金融審議会「第一部会」第16回会合議事録
日時:平成11年11月16日(火)14時04分〜16時03分
場所:合同庁舎第四号館(4階)共用第一特別会議室
○蝋山部会長 ただいまから、第16回金融審議会「第一部会」を開催いたします。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
今日は、お手元の一番上に議事次第が配付されておりますが、集団投資スキームに関するワーキンググループの検討状況の報告とそれに基づく討議ということで進めさせていただきます。
なお、前回の会合の終わりに、このテーマと合わせまして、裁判外紛争処理等のエンフォースメントについて意見聴取を行いたいということでお願いをいたしましたが、ちょっとそちらの方が委員の方の準備が整っておりませんので、次回に先送りさせていただきます。
審議に先立ちまして、本日は、林 芳正大蔵政務次官がおいでになっておられます。御紹介したく思います。林次官、どうぞ。
○林政務次官
ありがとうございます。大蔵政務次官の林でございます。座ったままで失礼させていただきます。
大変に金融審議会の第一部会では、先生方、また、オブザーバーの皆様に御協力いただきまして、「21世紀の金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきか」、大変に大事なテーマを取り扱っていただいているということでございまして、大変にありがたく存じている次第でございます。
私も、就任早々でございましたが、シンガポールでラボス会議を主宰しておりますワールド・エコノミック・フォーラムというところに行ってまいりまして、特にこれは国内のお話でもありますけれども、世界がやっぱり注目をしておるテーマだろうというふうにも考えておるところでございまして、我が国がどういうふうなシステムを構築していくかというのは、翻って考えますと、アジアの国々もお手本として注目をしてくるだろうという考えもあるわけでございまして、非常に大事なテーマを扱っておられているわけでございます。申すまでもなく、これがまた国民生活には多大な影響を与えることは当然でありますから、私といたしましても、これは立法府の方にどういう専門的な分野から皆様が御議論をいただいているかというのを少しでも伝えていきたい、そういうふうに考えておりまして、本日はそういうことで出席をさせていただくことにいたしました。
ぜひ皆様方におかれましては、引き続き精力的な御審査をいただくことをお願い申し上げまして、私からの御挨拶といたします。
どうもありがとうございました。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。大変的確な御挨拶を頂戴いたしまして、ぜひ今後も、お時間がないでしょうけれども、作っていただいて、しげく御臨席いただきますようお願い申し上げます。
なお、やはり政務次官、大変お忙しくて、冒頭30分で退席されることを予め知らせ申し上げます。
それでは、議事に従って進めさせていただきますが、先般、第14回、10月8日に開いたわけですけれども、この部会でSPC法の改正及び集団投資スキーム法制については、法制化のための細かな論点の検討をワーキンググループにおいて行うということで御了解を得ました。それ以後、集団投資スキームに関するワーキンググループは大変精力的に、都合4回ですか、5回ですか、この議論を進めていただきまして、本日はその中間的な、現段階を踏まえての検討状況について、神田進行役から御報告をいただいた上で、それを踏まえて自由討議を行いたいと思います。
それでは、神田さん、30分程度、よろしくお願いいたします。
○神田委員
今御紹介いただきましたワーキンググループの進行を務めております神田です。今御指摘ございましたように、私どものワーキンググループにおけるこれまでの検討状況につきまして、御報告をさせていただきます。
お手元に「第一部会16−1」という資料がありますので、それを読み上げるような形で御報告をさせていただきます。ただ、これはかなり細かなというか、あるいは技術的にわたる部分もあって、なかなかわかりにくい点もあるかもしれませんけれども、その点はまた後で御質問等をいただければと思います。
そこで、16−1のまず一番上の囲みの部分ですけれども、法制の基本的な枠組みとして2点書いてあります。「SPC法については、特定資産を投資者の唯一の拠り所とする資産流動化の特質を踏まえて投資者保護の枠組みを定める一方で流動化の器としての特定目的会社について組織の簡素化等を図るという流動化法制の基本的性格を維持しつつ、規制の簡素・合理化を図る。」ということであります。
他方、二つ目ですが、「投資物件に対する裁量を業者に認める場合には運用型のルール・法制が必要。証券投資信託・証券投資法人法を改正して幅広い資産への投資運用が可能となる投資信託・投資法人に関する法制を整備。」ということであります。
これも、昨年から今年にかけての御議論を思い出していただきますと、この7月に「中間整理(第一次)」というのをまとめたときの考え方で、まず、集団投資スキームというのは、今後の日本の金融・資本市場にとって非常に重要な、蝋山先生のお言葉で言いますと、市場型間接金融のかなり主役の部分になるであろうということであり、それについての法制を整備することは非常に重要な法制整備のポイントの一つだという位置づけで、この金融審議会としては進んでいるわけですけれども、そこに大きく二つのタイプがある。
資産流動化型と資産運用型というふうに整理しておりますけれども、第1の方は、SPC法という法律に基づくスキームが典型ですけれども、ある資産、例えば金銭債権あるいは不動産というものをセキュリティズして広く投資者に販売するという形でのいわば資金調達方法であります。
第2のタイプは、先に投資家からお金を集めてというか、これはやや不正確かもしれませんが、従来の証券投資信託のように、よく英語でプールド・インベストメント・ファンドなどと呼ばれていますけれども、投資家から集めたお金を運用者というプロが運用裁量を持って有価証券に運用する、商品先物に運用する、不動産に運用する、こういうイメージのものであります。
この二つは、詰めて実際のスキームでは似通ったというか、やや重なり合うようなスキームもあり得るんですけれども、頭の整理としては、特に法制整備をしていく上では、二つを一応区別して物事を考えようというのが7月の「中間整理(第一次)」の考え方でありまして、その線に沿っております。
今回、第一部会からいただきましたマンデイトはそれぞれ、前者につきましてはSPC法ということに具体的にはなります。それから、後者につきましては、運用型の集団投資スキームについての横断的な法制という、これまでいろいろ不都合があったものをできるようにするというための法制の改善についての具体的な論点を詰めて議論するというのが、ワーキンググループに与えられましたマンデイトでございます。
それで、これまで議論したところの結果を、その下から「検討項目」と「意見」に分けてまとめてあります。意見につきましては、もちろんいろんな意見がワーキングでは出たんですけれども、概ね大体こういう感じだということで書いてありまして、特に意見が非常に分かれている部分については両者の意見が書いてあります。以下、順次御説明させていただきます。
まず、資産流動化スキーム。これは具体的には今回はSPC法の改正ということを考えております。これに係る論点であります。
「検討項目」の方に沿って申し上げますが、「1.最低資本金の引下げ」。現在はSPC法人の最低資本金は
300万円になっておりますけれども、「意見」の欄を見ていただきますと、一般の会社においては、最低資本金は会社財産を唯一の担保とする債権者のための財産的基礎として設けられているが、資産流動化のための単なる器としてのSPCについては、最低資本金を定める必要性に乏しいのではないかということであります。
それから、「2.一つのSPCによる複数の流動化計画に基づく証券発行」。現在のスキームでは、1SPC1流動化ということで整理がされておりますけれども、この点については、これを緩和してほしいという要望もあります。
ただ、この点につきましてはワーキングでは、そこに書きましたように、「発行される証券と資産の対応関係が不明確となり、投資判断が難しくなったり各スキームの法的安定性が弱まるという問題がある。流動化型スキームとしては、一つの流動化計画に一つのSPCを対応させるべき。」ということなんですけれども、その次の括弧がありますけれども、現在は、SPC一つ作るのに最低資本金を含めていろいろコストがかかるものですから、一つ作ったところでたくさんの流動化をやりたいと、こういう要請になっているんですが、SPC一つ一つを簡素に作れるようになれば、1SPC1流動化で動くというか、むしろそちらの方で対応するのが合理的ではないかというのがワーキングにおける大宗の意見であります。
「3.組織の簡素化」。これもSPCの組織の簡素化という意味であります。?と?を併せて申し上げます。「?取締役の義務・責任の緩和」「?監査役の廃止」。こういうガバナンス構造の簡素化、廃止を望む声も世の中にはあるようですけれども、SPC法スキームにおける投資者保護の仕組みというんでしょうか、取締役の義務・責任、あるいは監査役設置というものをちょっと緩和するのが適当ではないのではないか。また、これが現在のSPCのスキームの使い勝手を悪くしているということは言えないのではないかというのがワーキングでの大宗の意見であります。
2ページ目に移らせていただきます。「4.商品設計の自由度拡大」であります。
「?対象資産の範囲の拡大」。現行法の下では、指名金銭債権、不動産、これらの信託受益権に限定されております。「意見」欄ですが、「金融イノベーションを促進し自由な商品設計が可能となるよう横断性と自由度の高い集団投資スキームを整備する必要があり、広く財産権一般を対象資産とすべき。」ということは、基本的には何でもいいんじゃないですかということであります。
「但し、」というところですが、「任意組合の出資持分や同一法人の株式の一定割合以上を取得する場合のようにSPCが実質上主体的に事業等を行うことになるもの、資産運用が行われる匿名組合の出資持分権や特定金銭信託の受益権のように、流動化の対象資産に加えると資産流動化型スキームの中で実質的に資産運用が行われるのと同様の効果が生じ、資産運用型スキームに係る規制が回避される結果となるものについては除外する必要がある。」
ちょっと何を言っているか、なかなか専門的な言葉も出てきてわかりにくいところがあるかと思いますけれども、要するに、そこに書いたようなものを認める場合には、これは後で申し上げます第2のタイプである資産運用型の方で整理するということで、資産流動化型の名を借りて運用型のスキームを作ることは防止する必要があると、そういう趣旨であります。
二つ目の○ですが、「流動化対象資産が不動産・指名金銭債権から財産的権利一般に拡大されることにより、資産保管会社の破綻時のコミングルリスクへの対応が必要。信託の活用も一案。」という御意見がありました。
「?転換特定社債、新優先出資引受権付特定社債の導入」。えらい長いですけれども、現在は社債、優先出資、CPと、このように出口ですね、投資家の方にセキュリタイズされる商品名の法的形態が限定されております。これに、こういう転換、いわゆる世の中で言う転換社債とか、世の中で言うワラント債みたいなものを付けてはどうかということで、そういう要望が世の中にはあるようですけれども、「意見」の欄ですが、商品設計に柔軟性を付与する観点から転換特定社債等−−「等」と呼んで、まだ詰めておりませんが−−を導入する方向でいかがかということであります。
「?その他」ですけれども、優先出資証券の投資商品としての魅力を高めるため、資産流動化計画の定めにより、特定出資者には払込金額を超える残余財産の払戻しを行わず、全ての残余財産を優先出資者に払い戻すことを可能とすべきではないかということであります。括弧内は省略いたします。
「5.行為規制の緩和」です。
「?特定資産の弾力的処分、追加取得」。現行法の下では、そこに書いてありますように流動化計画というものを予め作成しますので、それに記載されたとおりに資産を取得・管理・処分することが要求されております。ここをもう少し弾力的あるいは緩和できないかということであります。
「意見」欄ですが、不動産の場合、中・長期の計画期間内においては、想定し得ない収益力や価格の低下等が生じ、不動産を計画どおり保有し続けるよりは早期に売却して資金を回収した方が投資者の利益が保全される場合もあり得るので、反対者への買取請求権付与を前提とした特別多数決により流動化計画を変更して処分できるようにすべきではないか。ただ、追加取得、不動産を追加するようなパターンは、ここの流動化型ではなく、次の第2のタイプである資産運用型の方で対応すべきということであります。
これは不動産の場合と債権流動化のスキームは大分違いますが、不動産の場合には30年、50年というスキームがありまして、その間に何が起きるかわからない。後から変更できないというのでは、どうもスキームが動かないということになりかねませんので、この部分については、多数決による変更を認めるというのがポイントであります。
それから、二つ目の○ですが、流動化型は資産が特定していることが前提でありますので、弾力的な処分や追加取得という話になりますと、これは次のパターンの、何度も申し上げていますが、資産運用型、すなわち業者が運用裁量を持つ方のスキームで対応したいと考えております。こちらに入らないということだけでなく、こういうスキームは次の第2の方に入ります。
3ページへ移らせていただきます。「?借入金制限の緩和」であります。現行法は、そこに二つ書いてありますとおり、借入金というのは、正確にそこに書いてありますが、資産価値の維持増加や一時借入れに限定。それから、流動化計画に記載された範囲内で可能と。かなり厳格な規制が書かれております。
これについては、「意見」欄ですが、まず第1に、資産流動化計画に記載することを前提に、特定資産の取得のための借入金を認めていいのではないか。(注)は省略させていただきます。
二つ目ですが、不動産の流動化に関し、予想外の事態により建物の大規模な改修が必要となった場合に、流動化計画に記載された借入限度を超えて弾力的に借入れができるようにしたいとの要望があるわけですけれども、追加的な担保設定等、投資者の利害に影響するため、流動化計画の借入限度や使途を超えての借入れについては、投資者の同意−−これも多数決ということでいかがかということですが−−によって流動化計画を変更して、これを行う、こういう対応でいかがかという方向で議論をしております。
「?余裕金運用制限の緩和」。現在、余裕金は国債、預金等に限定されております。これも不動産の場合に問題になるところなんですが、建物の流動化の場合、減価償却相当額の資金や物件の一部売却代金がSPC内に滞留することから余裕金運用制限の緩和要望がございます。この点は、この後で申し上げます優先出資の減資・払い戻しという方を緩和して対応できるのではないかということであります。リスク資産への運用というのは、投資者保護のために運用型スキームの方で対応するのが筋ではないかという方向で議論しております。
「?優先出資の計画外増資」。現行法は、流動化計画に記載がある場合のみ可能。額面発行となっております。
この点、予想外の事由により特定資産の価値の維持・向上のため予定外の支出が必要となる等一定の場合につき、投資者の同意−−これもまた多数決ということになりますが−−により流動化計画を変更して優先出資発行総額の増加を認めてはどうかということであります。しかも、その場合は時価発行増資ということになろうかと思います。
「?優先出資の減資」。現行法は、これは流動化計画期間の途中での減資は禁止であります。これも建物のような場合に問題になるわけですが、建物の流動化の場合にSPC内に滞留する減価償却相当額の資金や物件の一部売却代金について投資者への払い戻しができるよう、流動化計画への記載に基づく予定減資、あるいは予定されていない減資についての債権者異議手続等を前提に、優先出資の減資を可能とすべき。つまり、必要な措置を講じつつ優先出資の減資を可能としてはどうかということであります。(注)は省略いたします。
「?業務委託制限の緩和」。ここは現行法は資産管理等の外部委託ということを求めております。
ここは「意見」欄に、現行法どおりでやむを得ないのではないかという方向で検討しております。
4ページ目へいかせていただきまして、「6.資産流動化計画の簡素化等」であります。このあたり、かなり実際に携わっておられる方から要望が出ているところであります。
「?定款事項からの除外、記載内容の簡素化」であります。現行法は、そこに書いてありますとおり、計画期間、発行証券、特定資産の取得・管理・処分等全てを流動化計画に定めた上で、さらに定款に予め記載することが求められています。
これに対して「意見」の方ですが、流動化計画は定款記載事項であるため会社設立時に作成する必要があるわけですが、実務上は流動化の計画というのは証券発行直前まで内容が確定できないことが多いわけであります。括弧内ですが、SPCは登録完了後でないと証券の発行ができませんし、登録審査の標準処理期間として2カ月程度と言われております。こういったものを予め会社設立時に全て確定して準備するのは困難であり、その後の変更のためのコストもかかります。このような実務上の要請と、他方において投資者への情報提供・スキームの変動防止という要請とどこで調整するか問題がありますが、現行法は緩和できるのではないかというふうに考えられます。すなわち、そこに書いてありますように、投資判断の前提として流動化計画には現状どおり詳細な情報の記載を要求するけれども、定款に書いておく必要はない。定款記載事項からは外すこととし、別途、流動化計画違反の行為に対する投資者や監査役の差止請求権を認める規定で対応するということはどうかという方向で検討しております。
「?計画の公衆縦覧の限定」。現在は、流動化計画は一律公衆縦覧でありますが、「意見」のところにありますように、私募あるいは機関投資家向けに発行されるようなものは証取法でも、これは後者も証取法では私募なんですけれども、ディスクロージャーは不要とされておりますので、流動化計画の公衆縦覧そのものについては必要ないのではないかということであります。
「?計画の中途変更」。ここも現行法は、中途変更は原則として利害関係人全員の同意が必要になっておりますけれども、全員の同意ということは変更できないということですので、「意見」にありますように、予想し得ない事由が生じ得るということで、反対する人には買取請求権を付与するなど、反対者の保護を留意しつつ、利害関係人の特別決議−−これは書面投票という方法を含めてですけれども−−による変更を認めてはどうかということであります。ただ、この変更も、先ほどから出ております話と関係しますけれども、あくまで流動化型のスキームの変更であって、運用型になるような変更は運用型法制の方で対応するという考え方であります。
「7.行政庁の関与のあり方」であります。現在は、SPCにつき登録制がとられております。
「意見」の方ですが、SPCの登録の審査−−標準処理期間2カ月と先ほど申し上げましたが−−のため市場の状況に応じた迅速な流動化に支障があるとの指摘がございます。登録審査は法令違反の有無のみを審査し流動化計画の健全性、妥当性は投資者の自己判断に委ねられていること、そして実際には行政の関与のない海外SPC、これを利用して証券化したものを国内で売ると、これはSPC自体に対する登録規制はないということになります。また、一般の会社の証券発行は言うまでもありませんが、事前審査なしに行われているわけであります。こういった点を勘案いたしますと、登録制による事前審査というのを届出制に改めて、法令違反に対しては事後チェックにより対応してはどうかという方向でワーキングでは議論しております。
ただ、行政の事前審査がなくなることから、そこに書いてありますように、詐欺的な証券発行防止のため届出時点で流動化対象資産の取得が確保されているようなことを義務づけるとか、あるいは、そこにありますように、投資者の自己判断に資するよう優先出資の予想配当や特定社債の利回りに加えて、これらの計算の前提としている根拠といったようなことをディスクロージャーさせるというような手当てをしてはどうかということであります。
二つ目の○ですが、登録制から届出制への移行ということになりますと、行政の関与が事前審査から事後審査に変わるだけで、行政が法律に基づき審査・対応する点で変わりはございません。一般の会社の証券発行に対する証券取引法の執行体制も含め、これはやはり一般論にもなるんですか、事後チェックの実効性が上がるような執行体制の充実に努める必要があるという御指摘がありました。
5ページ目へいきまして、「8.倒産隔離」。なかなかこれもわかりにくい、バンクラップシーリーモートネスなどと呼ばれている問題であります。
「?特定社員への議決権制限」。現行法では、できません。
これは「意見」の部分ですが、議決権を通じたSPCへの特定出資者の影響力を限定するため、有限会社のように定款で特定社員の社員総会招集権、議案提出権を制限することを認めてはどうか。また、取締役の解任に関する議案提出権を監査役に限定してはどうかということであります。
二つ目の○ですが、取締役の欠員等への対応が困難となる等、投資者の利益が損なわれることも懸念されるため、こういうことには反対であるという意見もありまして、ここらあたりはまだ議論している最中でございます。
「?倒産隔離のための信託」。これはなかなかわかりにくいんですが、これはケイマン諸島などでチャリタブル・トラストという、世界標準になっているセキュリタイゼーションのやり方ですが、この?は、いわば日本版チャリタブル・トラストを導入してはどうかという問題意識であります。さもないと、ケイマンと日本とが競争するというのはややナンセンスな話でありますけれども、現在のSPC法に基づくスキームも、ケイマン諸島で一遍作って、さらにその下に日本のSPC法に基づくSPCを作るという、何か二度手間が行われて、それがひいてはコストにもなっていくという面がございます。
そこで、「意見」の方ですが、ちょっと技術的な話になりますけれども、議決権を通じたSPCへの特定出資者への影響力を遮断するため、特定出資者が信託銀行との間で、委託者はSPCの業務終了まで指図及び信託契約の変更又は解除を行うことができない。受託者は信託財産たる特定出資持分を、当初のスキームの変動防止、その他の信託契約で定める目的に従い管理する責務を負う、といったような内容の信託、これが大体チャリタブル・トラストと呼ばれているものの内容ですが、その設定を可能とすべき、そういう可能とするような法制を整備してはどうかということであります。
「?優先出資の無議決権化」。現在は、そこに書いてあるとおりであります。
「意見」の方ですが、取締役解任権等の議決権を有する優先出資社員の構成が変化し得る状況においては特定社債権者が安心して投資することができないため、オリジネーターが優先出資証券を保有せざるを得ない場合があります。優先出資証券を広く一般投資者に販売できるよう、定款により優先出資を無議決権化できるようにしたらどうかということであります。
「9.信託型スキームの導入」。現在のSPC法のスキームは、急いだということもあったかと思いますけれども、いわゆる会社型だけでありまして、信託型を認めておりません。しかし、これもやはり認めた方がいいのではないかという方向であります。
「意見」の部分ですが、まず最初の○資産流動化スキームにおけるビークル(器)として信託の利用が可能となるよう、資産流動化型信託スキームについてSPC−−これは会社型ということになりますが−−と同様の法制度を整備し、当該スキームの信託受益権を私法上及び証取法上の有価証券とするということであります。括弧内は省略いたします。
二つ目の○投資者の数が少ない場合や期間が短い場合など、信託受益権を有価証券としない従来のスキームの方がコスト面から有利な場合があり、幅広い選択肢を用意するという観点から、従来型のスキームも併存させる。
現在でも、SPC法の外では、信託を使った資産流動化スキームというのは多数行われているわけでありまして、今回、そういうものはもちろんそれでいいわけで、それに加えてSPC法という法制のいわば中に入って、SPCという、会社型と同じく信託を器として使う、そういうスキームも今回整備しましょうということであります。
三つ目の○ですが、その場合の法制整備すべき点ですけれども、投資者保護の観点から、複数の受益者の権利行使関係の明確化が必要。これは一般論ですが、例として、受益権を取得したものはその取得により委託者の地位を承継する。受益者の意思決定について、多数決原理を導入するなど、集団的権利行使のスキームを整備する。三つ目ですが、全ての受益者について計算書類等の閲覧請求権を認める。等であります。
以上が資産流動化型のスキームでありまして、6ページからは資産運用型スキームであります。ここの基本スキームは、6ページの「意見」の欄にありますように、会社型と信託型について、こちらの方も法整備を行おうということであります。会社型と信託型の違いは、6ページに図があり、説明がありますが、時間の関係で省略させていただきまして、7ページに進ませていただきます。
「2.対象資産等」であります。
「?対象資産の範囲」。「意見」のところですが、金融イノベーションを促進し自由な商品設計が可能となるよう、横断性と自由度の高い運用型集団投資スキームを整備する必要があり、広く財産権一般を運用対象とした総合的なファンドとすべきということで、法制としては、(注)に若干書いてありますけれども、当面は運用会社がそれぞれの得意分野についてファンドを設立・運用することになると思いますが、法制度としては横断的に、すなわち何でもよろしいということにすべきだ。こういう方向感は既に前から「中間整理(第一次)」でも出ているところであります。
二つ目の○既存の資産運用型法制との関係については、過重な二重規制とならないように留意すべき。
三つ目の○ですが、それぞれの資産には特有の性格や取引形態、市場がございます。したがって、全ての資産に共通する行為規制を何か形式的に設けるというのは、かえって使い勝手が悪いものになるおそれがあるので、その点は留意する必要があるという御意見がございます。
「?資産の混合運用」であります。資産の混合運用というのは、そこに書いてありますように、一つのファンドが様々な資産に投資して運用することですが、リスク分散の可能性も含めて商品設計の自由度を広げることになります。したがって、この辺、混合運用あるいはポートフォリオ自体については法レベルでの規制ということは設けませんで、運用方針を明確にした上で市場の判断に委ねることが望ましいということであります。ただ、ここの法レベルでの規制というのは、例えば5・3・3・2のようなものは設けない点で、プルーデント・インベスター・ルールという考え方はもちろん適用になります。
それから、二つ目の○ですが、公募のオープンエンド・ファンドについて、分散投資や流動性の手当て等を義務づける必要があるのではないかという御指摘がありました。
「?資産の適正評価の担保」。この辺は、資産によっていろいろ難しい問題がありますが、「意見」のところにありますように、組織化された公開の市場による価格形成が行われていない資産、殊に不動産の場合には、公正な時価の算出が困難で、公示価格や鑑定価格等も必ずしも実態を表しているとは言えないという御指摘があります。
二つ目の○ですが、オープンエンド型では、解約価格や新規投資価格算出のためファンドの資産価値を定期的に時価評価する必要が生じるが、現段階では、ファンドごとに個別に評価基準を定め、規約等に記載するとともに、評価の計算根拠も含めてディスクローズし、評価結果の適否はマーケットの評価に委ねることになるのではないか。財務諸表については、投資目的の金融資産のように市場価格で売買することで利益を得る目的で保有する資産については時価評価すべきと考えられますが、使用により収益を得る目的で保有する資産については取得原価又は低価法で評価してはどうかという御意見があります。
クローズドエンド型の場合ですが、この場合も、財務諸表の簿価に加えて、有価証券報告書、運用報告書等で投資者自らが当該ファンドの価値を判断するに足る時価情報を開示していくこと等が必要だというふうな御指摘を得ております。(注)の部分もちょっと重要かと思いますけれども、時間の関係で省略させていただきます。
8ページへいきまして、次の○です。組織化された公開の市場による価格形成が行われていない資産の取得、売却については、SPC法のように外部の者による価格評価等の適正手続を義務づけるべきではないかという御意見があります。
次に、「3.ファンドの設立等」であります。
「?設立時の最低規模、常時保持すべき最低純資産額」ですけれども、こちらは運用型でありまして、「意見」のところにありますように、詐欺的な小規模ファンド設立を防止する必要があるので、一定以上の規模というものは多分必要になると思いますけれども、現在の証券投資信託法等でもそういうルールがあります。具体的な金額レベルにつきましては、商品設計の自由度確保とのバランスに十分な配慮が必要だという御指摘があります。
「?ファンドを設立する者」ですけれども、「ファンドを企画・設立する者は、ファンドを適切に設計するとともに適正な運用会社を選択する必要があり、この観点から対象資産に関する十分な知識、経験を有する者に限定する必要があるということであります。
「4.ガバナンス」。会社型ですが、これは投資者が投資法人の社員として規約違反行為の差止請求権や規約変更の議決権等、種々の権利を有している証券投資法人、いわゆる会社型投資信託と呼ばれているものと同じ仕組みで考えてはどうかということであります。
他方、信託型の方ですが、現在の証券投資信託では、投資者の帳簿閲覧権と外部の会計監査人の監査ということに依存している形になっております。しかし、免許制の下で規制監督されている信託銀行が関与されていることやガバナンスの仕組みのコスト等の観点も踏まえて、この点についてはさらに検討をする必要があるというふうに考えております。
「5.発行証券」。出口の方というんでしょうか、あるいは、流動化型ですから、多数の者からお金を集めるその形態になりますが、「?投資証券」ですが、資産運用型スキームにおいては複数の投資証券を発行すれば投資者間のコンフリクトが生じるため、エクイティ型の発行証券は一種類とする。
これは理屈の上ではなかなかわかりにくいかもしれませんけれども、アメリカ等、この手のスキームはエクイティ型の発行証券は1種類とする。主として、これは過去のフロードに対する対策から、アメリカなんかは出来上がっている体系なんですけれども、これは大体こういうことでいいのではないかというのがワーキングでの御意見であります。
ただ、クローズドエンド型につきましては、デット型の証券の発行も可能としていいのではないか、引き続き検討したいということであります。
「?オープンエンド型の可否」ですが、これは言うまでもありませんが、当然オープンエンド型の組成も可能とするというのが一つ目の○であります。
そのページの一番下の○ですが、「流動性の低い資産に投資するオープンエンド型については、ファンドの組成者は流動性資産等の払戻し資金の手当てを講ずるとともに、払戻期間や払戻制限等について投資者へ十分なディスクロージャーを行うことが必要と考えられます。
「6.借入制限・レバレッジ規制」であります。
投資者のニーズに応えファンドを成長させていくためには、機動的で柔軟な資金調達の道の用意されている必要があり、その手段として借入れが必要という御指摘。
それから、借入れを認める場合、貸し手とエクイティ投資者の間で利益の対立が生じる場合があるので、オープンエンド型の解約等に関する利害調整措置が必要という御指摘が出されております。
それから、次のレバレッジの方ですが、デリバティブに関するレバレッジ規制ですが、これはあくまでディスクロージャーが適切であれば必要ではない。つまり、レバレッジ規制は不要だという御意見と、その次の○ですが、デリバティブについて投資者にとって意味があり、かつ理解し得る適切なディスクロージャーは困難。したがって、レバレッジの規制が必要ではないかという御意見と、両論あります。
極めて過度なレバレッジに対する規制は考え得るが、という御意見も三つ目の○としてあります。
次に、「7.運用(指図)会社」。「?資格要件」。これはいわゆるフィット・アンド・プロパーということで、投資者保護の観点から、そういうものを要求するということで、文字どおり読みませんけれども、認可制としてはどうかということであります。
「?兼業制限」でありますけれども、運用会社については、情報収集や人材確保等の観点から専業制ではなく幅広い業務が行えるようにしたいとの要望もあるが、リスクの遮断、利益相反の防止、適格性を担保するための検査・監督の実効性確保等の観点から専業制を基本とし、兼業範囲は投資者保護に支障の生じないと認められるものとして承認を受けたものとする方向で検討するということであります。
この点は、ワーキングでは非常に意見が分かれたところでありますが、どちらを原則とし、どちらを例外とするかという法制整備の作り方の問題かと思いますけれども、実際のニーズとしては兼業の要望も強いものがあるようですけれども、どうもちょっと怖いなという感じで、ワーキングでの委員の多数意見としては、そこに書いてありますように、専業を原則としつつ、例外的に投資者保護に支障のない、認められるものについて、その範囲での兼業を認めるという方向でどうかということに、今のところなっております。
「?受託者責任」ですが、これは、利益相反防止のため、利害関係にある旨の情報開示義務−−これは当然でしょうが−−や一定の利益相反取引の禁止を定めるということであります。これは抽象的に言えば、当然のことですが、但書がそこにありますように、但し、利益相反取引の禁止については、大量に流通し価格・利回り等の条件だけで売買される資産、上場有価証券のようなものがそうですが、個性の強い資産、例えば不動産と一緒に考えるわけにはいかないのではないか。不動産等の個性の強い資産についてはファンドのパフォーマンスを上げるためには利害関係人との取引等が有益な場合もあり、そうなってきますと取引行為そのものを禁止するのではなくて、情報開示や投資者等のガバナンスの確保によって対応することが必要ではないかという御指摘があります。
二つ目の○です。その他、売買価格の適正性確保のためのアームズ・レングス・ルール、プルーデント・インベスター・ルール、関係者が複数存在する場合の責任関係の明確化等をしていく必要があるとの御指摘がございます。
10ページ、最後のページになります。「8.資産保管会社」の話であります。
これも意見としては、コミングルリスクへの対応や相互牽制の観点から、運用会社と資産保管会社は原則としては分離していく方向でというのが現在のワーキングの考え方であります。但し、信託については、法的に分離が担保されておりますので、受託者が運用するようなものの場合には、さらに外に保管会社の設置を義務づける必要はないということであります。
二つ目の○金銭、有価証券等の即時取得、これは法律の場合、善意取得と呼ぶ人もいますけれども、こういうものはコミングルリスクというものがありますので、資産保管会社を一定の者に限定する必要があるのではないかという御意見であります。
以上、非常に駆け足で、かつ初めてお聞きになる方にとってはわかりにくい部分もあろうかと思いますけれども、基本的な方向感としては、資産流動化型スキームにつきましては、現在のSPC法に基づくスキーム、既にこれは昨年の9月1日から施行されておりまして、スキームが20件近くあるわけですけれども、そういう経験の中で、いろいろ使い勝手が悪いという御指摘も受けておりまして、使い勝手が本当に悪い部分は改善したい。そういう意味では思い切った規制緩和みたいなことをやりたい。しかし、投資者保護のために必要なところはきちんと押さえておきたいという形で、かなり大胆に検討をしつつあるつもりであります。
流動化型はそういうことですが、運用型の方のスキームは前から指摘がありましたように、証券、投資信託、商品ファンド、不動産何とかと縦割りになっておりまして、それを横断化していきたい。そして、そういうスキームを認めていく際に、やはり投資者保護に漏れがないように、そこに十分な留意をしながら法制などをかなり大胆に改善したい。そういう方向感で、問題となり得る各論点について、これまで検討してまいりました。その結果が今申し上げたような状況でございます。
ちょっと時間をオーバーいたしましたけれども、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○蝋山部会長 大変膨大な作業を短い時間で要約していただきましたので、ありがとうございました。
それでは、ただいまから自由討議ということで、いろいろ御質問なり、御意見があろうかと思いますので、お伺いしたいというふうに思います。どうぞ御自由にお出しください。
杵淵さん、どうぞ。
○杵淵オブザーバー まず最初に、投資信託協会の方からぜひお願いしておいてほしいということでございますので、ちょっと協会を代表いたしまして、私の方から簡単にお願いを申し上げます。
今現在検討されております証券投資信託法等を改正いたしまして、この投資対象を拡大する場合には、現行の証券投資信託が既に欧米先進諸国に比肩し得る制度としていろいろ整備されてきていること。また、主として有価証券に対する投資に運用されるスキームとして、広く国民に認知されていることでございますとか、また、ファンドに組み入れられております有価証券の評価でございますとか、基準価格の計算方法でございますとか、それから、受益者の換金の方法等ですね、これまで長年にわたりまして協会として営々として利便性向上のためにいろいろなインフラ整備を努力してきたところでございますが、こういうふうなことを考慮していただきまして、証券投資信託を利用なさっておられます今膨大な数の投資者に無用な混乱が生じたり、あるいは、今後改正される制度に悪い影響が出ないように、慎重な御判断をぜひしてほしいと、こういうことでございますので、冒頭にちょっと私の方からお願い申し上げておきます。
○蝋山部会長 抽象的でちょっとわかりにくい。具体的にこういうことが考えられるので、この点はどうかというような、そういう詰めはなさっておられるんでしょうか。
○杵淵オブザーバー ここではこの発言にとどめておきますが、私の個人的な意見としまして、若干疑問といいますか、質問事項があるんですが、申し上げますと、例えば、証券投資法人法のみならず、いわゆる信託形式にもこういうふうなことを応用する。これは、投資対象を幅広くやるということは私は賛成なんですけれども、信託型にまで応用したときの、ここでも問題点にされておりますが、例えば、ガバナンスの立て方はどういうふうな考え方になっておるのか。これは、例えば、MMFですとかMRF、こういうふうなものは受益者が膨大に上っておって、このための受益者総会とか、そういうふうなことを仮にやられますと、実務としてワークもしないし、投資家自身もそういうふうなことを望んでいないと思いますので、例えば、こういうふうなことはどういうふうになっているんでしょうかねと。あるいは、私が一番頭にあるといいますか、例えば、こういうふうなものを幅広く、全ての財産権を投資対象にしたときに、税法上の所得というふうなものは、何所得でこれは判断されるのか。こういうふうなものが仮に現行の投資信託制度の中の税制に重大な影響を及ぼすといいますか、多大な変化を起こすようですと、これはちょっといろいろあらゆる角度から慎重に検討せなならんなというふうなことを、これは私の個人的な質問なんですけれども、そのようなことなんですけれども。
○蝋山部会長 二つの質問があったと思いますが、信託型の集団投資スキームというのを考えたときに、現在の証券投資信託におけるガバナンスの構造というものが大きく変わる、しかも、よりコストが変わるような形で大きく変わるというようなことは考えられているのかどうかというのが一つの質問だというふうに思います。
もう一つの杵淵さんからの御質問は、税法でどう扱うかという問題、これはなかなかワーキンググループとしても答えにくい問題かと思います。ちゃんとスキームができないと、税法の方も所得の定義がどうなるかということがわからないと思うし、それを先取りして、我々の方でこうだということもできないという、非常にいつも税が絡みますと、なかなか難しいことになるかと思いますが、もしも神田委員、何かその二つの点で、杵淵さんの点で御意見があれば。
○神田委員
これは私、とてもワーキンググループの進行役としての発言じゃなくて個人の意見になってしまいますので、そういう意味ではお許しいただきたいと思いますけれども、御指摘のお気持ちはよくわかるような気もするんですが、まず前提として、制度の整備というのは、運用対象というのは幅広く横断的に考えましょうということを考えていますけれども、もちろん、これは意見のところに書いてあったと思いますけれども、それぞれが得意分野でやるというのは大変結構なことですから、主として有価証券という商品がこれまで歴史を持って存在しており、そういう商品が今後も活躍を続けていかれるというのは大変結構なことであります。そのことと、しかし制度の主として有価証券という形で縦割りに今後も作っていくべきだという、そういう御主張をしておられるわけではないと思いますけれども、その方は変えようということであります。世界的にもそういう傾向だと言っていいかと思います。
それで、今の二つの点で、いずれも非常に難しい問題なんですけれども、第1点の方は、とかく日本ではガバナンスのコストは民間は持ちたくないから国で持ってくれというので、昔の投資信託研究会というのを何度かやりましたけれども、そういうときでも約款の個別承認制ということで、ガバナンスのコストは行政が負担してくださいというやり方で昔はやっていたわけですけれども、そういう時代でもないでしょうと。もっと商品を自由に作っていきましょうという議論したときに、会社型投信の方は一つの回答を、諸外国の法制等をモデルに得たんですけれども、信託型の方は、従来から存在している証券投資信託についても、その部分の整理は必ずしも、私の個人的な感じとしては詰め切れてはいないということではないかと思います。現在でも、届出制ですので、もちろん、そこに法律違反があれば、これも先ほどの意見の中に書いてありましたけれども、当然、行政はそれを正していかなければいけないという責務は負っていると思いますので、その限りにおいてはまだ国が面倒を見ているというところが残っている体制ではあるんですけれども、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、証券投資信託研究会が昔していたころは、もともと信託型の5法はイギリスのユニット・トラストゼーションでありまして、ユニット・トラストという仕組みの下では、非常にラフに申しますと、受託者は年1回、運用(指図)会社である−−日本で言えば委託会社ですけれども、が法令違反等をしていないかどうかという報告書を受益者に送るという、大体そういう仕組みになっていて、したがいまして、日本の仕組みに比べると、受託者が若干ガバナンスの責任を負っているような形になっているんですけれども、研究会等の場ではそういうような議論もあったように記憶しておりますけれども、そのときは当時の委託会社の代表の方はそういうふうな方向へ行くことについては反対をされていたように思います。
一言で申しますと、そのあたりの整理が必ずしも尽き切れていないような状況にあるように思いまして、それは今、これまで存在していたものを大きく変えましょうということを申し上げているのではなくて、多分横断的なスキームにするときに、そこをきちんともう一遍整理し直した方がいいのではないかということで、なお詰めたいということであります。
2点目の税制は、蝋山先生が御指摘のとおり、まず、これも縦割りかもしれませんが、私ども金融審議会でやれることには限界があるということだろうかと思います。多様な金融商品が出てきたときに、税制としてこれをどう受け止めるかというのは、今日も、午前も午後も税制調査会をやっておりますけれども、非常に難しい問題でありまして、私自身も実は税調の特別委員なんですけれども、意見は持っているんですけれども、なかなか見通しは、将来ということから言いますと、根本的な議論はなかなかしにくいような状況にあります。
ただ、これは余り軽率なことを申し上げるのはよくないかもしれませんけれども、現在では税の方の受け皿は限られておりますので、スキームをきちんと作れば、信託型のものについては、いわゆる但し書き信託というふうに呼んでいる扱いにしないわけにはいかない。投資家間を転々流通するわけですから。それ以外の現在の税の枠組みを前提とする。恐らくそれ以外には道はないんですから。逆に言うと、そうなるようなための要件は何かというのを、金融の見地ではなくて税の見地から議論していただくことになるんだというふうに思います。
○蝋山部会長 やや微妙なところがあるようでありまして、この資産流動化の後、ガバナンスのところで、意見の二つ目に、「免許制の下で規制・監督されている信託銀行が関与していることや」というような、そういう非常に微妙な表現が使われている。この点のこういうようなところで、現行のままでいいじゃないかと。そこのところが、より強化されてもらっては困るぞという、杵淵オブザーバーの御意見のように読み取れましたけど、そこまでは……。
○杵淵オブザーバー 私の個人的な考えを申し上げますと、あくまでもこれは私見ですよ。この間の新法改正で、全て約款も全部届出制に変わったわけですから、やっぱり資産管理業者が自分の都合で約款とかそういうふうなものを頻繁に変えるというふうなことがもし疑われるとすれば、それは何らかの形でやっぱり一定のルールを立てても、私は構わないと思うんですけれども、しかし、現行の信託契約の中では、約款というものは、要するに、私どもと受託会社の間に締結するものであって、そういう法形式の中で、今度改正されようとしている、例えば受益者総会というふうなものを現行の枠の中でそういうものを作ったときに、この辺の整理というふうなものが、どういうふうな整理の仕方を具体的にお考えになっているのか、そういうことがちょっと私は個人的に知りたかったと。
○蝋山部会長 どうですか。
○神田委員 まだワーキングで詰めておりませんけれども、問題の所在はまさに御指摘のとおりだと思います。ただ私の感想としては、半分だけ感想があるんですけれども、残りの半分はまだ詰めていないということで、その前半部分は、もし細かい話をしてよろしければ、現在の証券投資信託法というか、今回の改正後の証券投資信託法は、条文上読みますと、ちょっと今、私、手元にないので何条と言えないんですけれども、受益者の意思に関わりなく変更自由なごとく条文になっているんですね。変更した場合は届けなければならないと、そういうような規定になっていると思います。従来は、貸付信託とか、あるいは一般の信託約款については兼営法という法律がありまして、これは提携的信託契約についての約款変更というのは主務大臣の認可という手続があり、貸付信託なんかの場合には、反対者がいた場合には、そこにまた手当てをするという手続まできちんと打ってあるんですけれども、従来は個別承認制でしたので、むしろ、右へ倣え的なところで法体系的には落ちついていたんですけれども、今回約款が御指摘のように届出制になった段階で、変更も届出だというのは、届出さえすれば変えられると読めそうな条文になっていると。そこはやはりちょっと問題があるんではないか。これは信託の法理からも問題がありますけれども、実質論としての投資者保護という見地から問題があるのではないかという問題意識はあります。
では、どうしたらいいのかという、後半部分ですけれども、これはなかなかやっぱり難しくて、御指摘のように一々受益者集会を開くんですかという話がありますが、他方、もし受益者集会制度というのを合理的な形で、コストのかからない形で整備できるのであれば、本当に変えたいときはそうしてくださいと言わざるを得ないかなと。行政がある程度下がった以上は、そこは自己ガバナンスというか、投資者によるガバナンスという考え方、会社であれば、これは定款変更という形で株主総会を開きますので、株主と呼んでいますが、SPCなんかの場合には。しかし、一般論で言えば、株主総会を開きますので、そこら辺をどう整理するかという問題は、今後、詰めていく点であります。
○蝋山部会長 私が前もって伺ったところでは、このガバナンスの件については完全に詰めているわけではないし、先ほどの受益者集会の件でも、特に信託型の場合はどうするかというようなことは、さらにワーキンググループでいろいろ闘わせて、どうしてもというときにはこの部会に上がってくるんでしょうが、恐らくある程度の調整ができて、ここに上がってくるだろうというふうに期待しておりますので、また、杵淵さんの御意見もワーキンググループの方で御反映いただいて、お考えいただきたく、こういうふうに思います。
ほかに御意見。
関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 今話題になっていた問題とも関連するんですが、私、こちらの方のワーキンググループの状況というのを、今日まで余り把握できる状況になくて、今日初めて御説明を伺ったようなことで、どうも少し、正確に理解しているかどうかわからないわけですが、その意味でちょっと確認的に神田先生に御意見を伺いたいんですが、この後半の方で、資産運用型というところでここにずっと書かれていることは、結局のところ、今、証券投資信託及び証券投資法人に関する法律という法律がございますね。そこが全部、運用対象を主として有価証券という定義に枠をはめている、主として有価証券という枠を外した形にするが、基本的な骨格は、証券投資信託及び証券投資法人に関する法律の枠組みを使って、それに、ここに書いてあるようないろんなものをモディファイしていくと。例えば、運用業者という概念が入るようですけれども、運用業者は認可制にするとか、そういうような姿を考えられているというふうに理解して、そんなに間違っていないかどうかということが一つです。
それから、2番目は、いずれにいたしましても、いろんなこういう運用型で、運用のためにお金を出す人に買わせる証券というのが出てくるわけですから、その証券は、いずれにしても全部証券取引法上の有価証券になるということでいいのかということが、その次の問題なんです。
それから、もう一つは、前半の方になるんですが、たしか流動化型の方で、そこに信託型スキームを導入するというのが入っているんですけど、これはあくまでも、確かにここに書いてあるように選択肢が広がる方がいいんじゃないかという議論があるんですが、そもそもどういうニーズをこれで拾うのかというところが、よくわからないんです。つまり、言っていることは、流動化型というのは、オリジネーターというのは一つずつやっていくわけですから、オリジネーターの方に制約をかけていないわけだから、当然、いわゆる会社型の方のSPC型でできるわけで、そこにまた新しい信託のスキームを入れるというのはどういう意味があるんだろうかというのは、ちょっとよくわからないので教えていただきたいと思います。
○蝋山部会長 関さんから三つの質問があったと思いますが、どうぞ。
○神田委員 よろしゅうございますか、私ばかり発言していて。
○蝋山部会長 もしも神田さんにかわって、私が発言したいという方がおられましたら、どうぞ。
○神田委員 まずは、気がつく範囲で。
第1と第2の御質問は、答えはイエスです。ですから、主として有価証券でない場合も含めてと、こういうことです。ただし、そうしますと、有価証券でないものも入ってきますので、例えば不動産などということですね。したがいまして、先ほど申しましたような、価格をどう評価するかとか、いろいろ難しい問題が出てきますので、それに対応する必要があるということになります。
ただ、第2の発行する証券は、証券取引法の有価証券になるというのもイエスでありまして、これはそうでなければ幅広く資金調達ができませんので、現在の証券取引法を前提とする以上はそういう形になります。
それから、三つ目は、非常に重要な御指摘で、なかなか難しい問題なんですが、私もうまくなかなか説明しにくいんですけれども、次のようなことでいいかと思います。それはSPC法というのはどういう法律かということですと、会社型についてSPC法というのは、私はよく恩典立法という言い方をしているんですが、SPC法の外ではできない特例を認めた法律であると。
それは2点ありまして、1点は商法の特例、もう一点は税の特例です。商法では、株式会社はもちろん作れますけど、最低資本金は
1,000万でありますよと。有限会社は有限会社法に基づいてSPC法の外で作れますけど、社債を発行できません。したがいまして、現在のSPC法に則してみますと、
300万円で会社が作れるけれども、社債が発行できるという、そういう商法の特例が与えられることになります。また、税の特例も与えられます。その特例を与えるための要件は何かというと、SPC法に基づく仕組み規制というか、仕組み法制というものがかかっているわけであります。今回の会社型のSPCについては、その仕組み法制がちょっと重過ぎはしないかというので見直しをしているということになります。それと同じことを信託に当てはめますと、SPC法の外でも信託型で流動化は自由なわけです。SPC法の中に入るということは何を意味しているかといいますと、一つは税の特例、外では、先ほどの言葉をあえて使わせていただきますと、まだこれはそういう形で決まった話ではありません。これは、それこそ主税局の方で議論すべき話だと思いますけれども、外ですと、本文信託、中へ入れば但書信託ということが、例えばあります。それから、信託法の特例というか、外ですと、信託受益権を私法上の有価証券にするということが、従来の考え方では法律の根拠規定がないとできないのではないかというふうに考えられておりまして、実例も、法律の根拠のないところで、信託受益権を私法上、証取法上ではありません。私法上、有価証券化した例は日本には存在しておりません。これはSPC法の中に入ることによって、そこの法律上の根拠規定を置いて、信託受益権は私法上、有価証券化することによって幅広く投資家間の転々流通を可能とし、ひいては資金調達を上げるということが、例えば考えられます。そういう意味で、信託型をSPC法の中にも設けるというのは外でもできるんですけれども、外ではできないメリットが中へ入ればあるということで、これは会社型と同じで、従来は会社型についてのみ、従来とか現在のSPC法はそういうことを実現したわけですけれども、信託型についても併せて実現するのが適切ではないかと、そういう問題意識です。
○蝋山部会長 スペシャル・パーパス・トラスト、そこまで言ったら言い過ぎになるわけですね。−−というようなことなんですが、最後の点は、どうも関さん、がえんじないような感じがしますね。
○関オブザーバー もう少し考えておきます。また、次の機会に……。
○蝋山部会長 ほかに御意見。
大川さん、どうぞ。
○大川オブザーバー 東急不動産の大川でございますけれども、前回出席させていただきまして、不動産の特殊性ということについて御説明させていただいて、できるだけ、それにつきまして、前向きな議論ということをお願いした次第ですけれども、ワーキンググループの方々、委員とかオブザーバーの方々、かなり長時間の御検討をいただいて、非常に感謝しております。
それで、今回の報告をお聞きしまして、流動化型に関するSPC法の改正については、非常に大幅に改善される可能性があるなという認識をいたしておりまして、かなり不動産の流動化については非常にやりやすくなるんじゃないかという認識をいたしております。
次に、運用型のスキームでございますけれども、前回私どもとしましては、なかなか投信法等についてなじみが少ないということもございまして、SPC法の中で運用型をやっていただいてはいかがかというようなお話もさせていただきましたけれども、それについても、ワーキンググループの中で法的にいろいろ問題があるということで、運用型は運用型でまとめた方がいいんじゃないかという方向性について認識させていただいた次第です。
ただ、今回、運用型の御報告をお聞きしまして、今日の委員の方々でも出ておりましたけれども、少なくとも証券投信法人法というのは、主として有価証券ということをベースに作られているわけでして、そこへ不動産を持ってきたときに、また不動産の特殊性というんですか、その辺、また御配慮いただきたいなという感じがしております。
一つは、具体的には、先ほど神田委員の方からも御報告がございましたけれども、専業制にするという、専業について果たしていかがなのかと。主に利益相反行為の問題が絡んでいると思うんですけれども、有価証券と不動産との大きな違いといいますのは、不動産というのは、そう頻繁に取引ができる商品ではございません。そしてまた、有価証券であれば、毎日毎日市場があるわけですから、非常に取引回数も頻繁に行われます。したがいまして、利益相反行為そのものも不動産の場合には売買契約並びに登記並びに権利書といった形での、取引のフォローというのが非常にしっかりしておりますので、投資家の方から利益相反行為を監視するということは、有価証券の取引よりも非常に監視しやすいのではないかと。したがいまして、利益相反行為というものにそれほど投資家の監視という形を作れば防げるのではないかという感じがいたしております。
また、専業にしましたときに、これは非常に現場サイドの意見にちょっと偏っているのかもわかりませんけれども、現在、不動産に関する情報といいますのは、不動産会社並びにビル保有会社等、ビルを保有し運営しているところに主に集まってきているわけでございまして、専業にしたときに果たして、利回りのいい物件とか、あるいは利回りの維持管理とかテナント等を調べて判定が可能なのかどうなのか。既存の不動産関係、あるいはビル保有会社等に比べて、その判断というのはかなり難しいのではないか、劣るのではないかというような感じがちょっとしております。
そして、不動産会社とかビル保有会社が行う場合の利益相反については、先ほど申し上げましたように、その辺の監視は有価証券よりもかなり簡単ではないかと。例えば、先ほどの報告書の中でも、9ページに、取引行為そのものを禁止するのではなく、情報開示や投資者等のガバンナスの確保により対応することができるのではないかという意見がワーキンググループでも述べられておりますけれども、この方向性というのは、不動産特定共同事業を現在商品化しておりますけれども、それにおきましても、不動産の入れかえ等が可能になっております。それにつきましては、保有会社とファンド間の取引とか、あるいはファンド相互間の取引について、利益相反の疑いがあるという取引については、事前に投資家、出資者に対して情報を開示して、その取引に反対する投資家は出資持分の買取請求あるいは第三者への譲渡が可能という形にしまして投資家保護を図っているわけですけれども、そういう方向性の方で十分に利益相反行為は防げるのではないかという認識をいたしております。
非常に不動産関係の方向から見たときに、先ほどからのいろいろ投資信託をやっておられる方からも、非常に認可制度とかその辺が、運用会社の基準とか強化されるのではないかというようなお話もございましたけれども、我々から見ましたときに、やはり専業という形ではなく、やはり兼業はある程度していかないと情報も集まらないし、また利益相反行為というものも非常に監視しやすいのではないかと、不動産の逆に特殊性からして。そういうふうに認識しておりますので、最初のスタートはかなりある意味でカチッとした型にはめるというよりも、現実に不動産がファンドを作ったときに、不動産が運用会社に情報が集まるような形、ぜひそういう方向でまた御検討をお願いいたしたいなという次第でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
この点に関して、ワーキンググループのどなたか御意見ございますか。
やはり神田さん、どうぞ。
○神田委員
今の御指摘は非常に貴重な御指摘で、ワーキングでも同じような御指摘が二、三の委員の方からございまして、これはなかなか難問なんですけれども、今の9ページの部分で言うと、?の話と、すなわち行為規制の話と、それから?の兼業の話というのをちょっと分けて整理したいということで、まだこれは今後、更に今の御意見も十分踏まえて御検討させていただきたいと思っておりますけれども、確かにおっしゃるように、行為規制のところは利害関係人との取引というのも一律禁止という、有価証券の場合にはそういうルールを設けますけれども、不動産の場合にはそういうルールよりも、一律禁止するのではなくて、今読み上げていただいたとおりなんですけれども、取引行為そのものを禁止するのではなく云々というようなことで対応する考え方の方がいいのではないかというふうに感じられるんですが、前の方の、端的に申しまして、不動産会社が自分で運用会社をやっていいかという話は、これはなかなか難問でありまして、先ほども、一応今のところ?のようなふうで整理しているのが、ワーキングの委員の多数意見でございますので、こういうふうに書いておりますけれども、2点申し上げたいと思うんですが、一つは、証券投資信託法の歴史を見ましても、最初あれは証券会社が兼業というか、本体でやっていたんですね。それを分離するという歴史がありました。これもいろいろアメリカでは、またアメリカなりのいろんな不祥事とかオフロードがあって、1940年の投資会社法というのができておりますけれども、日本の場合は昭和26年に議員立法として、当時非常に異例な形ですけれども、現在の証券投資信託法ができたわけですけれども、最初は、今の不動産会社が運用会社をやるというのと同じで、ディーリングをやっている証券会社は委託業者というか、運用会社をやっていたわけですね。それを分離していったという歴史があり、少なくとも法人格としては分離してください、それで実際どれだけ違うんですかという問題はあるんですけれども、少なくとも監督の見地からは、その方がいいのではないかということがあります。ただ、そうは申しましても、監督といっても、だんだん当時の免許制から比べれば、認可制だ、あるいは何とか制だということで緩んできているわけですから、法人格が別でさえあればいいという、そう単純な話ではないと思います。
もう一点は、そうだとしますと、よく挙げる例なんですけれども、例えば、ある不動産を取得するときに、自分で両方やっていますと、不動産の例で言いますと、不動産会社として取得するのか、実はファンドが取得した方がベターかもしれないので、必ず不動産会社が自分で買う不動産が一遍ファンドを買いませんかというふうに聞かざるを得ないと思うんですね。そういうルールにするわけなんです。そうすると、いや、ファンドが買う必要はないという理由をディスクローズしなきゃいけないし、聞かれたファンドの方は、同じ法人格ですと、自分で答えるということにならざるを得ないので、その辺のルールがきちんとできれば、これはチャイニーズウォールかファイヤーウォールかよくわかりませんけれども、きちんとできれば、それで法人格を形式的に分離すれば済むという話ではないと思うんですけれども、その辺がちょっとやや自信が持てないところもあって、出発点として一応分けてください。しかし、支障がない場合は、その範囲で兼業を認めますという、原則と例外にするのか、原則一緒でいいけれども、今のような点をきちんと、そこのところをいわば規制していくというふうにするのかが非常に難しくて、まだ見極めがつきません。
しかし、いずれにしても、これは非常に抽象的な言い方をすれば、形式的な問題じゃなくて、ルールのエンフォースメント・コストの問題だと。そのためには、一応分離してくださいという方から出発するのがいいのか、一緒で結構だけれども、そういう非常に情報提供とか、今の、だれが今度は、取得する例で言いますと、ファンドで取得しなくて結構ですということ、どういう手続で、同じ法人格の中でやることを要求し、リスクヘッジを担保するのかという、そういうところを詰めていかなければいけないと思っております。
○蝋山部会長 石橋さん、どうぞ。今の点に関連した話ですね。
○石橋オブザーバー
はい。神田先生のお言葉で全てが説明がつくと思います。ここの中のメンバーで、私どもだけが投資家という立場なものですから、一言だけ触れさせていただければと思いますが、今の兼業制限でございます。やはり利益相反とか、そういうところまでいかないにしても、やはりリスクの遮断という面から考えるときに、オーソドックスな立場からすると、どういうふうにしていったらいいのだろうか。ここは今後、ワーキンググループで引き続き御検討いただければと思いますけれども、やはり私どもの方からの−−私どもといいますか、オリジネーターの方の立場と、それから投資家の立場がございますが、投資家の立場からしますれば、どちらかと言えば、やはり出発点としては筋を通したところから入っていって、実質的な問題がなければ、そこで一歩という形のアプローチというものもあろうかということで、一言触れさせていただければというふうに思っております。
○蝋山部会長 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 私も同趣旨なんですけれども、おっしゃいますように証券に比べて不動産の特殊性というか、取引回数が少ないというのは、あるいは、そう頻繁に売買されるということではないということは確かにそのとおりなんですが、逆に言いますと、一たん売買すると取り返しがつきにくいということも言えるんじゃないかと思うんですね。ですから、そういう意味では、これまで証券投資信託の運用会社あるいは保管会社についていろいろ蓄積があるわけですから、そういうことを踏まえた法制であるべきであろうというふうに思います。
ただ、この受託者責任のところに書いてあります、不動産の場合は確かに利害関係者の方が売りやすいというのか、高く買ってもらえるというようなこともあると思いますので、ここのところは一定の条件をつけた上で、場合によっては利益相反的な取引もやってもいいということにせざるを得ないんじゃないかと思いますが、ただ、運用会社の方はやはり兼業制限をすべきだというふうに考えます。
○蝋山部会長 私からも、これは個人的なお願いですけれども、やはり日本の集団投資スキームの歴史というのは大変不幸な歴史を負って、本来であれば国民の資産の運用にもっともっと貢献してよかったはずなのが歪められてきたと思うんですね。神田さんが御説明になったように、証券投資信託はそれなりの過去の歴史的な背景はあって、それをひっくり返すべきだったというようなことではありませんけれども、過去の経験をいわば糧とするならば、やはりこの段階では投資家の観点というものを、ぜひ
100%表に出した法制というものに私はすべきであって、いわゆる市況対策とか市場対策とか、そういう性格はいわば排除すべきだというふうに思うわけです。
しかし、国民の資産運用の対象として不動産というのは大変大きな役割を占める。アメリカその他に比べてみても、ずっと大きな役割を占めることは言うまでもないことであって、どんなふうにうまくリスクが分散された形で国民の手中におさまるのか。そういう観点から、この仲介役としての、あるいは資産運用専門家としてのさまざまな仕掛け、この場合でいえば、運用会社というものを位置づけていただきたい。こういう点を私は改めて、当然、ワーキンググループの委員の方々も、またオブザーバーも含めて、第一部会のメンバーの方々も十分御承知かと思いますが、あえて老婆心ながら、こういうことを申し上げたいというふうに思うわけであります。
この点、しかし、もちろん結論はまだワーキンググループにお任せしておりますので、もう少し結論を待って……。
関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 今の蝋山先生の御発言とも関係があるんですけれども、今、証券と不動産が例で議論されていますけれども、この思想は、先ほど確認をさせていただいたように、あらゆる資産が入ってくる、こういうことが前提になるわけですね。それで、アメリカの証券関連商品なんかが時々新聞報道もされておりますけれども、将来のいろいろな興行収入とか、レコードの売上げがこれだけあるかもしれぬとか、物すごく広がってくる可能性があると思うんです。
一方、仮に集団投資スキーム運用業者という概念を立てて、それを認可するというようなことになったときに、一体その業者の運用能力というのをどうやって見定めるかという問題が当然出てくると思うんですね。つまり、証券投資は運用能力があるけど、全部に運用能力があると言えないというようなこと、その逆もあると思いますね。例えば、石油の先物については運用能力があるけど、ほかのものは頼りにならないと。しかし、集団投資スキーム運用業者に認可を与えた場合には、一体これは全部に及ぶのかどうかとか、そんなところは一体どういう考え方になるんだろうかと。つまり、「投資家のため」ということを考えると、そういったところが実際上は非常に重要なんじゃないかなという気がするんですね。そのあたりは、どういう考え方でいくんでしょうか。
○蝋山部会長 また神田さん、どうぞ。
○神田委員 9ページに書いてある、いわゆるフィット・アンド・プロパーと何とかの一つ覚えばかりあれしてて大変恐縮ですけれども、そういう法制というのは日本にとって初めてなんですね。ですから、そこはある程度トライ・アンド・エラーでいかざるを得ないので、やはりそこは適格性を要求する。フィットネス・アンド・プロパーネスというんでしょうか、そういうものを要求する。それを資格要件というところで書いてあることなんですけれども、それは、ですから先ほど言った、有価証券の場合は有価証券、これは経験がおありで、そのとおりだと思います。また、例えば、そのほかにも既に存在している部分はそうなんですけれども、新しい分野になった場合には、それは新しい話ですから、これは考え方としてはフィットネス・アンド・プロパーネスということじゃないかと思います。
○蝋山部会長 どうぞ、乙部室長。
○乙部債権等流動化室長 今の証券投資信託・証券投資法人法の法制でも、主としてとならない範囲では、どんな資産でも運用できることに法律上はなっています。ただ、投資委託会社が認可を取る際には、業務方法書で、どういう業務を行うか定めて認可を取るということになっています。認可の判断として、業務を的確に遂行できる人的組織が要るということになっています。今の投資会社は証券の投資経験のある人しかいませんけど、これは認可を取るときに、証券に運用するということで取っていますから、それでいいわけですけれども、仮に1割ないし15%、規則レベルで言うと流動性規制がありまして、15%以上は不動産は、今の仕組みでは買えませんけれども、15%まで買えます。15%不動産を運用したいと、今の投資委託会社が思えば、業務方法書の変更認可を申請していただく。その際には、不動産に運用できる知識経験のある人をそろえていただかないと認可がおりないと、こういうことに今の法制でもなると思いますけれども、新しい仕組みで全ての資産に運用できる仕組みを作ったところ、運用会社の認可を取る際には、何に運用するかを定めて、その運用経験のある人をそろえて認可申請していただく。その範囲で認可がおりる。こういう基本的な仕組みは今の法制と変わらないと思います。
○関オブザーバー 変えないということですか。
○乙部債権流動化室長
考え方は変わらないということですから……。
○関オブザーバー そうすると、いろんな運用業者ができるわけですね。
○乙部債権流動化室長
不動産だけ運用したいという方は、何も証券の人をそろえていただく必要はないと思います。
○蝋山部会長 岩村さん、どうぞ。
○岩村委員 大川さんの提起された問題も含めてですけれども、それから、関さんがおっしゃるように知的財産権の運用とか、興行収入とかコンテンツとか、いろんなものがこれから出てくると思うんです。常に優れた運用をするに足る知見を備えているかという話と、それから、アームズ・レングス・ルールに反しないような分離、この場合は兼業承認と不動産の場合には言われているわけですが、兼業制限の話で書かれていますけれども、この矛盾というのは常に起こるわけです。
私は、あと論点として考えておいた方がいいと思っておりますのは、例えば、これは不動産についていえば、余り嫌われることは言いたくないんですが、不動産会社自身の透明性の問題もあると思うんですね。つまり、例えば、不動産会社の不動産の状況を見ると、投資用不動産となっているものがあり、営業用不動産というものがある。あるいは自社物件というものもある。それがどのように分離されて、あるいはどのように表示されているかというのは、それぞれに優れた方法論をお持ちなのかもしれないけれども、少なくとも我々はよくわからないことが多いし、それから、これもあれですけれども、例えばゼネコンをめぐる幾つかの議案の中では、そこのところに問題があったのではないかと思わざるを得ないような事例というのも報告されているわけです。ちょうど9ページの7.の?の話に戻りますと、優れた運用しようという観点からいえば、確かに不動産会社に運用を多く依存するのはよい方法なのかもしれませんけれども、しかしそのためには、今度は不動産会社の方の経営とか、あるいはリスクの表示、時価の開示、そういったことについての厳しい要求も含まれてくるわけですね。そこの部分がどのくらい達成されているかということを考えながら、この兼業制限の話というのは効率的な運用を考えていくという話だと思う。効率的な運用ができないじゃないか、もっといい価格で運用できるようにした方が投資家に有利じゃないかということだけを言えば、ぜひともよく知っている人にやってもらおうじゃないか、プロにやってもらおうじゃないかというふうになるわけです。それは私は正しいと思うんですが、ただ今度はプロの側の方の経営規律とかディスクロージャーとか、そういうことについての踏み込んだ判断がないと、そこの部分についてはなかなかよしと言えるものではないだろうというふうに思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
吉野さん、どうぞ。
○吉野委員 今までの御議論と似ているんですが、資格要件のときにフィット・アンド・プロパネスというのは重要でありますが、やはりワーキンググループで議論があった事後チェックということもぜひ重要ですので、資格要件のところで余り厳しくしてしまいますと、前と同じように事前チェックになってしまいますから、そのバランスが非常に重要だと思います。
それから、杵淵オブザーバーから言いました税制の問題は、ここでは議論はできないんですが、非常に重要だと思いまして、例えば、不動産、それから、利子、配当、キャピタルゲイン、全部税制が変わってきますと、こういう集団スキームを作るときに、税制の違いによって資産の配分が変わってしまいますので、それは本来あるべき姿ではないわけですから、やはり収益率に合った形での配分にしていくためには、これと並行して税制もぜひ考えてやらなくてはいけないと思います。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 全体を通じてなんですけれども、特に運用型ですね、対象商品の制限を外していって自由化していくというのは流れですし、ひいては消費者全般の利益にもなるというふうに私も思っているんですが、ただやっぱり、商品を買う、あるいはアクセスする側から言うと、幅広くなっているのはいいんですけれども、その中に何が入っているのかわからないというか、全くお任せというんじゃ困るということからすると、繰り返しになりますけれども、ガバナンスの問題であるとか、ディスクロージャーの問題であるとか、あるいは受託者責任の問題がきっちり手当てされるということが、これは大前提だろうと思うんですね。
ただ、その上で更に、過渡的な措置ということになるのかもわかりませんが、例えば、今の運用会社の運用対象をどこまで広目にというか、新たな分野への挑戦をどこまで認めるのかとか、いつまでも今までの投資委託会社に対しては証券しか認めないよというわけにも私はいかないんじゃないかと思いまして、更にほかの分野に対する投信についてのノウハウも磨いてもらわなきゃいけない。そこのさじ加減というのが実際には難しくなってくるということで、逆に、例えば、たまたまこの表では上に、直前に6.というところにあるんですが、例えば、デリバティブに対して投資をしてはいけない類型を作るというのがいいのか、そうではなくて、こういうものに対しても投資をしているということを表示させるのがいいのか、多分恐らく後者の方向になるんだろうと思うんですけれども、何かファンドなりスキームの目的というんですか、それを土地とか証券とかという、商品別に分けるというのはナンセンスだろうと思うんですが、ある程度何か、少なくとも消費者の目安になるような指標なり、大きな分類なりということが本当に工夫されないと、それも市場に任せるというようなことなのかもわかりませんけれども、何かそのあたりでワーキンググループで議論されていることがあるんでしょうか。私の懸念を言っているだけで、ちょっと……。
○蝋山部会長 今は御質問の形式でしたので、どうぞ。
○神田委員 ワーキンググループで明示的に余りそれを正面から議論したということはないように記憶していますけれども、ただ私は、おっしゃるような問題意識を非常に持っておりまして、ワーキンググループでも発言したんですけれども、例えば、ファンドというものをわかりやすく八つぐらいに分類して示しなさいとかというような法制が外国にも存在しているんですね。ただ、ちょっと直接お答えにはならないんですけれども、集団投資ワーキングでやっている話は、いわゆる仕組み段階の法整備です。そのほかに、販売・勧誘段階という出口についての法制・ルール整備というのがあって、これはもう一つのホールセール・リーテイル・ワーキングと呼んでいますが、私がよく言っているのは、販売・勧誘ワーキングと呼んだ方がいいようにも思うんですが、名前はともかく、もう一つの方でやっています。そっちは金融商品という幅広いものを対象にしていますので、仕組み段階の法制がかからないものも、余り例が、例えばストレートなデリバティブ商品というのは、仕組み段階の法整備では考えていない。集団投資スキームと我々が呼んでいるものが仕組み段階の法整備では考えているんですね。販売段階は全部、これは販売・勧誘ルール、横断的にそろえましょうという議論をしていますので、そういう意味では、あるいはひょっとすると、今のお話は仕組み段階の問題ではなくて、販売・勧誘のところで金融商品がもう少しわかりやすい説明といいましょうか、という方にも半分以上は関わってくるような問題のような気がします。
ただ、仕組みのディスクロージャーとか、仕組みの何とかという言い方を、もしするようにすれば、ちょっとオーバーラップしてきますけれども、そのときに御指摘のように幾つかの分類というか、類型みたいな形を設けてやっていくという考え方は私は十分あり得る考え方だと思います。
○蝋山部会長 ほかにございませんでしょうか。
守屋さん、どうぞ。
○守屋オブザーバー 不動産のことじゃないんですが、今、集団投資スキームということで、私、たまたまアメリカの証券会社で働いているものですから、アメリカの株が随分高くなっておる、それでどういうときに問題が起こるんだろうかなということを日ごろいつも考えているわけですね。問題が起こるとすれば、現在、顕在化は全くしていないけれども、顕在化していない理由というのは、相場が非常に順調であるということで、問題が顕在化していないと、こういうふうに思っているわけです。そうすると、これが相場がもしどんと下がったときに、社会的な現象として問題が顕在化する、こういうふうに簡単に恐らく割り切ることができるんじゃないだろうかと、こういうふうに思うわけです。
それで、そういったときに投資家は何を言うだろうかなというふうに思いますと、簡単に言うと、何だ、これ、自分は確かにディスクロージャーという名の下に、プラス自己責任ということで買ったことは事実であるが、しかしながら、自分の心理的なものの期待値と違うということから、社会的な問題が顕在化をするということだろうというふうに思うわけです。
そういうふうに考えますと、日本の土地バブルと同じようなものが社会的な問題として顕在化して、それが証券という分野にあって、より法整備が行われている分野によって行われるということは、その段階によっていろんな形での、いわゆる訴訟とかそういう問題が生じるであろうと、こういうふうな感じが私はするわけです。
そこで、しかしながら、自己責任という字句は絶対に変えることはできない。それから、ディスクロージャーということで、全てを突き放すわけにはいかないが、しかしそれはそれで十分だろうと。
そうすると、原点に戻って、市場というのが、健全な市場ができているという状況を、集団スキームというものも十分踏まえた上で健全な市場ができるということを念頭に入れてこないとだめだと、こういうふうな感じが私はどうしてもするわけです。したがって、集団スキームが集団心理を作ってはいけない、こういうような感じがどうしてもする。ということは、もうちょっと具体的に言いますと、市場の中にいろんな意見があって、いろんな意見が闘い合ってて、そして市場というものが公正に、いわゆる値段をつけておると、こういう状態をやはり作っておければ一番いいのではないだろうかと、こういうふうな感じがするわけです。
そういたしますと、フィット・アンド・プロパーというのは私も非常にわかるんですが、いろんな資質を持った人が非常にバリアの低い状態でエントリーができて、そして、その人たちがそれなりの流通チャンネルを持って参入できて、その結果、いわゆる市場価格というものが構成されているということが、最終的などうしてもインシュアランスになるのではないかという感じが私はしてならないというふうに思うわけですね。
そこで、ここでいわゆる認可制の問題とかいろんなことが出ておるんですが、それはある程度私は必要だと思うんですが、比較的自由なエントリーがやっぱりできる必要があるだろうなということがまず一つでございます。
しかしながら、それでも、ちょっと現在のいわゆるテクノロジーの進化から見ると、どうかいなと。もうちょっと具体的な申し上げますと、投資信託というものも、小さい資本金の投資信託の会社さんが、いわゆるエレクトロニック・トレードを通じて、実際に販売をできるというのが現実でございます。そういうふうな状況の中にあって、スポンサーがいないという前提の中にあって、どれだけの、いわゆる委託会社さんそのものガバナンスというのは十分守られているというふうに私は思いたいんですが、同時にそこにディストリビューターというものがきちっとおることによって、更にガバナンスが効いているような感じがいたします、現在。そういったときに、時代を先取りしまして、現在のITテクノロジー、いわゆるそれを先取りした形での法整備というものをもう今やっておかないと、恐らく間に合わないぞという感じが感想としてあるわけです。
以上なんです。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
二つのポイントがあって、ある種マーケットにおいて、集団投資スキームがマーケットの動きを、いわば決め手になるような、そういうようなものでは困るだろうと。そういうふうに前半の方の守屋さんの御意見を拝聴しました。後半の方は、やや新しい情報革命の中で、そういう要件を取り入れた制度というものがなっているのかねと。その辺難しいところで、どうですか、また神田さんに振ることになるわけですが、そういう雰囲気もあったわけですが、余りセールスのところは、これは一般的な販売・勧誘のワーキンググループのところにお任せするという形になって、むしろ仕組みのところ、ストラクチャーのところを中心に神田さんのワーキンググループは議論を進めたと、こういうことになるわけですか。
○神田委員 差し当たりそういうことでほかのグループに振っているのはどうかと思いますけれども、ほかの金融商品の場合でも同じような問題はありますね。ディストリビューションのところで申しますと、販売のところで申しますと。ただ、仕組みというか、伝統的な発想から言いますと、証券投資信託の分野で言うと、直販というふうに呼んでいるんですけれども、そこの部分は考え方としては、ブローカー、ディーラーを通じて売る場合であっても、直販をする場合であっても、同じ投資家保護のこういうルールというのは書かなきゃいけないと思う。これは更に言えば販売・勧誘、ホールセール・リーテイル・ワーキングの話になる部分もありますけれども、その辺、どういう場合に直販がいいかとか、そういうような話になってきますと、こちらのワーキンググループの分担かなというふうに思っておりまして、これもまだ十分に議論していない部分もありますから、そのときに、今御指摘の点も十分踏まえた検討をさせていただきたいと思います。
○蝋山部会長 ほかにございませんか。
岩村さん。
○岩村委員 仕組みの問題ですけれども、テクニカルな話も少し伺った方がいいというふうに思うんですが、監査役の扱いが、特に流動化型スキームのところで、4ページの6.の?とか、5ページの8.の?あたりで、4ページの6.の?では「流動化計画違反の行為に対する投資者や監査役の差止請求権」というのが出まして、それから、5ページの8.の?ではやはり監査役の話が、取締役の解任に係る議案提出権を監査役に限定するという概念で、これは今までの会社法に比べて、監査役の役割を非常に重視しているという作り方の部分があるなという気がします。今の会社法でも随分重視されるべきのかもしれないですが。
それから、そうした場合に、監査役というのは、だれがどのような手順を経て選任するのかとか、あるいは、実際には今度は、何しろ流動化スキームの数だけ会社を作るわけですから、延べ人数でいえば、監査役に対する数量的需要は非常に大きくなる。あるいは、考え方としては、監査役の役割を、現状で言うと、本当に個人しか果たせないんですが、個人以外の機関とか会社が果たすというようなことも視野に入れていいのかもしれないという気もいたしますが、そういう点というのは、技術的ではありますけれども、スキームの信頼性という点では大変重要な点だと思うので、今あればお話しいただきますし、それから、これからまだワーキンググループは続くと思いますので、いわば従来の監査役イメージにとらわれずに、幅広く検討いただいたらよろしいのではないかという気がします。それが第1点。
それから、第2点、もう一つだけ、質問なんですが、8ページの3.の「?ファンドを設立する者」、ファンド設立者という概念が出ていますが、これは新しい概念なんでしょうか。新しいというのは、今までの法制の中でも、概念的には存在したけれども、新しく法制の中で定義されるファンクションないしオーガナイゼーションという趣旨でございましょうか。この2点です。
○蝋山部会長 どうぞ、神田先生、お願いします。
○神田委員 前の方のお話は、今の御指摘も部内で更に検討させていただきたいと思いますけれども、まさにおっしゃっていただいたように、これも抽象論として議論し始めますと、そもそも株式会社における一般論ですけれども、監査役というのはどういう役割を果たしているのかという議論があり得るんですけれども、ここでは、廃止してくださいという要望はあるんですけれども、ちょっとそれだとクレディビリティに影響するんじゃないかというようなことが一つあります。
それから、もう一つは、もちろんこれはファンドはたくさんできるわけですから、おっしゃるように、これは取締役も同じなんですけれども、同じ人をもちろんあげていっている。複数のSPCの監査役とか、あるいは取締役とか、それは当然の−−当然のという言い方はいいかどうかしりませんけれども、前提であります。法人でどうかという御指摘の点は、そういう御意見はまだ出ておりませんので、今後検討させていただきたいと思いますけれども、そういうことです。
2点目は、これは現在の制度で、ちょっと今日、法律を持ってくるべきでしたけれども、会社型投信の設立企画人という制度がありますので、大体それに対応する書き方をしてあります。信託型についてはないですね、そういう概念は今まで。
○蝋山部会長 ほかにございませんでしょうか。
竹田さん、どうぞ。
○竹田オブザーバー 2ページのところでございますけれども、資産流動化についての4.の?でございますが、これは先ほど神田先生の御説明の中で、出口として、社債、それから、優先出資、CP、こういう方法があるという御説明がありましたが、最近よく行われています、こういうSPCを使ってやるスキームとしてノンリコースローンというのがあると思うんです。そういう面で、これから更にそういうケースが増えていくかと思いますので、これにもう一つ、ノンリコースローンというのを加えておいた方がいいんじゃないかという気がいたしますけれども、それだけです。
○乙部債権等流動化室長 3ページの一番上の「?借入金制限の緩和」というところで、今、ローンを取り入れて特定資産を買えないんですけれども、これも買えるようにしようということで、これはノンリコースローンだと思いますけれども……。
○竹田オブザーバー ああ、そうですか。
○乙部債権等流動化室長 はい。
○蝋山部会長 いいんですか、それで。
○神田委員 逆に言うと、今の、要するに私も理解しますけれども、広く投資家に売るものは、証取法上の有価証券でないと困りますので。困るという言い方は、要するに投資者保護の法制があるような形を考えています。ノンリコースローンを不特定多数の投資家というのを取り入れるということは考えていないということです。ですから今のお話は借入れであって、乙部さんのおっしゃったように、借入れを認めていこうと、そういう整備になります。現にSPCに対するノンリコースローンというのも、そういうコンテクストで諸外国等でもやっております。
○蝋山部会長 いや、もしかしたら、そういうことを考えておられるかもしれない。
どうぞ。
○竹田オブザーバー 資産流動化というのは、二つの観点があると思うんですね。一つは、もちろん投資家の立場からのスキームだということですけど、一方では、これはオリジネーター側からしますと、資金調達の方法なんですよね。そういう面で、議論になっておりますプロ同士のスキームで考えられるべきものじゃないかという感じがしているわけですね。ですから、これは投資家側からしますと、また別の観点があるんですけれども、最近よく行われているのは、SPCを使ってノンリコースローンを行うというケースが割合あるわけですね。そういうことで、出口ということからすれば、CPとかそういうことに加えて、ノンリコースローンというのも可能性としてはあるんじゃないかというふうに感じるわけですけれども。
○神田委員 今のお話は、SPCというのはいろんな形で使われますので、だんだん多様化してきていると思うんですけれども、SPCを使った資金調達方法として、その出口の法的形態として、従来の有価証券と違うノンリコースローンという形態もあっていいではないかと。しかも、それは機関投資家で、不特定多数ということは考えられませんけれども、機関投資家からノンリコースローンという形での資金取り入れという形での資金調達、ビークルとして認めてはどうかという御意見だと思います。もしそういう御意見だとしますと、今ワーキングでは全然考えておりません。正直言いまして、今のところは。それで、更にお考えさせていただかなければいけないんですけれども、これはいろんな整理の仕方があると思うんですけれども、一つは、SPC法の外ではそういうことは自由にできるわけですので、SPC法に入った枠組みでも、そういう機関投資家から有価証券形態でない形での資金調達というんでしょうか、というようなスキームまでをここで取り入れる必要がある。ちょっと距離があるような感じがしますけれども、これもほかでの割り切りですね。ただ、整理の仕方としては、どうなんでしょうか、なかなかちょっと法制としては、ちょっと作りにくいような感触を受けますけれども、ちょっと検討させていただきたいと思います。
○乙部債権流動化室長 竹田さんに御確認なんですけど、ノンリコースローンというのは、SPCがローンを取り入れるわけですよね。
○竹田オブザーバー そうです。
○蝋山部会長 ローンを取り入れるんですか。
○乙部債権等流動化室長 ローンの取り入れですよ。ですから、神田先生、これはもうやろうとしていることですよね。ノン・リコース・ローンというのは、SPCが借入れをするわけですね。
○神田委員
ですから、二通りの整理がありまして、一つは、最初から乙部さんがおっしゃっておられる3ページの借入れとして整理をするということですね。それから、もう一つは、証取法の世界でいえば、私募的な適格機関投資家みたいなところから借入れをするというような感じですかね。ですから、もうちょっと有価証券と、伝統的な借入れの中間のようなイメージになるというふうにちょっと聞こえるものですからが、多分、外国というか、最近使われているスキームは割とそういうスキームなのかなと思っているんですが、もしそうだとしますと、3ページだけで、形式的には借入れで全部処理できるかもしれませんけれども、そういう形態の借入れまでを想定して、本来は3ページの借入れは書いていない、そういう意味です。
○蝋山部会長 どうぞ、福間さん。
○福間委員 恐らく竹田さんはプロジェクトファイナンスのことをおっしゃっているのかなと思うんですけどね。そういうことですよね。SPCで、そこは一部はセキュリタイズすることもあるし、もちろん、シンジケート・ローンでノン・リコースを組むこと、これもしょっちゅうやっていることですけれども、日本も今度はPFIもできますし、そういう道はあるんですが、ただ、これと今のはちょっと、この問題とちょっと離れているんじゃないかなと思いますけどね。
○蝋山部会長 やや現実の世界は多様であって、もう少しいろんな手法の可能性があるのかもしれませんね。ただ、相当ワーキンググループで議論している範囲の中では、資金調達にせよ、あるいは投資家へ提供する証券、あるいは疑似証券の範囲にせよ、相当広くカバーしていると。そして別なスタイルのテクニックは、今のプロジェクトファイナンスのような形で何とか処理できるんではないか。そういうことなのかもしれませんけれども、今のところは、今、福島さんも後ろにおられるので、ワーキンググループの中で一度ちょっとの時間、もんでいただきたいというふうに思います。
ほかにございませんか。
大川さん。
○大川オブザーバー 利益相反と兼業のことをちょっと申し上げて、ただ、不動産会社あるいはビル保有会社の兼業だけではなしに、専業という意味について、もう少しお伺いしたいと思うんですけれども、運用会社というものを新たに作って、その運用会社を専業にするというのは、運用の仕事だけと。それ以外の仕事はやってはならないという意味になってくるんですかね、これは。といいますのは、私の理解不足かもしれませんけれども、今の投信法でも、たしか運用会社は証券業との兼務はできたのではないかと思うんですけれども、ちょっと私、その辺、理解不足の点があると思うんですけれども、運用会社を専業ということになると、あらゆる業を兼業してはならないと、こういう意味になってくるんでしょうかね。その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
○蝋山部会長 どうぞ。
○神田委員 まだその先は十分に詰めておりませんので、今後詰めていかなければいけませんし、そういう中でぜひ御意見をいろいろと出していただきたいというのが私の感じですけれども、私の個人的な感じで申しますと、どこを出発点とするかという話と、それから、原則と例外をどう書くかという、割合と法制的な話ですから、先ほど申しましたように投資者保護に支障がない場合には、それは例外とたまたま名前を呼んで認めているということなので、余り形式の話と実際の話というのはそんなに思うほど、どっちを原則とするかという程度の問題じゃないかという認識を私自身はまず持っています。それを申し上げました上で、専業というのは、基本的にはそれだけが原則ですので、イメージとして申しますと、資産運用、それから、投資助言というんでしょうか、証券分野でいいますと、投資顧問と言う人もいますけれども、そういうようなあたりは大体一つでいられると。アメリカで言うとインベストメント・アドバイザーと言っていますけれども、大体その世界であって、それは一応別の法人でやってください。
100%子会社でもいいですか、それはこの先はまだ詰めなきゃいけませんけれども、私の個人的な意見は、それは
100%子会社でも結構でしょうと。従来は、証券会社から委託会社を分離した場合には、独禁法の問題がありましたので、金融会社の独禁法11条というのがありましたので、設立母体は証券会社という形で整理してきましたけれども、5%までという、まあ10%時代もありましたけれども、ということになるわけですけれども、今そういう問題はないと仮に仮定しますと、
100%でもいいけれども、一応別の法人格にすれば監督しやすい、それから、利益相反取引というのも見えやすくなっているんでしょうか。それをまた禁止するという話ではないと先ほど申し上げましたけれども、そういう監督の実効性の面からも、それでノウハウも、そうであれば、例えば不動産会社さんの場合であれば、そのノウハウを十分使えるのではないかと。一つのモデルだと思います。ただ、それはまだ詰めていません、そういう形でいくかどうかというのを。
それから、もう一点は、その上で、では、何らかの条件を満たした場合には兼業もいいんじゃないでしょうかという話は例外としてあるわけでして、これは証券分野でいいますと、おっしゃるように、現在は認可制になり、また証券業の方は登録制に移行しましたので、これはそれ以前までの法制と違ってきております。したがいまして、おっしゃるように、不動産業は登録制でもありませんので、そういうことから申しますと、例外としての兼業ということは例外としてはあり得るという法律の書き方になるんだと思います。どういう場合が例外としてあるんですかというと、また何とかの一つ覚えで申しわけありませんけれども、投資家保護に支障がないと認められる場合という言い方になるんだと思います。
もう一つだけ、アメリカはどうなっているかということをちょっと一つだけ申し上げますと、余り不動産分野というのはないものですから、証券分野で申させていただきますと、例えばブローカー、ディーラーが、メリルリンチという会社はブローカー、ディーラーの登録を34年法に基づいてしているわけです。しかし、同時にアドバイザーの、そういう意味では兼業登録もしているんです。ただ、これは前に証取審で問題になりましたように、ラップアカウントみたいなサービスを提供するためには、アドバイザーの登録が要るからこれをしているわけでありまして、それとは別に資産運用というのは、アセット・マネジメントというのを40年法の登録をした会社を別に持っています。実務としては、そういう意味ではブローカー、ディーラー本体とアセット・マネジメントをやっている会社とは別にするというのが大体確立したやり方で、その理由は、必ずしも法律が直接それを要求しているわけではありませんけれども、いろいろな利益相反行為、あるいは投資家からの訴訟に耐えられるとか、いろんな要因、あるいは経営効率からもそうだと思いますけれども、別会社にしているというのが現実ですね。この辺はなかなか国によって違いますし、法制をどう書くかというのは難問なんですけれども、また今後、ワーキングで詰めらなければ、申しわけありませんが、ここへ持ってきますので、ここで詰めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○蝋山部会長 この点をどういうふうに考えるかということは、集団投資スキームの大きなイシューの一つだというふうに思います。ただ、先ほども申し上げたように、そして神田さんが繰り返し使われた表現というものがやはり基本になっていかなければならないというふうに思いますね。
それでは、時間がちょっと過ぎてしまいましたが、開始がやや遅かったので、ぎりぎりというところですが、次回会合の予定等につきましては、事務局から御連絡を受けたいと思います。
○乙部債権等流動化室長 次回の日程は、11月24日(火曜日)の午前10時からとなっております。議事といたしましては、原委員外にお願いしてございます「裁判外紛争処理処理制度のあり方に関する提案及び討議」、また、「有価証券報告書等のディスクロージャー制度の電子化についての検討状況の紹介等」を予定しています。
○蝋山部会長 今日は神田さんに進行役をお願いしております集団投資スキームに関するワーキンググループの経過報告を頂戴いたしました。大変具体的に熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。引き続いて、まだワーキンググループをお願いしなければならないわけですが、どうかよろしくお願いしたく思います。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。
ありがとうございました。
(以 上)