金融審議会「第一部会」第22回会合議事録 |
日時: |
平成12年3月29日(水)10時01分〜12時03分 |
場所: | 大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室 |
○ |
蝋山部会長 それでは、ただいまから、第22回金融審議会「第一部会」を始めさせていただきます。 年度末ぎりぎりのところで、皆様大変お忙しいかと思いますが、御参集いただきまして、ありがとうございます。 本日は、まず、前回の会合で紹介されました「預金保険法等の一部改正法案」のほかにも、金融審議会の答申・報告を受けた法案化作業が幾つか完了しているということでございますので、その内容について御紹介をすることから始めたく思います。 初めに、第二部会の報告を受けて法案化作業が行われました「保険業法等の改正法案」について簡単に御説明をいただきます。続きまして、我々のこの第一部会における審議の成果などを踏まえまして法案化が行われました証券取引所・金融先物取引所の株式会社化、ディスクロージャー制度の電子化、集団投資スキーム法制、それと金融商品の販売等に関するルール、こういうものから成ります、仮称ですが、「金融インフラ3法案」の御紹介を受けたいと思います。 法案の議論を一通り終えた残りの時間で、本日第2の大きな議題といたしまして、当部会の今後6月までの運営のあり方について、皆様方からの議論を喚起したいというふうに思います。 以上、大きく二つの議題があるわけですけれども、早速、まず、今月の7日に国会へ提出されました「保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正法案」、一気に読むのはなかなか長いんですが、それにつきまして事務局より説明いたします。 菅野さん、よろしくお願いいたします。 |
○ |
菅野保険企画室長 保険企画室長の菅野でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、お手元の資料「第一部会22−1」に基づきまして、「保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正法案」につきまして御説明を申し上げます。 資料は、前半が縦長のペーパーになってございまして、こちらが法案の概要でございます。後半が横長のペーパーになってございまして、こちらが御説明用の資料ということになってございます。まず、後半の横長の方の資料の「生命保険契約者の保護のための制度の課題と対策」このペーパーを御覧いただきたいと存じます。 まず、左側に課題、右側にそれに対応する形での対応が記載されております。課題は、大きく三つあると考えてございます。 一つが相互会社の経営基盤が脆弱であるという問題、これに対しましては、保険相互会社の株式会社化、これを容易にすることが求められるところでございまして、これによりまして、自己資本の増強が図られやすくなるとともに、再編にも対応できるようになる、あるいは破綻処理手法の多様化(株式取得方式)といったものにも対応できるようになるということでございます。 2番目が、いわゆる逆ざやの問題がございます。これに対しましては、保険会社に係る倒産法制の整備が求められているところでございます。すなわち、再建型手続であります会社更生法の保険相互会社への適用を可能とする。また、債務超過に陥る前の早期の手続開始による処理費用の抑制を図る。さらに、更生手続におきましては、司法手続による権利調整がまさに行われることになるわけでありますけれども、その際、生命保険契約者へあらかじめ優先権を付与しておくこと、また、手続においては一般債権の削減、予定利率の引下げ、こういったことが適切に行われることが必要であると考えられるところでございます。 なお、(注)にございますように、生命保険の場合、保障の継続が必要であると、これが基本的な考え方となっているところでございます。 さらに、3番目でございますけれども、生命保険契約者保護機構の機能の維持という課題がございます。このためには、財源対策として財政上の措置等をとる必要があるわけでございます。まず、保護機構の資金調達が円滑に実施できるように、借入れに係るところの政府保証を可能とする規定、これを恒久化することとしております。現行制度が平成13年3月末までの時限措置となっているわけであります。 2番目に、時限的な国庫補助規定の創設。具体的には平成15年3月末までの破綻を対象といたします規定の整備を行うこととしております。 (注)にございますけれども、これに伴いまして、保護機構が活用できる財源に関しましては、まず、保護機構の借入限度額を5,000億円拡大して、現行4,600億円を9,600億円とすること。また、業界の負担を1,000億円追加して、現行4,600億円を5,600億円とすることといたしております。 それでは、縦長の資料の方に戻っていただきまして、法案の概要について御説明を申し上げます。四角の中は、今申し上げましたことの繰り返しになりますので省略をさせていただきます。 法案につきましては、大きく保険業法の一部改正関係といわゆる更生特例法の一部改正関係とがございます。 まず、保険業法の一部改正関係でありますけれども、1.は保険相互会社から株式会社への組織変更制度、いわゆる株式会社化の関係であります。ポイントといたしましては、端株の一括売却制度の導入がございます。商法の特例として、端株の一括売却制度を導入し、端株を割り当てられる社員への補償として売却代金の交付を可能とするといった内容でございます。 次に、組織変更の際の資本増強でありますけれども、組織変更と同時の株式発行、また、直後の新株発行、これによる資本増強を可能とするということといたしております。 これらの点が株式会社化関係のポイントとなるわけでございます。これらにつきましては、昨年7月に金融審議会第二部会から公表されました「保険相互会社の株式会社化に関するレポート」この内容に沿ったものとなっていると考えております。 次に、2.でございますけれども、保険契約者等の保護のための特別の措置、いわゆる破綻処理制度関係であります。この2の部分、これは業法上の破綻処理制度の関係でございますけれども、これと後の方で出てまいります「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」、いわゆる更生特例法の一部を改正する法律案、ここの部分につきましては、これも昨年12月に金融審議会第二部会の方から公表いただきました「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間とりまとめ)」この内容に沿ったものとなっているわけでございます。 まず、(1)の早期の手続開始といたしまして、保険会社に対しまして、事業継続困難であるときは、その旨の監督当局への申し出を義務づけることといたしております。事業継続困難なときとは、保険数理的な分析手法であります将来収支分析といったものによりまして、将来責任準備金が不足すると判断されるにもかかわらず、追加積立や合理的な経営改善計画の策定・実行ができない場合等でございます。 次に、保険管理人の権限の強化でございます。保険管理人に対しまして、破綻保険会社に対する罰則付きの調査権限を付与する。また、破綻保険会社の経営者又は経営者であった者の破綻の責任を明確にするための民事上・刑事上の所要の措置をとることを義務づける、こういったことを規定してございます。 また、保険管理人に対しまして、作成する破綻保険会社の管理に関する計画の中に、業務の整理及び合理化に関する方針の記述を義務づけることといたしております。 次のページでございますけれども、破綻処理の迅速化の関係でありますが、保険契約の移転等に係る仮決議の制度及びいわゆる裁判所の代替許可の制度、これを導入いたしております。 (4)以降、契約条件の変更以下でありますけれども、こちらになってまいりますと、保険に特有な要素が入ってまいります。契約条件の変更でございますけれども、例えば予定利率の引下げなどにつきまして、現行制度におきましては、保険契約の移転や合併の場合に行えることとなってございますけれども、保険持株会社等による破綻保険会社の株式取得の場合にもこれを可能とするということといたしております。 次に、保険契約者保護機構の業務の拡大・強化に関することでございます。 まず、業務の拡大でございますけれども、保護機構の保険管理人又は保険管理人代理への就任を可能とする。また、救済保険会社が現れない場合に対応するため、承継保険会社、これは保護機構の出資により設立される子会社でございますけれども、こちらによる保険契約の承継を可能とすることといたしております。さらに、保護機構による破綻保険会社の保険金請求権等の買取りを可能とするほか、破綻保険会社等の資産の買取りも可能とするとともに、これにつきましては、当分の間の措置として資産の買取り及び回収について協定銀行、整理回収機構を想定しているわけでございますけれども、こちらへの委託を可能とすることといたしております。 次に、資金援助の対象の拡大でありますけれども、資金援助といたしまして、これまでもございました金銭贈与のほか、資産の買取り及び事後的な損失補てん、いわゆるロス・シェアリングを行うことも可能といたしております。また、従来、資金援助の対象となっておりました保険契約の全部移転の場合、これに加えまして、一部移転の場合の資金援助、保険持株会社等による破綻保険会社の株式取得の場合の資金援助、これも可能といたしております。 次に、資金援助の類型の拡大でありますけれども、資金援助の類型といたしまして救済保険会社に対する資金援助のほか、保険契約の承継、これは破綻保険会社から保護機構の子会社である承継保険会社への契約移転等を指すわけでありますけれども、この場合、また、保険契約の再承継、これは承継保険会社からさらにほかの受皿保険会社等への契約移転を指すわけでありますけれども、この場合、さらに、保険契約の再移転、保護機構が保険契約の引受けを行った場合に、さらにその保護機構から他の保険会社への契約移転を指すわけでありますけれども、この場合、それぞれについて資金援助を可能とするということでございます。 次に、生命保険契約者への優先権の付与でありますけれども、生命保険契約の保険金請求権等について一般先取特権を付与するものでございます。 次に、3.が生命保険契約者保護機構の財源対策でございます。これは先ほど別紙の方で御説明したとおりの内容になっているところでございます。 次に、4.にまいります。その他の改正といたしましては、今回の保険業法改正に当たりまして、保険会社の準拠すべき責任準備金の計算基礎率の作成等、こういったことを日本アクチュアリー会が行うわけでございますけれども、必要な監督を行うために、これを指定法人化するといったことのための規定の整備、また、金融システム改革の着実な実施を図るため、一定の保険商品について銀行等による販売を可能とするといった手当ても行われております。 以上が保険業法の一部改正関係でございます。 次に、「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」、いわゆる更生特例法の一部改正関係でございます。 更生手続関係といたしまして、まず、保険相互会社への更生手続の適用につきましては、これを可能とすることといたします。 次に、保険会社、これは相互会社・株式会社に共通の事項でございますけれども、更生手続の特例を設けます。一般に、保険契約者の数というのは、一般事業会社の債権者数に比べても極めて大きな数になるといったことに鑑みまして、送達の特例、あるいは保護機構による手続代理、こういった手当てをすることといたしております。また、破産の原因たる事実が生ずるおそれがある場合には、監督当局による更生手続の開始の申立、これも可能といたしております。 次に、倒産実体法関係となってまいりますけれども、管財人が保険事故の発生リスクの高い契約のみを解約するといったことを避けるといった趣旨で、保険契約者の保護を図るために管財人の保険契約の解除権を制限することといたしております。また、更生手続中であっても、一定の限度額、原則保険金の90%、これは保護機構による補償限度額に相当いたしますけれども、これまでの保険金の支払いを可能とすることといたしております。 また、更生計画におきまして、予定利率の引下げ等における保険契約者間の条件の格差の設定、早期解約控除の設定、更生手続開始後に納付された保険料の保護、更生計画における相互会社から株式会社への組織変更、こういったことを可能とすることといたしております。 破産手続関係でございますけれども、破産手続につきましても、更生手続の特例、保護機構による手続代理等と同様の規定を整備するということといたしております。 以上、概略でございますけれども、法案について御説明を申し上げております。本法案につきましては、「預金保険法等の一部を改正する法律案」とともに国会に提出されまして、現在、衆議院大蔵委員会におきまして審議がなされているところということでございます。 以上、御説明させていただきました。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 この問題は、専ら第二部会の方で作られた答申をもとに法律が作成されたというふうに伺っておりますので、我々の立場から何かございましたら、どうか御発言いただく思いますが、いかがですか。 まず、それでは竹田さん、どうぞ。 |
○ |
竹田オブザーバー 2ページの破綻の場合のロス・シェアリングというコンセプトが今回導入されておりますが、これは既に骨子としてでも出来上がっているんでしょうか。 それから、このロス・シェアリングというのは、銀行の場合の破綻処理につきまして、既に施行されている金融再生法ではそういうコンセプトが入っておりませんが、この保険会社のロス・シェアリングのスキームというのは銀行の破綻処理の場合に準用されるような可能性があるんでしょうか。それについて、ちょっと教えていただきたいと思います。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ、菅野さん。 |
○ |
菅野保険企画室長 このロス・シェアリング、損失填補というふうに法律上記載されてございますけれども、これらにつきましては、今骨子とおっしゃられましたけれども、法律の中で、資金援助の対象として金銭贈与のほか資産の買取りと併せてこういったロス・シェアリングも行えるという規定になっているところでございます。基本的には、銀行におきますところの損失填補のスキームというのがあるかと存じますけれども、そちらと同じ考え方に沿ったものというふうに思っております。 |
○ |
蝋山部会長 まだ何かございましたら、三國谷さん。 |
○ |
三國谷総務課長 ロス・シェアリングにつきましては、今回の預金保険法の改正の方で、銀行の方でも同じような考え方を導入しておりまして、これにつきましては、お手元の表の8ページ、後ろから2枚目を御覧いただきたいのでございますが、いずれにしても、問題保険会社はその存否は別といたしまして、できれば契約者自体は最終的に受皿の保険会社に、お客様と申しますか、そういうのはいろいろな形で引き継ぐという、そのスキーム、ここのところは、上から下まで三つほどラインがございますけれども、銀行の場合、そういったものが銀行でいろいろな手法が開拓されておりますが、それをなぞらえながら保険版のものをこしらえていると、大体対になっているかと思います。 |
○ |
蝋山部会長 よろしゅうございますか。 それでは、原さん、どうぞ。 |
○ |
原委員 もう法案として提出されていますので、ここでの意見というよりは説明を受けたいところなんですけれども、保険会社が倒産したときの政府の補助の恒久化というところで、政府からの借入限度額を5,000億円拡大して4,600億円が9,600億円、それから、現行の業界負担は4,600億円だったのが5,600億円ということで、5,000億円と1,000億円という金額になっているんですが、現行では4,600と4,600で折半になっているところがどうして業界の方が1,000億で、政府の方が5,000億というふうな金額になったのか。折半論では出発はしなかったのかということの説明を受けたいんですが。 |
○ |
蝋山部会長 よろしくお願いします。 |
○ |
菅野保険企画室長 お手元の資料の9ページに全体のスキームの概略が書かれてございます。これで御説明をいたしておきたいと思います。 現行、この生命保険契約者保護機構の使用できる資金の枠というのが4,600億というふうに設定されていたところでございまして、これにつきましては、基本的にこの業界と申しますか、加盟各社の拠出金で負担がなされると、こういったことになっていたわけでございます。今回、それに対しまして、昨年破綻が生じました東邦生命、この処理のためにその大半が使用される。約3,800億円が費消されるということで、言ってみれば、残りの使用可能な資金というものは非常に手薄くなってきているという、こういった事情がございます。このため、下側にございます5,000億円と書いてございますけれども、この4,600億円とほぼ同じ額の5,000億円の枠を今回追加しようと、こういった考え方になっているわけでございます。 この中で真ん中に濃く網かけが付いております追加分、これは業界各社の拠出金、これの追加分として設定されるものでございます。したがいまして、これに対しまして、4,600億円に1,000億円を足しまして、業界の負担分が5,600億円といったことになるわけでございます。 実際にはこの5,600億円を仮に超えるような資金がさらに必要になる、この保護機構から資金援助等をするために必要になると、そういった場合には、右肩にございますように、平成15年3月末までの期間において保険契約者保護のための資金援助の財源について業界のみが負担することになれば経営の長期的健全性が維持されなくなる事態を招き、ひいては国民生活の安定や金融市場に不測の混乱が生じるおそれが認められる場合に、これは国がその段階で予算措置をして、ここに財政措置としまして補助をすることを可能とするといった内容になっているものでございます。 借入れに関する政府保証でございますけれども、これはむしろこの保護機構というのが資金が必要になった場合に、まず借入れを起こして資金を調達するという必要が生ずるものでございますので、その借入れを円滑に行える、資金調達を円滑に行えると、こういった観点から保護機構がする借入れについては政府保証を付すことができる、この措置について恒久化しようということでございます。 したがいまして、今回の財源措置の内容につきましては、こういった大きく分けて財政措置を可能とするといった手当てと、それから、資金調達におきまして借入れを円滑に行う意味での政府保証を付すことができるといった手当てと、この二つがあるというふうに御理解をいただきたいと思います。 |
○ |
蝋山部会長 原さん、御理解になりましたか。私もよくわからないところがありますが……。 |
○ |
原委員 借入れの政府保証ということではわかったんですけど、私、保険会社も大変だと思いますが、国の財政ももっと大変なように思うのでというのが印象です。 |
○ |
蝋山部会長 はい、ありがとうございました。 まだありますか。吉野さん、どうぞ。 |
○ |
吉野委員 先ほどの図のところで、整理回収機構に債権の部分を移す、それから、2ページの文章として「当分の間の措置として」と書いてあるんですが、2ページの真ん中ぐらいに「協定銀行(整理回収機構)への委託を可能」、買取り資産の回収について可能にするという場合、私は銀行の場合も保険の場合も同じところがやった方がノウハウがあると思っていいような気がするんですが、「当分の間」ということは、何かほかの機構を作るという意味なのでしょうか。それとも余り意味がないのでしょうか。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ。 |
○ |
菅野保険企画室長 特段、別の機構を作るということを想定しているものではございません。当面、まさにその整理回収機構に委託するということを想定しているものでございます。 |
○ |
蝋山部会長 ほかにございませんね。 この保険業法そのほかに関する法律の一部改正という問題につきましては以上で、次の問題に移らせていただきたく思います。 我々のこの第一部会の報告を受けて法案化が行われました、いわゆる「金融インフラ3法案」についてであります。 初めに、証券取引所・金融先物取引所の株式会社化及びディスクロージャーの電子化、これらについて定めます「証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案」につき、御説明をいただきたく思います。 松川さん、どうぞ。 |
○ |
松川市場課長 市場課長の松川でございます。 それでは、私からは、お手元の「資料22−2」に沿いまして、「証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案」概要のうち、証券取引所等の株式会社化に関する部分について御説明申し上げたいと存じます。資料の2ページを御覧いただきたいと存じます。 一番最初の四角に趣旨を簡単に記してございます。改正の趣旨は、証券取引所及び金融先物取引所につきまして、その組織形態の選択肢として、株式会社化を可能にしようというものでございます。このことによりまして、取引所におけます意思決定の迅速化や資金調達方法の多様化を図り、もって多様なニーズへ対応し、効率的で利便性の高いサービスを提供するとともに、国際的な地位の向上を図ろうとするものであります。 とりわけ、国際的競争力の確保という観点から申し上げますと、御案内のとおり、諸外国ではここ1〜2年の間に急速に取引所等の株式会社化の動きが高まってきているところでございまして、その状況は資料の5ページに記しているとおりでございまして、既に御説明しておりますので詳細は省略させていただきますが、昨年、ロンドンとニューヨークの二大主要な証券取引所が株式会社化の計画を発表したところでございまして、そのほかでも株式会社化を実現し、あるいは検討の動きが広まっているところでございます。 1点だけ補足させていただきますと、ロンドンにおきましては、去る3月15日に会員総会を開催いたしまして、株主を会員、旧会員以外に開放することにつきまして会員総会の了解が得られたということでございまして、今年の4月あるいは5月にも会員以外の者への株式の譲渡が行われる見込みであるというふうに報道されているところでございます。 それでは、2ページに戻らせていただきまして、改正の内容について御説明申し上げます。 1にございますように、証券取引所及び金融先物取引所の組織形態に株式会社を導入するということでございます。 選択肢ということでございまして、従来の会員組織に加え株式会社形態を認めるということでございます。その際の基本的な考え方は、既に第一部会の報告書でも示されているとおりでありますけれども、取引所の公共的な機能、あるいは自主規制機能を十分確保しながら株式会社のメリットを生かしていこうというものでありますので、そのために取引所に対する免許制等の公的規制を維持していくとともに、若干の必要な措置を講ずることにいたしております。 そういうことで、免許制を維持するわけでございますが、従来は取引所の設立に係る免許でございました。株式会社は、御案内のように設立自体は商法に基づき設立されるものでありますので、免許の仕組みを設立に係る免許から市場の開設に係る免許に変更することといたしております。 なお書きに書いておりますのは、現在、会員組織形態の証券取引所等につきまして、定款等についての認可制度、あるいは検査・監督上の処分等の制度がございます。これは取引所の公共性を維持するためのものでありますので、これは株式会社形態の証券取引所等にも適用することにいたしております。 3ページを御覧いただきたいと思います。 こうした免許制の維持等に加えまして、公共的機能を確保するための措置として次の措置を講ずることにいたしております。 まず、株式会社形態のみに適用されるものといたしまして、資本の額が政令で定める金額以上でなければならないことといたしまして、一定の財産的基礎を求める格好にいたしております。 次に、何人も発行済株式数の5%を超える株式を保有してはならないこととするということで、株式保有制限を導入することにいたしております。これは、既に御説明しておりますように、自主規制機能をも担う取引所の組織のあり方として中立でなければならないということで、中立性を確保するとともに、特定少数者により経営を左右されることを回避しようという趣旨でございます。諸外国では、オーストラリアで株式保有制限の導入の事例がございまして、5%の保有制限ということになっております。 なお、この保有制限につきましては、その趣旨に鑑みまして、形式的に1社の保有だけで制限していくということではなくて、そのもの及びそのものと特別の関係にある者、例えば親族関係にある者とか、あるいは親子の会社、資本関係があるようなものも合算したところで制限をかけていこうということでございます。当然のことながら、議決権のある株式についての保有制限ということでございます。 次に、株式会社形態及び会員組織形態に共通に適用されるものといたしまして、業務範囲は、市場の開設及びこれに附帯する業務とする。兼業といいますか、多業業務については制約的に考えていこうということでございます。 それから、自主規制機能の一層の明確化といたしまして、会員又は取引参加者が法令等を遵守しなければならない旨及び法令等に違反した会員等に対し制裁措置を講じる旨を定款に記載しなければならないことにいたします。 それから、行政当局の監督につきましても、現在定款等の変更命令ができることになっておりますが、これに加えまして、業務運営・財産状況に関し監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができることにいたします。 3番目は、資金調達の関係から、取引所の株式を自市場に上場することが考えられますが、この上場の審査につきましては、信頼性を確保する観点から承認制ということで、金融再生委員会の承認を受けなければならないことといたします。 4番目は、会員組織形態から株式会社形態に変更可能にしようということで、手続規定を整備することにいたしておりまして、組織変更計画書の総会での承認、会員への株式の割り当て、組織変更の金融再生委員会による認可等の所要の規定を設けることといたしております。 施行日としましては、株式会社関係は本年12月1日の施行を予定しているところでございます。 以上が株式会社関係の改正の内容でございます。 |
○ |
大森調整室長 調整室長の大森でございます。私からは、ディスクロージャー制度の電子化に係る部分につきまして御紹介させていただきます。 恐縮ですが、資料の7ページを御覧いただきますと、「電子化後の開示関連事務の流れ」というポンチ絵を付けております。これに基づいて、簡単にまず御説明させていただきたいと思います。 左側から、有価証券報告書等のいろいろな開示書式の提出会社、これが従来は紙で財務局に持ち込んで提出したわけでございますが、これをインターネットでオンラインで提出することを可能とするものでございます。発行会社等にとりましては、持ち込みの事務負担ないし印刷コスト等が軽減されるということでございます。財務局におきましては、これをペーパーレスで受理、審査することができるということで、事務の効率化につながるものでございます。また、従来から閲覧室で紙の形で閲覧しておりましたが、これをモニター等で縦覧するということによりまして、閲覧者の検索も容易になるということでございます。 さらに、行政サービスの一環といたしまして、ホームページにアクセスする等の方法によりまして、こうした電子的な情報をインターネットで投資家に直接提供できるようにしたいと考えております。 これによりまして、企業情報の厚みが増すと同時に、それに容易・迅速にアクセスできるということで、ひいては市場の効率化につながるものと考えております。 恐縮ですが、文章の方にお戻りいただきまして、4ページでございます。今御説明したような内容でございますけれども、これを書面と並行する一定の経過期間を設けた上で、平成16年6月1日以降、オンラインによる提出の方を原則といたしたいと考えております。私ども考えておりますのは、基本的にワープロがあって、それを電子メールで送れるという会社であれば対応できるものでございますし、従来から有価証券報告書等の印刷コストがあったわけでございますが、これを電子化すれば、そのコストが減る可能性があるということでございます。 実施時期でございますが、まず、ニーズが高いと考えられる有価証券報告書のグループから概ね1年ぐらいの間隔を置きまして、順次電子化してまいりたいと考えております。 ただ、大量保有報告書等のグループ、個人による提出もございますところから、これにつきましては、電子化を義務化することからは外しております。 さらに、下の段の2のところでございますが、これまで行政の関係で御説明しておりましたが、証券会社等から投資家への情報ということで、有価証券届出書と基本的に同じ内容の目論見書につきましても、民間同士のオンラインによる交付等、一定の手続を踏んだ上で認めたいと考えております。 簡単でございますが、以上でございます。 |
○ |
蝋山部会長 どうもありがとうございました。 証券取引所の株式会社化と、それから、今御説明がありましたディスクロージャーの電子化、二つの問題について、何か御質問なり御意見ございませんか。 よろしゅうございますか。それでは、次の問題に移らせていただきます。 次の問題は、集団投資スキーム法制整備のための法案整備であります。乙部さんからお願いします。 |
○ |
乙部債権等流動化室長 債権等流動化室長の乙部でございます。 資料の9ページでございますが、SPC法の改正と投信法の改正でございます。 SPC法は、不動産と指名金銭債権をペーパーカンパニーであるSPCを使いまして流動化する仕組みでございますが、これについて使い勝手が悪いという指摘がございますので、いろいろな点について改正をいたします。 現行SPC法の改正、会社型の改正ということで資料1.に記載してございますが、一つは、対象資産を現在の不動産、指名金銭債権から財産権一般に拡大いたします。それから、SPCの設立手続の簡素化といたしまして、現在登録制になっておりまして、審査に2カ月ほど要しておりますが、これを届出制に変更いたしますので、直ちに証券発行というようなことが可能になります。それから、最低資本金も現在 300万円のところを10万円に引き下げることといたします。 (3)でございますが、SPCが発行する証券の商品性の改善といたしまして、投資者への資金の払戻しを今後できるように優先出資の減資を可能といたします。それから、転換社債等の発行も可能といたします。 (4)でございますが、現在はSPCは一時借入れしかできませんけれども、これを改正いたしまして、特定資産取得のための借入れも可能といたします。 それから、資産流動化計画でございますが、その変更には、現在全員の同意が原則として必要でございますけれども、これを改正いたしまして、反対者への買取請求権を付与することを前提に多数決による変更を可能といたします。 それから、会社型による流動化に加えまして、信託を用いた資産流動化の仕組みも用意いたしまして、会社型と同様の仕組みを整備いたします。 1枚おめくりいただきたいと思います。次が資金の運用のための仕組みでございますけれども、現在、主として有価証券に運用する仕組みとして証券投資信託及び証券投資法人に関する法律がございますが、これを改正いたしまして、主たる運用対象を不動産等にも拡大いたします。この運用制限の緩和に伴いまして、運用業者であります投資信託委託業者に関する規定の整備を図っております。 1番目が、不動産ファンドの運用を行う業者につきましては、実際に不動産取引を行いますので、宅地建物取引業法の免許と建設大臣の一任取引の認可の取得を義務づけることといたしております。 2番目に運用業者の利益相反行為を防止するための措置といたしまして、一つには、業者とファンド間の取引ですとか、ファンド相互間の取引のように利益相反のリスクの高い行為について禁止をいたします。それから、不動産のように価格評価が困難な資産につきまして、外部の独立した不動産鑑定士等の価格評価を義務づけ、これを投資家に開示するという措置を講じております。 それから、3番目でございますが、業者が投資者に対して忠実に行動する義務、それから、専門家としての注意を払って業務を遂行する善管注意義務を規定いたしますとともに、投資者に損害を与えた場合の損害賠償責任の規定を設けることとしております。 それから、信託スキームに関する規定の整備といたしまして、信託会社が自分で資産を運用する仕組みを整備することといたしております。この場合、信託会社には投資信託委託業者と同様の行為規制を課しているところでございます。 以上でございます。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 SPC法と証券が取れた投資信託法ですか、集団投資スキームの考え方に大分近づいた法制ということになるわけですけれども、この点について、御意見なり御質問があれば、よろしくお願いしたいというふうに思います。 いかがでしょうか。 神田さん、ワーキンググループその他の我々のリポートと今上程されようとしている法案との関係はどうですか。非常にぴったり一致していますか。 |
○ |
神田委員 非常に順調に、ほぼぴったりな法案になっているというふうに思いまして、大変早く実現していただけたと思います。 余計なことですが、SPC法も従来名前が長くて呼ぶのが舌をかんでいたんですけれども、法律の名前も非常にスリムになりますので、「資産の流動化に関する法律」、大変結構な名前だと思います。 |
○ |
蝋山部会長 オブザーバーの方、例えば杵渕さんが一番関係が深いと思いますが、どんなふうにこの法律案を受け止められますか。 |
○ |
杵淵オブザーバー 結構でございます。 |
○ |
蝋山部会長 大変何かすんなり通ってしまうような感じですけれども、全てがこういうふうにいくといいんですが、よろしゅうございますか。 |
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○ | 蝋山部会長 それでは、その次のもう一つの点、金融インフラ3法案の3番目の点につきまして御説明を受けたいと思います。 金融商品の販売等に関するルールを定める「金融商品の販売等に関する法律案」につきまして、事務局からの説明をお願いします。 内藤課長、よろしくお願いします。 |
○ |
内藤企画課長 企画課長の内藤でございます。それでは、御説明させていただきます。 資料の14ページを御覧いただきたいと思いますが、「金融商品の販売等に関する法律案」ということでございまして、今御説明しております証券取引法の改正、それから、SPC関連、それで今回のこの法律、これが今後の金融・資本市場のインフラ整備に係る3法案という位置づけでございまして、ただ、この法案につきましては、非常に厳しい検討をこれまでこなしてまいりまして、民法の特例という位置づけが法律論的にも非常に難しいというふうなこともございまして、法制当局ともかなり時間をかけて長時間検討した結果、こういう形の法律案としてまとめたということで、先週国会に提出をさせていただいたというものでございます。 それでは、御説明させていただきますが、この趣旨につきましては何回もこの場で御説明をしたかと思いますが、最近、金融のトラブルが起きておりまして、民法の一般則でこれについて対応しておるのが現状でございますけれども、やはり原告側、消費者側の負担が大きいということで、民法の特例、特則というふうな位置づけで消費者保護、利用者保護というものを強化していくというような観点で作成した法律でございます。 まず、大きな柱が金融商品販売業者の説明義務の明確化及び説明義務違反に対する損害賠償責任という柱でございます。 まず、その1としまして、販売業者の説明義務の明確化でございますが、これまで説明義務そのものが、存否自体が法廷の中で争われるというふうなこともございましたので、まずこれを法定化するということに今回なったわけでございまして、金融商品について、まず対象でございますが、預貯金とか信託、保険、有価証券等を幅広く対象といたしまして、今後登場する新しい商品については速やかに政令指定していくという形で、幅広い金融商品についての対象というものを図っていきたい、体制を形成していきたいと考えております。 それから、二つ目が説明義務の内容でございまして、重要事項の説明というものを義務づけまして、その内容でございますが、 ![]() そうなりますと、元本欠損に係る要因ということになりますと、まず第1が、一つ目の「・」でございますが、市場関連リスクといいますか、金利とか通貨の価格、為替レートでございますが、有価証券市場における相場、代表的には株式相場でございますが、その他の指標に係る変動、それから、第2点が金融商品販売業者等の業務又は財産の状況の変化ということで、いわば信用リスクというふうに位置づけられるかと思います。その他政令で定める事由。 第2が権利行使期間の制限又は解約期間の制限ということで、その商品の契約に関わる条件に関連するところでございますが、例えばワラントでございますと、行使期間というものが一定期間制限されておりますので、それを説明する、あるいは中途解約ができない商品である、あるいは一定期間できないといった場合の解約期間の制限というものを説明するということで、これが元本欠損にも関わる問題でございますので、こういった条件については説明を義務づけるというふうに整理しております。 それから、説明義務を負う者でございますけれども、販売業者、直接この販売をするという者はもちろんでございますが、販売業者以外にも仲介的に機能を果たす業者がございます。取次ぎとか媒介とか代理とか、こういった者も説明義務を負うということで、いわば契約の当事者たる販売業者、それから、例えばそこに媒介人が介在するというような場合には媒介者、いずれもが説明義務を負うというふうな構成にしております。 第4点が、顧客がいわゆるプロとして政令で定める、いわば機関投資家、それから、顧客が説明を要しないということを意思表示したというような場合には、説明は不要だろうというふうに整理をしております。 次に、15ページを御覧いただきたいのですが、説明義務違反に対する損害賠償責任ということでの規定でございます。仮に説明義務が行われなかったという場合でございますが、重要事項を説明しなかったときは、損害賠償責任を負うものとし、元本欠損額をその損害額と推定するということで、元本欠損額、損害額の推定までをこの法律の中に推定規定を入れたわけでございます。 したがいまして、(注1)、これは先ほども若干御説明いたしましたけれども、現在では、不法行為によりまして損害賠償責任を問うという形での争いになっております。そこで、実際の法廷の争いでは、業者の説明義務そのものの存否、それから損害の因果関係、こういった一連の手続につきまして、原告が立証責任を負うということでございまして、裁判が長期化するというふうに言われております。 (注2)を御覧いただきますと、本法案によりますと、説明義務を法定化いたしましたので、説明が行われなかったということが示されますと、原告の因果関係については、今申し上げたような損害額までを推定するということで、一連の因果関係についても推定が働きますので、立証責任というものが転換されるということで、原告の立証責任の転換が図られる、こういうふうな今回の仕組みになっているわけでございます。 なお、原告がもちろんこの元本欠損を超えて、さらに例えばお金を借りて投資をしていたというような場合の金利負担でありますとか、様々なケース・バイ・ケースによる負担もあろうかと思います。それについては、一般則における民法709条で請求ができるということでございますし、あるいはまた、実際の現在の裁判では過失相殺ということが行われておりまして、これについても、今回のこの特則の規定に加えまして、民法の規定に基づいて、今度は逆に消費者側が過失があるというような場合には、その過失についての相殺というふうな形の規定は働くということでございます。 それから、大きなもう一つの柱が、金融商品販売業者の勧誘の適正の確保ということでございます。これは、今申し上げたような説明義務というものとある意味では非常に関連をいたしますけれども、業者の勧誘の適正化ということを図っていくということで、今回につきましては、勧誘、本来は各業法で勧誘の適正化を図るということのそれぞれ諸規定ございますけれども、今回はこの金融販売業者による勧誘方針というものを策定をし、そして公表するという形で、金融商品販売業者を横断的にそうした公表まで至るようなことについての義務づけを行いまして、適正化を図っていくというような趣旨を盛り込んだわけでございます。 第1が勧誘の対象となる者の知識、経験及び財産の状況に照らして配慮すべき事項ということで、いわば適合性の原則というふうに呼ばれているものでございますけれども、そうした内容に関わるものを含んで策定・公表する。 第2が勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に配慮すべき事項ということで、いわば不招請の勧誘というようなことについて、それをいろいろ抑制をしていく、そういう諸措置でございますけれども、訪問販売、あるいは電話の勧誘、あるいは迷惑時間に勧誘することを慎むとか、様々なことがあろうかと思いますが、それについての係る事項ということでございます。 いずれにいたしましても、今回の法律は行政当局がどういうものをその中で内容を定めなければならないというふうな形にはいたしていませんで、こういった内容を含むものを公表まで義務づけるということでございまして、あくまで業者の自主的判断を尊重しながら、そうしたものを策定・公表して、市場慣行をより内容的に高めていくというようなことを願っておりまして、その中で業者間の互いの競争意識、あるいは消費者、顧客がそういったものをチェックができる、こういうふうな体制の整備を図っていきたいというふうに思っております。 3.では、いずれにいたしましても、こういった措置につきましての実効性の担保ということから、過料というものを用意しております。 以上の法律案でございますけれども、今のこの法律案の中には、附則で施行時期につきましては、来年の4月から施行ということで考えております。 次に、16ページを御覧いただきますと、法律案の意義がございますが、今申し上げたようなことと相当重複いたしますので、言いますれば、二つ目の箱のところで、現在の対応といいますのは、結局のところ、特に「業者に対する業法上の規制」というものが中心でございます。 これは、ある意味で業者に対する免許制度、あるいは登録制度といったものを用意をし、業者をある意味で選別いたしまして、それで、それに対して問題があった場合には資料の提出を命じたり、それで内容を見て、いろいろ行政処分を加えていくと、こういうふうなことで、場合によっては免許とか登録の取消しというふうな措置がございますけれども、あくまでも市場の健全性といいますか、あるいは潜在的な投資家保護というふうな広い意味での対応ということになるわけでございますので、悪質業者を排除するということが、それで迷惑、損害を受けた顧客の保護という形には必ずしもなりませんで、それについては現在民法の一般則で対応している。それでは先ほど申し上げたようないろいろ負担があるということで、今回のこのような特則というふうな位置づけ、こういうふうなことでいろいろ各方面にも御説明させていただいているわけでございます。 以上でございます。 |
○ |
蝋山部会長 どうもありがとうございました。 それでは、この「金融商品の販売等に関する法律案」につきまして、御意見なり御質問を頂戴したいというふうに思います。 いかがでしょうか。 では、まず、先ほどと同じように竹田さん、どうぞ。 |
○ |
竹田オブザーバー 内藤課長にお伺いしたいんですが、14ページの1の(1)でございますけれども、「今後登場する新しい商品については政令で定める。」ということでございますが、ちょっと何か変な質問になろうかと思いますけれども、政令で定められないような金融商品というものはこれからいろいろ出てくると思いますけれども、金融商品は全て政令で定めるということでございましょうか。 言い換えれば、いろんな新しい金融商品がこれから出てくると思いますが、それは金融商品として認められるためには政令で認知されないといけない、こういうことでございましょうか。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ。 |
○ |
内藤企画課長 この法律で、政令で書いたから金融商品になるというわけでは必ずしもございませんで、もちろんこの法律の趣旨から言って、金融商品と位置づけられるものと、当然そういうことになるわけで、一般に金融商品というものはどうなるかというのは、いろいろなそれぞれの各法律、あるいは一般通念、社会通念から判断されるべき問題だろうと思います。ですから、非常に現実問題としては金融商品であるのか、そうでないのか、ボーダーラインの商品というのも結構あると思うんですね。金融審議会あるいはワーキングでも昨年御議論いただきまして、宝くじがどうだとか、ゴルフの会員権がどうかとか、そういう御議論がございました。それは、社会通念から言っても、金融商品という位置づけではないでしょうというふうな整理は一応させていただいたところなんですが、今後いろいろなデリバティブ商品とか、そういうことで金融ギャンブル的な商品なのか、金融商品なのか、ボーダーラインが当然出てくる。ですから、それはこの法律の趣旨に照らしまして検討をそれぞれしていくということになろうかと思います。 ですから、政令という一般的な抽象的規定で全部金融という形にいたしますと、どこまでこの範囲が広がるかというふうな問題がございまして、実際の法の施行ということから考えると、なかなか難しい問題がございますので、昨年はこういう形でできるだけ列挙いたしまして、あとは政令で随時指定していくというふうなことで整理をさせていただいておりますので、政令の指定の段階で私どもとしても検討して、そういったものが金融であるというふうな位置づけがなされるようなものについては整理していくというふうな体制で臨みたいと思っております。 |
○ |
蝋山部会長 よろしゅうございますか。 原さん、どうぞ。 |
○ |
原委員 短い時間に消費者の視点から法律をまとめていただきましたことに大変感謝申し上げたいと思います。特に損害額の推定については、この推定規定というのは、私ども製造物責任法のときから非常に大きな課題として、もう10年来取り上げておりまして、なかなか入らなかった項目なんですけれども、今回こういうふうな形で配慮していただきましたことをありがたく思っております。 ただ、ここでありがたく思っていますで終わるのは、私としてはまだ少し足らないといいましょうか、もう少し聞いておきたい点がありますので質問させていただきたいんですが、3点ありまして、一つは、金融商品の範囲のところに「預貯金」という書かれ方がしているんですが、これは貯金も入るということになるのでしょうかということです。 それから、二つ目なんですけれども、リスクに関わる重要事項の説明ということなんですが、すごく限定的に、特にリスクに関わるものと限定的な形での項目が挙げられているんですが、収益の期待のようなものは排除しましたという話があったんですが、もう一つ、程度の話があったんですね、リスクの程度、例えば、2割ぐらいの元本割れなのか、6割も元本割れをするようなことになるのか。それは何によって変動するかによってある程度予測がつく話でもありますけれども、その程度の話もしていましたので、これは、その他の政令で定める事由のあたりではこういったことは考慮されるのであろうかということと、それから、その前のところで、業務とか財産の状況の変化ということも重要事項の中に入っているんですが、この変化のところの書きぶりも、変化することがありますというただ一文ではしようがなくて、ここは具体的に、やっぱり1年とか2年とか3年とかの変化の具体的な状況を書かれるということになるのかどうかというのが2点目です。 それから、3点目なんですけれども、時間が足らなくて不適切な、不当な勧誘のところというのは、こういった勧誘の方針の策定と公表というところになったんですけれども、ここで「勧誘方針を策定・公表しなければならない。」ということで各事業者に委ねられるということになりますけれども、この内容ですね。必ずこのことについては触れなければならないという程度のガイドライン的なものが出される予定になるのかどうか。それはここでの検討にもなるかと思いますけれども、私、各社自由でいいとは思っているんですけれども、基本的にはこれとこれを押さえた形というのを、もうちょっと踏み込んだ形でのガイドライン的なものは考えられるのであろうかということの、その3点を質問したいと思います。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 どうぞ、内藤さん。 |
○ |
内藤企画課長 まず、第1点目の貯金でございますけれども、これはこの法律の中に「郵便貯金は除く」と書いてあります。それで、ただ、ほかの貯金、農協・漁協の貯金がございます。それは対象にいたします。郵便貯金はいろいろ検討いたしまして、それで、民法の一般則、当然金融商品ですので一般則が対象になります。ですから、今回のこの民法の特則というのも民法というものの前提がございますので、本来的には対象になってくるわけですけれども、今回のこの整理といたしまして、元本欠損というものを着目した形でそのリスクと、それからまた、元本欠損額というものが損害額の推定という形で規定を盛り込んでおりますので、そう考えますと、郵便貯金はもちろん元本が保証され、金利が変動しても元本は保証されています。それから、国ですから、倒産リスクというものがないということ、二つの点において関わる項目というものがございませんので、そうしたことで、郵便貯金というのはあえてこの法律の中で法する必要はないだろうというふうな整理をいたしました。 それから、二つ目でございますけれども、リスクの程度をどうするのかというところでございますが、今回のこの説明義務の義務づけというのは、そのリスクの程度ということになりますと、金利がどう動くか、為替レートがどの程度動くか、そういったありとあらゆる議論になってまいります。それから、そういう非常に難しい議論になってまいりますので、もちろんこの「その他で定める事由」というところも、いわば市場リスク、信用リスク、あるいはそれ以外のものが何か必要であるということになれば、それは私どもとして検討はしていくと考えておりますけれども、今のところ、特段これに加えてというものは想定しておりません。 いずれにいたしましても、いわばその商品の属性に応じて定性的な説明をしてもらうというのがまず基本で、それを想定しておるというのがこの条文だというふうに考えております。 ですから、国債があれば金利というものへの元本欠損というリスクはありますので、金利を説明する。ところが、信用リスクはありませんので、それは説明することを要しない。あるいは、預金の場合には、元本というのは保証されていますので、金利による元本欠損はないということで、市場リスクというものは一般的にはない。ただ、倒産リスクはありますので、セーフティネットで1,000万円というものが保護されるという体制になっていますけれども、倒産リスクがありますので、そうしたことについての説明をしてもらうというふうことになろうかと思います。 したがって、その変化の状況でどういうふうな変化を説明するのかというのも、これはそういう信用リスク、信用状態が変化すれば、そうしたことで元本欠損のおそれが顕在化するというふうな、そういった趣旨の説明になるのではないかなというふうに思います。 それから、三つ目の勧誘方針のところですが、ガイドラインを定めるのかということでございますが、実は私どもは、これはあくまで先ほど申し上げたように、行政当局がこれについて、従来の業法ですと、これに基づいて省令とか通達というふうな形になっていくわけですけれども、あくまで民事法的な位置づけで考えておりまして、業者とあくまで消費者との関係、あるいは業者と市場との関係というふうな位置づけでございます。ただ、今後の議論といたしまして、それぞれ業界の方で、ただ、そうは言ってもどういうふうな具体的なものを定めていくのかとか、検討は開始されるということは十分期待もしておりますし、それぞれの担当の行政当局において、そうしたことについて協力していきます。それは随時、いろいろな対応は今後考えていきたいというふうに思います。 |
○ |
蝋山部会長 よろしゅうございますか。 |
○ |
原委員 何か法制局とのやりとりで随分鍛えられていらっしゃるという感じがありまして、よくわかりました。 |
○ |
蝋山部会長 それでは、ほかの方どうぞ。 岩村さん、どうぞ。 |
○ |
岩村委員 勉強のためですが、質問させてください。これは海外への販売と海外からの販売勧誘についてはどのように適用されるのか、適用されないか。今までだと、事実上、営業所が国内にない金融取引が国内で行われるということは想定しなくてもよかったと思うんですが、やっぱり今のいわゆるインターネットの環境を考えると、営業所が国内になくても海外から勧誘をされることがあり得るだろうし、逆に営業所を海外に持たないにもかかわらず、非居住者に対して勧誘するということもあり得るだろうと思うんですが、説明義務の有無、それから損害賠償責任の考え方、それから最後の適正化ですね。これはそれぞれ少しずつスタンスが違うかもしれないんですが、簡単にお教えいただければと思います。 |
○ |
内藤企画課長 その点になりますと、管轄権の問題になってまいりますけれども、この法律は民事法の特則という位置づけで、基本的には民法の適用される範囲というものを対象にして考えていくということだろうと思います。したがって、やはり日本の中に存在します消費者、顧客の保護というものが前提になると思います。ですから、その契約につきましても、日本のいわば領地主義という考え方をとっているんだろうと思いますが、契約というものに着目をしておりますので、その販売業者が日本の顧客に対して販売を行ったという場合の顧客保護について適用されるというふうに考えておりまして、ですから、日本の業者が海外の顧客に販売をするというときには、域外適用というような考え方は、従来の考え方ですとなじまないのではないかというふうに思います。 |
○ |
@山部会長 岡田企画官の方から何かございますか。 |
○ |
岡田企画官 ちょっと私から補足させていただきます。 一般的に申し上げますと、金融取引の場合については、当事者同士で、特に海外の法人と取引を行う場合には、当事者同士でどの法律に準拠するのか、どの国の法律に準拠するのかを決めている例が多いと思います。例えば、日本法準拠であるとか、アメリカ法準拠だとか、そこで日本法準拠だということでやれば、この法律は日本法ですので、そういう取引についてはこの法律の適用があります。 もしも決めてない場合はどうかということなんですけれども、一般的にこれは不法行為の特例なので、不法行為については、いわゆる法令の中で不法行為地がどこなのかということをもってその法律の適用関係を決めるということになっておりますので、その不法行為地がどこになるのかという問題になるんだと思います。 先ほどおっしゃっていたようなインターネット取引ですね。例えば日本人が日本の国内にあるパソコンのモニターを使って見た場合の不法行為地はどちらなのかというのはかなり争いになるんだと思うんです。そこは事実認定の問題であって、サーバーのある方なのか、端末で見ている方なのかというところは、まだ恐らく決着がついてないんだと思うんですね。そこは個別の認定の問題としてやる。ただ、あくまでもどちらも定めがなかった場合には不法行為地だというのが一応法律上の原則であるということでございます。 |
○ |
蝋山部会長 岩村さん、よろしいですか。 |
○ |
岩村委員 要するに、理解を整理すれば、契約の実行地をベースに考えますと、民事法ですからということで、ただ、契約の実行地が今みたいなネット取引についてどうするかというのは、この法律では差し当たって議論を決め切らないで、実際の契約の実行地についての法の運用に委ねますという理解でよろしいですか。 |
○ |
岡田企画官 そうです。 |
○ |
岩村委員 ただ、それにしても、勧誘の適正の確保とか、こういう業者を名当てしている規制についてはいかがなんでしょうか。 |
○ |
岡田企画官 全く話は同じでして、要するに日本法準拠で日本の法人が売るという前提、あるいは外国の法人が日本法準拠で外国の法人でありながら売るという場合にはこの法律の適用がありますので、しかも、この法律は金融商品の販売を業としていれば、たとえ免許があろうがなかろうが全部対象になります。要するに、事実として反復継続して業として行う以上は全部適用対象になりますので、たとえ外国の業者であって日本の免許を持ってないという場合であっても、事実行為として反復継続して日本人に売って、準拠法は日本法だという限りは、この法律の適用があります。 |
○ |
蝋山部会長 となると、その実効性をどう確保するかというのが次の問題になるわけですね。しかし、そこまでは、ここは残念ながら踏み込んでいないと考えていいわけですね。 |
○ |
岡田企画官 はい。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ、関さん。 |
○ |
関オブザーバー 今御議論があった問題も含めて、3点ほど申し上げておきたいんですが、今の問題は多分岡田さんと岩村さんの間でやりとりがあったことだと思うんですが、もう一つ、それに関連して、「外国証券業者に関する法律(外証法)」という法律があって、この部分は今回改正してないと思うんです。それで、外証法は、いわゆる外国の業者が日本の中で業者として国内で認められないで外国から直接アクセスすることが、機関投資家にはこれを認めているわけですけれども、個人の一般投資者には認めてないというのが今の制度だと思うんですね。それで、それが少し前から、今のインターネットや何かで外国の業者が流している情報を日本の投資家が見たときに、それは外証法との関連はどうなるんだろうかという問題が実はまだ公式にきちんと解決されてないんじゃないかと私は思うんです。これはやっぱりどこかで、管轄の問題ももちろん国際的にはありますけれども、そういったものでいろいろ金融商品、あるいは金融商品類似というものがどんどん国内にアクセスされてくる、あるいはそれを投資家が見るということになるわけですから、やはり早急にそこは、金融監督庁の方でも電子化に伴ういろいろな研究会というのは始まっているわけですから、できるだけ早くそこは明確にするべきだと思うんですね。 今の議論で、それでは仮にそういうものを見て、日本の個人がお金を払って、説明義務が十分なかったと、こういう状態になれば、形としては、この法律に基づいて、外国の業者に対して損害賠償を外国で提起できるということにはなるんでしょうか、今度の法律でそこのところはどうだろうかということ、その外証法とは別に、この法律でどういう関係になるのかというのがもしわかったら教えていただきたいというのが第1点です。 それから、第2点は、先ほども金融商品の範囲の議論がありまして、先ほど内藤課長の御説明の中で、政令指定はできるだけ速やかに行うという表現が入っていましたが、金融商品の範囲をできるだけ幅広くとるべきだという議論は証券取引審議会時代から何度もここで行われて、その都度なかなか、非常に幅広い、いわゆる昔の言葉で言えば「幅広い有価証券概念」というのはなかなか難しいということで、いつもどこかで限定がついたわけですね。それは執行とか、法律の罰則まで、法律の適用関係とか、いろいろあるのでやむを得ないわけでありますが、やはり基本的にはそういう新しい金融商品が出てきたら、できるだけ迅速に指定していくという考え方は、一応今こういうところでの説明だけじゃなくて、実際の行政のやり方としても、ぜひ国会審議も含めて明確にしておいていただくということが必要じゃないかというのが第2点です。 それから、第3点は、実はこの法案がまとまるまで、内閣法制局等とのいろいろな議論というのが大変だったということはよく承知をしておりますけれども、元本欠損額の推定規定を入れないとこの法律は法律として意味ないというところの議論というのは、いまだに私自身は納得できないんですが、それは別としまして、やはりこういう法律ができました以上、私ども業界としては、説明義務の範囲を商品ごとにできるだけ明確化するという努力を今後していきたいと思っていますし、一方、そういうことをやる反面、この推定規定によって顧客側にモラルハザードが発生しないようにするためにはどうすればいいかということについても十分これから議論していきたいと、こういうふうに思っております。 以上であります。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 御質問もあったかと思いますので、御質問の件についてはお答えください。 |
○ |
内藤企画課長 第1点の外証法に基づく業者の問題、あるいはそれ以外ともおっしゃいましたけれども、私どもの管轄権の問題は、先ほど私の方から、あるいは岡田企画官の方から御説明したようなことで、そういう基本的な認識を持っておりますので、日本の国内でそういう不法行為に関わるような行為が行われたということになりますれば、それは業法にかかわらず、事実行為として、業としてそういう行為を行ったという事実認定はもちろんございますけれども、そうしたことが行われた場合には、これは業者として、かつ、説明義務が十分なされなかったということで、この法律の要件に該当する場合には、日本の裁判所において訴訟は当然提起できるし、損害賠償責任を追求することができるというふうに考えております。 それから、第2の点、政令指定で速やかにというふうなことで、これは私どもとしては、まさに私どもの意識はそういうふうなものを持っておりますので、現実の問題としては、果たして政令に書けるかどうかというふうな、当然非常に広範な商品もございますので、それについてはこれからまた実務的な検討をしていきたいというふうに思っております。 それから、第3点については、御意見として承っておきます。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ、岡田さん。 |
○ |
岡田企画官 第1点目のところで、先ほどこの法律で違反が問われた場合、アメリカの裁判所で裁判が可能なのか、という話があったんですけど、普通、アメリカ法準拠であればアメリカの裁判所でやりますけれども、日本法準拠である以上は日本の裁判所でやるという形になります。ですから、問題は、果たしてアメリカの業者が日本の裁判所に来てくれるのかという問題が出てくるんだと思います。 さらに言えば、通常は商取引の上で準拠法をどちらだと定めているときには、管轄裁判権もどちらだというふうに定めているのが普通だと思うんです。ですから、アメリカ法準拠でアメリカの裁判所で裁判すると書くか、日本法準拠で日本の裁判所で裁判するというふうに書くか、いずれか普通やっているはずなので、この法律でアメリカの裁判所で裁かれるということはないというふうに思っております。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ。 |
○ |
関オブザーバー 今岡田さんが言ったように準拠法を決めるとか、契約できちんとするというのは、要するにプロ同士のホールセールの分野では、これはきちんとやる話ですけれども、しかし、私が設定したような例、一般にインターネットで情報を流してくるような場合には、準拠法は何法ですなんて普通書いてないんだろうと思うんですね。そうすると、外国から、ちょっと内藤さんの説明と違いますが、日本の裁判所で外国の業者が被告になって外国の業者が出てくるかどうかわからないという実態の問題はありますけれども、そもそも岡田さんの理論だと管轄権はないだろうということになるし、内藤さんの場合はあるだろうということになるように思うんですが、今の御説明はですね。 それから、もう一つ、もしこういう法律でそういった問題が民法上の問題として処理できるような感じが片方にあった場合には、逆にいわゆる証券規制の分野、証券取引法の問題、外証法の問題として、そういった問題に政府としてどういう行動をとるかというのはやっぱり明確にする必要が私はあるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか、御専門の方もいらっしゃいますので。 |
○ |
蝋山部会長 上柳委員さん、どうぞ。 |
○ |
上柳委員 かえって混乱するかもわかりませんけれども、多分その外証法のこととこの法律のこととは一応切り離した方がいいんじゃないかと私は整理しているんです。 |
○ |
関オブザーバー 私も切り離しているんです。 |
○ |
上柳委員 もちろんそれを前提におっしゃっているんだと思うんですけれども、それで、岡田企画官の考え方が間違っているという趣旨ではないんですけれども、私自身としては、例えばアメリカの裁判所がアメリカの業者に対して管轄権があるとして、向こうで訴訟を受け付けて、ただ、その訴訟の中でも準拠法はどこかというふうに考えたときに、アメリカ法だけではなくて、日本法であるこの法律も、あるいは日本の不法行為法が適用されるというケースはあるというふうに考えているというか、期待しているんです。もちろん契約については準拠法契約で決まっているし、恐らく関さんが今おっしゃったようなこと、一般投資家対証券会社の関係では、あるいは業者の関係では、約款で一方的に決められているということが多いかと思うんですが、そこはまた今回の法律、不法行為の特則としたところに一つのミソがあるように私は思っていまして、契約でそういうふうに決めていても、場合によってはその不法行為についてはアメリカの法律だけではなくて、日本の不法行為の特則であるこの法律の適用もあるという余地もあるんではないでしょうか。 ただ、そこを本当はアメリカの法律のように、今回の法律の中に、これは全世界に適用があるとか、そういう条項なり附則のような条文を付けるというのも一つの立場かとは思いますが、それはそれこそ法制局が許しませんでしょうし、それをやっていると時間もかかると思うので難しいとは思いますが、今後インターネットを特に考える場合には、そういうことも含めて、多分岩村先生の問題意識もそういうことにあるんじゃないかと思うんですが、そういうことは考える必要があると思っていますけれども、必ずしもアメリカでは絶対適用されないということではないというふうに理解しているんです。 |
○ |
蝋山部会長 岡田さん、どうぞ。 |
○ |
岡田企画官 そこは、私は別にアメリカで適用するのはおかしいと言っているわけじゃなくて、従来の考え方から言うとそういう考え方になるのかなと思います。ただ、今おっしゃったように、例えば国際司法の中では特別連結論でしたか、最近の中ではそういう強行法規的なものついては域外適用だって考えていいんじゃないかというような議論もありますので、このあたり、すぐれて国際司法の問題だと思いますので、そこは実務といいますか、あるいは学者の先生方の議論に期待したいというふうに思っています。 |
○ |
蝋山部会長 神田さん、どうぞ。 |
○ |
神田委員 私も実はこの問題、昔から考えてきたものですから、非常に過激な整理と穏当な整理とあると思うんですけど、穏当な整理をちょっと申し上げてみたいと思うんですけれども、穏当な整理は業者ルールと取引ルールを一応分けて考えまして、この法律は取引ルールであり、今ずっとお話があったようなふうに整理をする。それで、外証法等は業者ルールで業法ですので、業法については、外証法の問題というのは、現在で言えば御承知のように基本的には証券業者としての登録が要るか、あるいはそれなしで外から日本の投資家に勧誘していいかと、そういう問題を先ほど関さんおっしゃったんですけれども、登録をすれば、次は日本の証券会社と同じルールの下で行動ができると、こういう構造になっているわけですけれども、さらにその中でも私募か公募かと、例えば発行取引をするのであればですね、そういうふうになっていく話なんですね。 それで、業者ルールの方は、伝統的には日本は、日本の業法を外には適用しないというのが伝統的な考え方だったんですけれども、98年9月にIOSCOのレポートがありまして、これは日本もかなりレポートを作るのに尽力した方なんですけれども、アメリカやイギリスは公式に決めていることでして、インターネットで、英語でディレクティッド・アット基準、あるいはターゲッティッド・アット基準と言っているんですけれども、そのインターネットのホームページによる勧誘ないし広告が投資家に向けられたものかどうかを基準にする。したがって、例えば日本の証券会社が日本のホームページで英語で投資勧誘をしたら、これはアメリカに向けられたものと考えられるんですね、客観基準で。ただし、そこに「これは日本在住の投資家向けのものでございます」というふうに書けば向けられたことにならない、こういう基準で運用しましょうということがもう既に国際的な合意が形成されつつあるというふうにほぼ言っていいと思います。ただ、日本はまだ日本もそれでいくということを正式には多分言ってないと思いまして、私の誤解かもしれませんけれども。 したがいまして、この第一部会でむしろ、できればそういう日本の証券取引法の適用については、海外のWebページでも日本の投資家に向けられたものについては、アメリカやイギリス、これはドイツやフランスもそれに賛成しているんですけれども、IOSCOである提言に従った線で日本も証券取引法を適用しますという方向をむしろ提言すべきではないかというふうに思います。それは業者ルールのお話です。 取引ルールの方の話は、先ほどから御説明ありますように、過激なことはいろいろあると思うんですが、穏当に考えれば行為地法ですので、どこで行為があったかどうか、ここで言うところの不法行為というか、説明義務違反がどこであったかということですので、それが日本であれば、もちろん外国の業者を相手にも損害賠償を取れるわけですけれども、実際訴訟が起こせるかどうかという問題は確かに別途あります。 日本には商法479条という条文がありまして、例えば外国の証券会社が日本で、商法の言葉では「取引を継続して為さんとするときは」、この場合には代表者を定めて登記しなさいという規定があるんですね。これは過料の制裁もあります。なぜこういう規定があるかといいますと、これはやっぱり訴訟するときに、先ほどから出ていますように、日本で裁判所へ行っても手がかりがないので、外国の人が来てくれるだろうか。したがって、これは外国会社の規制というふうに一般に呼んでいますけれども、外国の会社、一般的に取引ルールとして商法にそういうルールがあるんですけれども、ただ、問題は、実際問題として本当にみんながそれを守っているかというのが別途ありまして、また、インターネットを通じてやってくるものをもって、日本において継続して取引をしている、営業しているというふうに解釈できるかという問題は残っているんですね。 ただ、非常に穏当な言い方をすれば、これは法例──法例というのは国際司法の方の法例という意味ですけれども──に言う行為地法主義と同じように、行為地とは何かというものの認定というのは当然解釈が分かれ得る問題ですから、今の商法479条の解釈としても、日本において継続して営業しているかどうかというのは、これは結局解釈の問題というふうに言わざるを得ないわけでして、そこをもし過激なことを言うのであれば、取引ルールにおいても渉外的な、国際司法的なところについて、いわば特別法を提言するというところまでいくんですけれども、穏当に考えれば、今散らばっているそういった渉外関係の規定でそれなりの対応はできるし、そんなにおかしな結果になるわけではないということだと思います。長くなってすみません。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 何か事務局の方で、今の関さんから提起された問題に関連して発言はありますか。 |
○ |
内藤企画課長 特にありません。 |
○ |
蝋山部会長 課題としてきちんと整理して、わかりやすい形で一般の人たちにも理解してもらわなければならない点があるし、そのためには、関さんが言われたように従来の業法との関係もちゃんとつけておかなきゃいけないんでしょうね。 今の神田さんの話を聞くとわかったような気になるけれども、それを文章にしたときに、果たして一般の人々にもわかるようになるかどうか。難しいところもあるんじゃないかというふうに思いますが、ほかに御意見なり御質問なりございませんか。 では、高橋さん、どうぞ。 |
○ |
高橋委員 意見を一つと質問一つ出させていただきます。 まず意見なんですが、私は法案の下地となりましたレポート、ワーキンググループのメンバーの一員として出したものなんですけれども、大変複雑な思いでおります。といいますのは、当初目指したものと似て非なるものということ。ただし、一歩は前進しているというふうに思っております。中間整理(第2次)との違いというのは幾つかあるのですけれども、違うけどよい点というのは、先ほどからもありますように元本欠損に限定されてはいるけれども、損害賠償の推定規定が盛り込まれたという点だと思います。 違って不本意な点というのは、まずやはり郵貯のみならず、簡保も対象外となっているという点です。これで勧誘ルール等の対象にもならないということですね。それから、キャピタルリスクのみに絞られて、インカムリスク、期待収益の欠損に関する規定が全くないということですね。そういうふうな感想を持っております。 それから、質問なんですけれども、先日ワーキングで法案そのものをいただいて、家に帰って読んでいるうちにだんだんわからなくなったことが一つあるんですが、金融商品の販売を例えば共同保険のように複数の業者が引き受けている場合というのですけれども、例えば幹事会社が説明すれば、ほかの会社は説明しなくてよいというふうに読めるわけなのですけれども、実際に日産生命とか東邦生命が破綻した、ああいう信用リスクが起きたときに、この共同保険というのは一部問題になったと思うんですが、今後そういう問題が起きてきたときに、共同保険の場合、幹事会社があって、複数の会社が入っているということなんですが、まず現在消費者に対して利用者、顧客に対してシェア割れがどうなっているとか、そういうことが示されてないという問題点がまず1点あって、その示し方等についても各社がかなりばらばらであるという状態なんですね。そうすると、ある幹事会社を信用して、そこから説明を受けて、この保険いいかなと思っても、裏の方に小さな字でいろいろな会社の名前が書いてあったと。その中の1社が信用リスク、破綻に陥ったというときにどうなるのかということが心配なんですけれども、保険業者の方に伺ったところでは、連帯債務にはなっていないと、共同引受けのほかの会社の信用リスクまでは責任ないよと、持てないという考え方なんですが、この法律が上手にそこの部分もカバーできるのか、エアポケットに落ちてしまう可能性があるのか、当局の方にお伺いしたいと思います。 |
○ |
蝋山部会長 感想はともかくとして、2番目に言われた点は、岡田さんが一番適任者ですか。岡田さん、どうぞ。 |
○ |
岡田企画官 この法律を読んでいただいたらわかると思うんですけれども、信用リスクを負う者がある場合には、という書き方になっていたんだと思うんです。ですから、信用リスクがある人間が複数いる場合は、その者を言わなきゃいけないですから、共同の場合であれば、全員こういう人たちの信用リスクが元本割れを起こす可能性がありますということは明示しなければいけません。 先ほどおっしゃっていたように小さい字で書いてあったという場合、別にこれに限らず、全てについてそうなんですけれども、果たして小さい字を書いたものをただ単に渡しただけで説明をしたということが言えるのかというのは、これは裁判での争いになるんだと思うんです。ここの法律の中では様式性というのを求めていませんので、業者の側が義務を果たしたと裁判できちっと言えない限りは、「一般に言ってそんなの誰も読まないじゃないか」というふうに反論されたときに、「いや、それでもちゃんと果たした」と言えるような形の説明をしておかないと業者が負けてしまうということになりますので、事実認定かと思いますけれども、ただ単に紙に書いて渡してあるから説明は全うしましたと言えるかというと、それは言えないんじゃないかと思います。 |
○ |
蝋山部会長 そういう点では、高橋さんの質問に対しては、この法律はちゃんとカバーしているというふうに岡田さんは考えておられると。よろしいですか。 |
○ |
高橋委員 はい、ではそのように理解させていただきます。 |
○ |
蝋山部会長 ほかにございませんか。 上柳さん。短く。 |
○ |
上柳委員 感想については、高橋さんがおっしゃるとおりなんですけど、元本欠損に限定されたことは大変残念だと思っているんですけれども、ただ、立証責任の転換ということがありまして、ちょうど平成4年頃に起こした裁判で説明義務から争われた、これは証券会社の事件ですけれども、何名か原告の方でやっている事件が来月ですけれども、ようやく結審するんですね。判決はその先なんですけれども、大きな証券会社の事件です。こういうことが少しでも短くなるようにというふうに大変期待しているところなんですが、一つだけ質問は、15ページの(注2)のところに、「なお、原告は、民法709条による損害賠償請求を行うことも可能。」ということが書いてありまして、先ほど内藤課長の説明では、損害額のことだけを言及されたんですが、これは説明事項とか、そのほかのことについても民法が適用になるということで理解してよろしいんでしょうか。 |
○ |
内藤企画課長 はい、そういう理解でおります。 |
○ |
蝋山部会長 よろしゅうございますか。 高橋さんの言葉を使えば、似て非なるもの、普通そういうときは否定的に使うんですけれども、今回のケースは、似て非なるものだけれども、その「非」は結構いいんじゃないというのが大方の感想ではないかというふうに思います。もちろん完璧だということでは決してないということは言うまでもないわけですが、相当な前進だというふうに評価いただけると私も思います。 さて、そこで残された時間は次の議題、第2の大きな議題なんですが、この第一部会をどうするかということであります。 御承知のように7月に大蔵省の金融企画局と金融監督庁が合併して、新たに金融庁が発足いたします。金融審議会も金融庁へと引き継がれるわけですが、それまでに、この第一部会として発足当初に与えられたテーマである「21世紀の金融のあり方」ということについて、議論の成果を少しでもまとめていくという必要があるのではないかというふうに思います。 では、6月末日までどうするかということをお諮りしたいというふうに思います。ある程度、大まかな考え方というのはこれまでも触れてきましたので、御理解いただいていると思いますけれども、ともかく6月の報告とりまとめに向けて課題を検討し続けようと。 では、どんな課題があるかというと、昨年12月の「中間整理(第二次)」において引き続き検討するとされました裁判外紛争処理制度の整備といった問題、あるいは消費者教育の充実、こういった問題があるだろうというふうに思います。 さらに、今回の「金融商品の販売等に関する法律」において、金融商品を販売する業者に対して勧誘方針の策定・公表ということを義務づけましたが、これで十分かどうか。さらなる対応というものが必要なのではないか。いわゆる原さんなんか不招請の勧誘ということをもっとちゃんと取り上げるべきだという御意見がありました。こういう問題もあろうかというふうに思います。 こういう二つの、もう少し言えば三つですね、裁判外紛争処理制度の整備、消費者教育の充実、金融商品の不適切な勧誘行為に対する対応、こういう課題については、ホールセール・リーテイルWGに専門的な観点からの検討を依頼して、新たにメンバー・オブザーバーの追加といったことも考えながら進めていくということがあるんではないだろうか。 そして、部会としては、高橋さんに前から宿題としてお願いしております消費者教育の問題について、御意見を十分に拝聴して、部会としての提言といったものにまとめていきたい。 こういうようなことがワンセットとして、部会として、この部会の下のホールセール・リーテイルの問題のワーキンググループに委ねるところは委ね、そのワーキンググループの検討を吸い上げて、部会としてのとりまとめに向かうというのが一つ。それと並行しながら、特に消費者教育の問題は、もちろんワーキンググループでも議論いただいて結構なわけですけれども、部会としても取り上げる。こういうことが一つ考えられるのではないか。 それから、そのほかでも、まだ証券決済システム改革というのが残っていまして、これは結構大きな問題であるし、やや複雑怪奇な、伝統的な金融問題のように見えるところもあるわけですが、大変重要な問題ではないかというふうに思います。 集団投資スキームその他、いわゆる証券化というものが進む中で、こういうまさに決済のシステムがアウト・オブ・デイトであるということではまずいわけでありまして、10月からワーキンググループで検討をお願いしておりまして、その成果がまとまりつつあるように伺っておりますけれども、第一部会へ報告していただいて、これも6月の報告の中に織り込むというのが一つ。こういうことが考えられるのではないかというふうに思います。そのほかにもあるかもしれません。 基本的には、もう一度申し上げますと、「中間整理(第二次)」において引き続き検討するとされた裁判外紛争処理制度、それから、消費者教育の充実の問題は当然引き続き検討します。6月までに我々としての意見をまとめておきたいというふうに思います。それから、金融商品の不適切な勧誘行為、不招請の勧誘といった問題についても、6月までに我々の立場をはっきりさせるというのがもう一つの問題。それはいずれもワーキンググループでお願いすると同時に、我々としても、この第一部会としても取り組む。そのほか、証券決済システム改革について、積極的にワーキンググループからの報告を受けて最終報告の中に盛り込む、こういうことを最低限のコンテンツとして進めていき、6月までに報告をまとめたいと思いますが、いかがでございましょうか。いろんな御意見・御提言を頂戴したいというふうに思います。 |
○ |
原委員 よろしいですか。 |
○ |
蝋山部会長 原さん、どうぞ。 |
○ |
原委員 実質、今からそのワーキングを設けてやるとしても、4月と5月の2カ月ですよね。その3点とも、私どもとしては大変大きな課題だというふうに思っておりますけれども、ここの場では、意見をまとめるというふうになるのか。それとも、11月に集中的にやったように、何らかの形での提案まで持っていくのかという、ここをもう少しきちんと決めておいてスタートした方がいいように思いますね。 |
○ |
蝋山部会長 ワーキンググループでは専門的な観点から、従来のホールセール・リーテイルを基本的な枠として、そこに必要とあらば新たな人選を加え、ワーキンググループのメンバーを加えていただいて、それはお任せいただきたいと思いますけれども、従来のホールセール・リーテイルのグループを中核として、今指摘した三つの問題、とりわけ裁判外紛争処理制度と不招請の勧誘でしょうな、この問題を、消費者教育の問題は我々でもある程度できるだろうというふうに思います。その辺のところを、この二つの問題を中心にしながらワーキンググループとしての意見を作っていただいて、我々として部会がそれを受けるという形にしたい、こんなふうに考えているんですけれども。 御提案は、あるいは御質問は、最終的な報告のスタイルというものが、こういう法律を作るべきだというような提言になるのか、それとも、こういう意見があったという形になるのか、どちらなのかと、こういうことですか。 |
○ |
原委員 はい、そうです。 |
○ |
蝋山部会長 望むらくは、当然のことながら提言ですね。しかし、分野によって違うと思います。消費者教育については、私は提言をぜひしたいと。こうすべきだと、こうすることが望ましいと。これがしかもフィズブルではないかというふうに思います。そんなに大きな異論はないんじゃないんですか。 しかし、裁判外紛争処理制度については、やや難しいところがあるかというふうに思いますね。理想論を掲げれば、相当な理想論があり得るわけですね、包括的、横断的裁判外紛争処理制度を。しかし、実際にいろいろな形で走っている改善の動きというものもある。それが必ずしもそうした理想的なものに、いずれは到達するかもしれないけれども、距離がある。また、セグメントされた観点から言えば、業界によってはそうしたものが全くない部分もある。そういう問題について、何か理念だけ言ってもしようがないと思いますし、具体的な提言というものをなかなかまとめにくい、そういう性質があるのではないでしょうか。できるだけ具体的な提言にまとめるような努力はするべきだと思いますけれども、そうでなければならないというふうに縛りをかけるのは難しいというふうに思います。 不招請の勧誘については、それ以上、それ以下なんじゃないんでしょうかね。以下というのは、こうすべきだということがワーキンググループも含めて一生懸命議論していただいて、できるだけそこに近づくような努力を裁判外紛争処理制度以上にしていただく。しかもそれを2カ月の間でフィズブルなんじゃないでしょうか。そんなふうに思いますけれども、どうでしょうか。ですから、提言としてまとまりやすさから言えば、裁判外紛争処理制度よりはまとまりやすいのではないかというふうに思いますが、その辺のところは、大いに議論していただきたいというふうに思います。 吉野さん、どうぞ。 |
○ |
吉野委員 二つほどあるんですけれども、一つは、この金融審議会の大きな流れに、預貯金中心からなるべく市場型間接金融という大きな流れがあったと思うんですけれども、その場合にやはり庶民がいろいろなところでいろいろな商品を買えるということが重要だと思うんですね。今回の場合には、販売業者がやはり説明責任があるということは、消費者教育と同時に、やっぱり販売業者もその商品をちゃんと理解できて、例えばコンビニなどでいろいろな商品が売れれば、もっといろいろな商品が買えるようになると思いますので、消費者教育と同時に、やっぱり販売業者自身の中でも自分たちが教育すると、そういうのも何か必要かなというのが一つの印象です。 それから、もう一つは、証券決済システムに関してなんですけど、これは外為審の方で、例えば、昔、東京市場が空洞化するということなんですけれども、シンガポールとか香港では相当これが進んでいるような話もありまして、向こうのデファクトで欧米型のシステムが導入されつつあるようなんです。ですから、ぜひ日本の証券システムができればアジアでもスタンダードみたいになりまして、これで何か少し東京市場も含めた証券市場の活性化ができればと思いますので、ぜひそのあたりも含めてやっていただければと思います。その2点です。 |
○ |
蝋山部会長 意気込みはそういう意気込みで始まったはずなんですけれども、やっぱり実際になりますと、それはそれとして、という話が多くなってしまうという意味で、先ほどちょっと抽象的に「伝統的な問題を抱えている」というふうに申し上げたわけです。 どうぞ。 |
○ |
高橋委員 別のことでよろしいですか。 |
○ |
蝋山部会長 結構ですが、消費者教育といいますか、賢い投資家づくりという、どういう表現をするか別にしまして、やはり投資に対する知識が社会全体の中にもう少し広がっていく、投資に対する考え方が、そういうことが必要。その中には当然投資をする行為、投資をする者ということになると、それは単に消費者だけじゃなくて、販売する側も絶えずそうした認識を持っていかなきゃいけないはずなので、今の吉野さんの前半の方の御提言は、消費者教育とここで銘打った問題を議論するときに十分考えていきたいというふうに思います。 どうぞ、高橋さん。 |
○ |
高橋委員 私、消費者教育、利用者教育、投資家教育、その重要性は言うまでもないことなんですが、あと2カ月というふうに限られた期限で考えたときに、優先順位でいったら、それではないかもしれないというふうには実は思っております。 まず1点が、この第一部会の第一次中間整理から第二次中間整理、今回の法制化にいく過程の中で、やはり金融サービス法のあるべき姿の全容というのを示そうじゃないかという意見は複数の方から出されていると思うんですね。ですから、期待としては、この審議会でそれが6月の報告に盛り込まれるものというのが理想であったというふうに思うんですが、それはかなり今難しい状況になっているというふうに私も感じております。 では、何を優先するかというふうになったときに、ほかの動きを見ていますと、やはり気になるのは規制緩和3カ年計画の推進ですとか、金融分野で言えば、例えば銀行の他業禁止規定の見直しとか、いろいろなところで相互参入がどんどん進んでいくという段階にあると思います。そうすると、競争が促進されるに当たっての前提条件の整理がされてないなというふうに思うんですね。 例えば、銀行の保険販売ですとか、保険の構成員契約ルールをどうしましょうかなんていうのが第二部会でのこれからの議題になってくると思うんですけれども、あれを進めるかどうかというのは、消費者に対する弊害防止措置がとれるかとれないかというのがかなり大きなかぎを握っていて、今までもあの問題は、一定の措置を講じて、みたいな言い方でしかされてこなかったと思うんですね。そうすると、誰が、いつ、どのような形でそういうものを定めるのかとか、それの実効性をどういうふうに確保されるのかというのはどこでも論じられてきていなくて、やるとしたら第一部会のこの場しかないのではないでしょうかというふうに私は思っております。 今回、国会に提出された金融商品販売法案が元本の欠損に特化したような内容になっておりますので、やはりそれから考えていくと、裁判外紛争処理制度というのを優先していった方がいいのではないか。今までに3回やってきたわけですし、具体的に進めるとしたら、それはかなり大きな提言に、もう一つの柱としてしていきたい。法制化はまだ一部なんだけれども、裁判外紛争処理制度で消費者に安心感が与えられたらなという思いがしております。 消費者教育に関しては、私はワーキングのときに簡単なレポートを出させていただいておりますけれども、それ以降、日本において何ら進展はなく、日本の現状について報告させていただくのであれば、ほとんど行われていないということを説明するような形で終わってしまうんですね。蝋山先生の方から建設的な意見を出してくださいという宿題を私はいただいていたというふうに思うんですけれども、これをやろうとしますと、ビッグバン先進国のアメリカがどうしたのか、それを追っかけてイギリスが今何をやっているのかということを細かく見ていかなければいけないということになるのですけれども、事実上、私なんかはインターネットのホームページでフォローしたりとか、現地に行ってきた人の話を聞くとか、まだその段階までしかできていないわけで、この問題を本気で提言に結び付けていくのであれば、当局がどこまで情報収集をなさって、問題点を整理していただけるのかというところにかかってくると思うんですね。まだ法案の国会通過に伴う作業もいろいろあるだろうという実務的なことを考慮しますと、残り2カ月でしたら、消費者教育はむしろ中途半端に手をつけるよりは、いい意味で先送りをして、金融庁発足のときにちゃんとやっていただくと、その方が私はよいのではないかというふうに考えております。 |
○ |
蝋山部会長 今の高橋さんの御提言というか、これからの部会の進め方についての御意見は大変参考になる。考えさせていただきたく思います。そういうタイプの御意見をぜひ皆さんから頂戴したいというふうに思っております。 どうぞ。 |
○ |
貝塚会長 今、高橋委員が言われた最初の点ですが、要するに金融サービス法というものを一応目標に掲げてやり始めた。それは私はやっぱり今までやってきたこと、そのインフラストラクチュアのかなり重要な部分をやってきたという認識なんですね。要するに販売・勧誘ルールというのはやっぱり業界横断的なルールであって、それはやっぱり業態とかそういうものにかかわらず、一般的なルールとしてあるわけで、ですから、最後の報告書は、やっぱり私は金融サービス法のいろいろなスタイルはあり得るんですが、これは私の個人的な意見ですが、金融サービス法のベーシックになる部分のある部分はここでちゃんと議論し、つなぎがそういうふうになっているんだということをきちっと書ける形にしておくのが重要じゃないか。 要するに、プロセスのここまでいきましたというところはある程度わかる形にしておいた方がこの金融審議会の最後のレポートとしては、私は世の中の評価を受けるときには、単純に言うと、あとは雑談的ですが、新聞記者の短絡的な頭の中にちゃんと入るようにというのは皮肉でありますが、きちっとそこのところはそういうふうに書いておいた方がいいんじゃないかというのが私の個人的な意見です。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございます。 原さん、どうぞ。 |
○ |
原委員 たびたびで申し訳ありません。私も高橋委員のおっしゃられたとおりなんですが、消費者団体とか消費者に説明をするときも、よく蝋山先生がおっしゃっているように、ともかく第一歩という、ワンステップというところで強調して今回の法律の話をしていますので、第二歩とか第三歩というのをどういう姿を描いているのかというのが、やはり今回大蔵省での金融審議会での締めくくりとしては、私は提示をした方がいいというふうに考えております。 消費者教育は、私どももとても大事だというふうに考えております。だから、それはやはりたった2カ月では、具体化というところまでは、高橋委員もおっしゃられたように非常に難しいようなところもありまして、これは新しいスタートを切られたときの大きな課題として、正面から取り組まれた方が賢明なような気がいたします。 |
○ |
蝋山部会長 岩原さん、どうぞ。 |
○ |
岩原委員 私も先ほど貝塚会長がおっしゃいましたように、これは金融サービス法という非常に包括的なルールを作るということで我々作業を開始したわけで、貝塚会長おっしゃいましたように、我々がやってきたことがどういう意味を持っているかということを報告書に書いていただくということがまず第1番に重要ですし、次に金融庁の方での金融審議会になると先ほど伺いましたけど、そこに引き継がれるときに、何が課題として残っているかということをできれば最終報告の中で書いていただきたいというふうに思います。 かなりここでの作業、大きい実績を上げてきていると思うんですけれども、先ほど関さん、あるいは岩村委員が挙げられたような問題は、確かに説明義務、勧誘ルールについても、私法的なところをある程度やってきたわけですけれども、私は多分それだけでは十分ではなくて、やはり業者ルールといいますか、そういうところを含めた包括的なものができてないところからいろんな問題が出ているんじゃないか。 先ほど関さんや岩村さんが御指摘された問題、私はいろいろ意見があるんですけれども、その一つは、私法的な方についてだけ規定ができていて、それ以外の業者ルールのところなどの整備がまだ十分できてない。それらも含めた本当の意味での包括的な金融サービス法を今後作っていく必要があると思っておりますので、残された課題を金融庁の方にきちんと引き継いでいただけるように、残された課題を最終報告の中できちんと書いていただくということを望みたいと思っております。 以上です。 |
○ |
蝋山部会長 ほかにございませんか。 ただいまセカンド・ラウンドで頂戴した様々な御意見、いずれも建設的でありますし、また、異論のないところも多かったように思います。私が冒頭に申し上げた考え方をよりエラボレイトしていただいたというふうに思います。 そういう点で、十分に今日の第2ラウンドで頂戴した御意見を踏まえて、これからの具体的な部会の進展というものを事務局と一緒に考えていきたいというふうに思います。そして、6月の最終報告というのが日本版金融サービス法へのいわば大きなステップになるということに励みたいというふうに思います。 以上で本日の予定した議事は一応終了したわけですが、次回の日程ですけれども、4月の中旬を目途に現在調整中というふうに伺っております。詳細については、後日御相談いたしますが、その折には、事務局と相談した今後の運営の方針といったものも相当程度、もっともこの金融商品販売・勧誘ルールがどんなふうに国会で扱われるかによっては、全く当面の問題に取り組むことで一生懸命でということに、余裕のない事態になるかもしれませんけれども、余り脅かすのはやめて、望むらくは6月までの残された短い期間、有効にこの部会を進めるというふうな方策も4月中旬の次回の会合で示せたらいいなというふうに思います。 どうも今日はありがとうございました。 これにて散会させていただきます。 |
(以 上)