金融審議会「第一部会」第20回会合議事録

 日時:平成11年12月14日(火) 15時02分〜16時38分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室

○蝋山部会長 定刻も過ぎましたので、ただいまから、第20回金融審議会「第一部会」を開催いたします。
 お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、来週の総会を経て公表を予定しております、「中間整理(第二次)」案につきまして御議論をいただきたく思います。
 皆様のお手元に前回の会合で御了解をいただきました構成に沿って作りました金融審議会第一部会「中間整理(第二次)」案というものを用意いたしました。また、公表のときにどういうカンファレントの形で出すかというイメージも併せて御理解、御検討いただくために、部会の中間整理に加えまして、二つのワーキンググループの報告、その他第一部会の活動状況を記したものをまとめる形で皆様のお手元に配付されてあります。
 今日はまず審議に先立ちまして、「中間整理(第二次)」案の概要を御理解いただくために、事務局より一通り、30分程度だと思いますが、読み上げさせていただきます。大前さん、よろしくお願いします。
○大前調査室補佐 読み上げさせていただきます。
             中間整理(第二次)(案)
1.はじめに
 (1) わが国金融に期待される主要な課題は多様化している。これまでは企業への円滑かつ低廉な資金融通がもっぱら中心課題であったが、経済のストック化や高齢化社会への移行に伴い、国民の金融資産の有利な運用が求められるようになっている。また、経済の成熟化により、積極的なリスクテイクを伴う新規産業への円滑な資金供給も重要な課題となっている。さらに、通信技術の発展や経済のグローバル化により、金融取引のあり方は大きく変化しており、多様化しつつある課題にこたえるには国民の市場への信頼確保が不可避となっている。そのため、金融サービスの利用者保護の環境を早急に整備しなければならない。
 今般の金融システム改革により、これらの課題への対応には大きな進展がみられた。しかし、なお現行法制は、各金融商品毎の縦割り規制となっており、業法の枠組みを越えた新しい商品・サービスの提供や、業態を越えた競争が阻害される可能性がある。また、業者に対する規制が中心で、利用者の私法上の救済も不十分と考えられる。
(2) こうした問題を解決するため、当部会では、21世紀を展望した新しい金融のルールの枠組みについて、金融取引を幅広く対象とし、縦割り規制から機能別規制に転換するとともに、ルール違反には行政上の規制に止まらず、民事上の責任も追及される仕組み(いわゆる「日本版金融サービス法」)の整備を念頭に検討を進めてきた。
 具体的には、マル1投資者から資金を集め市場で専門家が管理・運用する、いわゆる集団投資スキームについて、現在、金融商品毎の法制はあるものの、より幅広い資産を対象に、包括的、一般的なあるべきルールを検討し、また、マル2金融サービスの利用者の保護を図るために、今後予想される多様な金融商品の登場等にも備える、横断的な販売・勧誘についてのルールを検討することを目的に、それぞれワーキング・グループを設けて、精力的に検討を行った。
 当部会は、本年7月6日には、それまでの審議における論点を中間的に整理した「中間整理(第一次)」を公表し、パブリックコメントを求めた。これに対しては、各界各層から多数の貴重なご意見が寄せられた。その内容をみると、業者・利用者等、それぞれの立場から様々な主張はあるものの、当部会の議論の基本的方向性については支持が得られたものと考える。
(3) 当部会は、これらの「中間整理(第一次)」に対して寄せられた意見をも踏まえ、21世紀を展望した金融サービスのあり方とルールの枠組みについて引き続き検討を行い、来年6月を目途に最終報告のとりまとめを行うこととしている。
 同時に、パブリックコメント等でも見られるように、今後の金融サービスのルールの枠組みについて早期法制化への期待が高いことも踏まえ、「中間整理(第一次)」で示された二大テーマである、集団投資スキーム及び販売・勧誘のルールについて、最終報告のとりまとめに先駆け、いわゆる「日本版金融サービス法」の第一歩として当面可能な法制化の検討を行ってきた。
(4) この「中間整理(第二次)」は、こうした視点より進めてきた本年9月から12月までの当部会の検討結果をとりまとめたものである。
 また、この間、集団投資スキームに関するワーキング・グループ、及びホールセール・リーテイルに関するワーキング・グループにおいて、それぞれ早期の法制化に向けた専門的・技術的な検討を行った。以下の記述(2.及び3.)の背景となる考え方の詳細については、それぞれのワーキング・グループ報告(別添)に示されている通りであり、同報告は当部会にも報告され、基本的に了承されたものである。
2.集団投資スキームの整備について
 多数の投資者から資金を集めて市場で専門家が管理・運用する、いわゆる集団投資スキームについての当面の対応としては、
マル1 資産流動型スキームについて、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(以下、「SPC法」という。)」を改正し、投資者保護に配意しつつ法制の簡素・合理化を図ることにより使い勝手のよい制度に改めるとともに、流動化対象資産を拡大し流動化の器として信託も利用可能とすることにより幅広く利用できる法制とする。
マル2 資産運用型スキームについて、「証券投資信託及び証券投資法人に関する法律(以下、「投信法」という。)」を改正し、不動産を含めた幅広い資産に投資運用が可能となるよう横断的な法制とする、
ことが適当である。
以上2つの法改正のより具体的な内容は以下の通りである。
(1) 資産流動化型スキーム(SPC法の改正について)
 資産流動化型スキームは、特定の資産を企業本体から切り離し、そのキャッシュフローや資産価値を裏付けとして投資者に証券等を発行することより流動化を図るという、資金調達のための仕組みである。
 そのひとつの制度であるSPC法は、指名金銭債権及び不動産等を特定目的会社(以下、「SPC」という。)を利用して流動化するものであり、特定資産を投資者の唯一の拠り所とする資産流動化の特殊性を踏まえてスキームの変動防止などの投資者保護の枠組みを定める一方、流動化の器としてのSPC自体は簡素な組織になるように制度化されている。
 SPC法については、資産流動化型スキームという現行法の基本的性格を維持しつつ、以下の方向で法制の簡素・合理化を図り、より使い勝手の良い制度とすることが適当である。
マル1SPCの最低資本金制度を見直し、最低資本金水準を引き下げる。
マル2SPCの発行する証券の商品性を改善する。(優先出資の途中減資を可能とする、優先出資の無議決権化を図る、転換特定社債・新優先出資引受権付特定社債の発行を可能とする等)
マル3借入金制限の緩和(特定資産取得のための借入れを可能とする。)
マル4資産流動化計画に関する規制の簡素・合理化(定款記載事項から除外する、反対者の買取請求権を前提とした特別多数決による変更を可能とする等)
マル5特定社員の影響力の制限(特定出資に関する特別の管理信託の導入等)
マル6SPCの登録制から届出制への移行
また、流動化対象資産を幅広く拡大するとともに、流動化の器として信託も利用できるようにし、柔軟な法制とする。
(2) 資産運用型スキーム(投信法の改正について)
 資産運用型スキームは、投資者から集めた資金を合同して専門家が各種資産に投資運用し、その利益を投資者に配分するものであり、資金運用という金融サービスを提供するための仕組みである。
 その代表的な制度である投信法は、有価証券の発行により広く一般当社から資金を集め、これを、信託又は投資法人という器を利用して、主として有価証券に投資運用するための法律であり、利益相反や運用リスク等に対して投資者保護を図る観点から、投資運用業務を担当する会社の適格性確保等のための兼業制限や認可制による検査監督、利益相反による弊害防止のための情報開示、一定事項の禁止、投資者や外部の第三者によるガバナンスの確保等を定めている。
 横断性と自由度の高い法制の整備により金融のイノベーションを促進し、多様な金融商品の開発が可能となるよう、投信法の「主として有価証券に対する投資として運用する」という規定を改正し、不動産を含め幅広く投資運用できるようにするとともに、信託を利用したスキームについては外部の運用会社が運用指図する仕組みに加え、受託社である信託銀行自らが運用する仕組みも整備する。
 同時に、これによって生み出される新しい金融商品が我が国金融市場に定着し発展していくためには、透明性・公正性の高い仕組みとして広く一般投資者に受け入れられることが不可欠である。とりわけ、資産運用型スキームの投資証券の信頼性はひとえに運用会社にかかっているといっても過言ではない。それ故、投資運用対象資産の拡大等に伴う法制整備に当たっては、内外の歴史の教訓を踏まえ、現行法を基本とした上で、運用会社のあり方をはじめとする投資者保護のための枠組みの、整備・改善を図ることが必要である。
 なお、その際、投資者保護の実効性やスキームの円滑な運営が確保されるよう、すべての資産に共通するルールをただ形式的に規定するのではなく、対象資産の特性や取引市場、取引慣行を踏まえた対応にも留意しなければならない。
 このように整備される資産流動化型と資産運用型と集団投資スキームが円滑に機能するためには、税制上の措置が必要と考えられることから、所要の措置が取られるよう要望する。
以上のような不動産を含む幅広い資産をその対象とする資産流動化型及び資産運用型スキームの整備は、「中間整理(第一次)」における集団投資スキームの基本的考え方に沿ったものである。
3.金融商品の販売・勧誘ルールの整備について
 金融商品の販売・勧誘ルールについて、販売業者の説明義務の明確化と説明義務違反に対する民事上の効果、不適切な勧誘の取扱い等を中心に、当面の対応の検討を行った。
(1) 説明義務を明確化する意義等について
 金融商品の取引内容を一般投資家が理解し、円滑に取引が行われるためには、適切な情報提供が不可欠である。同時に、一般投資家は業者に比べ情報が乏しく、業者から提供される情報を信頼し、またそれに相当強く依存せざるを得ない。
 金融商品の販売に際して、業者が一定の重要な情報を提供する説明義務を負うことは判例においても広く認められている。業者の説明義務は、金融技術の革新、金融サービスの多様化が進展するなかで、今後、ますます重要になると考えられ、これを金融商品の販売業者に共通する基本的な義務として制度化し、これに違反した場合の損害賠償責任が生じる要件等を明確にすることが必要である。
 これにより、リスクを伴う金融商品に対しても顧客が納得して投資を行える環境が整備され、その結果、金融サービスに対する信頼が確保され、取引の円滑化に資するものと考えられる。
(1) 説明義務の基本的な構成
マル1金融商品の範囲
 説明義務の対象となる金融商品については、個別の業法が整備されているかどうかにかかわらず、概念的には広く捉え、金融イノベーションの進展に伴う新たな金融商品の登場にも対応できるようにしていくべきものである。しかし、何が金融商品であるかについては様々な見方があり、金融商品の範囲を明確に画せる具体的かつ包括的な定義を置き、それに基づき、違反行為の損害賠償責任をも含んだ説明義務に関する包括的な法体系を導入することは、現状では困難ではないかと考えられる。したがって、一般的に定義を行うことについては、将来の検討課題と考えられる。
 今般の販売・勧誘ルール、特に説明義務の対象となる金融商品の範囲を定めていく場合においては、「中間整理(第一次)」で示されたメルクマールや考え方に沿いつつ、基本的には各法に定義されている有価証券、預金、保険、信託商品、抵当証券、集団投資スキームに関する商品、金融先物・オプション取引等について、取引の実態やルール適用の目的等に照らして列挙した上で、同様の機能や類似するものをも含み得る規定振りを工夫し、具体的には政令により指定するといった方法で対応することが考えられる。
マル2販売業者、販売行為
 販売業者の範囲については、業法上の権限があるかどうかにかかわらず、対象金融商品の販売行為を業として行う者が広く対象として含まれるようにすることが適当である。また、販売行為については、契約の締結の代理、媒介等を行う場合も含むべきである。
マル3説明の方法、説明内容等
 説明を義務付けるべき事項は、顧客のリスク判断にとって重要な事項とすべきである。この場合のリスクとは、将来「不利益な状態」が生じる可能性をいうものと考えられ、重要事項の説明内容としては、商品の基本的な性格、仕組みにリスクが内在するときには、そのリスクをもたらす主要な要因に即して説明することが適当である。
 商品の特徴、仕組み等について「明確性あるいは周知性が高い」商品については、特に政令等で特定して、説明事項を限定することも検討する必要があろう。 商品毎の説明事項の具体的な内容及び説明の方法については、業界団体等においても、ガイドライン等の作成・公表に向けた検討を行うとともに、社内規程の整備にも反映させることが望ましい。
マル4説明を不要とする場合
 本制度の説明義務は、いわゆるプロが顧客である場合には課す必要はないと考えられる。
 プロの範囲等については、証券取引法の適格機関投資家の制度等を参考にして検討することが適当である。
 また、顧客が説明を不要とした場合にも、説明義務を課す必要はないと考えられる。
(3) 説明義務違反の民事上の効果
 基本的には、これまでの判例等を踏まえ、民法の不法行為責任に則し、説明義務に違反した者に対しては、損害賠償責任が問われるべきであると考えられる。ただし、損害賠償責任を負う者については、販売業者が直接に責任を負う構成を検討すべきである。
 また、複数の業者が共同して販売行為を行った場合の責任のあり方等について、更に検討が必要である。
(4) 不適切な勧誘等について
マル1 以上の説明義務の明確化に加え、販売業者の不適切な勧誘等への対応として、以下の点について検討を行った。
(イ) 詐欺的な勧誘等の取扱い(消費者契約法(仮称)との関係)
 金融商品に係る紛争は、一般に、本制度のような説明義務違反に伴う損害賠償により処理されることが多い。だが、金融商品の販売において消費者契約法の適用を排除しなければならない理由は特にないと考えられることから、詐欺的な勧誘等については消費者契約法がそのまま適用されることが適当である。
(ロ) 適合性の原則、不招請の勧誘
 適合性原則は、販売業者が勧誘活動において自ら実践することが求められる重要な事項である。この点については、リスクの高い商品を取り扱う際の電話、訪問による勧誘への対応等と合わせて、販売業者のコンプライアンス(業者の内部管理)体制の整備が必要と考えられる。
(ハ) 販売業者に対するコンプライアンス規程の義務付け
 販売業者による適切な勧誘を確保していくためには、行政の監督だけではなく、業者自身の自主的な対応が極めて重要である。
 このような業者側の対応を促すために、顧客に対する説明の内容や方法とともに、適合性原則の実施や不適切な勧誘の自制等の、勧誘時の適切な対応に関する社内規程を整備し、その遵守を義務付けるだけでなく、勧誘に関する各業者の基本的な方針について何らかのかたちでの公表等を義務付けることを検討すべきである。
マル2 このような方策により、適切な勧誘の実現のための販売業者のコンプライアンス体制が整備されれば、金融商品の販売時に説明義務が遵守・履行されることとあいまって、金融商品の販売・勧誘における顧客保護はより一層強化され、金融サービスに対する信頼確保と取引の円滑化に資するものと考えられる。
 なお、金融商品の不適切な勧誘行為に対する更なる対応等については、引き続き検討する。また、広告に関するルールについて検討すべきとの指摘があった。
4.裁判外紛争処理制度の整備等と消費者教育の充実について
(1) 裁判外紛争処理制度の整備等
 金融取引に伴う利用者の損害を救済する最後の拠り所は司法的な解決である。しかし、一般の利用者にとって、これは時間や費用等の面で必ずしも使い勝手がよくない。それ故、簡易・迅速な苦情処理や裁判外紛争処理制度の整備等を図り、ルールの実効性を確保することが重要と考えられる。
 こうした観点から当部会で検討を行うなか、本年10月以降、銀行の業界団体が、苦情・紛争処理において中立性・公平性を確保するため、相次いで弁護士会との提携を開始した。今後このような形で、既存の業界団体等における自主的な取組みが更に進展することを期待したい。
 当部会としては、本問題について、最終報告のとりまとめに向けて更に検討を深めていくこととしたい。
(2) 消費者教育の充実
 消費者教育のあり方についても、「中間整理(第一次)」を踏まえて、検討を行った。業者・業界、消費者団体、行政当局、教育機関等のそれぞれにおける積極的な取組みが重要であるが、まずは行政当局による努力を期待したい。
 また、当部会では、消費者教育の重要性を踏まえ、最終報告に向け更に検討を続けることとしたい。
5.終わりに
(1) 「中間整理(第一次)」の公表後、早期法制化に向けて精力的に検討を行い、この「中間整理(第二次)」では、マル1集団投資スキームについて、不動産を含む幅広い資産をその対象とする資産流動化型及び資産運用型スキームの整備、及び、マル2販売業者の説明義務の明確化を中心とした金融商品の販売・勧誘ルールの整備について、議論のとりまとめを行った。これらは、当部会が検討を進めている、いわゆる「日本版金融サービス法」の重要な枠組みを構成するものであり、今後の行政当局における実務的な検討を経て、その実現を期待したい。
(2) また、当部会では、9月に証券決済システムの改革に関するワーキング・グループを、さらに11月には証券取引所の組織形態の在り方等に関するワーキング・グループを設置し、21世紀の我が国証券市場を支えるインフラの整備についての検討を開始することとした。
 なお、政府において検討が進められている有価証券報告書等の開示書類の電子化は、投資家等の企業情報への容易かつ迅速なアクセスを可能とすること等を通じて、証券市場の活性化、効率化等に資するものと考えられ、その実現のため早期の法制化を期待する。
(3) この「中間整理(第二次)」により、いわゆる「日本版金融サービス法」の実現に向けた具体的な第一歩が踏み出されることとなるが、公正かつ効率的な金融システムを確立するための、理想とする法制度への道のりは決して平坦なものではない。
 今後、当部会としては、最近における欧米諸国の金融法制の更なる改革への動きも踏まえつつ、21世紀の日本を展望し、最終報告におけるとりまとめに向け全力で取り組むことにより、新しいルールの枠組みへの道筋をより確かなものとしていくこととしたい。
○蝋山部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまから討議に移ることといたします。
  ただいま読み上げていただきましたことからおわかりのとおり、この「中間整理 (第二次)」、大柱は二つで、集団投資スキーム法制に関する部分と金融商品の販売・勧誘ルールに関する部分の二つが大きなパーツであります。討議のためにはまず小さな方から議論していただこうと思います。文章の形で部会に示されるのは今回が初めてですので、1の「はじめに」と4の「裁判外紛争処理制度と消費者教育」、そして5の「終わりに」、この部分について御意見なり御質問をお出したいただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。その後、大柱の方に討議を進めさせていただきたく思います。いかがでしょうか。
 関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 一番後ろの8ページから9ページの「裁判外紛争処理制度の整備等」というところでありますが、これは若干確認的な意味も含めて申し上げたいわけですけれども、この部会でも報告させていただきましたけれども、証券業協会は法律上、協会として紛争処理の制度を運営しろということになって、今運営をしておりまして、利用も少しずつ増えてきているということも御報告したわけですが、9ページの2行目からの書き方を見ますと、銀行の業界団体がこういうことをやられたということを書かれて、相次いで弁護士会との提携を開始したと。「今後このような形で、既存の業界団体等における自主的な取組みが更に発展することを期待したい。」と書かれている趣旨は、要するに弁護士会との提携をというような形で自主的な取組みが更に進展することを期待したいと、そこにアクセントがかかっている表現なんでしょうかという。要するに書く意味をまず明確にしていただきたいということと、そうすることであれば、法律で証券業協会の方はそういうことをやっているわけですが、それにについての評価というのは一体どういうふうになっているのか。その仕組みそのものについてもいろんな改良していくということは必要なことではないかと、こういうふうに思うわけですけれども、そのあたりはどうなっているんでしょうか。
 それから、技術的なものでありますけれども、実は私の理解しているのでありますと、今の段階、将来はわかりませんが、銀行の弁護士会との提携の対象とするものは、たしか証券取引の部分は入っていないのではないかというふうに思いますので、そこのところはどういうふうにお考えになっているのかと。その以上であります。
○蝋山部会長 これはどなたに答えていただくのが一番いいんですかね。内藤さん、お願いできますか。
○内藤企画課長 今の御指摘ですけれども、日本証券業協会の位置づけというのは証券取引法における自主規制機関でありまして、同法に基づきまして紛争処理といったものについての規定がなされているというふうに考えておりまして、ですから、ここでの問題としてはそういう制度化が既になっていると。これまでの御議論の中で、各業態別の紛争処理機関という問題がそれぞれ整備の途上にある業界もあるわけでありまして、既に制度化されているという業界もあると。そういう各業界まちまちの状況が一方であり、他方で各業界全体についての統一的な紛争処理機関というものが必要である、こういうような御議論もございました。
 そういうことで、そういう意味を含めて、8ページのところは「裁判外紛争処理制度の整備等を図り」というふうに将来課題としてさらに言及したという趣旨でございます。
 それから、後段のところは、法律上の自主規制機関ではございませんけれども、銀行でありますとか、あるいは信託業界、そういった業界団体において、最近弁護士会といった外部に紛争の仲裁・あっせんといったものを委ねる仕組みができましたので、それはそれで評価をしつつ、そういった方法で法律上の自主規制機関でない場合においても対応が可能ではないかということで、そうした動きをさらに進展することを期待したいと、こういうふうなことで、それはそれで評価をしていきたいと、こういう趣旨でございます。
○蝋山部会長 この点は関さんのお気持ちはよくわかるんですけれども、余り縛られてお考えにならずに、本来でありませんし、要するに本問題について今後さらに検討を深めていきたいという形にしておりますので、一つの問題提起として受けとめさせていただきたく思いますが、やはりまだもう少しおっしゃりたいですか。いろいろ法制上に存在するものは事実上どういう機能を果たして、改善する余地があるやなしや、さらにまたここで例示されている新しい試みの今後の展望についての位置づけをどう考えていったらいいのか。まだいろいろ問題がたくさんあるわけで、ここで何かある種の我々としての答えを求めているわけではなくて、検討課題としたいということの一種のまくらことばとお考えいただきたいと思うんですけれども。
○関オブザーバー このような形でと限定する必要がどこにあるんだろうかという気がするんですけれども。
○蝋山部会長 わかりました。この点は文章者の問題で削除させていただきます。
○関オブザーバー わかりました。ありがとうございました。
○蝋山部会長 原さん、どうぞ。
○原委員 裁判外の紛争処理について書かれている部分で、今御発言が出ましたので、私も1件修文の提案をしたいんですが、9ページの書き方ですね。2行目の「こうした観点から」の4行目部分なんですけれども、確かに銀行の業界団体が中立性・公平性を確保するために弁護士会との連携を開始したというのは、当然そういう御発言もありましたのでそのとおりなんですが、今このような形でというのを削除しましょうというふうにおっしゃって、私もそれが妥当かと思うんですが、「中立性・公平性を確保する」という表現は、弁護士会と提携するところだけに書ける話ではなくて、苦情・紛争処理において、相次いで弁護士会との提携を開始した。今後こうした中立性・公平性を確保するために、既存の業界団体における自主的な取組みがさらに進展することをということで、中立性・公平性は銀行の業界団体、弁護士会と提携を開始したところだけに置くのではなくて、もうちょっと全体的の自主的な取組みにかかる方に広げられた方がいいのではないかなというふうにこの文章を読みながら同じような感想を持ちましたので、お願いしたいと思います。
○蝋山部会長 わかりましたが、修文上、東京銀行協会、信託協会がされたのは明らかに確保するためのものであるということは事実としてはっきりあるわけで、その点をいわばワンセットで示しました。今後の自主的な取組みというものが中立性・公平性を確保するだけなのかどうか。もっとエフィシェンシーといいますか、迅速に安い費用でというようなことを考えていただきたいという面もないわけではありませんので、後半のところで苦情・紛争処理において云々という形だとちょっと縛り過ぎるんじゃないかなという気がしないわけでもありません。そういう点でこのままではいかがなものでしょうか。しかし御趣旨はよくわかります。ただし、ここで書いたから縛るものではありませんよ。一番言いたいことは、本問題についてさらに検討を深めていきたいということなんですが。
○原委員 私、この中立性と公平性というのはやはり大きいと思うんですね。
○蝋山部会長 もちろん否定しているものではありません。
○原委員 でも簡易・迅速というのは8ページの一番最後の行に出ているんです。最初の出だしのところが、一般の利用者にとって今の司法というのは必ずしも使い勝手がよくないと、簡易・迅速なものを求めたいと。それで銀行の業界団体の話をするときに中立性・公平性というのがここの中で出てくるのではなくて、私としては簡易・迅速とか中立性・公平性が同じように並ぶところで文言として入るような気がするんですね。最初8ページを読んだときに、いやこれだけではないんだけれどなと思って、9ページに来ると中立性・公平性の言葉は入っているんですが……。
○蝋山部会長 中立・公平ということを重要視されるので、その点をもっと強調せよ という御要請と思いますので、「苦情処理や裁判外紛争処理制度」の形容詞として 「簡易・迅速」の前に「中立かつ公平な」というような形で形容詞を入れさせていただきます。
 石戸谷さん、どうぞ。
○石戸谷オブザーバー 今のところで表現上の問題なんですけれども、銀行の業界団体が弁護士会と提携を開始したというふうな文だと思うんですけれども、もうちょっと、あっせん・仲裁センターを使って紛争処理するという意味だと思うんですが、弁護士会と銀行業界が提携の表現をもうちょっと特定していただいて、東京の三会と東京の銀行業界の試みだと思うんですけれども、まだ全国的に広がっているわけじゃありませんし、「相次いで銀行の業界団体が」というところはまだそう広がっているわけじゃないでしょうし……。
○蝋山部会長 東京銀行協会と信託協会の二つをここでは有しております。
○石戸谷オブザーバー そうですよね。あっせん・仲裁センターを利用した紛争解決という意味ですよね。そこのところをもうちょっとわかるように書いていただければと思いますけれども。
 というのは、最近こういうのが住宅の紛争処理でも新しく法律をつくって、弁護士会のあっせん・仲裁センターを法律上の位置づけにして全国展開でというのがあるわけですけれども、あれはまさに日弁連の方でも検討チームをつくって、全単位会規模で関連委員会も全部入れて受け入れを検討して決めたものなので、こういう表現になるかなと思うんですけれども、まだちょっとそこまでいっているわけでもないし、部会としてそこまで詰めてもいないし、我々の方としてもそこまでまだ全然……。
○蝋山部会長 この表現では過大評価だということですね。
○石戸谷オブザーバー そういうことです。
○蝋山部会長 そうですか。
 具体的にこういうふうに直せということを言っていただけますと。
○井上委員 結論の方からいいますと、文章の技術的な表現は部会長に一任したい。しかしながら、もともとこういうただし書き的なものがついた背景だけは正確に認識されるべきだ。つまりここでもヒアリングを受けましたけれども、現行の自主規制団体なるものが本当の意味で自主規制的な機能を持っていない。つまり第三者的な改革を加えなければ自主規制団体としては認められないような現状にあるということを踏まえた表現だと思います。そういうことを踏まえて、中立・公正を原委員が言われましたけれども、文章はお任せしますが、この表現をつけた気持ちは非常によくわかるという弁護をしておきます。
○蝋山部会長 石戸谷さんの御指摘は、直すことは、具体的に文章が出てきませんので今ここで申し上げませんが、誤解のないような形で修正はさせていただきます。
 高橋さん、どうぞ。
○高橋委員 同じ箇所でございます。(2) の前の9ページですけれども、「当部会としては、本問題について、最終報告のとりまとめに向けて更に検討を深めていくこととしたい。」とあるのですけど、何の検討を深めていくのかということが明確でないのですが、中立・公正、迅速・簡易ということも大事ですけれども、今までの議論の中でいえば、横断的、統一的な苦情・紛争処理制度のあり方についてとか、もう少し深めれば設立に向けてとか、何か前向きな表現をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○蝋山部会長 私の判断ではそこまでこの部会の議論が熟し切れていなかったという点は非常に残念だというふうに思いますが、できるだけ早急に、今高橋さんが言われたような方向も大きな問題なので、きちんと議論をしていきたいというふうに思います。ちょっと今そこまで限定できる議論の状況ではなかったのではないでしょうか。主張としてはわかりますよ。主張はもうそのとおりだと、主張としてはわかりますが。
○高橋委員 一言つけ加えさせてください。今回の全体の書きぶりで横断的であることと司法上の救済というのが重点になっているわけで、やはり裁判外の紛争処理制度を挙げる上で、確かに議論としては第一部会の2回の中で横断的なあり方とか統一的なということは出てきているわけですから、方向性としてはきちんと示したいという意見でございます。
○蝋山部会長 わかりました。希望はよくわかるんですが、この点、考えさせてください。短い文章の中でうまくやれるかどうかという点で、結論としてそう作るんだということが、実際の業務の方々も含めて合意が成立しているのであれば喜んで書きます。しかし、今の段階はまだ高橋さんのような御主張、委員の方々は多いと思います。そちら側の方々はその点は「ちょいと待て」という形でもまなければいかぬとこ ろ、そういう現状じゃないんでしょうかね。それを今のところでまとめられるか。 「おまえ、まとめろ」と言われれば、まとめてもいいですけれども、しかし、後で困りますよ。僕はそれを心配しているわけで、要するに本論じゃないんですから。そこまで今の段階で縛っちゃうと、後で非常に困ることがあって、僕ばっかりしゃべってもらっちゃ困るというかもしれませんけれども、要するに業界の方々は寝ちゃったら困るんです。ぜひ起きていていただきたい。いかがでしょうか。おわかりでしょうか。主張としては高橋さんの主張は、横断的な苦情処理制度、少なくともまた原さんも窓口ぐらい横断的に早急にせよということだし、それから、裁判外紛争処理制度も包括的、横断的なものにしなくちゃいけないんじゃないか、これは主張としてはよくわかります。私も個人的には委員のそちら側に座ったらそう言います。しかし、この点は二つの大柱と並んで最終報告のところでは何らかの形でぜひ実現させたいと私は部会長としては思っています。しかし、そのためには御協力を願わなければいけないわけですね。昔の大蔵省で行政主導でやられるなら、それはそれでいいんですよ。なかなかそれも難しいということで、ちょっとその点、書きぶりは考えますが、全面的にそのとおりですというふうにはと思いますので、御了解いただけませんでしょうか。いやそれでもということであれば何とかします。
 今日のうちにまた御意見ください。ちょっと考えてください。
 ほかに1、4、5について御意見ございませんか。
 それでは、確認させていただきますと、まず4の(1) 裁判外紛争処理制度の整備というところに議論も御意見も集中いたしまして、8ページの一番最後の行に「中立かつ公平で簡易・迅速な」という形容詞を一つ入れる。それから、9ページの4行目の「このような」ということは取る。その前の文章の「開始した」に至るまでの文章は石戸谷さんの御指摘もあり、誤解を招かないような形でコンパクトに、しかし表現はお任せいただきたいというふうに思います。そして、当部会としては本問題について云々の(1) の締めくくりのところで一番大事なことでありますが、もうちょい方向性を出せないかという高橋さんの御意見に対して、やや漠とし過ぎているということで勘弁できないかと申し上げましたけれども、もう一度高橋さんから最後のあたりで御意見を頂戴します。よろしゅうございますか。
○井上委員 前回ちょっと残念ながら海外出張のために出席できなかったので、お手元に私の意見を配付させていただきました。もう配付させていただきましたので、内容に入ることはいたしません。1点だけ今後のあり方について、私は今回の金融サービス法に関わる重要な一歩だと思います。しかし、本当の議論はこれからで、ぜひ最終報告にこの種のことを明示すると同時に、できる限りそれを法制度化するという、その種の文章も最終報告までには明示し、タイムスケジュールを明示することが大事だと思っております。
○蝋山部会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
○原委員 高橋さんが言われたところなんですけれども、部会長の意見もよくわかりまして、ただ、あそこの中で入れるのが難しいのであれば、1の「はじめに」のところの(2) なんですけれども、集団投資スキームについては包括的、一般的なあるべきルールを検討し、マル2で「金融サービス法については横断的な販売・勧誘についてのルールを検討することを目的に」というふうに書いてあって、「横断的」という言葉が、多分今まで読まれた中ではここだけに使われているような気がするんですけれども、ここの「横断的な販売・勧誘についてのルール」のところを広げて、「横断的な販売・勧誘についてのルール等」と入れて、裁判外も少し入るような概念で「はじめに」のところに置いておいていただけないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○蝋山部会長 僕以上にお役所的ですね。                   ○原委員 ほかに横断的というのを使っているところがないような感じがしたんですけれども、違いますか。
○蝋山部会長 そうでしたっけ?
○原委員 中身はありますよ。中に入ればありますけれども、「はじめに」と「終わりに」のところと、今の1、4、5のところでは。
○蝋山部会長 一つの御提案として考えさせていただきます。あんまり「等」というのはいろんなところであり過ぎて、可能な限りと思ったんですが。
 それでは、一応1、4、5については検討を終了させていただきまして、続きまして2、3、これが今回の中間整理では一番大事な点であるわけですけれども、この二つのパートを含めて御意見を頂戴できればというふうに思います。
 この2と3は、「集団投資スキームに関するワーキンググループ」、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」の報告をベースに作成したものであります。一度御検討いただきましたが、こういう形でまとめられると、ばらばらではなくて、こういう形で並べますと、また別な観点で御意見が出てくるということになるのかもしれません。また、私も赤をたくさん入れました。そういう点では前に比べてみて、文体その他の統一化はやや改善されているんではないかというふうに思います。そのほか幾つか御意見があろうかと思いますので、2、3につきまして御意見を頂戴し、その後さらにまた再度全体についての御意見を頂戴したいというふうに思います。
 いかがでございましょう。どうぞ大川さん。
○大川オブザーバー それでは、私は不動産業界ということで臨時オブザーバーで3度ほど出させていただいて、現場からSPC法の使い勝手等について、いろいろ現場の意見というものを出させていただいて、今回の結果を拝見しまして、流動化型につきましては現場の作業をずっと振り返りましても、かなり使い勝手がよくなったなと。
○蝋山部会長 過去形じゃないですよ、よくなるだろうと。
○大川オブザーバー ええ、よくなると。過去の経験を踏まえまして、現実の体験の場面場面を想像しましても、かなりスムーズになるというふうに思います。そして不動産の現物そのものが有価証券に切り替わる流れというのは、かなりスムーズにできるんじゃないかという形で、非常に感謝している次第でございます。
 運用型につきましても、非常に長い時間、不動産関係について、不動産の市場とか取引の特殊性ということについて議論をしていただいて、かなり突っ込んだ内容にしていただいたわけです。今後投信法という枠の中で、やはり不動産の特殊性というんですか、法律改正について、ぜひその辺の配慮を踏まえながら、使いやすい法律にしていただきたいと願う次第であります。
○蝋山部会長 ありがとうございました。今の点は「終わりに」の(1) のところで、これらは、いわゆる「日本版金融サービス法」の重要な枠組みを構成するものであり、今後の行政当局における実務的な検討を経て、その実現を期待したいと。実務的な検討の際に十分に考慮してほしいという御意見だというふうに受けとめました。
 ほかに2、3についてございますでしょうか。
 どうぞ、原さん。
○原委員 8ページですけれども、2、3が終わって最後のくくりのところに報告について検討をしてくださいということを前回申し上げて、取り上げていただいてありがとうございます。それで、ここの2行なんですけれども、私どもずっとワーキングをやっていて、時間切れになってしまったのが不適切な勧誘の部分なんですね。説明義務とあわせてこの不適切な勧誘というのは大きい二つの柱の一つというふうに思っておりまして、これもさらに検討するということが書かれていますので、そのとおりで私もお願いしたいんですが、ここに「最終報告に向け」という言葉を入れていただきたいというふうに思いますが。タイムリミットをやはり入れて、そこまでに何とか検討するという方針で出していただきたいというふうに要望したいと思います。
○蝋山部会長 簡単です。それは、そうしましょう。
○原委員 そうしてください。
○蝋山部会長 課長はいませんが、いいですな。                ○高木参事官 別に構いませんけど、この審議会で最終報告以外、先を予定しているわけじゃありませんので、入れて構わないと思います。
○蝋山部会長 ほかに御意見なり御注文ございませんでしょうか。
 関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 一つ確認的な意味なんですが、2との議論と関連ありますので、ちょっと一つだけ、表現が悪いという意味じゃないんですけど、意味を伺いたいわけですけれども。2ページの2の上から3行目のところに、「それぞれのワーキング・グループの報告に示されている通りであり、同報告は当部会にも報告され、基本的に了承されたものである。」となっているわけですが、部会の二つの報告をこれにドッキングさせて基本的に了承したものであるというふうに書いてあるわけです。それ自体はそれでいいと思うんですが、基本的に了解したものであるとドッキングしているものと、改めて本文で書かれている部分がありますね、2、3で具体的に書いてあるわけですが、その書かれているものと書かれないでドッキングされているものの中に残っているものというのは、何か今後の議論の過程とか、あるいはこの部会としての意思決定において差があるというところがあるんだろうかというのがどうでしょうかと。
 例えば、私ちょっと後で見ていたんですが、説明義務の程度についてと。どういう程度の説明をしたらいいのかということを前回に問題提起したわけですが、説明の程度についての部分は本文には入っていないわけです。ドッキングしていますから、ドッキングの方には入っていると、基本的に了承したものであると、こういうことになるんだと思うんですが、そのあたりはどういう基準で振り分けられているのかという。例えばまだ十分議論ができていないから、それは基本的了承にとどめたと、こういうふうに理解していいのかどうか。
 それから、投資勧誘の方のワーキンググループは2段になっていて、簡単な方と詳しい論点整理と続いてありましたけれども、論点整理の部分を含めて基本的に了承したものというふうに理解していいのかどうか。そのあたりを構造として教えていただければと思いますが。
○蝋山部会長 わかったような、わからないようなところもあるんですが、今のところは私よりもむしろ事務局の方に、高木さん、お願いできますか。
○高木参事官 基本的に了承された範囲は、当然全部含むと思います。細かく書いていただいた論点整理もありますけれども、あれは極めて技術的な検討を詳細にやっていただいたわけですから、当然その方向でやるということなんですが、立法化に当たっていろいろ技術的な詰めもありますから、そういう意味では重さで言えば抽象的には全く同じなんです。ただ、現実の法制化に当たっては、技術的な問題ですから、例えば関オブザーバーがおっしゃった、説明義務の範囲とか、立法化の過程で詰めなければいけませんから、そういう意味では全くそのとおりになるかどうかという点は、ある程度行政に任せていただかないといけないと思っておりますが。
○関オブザーバー そこは別に異論を言っているわけではないんですけど、書く表現としては少し意味が違うことになるんでしょうかという。
○高木参事官 同じです。
○蝋山部会長 要するに、井上さんのメモには記者レク用という、そういうことではなくて、我々として大きなポイントとして押さえた点を「中間整理(第二次)」という今読み上げたところに触れているつもりです。しかし、全体としてワーキンググループの報告も含めて中間整理の素材となるというふうに考えています。そしてそれは部会で基本的に了承されたと。基本的なというのは、実際にそれを全部実現できるかというと、それはなかなか難しい面もあるかもしれないけれども。そういう意味だというふうに思いますね。
 石戸谷さん、どうぞ。
○石戸谷オブザーバー そういう意味からしますと、ワーキンググループの方で大きい論点として検討した中に融資業者の責任というものがありまして、これはワーキンググループの方のまとめには1項目入れていただいているんですけれども、今回の大きなまとめには項目ごとなくなっているんですけれども、これはワーキングの方が了承されたから、それはそれでいいんだという判断なのか、あるいは何か問題があって本文から落としているのか。問題ないのであれば、ぜひ入れておいていただきたい。
○蝋山部会長 私なりに申し上げますと、2のところは集団投資スキームの整備ということで、SPC法の改正ということに向けている。それから、3の金融商品の販売・勧誘ルールを整備というところで、焦点は販売・勧誘ルールと。その対象として商品を販売するという範囲の中に融資業者というものが、複合的な場合はやや複雑で難しい問題がありますけれども、恐らく石戸谷さんの頭の中には今話題になっている商工ローンとかそういうことがあるんじゃないかと。この問題までも入れたときに、我々のここでのプロポーザルとしてちょっと戦線を広げ過ぎているんではないかなという感じが私はしておりますので、ここには全ての項目を入れているわけではないわけです。ただし、非常に重要な問題だという認識を持っております。
 玉川さん、どうぞ。
○玉川調査室長 技術的には今回の本文に入ったものというのは、ワーキンググループで最初の3枚ともともとのオリジナルを分けたときに、初めの取りまとめになった3枚の部分がほぼそのままに、少し言い方とかを変えて表現されていますので、そういう意味では、もともとワーキンググループでも全体の議論を見るときにはオリジナルに戻ってもらおうということで合意されているものだと思います。
○石戸谷オブザーバー わかりました。
○蝋山部会長 内藤さん。
○内藤企画課長 今、玉川室長から説明したとおりでありまして、後ろに添付しておりますホールセールに関するワーキングの報告がございますが、それのサマリーの部分と本体の部分と2種類ございまして、サマリーのところには融資業者、共同販売行為といいますか、そういったことについてはごく簡単に触れておりまして、サマリーの3ページの上から3行目、4行目ですか、「また、複数の業者が共同して販売行為を行った場合の責任のあり方等について、更に検討が必要である。」と、そこの文章は今回の本体のレポートの7ページをごらんいいただきますと、場所は若干変わっていますが、(3) の説明義務違反の民事上の効果というところに同じように文言が入って、そこで総括をして言っています。
○蝋山部会長 ほかにございますか。
 柳川さん、どうぞ。
○柳川委員 6ページの金融商品の範囲のところなんですが、これはワーキンググループの文章をほぼそのまま内容的には入れていただいたので、ワーキンググループに参加していた者としては本当は申し上げられないのかもしれないんですけれども、その範囲の定義が難しいというところでして、基本的には広くとらえるべきで、法律を作る上では定義が難しいという理解だと思うんです。ここの文章もそういうふうに書いていただいているというふうに思っているんですけれども、例えば井上委員が書かれているみたいに、どうも包括的にカバーできないというような印象を与えるようなので、もう少し文章を工夫できないものかと思って読んでおりまして、ですから、5行目、6行目あたりのところなんですけれども、包括の定義を置いて、それに基づいて包括的な法体系を導入することが困難ということになっておりますけれども、法体系を導入する上で定義をすることが困難ということなので、要するに法律的なことを考えると定義をするのが難しいという理解だと思っておりますので、法体系を導入するにはということをもう少し前に持ってきて文章をつくっていただくと、その前の例えば概念的には広くとらえるとか、そのあたりの文章がもう少し生きてくるのではないかと思っております。ちょっとその辺の細かいところはお任せしますけれども。
○蝋山部会長 柳川さんの理解している困難な理由というのは、どんなふうに理解されていますか。
○柳川委員 私がワーキンググループに出ていたときの理解は、金融商品の範囲を理論的に定義することは、具体的に定義したわけではないですけれども、理論的に定義することは可能で、中間整理で示されたメルクマールや考え方というのもあって、その線に沿って抽象的に考えることは可能だろうと。しかし、それを体系のもとでこういうものだと法律で定義するのは難しい。
○蝋山部会長 なぜ。
○柳川委員 法律でこれが金融商品だと具体的に書くのは難しいという理解なんですけれども。
○蝋山部会長 その内容がここに書いてあるというふうに私は理解しているんです。
○柳川委員 ええ、それはそのとおりだと思います。
○蝋山部会長 だから包括的な定義を置くことは法体系としては難しいという書き方ではわからないわけですね。わからないのがいいかもしれないけれども、できるだけわかってほしい。包括的な、あいまいな、要するに具体性を伴わない定義に基づいて賠償責任を負わせるということは、現行の法律の考え方では難しいと、僕はこんなふうに理解しているんです。そこで素直に書いてみたんですけれども、事務局の文章を大分直したんです。それがそのままになっているんですが、今、柳川さんの言うのだと改悪かなというふうに、その意味で校正しているんですが。
○柳川委員 いえ、そんなことはないんです。
○蝋山部会長 どういうふうにしたらいいですか。
○柳川委員 私が思っていることは今、部会長がおっしゃったことと全く同じなので、その内容がどうしたらよりよくなるかというふうに考えてみたということですので、内容に関しては全く理解の相違はないと思います。
 それで、僕もベターになるかどうか余り自信がないんですが、包括的な法体系を導入することはというのはかなり後に出てくるので、もう少し前に持ってくると今おっしゃったような内容が出てくるかなというふうに考えておりましたが、必ずそうしろというわけではありません。
○蝋山部会長 考えさせてください。これ以上いい表現が生まれるかどうか。
 井上委員がお配りいただきました紙の中に、今、柳川さんも指摘されましたけれども、金融商品取引の販売・勧誘ルールは幅広く、かつ明確に規定すべき、こういう主張があるわけですが、これはぜひ一般的な形で御関心を持っていただきたいというふうに思いますが、一番こういうときに抵抗するのが法務当局だと私は個人的に認識しています。役所の方々がそう考えているかどうかはエンドスさせていただく必要はありません。これは87年からチャレンジしては負けているところでありまして、要するに罰則とか法的な責任を追及するとか、そういうことであれば具体的でなければならない。ところが包括的な定義というのはどうしても具体性を欠きます。抽象的になります。それでは損害賠償責任をとることもできなければ、いわんや刑罰に処することもできない。私どもの日本の法律はそうなんだと、この考え方が非常に強いと。それをいわば突破できないで、何でもパクっていると、幅広い有価証券という概念から始まって、ずっと議論しているところがあります。それは現状でも変わっていないというふうに私は認識しています。恐らく柳川さんもどういうそういう認識のようであるんですが。
 ですから、定義することはできるんです。しかし、それに基づいて実行ある法体系を作ることは非常に難しいのが現状だということを御理解いただきたい。間違っているかもしれない。
 稲葉さん、どうぞ。
○稲葉日本銀行企画室参事 まさにその関連で技術的に確認をさせていただきたいと思ったんですが、6ページの真ん中のところで「具体的には政令により指定するといった方法で対応することが考えられる。」、この具体的には政令により指定すると書いてある内容は、その前に書いてあるような同様の機能や類似するものを含み得る規定振りを工夫した内容が政令に入ってくるのか、法段階では工夫したものになり、政令段階ではそこから限定個別列挙になるのかということです。私の考えでは、せっかく横断的にやっているのであるから、技術的に可能であれば政令段階で個別列挙にするということでは、将来のイノベーション等に差し障りが出るのではないかというふうに考えておりますが、この辺は行政側が考えることなんだと思いますけれども、現在どういうふうにお考えになっているのか確認したいと思います。
○蝋山部会長 その前段の、先ほど柳川さんが指摘された文章、「現状では困難ではないかと考えられる」、困難だと考えられると断定していない、そういうところで恐らく規定振りというような工夫の余地があるということになり、それが政令という形につながってくるんだろうと思うんですが、私は政令を施行する方ではありませんので、むしろその点はどなたかにお答えいただいたらいいでしょうか。内藤さん、お答えいただけますか。
○内藤企画課長 ここは私ども部内でもそうですけれども、ワーキンググループでもいろいろ議論がございまして、包括的な定義というのは先ほど柳川委員から言われたような理由で非常に困難な問題がある。そもそもが金融そのものの定義についても理論的に整理しようということになっても、中間整理の第一次でも相当御議論があったというふうに認識をしております。それで、仮に制度化していくというような場合に、我々の今のイメージでは有価証券、預金、保険等々、こういったものを列挙していくと。さらに、恐らく集団投資スキームのような新しい形の仕組み商品については何らかのバスケット的な規定というものを考えるのかなと。それが同様の機能や類似するものをも含み得る規定振りを工夫するというふうなところにありまして、ただ、それでは具体的なものが出てこないということで、具体的には政令で特定化し得るような形の指定を行っていくというふうなことを考えております。
 もちろん先ほど稲葉さんの方から、できるだけ個別列挙を避けて一般的な規定というのが考えられないのかという御意見ございますので、それはそれで重々承知しながら、今後の法制化についての検討はしてまいりたいと思っておりますが、今、現実的に対応し得るものというのはそういうことかなと。ただ、政令で指定するという指定の仕方をできるだけ柔軟に対応していくことによって、ある程度の問題がカバーできるのかなというふうに考えております。
○蝋山部会長 大変これは問題としては易しいようでいて難しい、稲葉さんも重々御承知のことだというふうに思います。今後のイノベーティブな日本の金融ということを考えたときに、今までの、そしてこれからも恐らくそんなに変わることが期待できないという点で私は悲観的ですが、パシミスティックな、法の頑固な考え方を前提にして考えると、ここでの規定振りと政令指定の限りなく柔軟な対応というものに期待したいというふうに思います。確かに原理原則的に言えば、アメリカの証取法のような、証券とみなすものを証券とするというような規定があれば、できればそれはそれでいいんですけれども、それは日本の法務当局は頭から否定されるというのが現状である。対応としてはそういうイノベーティブを歓迎する行政に期待せざるを得ないんじゃないでしょうか。そんなふうに改めて確認させていただきたいと思います。
 上柳さん、どうぞ。
○上柳委員 今のに関連するつもりなんですけれども、結論としてはこの文章で私は賛成で、ワーキンググループのレポートのときには定義を置くことが論理的に困難であるかのような、にも読めるような文章であったのが、今回の文章は現状では困難ということになっているので、より正確になったんではないかと。
○蝋山部会長 柳川さんの指摘の箇所ね。                   ○上柳委員 ええ、6ページの6行目のところですね。この文章で私としては結構かと思うんですが、ただ、私が法務当局を代弁できる立場にもちろんないんですけれども、恐らく法律的には日本においても包括的な文言を作ることは、それこそアメリカとかイギリスのまねすればできるかもわかりませんし、そうしなくてもかなりできる。例えば出資法なんかについては、これは全部が戻ってくる原則ですけれども、出資法の規定を少し変えるような規定を置けば、私は本格的な規定はできるんだろうと思っているんです。ただ、それが厳格な損害賠償責任とかあるいは罰則に結びつくから余り広い規定は置けないという理屈があることはもちろん承知しているんですが、私の認識としては、あえて言えば、金融商品についての管轄の問題、ジュリステクションというのか、もっといえば、省庁の縦割の問題であるとか、そちらの方が障害になっていて、余り法務当局を口実に使われるのはいかがなものかというふうにあえて言えば思うんですが。
○蝋山部会長 いわゆる行際問題とこれが絡めて議論されたことも事実です。幅広い有価証券と証券業務への銀行参入の拒否という65条の問題とが絶えず絡んでいたことは事実です。しかし現状、その壁が相当低くなった状況の中でも、まだこの面は解決されていないという点では、上柳さん、ちょっとオプティミスティックなんじゃないかなというふうに私は理解しますが、ちょっと微妙なのでこちらサイドの人にそれを答えさせるのは酷なものですから余りあれですが、あえて発言しようという方、こちら側におられますか。
○上柳委員 ということもありまして、ぜひ政令指定のところについては、私も心配するかもわかりませんけれども、今までのいろんな消費者被害の問題でいえば、何か被害が起こってから政令指定を後にやるというふうになったように見える業態も幾つかあるんですね。ですから、そういうことのないように特段の工夫が必要ではないかということだけつけ加えさせていただきます。
○蝋山部会長 何か文章でその辺を残したいとお考えですか。具体的な文章の御提案ございますか。
○上柳委員 私も次の文章でいいかとは思っていましたけれども。
○蝋山部会長 インプリケーションとして上柳さんのような解釈というのは……。
○上柳委員 解釈できるということです。
○蝋山部会長 関さん、どうぞ。
○関オブザーバー 6ページのマル2の販売業者、販売行為のところでありますが、前の ホールセール・リーテイルのワーキンググループの論点を整理した詳しい方には、 「金融商品の販売行為を業として行う者」というふうに書いて、「金融商品を発行し、直接範囲する者を含む」という括弧書きを入れているわけであります。それで投資信託の直販、これからいろいろな集団投資スキーム等を予定しますと、そういったものは当然出てくるんだろうと思うんです。つまりここの表現は、販売行為を業として行う者とだけ書いて、直販のところを完全に読み取れる形にはなっていないんですね。ですから、先ほど私が念を押したところとも関連するんですけれども、ここの部分は説明義務の基本的な構成という題で今御議論になっていた金融商品の範囲とか、だれにそういう義務をかけるかという基本の部分になりまして、それほど煩瑣にはならないので、直販的なものも含むということは本文に置かれた方がいいんじゃないかなという感じがしますが、いかがでしょうか。
○内藤企画課長 別に書いてもいいんですが、もともと論点整理の方に書いてあります括弧書きは念のため、当然私どもは販売行為を業として行う者に入ると思っているんですが、念のため詳しい論点の方ではそれを括弧書きで注記したという感じなんです。ですから、当然入っていくと思っていますが、別に書いてぐあいが悪いことはないです。
○蝋山部会長 できるだけ詳しい説明といいますか、それは後ろにあるわけですから、大きな誤解を招くような、先ほど石戸谷さんが御指摘のような点はともかく、余り括弧括弧というのは、そうするとここももうちょっと注釈を入れろとかになってきてしまうので、実際の基本的な考え方、基本的な構成を法制化される際の行政当局は当然ここだけ読んでやるわけではありませんし、別紙、論点整理、本文を十分踏まえていただけるというふうに思いますので、いいんじゃないでしょうか。どうしても必要ですか。そうすると長い文章ができてくるわけですね。あんまりそれをしたくなかったということです。
 最終報告では注を多用するとかいろんな方法できちんとしたものに−−きちんとというのは、今、関さん言われたようなケースも含めて、いろんなところで詳しくやったものを作った方がいいとは思いますが、今この段階で狙いとするところを考えてみると、私は余り括弧を入れたり、注を入れたりすることは好ましくないと思っておりますので、御了解ください。これは狙いがどこにあるかというところにあるわけです。
 ほかに御意見、御注文ございませんか。
 柳川さん、いい修正案できた?
○柳川委員 読んでいるうちにこれで納得されてきたんですが……。
○蝋山部会長 僕ここを15分ぐらい考えて赤入れしたんですが、だからちょっと文章が、損害賠償責任とか罰則とかになったんだけど。
○柳川委員 それがいいのかどうかわかりませんが、損害賠償責任を含んだ説明義務に関する包括的な法体系を導入するためにはということで前に持ってきて、金融商品の範囲を明確にする具体的、包括的な定義を置く必要が出てくるため、それは現状では困難であると。
○蝋山部会長 それは違うんだ。それは逆。
○柳川委員 すみません。考えていますが、特にこれでまずいというわけではありませんので……。
○蝋山部会長 では、御了承いただくと。
○柳川委員 ええ。
○蝋山部会長 上柳さん、そうでしょう。もしも罰則規定とかそういうのが全然なかったら、包括的な定義を置き、ある種の説諭的法律だったら作れるでしょう。
○上柳委員 よりやりやすいでしょうね。私はこういう制裁があっても作れると思いますけれども。
○蝋山部会長 上柳さんは作れるということですか。ぜひある種の具体的な御提案をいつの時点でかお願いしますよ。本当にこれ非常に重要な、稲葉さんも御発言があったくらい、日ごろ寡黙な稲葉さんも発言されているわけですから、非常に重要な点なんですね。
 それでは、高橋さん、先ほどの件はどういうふうに、何か具体的な修文に関する御提案を頂戴できますでしょうか。
○高橋委員 30分ほど頭を冷やす時間をいただいたわけなんですけれども、明快な方向性を示さないことが得策であるということなのであれば、部会長を御信頼申し上げまして、作戦的に書かないことに同意します。
○蝋山部会長 そうしてください。
 ほかにございませんか。
 クーさん、どうぞ。最後にまたぽんと大逆転ホームランを打たれますか。
○クー委員 ここに書かれている細かいことは私も細かくフォローしていなかったのですけれども、先ほど助っ人的というようなことが盛んに言われている一方で、金融のイノベーションということが盛んに言われているわけですけれども、例えば自動車の業界を見て一番イノベーションが盛んなのは当然F1レースですよね。あそこが一番イノベー的なことをやって、それがやがて一般の自動車まで来るわけですが、金融で見ますと、それはもう間違いなくヘッジファンドがダントツに、一番優秀な人間がそこに集まって、いろんなことが考えられて下の方にいくわけですけれども、ここで横断的、バスケット的とやってしまって、ヘッジファンドは日本でできるようになるのかと。つまり一番最初に私が聞いたことが気になっているんですが。といいますのは、あれも金融商品だからこれ全部満たさなくちゃいけないというふうにやったら、絶対日本ではできないですよね。その後どうなるかというと、今ビッグバンの世界で、海外資金は幾らでも出せる状況になっているわけですから、結局みんなそういう最先端の技術で大きなリターンを教授したいという人は外へ出ちゃうわけですね。そうすると国内は横断的ないろんな法律の制限があって、結局はできない。金は全部外に行ってしまうと。
 だから、私は逆に聞きたいのは、ここで消費者保護だなんだかんだと言っているのを全部無視すると、そのかわり一般にも勧誘しない、そういう業者が出てきたときに、それは認められるのかどうか。横断的なところにこれが入っちゃって認められないと、やっぱり全部やりなさいということになったら、そういう業者は絶対日本で育ちませんよね。そうでなくて、言ってみれば預金を集めないのがノンバンクになったみたいに、こういうことをやらない業者が、しかし投資行動がとれるというのが横断的な中にひっかかるのか、ひっかからないのか、そこが気になるんですけれど。
○蝋山部会長 これまた恐らく行政当局が答えると、ある種後で影響があるかもしれないので、私が私の答えを……。7ページに説明を不要とする場合というのが上から4行目にあります。本制度の説明義務はいわゆるプロが顧客である場合には課す必要はない。そういう点ではヘッジファンドがプロとみなされるものを相手に、いわば私慕形式で資金の運用をゆだねられると、これはフィーズブルだというふうに−−今まではここいら辺があいまいだったわけですね。それをプロとアマをはっきりさせたことによって、制度としては可能性を高めたと。しかし、それはほかにもまだまだ、税制の問題とかいろんな制度の問題があります。そういう点で日本で本当にヘッジファンドが出てくるかどうかという現実に、出てこないじゃないか、おまえのせいでおかしいと言われたら、それはまた別の問題だというふうに思いますが、私は少なくとも現状と比べてみれば、ヘッジファンドのような非常に特別なプロ同士が、今でもヘッジファンドに対する投資家は日本にたくさんいるはずです。少なからずいるはずです。そういう人たちを相手にした商品を提供できる条件というのは一歩整ったんじゃないでしょうか。しかし、何度も繰り返しますが、それはすべてじゃない。それが最大の障壁でヘッジファンドが日本でできなかったというと、必ずしも私はそうではないという認識をしていますので、日本にそういうノウハウを持っている人は一体いるのということも含めて……。
○クー委員 それはいます。
○蝋山部会長 いますか。そうですか。可能性は高まったんじゃないでしょうか。
 一番初めにクーさんが言われた、そういう一般の国民、一般の投資家ということばかり考えているんじゃないということで、本当のプロ・プロの世界というものは日本でどうなっていくんだと、それが実は非常に大事なんだという御指摘はいつも頭の中に残っておりまして、ワーキンググループの議論も含めて、そういうプロ・プロの世界は自己責任でちゃんとやってもらうでしょう、ルールは自ら。それでいいんじゃない。ではプロとはどうするかというときに、ヤクルトの某氏をプロと考えるかどうかとか、そういう具体的な問題に関してはここで本当にいいかどうかはともかく、証取法の欠格機関投資家、いわゆるリコクナイズド・インステューションですね、それに当たるものが我々にもありますので、それを参考にして検討していこうと、こういうことでクーさんのこの会の冒頭の質問に対してはイエスというふうに答えたいと思います。
○クー委員 法律を書くプロセスの中において、結局それがひっかかってしまって、やっぱりこれをクリアしていないからだめじゃないかと、こういうけちがどこかでつくような形にはぜひなってほしくないなということです。
○蝋山部会長 わかりました。
 ほかにございませんでしょうか。
 それではいろいろな難点も大いに強引に、逆に言えば私が手形を振ったということになるので後で大変なんですけれども、皆さん方にとっては非常にベターオフだと思いますが、この形で中間整理をまとめていきたいというふうに思います。幾つか修文についても御意見がありました。この点は私どもの方で引き取らせていただきまして、私と事務局との間でやりとりしてまとめることにいたします。特に、具体的にこれはもう削るぞと、こういう文章を入れるぞということを申し上げた箇所もありますが、石戸谷さんの御意見とかという点についてはとっさに修文が出てきませんで申し訳ないと思いますが、それから、原さんの言われた「等」ということについては、それがいいかなというふうに疑問に思うところもありますので、お任せいただきたいというふうに思います。しかし、皆さんのお気持ちはよくわかっているつもりですので、次回以降の議論ではそういうお気持ちから出てきた発言がある種の文章となって出てくるように、前向きに処理させていただきたいというふうに思います。
 この修正はお任せいただくことにしまして、取扱い方としては、来週の21日に開かれます金融審議会の総会に他の部会の報告と合わせて、金融審議会での中間整理第二次ということになるわけであります。そういう点で申し訳ないけれども、本日のところはこの紙は回収させていただくということで、席上にお残しいただきたいというふうに思います。
 あくまでもこれは「中間整理(第一次)」以降の第二次中間整理でありまして、内容はSPC法の改正と金融商品の販売・勧誘ルールについてのいわば横断的な第一次のチャレンジということであります。SPC法の改正は脈があると思いますし、2番目についても、金融商品の販売・勧誘の第一段という点についても、行政当局多方面にいろんな問題を抱えておられますが、ぜひ前向きに取り組んでいただいて、法制化ということをお願いしたいというふうに思います。当面の法制化を視野に入れた上での金融サービス規制のあり方という課題が一応区切りがついたということになります。そういう点で「中間整理(第二次)」でありますが、それなりの意味はあるだろうと、あるというふうに私は理解しております。
 委員の皆さん方、またオブザーバーの方々、9月の審議が再開されて以降、この間非常にたくさん会合を重ねてきました。9回にも及ぶ会合を開いてきたわけであります。この場をかりまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。それでもまだまだ9回という数字は小さな数字でありまして、ワーキンググループに参加された方は都合全部で何回か、お人によって違うと思いますが、20回になんなんとする会合をこの4カ月の間に重ねていただいて、本当に大変だったろうというふうに思いますが、これはぜひ生かしていかなければならないと思いますし、さらに中間整理が21日に総会を通って公表された後、クリスマスとお正月になるわけですが、年が明ければ6月の最終報告に向けて、我々の金融審議会第一部会としての最後の仕事が待っているわけでありまして、そうのんびりとはできませんが、あるいはほっとするわけにいきませんけれども、とりあえず「ほ」ぐらいでよいお年をお迎えいただきたく思うわけであります。どうも本当にいろいろありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
○乙部債権等流動化室長 次回の日程は未定でございますので、正式に固まり次第、御通知申し上げます。
○蝋山部会長 総会のことは僕が何遍も言っちゃったからいいというわけですね。
○上柳委員 出遅れかもわかりませんが、今日いただいた2枚目のところに、いわゆるパブリックコメントの期限が1月14日というふうになっていて、普通からいうと余りにも短いような気がするんですが、様々事情があるんですよね。もし、これやむを得ないということであればやむを得ないと思うんですが、御説明をどなたかいただければと思います。
○蝋山部会長 この14日というのは立法作業に入るための期限だそうです。これを過ぎての御意見というのは基本的に立法作業の中に反映されない。御意見を寄せていただくことはそれなりにあるでしょうけれども、それに関連したものであれば14日ということだそうです。これはちょっとわからないかもしれませんね。何か書き方を工夫する必要があるかと思いますね。
○内藤企画課長 はい。
○蝋山部会長 ですから、物の考え方に対する基本的な考え方がけしからぬとか、そういうようなことでしたら、もっと後でも構わないと。どうも御注意ありがとうございました。
○クー委員、それはペイオフについても言えるんですか。
○蝋山部会長 ペイオフはどうなんだろう。
○福田金融企画局長 ペイオフの方は中間整理ではなくて、今度が答申になりますから、もう改めてパブリックコメントということは恐らく頂戴しないだろうと思います。それを踏まえて最終答申を作ることになっているはずです。
○蝋山部会長 僕先ほどちょっと間違えました。第一部会に関する中間整理じゃないんですね。これは第一部会の中間整理。どうも失礼しました。先ほどちょっと間違えて言いました。第二部会の方ではそれぞれの章についてのある場合は中間報告であり、ある場合は最終的な報告であるということで、ペイオフの問題は確かに最終報告でした。ですから……
○クー委員 まだ意見を言えるんですか。もうだめなのかな。
○蝋山部会長 総会ではまだ意見を言うチャンスはありますけれども、クーさんは残念ながら総会のメンバーではないということなので。
 ほかに何かございませんか。
 第一部会の運営、いろいろな点で不手際が多々ありましたし、また、時間について延長したことも何回かありました。今日は22分残っておりますが、これをもって散会いたします。どうかよいクリスマスとお正月を。
                                (以 上)