融サービス法の話が出ましたけれども、ダブるというんでしょうか、二重規制になるのはおかしいのではないかという議論があったんですが、今ここで見る限りでは、こちらでは金融サービス法では損害賠償をやっていこうとして、契約の無効とか取り消しというのは契約法の方に委ねるというところがこの整理の中では見えておりまして、私は金融商品であっても、そういう無効とか取り消しが成立する場合もあり得るというふうに思いますので、それは法律としてはやはり金融商品は双方にかかるべきではないかということを申し添えたいと思います。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見ございませんか。
上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 部会長の方から1段ロケット、2段ロケットのお話がありまして、最終的に火星に行くのか、それとも金星にするのか、そこも大きな論点だと思うんですが、私申し上げたいのは、やっぱり第1段ロケットには大変なエネルギーが要るんだと思うんです。そういう意味では、もちろん程度の問題ということにはなるんですけれども、折角中間整理をまとめて、それについて新聞の論調も含めたパブリックコメントをいただいていますので、私の整理としては、ある程度一致点というか、共通項を中間整理で見出して、それに対して、特に新聞の論調としては、もう少し顧客保護をした方がいいんじゃないかという意見が多かったような気がするんですね。
ただし、これから仮に来年の最終答申ではなくて、当面の対応として、例えば次の来年の2月とか1月なんでしょうか、国会のスケジュールに合わせるとすれば、それまでに対して、これは時間は限られているわけですので、その時間的制約というのもこれまた間違いないことであると思うんです。ですから、第1段ロケットを切り離すべき時期が限られているということなんですが、やっぱりその範囲で詰められるところという限定はもちろん付くので、詰められないからやめようというふうにはしないで、ぜひ中間整理なり、それに寄せられたパブリックコメントの趣旨に従って、そのあたりにニーズがあるというふうに踏まえて作るというのが基本線ではないかと思うんですね。具体的なことを言えというふうに叱られるかもわかりませんが、やっぱり部会としては、そのあたりを確認できればなと思います。
そういう意味においては、確かに作業分担としてはちょっとワーキンググループから外した方がいいのかなという気も一面ではするんですが、エンフォースメントもやっぱり両面ではないかと。裏面というのか、表裏一体のものではないかという気がしておりまして、そこも含めてワーキンググループで4回なり3回なりで詰められるところを詰めるということではないかというふうに思ったんです。
以上です。
○蝋山部会長 山田さんが頭を抱えているわけですけれども、全部で17の、玉川さんの整理を使えば17の丸印が付いたイシューがアジェンダとして提示されているわけです。恐らく早期に法制化ということを考えてワーキンググループにお願いするとすれば、17全部丸印を付けてやってくださいと、これは皆さん無理だというふうに。早期というのは、先ほど上柳さんは2月、3月と言いましたけど、まあ今年内ですね。年度じゃなくて今年内、17全部議論してくださいと。そこでワーキンググループからのプロポーザルを待ちますというのは、これは無理ですと。これは御了解いただけるんじゃないかというふうに思うんですが、原さんはできると思いますか。
そして、二重丸を付ける、丸を付ける。そしてイシューとして残しておく。そして一部は部会なりで議論を始め、そして全ては、最終答申では全部。そういうような作業プロセスの方が、私としてはいいものができるのではないか。確かに部品として不十分かもしれません。しかし、うまく将来の出来上がる姿としての金融サービス法がややどうなるかというところは、火星か金星かぐらいの差があるのかもしれませんけど、私はどっちが火星、どっちが金星かわかりませんけど、だけれども、どっちになろうとうまくはめ込めるような、そういう御提案を法律論としてワーキンググループにお願いしたい。とするならば、二重丸はどれでしょうかと、こういうふうに山田さんは我々に投げかけているんだろうというふうに思います。そのときに、いや、全部丸ですよ、二重丸ですよというのは、ちょっと酷なんじゃないか。
○原委員 よろしいですか。
○蝋山部会長 はい、どうぞ。
○原委員 私としては二重丸と一重の丸ではなくて、少なくとも三重丸と二重丸と一重丸があって、その二重丸もできるだけ拾っていただきたい。
○蝋山部会長 僕が言ったのは3段階。
○原委員 それなしの議論。
それから、消費者団体も金融サービス法の早期制定というのは、ずっとパブリックコメントでも言っておりまして、その早期制定を言っていますけれども、やはり内容ですよね。内容というところで、余り不十分なものであれば、今の判例でも十分やれている部分というのがあって、それを考えれば、本当に内容次第だというところがありますから、三重丸+二重丸のところの議論もできるだけしていただきたいということです。
それから、これが今ロケットの話で例えられたんですけれども、本当にそのステップアップをしていく、その第1のステップという確認があればですね。
○蝋山部会長 いや、それはもう何遍も僕は申し上げている。少なくとも審議会としてはそうする方針だということは申し上げております。
○原委員 これで切られるということだったら困るということです。
○蝋山部会長 そんなこと一つも、今まで1回も言ったことない。ジャーナリズムが勝手に作っただけですよ。
○原委員 その確認がとれていればということです。
○蝋山部会長 原さんの御観点からすれば、三重丸でもいいし、二重丸でもいいんですが、私は3段階だ。その三重丸ないしはどれが……。
○原委員 やはり説明義務と適合性の原則と、それから不当勧誘。この不当勧誘のところに不招請勧誘も含めて整理をしていただきたい。
○蝋山部会長 もう一回おっしゃってください。
○原委員 説明義務と適合性原則と不当勧誘。
○蝋山部会長 17の項目があって、これはそれなりに項目の整理としては私は有効だろうと思うんですね。
○原委員 そうですね。
○蝋山部会長 ですから、説明義務ということになりますと、二つの論点が挙げられていて、2ページの説明、と
ですね。
○原委員 そうですね。明確化と効果ですね。
○蝋山部会長 この二つが……
○原委員 そうですね。大事だというふうに思います。
○蝋山部会長 そして、その前段階として……
○原委員 前段階のと
はやはりどうしても押さえておかないと話は進まないですね。
○蝋山部会長 なかなかこれは難しいんですよ。金融商品概念は三重丸だと思いますね。
○原委員 そうですね。
○蝋山部会長 プロ・アマ、ホールセール・リーテイル、この辺のところは一重丸というか、あなたので言えば二重丸だ。
○原委員 二重丸ですね。
○蝋山部会長 それで、あとは。
○原委員 、
が三重丸。
○蝋山部会長 、
が三重丸。これはいいですね。それから、あとどうですか。
○原委員 それから、と
なんですけれども、これは私は大事だと思うんですが、実際に立証責任が消費者になったときに、とてもここは本当に難しいところになっちゃって、私としてはすごく大事なんだけれど。
○蝋山部会長 いや、全部大事なんですよ。だから挙がっているんです。お考えください。ほかに三重丸ありますか。
○原委員 。
○蝋山部会長 が三重丸。それから……
○原委員 は二重丸ぐらいなんですね。私1人でしゃべっている。
○蝋山部会長 いや、まずあなたのを参考にしながらいきましょうということです。それから、少なくとも……。
○原委員 ですよね。これは三重丸ですね。クーリング・オフも私はしょっちゅう言っているから二重丸。不招請も三重丸。広告は今までもいろいろあって当然入るでしょうから一重丸。インターネットは応用版のような感じがするので、とりあえず一重丸。
それから、実効性のところですけど、が三重丸のように思って、
、
、
は……困っちゃうな。一重丸がなくなっちゃって、二重丸と三重丸ばかりになっちゃった。
○蝋山部会長 わかりました。それぞれ大変重要な論点を提起されていて、それを時間内でうまく何とか、まずは制度化できるものは制度化し、そしてうまくはめ込んで、この最終答申では可能な限り全体の姿をきちんと描くと。詰め切れるところまで徹底的に詰める。そういう方針でいきたいということは、やや抽象的だったかもしれませんけれども、前回も申し上げましたので、ワーキンググループの御依頼もありましたから、今一つの例として、原さんの観点からするとどうだということを申し上げた。
山田さん、そういうような御意見が部会としてまとまって出れば、ワーキンググループとして大変やりやすい。11月の3〜4回の議論で何とかということですな。
ほかにいかがでしょうか。そういうような整理の仕方をさせていただいたんですが、今、原さんに強弱を付けていただきましたけれども、それは原さんの御意見であって、部会としてはこういう方がいいんじゃないかということがございましたら御意見を頂戴したいというふうに思います。
能見さん、どうぞ。
○能見委員 別に違った意見というほどでもないんですけれども、時間的な制約を考えると、余りやっぱり欲張ったことはできないんで、から
ぐらいでしょうか。それがやっぱり一つのセットなんだろうと思うんですね。これは多少、責任の主体などについて広がりがありますけれども、基本的には説明義務とそれに関連する責任ということで、それが最小限の課題だろうという気がいたします。
その際に、もちろん金融商品の範囲なんか厄介なんですけれども、私としてちょっと指摘しておきたいのは、、
に関連して、これは山田さんの報告の中でもありましたけれども、説明義務の対象をどうするか。これはやっぱり全体のスキームに関連する事柄で非常に重要なんですが、抽象的に言えば、もちろんリスクに関する事項が説明されるということなんですけど、このパブリックコメントの中にもちょっと出てまいりますが、商品の構造に関する説明をどうするかというのが意外と厄介なんですね。
私の結論は、商品の構造に関する説明の中の幾つかのものは説明の対象に入れてもいいんですが、損害賠償とは必ずしも結び付かない。例えば、手数料みたいなもの。これは金融商品の中では何が手数料かというのは非常にわかりにくくて、こういうものはやはり本来商品を提供する側で当然普通説明するんだと思いますけれども、なかなか説明がはっきりしない。どこまでが手数料かというのがよくわからない問題があります。いずれにせよ、こういう手数料みたいなものを説明の対象に入れていいと思うんですけど、しかし、これは説明をしなかった、あるいは誤ったからといって、損害賠償に結び付くかというと、どうもちょっと性質が違うような気がするんですね。
したがって、その説明事項の中にも若干違ったもの、リスクに関するものと、それから、商品内容に関するものと言ったらいいんでしょうか、2種類ありますが、一応両方含める。しかし、損害賠償という効果は必ずしも両方には結び付けない。そんなような方向で検討ができるのかどうかわかりませんけれども、私、今説明を伺って、あるいはこの資料を拝見しながらの私の一応意見ということでお願いいたします。
○蝋山部会長 一つの御注意として、ありがとうございました。
ほかに御意見なり、御注文なりございませんでしょうか。
関さん、どうぞ。短くお願いします。
○関オブザーバー
先ほど冒頭に発言させていただきましたように、一部前倒しで次の国会等で立法するということについては、やはり消費者契約法との関係というのを意識しているわけでありますから、そこの先ほど私が申し上げた両法律の関係をどう整理するかというのをぜひ項目に入れて、先ほどのお言葉では三重丸にしてやっていただきたいと、こういうふうに思います。それから、全体の選び方は、今、能見先生が言われたのは非常に適切ではないかと私も思います。
○蝋山部会長 ありがとうございます。
それでは、どうぞ、石戸谷さん。
○石戸谷臨時オブザーバー 石戸谷です。説明義務につきましては、先物証券、変額保険というふうにそれぞれ何百個かずつ判決がありまして、現状ある程度対応できている部分もあるわけなんですね。それとの関係でいきますと、ビッグバンが金融規制の緩和の部分においてはどんどん行われていて、手数料の自由化で大体最終段階になっていると。それとの関係で、特に急ぐということからいけば、説明義務もありますけど、むしろその周辺部分、適合性の、
であるとか、それから、
の広告のことも、ちょっと前まではプロ向けの商品、デリバティブ商品のようなものが全面広告で、一般素人投資家に売られているというふうなことから見ますと、当然この広告のルールがどうあるべきかといったことも急ぐ問題としてはあるんじゃないかと思うんですね。ですから、結論的に言うと、原さんが言われたことにこの
の広告の部分を加えていただいて、それで適合性も、広義だけではなくて狭義の
の方も三重丸ぐらいでお願いしたい。
○蝋山部会長 ほかにございませんか。
森さん、どうぞ。
○森オブザーバー お願いということになるんですが、タイミング上、幅広い論点を絞っていくということは結構だと思うんですが、保険業法の場合は、特に説明義務もそうなんですが、不適正な勧誘の禁止というところについては、結構消費者契約法あたりと共通するところが出てくるかなと思っていまして、また、それが金融サービス法の中でも説明義務との重複というのが出てくるかもわからない。そうしますと、現行の業法をやはりこの際という、このタイミングの第1段ロケットでなくても結構なんですが、仮にそれが第2段以降になっても、必ずそこは見直すんだという方向づけは明快にしておいていただきたい。
それはなぜかと申しますと、一つは、我々代理店という形で販売をしているわけですから、そういたしますと、代理店の教育に非常にコストがかかる。あちこちの法律で微妙に違っているとか、あちこちの法律を目配りしなければ販売できない。それが大体同じようなことを目的として書かれている規定であるということだと、これは非常に効率性から見てもむだがある。また、それによっていろんな書類に判こをついたり、いろんな説明を重複して説明することによって、聞いている、受ける消費者もわけがわからなくなってしまうという問題も出てくると思いますので、ぜひ第1段ロケット以降については、早急にこのあたりの業法の重複しているところは整理すべきであるという方向づけは明快にしていただければと。これがまた規制緩和ということにも当然つながると、このように思っていますので、お願いしておきたいと思います。
以上でございます。
○蝋山部会長 今日お配りしました未定稿という判が押してありますけれども、各業法で全部で九つの法律のそれぞれの業法としての販売・勧誘行為に関する法的措置のサーベイが条文という形で出ているわけでありまして、こういうことをお配りしたことの含意は、まさに森さん今御発言の趣旨を生かそうという企図があるからであります。御注文として、ありがとうございました。
ほかにございませんか。
高橋さん。
○高橋委員 私もワーキングの方の委員をしておりまして、今までの議論とかを踏まえると、余りたくさんやるのは無理だろうなと。現実的な提案をしたいのですけれども、まず、金融商品の範囲については、やはり詰める必要があると思いますので、金融商品の範囲をすると同時に、今の業法との関連性というようなことで1回できないかということがあります。
それから、プロ・アマの議論と説明義務をセットにして1回できないかということ。それから、不適切な勧誘や不招請勧誘で1回できないかと。この三つが今優先的なものとして私は挙げたいもので、3〜4回とおっしゃいましたので、もう一回はこれの議論の中で必要だったものを再度やるなり、まとめていくという形です。
それで、不適切勧誘とか不招請勧誘に関しては、やはり消費者契約法との関連で早く論議しておいた方がいいだろうというふうに思います。消費者契約法の方では、取消権に関して行使期間の制限をしているわけなんですけれども、金融商品の場合はほかの商品と違いますので、ここで言う6カ月とか5年とかというものがなかなか適用されなくて、例えば、何十年たってから実はこうでしたということが出てきたり、追加的に説明をしないと、途中で利率が変わったりという問題もございますので、これも1回、消費者契約法との関連で必要かなというふうに思っています。
それから、私は、前回のこの部会及びワーキンググループの方で、エンフォースメントの重要性というのを申し上げているのですけれども、やはり現実的な問題として、ホールセール・リーテイルのワーキングでそれをやるというのは、時間的に12月という期限があるのであれば難しいので、この第一部会の方で、必ず3回なり、期間をとってやるということをお願いしたいというふうに思います。そして、その実効性の問題とワーキングでやったものとのすり合わせ、合同みたいな形を1回やるような形でいかがでしょうか。
それから、消費者教育については、必要であるということに関してはパブリックコメントを見ても、どの会議でも一致しているのですけれども、誰がやるのか、どういうふうに進めるのかということについて話し合う場というのは今まで一度もなかったので、これは1回ぜひとってやっていただきたいというふうに思います。
先ほど山田先生の方からも御説明ありましたけれども、イギリスではマーケット法案の4条でFSAが義務を負うということが、まだ法案の段階にあるにもかかわらず、昨年の3月から実際にどういうふうに進めていくかという検討がスタートして、2000年の春にはかなりきちんとしたものになっていくと。2年ぐらいかけてやっているわけなんですが、これを金融庁ができたからという形で先送りすると、この金融ビッグバンなり金融サービス法に関する理解も一般になかなか及ばないということになりますので、これは喫緊の課題としてぜひ第一部会で進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
井上さん、どうぞ。
○井上委員 全体の進め方は、これまでの議論を伺っていて、やはり今大体の大勢によってできるところをまず先行させていくという以外ないというふうに感じます。しかし、今後の最終答申といいますか、来年の金融庁の発足の前までにできる限り最大限全体像を描き、また、金融サービス法のその内容も詰めるという部会長の考え方でいくしかないし、そこのことが大いに強調されないと、かつてのように一部報道の中に誤った議論があったように思います。ぜひ金融サービス法的な普遍性のあるもの、各業法を超えて、より横断的な利用者保護のルールを販売・勧誘ルールについて明確にする。基本方向に沿ったものを最終的に出すという前提で一つずつ1段階やっていく。その後で、できれば、もしそれを3段ロケットと言うならば、重要な、次のステップで大事なのは、私の意見では裁判外の紛争処理制度というのは非常に重要ではないかというふうに考えておりますので、今回はそこが無理だとしても、できるだけ優先度の高いものに位置づけていただければありがたいと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
いろいろ御注文が出ておりますけれども、初めて御出席になった宮部さん、今まで御発言がないわけですが、もしもお感じになることがあれば、どうぞおっしゃってください。
○宮部臨時オブザーバー 内容として割と重複するかなと思いましたので黙っておりましたけれども、パブリックコメントということで、日本生協連としても出させていただいておりまして、一応重視をしているのが、説明義務と適合性原則と勧誘ルールということで、あと当然実効性確保という部分についても、それほど中間整理の段階で詳しく触れられていなかったので、今後の議論だろうというふうに思いましたので、十分な議論をという部分だけ確か書かせていただいていたと思いますが、先ほどからお聞きしている範囲のことで言いますと、実効性確保のところまでというのは非常に難しいということですので、原委員とか、石戸谷先生とかがおっしゃっていましたけれども、説明義務とか、適合性原則とか、勧誘ルールの部分については、ぜひ御検討いただければというふうに思っております。
以上です。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ほかにございませんか。
私としては、ワーキンググループにどこまで何をお願いするか。法制化ということを考えたときに、新聞の原稿ではありませんので、厳密にいつまでということではありませんけれども、やはり年内に法制化が可能なような基礎作業をある範囲についてお願いしたい。問題は、ある範囲というのは何かということで、今日いろいろ御意見を伺っても、全部拾い上げるとほとんど全部になってしまうということになってしまうので、えいやということをやらなくちゃいけない。
やはり中心は、基礎的な金融商品の範囲ということは当然としても、説明義務の明確化。説明義務とは何かということの明確化と、それから、説明義務違反に対する民事上の効果をどういうものを考えるか。法律的にそれが整合的なものとして、どういうものが立法可能かと、こういうところはもうぜひやらなければいけないことなのではないか。これはもう最優先の問題。丸の数を増やしちゃうとあれかもしれないけれども、四重丸だろうというふうに思うんですね。
これは金融商品の販売・勧誘ルールの非常に大きな柱でありますし、また、現在の各業法でも、業というものはもう定義しておりますので、余り十分に考えずに、横断的なということをすると考えなくちゃいけない。そういう難しい法律形成論になってくるんじゃないかというふうに思います。ともかくしかし、こういう点はもうぜひぜひ法制化に向かった検討を具体的に十分詰めていただきたい。
それに加えて不適切な勧誘に関する幾つかの問題というのが出てきます。既存の法体系でも、ある程度の不適切な勧誘に関するリファレンスはあるわけですけれども、横断性ということを考えたときに、早期に法制化すべきものが何で、そして、それがフィージブルかどうか、可能かどうかということも考えていただきたい。
細かな、先ほど各項目について三重丸にせよ、どういう表現にせよ、何人かの方々から御意見を頂戴したのは、いわば部会としてまとめるということより、むしろそのニュアンスを進行役に御理解いただいて、ワーキンググループでの議論に反映させていただければいいというふうに思います。
一つは、説明義務の明確化と、それから説明義務違反に対する民事上の効果、それをきっちりさせる。その前提としての金融商品の概念の明確化というのは当然含まれます。ホールセール・リーテイルというのも当然触れられてくるでしょう。しかし、今中心はそこにある。それに加えて不適切な勧誘とは何か。それをどうしたらいいか。こういう問題についても、それぞれの業法といったことを超えての横断的な包括的なルールと生成というものの基礎産業をお願いしたい、こんなふうに考えております。
それに加えまして、我々としては、井上さんから指摘があった裁判外の紛争処理制度の重要性、これはほかの方々、原さんも強調されたわけですが、その点と、それから、高橋さんがこの会の発足以来ずっと強調されておられる利用者・消費者の学習・教育と、こういったエンフォースメント関係の項目につきましては、この部会で議論していこうというふうに思います。
そして、具体的に原さんに、例えば自分としてはこういう裁判外紛争処理制度がいいんだというたたき台を近日中に、近々にこの会で御報告いただいて、侃々諤々、特にオブザーバーの方々、御関心も強いかと思いますが、しかし、東京銀行協会の新しい進展を考えれば御理解もあるのではないかと思いますので、そういう場として、原さんの方から具体的なプロポーザルを出していただきたい。やっぱり時間がかかると思うんですね。これはうまくいけば12月中に何とか、部会の頻度を考えますとできるかもしれない。
それから、消費者啓蒙、学習・教育等の問題については、これは高橋さんに同じような、諸外国の例を踏まえて、特に今先進国と言われる市場制度の消費者教育が非常に重視されているイギリス、アメリカの例を踏まえた上で、日本はかくあるべしと、こういう御提案を中心としたプロポーザルを含んだ御報告を年明け早々ぐらいにお願いしたい。こんなふうな形で、日程も限られていますので、御関心のある委員からプレゼンテーションを頂戴して、そしてここで議論を詰めたいというふうに思います。
今、具体的に原さん、高橋さんの名前を挙げましたけど、いや、おれも言うぞと、発言したいと、勉強の成果を披瀝したいと、こういうことであれば大歓迎しますので。それから、お二人の方、私はだめだと言われるとちょっと困るんですけれども、まあお願いしたいというふうに思います。
こういう方向で部会を進めることで、難しい問題を何とか、法制化の動き、あるいは最終的な答申に向けての内容の充実ということに反映させていきたいというふうに考えます。時間が非常に限られているので、非常に具体的な御提案を頂戴できたらなというふうに思います。
それでも恐らく積み残しの問題が出てくるでしょう。年明け以降、来年6月の最終的なとりまとめにやや時間がありますので、それでも問題の大きさに比べてみれば時間が少ないのかもしれませんが、ともかく我々の能力の範囲の中で、事務局の協力を得ながら議論をするというふうにしたいと思います。その具体的な議論の進め方という点については、しかるべく節目節目でお話し申し上げますので、御批判なりアドバイスを頂戴できればというふうに思います。
以上が今日の議論を踏まえて、私なりのまとめでありまして、山田さん、なかなかまだ大変だなということかもしれませんが、ある程度の交通整理ということになったでしょうか。そうなれば幸いだというふうに思います。
よろしゅうございますでしょうか。まだまだいろいろ御不満もあろうかと思いますし、御意見もあろうかと思いますが、こういう方向で部会、ワーキンググループの年内の作業を進め、年初の、また年が開けても、いわば勢いを維持したいというふうに思います。ただ、一月に3回、4回というのをずっとやりましょうと言っているわけではありませんから、必ずしも量のことではなく質の問題であります。12月には報告書の恐らく「中間整理(第二次)」といったようなとになるんでしょうか。その中には、しかし、相当具体的な成果が盛り込まれている。法制化すべき内容もその中に含まれている。そして6月、最終報告。
実質的な議論は、そうなりますと11月ということになりまして、先ほどホールセール・リーテイル・ワーキンググループの御紹介ありましたけれども、同じような頻度で集団投資スキームに関するワーキンググループもしゃかりきになるようであります。大変作業がフィジカルにも大変なことなんですけれども、しかし、こうした作業、整理というのはどうしても不可欠でありますし、委員の皆様には御理解の上、今後の運営について最大限の御協力を行われますよう、特に今お名前を挙げましたお二人の具体的なプロポーザルを鳩首し待っておりますので、どうぞよろしく。
それでは、玉川さん。
○玉川調査室長 次回の日程についてでございますが、次回は、11月16日(火曜日)の午後2時からとなっております。議事といたしましては、集団投資スキームとSPC法改正についての御審議をいただく予定となっておりますが、先ほどの部会長の御提案も受けまして、販売・勧誘ルールに関するエンフォースメントの部分につきましても、意見の聴取、御提案等を伺って議論させていただくこととしたいと思っています。詳細につきましては、決まり次第、また追って御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
○蝋山部会長 よろしゅうございますね。
それでは、御質問がなければ、以上をもちまして、やや今日は少し借金を返したか。今までは定刻をいつも過ぎて、私の方が債務超過になったわけですが、やっと少し借金を返すことができました。
散会いたします。
どうもありがとうございました。
(以 上)