金融審議会「第一部会」第24回会合議事録 |
日時: |
平成12年5月19日(金)16時05分〜18時06分 |
場所: | 大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室 |
○ |
岡田企画課法規担当企画官 本日は、皆様御多用のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。本日は、前回会合でお知らせしましたとおり、消費者教育問題についての審議を行うこととなっております。また、昨年から御検討いただいております「証券決済システムの改革に関するワーキンググループ」から中間報告をお願いすることになっております。 本日の消費者教育のプレゼンテーションに当たり、日頃より金融の教育に関する問題に取り組んでおられる、日本銀行情報サービス局・貯蓄広報中央委員会事務局の方々をお招きしておりますので、議事に先立ちまして、私の方から御紹介させていただきたいと思います。 日本銀行情報サービス局、大西義久貯蓄広報中央委員会前事務局長でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。同じく関口幸男貯蓄情報課長でございます。 それでは、早速議事の方に進ませていただきます。初めに、大西前事務局長から貯蓄広報中央委員会の取組みについてお話をいただき、引き続き当部会で消費者教育問題について積極的に御発言をいただいております高橋委員の方から御提案をいただくという形にさせていただきたいと思います。その後で自由討議に移るというような段取りにしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 |
○ |
大西日本銀行前情報サービス局長 御紹介いただきました、日本銀行前情報サービス局長の大西でございます。 本日は、私どもが事務局を務めております貯蓄広報中央委員会の活動内容等につき御説明させていただく機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。 それでは、お手元の説明資料に沿って御説明申し上げます。資料の中から、「貯蓄広報委員会における消費者教育について」と題しております資料を御覧いただきたいんですが、この資料の構成、全体が本文9ページ、末尾に資料が2枚ついておりますので、適宜御参照いただきたいというふうに思います。 まず、資料の第1ページを御覧いただきたいと思います。 私どもは金融に関する消費者教育に長年取り組んでおりますが、消費者教育には大変大きな意義があると考えます。すなわち、金融ビッグバンの進展に伴い、金融商品・サービスの高度化・専門化が進みますとともに、消費者の自己責任が重要となってきておりますが、こうした中で、消費者教育は、消費者の適切な資産選択やリスク管理能力を高め、いわゆる賢い消費者を育てるものでございます。 こうした消費者教育により、消費者は多様な金融商品・サービスを保有することによるメリットをフルに享受することが可能となるとともに、金融をめぐるトラブルの発生防止にも役立ち、ひいては紛争処理制度や取引ルールに係る負担軽減にも資するものと考えます。さらには、消費者教育は、健全で効率的な市場機能の強化にも寄与するものであり、私どもといたしましては、我が国の金融制度において、金融に関する消費者教育の位置付けを確立することが必要と考えております。 それでは、続きまして、私どもの組織と活動内容につき御説明申し上げます。2ページを御覧いただきたいと思います。 私ども貯蓄広報中央委員会は、昭和27年に貯蓄増強中央委員会として発足し、昭和63年に現在の名称に改められましたが、その活動内容は時代とともに大きく変化し、かつての貯蓄増強活動から、今日では金融経済情報のサービス等、いわゆる金融に関する消費者教育に相当する活動が中心となってきております。 具体的な活動内容につきましては後ほど申し上げますが、その前に、こうした活動を行う組織の概要を3点の特徴点に絞って御説明申し上げます。3ページ目をお開きいただきたいと思います。 まず第1の特徴は、幅広い団体や学識経験者の参加を得て、中立・公正な立場から活動している組織であるということであります。お手元の末尾の資料、後ろから2ページ目ですけれども、資料1というのを御覧いただきたいと思います。資料1は、中央委員会の委員等構成メンバーの名簿でありますが、中央委員会は、日本銀行のほか民間金融団体、産業団体、報道機関、婦人団体等幅広い団体の代表者及び学識経験者を委員として組織されております。また、オブザーバーである参与には大蔵省ほか関係7省庁の局長に、顧問には大蔵大臣及び日銀総裁に御就任いただいております。また、中央委員会の事務局は日本銀行本店の情報サービス局に置かれ、事務局員も情報サービス局の貯蓄情報課職員が兼務しております。なお、中央委員会の活動は、日本銀行及び参加団体からの拠出金によって賄われており、平成12年度の予算は約9億円でございます。 本文の3ページにお戻りいただきたいと思います。 第2の特徴は、全国規模で活動を展開している組織であるということでございます。貯蓄広報委員会には、ただいま御説明した中央委員会のほか、地方組織として全国の各都道府県ごとに都道府県貯蓄広報委員会が設置され、活動を行っております。 恐縮ですが、お手元の資料を再び、この資料の一番最後に資料2というのがございますが、これを御覧いただきたいと思います。この資料2に掲げました図は、貯蓄広報委員会活動、略して、私ども、貯広委活動と言っておりますけれども、この活動の相互連関の関係を簡単に示したものでございます。左側の太枠に中央組織である貯蓄広報中央委員会が示されておりまして、右側の太枠には地方組織である都道府県貯蓄広報委員会が表示されております。都道府県貯蓄広報委員会、略して各地委員会と言っておりますが、これは都道府県庁、大蔵省財務局・財務事務所、金融経済団体、婦人団体、日本銀行本・支店・事務所等により構成され、中央組織である貯広委より2年早い昭和25年に全国で相次いで発足いたしました。各地委員会の会長には、都道府県知事・副知事又は日銀支店長のいずれかが就任し、また、事務局も都道府県庁又は日銀の本支店・事務所のいずれかに設置されており、都道府県庁職員又は日銀職員が兼務の形で事務を遂行しております。この図に示しましたとおり、会長及び事務局は各都道府県ごとに区々となっていますが、これは昭和25年に地方委員会が相次いで誕生した際、各都道府県ごとに独自の判断で会長及び事務局を決定したという歴史的経緯によるものでございます。また、中央組織である貯広委と地方組織である各地委員会は独立した関係にはありますが、全国運動組織として、中央組織である貯広委の方針・活動内容と平仄を合わせつつ、概ね同様の活動を行っており、金融に関する消費者教育の面でも、貯広委と各地委員会が協力して全国レベルでの活動が可能な体制となっております。 第3の特徴は、消費者に密着した活動を展開している組織であるということであります。末尾の資料2をいま一度御覧いただきたいと思いますけれども、地方組織である都道府県貯蓄広報委員会の下に、右下でございますが、貯蓄生活設計推進員、貯蓄生活設計普及地区、金銭教育研究校というものが記載されておりますが、これらが消費者に密着した活動を行う具体的な仕組みでございます。 まず、貯蓄生活設計推進員とは、貯蓄広報委員会の委嘱を受けて、地域における貯蓄や商品に関する勉強会の講師や取りまとめ役となる第一線指導者のことで、一般推進員と地区推進員の2種類がございます。このうち一般推進員は、貯広委会長の委嘱により各都道府県ごとに配置され、県内各地で随時開催される各種学習会等に出向き、一般消費者を対象に私どもの活動に関する講師役等を務めております。 ちなみに、一般推進員は、消費生活アドバイザーや消費生活専門相談員、あるいは小学校の元校長先生など多岐にわたっており、中には都道府県の消費生活センターの職員が当委員会の一般推進員を兼務する場合もございますが、いずれも消費者教育に一定の能力、意欲を有している方々にお願いしております。一方、地区推進員は、後ほど申し上げます貯蓄生活設計普及地区のいわば代表者で、当該普及地区活動の企画、取りまとめ役を務めております。これらの推進員は、12年3月末現在、全国で1,125名となっております。 また、貯蓄生活設計普及地区とは、各地委員会が指定する市民レベルの自主的な学習グループのことであります。「地区」という名称こそ使用しておりますものの、場所的な地域ではなく、学習会活動等を行う一般市民のグループであり、既存の婦人会や町内会、PTA、各種消費者グループのメンバー等で構成されているのが一般的です。 これらの普及地区では、貯広委が作成した教材の提供や講師派遣等の支援を受け、計画的な学習会活動を行っております。1グループ当たりの人数は50名から100名程度で、現在全国に476地区グループが設定されていますので、現時点で合計、おおよそ3万人前後の方々が勉強会活動に参加していることになります。 さらに、その下にございます金銭教育研究校とは、貯蓄広報委員会の指定を受けて、金銭教育の授業を行う小・中学校及び幼稚園のことでございまして、教材・資料の配布等によりサポートしております。委嘱期間は基本的に2年間で、現在全国で111校が委嘱されており、昭和48年の発足以来、平成11年までの累計は1,536校に上っております。 以上、資料2を使って申し上げました内容をレジュメの形で示しましたのが本文の3ページから4ページにかけての部分でございます。 次に、私どもの活動内容につき御説明申し上げます。本文5ページをお開きいただきたいと思います。 冒頭に申し上げましたとおり、私どもの活動内容は時代とともに大きく変化し、現在では貯蓄増強を目的とする活動は行っておらず、「貯蓄と消費のバランスある生活のために」を標榜して、国民生活のより豊かな生活の実現のために、「金融経済情報のサービス」「生活設計の勧め」「金銭教育の普及」を運動の3本柱に掲げ、活動を行っております。 これらの運動の3本柱は、いずれも金融に関する消費者教育の一環として位置付けられると考えておりますが、まず第1の柱である「金融経済情報のサービス」とは、金融経済に関する基本的な知識・情報を中立・公正な立場から消費者に分かりやすく提供する活動です。また、第2の柱である「生活設計の勧め」は、合理的で計画的な生活設計のための関連知識、情報、実践ツール等を提供する活動でございます。さらに、第3の柱である「金銭教育の普及」は、お金の大切さや金融の仕組み等の基礎的な知識を学校での授業活動等を通じ子供たちに普及している活動でありまして、文部省や教育委員会の御協力も得て行っております。私どもでは、これら3本柱を基本として、最近は特に金融関連の知識・情報の提供活動に一段とウェイトを置いた活動を行っております。 次に、具体的な活動内容を御説明いたします。 私どもでは3本柱の消費者教育活動を行うに当たり、中央委員会が主として教育用冊子の作成等の広報活動を、また、各地委員会が主として各地の組織を活用した実践活動を、相互に協力しつつ展開しております。 まず、中央委員会の主な活動を御紹介しますと、5ページの(1)のところでございますが、まず活動の第1は、各種冊子・ビデオの作成・配布でございます。御参考までに、お手元にその一部を配付させていただきましたので、御覧いただきたいと思います。上から順番になっていると思いますけれども、まず最初の「金融商品なんでも百科」というのがございますが、これは個々の金融商品の紹介のほか、金融商品の選び方や金融ビッグバンが生活者に与える影響などをコンパクトにまとめたガイドブックであります。また、その次に入っております預金保険パンフレット、これは預金保険機構の御協力を得て預金保険制度の仕組みを解説したものでございまして、昨年夏以降発行している改訂版だけでも600万部、平成9年の配布開始以来の累計では約1,000万部の配布希望が全国の金融機関や個人の方々から寄せられております。このほか、お手元の「金融商品の保護」というパンフレット、これは預金保険制度のみならず、証券・保険の保護制度を含め、金融に係るセーフティ・ネット全般について解説したパンフレットでありますが、裏面に記載しておりますとおり、当パンフレットは、貯広委が預金保険機構のほか様々な関係団体の御協力をいただき、業界横断的に取りまとめる形で作成させていただいたものであります。また、お手元の「金銭教育の進め方」、これは文部省の御協力を得て学校の先生向けの教科書として作成したもので、現在、改訂版を作成中でございます。 貯広委、中央委員会の第2の活動でありますけれども、手段として新聞・雑誌等のマスメディアや電子メディアを利用した情報提供でございます。新聞や雑誌は必要な知識・情報を国民に幅広く提供し得る手段として積極的に利用しておりますが、最近ではケーブルテレビや衛星放送といった新たな映像メディアからも、貯広委が作成したビデオを放映させてほしいといった要望が増えてきております。 また、貯広委ではホームページによる情報提供も行っておりますが、平成12年中のアクセス件数は157万件と前年比7割弱の大幅増加を見ております。お手元にホームページのパンフレットもございますので、御覧いただきたいと思います。 さらに、平成10年からは全国の一般消費者を対象とした通信教育講座をスタートさせ、逐次その拡充を図っており、平成12年度は18都道府県1,000名を対象に開校しておりますほか、コンピュータによる生活設計診断も行っております。 活動の第3は、シンポジウムや講演会の開催です。特に平成12年度は、最近の預金保険制度やペイオフ解禁の見直しの動きを踏まえ、預金保険、セーフティ・ネットに関する知識・情報の提供活動の一環として、これらの講演会活動の強化を図っております。具体的には、当委員会の金融に係る消費者教育活動に御理解のある著名なエコノミスト・評論家や日本銀行の信用機構室スタッフの御協力をいただき、各地委員会が主催する大規模な講演会に講師として派遣するもので、平成13年度は金融に係る消費者教育の充実の観点から、更に講師陣等の拡充を図る予定でございます。 第4は、調査活動です。貯広委では昭和29年以来、毎年、全国6,000世帯を対象に「貯蓄と消費に関する世論調査」を実施・公表しております。この調査では、貯蓄や消費の実態調査のほか、預金保険制度の認知度調査、ビッグバンに対する国民の意識調査、金融資産選択時の判断分析等、その時々の金融情勢を踏まえた調査も適宜実施しております。こうした調査機能は、金融に係る消費者教育の効果を計測し、消費者に提供すべき金融知識・情報の内容や重点を客観的に把握し、効率的に教育活動を行う上でも重要なものと考えます。 一方、地方組織である各地委員会は実践活動が中心です。6ページを御覧いただきたいと思います。 具体的には、まず第1に、生活設計普及地区及び金銭教育研究校での学習活動です。生活設計普及地区は、3年間の委嘱期間中、一般推進員等を講師に招き、中央組織である貯広委が作成した各種資料やツール等を利用しまして、定期的に勉強会等を開催しております。具体的な活動内容は、各普及地区が各地委員会の支援を受けて、貯広委活動の3本柱の範囲内で自主的に決定しておりますが、大方の普及地区では、参加メンバーが毎月1回、近くの公民館等に集まり、一般推進員を講師に招くなどにより、預金・証券・保険等の金融商品の仕組みやリスクの所在等の勉強をしたり、貯広委作成のビデオを上映したり、あるいは、生活設計表を作成するなどの学習会活動を行っております。また、大蔵省印刷局や日銀、国会議事堂、裁判所、新聞社の見学等を行っておる地区も少なくありません。そもそも普及地区は、金融の専門知識を有しない一般消費者によって構成されておりますので、活動に当たっては、あくまでも一般消費者の立場から、生活に身近で、暮らしに役立つ学習会活動等を行っているのが現状です。 一方、金銭教育研究校では、2年間の委嘱期間中、当該学校の全学年を対象に、お金の大切さや金融に関する基礎的な知識等を、先生方が社会科や家庭科の授業等の中に織り込みながら教育をいたします。金銭教育研究校では、金銭教育の授業を一般の保護者参観と同様、PTAや他の学校の先生等にも公開するとともに、各地委員会ごとに毎年1回開催される金銭教育シンポジウムや、貯広委が年に一度開催する全国金銭教育協議会という会議の場で、金銭教育の具体的進め方等に関する先生方の意見発表や討議が行われているのが一般的です。 各地委員会の活動の第2は、貯蓄生活設計普及地区や金銭教育研究校といった仕組みによらない一般消費者向けの知識・情報提供活動です。具体的な活動内容は多岐にわたりますが、例えば、各地方公共団体が主催する消費生活展に参加し、貯広委作成の金融関連資料やパンフレットを来場者に配布したり、パソコンを使って来場者に生活設計診断を行ったりしています。また、金銭教育研究校以外の一般の学校や商工団体主催の新社会人セミナー等に一般推進員が出向いて、クレジットカードの利用上の留意点等に関し講演する、いわゆる出前講座を実施したり、外部講師を招いての一般消費者向けの講演会活動を行ったりしております。 このほか、貯広委や各地委員会が作成した資料、パンフレットを都道府県や市町村の持つネットワークを使って県内の一般消費者や学校に広く配布したり、ビデオを貸与するなどの活動を行っております。 貯広委及び各地委員会の主な活動は以上のとおりです。 次に、金融に係る消費者教育に実際に携わっている立場から見た、消費者教育推進上の課題につき申し上げます。7ページを御覧いただきたいと思います。 課題の第1は、「金融に関する消費者教育」の重要性に関する社会的認識の向上であります。金融商品・サービスの高度化・専門化が進む中にあって、消費者が適切な資産選択・リスク管理を行いつつ、そのメリットを享受するため、金融に係る消費者教育の重要性は飛躍的に高まっておりますが、この点に対する社会的認識は必ずしも十分でないように思われます。例えば、私どもは多くの団体・機関の御協力を得て消費者教育活動を行っておりますが、地方公共団体や学校の中には、予算やノウハウの制約もあって、消費者教育に積極的に取り組むことの難しさを訴える声も少なからず聞かれるのが実情でございます。この点、今後、「金融に関する消費者教育」を円滑に効果的に進めるためには、その重要性に関する社会的認識の向上を図ることが重要と考えます。 課題の第2は、「金融に関する消費者教育」に関連する諸団体間の連携の強化です。「金融に関する消費者教育」は、私どものほか、民間の各業界団体等でも行われておりますが、基本的にはそれぞれがそれぞれの立場で推進しているのが実情です。このため消費者のニーズやライフサイクルに応じた体系的かつ業界横断的な教育が困難でありますほか、金融商品や取引についての知識・情報の不足から生じたトラブルの教訓が消費者教育に広く活かされる仕組みが整っていないといった問題があるように思われます。私どもでは、最近はこうした点を意識し、「金融商品なんでも百科」や「金融商品の保護」パンフレットの作成のように、業界横断的な機能の強化に取り組んではおりますが、現時点では、率直に申し上げて、なお十分とは申せません。このため、貯広委の参加団体の皆様を初め、「金融に関する消費者教育」に関連するその他の団体との連携に一層積極的に取り組む必要があると考えております。 課題の第3は、「金融に関する消費者教育」の第一線指導者の育成、能力の向上でございます。私どもでは、金融に係る消費者教育の第一線指導者に相当するものとして、全国に一般推進員を配置しておりますが、近年、金融ビッグバンの進展に伴い、金融に関するより高度な知識・情報を求める国民的ニーズが高まっている状況のもと、その一段の能力アップが求められております。このため私どもでは、推進員を対象とした各種研修会の強化を図るとともに、ファイナンシャルプランナー等、金融知識の豊富な人材の新規登用等に取り組んでいるところですが、消費者教育の充実のため、こうした第一線指導者の育成、能力向上に一段と積極的に取り組む必要があると考えます。 最後に、消費者教育の充実に向けて、現場で活動に携わっている立場から、3点申し上げます。8ページを御覧いただきたいと思います。 第1は、消費者により身近な地方公共団体や学校を、消費者教育の場として明確に位置付け、社会的認識の向上を図るということであります。先ほど申し上げましたとおり、「金融に関する消費者教育」を充実させるためには、「金融に関する消費者教育」に対する社会的認識の向上が重要と考えます。そのためには、まず私どもが消費者に対し、専門的で難しいと言われる金融知識等をより平易で分かりやすく提供するなどの一層の努力をする必要がありましょうが、国レベルでも当金融審議会での「金融に関する消費者教育」の重要性に対する認識のもとに、地方公共団体や学校に対し、「金融に関する消費者教育」の重要性を呼びかけ、消費者教育の場として明確に位置付けることが重要と考えます。 ちなみに、私どもでは、長年、地方公共団体や文部省、都道府県教育委員会等の御協力を得て活動を展開しておりますが、例えば、消費者教育資料の県内全域への配布にせよ、消費者の学習活動の場である貯蓄設計普及地区や金銭教育研究校の選定にせよ、更には消費者教育のための講演会活動にせよ、地方公共団体の持つ地域における強力なネットワーク網や住民への影響力の大きさを強く実感しているところです。この点、幅広い国民消費者を対象とした消費者教育活動は、中央政府のほか各地方公共団体の深い理解と積極的な協力があってこそ実現可能であり、地方公共団体の一層の御協力が不可欠であると考えます。 また、文部省では、先般、学習指導要領を改正し、小・中学校は平成14年度から、高校では平成15年度から、既存の教科の枠を超えた「総合的な学習の時間」が導入されることとなりましたが、「金融に関する消費者教育」、即ち私どもで言うところの金銭教育を「総合的な学習の時間」の一つに取り入れるよう、文部省や学校現場に協力を要請したり、提言したりしていただくことも、金融に係る消費者教育を幅広い年齢層に広げ、充実させる上で、大変効率的かつ効果的な方法と考えます。 第2は、貯広委の機能を「プラットフォーム」として一層活用することにより、官民諸団体の連携を強化し、「金融に関する消費者教育」を体系的・効率的に行うということであります。「金融に関する消費者教育」を効率的、効果的に行うためには、関係団体の連携が不可欠であり、私どもとしても、今後、委員団体である各金融団体との連携強化に努めるとともに、委員団体以外の関係団体、諸機関とも新たな関係構築を図る所存でございます。 幸い私どもは構成メンバーとして多数の団体等に参加していただいていることもあって、協力を比較的お願いしやすい立場にあると考えますが、もしこれら団体等の御理解、御協力をいただけるようであれば、例えば、「金融商品なんでも百科」のように、金融商品・サービスに関する横断的な資料の作成・充実を図ることができると考えます。また、苦情・紛争処理機関との情報交換を強化することにより、金融に関する過去の苦情・トラブルを各種教育用資料の内容に反映させるなどの工夫が可能と考えます。更には、例えば、「生涯教育プラン」といった形で消費者のライフサイクルに応じた消費者教育プログラムの構築を検討することも展望し得るように思われます。 もとより、「金融に関する消費者教育」に関連する各団体は、現在それぞれの立場で立派な情報提供活動や教育活動を行っておられ、今後もその一層の充実を図られることを期待いたしますが、こうした活動と並行して、貯広委が、委員団体である金融団体やその他の関係団体等の連携強化に努め、その御協力を得ながら、消費者教育の基礎的ないし共通部分についての、いわば「プラットフォーム」としての機能を提供することができれば、金融に係る消費者教育の充実に多少ともお役に立てるのではないかと考える次第です。 第3は、金融商品・サービスの内容だけでなく、金融取引に関するルールや制度についても消費者教育を行い、消費者の理解を深めるということでございます。貯広委では、既に預金保険パンフレットの作成配布や講演会活動等を通じセーフティ・ネットについての消費者教育活動を行っておりますが、今後も、例えば、「金融商品の販売等に関する法律案」の内容となっております説明義務について、資料の作成配布や講演会活動等を通じ消費者教育を積極的に推進し、理解の浸透を図っていくことが重要と考えます。 以上で、貯蓄広報中央委員会に関する説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 |
○ |
蝋山部会長 どうもありがとうございました。大変興味深い御報告をいただきまして、ありがとうございます。 続きまして、高橋さんからお話を伺って、まとめて自由討議に入らせていただきたく思いますので、よろしくお願いします。 |
○ |
高橋委員 高橋でございます。本日は、「金融に関する消費者教育」につきまして意見発表の機会を与えてくださいまして、誠にありがとうございます。 お手元に、「『金融に関する消費者教育』の充実に向けて」と題したレジュメをお配りいたしました。そのほかに、「第一部会24−3」と記してあります資料編がございます。この資料編の作成につきましては、大蔵省の担当の方々のお手をお煩わせしました。また、その中の資料1、「金融業界における消費者教育・消費者啓発活動の概要」のまとめに当たりましては、本日御出席の金融業界のオブザーバーの皆様に多大な御尽力をいただきました。発表に先立ちまして、大蔵省並びに金融業界の皆様方にお礼を申し上げます。 なお、本日の発表におきましては、なぜ消費者教育が必要か、とりわけ金融分野に関しまして消費者教育の一層の充実が急がれるのかという点につきましては、昨年7月に公表されました、当部会中間整理第1次の「ホールセール・リテールワーキンググループ」のレポートで詳しく言及させていただきましたので、重ねては申し上げません。また、どういう内容の教育がなされるべきなのか、具体的にどんなカリキュラムが作られるべきかにつきましても、発表時間の関係がございまして、本日は申し上げません。ここでは、そうした詳細な検討の取っかかりといたしまして、誰が、あるは、どこがいつまでにどのような形で金融分野の消費者教育を進めるべきなのかに絞りまして、現状報告と海外の事例の検討に基づきまして、幾つかの御提案をさせていただこうと思っております。 それでは、発表に移らせていただきます。 まず、我が国における消費者教育の現状について申し上げます。 どこが行っているのかという活動主体に着目しまして、活動の状況を調べてみました。活動主体は、公的機関、金融業者、消費者関連団体、その他の四つに大きく分けることができます。公的機関の中では、先ほど御説明いただきました貯蓄広報中央委員会の活動が、歴史並びに規模において我が国の金融分野における消費者教育の筆頭に挙げられます。中立・公正、そして全国規模の活動で、教育といっても、消費者の自発的な学習を支援するという点に特徴があると思います。 次に、教育の専管領域である学校における消費者教育というのがあります。日本の場合は、消費者教育が学校教育のプログラムに登場するようになったのは極めて最近のことでございます。1947年度の社会科の学習指導要領に消費者主権を打ち出して、消費者の選択能力を高めることを学習課題といたしましたけれども、高度経済成長時代の到来とともに、社会科から家庭科にこの消費者教育的な学習が移行いたしまして、1980年代半ばぐらいまでは、消費者教育の空白期間と呼ぶ専門家もいるような状況でございます。再び学校教育における消費者教育の必要性が言われ出しましたのは、1985年の豊田商事事件、金のペーパー商法で1,000億円程度の被害が出てからでございます。また、そのころ同時に多重債務による個人破産も増えて、1986年9月に国民生活審議会が「学校における消費者教育について」という意見書を教育課程審議会に提示いたしました。それが契機となりまして、1989年の第6次改訂学習指導要領で「契約の重要性についての理解を含む消費者教育」というのが明示され、学習指導要領の改訂ごとに少しずつ前進をしているといった状況でございます。 現状がどうかにつきましては、資料編の資料2というところに、現行の学習指導要領において金融・消費者保護・消費生活についての言及箇所の抜粋をお示ししてあります。また、小・中学校は平成14年度、高校は平成15年度から、新学習指導要領に基づく教育というのが始まります。新学習指導要領の抜粋は資料3にお付けしてございます。比べてお読みいただきますと、お分かりになると思いますけれども、新しいものは、「中学校で金融の働きと消費者保護行政を学ばせる」とありまして、高校では、公民の政治経済の項目で資金循環と金融機関の働きについての理解や消費者保護など、現行とほぼ同じ書き振りなんですけれども、「内容の取扱い」という注記に「資金循環や金融の働きの学習はマクロ経済の観点を中心に扱うこと」とありまして、家庭科の方でミクロ経済、そして商業科の方で流通とか金融・保険活動及び情報通信システム等を学ぶといったような棲み分けがなされるようでございます。 既存の教科におきましては、以上述べてきましたような状況なのですけれども、注目すべきなのは、先ほども御説明がありました、「総合的な学習の時間」というのが新設されることでございます。資料4に、その概要をお示ししてございますけれども、これまでの教科の枠組みを超えまして、各学校の創意工夫による授業が可能ということでございます。英語教育とか、環境教育とか、コンピュータ教育とか、ボランティア活動などがよく例示されるのですけれども、残念ながら文部省の資料には、経済や金融、また消費者として必要な学びに関する記述というのは、現在のところ見当たりません。教育課程審議会が文部大臣からこの教育課程改善についての諮問を受けたのが平成8年8月でございまして、中間まとめが平成9年11月、答申が平成10年7月でございます。金融システム改革が平成8年11月にスタートしていることを照らし合わせますと、教育に携わる方々に金融分野の消費者教育、経済教育の重要性が、私などが思うほどに認知されていなかったのかなというふうに思うわけでございます。 次に、自治体の消費者行政部門の行っている消費者教育についてです。 消費者教育が行政の課題として議論されるようになったのは、やはり1985年の金のペーパー商法でございました。各地の消費生活センターに苦情が殺到するようになりまして、国会でも取り上げられまして、資産形成取引による消費者被害として問題性がクローズアップされたわけでございます。そこで、そうした被害の未然予防策として、社会教育としての消費者教育というのが新しい展開を見せ始めます。全国の消費生活センターを中心に消費生活講座で契約やクレジットローン、家計管理、生活設計、金融などの教育を行うところが徐々に増え始めまして、現在は「金融ビッグバンと消費者」といったテーマの講座に大変人気が集まっておるようでございます。 次に、消費者教育支援センターによる消費者教育というのがあります。 例の金のペーパー商法によりまして、学校教育並びに社会教育における消費者教育の重要性が指摘されたのを受けましてできた組織でございます。1990年2月に経済企画庁と文部省の共同所管の財団法人として発足いたしました。社会人対象の生涯学習支援も行っているのですけれども、主には学校における消費者教育推進のための教師支援、授業の支援、即ち教材とか教育指導法の開発とか、消費者教育情報の発信、消費者教育教員講座などの開催がその中核となっているようです。次に御説明します金融業界や個別金融機関が作成発行した教材の中で優良なものを表彰するといった、民間発の情報の中立・公正化の普及に果たす役割も大きいというふうに見られると思います。 続きまして、金融業界から発信される消費者教育的な情報につきましてです。 これは資料1にかなり細かくお示ししてあるのですけれども、残念ながら時間の関係で細かい説明は省かせていただきます。業態別に、一般消費者向け、学校教育向け、消費者リーダー向けに分類整理いたしましたけれども、このように一覧表にしてみますと量的には相当なものでございまして、一つの団体でも億単位の年間活動費、事業費を使っているところも少なくなく、消費者の啓発啓蒙並びに消費者リーダー等の働きかけにかける業界の思いというのが伝わってまいります。 続きまして、消費者団体など消費者組織による消費者教育というのもございます。 消費者教育の目的で結成されました日本消費者協会、また、徹底した企業告発で消費者側の権利を守り抜こうという日本消費者連盟さん、それから、金融教育に力を入れつつあります、当部会の委員も出席していただいています原委員のところの消費科学センター、それから、宮部オブザーバーのところの日生協(日本生活協同組合)なども各種講座やパンフレット等の出版物、講演活動等で消費者教育に携わっておられます。また、行政の消費者教育で御紹介いたしました消費生活センター等で相談員業務を行っております人たちの団体、全相協(全国消費生活相談員協会)というのがあるのですけれども、そこも出版物等の活動を積極的に行っておられます。 そのほか、企業が従業員に、あるいは行政組織が公務員に行う教育というのも、この中に加えてよいかというふうに思われます。これまでは退職前準備講座というものが主体だったのですけれども、日本版401Kと言われます確定拠出型年金が導入されますと、投資教育というのがここに入ってこようかと思われます。既に行っている企業もございます。確定拠出型年金につきましては、資料5に今国会に提出されました法案の中から「事業主の責務」という項目を抜粋してあります。これは、消費者教育、投資教育に該当する部分なのですけれども、第二十二条、ここにお示ししてあるもののほかに、第九十七条には、運営管理機関の業務につきまして、もろもろの規定がございます。この辺の規定を読んでいきますと、どこまでが消費者教育なのか、どこからがアドバイス、推奨に当たって、禁止行為に当たるのかというふうなことが分かるわけなのですけれども、こういう投資教育という部分がこれからクローズアッフされてくる可能性が高いというふうに思われます。 それから、業態別分類の最後になりますけれども、民間教育業者、これは数的には非常に少ないのですけれども、非常に特徴的な教育を最近始めているところもあります。 ここにジュニアビジネススクールというのを書きましたけれども、これなどは子供向けの起業、アントレプレナー養成というのをやっています。消費者教育をどこまでの範囲で捉えるかということなんですけれども、イギリスにしても、アメリカにしても、この辺のベンチャーとか起業というあたりも消費者教育の中に入れているようでございます。日本で行っている団体のものですと、例えば、イギリスで行われておりますエンタープライズ・エデュケーションという、自立心養成のための学校用のベンチャーキッズなどという起業家養成のプログラム、それを日本向けに翻訳開発しまして、塾とか通信教育とか、そういう形の教育というのも始まっております。アントレプレナーと金融の関係というのは、実は私は重要であると思っておりまして、資金の出し手としての消費者、投資家ということが新しい消費者教育のテーマに加わってくると言ってもいいのではないかと思います。 それから、最後、FP養成講座というのを書きました。ファイナンシャルプランナー教育というのは、経済生活設計とか運用のアドバイザー、つまりプロ養成の教育なのですけれども、日本ファイナンシャルプランナーズ協会認定のAFP養成講座を見てみますと、必ずしもプロを目指す人ではなくて、一般消費者の受講生が自分の運用の知識を得るためという形で、自らお金を払って学んでいるという状況もございます。そういうことから、ここでは消費者教育に加えさせていただきました。 以上、現状報告に多くの時間を割いてしまいましたけれども、こんなに各方面が尽力しているにもかかわらず、消費者教育の不備というのが指摘されるのはどうしてなのかということを考えなくてはいけないと思います。細かい分析、詳しい調査等が行れれるべきでございますけれども、私が調べたものの中から問題点、改善すべき点をまとめてみました。 まず問題点として挙げられますのは、個々の活動主体が独自の判断で教育及び教材提供を行っているために、対象とか内容に偏りが生じているということでございます。特に金融業界のリスト等を見ていただくと分かるのですけれども、中・高校生向けに教育の集中が見られまして、非常に忙しい時期に一度に証券も銀行も保険もみんな学ぶのかというと、これはやはり無理ではないのかと。小学生向けにもう少し易しくおろせるものなどがあるのではないかと。それから、いろんな講座、セミナーというのがウィークデーの昼間行われるものが多くて、主婦とか退職者には届いているのですけれども、勤労者にはなかなか受講しにくい講座というふうになっているようでございます。 それから、2番目としまして、時代の変化や社会の要請にマッチしていなかったりするというふうに書かせていただきましたけれども、お金は大切、上手に使いましょう、将来のために備えましょう、それももちろん大事なのですけれども、働こうということであったり、勤労の意味で、労働の対価としてのお金であったり、先ほど申し上げましたベンチャー支援とか、もろもろもう少し時代や社会の要請に応えた方向性というのが今求められているのかなというふうにも思います。 それから、改善点の三つ目としまして、全体的に指導者不足と資金難の傾向というのがうかがわれます。中立・公正性を目指せば目指すほど、指導者不足とか資金難に見舞われる傾向が見られます。すぐに効果、結果が出ないということで、金融などの個別企業とか業界では予算がなかなか厳しいというところもあるようでございます。また、消費者の側にも、自ら自腹を切ってといいますか、受講料を払って消費者教育を受けるという人はまだ少ない状況でございますし、また逆に、配布資料がこんなにあって、逆にただだとありがたがらない。パンフレットとか冊子などいただくだけで、実際は読んでいないと、そんなふうなこともあるのではないかと思います。ですから、無駄をなくして、効率的な消費者教育を推進していくということが大切だと思います。 以上のような問題点を解決するには原因を探る必要があるのですけれども、これも私の個人的な見解でございますけれども、一つは、発達段階に応じて体系的な教育プログラムが作られていないことに起因するのではないか、そして、2番目には、消費者の意識調査や実態調査に基づいていないということではないか、それから、三つ目は、金融分野の教育の重要性が社会的に認知されていないからではないか。ほぼこの3点に集約されるように思います。 また、今後の方向性としましては、強力なリーダーシップと幅広いパートナーシップによる迅速な取組みというのが求められると考えます。特に教育プログラムの策定とか社会的認知のためには、リーダーシップとパートナーシップというのが不可欠だと思います。先ほどの貯蓄広報中央委員会さんの方からも同じような御指摘がございましたけれども、そういう面というのは非常に強いと思います。それから、金融ビッグバンの進展のスピード、あるいは預金保険等のセーフティ・ネットの特例措置の解除等を考え合わせますと、相当なスピード感を持って取り組む必要があるというふうに思っております。 以上が、現状報告と改善の方向性に関する私の意見でございます。 続きまして、レジュメの2枚目になりますけれども、海外の消費者教育につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。 金融システム改革の先進国、かつ情報が取りやすいという点で、今回はアメリカとイギリスの2カ国のケースを見てみたいと思います。 アメリカにおけます消費者教育の取組みにつきまして、その特徴を五つほど挙げてみました。まず、長い歴史を有すること。2点目としまして、国の重要政策に位置付けられていること。3点目、教材の研究開発や教師に対する教育が非常に盛んであること。この三つというのは、学校教育に力点が置かれているということを示しているというふうにも言えると思います。それから、4点目は、金融監督当局が一般消費者の教育に関与しているということ。それから、5点目が、消費者団体による消費者教育がうまく軌道に乗っていて、資金源として活動を活発化させているというところが見られます。 学校教育におきましては、講義法による指導というよりはQ&Aとかディスカッション方式とかプロジェクト学習とかロールプレイングゲームとか、問題解決型、応用力の獲得に力点を置いた、多彩な実践的なプログラムがアメリカではあるということでございます。企業が自社の利益に直接つながらなくても、経済教材とか消費者教育教材を作成して、学校教育を非常に支援している流れがあることも付け加えておきたいと思います。 それから、消費者教育、経済教育重視の政策がとられておりますけれども、消費者教育が行政の施策として実行されるのではなくて、個々の学校の裁量権が広いという点も、我が国とは異なる伝統だと思います。1997年に経済教育のスタンダードの全米基準というのがNCEEから示されたわけなのですけれども、アメリカにおいては教育権というのは各州の専管事項でございますので、どういう教育を具体的に行うのかということに当たりましては、教育団体とかリソースセンターのようなものがうまく機能して、教育の展開につながっているというふうに言えると思います。 それから、金融分野についての特に教育ということで、このレジュメには載せなかったのですけれども、NCFE(アメリカ・ファイナンシャル教育センター)のような組織もございまして、ここなどは社会保障制度や医療保険に頼り切らないで、よりよい貯蓄とか消費、生活設計を進める教育で、アメリカの貯蓄率の向上も企画するような非営利の教育団体などというのもございます。そこではマネー・ブックという刊行物を出しているようです。また、CU(コンシューマズ・ユニオン)はコンシューマズレポートを始めまして、金融知識の教育に消費者団体が乗り出しています。それから、消費者団体だけではなくて、CCCS──消費者クレジット・カウンセリング・サービスの略なんですけれども、こういうセンターでも低所得者向けのクレジット教育なども力を入れています。 また、監督機関の方の情報提供としましては、例えば、インターネットを使って一般の消費者からの苦情収集も行いまして、そうしたコンプレイン・リストのようなものを発表しまして、苦情の多い会社というのを消費者に知らせて、過去3年間のものを知らせて、主体的な選択ができるような情報を流しているというようなこともあります。それから、SECなどでも、意思決定をするための手順、金融業者等に何を尋ねたらいいのか、どういうことを確認すれば安全な取引ができるのかというようなチェックリストのようなものもネットを通じて積極的に公開しております。これなども消費者教育の中に入れていいのではないかと思います。 続きまして、イギリスの取組みに移りたいと思います。 ここでも特徴を五つほどにまとめてみました。まず1点目、イギリスの場合は、1998年から重点的な取組みを開始いたしました。早くから取り組んでいるアメリカよりも、日本にとっては非常にお手本になるケースではないかというふうに思われます。2点目といたしまして、FSA(金融サービス機構)、日本でいいますと金融庁に当たるような組織でございますけれども、ここがリーダーシップをとっていて、三つ目の産業界とか教育界、官庁、消費者団体、メディア、ボランティア団体など、学校教育機関も含めまして、パートナーシップを組んでいるということでございます。そして4点目、消費者教育の対象が非常に幅広いという特徴がございます。ですが、ターゲットを絞りまして、プライオリティをつけて、優先的にどこにどういう教育を行うのかというふうなことを詳細に検討しているようです。5番目に、FSA(金融サービス機構)がインターネットを使って、効果的に消費者教育を推進している。双方向性のインタラクティブのいいところを非常につかんだ教育というのをやっています。ホームページを見ますと、何度か改訂しているのですけれども、改訂するたびに非常に分かりやすく、一般の人に使いやすいものになっていると思います。 こうした動きというのは、イギリスの場合はブレア政権になってからの取組みということになるのですけれども、1998年、ここに書いてありますように、FSAが調査報告書を出したところからスタートしております。この調査報告書というのは、ジェーン・バスさんという独立の消費生活コンサルタントの方が、今どんな教育が行われているかに関しての調査レポートを提出しました。それを受けまして、8カ月後にFSAが消費者教育の戦略というのを出しまして、徐々にタウンミーティングなど、セミナーのようなものを催して、広報活動をしながら、約1年ちょっとたった段階では、消費者教育推進のスケジュールというのを公表しています。タイムラインをしっかり出しておりまして、今年の4月、2000年の4月に、報告書が上がってから約2年なんですけれども、かなりのところまで予定通りにこぎつけている状況だというふうに判断しています。 これは、金融サービスマーケット法案というのが今討議されておりますけれども、そちらで、FSAに消費者教育の義務を課しているということと、出版物の刊行を許している。これを明定したところから始まっておりまして、まだ実際の法案は成立に至っていないにもかかわらず、どんどん事を進めているという、日本ではちょっと考えられないようなスピード感のある消費者対策が行われております。FSAはコンシューマー・リレーションズ・ディビジョンという専門のセクションを作りまして、消費者関係予算というのもしっかりとった。2000年度のを見てみますと、日本円換算でざっと14億円ぐらいとっておりまして、そのうちコンシューマー・エデュケーションをワークさせるためにだけ3億円程度という状況のようでございます。ちなみに、イギリスの人口というのは日本の約半分なのですけれども、その辺から見ましても、今、業界が使っている予算とか、貯蓄広報中央委員会がお使いの予算などから見ますと、かなり効率的に実施しているのかなという印象を持っております。 最後にまとめに入りますけれども、消費者教育の推進に関する提案でございます。 以上、日本の現状とか英米の取組みについて御紹介してまいりましたけれども、消費者教育を今後推進していくに当たりまして、3点ほど私から御提案させていただきたいと思います。 1点目は、金融庁あるいは貯蓄広報中央委員会が消費者教育推進のためのリーダー的役割を担うのが適当ではないかと。そのための予算措置を講じるべきであるということでございます。金融庁が来る7月からスタートするわけなのですけれども、例えば、イギリスの例に倣いまして、消費者教育の担当の窓口、部署を作って、消費者教育の推進委員会などを設けて、各種団体とパートナーシップを組む、そういう形で我が国の金融分野における消費者教育を推進するというようなことを、当審議会報告に盛り込むができたらというふうに私は希望しております。 資料6に、「金融庁設置法における『金融に係る知識の普及』に関する規定」というものを載せてあります。資料の一番最後のページになるのですけれども、新しく発足します金融庁が消費者教育対応に力を入れることを公表いたしますれば、日本の一般消費者の学習意欲とか、学校教育に与えるインパクトというのは相当大きいのではないかなというふうに考えております。また、より速く進めるという観点では、貯蓄広報中央委員会の組織で同様のことを行うことも可能ではないのかというふうに思います。貯蓄広報中央委員会の中には現在大蔵省が入っておられるわけなんですけれども、7月からは金融庁が入るということでございますので、そういう幅広く金融をとらえるという形で横断的な政策がとれるのではないかと思います。ただし、その場合、私見でございますけれども、現在のような貯蓄広報中央委員会という名前ですと、現在、横断的に投資のこともローンのことも、もろもろやっておられるにもかかわらず、誤解を招く可能性がありますので、名称改変等も含めて、お考えいただけたらというふうに思います。実施の開始のめどというのは、私は、2002年の4月頃、預金保険等の保護が外れる頃には全てのプログラムが明らかになって、テスト教育が始まると、このぐらいを期待しております。 それから、2点目は、実態調査から着手して、遅くとも2002年4月には金融分野に関する新しい消費者教育をスタートさせる必要があるということでございます。体系的教育プログラムを作るために調査というのは欠かせないと思います。イギリスの場合には委託調査から始まっておりますけれども、日本も最初はそういうような形でもよろしいのではないかと思います。その結果を踏まえまして、達成目標とか具体的なスケジュールを明確に国民に示していただくことが大切だと思います。 3点目、学校教育におきましては、「総合的な学習の時間」の活用を、一般消費者に対しましてはインターネットを使った教育の推進というのが短期的にすぐに着手していただけるテーマではないかというふうに思います。学校教育におけます「総合的な学習の時間」といいますのは、学習単位数で見ますと、国語とか算数とか、いろいろあるんですけれども、小・中学校では1割以上占めていまして、週1時間なんていうものではなくて、かなり重みがあって、融通がきいて、まとめてやったり、いろいろ工夫ができる時間でございますので、そこのところに教材の提供ですとか、教員の方々への働きですとか、これは、この1年ぐらいの間にかなり機動的に動けば可能なことではないかというふうに考えます。 それから、一般消費者に対しましては、インターネットというふうに申し上げましたけれども、中高年のオピニオンリーダーの方々、それから、若年層が幅広く、このネットの教育に参加してくれるのではないかというふうに思われます。また、苦情処理とか紛争処理につながるような、双方向性の意見の取りまとめといいますか、コンシューマーの窓口なんていうのも開いたらよろしいのではないかと思います。 以上をもちまして、私からの発表を終わらせていただきます。これをたたき台といたしまして、部会としての討議が深まることを願っております。 |
○ |
蝋山部会長 どうもありがとうございました。貯広委並びに高橋委員のお二つの報告を頂戴いたしまして、大変、議論のためとして、出発点として参考になったのではないかというふうに思いますが、それでも恐らくいろいろ御意見なり、御質問なりがおありになるのではないかというふうに思います。どなたに対する御質問かということをはっきりさせた上で、どうぞお願いしたいというふうに思います。いかかでございましょうか。 上柳さん、このパンフレットをさっきから一生懸命御覧になって、御感想があるようですけれども、どうぞ。 |
○ |
上柳委員 まさに、体系的ではないんですけれども、感覚的に思ったんですけれども、伺って、本当にいろんなことをやっていらっしゃるんだなというふうに、これはお世辞でも何でもなくて、感心いたしました。歴史も長いようですし、高橋さんのお話でも、豊田商事以来、いろんな取組みがあるんだなということで、よく勉強したいと思うんですが、ただやっぱり、それでもなかなか効果的でないというところが何なのかというやっぱり分析なんでしょう。 それから、もう一つ、今、新学習指導要領を見せていただいて思ったんですけれども、何か私が想像した以上に、何か倹約第一というのか、もちろん道徳と関連させないとなかなか時間がとれないということでこういうふうになっているんだとは思うんですけれども、私は決してリスクテイクを、あるいは金融の新しい流れに余り過度に適応しない方がいいというふうに個人的には思っておるんですが、何となく、こういうことで日銀の皆さん方は満足されておられるのか、率直な意見をむしろお聞きしたいんですが。 |
○ |
蝋山部会長 いかがでしょうか、大西さん。 |
○ |
大西日本銀行前情報サービス局長 私どもの活動を年代別に分けますと、いわば大人に対する情報提供と、それから、子供に対する情報提供及び若干の教育という、そういう2本立てになると思います。一般の大人に対しては、金融経済情報のかなり高度な知識を普及させるという点と、但し、一般の消費者はそうそう最初から高度な情報を持っていっても受け付けないという事情がありますので、その前提として生活設計といったようなところから始めて、そして、それを次第に高度な預金保険制度の改訂の問題等につなげていくというのが、その考え方でございまして、言ってみれば、私どもの三つの柱のうちの上二つ、1と2が、いわば大人用の消費者教育を、基礎編と、いわば、何といいますか、より高度な部分とをやっているということだと思います。一方、3番目の金銭教育ということですけれども、これは、あくまでも幼稚園、小学校、せいぜい中学校までが対象でございますので、当然、やや道徳的な部分というのが含まれてくるのは、大人とは異なる特徴だろうというふうに思っております。いずれにしましても、大人の一般消費者、それから、一般の子供たち、両方ともやはり、何といいますか、高度な知識を直接提供しても、そう受け付けるものではないと。もっと基礎からやっていくんだという考え方でございまして、今御指摘いただいた倹約でございましょうか、そんなような部分、言ってみれば、お金を使い過ぎる、あるいはカードを多用するといったようなことに対する警告という意味で御理解をいただきたいと思います。 なお、現在の金銭教育の進め方につきましては、先ほどもプレゼンテーションで申し上げましたが、将来の「総合的な学習の時間」に貢献できるように、文部省と協力して改訂を今進めているところでございます。 以上です。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ。 |
○ |
上柳委員 倹約が美徳でないと私は言うつもりじゃなくて、それだけで何か余りにきれいごとにすぎるんじゃないかということと、これはもちろん、指導の具体的なやり方というのは現場で工夫されるんでしょうけれども、子供たちなり、あるいは生徒さんに何かほとんど響かないんじゃないかなと思ったりするんですね。 全然話が飛んじゃうのかもわかりませんけれども、私も今、いろんな多重債務者の方であるとか、あるいは、場合によっては証券・金融被害の方々の御相談を受けても、それこそ自分が幾ら使っているのかとか、自分が幾ら借金があり、あるいは財産を持っているのか、何で今厳しいのかとかということについて認識されていない方が何か多いような気がしているんです。もっと言えば、昔は、倹約するとか、あるいは貯蓄するというのが家庭内教育で、ある意味作られてきて、日本の秩序というのが、あるいは貯蓄率の高さというのができてきたんじゃないかと思うんですけど、何かそういうのが失われて、もうどうなってもいいやというような感じで、そういう意味での、そのしつけ的なものも失われているような気がして、そういう意味では、まさに高橋さんがおっしゃるように、全部役所なりFSAに任せるのもどうかと思いますけれども、やっぱり経済のことをよく分かっている、あるいは考えながら、基本的なお金に対する考え方というのを示していくような気がしているんですね。そういう意味で、もう少し、多面的かつ子供の実態に合ったというふうにならないと、なかなか、何かとにかくテキストだけできているような気がして……。すみません。以上にします。 |
○ |
蝋山部会長 御意見として、ありがとうございます。 吉野さん、どうぞ。 |
○ |
吉野委員 まず、これ、印象なんですけど、やっぱりアメリカとかイギリスは、3分の1が預貯金で、あと、ほかが資産ですから、やっぱり個人として何かいろんなことを自分でやらなくちゃいけないというのがあるんだと思うんですね。例えば、アメリカの普通の家庭に行っても、株がどうかとか、日本の景気はどうかと、今これから日本株に投資していいかという、そういうのが日常の会話で出てくるところだと思うんです。ですから、そういう意味では、ここでアメリカとイギリスが非常にこういうのが発達しているというのはよく分かるのではないかと思います。 それで、先ほどいろいろな消費者へのサービスが出されているというんですけれども、じゃ一体どれが一番これまで利用されてて、使われているのかというのがよく分かりませんので、例えば貯蓄広報中央委員会の中で、何によって情報を得ましたかというようなことが、これまでアンケートで聞かれていた部分があったと思うんですけれども、ここら辺の団体の中から、どういうところを使って情報を得られたかとかというようなものもお聞きいただけると、今後の活動に対してもいいのではないかと思うんですが。 それから、あとやっぱり中立的な情報というのを、先ほど皆さんおっしゃっていましたけれども、中立的な機関がやるということは、ぜひ必要だと思います。 もし、今後調べていただけるとすれば、最近ドイツとかフランスもポートフォリオが変わってきておりまして、ドイツとかフランスで、ドイツなんか特に定期預金の比率が減ってきて、今3分の1ぐらいに減ってきていると思うんですが、そういうところでこういう消費者教育というのがプラスに役立っていったのかどうか。逆に言うと、国民の方がさきにそっちに行って、それから教育が後追いするという面もあるような気がいたしまして、ですから、そのあたりも、もともと日本はやはりドイツ、フランス型ですから、アメリカと違う面があるかと思います。それが印象です。 |
○ |
蝋山部会長 もしも、すぐお答えできることであれば、お答えいただいても結構ですが、なかったら、一つの課題としてお聞きおきいただければというふうに思います。 原さん、どうぞ。 |
○ |
原委員 私どもの組織、高橋委員の方からちょっと紹介もしていただきましたけれども、消費者教育を30年近くやってきています。こういった金融関係についても、ここ3年間、毎年シリーズとして8回のシリーズを開いていて、高橋委員にも受講者として来て、何かもったいないぐらいなんですけれど、1,000円払っていただいて受講者として来ていただいたり、私が講師としてしゃべったりとかって、こういうことをしているんですが、なかなか消費者教育というのは、金融に限らず大変難しいというところがありまして、消費者教育自体どうしていくのかというところが全体的に、規制緩和後の社会的なルールとともに大事な点だというふうには思っております。 特に金融に限って言いますと、高橋さんがすごくきれいに切り分けてくださっているので、この発達段階のところで言いますと、子供たちのところは、今、上柳先生がおっしゃられたように、とても金銭教育に偏っているというような感じがしていまして、貯蓄広報中央委員会の方で出された子供向けのビデオというのを見させていただいたんですが、やはりどうしても、ここにあるような、お金は大事ですよ、倹約をしましょうとか、倹約まではいかないですけれども、賢い使い方というんでしょうか、そういうのをというふうなところにまだとどまっている。それから、小学校でも、お買い物ごっこみたいのはやっていますけれども、みんなやっぱりお金の価値ですよね。 ところが、今、私たち一般消費者になってくると、それまで貯蓄広報中央委員会がやっていらっしゃった、家計簿的な金銭教育的なところからものすごく関心が変わってきていて、特にこの3年ぐらい変わっているということを感じていて、私どもも講座を組みましたし、それから、こちらの「金融商品なんでも百科」というのを、今日、値段がついていませんけれど、たしか250円なんですね。それで、ダイエーの碑文谷店なんかに行くと、平積みをされて、かなり売れているというような感じなので、やはり情報としても、皆さん、中立的な情報を欲しがっていると。それは、それまでそれぞれの業界団体がおやりになっていらっしゃったものというのは、やはりどちらかというと、半分PRが入っているかなというようなところがあって、こういった中立的な情報を非常に皆さん欲しがっている段階に今来ているというのは確かに思います。 私どもの講座も3回というふうに言いましたけれども、3回目の今年の年明けにやったのは一番人数が少なくて、なぜ人数が少なかったかというと、やっぱりPR不足というところがあって、これが一般誌にこういうのをやっていますよというと、相当な方々からの申込みを受けておりますので、皆さん、家計簿的な発想とか金銭教育的な発想のところから、やはり金融商品、かなりアメリカ型になってきているというふうに思っていて、商品としての金融というものに関心が高まっているので、今、本当に消費者教育が、金融庁にしても、それから、貯蓄広報中央委員会にしても、大事かなというふうに思っております。貯蓄広報中央委員会に私も講師として今年の3月、町田で話をしたんですが、これもすごいたくさんの人が集まっていらして、ここの組織と私どもは随分長いおつき合いがあるんですが、全国的に草の根的な組織をたくさん抱えていらして、たしか 500ぐらい抱えていらっしゃると思うんですけれど、それはとても私としては活用していくというのは非常に有効な感じがしていて、家計簿的なところから、でもやっぱり大きく舵をちょっと切らないと、だから、これはすごくヒットしたと思うんですけど、多分こちらの感じに舵を切っていくというところになれば、担い手としてかなり有効ではないかなというふうに私も感じております。 長くなって申し訳ありません。 |
○ |
蝋山部会長 今の点について、関口さん、どうぞ。 |
○ |
関口日本銀行情報サービス局貯蓄情報課長 1点、先ほどからのお話の中で、金銭教育に関しましては、やや道徳的な部分の要素が高いのではないかというのを御指摘いただいております。その点につきまして、若干コメントさせていただきたいと思います。 今お配りしておりますのは、まず、一つはやや言い訳になりますが、ちょっと古いものでございまして、平成2年のものでございます。先ほど申し上げましたように、金銭教育につきましては、道徳的な部分と知識的な部分、二つの要素があるわけですが、今、もうちょっとウェイトを変える方向で、「総合的な学習の時間」の中に組み込むように、既に文部省の方を具体的に執筆者の一人として加える方向で進めておりまして、かなり作業は進んでいるということで御理解いただきたいと思います。 もう一つ、ちょっと実情として申し上げたいのは、こういった金銭に関する消費者教育を学校現場に具体的に進めていく場合には、当然、学校現場の御理解をいただかないと進まないわけでございます。その際、今の学校現場の実情は、やはり金銭というものに対する、なかなかいろいろ誤解等もございまして、やはりなかなか受け付けがたい。こういった金銭教育という場合、やはり道徳的な部分である程度入っていかないと、学校の先生や学校現場が受け付けてくれにくいという実情が実際のところございます。もちろん、学校現場も、当然私どもとか、理解を深めていただきまして、少しずつ変わってはおりますけれども、そういった、実際に私どもが進めたい、こういった金融知識的なものを進めていく場合には、そういった配慮もしていかないと、実際、学校現場に降りていかないという実情があることは、若干御理解いただければありがたいというふうに考えます。 |
○ |
蝋山部会長 もう一つ、大きく舵を切る可能性というのは、貯広委としていかがですか。今、原さんの御意見の中で、消費生活の合理化から金融商品の選択というところに大きく舵をとる──家計簿から資産簿の世界へと言ってもいいかと思いますが、そういうような可能性というのは、いかがなものなんでしょうか。 |
○ |
大西日本銀行前情報サービス局長 今おっしゃっていることは、現実問題としては、私どもも舵はもう既に切っているつもりなわけですけれども、恐らくそれをもっとテンポを速くすべきだということだと思います。もともと終戦直後の貯蓄増強運動から始まったわけでございますから、当然最初は預金を中心にした活動ということになったわけですけれども、1970年代以降、そういった貯蓄の量的拡大みたいなことは全く目標にしてはおりませんで、むしろ資産・負債、両サイドの、資産サイドでいえば、ポートフォリオ・セレクションを一般消費者が自主的に行うに当たってどういう知識が必要かという、そういう意味では、預金だけではなくて、有価証券、年金、保険といったものを含めた金融商品の知識を提供する必要があるという方向に進んできております。一方で、負債サイドでは、やはりカードローンとか、そういう問題もございますし、だから、資産・負債、両サイドの、いわば、どういったもので資産・負債を持つかという点についての一般的な知識を提供する方向に進んでいるということでございまして、この方向性については、既に我々は進めていると思っておりますので、恐らくそのテンポをもっと速めるべきだと、そういうことだろうと理解いたしますが、それについては全く同感でございます。 |
○ |
蝋山部会長 ちなみに、「金融商品なんでも百科」は何部売れているんですか、印刷されているんですか。印刷部数からいえば。概算で結構です。 |
○ |
大西日本銀行前情報サービス局長 20万部でございます。 |
○ |
蝋山部会長 20万部。すごいですね。ありがとうございました。 ほかに、御質問なり、御意見ございませんか。オブザーバーの方で何かございませんでしょうか。 |
○ |
奥オブザーバー ちょっとよろしいでしょうか。 |
○ |
蝋山部会長 どうぞ。 |
○ |
奥オブザーバー 高橋先生のこの資料を見ていまして、学校教育の現場での実態を、よくまとめていらっしゃると感じると同時に、どうしてここに数学が入っていないのか、又は算数というカリキュラムで金融商品を扱っていないのかなということが一つ不思議に思ったんです。 全銀協と何ら関係ない話ではあるんですが、私が、アメリカに滞在しましたときに、子供の教育で非常に苦労したんですが、先ほどアメリカにおける資産の中で株とかそういう話がどんどん出てくるという話に関連して、まず小学校から中学校にかけまして、数学の教科書の中に単利とか複利とか割引とか、そういう話が非常に分かりやすく、例えば、トレジャリーボンド、トレジャリービル、それからCD、そういうことがどんどんできちゃうんですね。これ、日本で、銀行預金がどうだとか、それから、国債がどうだとかということは余り出てこないんじゃないかと思うんですね。そういうものが、実際に扱っているお父さん、お母さんが持っているものとか、そういうものと、あ、金利がこうなのか、金利が変動した時にはこうなるのかというようなことが非常に実体験として分かるような感じがしました。そういう意味で公民とかそういうところではなくて、むしろ数学の中でそういうものを見ていけば、リスクとは何かとか、いくらのリスクだとか、金利が変わればこういうことになりますねとかが分かりやすくなるんじゃないかなということを当時感じたことがありますので、一言だけちょっと申し上げておきます。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございます。かつて、アメリカで最大の印刷を誇ったのは、金利償還表のはずですね。要するに、金利と現在価値とを対応させて、まだロータスやエクセルが出てこない前の話ですが、そういうことは、今の奥さんの御指摘と一致すると思います。1ドルでガバメント・プリンティング・センターで入手できて、一番部数がはけた出版物だということを聞いたことがあります。ありがとうございます。 関さん、どうぞ。 |
○ |
関オブザーバー 今日、御報告があった学校教育の問題なんですけれども、この指導要領なんかを見ますと、金融という言葉が入ってきたり、また、高校ぐらいに行きますと、資金の循環とかそういうものになるんですが、実際に出ている教科書を見ますと、金融といいましても、証券についての言及というのは極めて微々たるものになっているというのが実際の状況なんです。そういうことは分かっていますので、私どもも今日の資料の中で紹介していただいておりますが、私どもの協会、それから投信協会、東京証券取引所、証券広報センターが協力して、カリキュラムについていろいろ証券関係についても入れてほしいということを、反復して種々の努力をしているわけであります。ただ、実際やってみますと、それはなかなか簡単ではないということを非常に実感するわけでありまして、つまり、カリキュラムということになると、目いっぱい教えたいことがたくさんあるので、その中で新しいのを入れようとすると、どこか外さなきゃならないというようなことになり、実際には非常に難しいということを感じております。 それとの関係で、実は一連のビッグバンの過程で、大蔵省関係だけじゃなくて、例えば法務省の分野の動きとか、そういったものが一連で動き出したということは、ビッグバンが政府の方針ということになりましたので、非常に進んだわけですけれども、学校教育といった面についても、そうした市場改革の一環として、そういったことが必要であるという方向が出てきてもいいんじゃないかなという感じがしているということが第1点です。 それから、第2点は、高橋さんの御提案の三つの中の1番目のところというのが非常に重要なポイントだと思います。それで、その前に、資料の24−2で御紹介がありますけれども、アメリカでSECが相当投資家教育というものに力を入れている。それから、イギリスでも、FSA、これは日本でいう金融監督庁でありますけれども、金融監督庁の職務として、そういったことがきちんと書かれている。一連の市場改革の議論の中で、アメリカとかイギリスの監督官庁というのは、ルールをきちんと厳格に適用するというところにアクセントがかかっているということだけが紹介されますが、現実には、SECでも、FSAでも、証券規制をする前提としての、今までの我々の議論である、自己責任の前提となる環境をどうやって整備するかとか、そういったことを国の仕事として、監督官庁の仕事として認識しているというところがあるわけです。そこを指摘されているのが高橋さんの御提案でありまして、今度、金融審議会として教育の問題を取り上げるについて、そこのところについては、ぜひ明確に、どういう受け止め方をするのかということを、国の行政として、監督官庁として、どういう受け止め方をするのかということを明確にしていただくということが大事じゃないかなという気がいたします。 以上であります。 |
○ |
蝋山部会長 あとお一人。もしも、高橋さんなり、今の関さんの御意見に関してコメントがあればと思いますが、一言、それで、奥さんの方、向こうへ回します。 |
○ |
高橋委員 御意見、たくさんありがとうございます。やはり学校教育の問題は、文部省の方の教育課程の方の問題が多いんですけど、重ねて申し上げますと、「総合的な学習の時間」というところにどれだけ入り込めるかというのが、今のポイントだと思います。現状を見ますと、やはり小学生という初等教育段階での経済教育が一番おくれているというふうに思います。今ちょっとこれを持ってきましたのは、アメリカの子供とお金という消費者教育のための指導書なんですけれども、これは小学生あてに出されているんですが、例えば、節約というものを学ぶのに、どういうふうにやるかというと、教室にあるものか、学校で使うものの中で節約する方法をリストで作りまして、ゴムボールですとか、具体的なもので節約競争をやるとかということで、節約すると、どういうメリットがあるのかというふうなことを実感するとか、貯金というときには、必ず目的というものを明確にして、話し合いまでするということ。それから、先ほど関さんがおっしゃいました、投資に関しては、もちろん非常に力が入っているわけなんですけれども、例えば、3年生から6年生ぐらいを対象にした教育でいえば、誰がフォードの自動車会社を設立した人なんですかと、こんなところの質問から入っていって、会社の現在の所有者とか、会社というのは誰のものなのかとか、そういうところから株式投資ということを学んでいくとか、これも小学校4年生から6年生なんですが、ウォールストリートジャーナル紙を用意して、児童それぞれに株を選ばせて、その変化というものを見て、分析をさせるとか、クラスで会社組織を作って、株券を作るゲームなんていうのもやっているんですね、小学校で。ですから、実際に資本主義経済といいますか、市場経済というものを学ばせていると。何も全部外国に学ぶのがいいとは思いませんけれども、経済の仕組みからいえば、こういう工夫というものが今後されていくということが大事だというふうに思います。 それから、数学の点、1点だけなんですが、多分、日本は数学教育のレベルがかなり高いということで、文部省では入れていないようなのですけれども、イギリスでは、やはり計算能力がかなり劣っていると。パーセンテージが分からないということで、FSAは今のプログラムに数学、計算能力ということを非常に入れているということがございます。 以上です。 |
○ |
蝋山部会長 今は分数もできない大学生がたくさんいるそうですが。 石橋さん、どうぞ。 |
○ |
石橋オブザーバー 恐れ入ります。簡単にさせていただきます。 関さんのお話とも関連するんですが、ビッグバンという大きな動きの中で、やはり社会自体が自助努力社会に変化をしていこうという大きなうねりの中で、やはり生命保険分野についても、これはほかの貯蓄とかということとは、また違った意味合いで大きな要素となってくるんではないかというふうに思っておりまして、生命保険文化センターで、我々、文部省あるいは実際に直接、教科書の執筆者の方々にお願いもしているんですが、なかなかやはり要領の範囲の中で入り切れないということで、我々が満足のいくような形にはなっていないんですが、中学校の実際の教科書を見てみますと、ほとんど入っていない。それから、高校になったら、もう皆無に近い状態という形になっておりまして、我々業界の努力不足という面もあるかもしれませんが、大きなやはり社会のうねりという形の中で、金融商品あるいは保険も含めての位置付けをどういうふうにしていくかということも、ぜひ御検討の頭に入れていただければというふうにお願いをする次第でございます。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 この問題は、教育の問題というのは、我々、議論するのは大好きでありまして、幾らやっても切りがないんです。しかし、ある種、金融に関する教育というのは、教育・啓蒙活動というものを今後どういうふうに戦略的にやっていくかという点、アメリカの、どちらかといえば自然発生的な民間主導のスタイルと、それから、イギリスの、もっとはっきりした、FSAが遅れてスタートしたのでしょうか、のようなケース。恐らくドイツなりフランスなりというのも、またそれなりのイギリス型に近いものを持っているのではないかと想像しますが、今後の日本でどういうふうにこれを進めていくべきかということに関して、もう少し議論というものが惹起されなければならないのではないかというふうに思います。 ちなみに、「月刊資本市場」という雑誌がありまして、そこの2000年4月号に、東京証券取引所の広報室の課長の赤峰さんという方が、今なぜ証券教育かということで、「日米における金融・証券教育の試み」ということの論文がありまして、これは私は大変興味深く拝見いたしました。やや株式投資ゲームにページ数を割き過ぎている面もないわけではありませんけど、これは仕方がないことでしょう。赤嶺さんの書かれたものと高橋さんのお話をあわせてみますと、一層日本の今日の課題というものがクリアになってくるのではないかというふうに思います。しかし、同時に、今日、議論できなかったのは、天に唾することなんですが、高等教育における、いわば指導者をどういうふうに造っていくかという点に関して、日本は大変弱いということも、あえて付言させていただきたく思います。 高橋さんの中にNCEEというのが出ていますが、どっちのNCEE? ナショナルセンターの方ね。もう一つ、ナショナル・カウンシル・オブ・エコノミック・エデュケーションという組織がありまして、これは、幼稚園児から12歳までの、トゥエレフス・グレードまでの人を対象にした仕組みをどうするか。株式投資ゲームなんかはここでやっているわけですが、それに対応して、ナショナル・アソシエーション・オブ・エコノミックス・エデュケーテイズかな、そういうNAEEというのがありまして、全国260余りの大学に散らばっていて、メンバーがいて、その人たちを教育することで、NCEEの活動を、いわば広めようとしている。だから、指導者養成を非常に大事にやっているようですね。そういうような点も、日本の大学、高等教育における、ある種の大きな問題点を、金融教育という面をとっても、すぐ分かるんじゃないかなというふうに思います。こういうことも含めて、高橋さんに今後の研究をぜひお願いしたい。最終的な報告書に何らかの、いわば彩りをつけたいというふうに考えたく思います。 大分時間が過ぎてしまいまして、松川さんはもうイライラしているかと思いますが、今日は、教育の問題につきまして、御報告を頂戴いたしまして、ありがとうございました。 それでは、続きまして、もう一つ、昨年の10月から検討を進めていただいておりました「証券決済システムの改革に関するWG」より、その中間報告としての「証券決済システムの改革について」という御報告を頂戴したいというふうに思います。 松川さん、よろしくお願いします。 |
○ |
松川市場課長 それでは、座長の池尾さんの日程の調整の関係がございまして、私が代わりまして、ワーキングの状況について御説明させていただきます。 お手元の資料の24−4を御覧いただきたいと存じます。 証券決済システム改革のワーキングは、証券決済の仕組み、即ち証券の引渡しと、それに対応するところの資金の支払いの仕組みにつきまして、より安全で、かつ効率性、利便性が高くて、しかも国際的標準に沿ったものにしていくために何が課題であるか、そして、どのような方向性を持って改革を進めていくかということについて御議論いただいているものでございまして、昨年の10月8日に第1回目の会合を開催して以来、5月12日までに9回の会合を開催させていただいております。その間に幅広い市場関係者からヒアリングを行っておりまして、証券決済を取り扱う機関の関係者や投資家としての金融機関等々の方々からヒアリングをしております。それから、同時並行的に、日本証券業協会におきまして、同じくこの証券決済改革の問題について懇談会が行われておりましたので、今後も行われると思いますが、その議論の動向を適宜御報告いただくという形で議論を進めさせていただいたところでございます。前回、これまでの議論をかなり包括的に整理をさせていただきまして、必ずしも十分に完全に詰め切れたということではございませんが、ある程度突っ込んだ議論が行われたところでございます。 これまでの議論の過程の中で、お手元の資料の1ページ目のような問題点が指摘されてきているところでございます。まず具体的な問題点の説明に入ります前に、我が国の決済システムの現状がどうであるか、あるいは、それが国際的な標準から見てどうであるか、諸外国はどうであるかということを、2ページ以降の資料で簡単に御説明させていただきたいと思います。 2ページの資料ですが、我が国の有価証券の決済制度の特色としては、有価証券の種類ごとに異なった制度や仕組みによって規律されておりまして、その関係上、証券決済を取り扱う機関もばらばらに分かれているという特徴があるわけでございます。 例えば、国債は日本銀行が取り扱っておりまして、証券の権利移転の方法としましては、日銀ネットによる口座振替、これは帳簿の振替えによって権利を移転するもので、振替決済のシステムでございますが、そういったものと、登録簿上の移転登録をするもの、登録国債の仕組みでありますけれども、そういった形でやっております。社債につきましては、個々の金融機関が担当しております登録機関と、それらをつなぎ合わせるための債券決済ネットワーク(JBネットワーク)が連携をする形で決済を行っておりまして、そういったネットワークを利用した各登録機関の登録簿上の移転登録という形で行われております。それから、株式につきましては、証券保管振替機構という機構がございまして、そこにおけます振替決済システムによる口座振替が行われております。転換社債につきましては、日本証券決済という会社が、同じく振替決済システムによって権利の移転をやっておると。 振替決済システムで似たようなのがあるわけでありますけれども、例えば、国債の場合は、契約上の仕組みで構築されている。それから、株式につきましては、これは株券等の保管及び振替に関する法律というのができまして、それに基づいておりますけれども、今のところは株式法を中心にその法律に基づいて行われているところでございます。 それから、決済の安全性という観点から、国際的に注目されているものとして、(注)にございますけれども、Delivery Versus Paymentと言いまして、証券の引渡しと資金の支払いが相互に条件付けられて行われる仕組みが望ましいとされておりますが、これにつきましては、国債・社債は実現されておりますが、現時点においては、株式転換社債については実現されておりません。 決済期間については、「T+3」と書いてありますけれども、「T」というのは約定日、取引日のことでございまして、その翌日から起算して3日目に決済、証券の引渡しが行われるということで、これはとりあえず現在のスタンダードを満たしておるということですが、後に触れますように、国際的な動きからいうと、さらに短縮化の動きが見られるということでございます。 それから、3ページ目でございますが、3ページ目は国際的な標準から見たもの、主なもので見たものでございます。時間の関係上、一部に限らさせていただきますが、ISSA勧告というのが国際的なフォーラムで採択された勧告でありますが、その勧告の3では、証券集中保管機構ということで、できるだけ証券を集中して、振替決済の仕組みで決済をやっていこうと。そのねらいは、物理的に券面の証券を移転させないで、帳簿上の振替でやることで効率的にやっていこうということでございますが、そうしたものを可能な限り広範なものを扱っていこうというのが国際的な標準でございますが、先ほど言いましたように、日本は様々な機関で証券の決済が行われているということでございます。諸外国は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツとも、一つの決済機関で多様な有価証券が扱えるようになっております。ただ、アメリカの場合はDTCという証券決済機関がございまして、制度上は国債も含めて扱えるわけでありますけれども、事実上は国債は別の機関、Fedwire中心にやっているという違いがございますけれども、概ね一つの決済機関で扱われてきていると。 イギリスにおきましても、後ほど申し上げますけれども、CRESTという機関と、それから、イギリスの中央銀行が国債を扱っていましたけれども、国債を扱う仕組みをCRESTが同じく扱うようになったということで、一本化されているという状況がございます。 それから、少し飛ばさせていただきまして、DVP、先ほど言いましたように、相互に証券の引渡しと資金の支払いは条件を付けるということにつきましては、諸外国では実現しておりますけれども、日本では一部が実現されていない。 それから、決済期間でございますが、国際標準は、現時点ではT+3ということでございまして、日本は満たしているわけでございますが、例えば、アメリカの場合は、国債がT+1で、その他はT+3でございますが、2002年6月までにこのT+1に短縮することを目標にして、市場関係者を中心に検討が行われているということでございます。また、イギリスは国債以外はT+5ということでございますけれども、2001年2月にT+3へ短縮を予定しているということでございます。ドイツは更に一歩進んでおりまして、T+2ということになっております。 はしょって恐縮でございますが、4ページでございます。諸外国における最近の証券決済改革の動きでございます。 まず、決済期間の短縮化。これは先ほど申し上げました。ただ、注目していただきたいのは、欧米ということだけでなく、アジアの他の諸国も見てみましたところ、香港、韓国、台湾では、現状ではT+2というのが既に実現しておりまして、この点では我が国よりも進んでいる状況にあります。もちろん、取引のボリュームが違うという見方もありますけれども、仕組みとしては1日早いという状況になっているということでございます。 それから、2番目は、特に欧州におきまして、市場統合を背景に証券決済機関の統合、提携の動きがこのところ強まってきていると。三つの大きなブロックに集約化されてきているということでございまして、一つは、イギリスのCRESTという先ほどの機関でございまして、ここが、まず国内的に国債の仕組みを自分のところに持ってくると同時に、ほかの外国の決済機関と連携を取り始めているということが一つでございます。 それから、もう一つは、DBCというのがありまして、これはドイツの決済機関でありますけれども、これがCedelというユーロ市場での決済機関と合併をしてClearstream Internationalというのを設立しました。それから、これに対抗するということでありますけれども、フランスのSICOVAMという証券決済機関が、ユーロ市場を扱っているEuroclearという会社と提携し、合併を予定しているという、三つに集約化されるような傾向になってきている。そこに、アメリカのDTCが連携に加わってくるような動きになってきているということが一つ挙げられます。 それと、もう一つは、証券決済改革で最近の動きとして、国内的な取引だけではなくて、やはりクロス・ボーダーの取引、国際的な取引について効率よくしようということで、かなり関心が強まってきているということで、後で申し上げますけれども、クロス・ボーダー取引について非常に効率的にするために全ての過程を電子化しようというSTP化──ストレート・スルー・プロセッシングと言っておりますけれども、そういったことを強力に推進していくためのものとして、1998年の9月に欧米の主要な関係者が集まって、そのための組織を作って検討が進められているということでございます。 それで、最初の1ページに戻っていただきますけれども、そういうような現状、それから、諸外国の動きから見て、どういう問題があるかということで、現在までの議論で浮かび上がってきた問題点でございます。 一つは、STP化の遅れということでございまして、証券取引の売買の約定をしてから、最後に証券を引き渡して、資金の支払いを完了するまでの様々な過程の電子化が進んでいない。その間に人手を介する作業がいっぱい介在しているということで、能率的でないということと同時に、決済の前にやるために、約定の結果を確認する、お互いにデータの確認をする、あるいは決済に関する情報を、いろいろ指示をする情報を確認するやり方を、端的に言うと、売手の方からまず買手の方に情報を確認して、それから、買手からまた売手に戻るという往復作業を何回もやっているということで、非常に複雑かつ非効率になっている。これを、現在ショガクで計算されていますように、同時に一つのところに情報を集中させて、双方向で確認することで、効率化すべきじゃないかという議論があるわけでございます。 それから、先ほど申し上げましたように、DVPが実現しないというのがありますので、あらゆる証券についてDVPを実現すべきという課題がございます。 それから、社債等登録制度の問題がございます。この社債等登録制度というのは昭和17年に戦時立法でできた制度でございまして、券面、紙を節約するという観点から、余り証券を動かさないという観点もあったかと思いますけれども、登録機関に登録をすると証券を発行しなくてもよいようにする制度でございますけれども、これにつきましては、登録機関が非常に多数に分かれておるということでございまして、これを効率化するために、先般、先ほど言いましたJBネットワークというのを作りまして、効率化するためにネットワークを形成しましたけれども、全部が結ばれていないというような問題もございます。 それから、記番号管理といいまして、これは商法上、社債の券面につきましては、AとかBとかという番号を付しまして、個別性を明らかにするということ、名前を明らかにするという形で管理しております。社債等登録制度というのは、現物の社債との連続性を意識した制度になっている関係から、登録する際にも、登録簿上、そのルーツを明らかにするために番号をもって管理することになっております関係上、事務が煩瑣になっていると言われております。 それから、もう一つは、先ほど、振替決済といいまして、帳簿上の振替であると、非常に効率化されるということを申し上げましたが、振替決済制度のもう一つの特徴としては、振替決済制度に参加する人の参加者自体が更に帳簿を持って管理するということで、階層構造になっていることによって、更に決済が効率化されるという問題がありますけれども、現在の社債等登録制度上は、真実の権利者の名前でしか登録ができないということで、そういう階層構造がとれないということで効率化できないというような問題が指摘されております。 それから、もう一つ、これも大きな問題と思われますけれども、やはり現物証券を保管しないといけないということであります。かつまた、移転する際に引渡しをするためのリスク、あるいはコストの負担があるという問題が指摘されております。 それから、振替決済制度ですが、これは非常に効率的な制度として、諸外国でも幅広く利用されているところでございますが、我が国の場合は、全ての有価証券を包括的に規律する、同じようなルールで規律する仕組みが必ずしもできていないということでございます。国債は契約上の仕組み、その他は法律がございます。特に社債につきましては、別途、社債等登録制度があるということで、振替決済の仕組みでは行われていないということでございます。それから、株式につきましても、社債等振替決済制度が適用されておりますけれども、その前提としては、ほとんど全ての株券が証券保管振替機構に預託されることが前提でありますけれども、その預託率、不所持化が低水準で、必ずしもそのメリットが享受されていないという問題がございます。 それで、冒頭に申し上げましたように、証券決済に係るリスクとコストを低減させていく、利用者にとっても使い勝手のよいものにしていく、利用者の視点に立った改革を進めていくということで、更には、国際競争力を確保していくという視点でやっていくべきということで、この辺のあたりのところまでは、概ね共通認識となっているところでございます。 具体的に大きな議論として残されているところの問題は、社債の決済の仕組みをどのように変えていくかという問題と、それから、先ほど申し上げました現物保管の問題に関連して、そもそも証券の決済についてペーパーを必要とするのかどうか、ペーパーレス化する、ペーパーを必要としない仕組みをどのように考えていくかという問題。それから、もう一つの問題としては、それらを扱う証券決済機関という、その機関の組織のあり方の問題として、どう考えるかということが大きな問題とされているところでございまして、かなり議論が詰まってきてはおりますけれども、必ずしも現時点で十分詰まってきているわけではございません。 ただ、若干、中間報告ということですので報告をさせていただきますと、社債等登録機関、社債等の決済制度の問題につきましては、当初は、最初に言いましたように、アメリカで2002年の6月にT+1を実現するということがかなり進んできておりますので、何とか現在の制度でもやれることをやって、翌日決済を実現するための方策はないかということで、現行制度で部分的に改善できないかということも含めて議論して、もちろん、長期的な方向もにらみながら検討しましたけれども、両面を含めて検討してきましたけれども、最近の議論までのところで、社債等登録制度の部分的な改善でできなくはないけれども、法制度の整合性の問題から、かなり詳細な規定の整備をしないといけないところで、結局は抜本的な改正を迫らざるを得ないと。とすれば、やはり諸外国の動向等を考えた場合、更には、先般この部会でも報告させていただきましたように、コマーシャルペーパーにつきまして、ペーパーレス化の形の新たな法制度の検討の必要性が指摘されていることを考えると、もう少し中長期的な方向性をにらんで議論したらどうかという方向がやや強く出てきている感じになっております。 その上で、では中長期的なペーパーレス化の方向については、どういう議論をすべきかということにつきましては、2通りの方策ということで、現行の振替決済制度の仕組みを活用していくという考え方と、現在少し議論の端緒が出てきておりますペーパーレス化のための券面化の法制を、その二つの方向が出てきておりますけれども、券面化の法制については、かなり既存の有価証券に関する制度との整合性を考えないといけないのではないかという指摘がありまして、現実、当面の策としては、振替決済制度を中心に考えた方がいいんじゃないかというニュアンスが若干出てきているところでございます。 それから、証券決済機関のあり方につきましては、様々な議論がございまして、それの過程で、もちろんシステムのあり方につきまして、より効率的なものは何かという議論もありましたけれども、結局はシステムの話ではなくて、組織のあり方の問題として議論すべきということと、それから、もう一つは、いずれにしても、競争の可能性という問題、あるいは、証券決済機関のガバナンスの問題が重要であるというような指摘も行われてきております。どういう形態になるにせよ、究極的には、効率性あるいは安全性等々の観点、あるいは諸外国の動向等の観点からしますと、一つの証券決済機関が多様な有価証券を包括的には扱えるような機関が実現できるような仕組みがいいんじゃないかというような議論の方向には行ってきているんじゃないかなというところでございます。 なお、詰めるべき点が多々ございますので、必ずしも意見は集約化されているわけではございませんが、概ねの現在までの状況は、そういった状況にございます。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 残された時間は余りありませんけれども、ただいま松川さんからの御報告に関しまして、御質問なり、御意見があれば。とりわけ、現状認識については。 福間さん、どうぞ。 |
○ |
福間委員 この話の歴史は非常に長くて、とにかく証券市場改革には、二つペンディングがあるということで、一つは金融サービスのところが残っておったわけですけれども、もう一つのこの問題について直ちに入ろうということで、今のお話を聞くと、いろいろコンセンサス作りと言われながら、もう方向ははっきりしているわけですから、もうちょっとスピードを上げてやってもらいたいなということでございます。とにかくシンガポールとか香港とか、そういうところは、この決済問題は日本より進んでいます。社登法の問題も、お話のように、どうも踏み切ったと私も聞いていますし、JBネットの場合も、あれはあくまでも暫定的にあそこに中間地点を作ろうということでやった措置を、もう大分長くやっている。もう時効も来ているので、何とか、我々利用者の立場から言うと、早くこれを実現してもらいたいなということで、方向性等何も文句を言っているわけじゃなくて、問題はスピードだけだということでお願いしておきます。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございました。 ほかにございませんか。稲葉さん、どうぞ。 |
○ |
稲葉日本銀行審議役 今、問題はスピードだけだというふうにおっしゃったんですけど、松川さんの御説明がすごくお上手で、よく分からない。いろいろ問題は詰まってきたけどとおっしゃっているんだけど、非常に抽象的におっしゃっているので、どういうふうに詰まってきたのかよく分からないので、よく分からないときにスピードアップをしても危ないんじゃないかというふうに思うんです。どうもワーキンググループでのお話は、多様な商品が扱える統一的な組織があったらいいなというふうな方向でコンセンサスができつつあるということなんだろうというふうに私は解釈しましたが、大事なことは、そういう組織にするとしても、それが効率的な決済機関でないといけないということで、日銀としては国債を中心にして決済サービスを提供しているわけですけれども、一方、非常にそういうシステムに依存する大きなユーザでもあるわけです。そういう自分たちのニーズも考えて、実は国債のそういう証券決済のあり方も考えてきたわけですが、例えば、オペレーションをやるときに、T+3などと言っていては話にならないのです。従って、国債ではもう既にそれができるようにはしてあるわけで、そういうことを、つまり、できるかどうか、それから、証券と資金の決済、これは同時でないとリスクが高まるということですが、例えば、日銀がオペレーションをするときに、なぜ社債をオペレーションの対象としていないかというと、未決済の期間が長過ぎるということです。本来そういうところの決済が便利になれば、社債もオペレーションできるとか、いろいろ便利なことがあるわけで、問題は、統一的でとか、多様な商品を扱える機関を作るということが自己目的化して、結果的にそういう効率性というのが落ちるということがないように議論を尽くしていくべきではないかというふうに思います。 |
○ |
蝋山部会長 ありがとうございます。 上柳さん。 |
○ |
上柳委員 勉強不足なので、全く非現実的なことを言っているのかもわかりませんが、末端の消費者というのか、株なり社債を持っている人が、自分の社債がどこにあるんだろうと、どういうふうに動いて決済されたんだろうということが、できればクロネコヤマトみたいに即日インターネットで分かると、これはパスワードの問題とかあるかもわかりませんが、ならなくても、少なくとも後で訴訟になったり、あるいは場合によっては不幸にして金融機関が破綻したときに、DVPになればいいのかもわかりませんが、分かるような工夫というのは、できれば考えていただきたいなと思うんですね。コストがかかるかもわかりませんが。ただ、逆にそれは、それこその事故のときの保護ということだけではなくて、恐らくそこが、透明性というのか、本当の権利者、一番利害関係を持っておられる方が見れるようになっていれば、場合によって、今まで慎重にやっておられた照合作業であるとか、あるいは、場合によっては、有価証券の定義なので難しいのかもわかりませんが、私はペーパーにこだわることなくて、コンピュータでパパッとやって、それで後で検証できるようになっていればいいような気もするので、そういう意味からも考えても価値があるんではないかと思って、希望として申し上げます。 |
○ |
松川市場課長 今の点に補足させていただきますと、議論の過程の中では、やはり権利者の保護とか、それは扱っている機関が破綻した場合の扱いだとか、あるいは、悪意のあるものとの関係で、善意の取得者をどう保護するかも含めて、共通的な法的な仕組みの整備が必要だという議論がかなり出てきておりますので、御指摘のような点も共通的な仕組みという中には入ってくるんではないかと思います。 それと、やはりそういうことを可能にするためには、もう少し、最初に申し上げましたように、全ての過程について切れ目なく電子的に処理できるような、そういう仕組みをやる必要がありまして、これは法的な仕組みというより、むしろ市場関係者が主体的にやるべき話だというふうに考えております。 |
○ |
蝋山部会長 1万5,055番の社債券を私は持っていますということを保護しなくちゃいかんのですか。 |
○ |
上柳委員 いやいや。私の社債がどこにあるかという形で……。 |
○ |
蝋山部会長 だから、社債券の保護者とか、株主券の保護とかという場合に、私は、5,000万分の1の権利を持っていますということが保護されればいいのか、それとも、株券ナンバー何番の、社債券ナンバー何番の、1万5,055番の株券か社債券を私のものですよと言いたいのか、どっちなんですか、消費者は。その辺のところがちゃんとしないと、この議論は世界に後れをとるんじゃないかと思うんですけどね。 |
○ |
上柳委員 権利関係の移転が即時に分かるなり、あるいは後でフォローできれば、場合によっては、特定の何番の社債ということは外していいんじゃないかというふうに考えているんです。 |
○ |
蝋山部会長 そこのところがはっきりすれば、すごくしやすいんじゃないかと、私は素人ながら思うんですけれども、ずっとこの議論を聞いていると、今のところに究極的にはぶち当たるように思うわけです。一体、持っている人のを保護するというのは、権利というのは何なのかということが、必ずしも経済学的に、機能的に考える場合と、法律的に考える場合と、現状はすごいずれができてしまっているふうに私は理解していますが、もうその辺のところは、ワーキンググループでは意思は統一されているんですか。 |
○ |
松川市場課長 いえ。先ほども申し上げましたように、ちょっと申し上げにくいんですが、かなり広範な関係者が参加しているということもございまして、大体そういう方向には向かいつつあるんですが、ちょっと御理解いただきたいのは、そういうことで第一部会の委員の先生方として御理解いただきたいので、最終的にはきちっと御報告させていただきますけれども、どういう形にまとまりつつあるというのは、なかなか関係者が多いものですから、具体的に申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。 |
○ |
蝋山部会長 もう時間が過ぎましたんですが、ともかく日本の証券決済の仕組みというのは極めてパフォーマンスが悪い。それは目に見えない形だけれども、全体として高コスト構造を支えている面があるという点は、今日、松川さんが示された「我が国証券決済システムの問題点」ということで、1、2、3、4、5と書かれておりますけれども、大変クリアだというふうに思います。このままで行ったときに、一体どんなふうになるのかというと、大変、日本のインフラを利用しない証券取引が日本中を動き回るということさえ起こりかねないというふうに思います。もう既に、すぐ水際まで、別な形でのサービスの提供というものが行われようとしている中で、我々はそういう点は少なくとも第一部会として、この問題をこのワーキンググループにお願いしたわけですが、第一部会としては共通に認識して、戦術的にどれだけ早くするかということと同時に、戦略的にやはりきちっと国際競争に負けない、勝てる、そういう仕組みをインフラとして持たなくてはいけないということ、そういう問題意識はちゃんと共有して、ワーキンググループからの議論というものが上がってくることを待ちたいというふうに思います。どうも松川さん、御苦労さまでございました。 私、冒頭にちょっと、初めて僕は遅れてきたと思うんですが、大変申し訳ありませんでした。そういう点で、5分ほど遅れていますけれども、一応本日の議事は終了とさせていただきます。証券決済ワーキンググループでは、6月のレポートまであと2回ほど会合を設けるというふうに伺っておりますので、本日のここでの雰囲気等も踏まえた上で、よろしく取りまとめに向けて、更なる検討をお願いしたいというふうに思います。 最後に、事務局から次回以降の日程を御紹介いただきたいと思います。岡田さん、どうぞ。 |
○ |
岡田企画課法規担当企画官 次回の日程は6月9日(金曜日)の10時からとなっております。議事といたしましては、ホールセール・リテールワーキンググループから、「苦情処理、裁判外紛争処理制度のあり方について」の御報告をいただくことを予定しております。なお、その後の日程でございますけれども、後日、また正式に郵送にて御案内させていただきたいと思いますが、6月に3回開催いたしまして、取りまとめを行う予定でおります。当部会も6月27日に予定されております総会へ向けて審議していただくということになりますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 |
○ |
蝋山部会長 大蔵省金融企画局の金融審議会としては、もうデッドラインが間近になっておりまして、最後にラストスパートというのか、ダッシュというのか、そういうことになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 |
(以 上)