金融審議会「第一部会」第19回会合議事録
日時:平成11年12月7日(火)15時02分〜16時48分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○蝋山部会長 それでは、ただいまから、第19回金融審議会「第一部会」を開催いたします。
お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、まず、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」における金融商品の販売・勧誘ルールについての検討の成果を御報告いただきます。さらに、部会の「中間整理(第二次)」のとりまとめ方について御相談いたしたく思います。第3は、証券取引所の組織形態のあり方に関するワーキンググループの設置報告ということも予定しております。以上三つの議題で進めさせていただきますので、よろしく御協力ください。
それでは、最初の議題であります。本日は、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」から、金融商品の販売・勧誘ルールのあり方についての検討の成果を御報告いただくことになっております。
ワーキンググループの山田先生、進行役として長い月日、ありがとうございました。また御意見も頂戴いたしますが、改めてここで感謝申し上げたいというふうに思います。
それでは、大前さん、よろしく読み上げをお願いいたします。 ○大前調査室補佐 読み上げさせていただきます。
第一部会 19−1 金融商品の販売・勧誘ルールの整備について
(平成11年12月7日) (ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ報告) 当ワーキンググループは、第一部会の委託を受け、金融商品の販売・勧誘ルールについて、当面の法定化に向けた検討を行うため、11月以降6回の会合を集中的に開催し、販売業者の説明義務の明確化と説明義務違反に対する民事上の効果、不適切な勧誘の取扱い等を中心に審議を行った。審議内容は各般にわたっており、論点整理の詳細は別紙に記載するが、法制整備の基本的方向は以下のとおりである。
1.説明義務を明確化する意義等について
金融商品の取引内容を一般投資家が理解し、円滑に取引が行われるためには、適切な情報提供が不可欠である。同時に、一般投資家は業者に比べ情報格差があり、業者から提供される情報を信頼し、またそれに相当強く依存せざるを得ない状況にある。
金融商品の販売に際して、業者側が一定の重要な情報を提供する説明義務を負うことは判例においても広く認められているが、今後、金融技術の革新、金融サービスの多様化が進展するなかで、説明義務はますます重要になると考えられ、これを金融商品の販売業者に共通する基本的な義務として制度化し、これに違反した場合の損害賠償責任が生じる要件等を明確にすることが必要であると考えられる。
これにより、リスクを伴う金融商品に対しても顧客が納得して投資を行える環境が整備され、その結果金融サービスに対する信頼が確保され取引の円滑化にも資するものと考えられる。
2.説明義務の基本的な構成
?金融商品の範囲
説明義務の対象となる金融商品については、個別の業法が整備されているかどうかにかかわらず、概念的には広く捉え、金融イノベーションの進展に伴う新たな金融商品の登場にも対応できるようにしていくべきものであるが、何が金融商品であるかについては様々な見方があり、金融商品の範囲を明確に画せる包括的な定義を置くことは困難ではないかと考えられる。
従って、販売・勧誘ルール、特に説明義務の対象となる金融商品の範囲を定めていく場合においては、中間整理(第一次)で示されたメルクマールや考え方に沿いつつ、基本的には各法に定義されている有価証券、預金、保険、信託商品、抵当証券、集団投資スキームに関する商品、金融先物・オプション取引等について、取引の実態やルール適用の目的等に照らして列挙した上で、同様の機能や類似するものをも含み得る規定振りを工夫し、具体的には政令により指定するといった方法で対応することが考えられる。
?販売業者、販売行為
販売業者の範囲については、業法上の権限があるかどうかにかかわらず、対象金融商品の販売行為を業として行う者が広く対象として含まれるようにすることが適当と考えられる。また、販売行為については、契約の締結の代理、媒介等を行う場合も含むべきと考えられる。
?説明の方法、説明内容等
説明を義務づけるべき事項は、顧客のリスク判断にとって重要な事項とすべきである。
この場合のリスクとは、将来「不利益な状態」が生じる可能性をいうものと考えられ、重要事項の説明内容としては、商品の基本的な性格、仕組みにリスクが内在するときには、そのリスクをもたらす主要な要因に則して説明することが適当である。
商品の特徴、仕組み等について「明確性あるいは周知性が高い」商品について、特に政令等で特定して説明事項を限定することも検討する必要がある。
商品毎の説明事項の具体的な内容及び説明の方法については、業界団体等においても、ガイドライン等の作成・公表に向けた検討を行うとともに、社内規程の整備にも反映させることが望ましい。
?説明を不要とする場合
本制度の説明義務は、いわゆるプロが顧客である場合には課す必要はないと考えられる。
プロについては、証券取引法の適格機関投資家の制度等を参考にして、その範囲等を検討する必要がある。
また、顧客が説明を不要とした場合にも説明義務を課す必要はないと考えられる。
3.説明義務違反の民事上の効果
基本的には、これまでの判例等を踏まえ、民法の不法行為責任に則し、説明義務に違反した者に対しては、損害賠償責任が問われるべきであると考えられる。ただし、損害賠償責任を負う者については、販売業者が直接に責任を負う構成を検討すべきである。
また、複数の業者が共同して販売行為を行った場合の責任のあり方等について、更に検討が必要である。
4.不適切な勧誘等について
?以上の説明義務の明確化に加え、販売業者の不適切な勧誘等への対応として、以下の点について検討を行った。
詐欺的な勧誘等の取扱い(消費者契約法(仮称)との関係)
金融商品に係る紛争は、一般に、本制度のような説明義務違反に伴う損害賠償により処理されることが多いが、金融商品の販売において消費者契約法の適用を排除しなければならない理由は特にないと考えられることから、詐欺的な勧誘等については消費者契約法がそのまま適用されるものと考えられる。
適合性の原則、不招請の勧誘
適合性原則は、販売業者が勧誘活動において自ら実践することが求められる重要な事項である。この点については、リスクの高い商品を取扱う際の電話、訪問による勧誘への対応等と合わせて、販売業者のコンプライアンス(業者の内部管理)体制の整備が必要と考えられる。
販売業者に対するコンプライアンス規程の義務付け
販売業者による適切な勧誘を確保していくためには、行政の監督だけではなく、業者自身の自主的な対応が極めて重要であると考えられる。
このような業者側の対応を促すために、顧客に対する説明の内容や方法とともに、適合性原則の実施や不適切な勧誘の自制等の、勧誘時の適切な対応に関する社内規程を整備し、その遵守を義務付けるとともに、勧誘に関する各業者の基本的な方針については何らかの形で公表等を義務付けることを検討すべきである。
?このような方策により、適切な勧誘の実施のための販売業者側のコンプライアンス体制の整備が促されることは、金融商品の販売時に説明義務が遵守・履行されるようになることと相まって、金融商品の販売・勧誘における顧客保護をより一層強化し、その結果金融サービスに対する信頼確保と取引の円滑化に資するものと考えられる。
(以 上) 続きまして、
第一部会
19−2別紙 論点整理
1.説明義務を明確化する意義等について
金融商品の取引内容は、キャッシュフローの移転とリスク負担の変更といった抽象度の高いものであり、一般投資家がその内容を理解し、円滑に取引が行われるためには、適切な情報提供が不可欠である。同時に、一般投資家は業者に比べ情報格差があり、業者から提供される情報を信頼し、またそれに相当強く依存せざるを得ない状況にある。
このため、金融商品の販売に際しては、業者側に顧客に対して一定の重要な情報を提供する信義則上の義務があると考えられ、金融商品の販売・勧誘に関する判例等においても、業者が適切な説明を行わないことにより、顧客が損失を被った場合には、信義則(民法1条2項)に基づき、業者から顧客への「説明義務」があるとした上で、この義務が果たされない場合に、不法行為責任(民法
709条)による損害賠償責任を認めるという判断が多くみられる。
今後、金融技術の革新、金融サービスの多様化が進展するなかで、顧客がリスクを理解することが困難である商品もますます増大することが想定されることを踏まえると、「説明すればリスクは移転する」、「説明しなければリスクは移転しない」を基本として、説明義務を金融商品の販売を行う業者(以下「販売業者」)に共通する基本的な義務として制度化し、その内容、及び損害賠償責任が生じる要件等を明確にすることが重要である。これにより、リスクを伴う金融商品に対しても顧客が納得して投資を行える環境が整備され、その結果金融サービスに対する信頼が確保され取引の円滑化にも資することから、極めて有意義であると考えられる。
2.説明義務の基本的な構成
一般に、説明義務は、販売業者が金融商品の販売に関する契約の締結に際して顧客に対して一定の重要な事項を説明する義務と考えられるが、金融商品の販売行為に共通する義務として制度化するに当たっては、?対象となる金融商品の範囲、?販売業者、販売行為、?説明の方法、内容等、?説明を不要とする場合、について明確にする必要がある。
?金融商品の範囲
説明義務は、販売業者に共通する基本的な義務として確立されるべきであり、対象となる金融商品については、個別の業法が整備されているどうかにかかわらず、概念的には広く捉え、金融イノベーションの進展に伴う新たな金融商品の登場にも対応できるようにしていくべきものである。
包括的に金融商品を捉えていくためには、まずは包括的な金融商品の定義を置くことによる対応が考えられるが、何が金融商品であるかについては様々な見方があり、金融商品の範囲を明確に画せる包括的な定義を置くことは困難ではないかと考えられる。
(注1)中間整理(第一次)においても、検討の入り口においては幅広い金融商品を対象として考えながら、(物やサービスそのものの取引ではなく)キャッシュフローの移転、リスク負担の変更を(取引内容とすることを)メルクマールとしつつ、具体的な範囲指定においては、取引の実態、ルールの適用、目的等に照らして個々に判断していくというアプローチをとることが妥当ではないかとしている。
(注2)包括的な立法とされている英国の金融サービス法においても、基本的な考え方として、その対象を「投資物件」として捉えながらも、具体的には、株式、社債、政府証券、集合投資計画のユニット等に加え、デリバティブ取引、長期保険契約等、金融商品を列挙することにより規定している。
(注3)なお、以下のようなものについては、金融商品には当たらないとの指摘がされている。
ア 会員権等、本来の性質としては商品・サービスそのものの消費や利用が予定されている取引
イ 宝くじや馬券等、くじや賭け事として社会的に認知され、制度化されている取引
従って、販売・勧誘ルール、特に説明義務の対象となる金融商品の範囲を定めていく場合においては、中間整理(第一次)で示されたメルクマールや考え方に沿いつつ、基本的には各法に定義されている有価証券、預金、保険、信託商品、抵当証券、集団投資スキームに関する商品、金融先物・オプション取引等について、取引の実態や販売・勧誘ルール適用の目的等に照らして幅広く列挙した上で、同様の機能や類似するものをも含み得る規定振りを工夫し、具体的には政令により指定するといった方法で対応することが考えられる。
なお、政令指定をする場合、できる限り速やかな対応をとることにより、実質的に見て金融商品を包括的にカバーすることが望ましい。
(注1)郵便貯金、簡易保険については、国が事業として行い、その支払いも国が保証しているといった性格を勘案したうえで、販売・勧誘ルールの制度化に当たっての取扱いについて検討する必要がある。
(注2)なお、中間整理でも指摘されているように、販売・勧誘ルールは基本的には利用者が資金の出し手になる場合のルールであり、利用者が資金の受け手になる場合である融資に関する契約は、その対象には含まれないものと考えられる。
?販売業者、販売行為
販売業者の範囲については、業法上の権限があるかどうかにかかわらず、金融商品の販売行為を業として行う者(金融商品を発行し、直接販売する者も含む)が広く対象として含まれるようにすることが適当と考えられる。
販売行為については、金融商品の販売契約を直接顧客との間で締結する場合だけでなく、契約の締結の代理、媒介等を行う場合も含むべきと考えられる。
?説明の方法、説明内容等
説明は販売業者が自ら、あるいはその従業員等を通じて、契約の締結に至る過程の中において、契約締結に先立ってあるいは契約時に行われる必要がある。
説明を義務付けるべき事項については、顧客のリスク判断にとって重要な事項を説明することとすべきである。
リスクとは、基本的には金融商品の将来価値が変動することであり、違反に 対して損害賠償責任が伴う説明義務との関係においては、特に契約締結後に 「不利益な状態」が生じる可能性をいうものと考えられる。
重要事項の説明内容としては、商品の基本的な性格、仕組みの中でリスクが内在するときには、そのリスクの要因に則して説明することが適当である。
具体的には、商品の性格、仕組みの中で、契約締結後において、金融商品の売却による損失の発生等、「顧客に不利益な状態」が生じる可能性をもたらす「主要な要因」が存在する場合には、その旨と当該要因を、商品の性格、仕組みに沿いつつ説明することが必要である。
(注)「顧客に不利益な状態」については、基本的に、以下のようなものとして検討していくべきである。
収益が変動すること
出捐額の一部又は全部が毀損すること
出捐額を超える損失が発生すること(追加的な支出の負担)
なお、説明が必要な「主要な要因」については、金融商品の種類によって異なるものの、契約の満了時や第三者への金融商品の転売時において上記のような不利益な状態をもたらす要因(例、資産運用の成果の不確実性をもたらす相場の変動、為替レートの変動等)に加えて、
中途解約権の制約や権利を行使できる期間の制約
中途解約時についての返戻金等の取り決め
商品の組成者等が倒産した場合の顧客保護の仕組み
も視野に入れて検討していく必要がある。
説明すべき事項については、(プロでない)一般的な投資家あるいはその商品を購入することが予想される顧客の大多数が理解できる必要があることを前提としつつ、商品の特徴、仕組み等について「明確性あるいは周知性が高い」商品については、特に政令等で特定して説明事項を限定することも検討する必要がある。なお、具体的にどの商品について、どのような説明内容とするか等については、商品の特性に応じて考えていくベきである。
説明の方法については、法令で特定する必要はないと考えられるが、書面によるかあるいは口頭で行うか等の具体的な方法については、商品毎の説明事項の具体的な内容とともに、業界団体等においても、ガイドライン等の作成・公表に向けた検討を行うとともに、社内規程の整備にも反映させることが望ましく、これにより、顧客とのトラブル発生の可能性を低下させていくことにも貢献するものと考えられる。
?説明を不要とする場合
説明義務は、金融取引に関する知識・経験等を有しており自ら情報を収集したりリスク分析でき、自己責任原則を貫徹しうるいわゆるプロが顧客である場合には課す必要はないと考えられる。これは、顧客がプロである場合の取引の円滑化やコスト低減にも資するものであると考えられる。
(注)プロに対しては、本制度に基づく説明義務違反に対する損害賠償責任は課されないが、一般法理としての不法行為責任が成立する余地はあるものと考えられる。
プロについては、証券取引法の適格機関投資家の制度等を参考にして、その範囲等を検討する必要がある。その際、金融商品全体の投資のプロとして考えられる者を外形的に指定するだけでなく、適格機関投資家の制度にも採用されているように、一定の条件に該当する法人、金融業者、機関投資家を対象に、行政当局に自ら届け出た者をプロとすることができないか検討が必要である。
なお、販売業者については、上記プロと重なる場合も多いと考えられるが、特定の商品を販売する業者が金融商品全体の投資についてのプロとは言えない場合もあると考えられる。そこで、説明を不要とする更なる類型として、当該商品の販売業者間の取引も含めることができないか検討が必要である。
また、顧客が説明を不要とした場合にも説明義務を課す必要はないと考えられる。
(注)同種の取引を反復継続したことをもって、説明義務を免除することは適当ではなく、むしろ説明を不要とすることの同意があり説明不要となる場合、あるいは因果関係がなく損害賠償責任が成立しない場合があるものとして、整理されるべきと考えられる。
3.説明義務違反の民事上の効果
説明義務に違反した者に対しては、損害賠償責任が問われるべきと考えられる。基本的には、これまでの判例等を踏まえ、民法の不法行為責任に則した取扱いをすることが適切であるが、金融商品の販売における説明義務違反に関する、業者、利用者の紛争の公正かつ明確な解決に資する基準を提供するため、特別な取扱いをすることが必要かつ適切かどうかも含め検討した。
?損害賠償責任が成立するための要件
損害賠償責任の成立のためには、次の要件が必要であると考えられる。
a.前記の説明義務を怠ったこと
b.損害が発生したこと
c.aとbの間に因果関係が存在すること
(注)立証責任の分配については、現在の裁判実務において裁判所によりケースバイケースで適切な立証責任の分配がなされていると考えられること等から、民法の一般原則どおりでよいものと考えられる。
?損害賠償責任を負う者
損害賠償責任を負う者は、民法の一般原則では、まず不法行為を行った者(通常の場合、自然人)が責任を負い(民法
709条)、更にその使用者(通常の場合、法人)の責任を追及する構成(民法
715条)となっている。
金融商品の販売に当たっては、販売業者に何らかの説明義務(被用者の説明義務履行を確保する義務を含む)があることには異論はなく、裁判例では、資力の観点からも、販売業者の責任が追及されるケースが多いこと、また、インターネット取引等実際に販売に従事する者が特定されない取引にも対応していくべきことを考えると、販売業者が直接に損害賠償責任を負う構成を検討すべきである。
また、複数の業者が共同して販売行為を行った場合の責任のあり方についても検討が必要である。
(注)販売業者のもとで実際に説明を怠った者自身の責任を追及する必要がある場合には、民法
709条によることが考えられるが、本制度のもとでも直接責任を追及できるようにするべきかといった意見があった。
?損害の範囲、損害賠償額の推定規定の必要性
損害の範囲については、出捐額と清算額の差額を基本とするが、その他諸事情を勘案する必要性については、民法の一般原則どおりでよいものと考えられ、金融商品に関し特段の定めを置く必要はないものと考えられる。
また、実務上、損害賠償額の立証に困難が生じるケースは少ないことから、損害賠償額の推定規定も不要であると考えられる。
?過失相殺、時効等
他の商品一般に比して金融商品に特有の事情はないと考えられることから、民法の一般原則どおりと考えるべきである。なお、時効については、金融商品の中には、契約から満期までの期間が民法
724条に規定する20年の除斥期間を超える場合があるため、除斥期間の起算点については、こうした金融商品の特性にも配慮した民法の解釈を行うべきとの意見があった。
?その他の民事上の効果
民法の一般原則において無効、取消しの要件は厳格に解されていることを踏まえると、説明義務違反に基づき契約の無効、取消し等を法定する等の立法的手当ては困難と考えられる。
(注)金融商品に関する損害は、基本的には金銭的な損害賠償により解決可能であるものと考えられる。
4.金融商品の販売と融資の組合せ取引における融資業者責任等
金融商品販売業者が金融商品を販売する際に、融資業者が金融商品の購入代金の融資(バックファイナンス)を提供している場合には、融資業者の責任を追及する余地があるのではないかという論点がある。
今般の制度化は、金融商品販売業者に説明義務を履行することを求めるものであり、融資を行ったという理由だけで融資業者の責任を問うことは適当ではないと考えられる。
しかしながら、例えば融資業者であっても、実質的に金融商品の販売行為(契約の締結、その代理、媒介等)を行っていると認められる場合には、その販売行為が業法に違反するか否かにかかわらず、金融商品販売業者としての説明を義務付けられ、その義務違反に対して民事上の責任が問われるべきものと考えられる。
このような視点から、説明義務の規定に当たっては、前記のようなケースについてもその対象に含まれるよう、金融商品の販売を行う者を広く対象と捉える方向で検討することが望ましい。
また、金融イノベーションの進展に伴い、元来は別個独立であった複数の金融取引が一体化したような金融商品(その中には融資が組み込まれた商品も考えられる)が登場する可能性があるが、このような商品を販売する際には、商品を組成する取引毎に説明義務を分解するのではなく、販売行為を行った業者に、商品全体についての説明義務を負わせるべきとの意見がある。このように説明を義務づけることが可能かどうかについては、商品の一体性、一体化商品にかかる説明事項等の要件の明確化を含め、更に検討すべきである。
さらに、複数の業者が顧客に対して金融商品の販売・勧誘を共同で行った場合には、それぞれの業者は説明義務違反の連帯責任を問われるべきケースもあるのではないかとの意見がある。融資業者が他の販売業者と共同して販売・勧誘行為を行った場合でも、そのようなケースに該当する場合には、当該融資業者の共同責任を追及することができることになる。このような点も踏まえ、3.?において述べたように、複数の業者が共同して販売行為を行った場合の責任のあり方について、さらに検討が必要である。
なお、融資業者としてはリーガルリスクを避ける意味でも、金融商品のバックファイナンスを行うに当たっては、販売業者との間の役割分担の明確化や顧客への対応方法等について自主的なルールを定めることが望まれる。
5.不適切な勧誘等について
?1.において述べたように、今後の金融商品の販売に際しては、リスクを伴う金融商品に対しても顧客が納得して投資を行える環境を整備し、利用者自身の自己責任の原則を浸透させるために必要なルールの制度化が求められている。説明義務の明確化はまさにこの要請にかなうものであるが、更にこの意味から、販売業者の不適切な勧誘等への対応についても検討する必要があると考えられる。
不適切な勧誘等に関する論点としては、不実告知等の詐欺的な勧誘等への対応、
顧客の知識、経験等の特性に合わせた勧誘を行うという意味でのいわゆる「適合性の原則」の取扱い、
一方的な訪問・電話等による勧誘などのいわゆる「不招請の勧誘」などの問題がある。
これらの事項については、金融商品販売業者のコンプライアンス体制の整備と関連付けて議論がなされるとともに、民事上の効果と直接結びつけることの可否についても検討された。
詐欺的な勧誘等の取扱い(消費者契約法(仮称)との関係)
国民生活審議会において検討されている消費者契約法(仮称)においては、交渉力、情報力において劣位にある消費者を保護する観点から、事業者と消費者(自然人)との契約一般について、不実告知等の詐欺的な勧誘等により消費者に重大な誤解を与えて締結された契約に対する取消し効果を認めること等を検討している。金融商品に係る紛争は、一般に、本制度のような説明義務違反に伴う損害賠償により処理されることが多いが、金融商品の販売において消費者契約法の適用を排除しなければならない理由は特にないと考えられることから、詐欺的な勧誘等については消費者契約法がそのまま適用されると考えられる。
適合性の原則の位置付け
適合性原則は、説明義務を補完するものというよりは、勧誘における基本原則の一つとして位置付けられるべきものと考えられる。
適合性原則を、顧客に不適合な勧誘の禁止の形態をとる業者ルール、あるいは違反に対して民事上の効果を伴う取引ルールとして位置付けて制度化することについては意見が分かれたが、金融商品販売業者が勧誘活動において自ら実践することが求められる重要な事項であることについては異論がなかった。
そこで、後述のように、金融商品販売業者に対し、適合性原則を踏まえた社内規程の整備及びその遵守を義務付けることが適当と考えられる。
不招請の勧誘
不招請の勧誘とは、顧客からの招請のない場合の訪問・電話による勧誘と考えられるが、そもそも業者から顧客への接触や情報提供自体が否定されるべきではないとの指摘も多く、禁止されるべき問題かどうかについては意見が分かれた。なお、迷惑な時間帯における勧誘のための電話の自制や、リスクの高い商品を取扱う際の電話、訪問による対応等については、前記の適合性原則と合わせて、業者のコンプライアンス体制の整備が必要と考えられる。
金融商品販売業者に対するコンプライアンス規程の義務付け
金融商品販売業者が、不適切な勧誘を行わず、顧客に対して適切に対応していくためには、行政の監督だけではなく、業者自身の自主的な対応が極めて重要であると考えられる。
このような業者側の対応を促すために、顧客に対する説明の内容や方法とともに、適合性原則の実施や不適切な勧誘の自制等の、勧誘時の適切な対応に関する社内規程を整備し、その遵守を義務付けるとともに、勧誘に関する各業者の基本的な方針については何らかの形で公表等を義務付けることを検討すべきである。
こうした規定を置くことにより、コンプライアンスに関する業者間の競争が促され、業法に基づく行政当局の監督と合わせて、適切な勧誘のためのコンプライアンスの充実に向けた環境が整っていくものと期待される。
?本ワーキンググループでは、以上の論点のほか、不適切な勧誘行為の更なる類型化やその民事上の効果、金融商品の販売・勧誘に関する行政の対応のあり方等について、以下のような指摘があった。
金融商品の不適切な勧誘として整理された前記のようなケースは、なお部分的なものであって、更にどのようなものが対象となるかについて引き続き検討する必要がある。また、不適切な勧誘行為によって顧客に損害を与えた場合においては損害賠償責任を負うべき場合もあると考えられるが、これらについては民法の一般原則で対応できるのか、あるいは要件等をより明確化するための法的措置が必要かを検討していくべきである。
悪質な行為に対しては、行政あるいは刑罰による対応が求められることにもなろう。ただし、行政上の措置については、個別の業法により監督権限が法定されている場合には、法の趣旨に基づき適切に対応していくことが考えられる一方、各業法の枠に入らない金融商品については、どのような対応が考えられるか、検討していくべきである。
このような残された課題については、今後いわゆる日本版金融サービス法を検討していくなかで、引き続き議論されていくべきものと考えられる。
(以 上)○蝋山部会長 どうもありがとうございました。読み上げる方もなかなか大変だったと思いますが、お作りになられた方はもっと大変だったというふうに思います。
先ほど御紹介いたしましたように、進行役をワーキンググループでお務めいただきました山田先生に来ていただいておりますので、補足的な御説明がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。まずそこからいきましょう。
○山田委員 山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。若干時間を頂戴できればと考えます。
事務局からの説明との重複を避けるように努めながら、若干の点につきまして補足説明を申し上げます。
まず、ただいま読み上げていただきました二つの文章の性格、すなわち、資料番号の19−1「金融商品の販売・勧誘ルールの整備について」(ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ報告)と、資料番号19−2の「別紙 論点整理」の関係について一言申し上げます。
11月以降6回にわたりますワーキンググループの検討結果の全体が19−2「別紙 論点整理」でありまして、それに基づいて19−1「金融商品の販売・勧誘ルールの整備について」という文章によりまして、第一部会からの委託、すなわち、早期に何を法制化すべきか、そのために必要な事項について検討するようにという委託にお応えするというものであります。したがって、19−1に記載されている内容では十分に示し得ていないニュアンスがあるかもしれませんが、それにつきましては、ぜひ別紙の論点整理、19−2も併せて御覧いただければと存じます。
次に、報告内容の基本的な方向について申し上げたいと思います。
その特徴は、金融取引の効率性と公正さを併せて実現することを狙うものでありますこと。そして、幅広い金融商品について横断的な販売・勧誘ルールを設けようとするものでありますこと。さらに、取引ルールの充実を重要視したものでありますこと。そして、金融機関の自主的なコンプライアンスの整備に期待をし、そしてそれを促すような仕組みを設ける提案を行った。この4点にまとめることができようかと思います。
とりわけ、「別紙 論点整理」でも幾つか指摘されておりましたが、個別の論点又は検討項目の細部にわたる点では、ワーキンググループの出席者内部に意見の相違はなくはございませんでしたが、ただいま申し上げましたような4点の基本的な方向につきましては、ワーキンググループ全体の了解が得られたところであり、また、それは同時に、今年の7月の第一部会「中間整理(第一次)」が指し示した目標に沿うものであると思われます。
さらに申し添えますならば、本年8月末までに寄せられました多くのパブリック・コメントによっても支持されたところであろうかと考えております。
さらに、報告の具体的な内容について2点だけ申し上げたいと思います。
第1は、説明義務につきましては、金融商品の販売業者が負う義務として整理いたしましたこと。その結果、例えば、金融機関の店頭で金融商品を販売するような従来型の典型的な場合におきましては、金融機関は、その従業員が顧客に対して販売・勧誘を行う際に、従業員を通して必要な説明を行う義務を負い、その義務を金融機関が尽くさなかったとき、金融機関は自らの義務違反に基づいて顧客に対して損害賠償責任を負うことがあるとしたことであります。
もう一点であります第2は、金融商品の販売業者が適切な勧誘を実施するために、コンプライアンスの整備が重要であり、そのために、コンプライアンスの整備と遵守を販売業者に義務づけ、さらにその実効性を確保するために、例えば、その基本的な方針の公表の義務づけを提案しているという点であります。
いずれも地味ではあるかもしれませんが、今後の我が国の金融取引に関するルールの形成に関する基本的な姿勢を明確に示すことができたものではないかと考えております。そして、そのことは、着実に我が国の金融取引に関するルールが適切な方向に発展していくための基礎になると考えております。
最後の点は、私自身の期待を込めたものとなったおそれがあろうかとも思いますが、以上で私の補足説明といたします。誠にありがとうございます。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
それでは、一般討論に移りたく思います。どうか、御意見があれば、ここで御披瀝いただきたく思います。非常にすっきりとまとまり過ぎちゃってて、声が出ないですか。
吉野さん、どうぞ。
○吉野委員 ちょっと教えていただきたいんですけれども、金融商品の組成業者と、それから販売業者の間で、例えば、販売業者が誤って、あるいはそこまでよく理解できなくて商品を説明した場合、販売業者の責任になるのかどうか。その金融商品の組成者と販売業者との間がどういう関係になっているか、一つお聞きしたいと思います。
それから、2番目は、ここでリスクを説明した場合に、例えば、経済でいきますと、石油ショックが起こったとか、アジアの金融危機が起こったと。そういう場合には、これまでのノーマルな状況では起こらないような為替リスクが発生するわけですが、その場合には民法上もきちんとした説明責任があればいいのかどうか。少し経済学的なショックの説明の場合、どうなのか。
それから、3番目は、業者というのは、登録制とか割合いろんな方がなってくる場合に、大きな業者の方ですと、やはりこういうコンプライアンスができると思うんですけれども、いろんな人がわからないのが出ないような工夫もなされていらっしゃるのかどうか。その三つです。
○蝋山部会長 よろしいですか。山田さん、どうぞ。
○山田委員 第1点でございますが、組成をした業者と販売業者が異なっていて、販売業者が商品の内容をよくわかっていないという場合はどうかという御質問でございましたが、販売業者は金融商品の内容を販売する以上は、よく知っていなければならないという考え方で、もし現実によくわかっていないままに説明できずに売った場合にも説明義務を負うという考え方を、これはかなり時間をかけて検討した結果、共通の了解に達したところであろうかと思います。
それから、第2点でありますが、石油ショックのような非常に稀なというか、あるいはさらに大きな事柄について、リスクとしてどういうふうに受け止めるかということでありますが、為替の関係で申し上げますと、為替リスクがあるということが、ここで業者が説明すべきことでありまして、したがって、石油ショックが起きたらどうであるかとか、あるいは外国のものでありますと、外国で革命が起きたらどうなるかであるとか、そういうことについては事業者が説明すべき内容には含まれない。為替リスクがあるということを説明すれば足りるだろうと、そこの点を時間をかけて検討し、文章には載っておりませんが、明確な形で了解ができたところではないかと思います。
それから、最後の点ですが、立派な業者はコンプライアンスできるだろうけれども、そうでない業者は、コンプライアンスができないのではないかという御指摘でありましたら、そうでない業者もコンプライアンスをするようにというのがワーキンググループの報告の強いメッセージでございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見。
それでは、まず関さんからお願いします。
○関オブザーバー 蝋山先生がすっきりまとめられたと言われますが、私も非常に御努力で整理をされた部分が多いと思いますので、今から5点ほど申し上げますが、念のためのこともありますので、お聞き取りいただきたいと思います。
今、吉野先生が御質問になりました説明義務の内容について、今、山田先生からもお答えがありましたけれども、今は為替変動の諸要因を全部説明するなんていうことはあり得ないわけでありまして、これは単純な株価変動、株式をとりましても、株価は変動することありますよと、ですから、元本から値段が下がるものがあるということはもちろん言いますが、どういう理由で下がるかとか、そういったことを一々説明させるという趣旨では全くないということは、ほぼ文章に出ていると思いますけれども、ぜひここでの御確認させていただきたいというふうに思います。
それから、2番目は、顧客に対する説明をするわけですけれども、当然顧客の理解度というのがいろいろ違うわけであります。それで、理解度
100から0というふうにあって、例えば50ぐらいの理解度のある人に対する説明をしておけば、それでいいのかという。そのあたりはどういうふうに考えるのかという問題があります。
ちょっと書いてありますけれども、例えば今の、為替リスクがありますよということを言ったときに、為替リスクがありますということは説明は聞きましたと。しかし、自分は、理解できませんでしたという人があったときに、一体どういうふうに解釈したらいいのか。それは一例ですけれども、そのあたりはやっぱり何かメルクマールを決めておいていただかないと、多分私の理解では、あるところまでは説明義務ということで議論し、あるところまでは適合性原則を守ったかどうかという議論になるんだと思うんですが、そこのところがどういうふうに接点をしていくかどうかということだと思います。
それから、3番目が、プロとアマの部分であります。それで、プロとアマは、できるだけ明確にするために、取引する顧客の性格といいますか、属性できちんと整理をしておくということでありまして、一つ、適格機関投資家という例があり、その一部に実は事業法人というのが入って、これは一々届出をするんでしょうか、今の制度は届出して認定していくと、こういう制度になっているんだと思うんですが、私が聞いている話ですと、この認定を受けている事業法人は1社きりないと、こういうことであります。
一連の市場改革の議論で、事業法人の金融分野への進出ということについては、それをむしろ是とし、是認し、応援するというような考え方がどんどん出てきていると思うんです。しかし、現実はどうかというか、事業法人の方でそういう動きは非常に少ないということでありまして、これはいささか矛盾するんじゃないか。事業法人でも、このところは金融分野にどんどん進出をしてくる子会社もある。子会社で進出してくるとか、そういう形がありますから、金融のそういった既にプロとして認められてもいいような実体を持っている事業法人は、何らかの形式基準で、それをどうやって確認していくかという確認手続は要ると思いますけれども、何らかの形で、要するにプロであると、制度としてプロであるということに持っていくような工夫が要るんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。
それで、既に資料で御紹介されておりますけれども、幾つかの法律では、形式的に資本金5億円以上はプロ。いわゆる我々の今議論しているようにプロの方に入れると画一的にやっている例もあります。
それから、アメリカでは、ルール 144の適用について、適格機関投資家の定義を形式的に決める。もちろんこれは確認手続が要るわけですけれども、そういったふうにしているということでありますから、プロとしての実体を備えている人はプロとして認める。そうしませんと、いわゆる実際はプロで、ほかの点ではプロを主張しながら、説明義務のところはアマとしての権利を主張できるということで、そこは一つ工夫が要るんじゃないかなと、こういうふうに思います。
それから、4番目は、山田先生が自分の期待が入っていると、こうおっしゃられましたコンプライアンスの問題についての公表義務であります。これは御検討の結果、基本的な内容ということで、かなり基本的な部分で足りると、こういう発想でありますし、それを開示することによって、顧客がA社とB社の発表されている内容を見比べて、こちらの会社の方がコンプライアンスが優れているから、こっちと取引をしようというふうに展開していくと、それを期待するんだと、こういう趣旨だと思います。
それで、既に立法になっております前回の法律で、これが証取法の50条というところで、証券会社の業務及び財産の状況に関して記載した説明書類を作成して、これはいわゆる投資家のためのディスクロージャーでなくて、顧客が証券会社を選択する資料として縦覧させるという制度を既に導入して、多分それと同じ発想だと思います。
それで、ただ、これは、つまり基本的な内容というようなことで何か用意をいたしますと、極めて言うならば基本的な姿勢の問題。いわゆる証券会社の倫理綱領とか、それから、IOSCOの行為原則とか、ああいうやや抽象的なものになってくると、そこで優劣を見るということがなかなか難しいんじゃないかというふうに思うのが一つ。
それから、これは私ども、50条ができましたものですから、一体どんな状況になっているかというのを実態調査をしております。しかし、実際にこれを見に来た客というのは、結果として、今のところは非常に少ないというのが実態でありまして、決してコンプライアンスの体制、コンプライアンスの十分いってない会社のコンプライアンス体制も含めて、充実させていくということは必要だと思っておりますが、こういう手段がすぐ実効上げるかどうかということについては、必ずしもそれほど確信を持てないなというのが私の実感でございます。そこのところは、あえて申し上げておきたいと思います。
それで、これはそういうことでありますが、最後は、実はこういうことで業者の方も説明義務とか、コンプライアンスの充実とか、いろいろな義務がかかってくる。また、それをすべきだということは私もそのとおりだと思いますが、一方、顧客の方も、こういう枠組みができているけど、こういう枠組みを使うに当たっては、自己責任原則というものがその基本に貫徹しているんだと、そういうふうな顧客の方の心構えというようなものを何らかの形で立法のときには、目的条項とか、訓示規定とか、どういうことかわかりませんが、そういったところにぜひ明確に1本入れておいていただきたいと、こういうふうに考える。これが最後であります。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
ただいまの点、全部で四つか五つあったと思うんですが、山田さんどうですか。
○山田委員 たくさん御質問いただきまして、ありがとうございます。
まず、第1点ですが、株価の変動の要因について説明をする必要がないということを確認するようにということですが、そういう議論をしておりますので、確認申し上げます。
それから、第2点、顧客の理解度が例えば50というのを想定して説明の内容が決まってくるんだろうかという御質問でありますが、その点は大変難しい点で、随分議論をしたところでありますが、ワーキンググループとしては、次のような言葉で一致をしております。
9ページのものの方ですが、19−2の資料番号でございます。4ページにございますところの、やや上の方であります。この1行目から2行目ですけれども、読み上げさせていただきたいと思います。
一般的な投資家あるいはその商品を購入することが予想される顧客の大多数が理解できる必要があることを前提にして説明内容をそれぞれの商品ごとに、具体的な場合には考えていくのが望ましいだろうと、こういう考え方で一致を見たところであります。したがいまして、0から
100までのうちの大多数というものが数でどういうふうに表現できるかというところが難しいわけでございますし、ワーキンググループで数字を出して、ここでということにはしておりませんが、御指摘がありました例としての50ではないだろうと思います。もう少し、どちらを0、どちらを
100にするのかよくわかりませんが、理解度が高い方を 100、理解度が低い方を0ともしするのであれば、50よりは0にもう少し近いところの顧客を想定して説明内容を考えるということになろうかと思います。
そして、第2点に関連しまして御発言いただきました説明義務の問題から、ある部分で適合性の問題になるだろうということは、今回の議論では必ずしもそこを明確に確認してわけでありませんが、恐らくそれが前提の考え方として共有されていたのではないかと思います。「中間整理(第一次)」までの議論をワーキンググループでいたしました今年の6月までの議論では、そのことは繰り返し確認されながら議論をしていったところでございます。
それから、3番目でありますが、事業法人がプロにならないことが想定されるけれども、どうなんだろうかという御趣旨と承りましたが、ワーキンググループの恐らく共通のイメージとしましては、プロになるということは、その者にとって、権利が失われ、特典がなくなるというだけでなく、迅速に、あるいは低コストで取引ができるという面も当然に伴っているだろうというイメージを持っております。そこで、したがって、プロを選択すれば、確かに販売業者から説明を丹念に受けないという立場に置かれますが、しかし、それに見合う形で、経済的な形で見合う形での利益というものは当然に想定できるだろうと。それを期待して制度を作ればいいのではないかというように考えておりましたところであります。
したがって、日本のこういう問題に関する現実が、関オブザーバーおっしゃったようでありますと、確かに動かないかもしれないんですが、そこは制度の作り方ではなくて、まさにそれぞれのプレーヤーがどう動くのが望ましいかという問題ではなかろうかと思います。
それから、第4点でありますが、コンプライアンスの公表ということをしても、果たして実効性を上げることができるのかどうかという点でございますが、ここから始める。ここから始めれば、あるいはコンプライアンスについて得意なというか、ここで競争しようという業者はより多くを、基本的な方針以上を、義務づけられたもの以上を公表することが考えられるのではないか。したがって、義務づけは基本的な方針に止まるけれども、さらにそこからスタートして、コンプライアンスが充実していくことを期待しようと、そういう考え方でございます。
ただ、日本の現状を前提にすると、うまくいかないかもしれないということでありましたら、やってみて、また考えるということになるのではないかと思います。
そして、最後の点ですが、顧客の方も自己責任であるということを心構えるべしという旨、法律に書いてはどうかということですが、それも法律に書くということについては特に検討したわけでありませんが、顧客が自己責任を負うための法的な環境整備ということがそもそもの課題でありますので、当然の前提になっていたものと思われます。したがって、法律に書くがどうかは、それは事務局にお任せするというふうにワーキンググループとしては考えているのではないかと思います。
以上でございます。
○蝋山部会長 関さん、ありますか。
○関オブザーバー
今のお話の一つだけ絞って、山田先生の御意見も伺いたいんですが、今の説明義務の程度のところですが、プロとアマというときに、アマの程度が、それは私は50と言いまして、50よりももっと低いんじゃないかということですが、説明義務の水準はそこに合わせるということ、50じゃないということがありますけれども、それでは、理解度が
100とか、90とか、80とかという人にも、50より低い理解度を前提にした説明をしなければ、説明義務を行ったことにはならないと、こういう解釈にはならないだろうなということを、そこだけ確認していただけませんか。要するに、70とか、先ほど私が言いましたように当然
100の理解度があって、プロになってしかるべきところがアマの地位にいる人に対して、いや、それは一般の個人と同じような説明をしなければならないということになりますと、後々一種のモラル・ハザードになるかもしれないと、そういう意味です。
○山田委員 最終的な結論は、関オブザーバー御指摘のとおりだと思いますが、そこに至る理由というか、構成が少し異なりますので、ちょっと御説明を申し上げたいと思います。
説明義務を仮に30のものに想定して、その説明義務は尽くされていない。しかし、当該顧客は70とか80の理解度があったというケースだろうと思いますが、その場合には、説明義務違反はあると考えます。しかし、その当該顧客が現実に理解をしていれば損害賠償責任が生じない。たとえ金融商品で損失を被っても損害賠償責任は成立しないという考え方をワーキンググループではとったところでございます。
ただ、それでは、現実に理解したかどうかというのは後の立証の問題で、いろいろとトラブルを起こしやすいのではないかということが考えられますが、そこを予め予防しようとするならば、説明不要の同意を取るという方法をこのワーキンググループの仕組みとしては用意しておりまして、それを取ることによって、説明義務がそもそも尽くされていなかった、説明義務違反という評価すらも回避することができるというふうに考えております。
あとは、プロを除いて、その残りの大多数ということですので、プロを入れた全てのプレーヤーを前提にした
100というのは説明義務が課される局面では考えてはいないというふうにも思われます。
以上でございます。
○蝋山部会長 よろしいですね。
○関オブザーバー 後で時間でもあれば、また伺いますので、とりあえずは結構です。
○蝋山部会長 では、野田さん。先ほど手を挙げられた。
○野田オブザーバー 全銀協の野田でございます。
ただいまの御報告は、基本的に中間整理にもありますような金融取引の公正性と効率性という両方に十分な目張りがなされておるということで、基本的に大いに評価するものでございます。ここまでおまとめいただきました皆さんの御努力に敬意を表するものでございます。
先ほど山田先生の方から、コンプライアンスにつきまして、非常に地味かもしれないがというお断りがあったんですけれども、私ども業者といたしましては、社内規則でありますとか、社内教育体制の一層の整備という点で、ある種多くの課題をいただいたということで、改めて身が引き締まる思いをしつつ、伺っておりました。
私どものスタッフもワーキングに参加していただいておりますので、私から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、あえて3点ほど、これも念のためというか、確認なんですけれども、申し上げたい。
そのうち1点は特に、ただいま関オブザーバーからの御質問でほぼ氷解いたしましたが、その点はあえて申し上げれば、不利益な状態をもたらす主要な要因という、この両者の因果関係にまで詳細な説明義務は及ばないという点で御説明があったというふうに理解をしておりますので、この点については詳しくは避けたいと思います。
二つ目は、これも議論がなされたというふうには聞いておりますけれども、3ページの(注)の次のページ、4ページになりますか、説明事項を決める際に視野に入れるべき事項ということで、で「商品の組成者等が倒産した場合の顧客保護の仕組み」ということが挙げられております。
私どもの取り扱っております預金につきましては、セーフティネットの有無を説明し、セーフティネットの適用がない部分については、銀行が破綻した場合には、一部が返還されない可能性があるというような説明は可能でございますが、ここで言うセーフティネットそのもの、私どもで言えば預金保険制度自体の仕組みの説明を現場で一つ一つやっていくというのは大変な負担となります。本日、午前中の第二部会の方での問題提起もございましたのですけれども、預金保険制度の周知に関する提案、問題提起につきましては、ございましたとおり、この辺のところ、第二部会の提案等との関係、平仄も十分踏まえた上で、実際の法制化に当たっては御配慮いただきたいということでございます。
もう一つは、これも十全なる議論の上というふうには承っておりますが、2ページの一番下の(注1)にございます郵便貯金あるいは簡易保険との関係でございます。国の行う事業で、国の保証も付いているというその郵便貯金、簡保の性格を勘案して、ルールの法制化を検討すべきというふうにされております。
本部会あるいはワーキングは、あくまでも早期の法制化ということの検討であり、確かに法技術面を勘案すれば、こうした議論にならざるを得ないというところは理解できます。
しかしながら、金融を横断的に捉えるいわゆる日本版の金融サービス法の検討に当たっては、「中間整理(第一次)」の指摘にも沿って、通常の私人間の商行為でない郵便貯金、簡保取引等につきましても、統一したルールの下に置かれるべきであるということをあえて指摘させていただきたいというふうに存じます。
私から、以上でございます。
○蝋山部会長 ただいま野田さんから三つの点は、何かお答えするというより、よろしゅうございますね。
○野田オブザーバー 特にございません。御確認という意味で発言させていただきました。
○蝋山部会長 山田さん、よろしいですね。
それでは、どうぞ、石橋さん。
○石橋オブザーバー
私も野田オブザーバーと重複するところがありましたらお許しをいただければと思いますが、まず最初に、これまでの説明義務についての御説明、判例、あるいは民法の原則を踏まえて立法化するという観点、この基本的な方向につきまして、さらにまた、業者自身の自主的な対応に期待するという点につきましては、誠に妥当であるというふうに評価をさせていただきますとともに、業者としての責任を痛感を改めてしているところでございます。
ただ、今回の商品の範囲でございますけれども、この法案の趣旨ということを考えますと、可能な限り幅広く適用すべきというふうに当然に考えられるべきでございまして、共済については当然なことといたしまして、貯蓄保険あるいは簡易保険についての取扱いについて、今御指摘のあったとおりなんですが、はっきりしていない点、改めて私からも指摘をさせていただければというふうに思っております。
今回の法の立法趣旨というのが、支払いの保全ということももちろんでございますが、やはり1人1人の消費者のニーズに合って販売ができているかどうか、そしてその商品内容について、きちっとした説明ができているかどうかということがポイントだというふうに理解をいたしますと、やはり簡易保険についても、民間の保険と同様にこの適用の範囲に入るべきではないかというふうに考えておりますので、私からも同意見として付け加えさせていただければと思っております。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
今までは3人とも、いわゆる業の側からの御発言でございまして、生活者の側からはないんですか。いいんですか。
どうぞ、大塚さん。
○大塚委員 私は、今回問題になっておりますのは説明義務ということなので、きちっと説明をしてもらうということがやはり重要ではないかというふうに思うんです。。
というのは、例えば業界の人の話は、どのように言えば説明義務がクリアされるということを気にされているようですけれども、例えば、先ほどの例でいいますと、為替リスクがあるということさえ言えば、それで済んでしまうのかどうかということなんです。価格変動リスクがあるということだけ言えば、それで終わりなのかということです。
ここで例えば、リスクというところを見ますと、「顧客のリスク判断にとって重要な事項であって、それを説明する」ということなんですね。ですから、具体的にその内容を、例えば全ての要因を説明するということは要求しませんけれども、ある程度説明しなければ、普通の人間はわからないと思うんです。言ってみれば大概の普通の消費者は。
ですから、今ここで私が聞きたい事柄は、具体的に例えば為替変動リスクがあると言えば、それで済むというようなことを考えておられるのかどうかということなんです。具体的にその為替変動リスクというのはどういうのか、相手に理解させる。先ほどの50%でなくて、80%から90%理解させるような説明をしてあげるということを要求しているのかどうか、そこをちょっとお聞きしたいんですけれども。
○蝋山部会長 わかりました。山田さん、どうですか。
○山田委員 為替変動リスクがありますよと言えば足りるのかというお尋ねに対しては、そのとおりだろうと思います。
ただ、先ほども話題になりましたが、為替リスクとは何かということがわかっていない人に対して、為替変動リスクがありますというのでは、足りないだろうということであります。しかし、円とドルの為替が何を要因に動くかということについては、様々ありますし、その主要なものを説明すべしというようには考えないということでまとめをいたしました。
○蝋山部会長 「リスク」という言葉が恐らく大塚先生の言われるのは、独り歩きしているところがあって、例えば、為替が何円動きますとこの収益率、あなたの儲けは幾らになりますよというような説明は、それが為替変動リスクだというふうにみんなが知っていればそうなんだけれども、わからない人たくさんいるんじゃないと、そういうような点はどうなんでしょうかということなんでしょうね。
○大塚委員 そういう趣旨です。
○蝋山部会長 大塚さんの代弁すると。
○山田委員 そうしますと、幾ら動いたら幾ら商品の値段が変わるかというところはちょっと置いておきまして、円とドルのレートが変わりますとこの商品は時価が変わりますとか、あるいは最後の償還金がどうなりますという形で、それが為替リスクを説明しなければならないということの内容でありまして、「為替リスクがあります」と、その10文字ぐらいを言えば、それで足りるということではない。それでわからない人には、そうではないというように考えております。
○大塚委員 わかりました。安心しました。
○蝋山部会長 原さん、どうぞ。
○原委員 私ワーキングに所属して、それで、確か6回全部出席をしましたので、一応この文章というものは、ワーキングの最後のところで了解をしたということになっているんですが、やはりちょっと幾つか気になっておりまして、というのは、6回もやっても、圧倒的に時間が足らなかったということが大きくて、一応こういう19−1と19−2ということで提出をいたしましたけれども、基本的には19−2が議論をかなりやったということですので、冒頭の説明ですと、この19−1が法文化の場合の根拠になるというふうなお話だったんですけれども、私としては、19−2をベースにして法文化には当たっていただきたいというふうに考えております。
19−1は、骨だけを取り出してきたので、ちょっと私どもがいろんな議論をした点が、なかなか3分の1に圧縮する形で盛り込めなかったということがあります。
それは3点なんですけれども、一つは、私の前もいろいろ御意見出ていますが、金融商品の範囲です。これはやっぱり包括的にできるだけ広くというのは、ワーキングでも同一だったんですけれども、やはりここの書き方の逆説の「が」の置き方が、私としては、これは全く本当は反対にしていただきたいんですね。すごく困難だけれども、包括的に捉えたいというふうにしたいんですけれども、書きぶりは、包括的に捉えたいけれども、困難であるというふうな書き方になっております。その3ページ物ではそういうふうになっていて、蝋山先生も「経営教室」で書かれておりましたけれども、やはり私としては、理念の方が主になるような形で書いていただきたかったというふうに思っております。
それから、今随分議論になっていた点ですけれども、その説明義務のところとその理解の話なんですけれども、随分工夫をしまして、顧客の大多数にとって理解ができるというんでしょうか、そういうことを前提としつつというふうな言葉で9ページ物の方には入れているんですけれども、その「前提としつつ」というような言葉があるので、法文化の中ではそれをそっくり入れるのはなかなか難しいということで、その文言は19−1では落ちているんですね。ただ、やっぱりそこがすごく重要なところなので、ぜひその法文化の過程では、何とか工夫をして入れていただくような配慮をお願いしたいというふうに思います。
それから、3点目なんですけれども、コンプライアンスの話と、それから、不適切な勧誘の部分なんですが、実際には、不適切な勧誘は説明義務と並んで2本の大きな柱の1本だと思うんですが、これは中間とりまとめの段階まででも、去年の7月までの段階でも、まだ余り議論をしていなかったということで下地になるというんでしょうか、議論のベースになるものがまだできてないということで、本当に手探りだったところでこの1カ月のワーキングに放り込まれたので、うまく作れなかったというところで積み残しになっています。その部分をとりあえずはコンプライアンスのところにやって、入れ込んでいますけれども、コンプライアンスだけでそれを補完するものにはなるわけではないので、ぜひその部分は、議論としての積み残しがあるんだということは、明確化した形で世の中には出していただきたいと思います。
以上の3点です。
○蝋山部会長 ただいまの原さんの御意見は、ワーキンググループのメンバーとしての希望といいますか、2番目の点なんか、もうちょっとこの3枚物の中に入れられなかったかなと、原さんのカウンタープロポーザルとして、入れられなかったかなとは思いますが……。
○原委員 「入れてください」とワーキングで話しました。
○蝋山部会長 いやいや、自分でこうするんですと出せばいいんですよ。それが非常に大事なんだけど。
○原委員 修文提案すればよかったんですね。
○蝋山部会長 そうです。そうです。大体最後の頃になると、修文の提案合戦になるというのが一番理想的なんです。
○原委員 そうですね。
○蝋山部会長 山田さんの方は、よろしいですね。
○山田委員 はい。
○蝋山部会長 そういう点は重々御承知だろうというふうに理解します。
ほかに、高橋さんも何かありそうですな。
○高橋委員 私もワーキングのメンバーでございます。重ねたその討議の回数と、時に4時間以上もノンストップでやったという、その会議の長さと、ここに来るまでの資料の厚みを考えますと、随分シンプルにまとまったことがよかったのか、悪かったのか、今感慨に耽っているのですけれども、やっぱり1点確認したいのは、今回のものというのは、あくまでも金融サービス法の第1弾ということでありまして、今後、追加とか、見直しとかということがあることを前提にスタートしましょうと、そういうものであるとして合意していますということをあえて申し上げたいというふうに思います。
それから、先ほどまでコンプライアンスの問題というのはいろいろ出ているのですけれども、公表した場合に見るかとかいうことがありましたけれども、これに関しては、例えば原さんのような消費者団体の方とか、私どものようなマスコミに関わる人間というか、ある種のプロが判定していくということが前提にされていて、一般の消費者がコンプライアンスを細かく見て判断するのではないということにおいては、多分に効果が出るのではないかということで、開示なり公表なりということを主張させていただいて通ったものだというふうに御理解いただきたいと思います。
また、そのコンプライアンスに及ばない金融機関の問題等とも御意見でございましたけれども、やはりこの問題というのは、今後、裁判外紛争処理制度、自主規制機関、これとの一連のものだというふうに私は考えております。やはりそういう自主規制機関があって、そこに所属している販売業者が売っている商品と、そうじゃないところのものの区別が消費者に分かったり、紛争処理の受皿のあるところに属することが金融機関にとってメリットがあるんだという、そういう促進効果を狙ったものであることを付け加えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
能見さん、ありますか。どうぞ。
○能見委員 できるだけ重ならないようにいたしますけれども、3点か4点ぐらいになるんだと思いますけれども、一つは、この報告書の最初の方からいけば、この法律がカバーする範囲をどういう形で、あるいはどういう理念で規定するかということで、理念は恐らく金融商品についての横断的なルールを設けるということで、皆様一応基本的に合意されているんだと思います。
そういうことを前提にするのであれば、私も先ほど原さんが言われたように、対象となる金融商品の包括的な概念規定というのは確かに難しい点はありますけれども、これはぜひ努力していただいた方がいいのではないか。これは単に理念を明確にするというだけでなくて、実際にはその理念だけでは動かないので、政令等、何らかの形で具体的に指定するということが必要だと思いますけれども、そのときに、なぜこういうものが外れるのかというようなことが当然問題になることがあると思うんですが、そういう議論を誘発するというんでしょうか、余り誘発は困るのかもしれませんけれども、しかし、そういうことを理念を明確にした上で、したがって、余り恣意的にこれは入れたり、これは外したりということができないようにしておくべきではないだろうかというのが一つです。
それから、先ほどもう何度も出てきましたけれども、郵貯とか簡易保険、これももう御指摘ありましたように、これの説明の仕方は、国が支払いについては問題がないので、ちょっと違ったルールを考えたらどうかということのようですけれども、そもそもここで問題となっているのは、説明義務違反という形で責任で生じるかどうかという問題ですから、その支払いの保証があるかどうかということは直接関係ない。そういう意味では、こういうものも含めたようなルールを設けるのがいいだろう。
また、郵便局の金融機関としては、どういうことをやるのか、よく知りませんけれども、郵便局も恐らくいろいろ、ここでは郵貯としか上がっておりませんけれども、いろんな複雑な商品をまた開発あるいは販売することもあるんだろうと思いますが、そういうものは排除するという趣旨ではここではないと思いますけれども、そういう意味で、国が主体であっても、基本的には入ってくるというのがよろしいのではないかと思います。
それから、リスクの内容については先ほど議論ありましたので、重ならないところで意見なり質問になるのかもしれませんが、分厚い方の19−2の3ページのところですが、「顧客に不利益な状態」を生じる可能性があるものについて基本的に説明するということのようですが、もちろん抽象的にそうなんですけれども、そこで、(注)としてそこに具体的に上げられているから
、それから、その次のページにまたこういったことも視野に入れるということで、また
から
がございます。この辺、私もまだ十分整理ができないところなんですけれども、3ページの
から
というのは、これは価格が変動するというんでしょうか、商品の価値が変動したり、損失を被ったりするということで、まさにこれはその点についての説明義務違反がなければ、損害賠償という形で解決するのにふさわしい、まさにそういうものなんですけれども。
その次のページのから
というのは、例えば解約権等についてですが、これも解約ができない商品であるということであれば、それなりにまたその期間のリスクは負担しなくてはいけないという意味でリスクに反映するんですけれども、価格の変動リスクに関係するんですけれども、直接損害賠償で解決すべき問題なのかどうか、ちょっと私はよくわからないところがあるんですね。
ただ、これは非常に重要な、恐らく広い意味ではやっぱりリスクでして、こういうのを考慮して説明義務の対象を決めるのが当然適切なわけですが、本当はもしかすると、これは損害賠償ではなくて、今回の法律ではそちらまで手を広げるということについて、今さら全て御破算にして考えるということは適切でないので、私も損害賠償でいくべきだと考えていますが、こういう問題は、4ページのから
などの問題については、むしろ本当は契約の解消を求めるという形で救済を求めるのが本来は筋なんではないかという感じがちょっといたします。
それから、先ほど関さんから、消費者側の義務というものを努力義務なんでしょうか、これは消費者契約法の方でもそういうことがなされたと思いますけれども、これも山田さんから説明ありましたように、恐らくこの法律は、特に投資というんでしょうか、金融商品についての購入者、投資家を考えていますから、当然自己責任で行動するということが前提になっていますけれども、しかし、法律で規定するのは、その自己責任を前提にしたときに、情報が例えば偏っているために、自己責任を貫徹させることができないような状況があるときに、それを是正する部分について最小限恐らく法律で規定しようということで、そういう意味では、その突出した部分が恐らく情報が偏っているために、販売業者の方に説明義務を負わせるという部分だと思いますけれども、この部分が最低限法律で規定することになるということなんではないだろうかという気がします。そういう意味で山田さんのお答えとは少し、ここは自己責任を前提にしているから、消費者の義務について、努力義務を書いても書かなくても、それはもう事務的な問題だというのとは、ちょっと私のニュアンスは違います。
最後については私の意見ですが、ちょっと取り止めもない、少しいろんな点に触れましたけれども、一応以上でございます。
○蝋山部会長 今の点は、山田さん、よろしいですね。能見先生からの、ほとんど御意見として受け止めたいというふうに思います。
何かもしもレスポンスすることがあれば、クイックにどうぞ。
○山田委員 私の先ほどの発言がやや誤解を招いたかもしれませんので、補足をさせていただきたいと思います。
まず、ワーキンググループで利用者の側の理解するための義務というようなものが明示的に問題となったわけでは全くありません。私も先ほどはあるいはそういうニュアンスのことを言ってしまったかもしれませんが、そうではなくて、能見先生のおっしゃられた部分と共通するんですけれども、利用者の自己責任を実現するためのルール作りであるいうことが目的なり趣旨なりに書かれるということは、あり得ることではないかと思うと、そういうふうに考えております。
訂正の部分がありましたら、申し訳ありませんが、訂正させていただきます。
○蝋山部会長 まだ意見はある? 上柳さん、どうぞ。短く一番重要な点を。
○上柳委員 いろいろ問題点は残っていると思いますので、第2弾以降の、いわゆる大きな金融サービス法に期待するところが大きいんですけれども、ただ、今の時点で、金融機関の側の方からも、大きな抵抗なしに、そういう意味でこういうコンセンサスができたということは評価されてしかるべきではないかというふうに思っています。
その上での話ですが、何度も出てきている話ですけれども、理解の程度として、大多数が理解という、これも大変工夫した表現をしたことになっているんですが、逆に言うと小人数の方は落ちるわけで、そこについては、本来であれば、適合性の原則で落ちるような、説明がわからない人には勧誘すべきではないというルールが本来とされるべきだったと思います。ただ、そこのところを今回のこのレポートは工夫しておりまして、そういう方には勧誘を配慮するということでコンプライアンスをきっちり決めよう。
しかもそれを世の中に明らかにして、どの金融機関がそういうことに配慮されているかどうかがマーケットにわかるようにしようと。このコンプライアンスの方も、これまた、文章を工夫されていまして、全部を公表するのではなくて、基本的方針を出すと。この基本的方針がどこまでかということで、これから運用が大事なわけですけれども、その運用によって、本当にそういう意味では場合によっては、アメリカ型でもない、イギリス型でもない、日本の消費者なり利用者の監視によってこういう勧誘方法がいいものになっていくという意味では、大変期待できるような工夫がされていると思うんですね。ぜひそのあたりを伸ばすようなことになっていくことを期待しているということを付け加えさせていただきたいと思います。
以上にします。
○蝋山部会長 ありがとうございました。
まだまだここでおっしゃりたいこと、御意見をお持ちの方たくさんおられるかと思いますが、チャンスはまだあるわけですね。中間整理の段階で。しかし、まとめの議論の中で具体的な修文として、こういうふうに変えろというような形のところまではできるかと思いますので、今日のところは、この問題はここまでというふうにさせていただきたく思います。
二つ目の点は、今ちょっと触れました中間整理に関係するわけでありますけれども、山田先生を中心にワーキンググループに御努力いただきましたこの報告は、前回議論させていただきました「集団投資スキームに関するワーキンググループ」の報告と合わせまして、当部会として公表いたします「中間整理(第二次)」の極めて重要なパーツということになるわけでございます。
そういうわけで、この「中間整理(第二次)」というもののとりまとめイメージ、あるいは中身のあらあらの構成、こういった点について、この「中間整理(第二次)」は、年末に公表することを予定しております。年末って、もうすぐですけど、それにつきまして、事務局からの御説明をお願いしたいというふうに思うわけであります。今の段階で文案は持っておりませんが、しかし、これからの日本の金融のグランドデザインといいますか、そういうものの中で非常に大きな役割を占めるものだろうというふうに私は位置づけております。
そして、年内で公表させていただくのは、一部でも早期に法制化できる部分ということを検討するということでこれまで議論していただきましたので、そういう「中間整理(第二次)」というのは、既に御審議いただきました二つのワーキンググループの報告を柱として構成させていただきたいと、こんなふうに考えているわけであります。
内藤さん、どうですか。詰めをこれから1週間で行おうというわけであります。とりまとめに当たっての考え方と報告書の構成といった点について、内藤さんの方から説明いたします。もう一回繰り返しますが、これがそのもの、これでもう金融サービス法おしまいとか、そういうふうには考えておりません。先ほど原さんが「骨」と言われたけど、血合もおいしいところがあるんですが、骨をしゅぶるのもいいことだと思うんですけれども、それにいろいろ肉付けし、頭を付けて、ちゃんとしたものにしたい、これは6月というふうに私としては考えております。
内藤さん、よろしくお願いします。
○内藤企画課長 今、部会長がいろいろかなり詳しくお話しされましたので、私の方からそれほど新たに付け加えることはないのでございますが、私ども今日は、そういうことで「中間整理(第二次)」の答申案を今皆様方にお配りして御検討いただくという段階でございませんけれども、今取り急ぎ事務的に進めておりまして、次回のこの部会では、それを中心に御審議いただくということを考えております。
ただ、時間的にも非常に押し詰まっておりますし、また、大きな柱、集団投資スキームと販売・勧誘ルールにつきましては、いろいろもう御議論いただいて、ワーキングでもかなり詰めていただきまして、さらにこの要約といいますか、かなりコンパクトな要約もワーキングで詰めていただき、また、部会でも一応御了解いただいたといいますか、そういった認識を持っておりますので、それをベースに作る方が皆様の御納得いただけるのではないかというふうに考えております。したがいまして、かなり装飾的というか、そういうことではなくて、シンプルなもので用意をさせていただきたいというふうに考えております。
構成としましては、まず前文がございまして、その前文の中には、今回の当面の課題ということで、年内にとりまとめたこの経緯といいますか、大きな二つの柱のテーマにつきまして早期に法制化をするということで議論が今日に至った経緯につきまして若干御説明いたしまして、それで、集団投資スキームについての、これは前回の部会で御議論いただきまして、御了解ということでいただいたわけでございますので、その要約というものをベースにして入れる。
それから、3番目といたしましては、今日の販売・勧誘ルールについての御議論を踏まえて、今回のサマリーというものを中心に入れるという形で構成いたしまして、最後に、さらに第4点でございますけれども、部会でパブリック・コメントを提出してもらった後、検討してまいりました裁判外の紛争処理制度の整備の問題、それから、消費者教育の充実という問題、これについても引き続き検討という形になっておりまして、現在、残念ながらこの年内においては時間的な制約もございまして、結論を得るという形に至っておりませんけれども、問題意識等はいろいろ出されておりますので、それをコンパクトにまとめまして、さらに引き続き今後の課題という形で言及させていただくというのが適切ではなかろうかと考えております。
それから、最後に「おわりに」ということで、先ほど部会長からもお話しございましたけれども、さらに大きな枠組みとしての日本版金融サービス法というふうなものに、さらに引き続き検討する課題が多々残っております。販売・勧誘ルールの中身につきましても、先ほどワーキンググループの報告の中にも、今後残された課題ということで、大きな2点の指摘がございましたけれども、そういったものも念頭に置きながら、種々残された課題もございますので、引き続き金融サービス法のあるべき姿ということを目指して御検討していただくということで、6月を目途に最終のとりまとめを行うというふうな記述になろうかということで考えておるところでございます。
以上でございます。
○蝋山部会長 ただいま、「中間整理(第二次)」の非常にあらあらの目次構成のようなものを御紹介いただいたと思うんですが、御意見ございますか。
どうぞ。
○原委員 裁判外の紛争処理を取り上げていただけるということで大変ありがとうございます。それで、裁判外の紛争処理を取り上げる前提として、苦情相談の窓口の整備というんでしょうか、やっぱり紛争処理だけでなくて、その前提もぜひ書き込んでいただきたいのと、それから、広告と表示についてなんですが、金融サービス法ができるといって、消費者の中で話をしていると、当面、その広告・表示のところにも何らかの規制がというふうに考えている人も多くて、そのことについてもちょっと言及はしておいていただきたいと思います。難しいですか。
○蝋山部会長 どうぞ。
○内藤企画課長 裁判外紛争処理については、私どもの整理としては、そこは原委員から言及もございますので、問題点としては私どもとして認識しておりますけれども、裁判外紛争処理制度については、これまでも部会で取り上げて、いろいろ説明、それから、審議も行っておりますので、この年内の中でもいろいろ議論してきた事項であるという形で整理はさせていただきたい。ただ、それで全てもう終わったというわけでは全くございませんので、金融サービス法についての幅広い論点というのは様々に残っております。ですから、そういう中でどういう形でしていくのか、あるいは私どもたたき台という形でお出しいたしますので、また次回御検討いただければというふうに考えております。
○蝋山部会長 裁判外紛争処理制度、あるいは高橋さんの強調されている消費者教育、こういう問題は我々の中で議論したということをはっきりと明示して、そして、6月に向けての、ファイナルな姿に向けての非常に重要な項目であるということの認識を一般の方々、世間に御理解いただこうと、こういうことだというふうに私は理解しております。
裁判外紛争処理制度をこうあるべきだというところまでは、今回はまだ踏み込めない。したがって、苦情処理の統一化といったことも、これは修文の問題とやや絡んでくると思いますけれども、触れられることはあり得べしと思いますが、それで何か断定するということにはならないことは御承知おきいただきたいというふうに思います。
広告宣伝については、非常に難しい問題がいろいろ絡んできますので、問題提起があったというふうに、今回ちょっと無理だと思います。非常に難しいと思います。そう簡単じゃないですよ、広告宣伝の規制というのは。規制とおっしゃいますが、そう簡単じゃないと思います。
○原委員 「おわりに」のところに、残された課題として、それもあるということでお願いしたいと思います。
○蝋山部会長 ちょっと待ってください。
ほかに何か。
どうぞ、石戸谷さん。
○石戸谷オブザーバー まとめ方についてちょっとお願いがあるんですけれども、ワーキングの結果は、先ほど説明いただいたような形でまとめたんですが、今回のまとめは、金融審議会の報告書というと、かなり今までは専門家の人を中心にして読んでいたと思いますが、今回は、その説明義務ということが対象になりますし、利用者側の関心も非常に高いと思うんですよね。だから、いろんな人が読む。したがって、そこにわかりやすく、すっきりとしたまとめをぜひお願いしたい。
というのは、折角、販売業者に共通な基盤整備ということで説明義務をどんと打ち立てるということをやられたときに、そこに何か効率性がどうしたとか、いろんなことが入ってきますと、利用者側にとってポジティブな情報とネガティブな情報が渾然として響いてきてですね。
○蝋山部会長 ちょっと待ってください。効率性を高めることは利用者にとって非常にプラスですよ。
○石戸谷オブザーバー いや、まあそうなんですけどね。
○蝋山部会長 これをマイナスだと考えるのは、それは無理ですよ。
○石戸谷オブザーバー 先ほどの山田先生の方の説明でも、最初に効率性がきて、それから横断性、取引ルールの充実、コンプライアンスとこうきているんですけれども、「中間整理(第一次)」のところで、効率性と公正性のところが若干ですね、別に対立するものじゃないんですけれども、それがえてして衝突するかのような印象が持たれると、そういう誤解のないようにきちっとまとめていただきたいということなんです。
○蝋山部会長 ただいまの石戸谷さんの御意見は御注文として、それは誤解を招くのは非常に困るわけなんですが、正しい理解は、ぜひ喚起していただく。ですから、そういう点で、私は今の日本の金融の基本的な認識の問題ですけれども、非常に効率が悪い。それが生活者、消費者にも非常に悪い影響を与えているというふうな基本的な理解をしていますので。
○石戸谷オブザーバー 別にそこが問題だと言っているわけじゃなくて、説明義務というルールを折角打ち立てたときに、その説明義務が効率性のために立てられたというふうな受け止められ方。だから、今の議論を聞いていても、若干そういうふうなことが読み取れるようなことだと、何のために説明義務作ったのかというふうな話になってしまうので、折角、販売業者の共通の基盤整備ということで打ち立てるわけですから、そういう響きの問題ですね。
○蝋山部会長 その点は、修文の上で十分注意しますが、またできた段階でも御意見を頂戴したいというふうに思います。
どうぞ、宮部さん。
○宮部オブザーバー まず確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど重要な構成要素として、二つのワーキンググループからの報告をサマリーの部分をというふうにおっしゃられたと思うんですけれども、それは今回のホールセール・リーテイル・ワーキンググループの方では、この3枚組の方のことを言われているということですね。そちらの方だけということですね。
○蝋山部会長 どうぞ。
○内藤企画課長 この「中間整理(第二次)」というものについては、本体については、これは分量の関係もございますので、そのサマリーを入れる。ただし、その詳細な内容については、この本体、詳しい方を添付しまして、表現ぶりとしては、細かい点については、そうしたものも部会に報告され、了承されたといいますか、そういう表現ぶりを入れようということで、きっちりその別添についての位置づけもはっきりしたいというふうに考えています。
○蝋山部会長 宮部さん、よろしゅうございますか。
○宮部オブザーバー はい。
○蝋山部会長 それでは、今の議論を伺いますと、来週が楽しみだというか、怖いなという感じもしないわけでありませんけれども、来週の案文が出てからということで、大いに期待したいと思いますし、しっかり作りましょう。そういうことで、次回よろしくお願いいたします。
あともう一つ、御報告をすると同時に、御意見もあればお聞きしたいと思いますが、前回のこの部会で設置することを御了解いただきました「証券取引所の組織形態のあり方等に関するワーキンググループ」につきまして、設置の趣旨、検討の内容、また、事務局と私とでとりまとめましたメンバーの人選といった問題につきまして報告をお願いしたいと思います。
松川さん、どうぞ。
○松川市場課長
それでは、私から、「証券取引所の組織形態のあり方等に関するワーキンググループ」の設置の趣旨、検討内容等について御報告させていただきます。資料の19−3を御覧いただきたいと存じます。
設置の趣旨でございますが、前回も御説明させていただきましたように、情報・通信技術等の急速な発展や証券市場のグローバル化が進む中で国内的・国際的な市場間競争が激化している。そうした中で諸外国では証券取引所の株式会社化、非会員組織化の検討の動きが急速に広まっている。
こうした動向を踏まえ、我が国における証券取引所の組織形態のあり方などについて、その株式会社化を含めて検討し、証券取引所に係る法的枠組みの見直しの方向を明らかにしていただきたいというのが趣旨でございます。
具体的な検討の内容といたしましては、まず、諸外国における証券取引所の株式会社化、非会員組織化等の状況を踏まえた上で、我が国の証券取引所の組織形態であります会員組織の意義や株式会社化の必要性等についてどう考えるか。さらには、株式会社化した証券取引所の自主規制のあり方をどう考えるかなどの問題をはじめといたしまして、株式会社化に伴いまして有価証券取引の公正性や投資家保護の確保等をどのように図っていくかという諸問題への対応方法について議論していただければと思っております。
それから1枚飛ばしていただきまして、メンバーの人選の状況でございますが、部会長とも御相談の上、記載のとおり、座長には、東京大学の神田先生をお願いしておりますが、神田先生以下19名の方をメンバーとさせていただきました。
なお、本日のこの名簿には記載させていただいておりませんが、オブザーバーとして1名程度追加的な御参加を検討をお願いしているところでありまして、先方の都合でありますけれども、御参加いただけるという状況になりましたら、部会長の了承の下、追加的に御参加をお願いすることとしておりますので、お含みいただければと存じます。
以上でございます。
○蝋山部会長 神田さんは、集団投資スキームの仕事が終わったと思ったら、またこれで、気の毒だなと思うんですが、なかなかこういう問題についての人選が難しくて、再びお願いすることになりまして、おられたら、「大変申し訳ない。よろしくお願いします」ということですが、趣旨や具体的な検討の内容といった点、文章は修文は極めて、「など」「など」と、ずっと「など」がどこにくっつかがわからない、久し振りに大蔵省らしい文章を見たという感じがしますが、内容はよく御理解できたのではないかというふうに思います。
何か御意見なり御質問なり、特に経済学者、何かありますか。
この「証券取引所の組織形態のあり方等に関するワーキンググループ」の金融審議会における位置づけは、2ページ目のところで、やや黒い線で書いてありますように、この第一部会、「21世紀の金融のあり方」を討議する第一部会の一つのワーキンググループとして位置づけられるわけであります。
それでは、今日のところは、大分早く終わりそうなんですけれども、ほかに質問がございませんようでしたら、いろいろ今まで時間を延長させて御迷惑をかけておりますので、早目に締めくくっても叱られないだろうと思いますが、玉川さん、次回の日程を改めてお願いいたします。
○玉川調査室長 次回の日程は、12月14日(火曜日)の午後3時からとなっております。議事といたしましては、当部会の「中間整理(第二次)」のとりまとめの御審議をいただくことを予定しております。
○蝋山部会長 それでは、次回は一種のハイライトであります。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
散会いたします。
(以 上)