金融審議会「第二部会」第1回会合議事録

 日時:平成10年12月7日(月)14時33分〜16時32分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室

○三國谷企画課長 ただいまから、第1回金融審議会第二部会を開催させていただきたいと存じます。
 本日は、皆様、御多忙のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。また、第二部会委員への御就任をお引き受けくださいましたことにつきまして、重ねてお礼申し上げたいと存じます。
 本日は、第1回目の会合でありまして、部会長及び部会長代理がまだ決まっておりませんので、それをお決めいただくまでの間、当部会の事務局が金融企画局の企画課となっておりますところ、本日は私、企画課長の三國谷がそれまでの間、議事の進行役を務めさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、この部会の初顔合わせでございますので、御出席の委員の方々の御紹介を、僣越でございますが、私からさせていただきたいと存じます。
 なお、全体の名簿につきましては、お手元にお配りしてありますので、適宜御参照いただければと存じます。これに加えまして、親審議会の委員の皆様には、自由に御参加いただくルールになっておりますこと、また、場合によりまして部会の委員の皆様の追加があり得ます点をお含みおきいただけますと幸いでございます。
 それでは、本日御出席いただいている委員の皆様を御紹介申し上げたいと存じます。委員の皆様から右手、私どもの席から見て左手ということになりますが、まず、翁 百合委員でございます。
○翁委員 よろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 片田哲也委員でございます。
              〔片田委員 立礼〕
○三國谷企画課長 倉澤康一郎委員でございます。
              〔倉澤委員 立礼〕
○三國谷企画課長 斎藤静樹委員でございます。
              〔斎藤委員 立礼〕
○三國谷企画課長 杉田亮毅委員でございます。
○杉田委員 杉田です。
○三國谷企画課長 田島優子委員でございます。
○田島委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 深尾光洋委員でございます。
              〔深尾委員 立礼〕
○三國谷企画課長 堀内昭義委員でございます。
              〔堀内委員 立礼〕
○三國谷企画課長 松下淳一委員でございます。
              〔松下委員 立礼〕
○三國谷企画課長 また、本日、親審議会の委員として御出席されております高橋伸子委員でございます。
              〔高橋委員 立礼〕
○三國谷企画課長 吉野直行委員でございます。
              〔吉野委員 立礼〕
○三國谷企画課長 なお、本日、池尾和人委員、石 弘光委員、江頭憲治郎委員、森田宏樹委員、森本 滋委員、山下友信委員は、欠席されております。
 以上でございます。なお、本日は、貝塚金融審議会会長にも御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 また、金融審議会と同じく、金融監督庁と日本銀行よりオブザーバーとして参加していただきます方を御紹介申し上げたいと存じます。
 金融監督庁より木下長官官房企画課長でございます。
              〔木下企画課長 立礼〕
○三國谷企画課長 日本銀行より稲葉企画室参事でございます。
              〔稲葉企画室参事 立礼〕
○三國谷企画課長 続きまして、当部会の事務局のメンバーを御紹介申し上げたいと存じます。大変恐縮でございますが、本日、実は国会開会中でございまして、局長も今予算委員会の方に出席してございます。その他諸々国会の方に随分今出席しておる状況でございまして、御事情のほど御賢察いただければと存じます。自己紹介も総務課長の柏木から御紹介申し上げるべきところ、総務課長自身も今国会の方に行っておるという状態でございまして、代わりまして、私から僣越でございますが、御紹介させていただきたいと思います。皆様の席から右手、私どもの席から左手でございますが、ここに出席しておりますのは、参事官の窪野でございます。
○窪野参事官 よろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 皆様の左手、私どもの方の右の方に移らせていただきたいと思います。審議官の山本でございます。
○山本審議官 山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 関東財務局東京証券取引所監理官の金井でございます。
○金井監理官 金井でございます。よろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 市場課長の楠でございます。
○楠市場課長 楠でございます。
○三國谷企画課長 信用課長の畑中でございます。
○畑中信用課長 畑中でございます。よろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 市場課投資サービス室長の西村でございます。
○西村投資サービス室長 西村でございます。
○三國谷企画課長 なお、私の右手におりますのは、審議会の事務局を担当しております企画課の調査室長の津曲でございます。
○津曲調査室長 津曲でございます。
○三國谷企画課長 なお、私、企画課長の三國谷でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 当方のメンバー、そこの一覧表にございますとおり、本来、全員出席すべきところ、このような御事情にありますことを、誠に恐縮でございますが、お酌み取りいただければと存じておる次第でございます。
 以上でございます。
 それでは、ここで当部会の部会長の選任を皆様方にお願いしたいと存じております。部会長につきましては、金融審議会令第5条の規定によりまして、委員の皆様で互選により選ぶこととなっております。どなたか部会長の御推薦をお願いいただければと存じます。
○杉田委員 ほかに強力な推薦があれば別ですが、私は、武蔵工業大学の倉澤委員をぜひ御推薦したいと思います。私は保険審議会でずっと御一緒で、その手さばきを拝見させていただいておりまして、この分野の大変なエキスパートだというふうに思っております。ぜひ御推薦をさせていただきたいと思います。
○三國谷企画課長 ほかに御推薦ございますでしょうか。
 それでは、今、倉澤委員にお願いしてはどうかという御推薦ございましたが、皆様いかがでございますでしょうか。
           〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三國谷企画課長 異議なしということでよろしゅうございますでしょうか。
 それでは、異存がございませんので、倉澤委員の御承諾を待ちまして、部会長就任をお願いしたいと思いますが、倉澤委員、いかがでございますでしょうか。
○倉澤委員 ただいま杉田委員から過分の御推薦をいただきましたが、皆様の御賛同ということでございますので、ふつつかですが、引き受けさせていただきたいと思います。
○三國谷企画課長 どうもありがとうございます。
 それでは、部会長、部会長席の方へお移りいただければと存じます。
           〔倉澤部会長、部会長席に着席〕
○三國谷企画課長 それでは、この後の進行につきましては、倉澤部会長にお任せしたいと存じますが、その前に、局長の伏屋が参りましたので御紹介させていただきたいと思います。
 局長の伏屋でございます。
○伏屋金融企画局長 金融企画局長の伏屋でございます。ちょっと国会の関係で遅れまして、申し訳ございません。また、お忙しいところ、ありがとうございます。これからよろしく御審議のほど、お願いいたします。
○倉澤部会長 ただいま部会長に選任されました倉澤でございます。何分、浅学非才で御迷惑をおかけするかと思いますけれども、皆様の御協力とお助けをいただいて、この部会の役割を十分果たせるように努力してまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、ここで部会長の代理を指名させていただきたいと思います。
 金融審議会令第5条によりますと、部会長代理は部会長から指名させていただくこととなっているようでございますので、本日は御欠席なさっておりますが、証券取引審議会や金融制度調査会で長年にわたり御活躍され、また、現在も金融審議会の委員を務めておられます江頭委員を部会長代理に指名させていただきたいと存じます。なお、江頭委員には追って連絡を申し上げ、御了承いただくつもりでございます。
 それでは、ここで、当部会の設置要領及び当部会における議事録の扱い等につきまして定めたいと思いますが、それに先立ちまして、事務局の方からそれぞれについて御説明をいただきたいたいと思います。
 それでは、三國谷課長からお願いいたします。
○三國谷企画課長 それでは、御説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料の中に、最初は今日の議事次第、それから、金融審議会委員の名簿等の下に、「金融審議会第二部会設置要領(案)」というものがございます。基本的にこれは通常の審議会と申しますか、大体同様のものでございます。ただ基本的なことでございますが、詳しい説明は省略させていただくといたしまして、「目的」、「組織」。「組織」の中のマル3では、「オブザーバーを置くことができる」というところもございます。「運営」、それから「庶務」。これにつきましては、「大蔵省金融企画局において処理する」。こういったものでございまして、こういった形で取り進めさせていただければと思うところでございます。
 続きまして、金融審議会の全体の運営でございますが、お手元に「金融審議会の運営について(案)」という二枚紙の資料があろうかと存じます。この資料につきましては、この審議会に、まず最初の◎、先般、宮澤大蔵大臣から大臣諮問をいただきまして、それは、「21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築に向けて、金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項について、審議を求める。」というものでございました。
 これまで本審議会等で議論の結果、審議の大枠といたしまして、2001年には、一つは、金融システム改革の完了、あるいは預金等の全額保護の終了、こういったものを睨みまして、大きく二つの部会の中で議論を進めてまいりたいということで、二つの部会を親審議会の方で設置が決まったところでございます。
 一つは、21世紀の金融取引やサービスのあり方はどのようにあるべきか、全体像としてのアプローチでございます。
 もう一つは、当第二部会でございますが、安心で活力ある金融システムの構築、現在を出発点に、21世紀の金融システムに向けて、その問題解決の積み上げと環境整備。この中で金融システム改革の積み残しの問題、あるいは不良債権と金融システムの再生・安定を図りつつ、どのように21世紀の金融システムにつなげていくかということでございます。
 1枚めくっていただきまして、一つのイメージでございますが、これも親審議会の方での御議論の方向でございますけれども、本審議会の下に二つの部会を設けまして、その下に、これまで実はこの審議会、金制、保険審議会、証取審、三つの審議会が一緒になったものでございまして、カバーする範囲は大変広うございます。したがいまして、その中にさらに状況に応じまして、孫部会、ワーキング・グループを適宜運用に加えるということでどうかなということで、大体親審議会でも方向が決まっているところでございます。
 なお、議事録につきましては、委員のチェックを経ました後に、部会長の判断に基づきまして、一定期間後に公表するということになっているところでございます。
 大体大枠以上でございまして、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 なお、私より提案がございます。ただいまお話にありましたように、今回の金融審議会が、これまでの証券取引審議会、金融制度調査会、保険審議会の三つの審議会が統合されてできたものであって、関係する業態の数が多数に上るという事情等があり、親審議会自体には、業界の実務家の方が参加されておりません。しかし、部会では専門的かつ実務的な論点について実質的な議論をしていただくということにしたいと思っておりますので、この部会については次回よりオブザーバーという形で実務家の方々にも御参加いただくこととしたいと考えております。しかしながら、これを各業態毎に全て御参加をいただく形としますと、かなり多くの人数になるとともに、横並びでずっときますと、私の経験で業界代表みたいな形になってしまうこともございますもので、収拾がつかなくなりますので、したがって、できるだけ私の方で数を絞らせていただきたいと考えており、その人選につきまして、私に御一任をいただければと考えております。その上で、オブザーバーの方には、特段の制約なく自由に御発言をいただくこととしてはどうかと考えますが、いかがでございましょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤部会長 ありがとうございます。
 今私が申し上げました実務家の方の取扱いの問題等も含めまして、何か追加して御意見等がございましたら、この際、伺っておきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
 それでは、先に進めさせていただきます。
 それでは、手続でございますけれども、事務局より説明のございました設置要領及び運営要領等を当部会として採択させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤部会長 ありがとうございました。
 では、本日の議論に移らせていただきます。
 この部会の直面する課題を概観するという意味で、最近の金融システムを巡る問題について、それぞれ事務局より御説明をお願いしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○三國谷企画課長 それでは、お手元に「金融審議会第二部会資料」というもの、四角で「第二部会1−1」と囲ってあります資料、これに基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思います。
 資料自体の詳細な中身につきましての御説明よりも、むしろそれは大いに議論していただくということで、大体どのようなものを資料としてお示ししているか、全体の流れも含めて御説明申し上げたいと思います。
 一つは、「金融システム改革の進展と金融システム改革法の施行」の点でございます。
 これにつきましては、金融機関の商品・業務・組織形態の自由化・多様化、あるいは利用者が安心して取引ができる枠組みの整備ということで、相当の取組みが行われてきているところでございまして、後ほどまた御説明申し上げたいと思います。
 次は、言葉としては熟しているかどうかは別といたしまして、「金融コングロマリットへの動きと健全性規制・利用者保護の在り方」で、世界的な金融再編がどのような流れにあるか、そういった形についてどういった規制があり、どのような課題があるかといったことを資料として取り揃えているところでございます。
 「今後残された課題」は、先ほどのように、安心で活力ある金融システムの構築に向けまして、システム改革の積み残しの問題があるのではないか、あるいは不良債権処理と金融システムの再生・安定を図りつつ、どのように21世紀の金融システムにつなげていくかという問題でございます。
 資料1ページ目をお開きいただきたいと思います。実は、この1ページ目から3ページにわたります資料というのは、今回の金融システム改革のスケジュールというものを大体一覧表にしているものでございまして、あちこちで使わせていただいている資料でございます。ただ、非常に項目数が多い結果、それぞれの項目を見ますと、非常に活字も小さくなってしまうわけでございますが、一つ一つの中身を取り出しますと、相当重いことが重なっているわけでございます。
 一つは、「資産運用手段の充実等」といたしまして、投資信託の整備、2.は証券デリバティブの全面解禁、それから、株式の魅力の向上として、これはストック・オプションあるいは利益消却、株式の投資単位の引下げ、DRによる外国株上場等の円滑化、取引・気配情報へのアクセスの改善、こういったことが「資産運用手段の充実等」としてタイムスケジュール的に順調に進んできているところでございます。
 さらに「企業の円滑な資金調達」ということにつきましては、新しい社債商品の導入、ABSの利用拡大、MTNの利用促進、上場・公開等の円滑化、ちょっと飛びまして、上場基準の見直し、店頭登録市場の機能強化。ここで借株制度あるいは店頭市場の補完的位置づけの見直し、マーケットメイク機能等々盛りだくさんの内容でございます。未上場・未登録株式市場の整備、こういったものも行われております。
 2ページ目へ入りまして、「多様なサービスの提供」という観点から、証券会社の専業義務の撤廃と業務の多角化、PTS(私設取引システム)の導入、あるいは保険の算定会の改革、資産運用業の強化、さらには参入規制の改革、証券あるいは保険、銀行といったこと、さらには持株会社といったものでございます。
 さらに、「効率的な市場の整備」といたしましては、取引所取引の改善と取引所市場のあり方の見直し、2.では取引所集中義務の撤廃、3.では店頭登録市場の機能強化、これは再掲でございますが、6.では貸株、それから、決済制度の改善、8.では一括清算ネッティングというものでございます。
 3ページへ進ませていただきまして、「公正取引の確保」でございますが、これは公正取引ルールの整備・充実、罰則の強化、特にインサイダーにつきましては、ちょっと刑罰が低過ぎたのではないかということに対しまして改正が行われております。利益相反防止に関する行為規制の整備、紛争処理制度の充実。有価証券定義の拡充、実質的な意味合いが非常に大きいところでございます。ディスクロージャーにつきましては、別途、企業会計審議会におきまして連結主体、あるいは金融商品、あるいは年金等、あるいは税効果、一つ一つを取り出しますと大変重いことが進行中でございます。
 「 IV .仲介者の健全性の確保及び破綻処理制度の整備」、こういうことにつきましては、自己資本比率規制の見直し、ディスクロージャーの充実、子会社規定の整備、あるいは4.で破綻の際の利用者保護の枠組みの整備で分別管理、投資者保護基金等々でございます。さらに、組織としては金融監督庁が今年の6月22日ということでございまして、これらにつきましては、先般の金融システムの改革を受けまして、法改正を含めまして、大幅なシステム改革が行われてきているところでございます。
 4ページへ進ませていただきまして、4ページは金融システム改革法の今のような話を大ざっぱに言うとどういうことかということでございますが、「フリー・フェア・グローバル」と。四角の中に書いてございますが、「国民に、よりよい資産運用と資金調達の道を提供するため、ニューヨーク・ロンドンと比肩しうる、自由で公正な金融システムを構築することを目的として、金融の各業態を越えた総合的な改革を一括して行う。」ということで、証取法、証券投資信託法等々の総合的な改正が先般行われ、基本的には12月1日から施行されたものでございます。
 主な改正項目としては、資産運用手段という観点、あるいは仲介活動の観点、あるいは多様な市場と資金調達のチャンネルの整備という観点、利用者が安心して取引を行うための枠組みの整備という観点等々からでございまして、5ページへ入らせていただきまして、先の通常国会に提出されました金融システム改革法、これは、このシステム改革法で都合20を超えます大改革でございます。このほかにSPC法、一括ネッティング法等々の改正も合わせて行われているわけでございまして、施行期日につきましては、原則として、本年の12月1日、そこで施行が行われたわけでございます。物によりましては、若干先に前倒しのもの、あるいは後ろ倒しのもの、あるいは空売り規制等、議員立法で前倒しになったもの等もございます。
 そこで、6ページでございますが、金融システム改革法政省令、これが12月1日の施行に合わせまして行われたわけでございまして、これにつきまして、10月末日に改革の方向性ということで、金融審議会に大体の方向性をお示しし、即日これをその後にインターネットに載せ、記者会見をいたしまして公表いたしたものでございます。大変時間の制約の中で、もうちょっと時間を十二分に、あるいは省令をそのままお示しできればという御意見もあるわけでございますが、諸般の事情の中で精いっぱいの努力をしたものでございまして、お手元にあります、目の前に積んでありますのがそれでございまして、原稿枚数にして大体 4,000ページ、官報でやっておりますのでもっと少ないものでございますけれども、率直に申し上げまして、その後、正誤も少し出ておりまして、官報で公告しておりますが、今後もさらに3月までにはまたいろいろな見直しが逐次行われていくところでございます。大変重いものでございますので、後で郵送なり、そういった形で対応させていただきたいと思っておりますが、大体どのようなものかというイメージということでお示しさせていただいたものでございます。
 なお、この政省令の主な項目につきまして、本当のさわりのさわりだけ、4枚程度でまとめましたのが、金融システム改革法政省令の主な項目でございます。
 項目だけ申し上げますと、最低資本の額、顧客説明義務、ディスクロージャー、取引所外取引に係る報告。次に、上場の届出、廃止の届出、承認制から届出制ということでございますが、その他インサイダー取引や有価証券の範囲の追加等に伴う改正。次に、証券投資信託関係では、運用指図に係る外部委託先の問題、証券投資信託委託業者の禁止行為等々でございます。銀行法関係、8ページに入りますと、預金者に対する情報の提供等、大口信用供与規制、アームズ・レングス・ルール、子会社規定の整備、それから、9ページでは銀行のディスクロージャー等々、主要な中身でございます。保険業法につきましても、アームズ・レングス・ルール等の具体的な中身を政省令でお示ししているところでございます。
 10ページ以下は、そういった中でどういったことが行われてきているかというのを、それぞれイメージ的にお示しした表が付いてございまして、一つは、証券総合口座のイメージ。11ページは、業態別子会社の業務範囲。いろいろ文章にありますのを、一覧性のある形で、どういうところが新たに認められ、引き続きどういうところがまだそこには至っていないかというのを一覧性のある表にしたものでございます。御参考にしていただければと思います。
なお、信託銀行の子会社につきましては、これは非常に難しいところでございまして、また、併営業務等いろんな取扱い難しいところもございますが、基本的にはこの×→○、三つほど流れが付いておりますけれども、そういった中でいろいろ解禁が行われきているというものでございます。
12ページ以下は、これは銀行・証券・保険の相互参入の進展状況を時系列的に捉えまして、平成5年以前であればどうだったか、その後これまでどういった形態が認められてきたか。さらに13ページでは、金融システム改革によりまして、どういった形になっていくかといったところを、これも一覧性のものにしたものでございます。
14ページ以下は、「金融制度における利用者保護の概要」でございますが、これも相当いろんな切り口で、いろんな括り方が可能でございますけれども、?は業務行為規制という観点からどのようなものがあるか、あるいは15ページ?は公正取引ルール、ディスクロージャーとかインサイダーとしてどういうものがあるか。?は自主規制機関による利用者の保護という面ではどういったものがあるかといったところを示したものでございます。
しかしながら、一方で制度改革も相当進んでおりますが、世の中の動きは大変目まぐるしく、今後さらにこの金融の流れ、一時の休みも許されないような激しい流れになっておるわけでございますが、そういったものを概観してまいりますと、16ページ、17ページは、エコノミスト出典でございますけれども、それぞれマーチャントバンク・保険会社、それからアメリカの大手銀行、投資銀行等がどういった形で再構成あるいは再編成されてきているかということをエコノミストから取ったものでございますが、こういった流れがある。日本でも最近、種々の動きが出てきているところでございまして、こういった流れの中で、今後の金融をどう考えていくかということも大変重要な視点かと考えております。
なお、18ページにつきましては、米国の金融制度改革の動き。これは、ここに書いてございますのは、本年の5月に1票差で下院を通りましたのですが、まだ上院では本会議に至っていないもの、そういったものの中身を御紹介させていただいております。
 それから、このような一種の「金融コングロマリット」という言葉自体は熟しているかどうかは別といたしまして、19ページ以下はどういったものが出ているか。最初19ページは、「デ・スワン・レポート」、オランダの中銀の総裁でございますが、そういった方のもの。20ページにつきましては、金融制度調査会の答申がございまして、平成10年1月30日のものでございます。これは少し読み上げさせていただきたいと思います。
2.銀行グループのリスクの管理に関する基本的考え方
? 基本的な視点
 アンダーラインだけ申し上げます。
マル1 グループ形態を活用して業務展開を行う際には、それによるリスクの管理の必要が必然的に伴う。これを前提とすれば、業務展開とリスクとを対称的にとらえつつ、グループの範囲とリスクの管理が必要となる範囲との関係を明確にしていく必要がある。
マル2 銀行グループのリスクの管理を検討する目的は、預金者及び決済システムの保護のために銀行の経営の健全性を確保するところにある。この観点からは、銀行グループのなかで銀行が晒されるリスクの所在と、その管理のあり方を検討する必要がある。
 次の21ページでございますが、金融システム改革法におきまして、銀行グループに対するグループ規制としてどういったものがあるか、これも21ページ、22ページでお示ししているわけでございます。
 さらに23ページ以下は、日本と欧米における銀行グループに対する規制・監督・検査の比較をいろいろしております。説明は省略させていただきます。御活用いただければと思います。
これが28ページまで進みまして、29ページ、これは、例えばBOE総裁等がどういうことを言っているか、あるいはグリーンスパンFRB議長がどういうことを言ったことがあるか等々を拾ってみたものでございます。
 32ページには、OCC長官の議会証言といったものもございます。行政当局者がどのような認識をしているかという視点で、いろんなものを掲げさせていただきました。
さらに34ページは、OCCの「戦略的プラン」というものがございます。
なお、こういった諸外国の流れとはまた別に、我が国におきまして、これまで各種審議会でいろいろな指摘事項等が行われてきております。これを35ページ以下、項目を掲げさせていただいております。
まず、金融制度調査会でございますが、これは6月13日の「我が国金融システムの改革について」という答申の中で、一つは、金融サービスの将来像と規制の枠組み。これは、幅広い金融サービスに対して整合的な規制を行う新しい枠組みを検討すべきである基本的な方向性については、概ね意見の一致が見られたところであり、今後、先進各国の例も参考にしながら、現行法制等との関係も含め、幅広く検討を進めていく必要があるとの指摘。これは証取審でも同様の指摘が行われております。
もう一つは、消費者信用保護。規制の対象が消費者信用という経済的に見れば同一の行為であり、同一の規制を課すことが望ましいことから、消費者信用を行う全ての業態に対し、横断的に適用される規制の枠組みを構築することを視野に入れ検討すべきとの指摘が行われております。
電子マネー・電子決済につきましては、電子マネー・電子決済の発展・普及のための環境の整備は、21世紀に向けた金融システム改革の一環として取り組むべき課題との指摘が行われております。
個人信用情報保護・利用につきましては、近年、信用情報機関の情報漏洩事件等や多重債務問題などが生じており、こうした問題の対処方法の一つとして個人信用情報の保護とその利用促進が必要であるとの指摘が行われております。
保険審議会では、「保険業の在り方の見直しについて」、これも6月13日、相互会社から株式会社への組織変更。相互会社から株式会社への組織変更については、新保険業法において導入されたところであるが、実務的な手続について、今後検討していくことが必要であるとの指摘が行われております。
なお、(参考)でございますが、銀行局長の懇談会として設けられました「金融システム懇談会」におきましては、金融システム安定に関する基本論を中心に幅広い検討が行われていたといったこともございます。
なお、37ページ以降でございますが、これは安定化あるいは破綻処理という関係でどのようなことが行われてきたかというものでございます。本国会でいろいろ金融再生法あるいは早期健全化法の議論が行われたわけでございますが、この安定化・破綻処理につきましては、昭和46年の預金保険制度の創設、これから始まるわけでございます。そのときは 100万円で出発しましたのが、61年で 1,000万円。それから資金援助方式、平成8年には住宅金融債権管理機構の創設、平成8年には金融3法というのが出まして、そこで預金の全額保護のため、ペイオフコストを超える資金援助を可能とする等々でございます。早期是正措置等もこのときに銀行法の改正が行われまして導入されているものでございます。
 さらに平成9年には不良債権の買取を行えるケースの多様化が行われている。10年改正におきましては、整理回収銀行が一般金融機関の受皿金融機関となるといった改正が行われているところでございます。このときには17兆円、13兆円、いわゆる30兆円スキームなるものが、ついこの前、また今年の話でございますが、成立いたしまして、先般の国会で、一つは金融再生関連法、一番下の方は早期健全化法。金融再生関連法というのは、どちらかというと破綻又は破綻直前と申しますか、そういったものに対する対処方策といたしまして、?金融整理管財人制度、ブリッジバンク、特別公的管理制度、こういったものの仕組みが行われますとともに、一方、早期健全化法では、資本注入のシステムと申しますか、?普通株式の引受け、優先株式等の引受け、減資手続の特例等、それぞれを金融機関の資本状況等、そういったものに応じまして健全化を図っていくというスキームが完成。一種の車の両輪として二つが行われているわけでございます。この再生関連法、早期健全化法、それから預金保険法、こういったものが全体として安定化・破綻処理対策につながるという具合に考えているところでございます。
なお、39ページには、平成7年に「金融システム安定化のための諸施策」といたしまして、どのようなことが記されているか、若干ペイオフの話も触れておりますけれども、こういった資料も付けさせていただいたわけでございます。
 以上、この資料を駆け足で説明させていただいた次第でございます。よろしくいろいろ御議論、御指導等いただければ幸いでございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 この第二部会は、現在を出発点としてというその現在について、資料のお示しと御説明がございましたけれども、ただいまの説明あるいは資料に対しまして、御意見、御質問等がございましたら御自由にお出しいただきたいと思います。
 杉田委員、どうぞ。
○杉田委員 ちょっと話がどこかに集中していなくてもいいですか、質問して。
○倉澤部会長 ええ。
○杉田委員 どこかに書いてあるんでしょうけれど、これは国会等でも多分答えておられると思うんですが、金融債とペイオフの関係については、どういうふうに今まで明示しておられるんでしょうか、方針について。つまり、預金と全く同じ扱いになっているのか。それについてはどういうふうになっておりますか。国会等でもお答えになっていると思うので。
○西村投資サービス室長 まず、現在の法制度から申しますと、金融債について、預金保険の対象になってないわけでございます。したがいまして、仮に保険金の支払いをしたとしても、現在、例えば普通の預金については 1,000万円を超える保険金の支払いができることになっておりますが、それの対象にはなっていない。それが現在の制度でございます。
 しかしながら、現在のいろんな金融情勢を考えまして、いわゆる特別資金援助制度ということで、現在の仕組みとしては、破綻金融機関の負債サイドについては全額保護できるような制度はあるわけでございます。したがいまして、国会答弁等では、そういう形で保護ができますというふうに答弁をしてまいっているところでございます。したがって、今後、具体的にどうかというのは、まさに長銀の処理のときに具体的にどうなるかという結論がそういう意味では出されるわけですけれども、基本的には、金融債についても保全されるということで申し上げている、そんな状況にございます。
○杉田委員 もうちょっと細かく聞きますと、いいですか。
○倉澤部会長 どうぞ、杉田委員。
○杉田委員 割に巷でも細かい議論があるんですよ。つまり、金融債の場合、長いじゃないですか。5年とか7年とかありますよね。現在出されて2001年をまたいで持っている場合、その期間が。それも今おっしゃった預金と同じように救済できる範囲の中に当然入っているわけでしょうな。
○西村投資サービス室長 仮に長銀について、例えば金融債も保護しますと、こういうことになった場合に、その金融債が2001年3月を超えて持っていたものであっても、それは長銀を今後引き継ぐ金融機関が、その返済ができるような形でバランスシートをスクエアにして移転をさせることができますので、結局、引受金融機関が契約違反を起こさないで返済できる原資は与えられると、こういうことでございます。
○倉澤部会長 杉田委員、よろしゅうございますか。
○杉田委員 はい、わかりました。
○倉澤部会長 ほかにどなたかございましょうか。
 高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 スケジュールについてお伺いしたいんですが、この審議会及び部会は大臣の諮問を受けて審議を行うわけなんですが、ビッグバンの完了までに、いつまでにどのような答申、報告を出していくのか、おおよそのスケジュール、予定をお聞かせいただきたいというのが1点でございます。
 それから、2点目は、ビッグバンのスケジュールについてなんですが、橋本前首相がおっしゃいましたのは2001年までにということなんですが、この資料を拝見しても、2001年度とか、2001年とか、ペイオフが始まる2001年4月1日以降なのか、ちょっとその辺のスケジュールがはっきりしてなくて、一般の人も、報道等もいろいろになっておりますので、ここでそれを確認させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○倉澤部会長 では、三國谷課長、お願いいたします。
○三國谷企画課長 スケジュールの話につきまして事務当局が説明するのは若干僣越かもしれませんのですが、これまでの審議会でございますと、ある諮問をいただいて、それに対して一つのテーマで、あるいは一つを中心としたテーマで、それに対して答申をするということなのでございますが、何せ大変幅広い部会でございます。いろんなテーマがこれから来ようかと思います。したがいまして、それぞれ物に応じまして答申あるいは報告という形でまとまっていくものもあれば、息長くさらに検討していくものもあると、そういったいろんな組合せがあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、今後、例えば、昔、金制あるいは保険審、証取審で議論したもの、この審議会で統合されておりますが、生い立ちあるいは制度等を考えますと、それぞれ過去の生い立ちというものが引っ張っているものもございます。そういったものをどれだけ統合していくかということも必要でございますけれども、一方でそれぞれの事情に応じまして、時間的には取扱いが異になってくることは、これはやむを得ないことかなというところもあろうかと思います。
 次に、金融システム、ビッグバンでございますが、これにつきましては、基本的に橋本前首相が当時申し上げましたとおり、2001年までに完成させるということが基本的な流れでございまして、そういった流れを主に体現しておりますのは、この資料の中での1ページ目から3ページ目までのところでございます。これにつきまして、ここに書いてあるもの、大変いろんなものがございますけれども、このスケジュールに従ってやる。
 ただ、さらにこれから先の問題といたしましては、俗に言われますところの金融サービス法でありますとか、あるいはビークル問題、あるいは金融の流れに則しましてこれからさらに新しい流れに対応していく分野もあろうかと思います。そういったものは、こういった基本的な流れの中でさらに付加しながらいろんなものも検討するなり、考えていくということであろうかと思います。
 一方、若干こういったものの中で、ある程度問題提起をされながら、早目にどこかの段階で答えを出すべきだというものも多々あるわけでございます。それぞれそういったものにつきましては、例えば35ページとか36ページあたりに載せているわけでございますが、こういったものにつきましては、橋本前首相が申し上げましたところの1ページ目から3ページに載っているものと必ずしも一致しない。時間制約というのは、その意味で完全にオブリゲーションというような形ではないものもあるかもしれませんが、時代の趨性の中で早目に検討していくことが必要であるといったものが大体載っているかと思います。
 ただ、ここに掲げてありますことは、もう一方、考えてみますと、実に難しい課題ばかりでございまして、これまではどちらかというと、一つの制度改革なりというのは、一つの法律、例えば銀行であれば銀行法、証券であれば証取法、その縦の一つの世界だけで完結しておりましたものが、どうも一つの世界では完結しない。そうすると、単にそれぞれの行政的な法律のみならず、民法あるいは商法、そういったところまで全部波及していく。さらに横断的な審議の制度といったところまでだんだん話が広がってくる。
 それから、一つのシステムを取り上げましても、これまではある部分だけをボタンを押せばなったのが、これから先は、例の証券化というようないろんな一連を見ましても、一つのボタンを押せば、それぞれありとあらゆるところにシステミックに制度が関係していくといったものの流れになってきているのかと思います。       したがって、これからの見直しというのは、相当程度幅広い議論が必要になってこようかと考えているわけでございます。そのときに大変力強いのは、この審議会にお集まりいただいている委員の皆様、大変幅広い分野から、日本の頭脳がお集まりいただいているわけでございまして、委員の皆様方のお立場、御専門を御覧いただきましても、非常に幅広いお集まりになっているわけでございまして、よろしく御指導あるいは御意見、御教示賜れば幸いと思っているところでございます。
○倉澤部会長 今日、幸いにも貝塚会長がおいてでございますので、貝塚会長からもちょっと。
○貝塚会長 いわゆる日本版ビッグバンというのは、橋本前首相があるときに、国際的に公約されたことになって、2001年というのは、世の中でやるという話はある意味では外国の金融機関あるいは外国の金融市場について、日本の金融市場は、居住者、非居住者を問わず、完全にフェアな競争的なマーケットとしてきっちりその基盤を整備する。そして、その先に立って、非常にありていに申し上げれば、日本の資産、要するに日本は非常にたくさんな金融資産を蓄積しておりますが、どうぞ、皆さん、御自由に、有利に、しかも安全にサービスを提供してください、逆に言えば、置いてくださいという意味も含めて、その場をきっちり作るということが極めて重要で、そういうものとして、ある種の日本政府の将来に対するコミットであって、それを前提に諸外国の金融機関は東京市場というものに既に参入しつつありますし、そういう形になっておりまして、そのためのいろんな今までの制度は、先ほど課長が御説明になりましたように業法なんです。
 業法というのは、保険業法、それから銀行業法、その他いろいろあるわけですが、そういう業法の世界というのは、細かく言えば、みんな少しずつ食い違っている。横並びにすれば考え方も多少違っていたり、そこのところ、わかりやすく言えば、やっぱり全体として横並びで、しかも金融商品も非常にたくさんあって、いろんなところがいろんな形で出せるのが、まさにビッグバンですから、そのときに一体どういうふうに全体のシステムを作ればいいか。
 したがって、イギリスがかつてフィナンシャル・サービス・アクトと言うのですか、今度また大改正しますが、金融サービス法というのを作ったわけですが、やはり日本もそれに近いようなものを作らないと、ここに大蔵省の人がおられて私が言うのは失礼ですが、今はそういうことは実質的になくなりましたが、例えば行政指導とかいろいろ日本の金融機関にはわかっても、外国の人によくわからない。本当はちゃんと申請すればうまくいくんですが、何となしによくわからないような部分があるというのを、要するに誰が見ても、こういうふうな手続でやればこういうことができるという形の基本的な仕組みを作らないと、逆に言うと、そうしないとまた諸外国の金融機関も入ってこないわけですから、その辺のところをきちっとやる。ですから、これは極めて大作業でして、しかし、それを一応約束しているわけですし、そういうものとして世界の金融界の方は受け取っておられるわけで、そこのところは少し時間が遅れて、本当は結構大変なんでして、ものすごい勢いでここのところはよく考えて、全体を仕組まなくてはいかぬということで、そういう感じじゃないか。
 どうも失礼しました。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
 私からちょっと申し上げて恐縮でございますけれども、現在から出発して、この部会で検討していくテーマという、非常に法律屋らしいプロセス的に考えますと、例えば、日本では直接金融の比重が高過ぎて、間接金融が非常に少な過ぎるというようなことについて、今度の金融システム改革法では制度の整備が図られたということになりますけれども、この制度の整備が果たされたと言えるのかという問題とか、それから、証券取引審議会の論点整理なんか見ますと、日本においては文化的な要因もあるのではないか。だから、制度の整備だけで果たしていけるのかというようなこともあるのでございますけれども、そういう点、例えば堀内委員、どんなものでございましょう。突然の指名で恐縮です。
○堀内委員 今の御質問にすぐお答えできるかどうかわかりませんけど、今お話が出ました問題は、やはり制度をどんなふうに急速に変えるかとか、あるいは迅速に対応するかという問題のような気がするわけですね。ここに例えば改革のスケジュールというのが非常に多岐にわたって示されておりまして、これは確かに大改革ですけれども、しかし、金融の背景となっている技術的な条件とか、世界全体の金融市場、金融業、あるいはそれに関連する業界の構造的な変化、これも少し出ていまして、そういうものから見れば、この大改革が大改革であるかどうかわからないわけですね。つまり、どんどん技術的な可能性が広がっていってしまう。
 そうすると、日本の問題の一つは、日本だけの問題じゃないと思うんですが、日本がかなり今まで抱えていた問題は、新しい商品とか手法とか、あるいは制度の枠組みを導入するのに非常に時間がかかるんじゃないかということのような気がするわけですね。そうすると、この改革のスケジュールで盛り込まれたいろんな新しい枠組みが、より柔軟に、迅速に対応できるような条件になっているのか。それとも、基本は従来と変わらない。ただ、新しい枠組みができましたけれども、それよりさらに新しい状況に対して柔軟に対応できるかということを保証しているかどうかとか、そういう点がちょっと私もよくまだ整理できていないのでわからないんですけれども、やや心配な気がしないでもないと思うんです。それをどうしたらいいのか。
 ちょっと長くなって申し訳ないんですが、個人的な経験を申しますと、例えば、ある種の新しい商品や手法の導入に関して、従来は審議会をいろいろ重ねて慎重に関係者のコンセンサスを得ながら導入して、それと同時に、背景となるいろんな制度を変えていくという手法をとってきました。これは安定性があるというふうに考えられていましたけれども、やはり今日になってみると、それはかなり時代遅れになるような制度を残す問題がある。それは例えば新しいこれからできるであろう、2001年までにできる枠組みの中では、もう心配がないと言えるか。もし心配だとすると、どうやったら新しい商品の導入とか、手段の導入について、ダイナミズムというか、そういうものを世界に先駆けて日本のシステムの中に導入できるかどうか、そういうことがちょっと気になって、漠然としたことなんですけれども、今、皆さんの御質問は、ある程度そういうものに関係しているんじゃないかという気がするんです。
○倉澤部会長 とっさに質問して大変失礼いたしましたけれども、今の点に関連するか、あるいはもう少し、間接金融を担っている銀行のレーゾンデートルというか、日本におけるあり方みたいなものについて、片田委員、何かお考えございますか。
○片田委員 今の質問にお答えすることにはならないわけですけれども、私、ここに並んでいる先生方の中で一番素人っぽい立場におりまして、少し的外れで素朴な疑問を持っておりますので、むしろ貝塚先生に教えていただきたいので、御質問させていただきたいんですけれども、今回のこの金融審議会の運営について、資料ございますように、大臣の諮問が、21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムについて討論をし、提言をしてくれと、こういうことになっておる。どちらかというと、長期的に日本の金融システムを、今の間接金融から直接金融の問題もそうなんですけれども、そういうもののあり方、問題点、そういうことについて洗い出してくれと、こういう諮問だというふうに受け取るわけですけれども、私が的外れかもしれませんが、疑問に思っておりますのは、例えば、今年の7月から10月にかけての金融3法の国会における問題ですね。日本の金融制度のあり方にとって大変大きな問題であったと思うわけです。
 端的に言いますと、今、公的資金を銀行に注入する、そのことの善し悪し、あるいはその前提条件は何なのか、国民にどういう理解を求めるのかというふうなことについて、この金融審議会というのは本当にノータッチでいいのかなという、そういう素朴な疑問なんです。
 例えば、政府税調におきましては、もちろん長期的な制度の問題を検討しておられるわけですけれども、それと同時にやっぱりこの次の通常国会にかかるような、そういう当面の税制の問題について討論が行われているわけですね。ですから、やはり今のああいう金融再生化法案あるいは健全化法案等のあり方についての議論がもっとあってもいいんじゃないか。
 国会の先生方はいろんな討論をなさいましたけれども、それじゃ、ここにおられるような専門・中立的な非常に見識のある皆さんの集まっておられるところから意見があっのかな。どこがそういう中立的な意見を出すんだろうかというふうなことについて若干疑問を持っているわけなんでして、初期的な枠組みの検討はもちろん大事なんだけれども、そのときに起こってくる時々の問題について、臨時の審議会のようなものを開いて、審議会としての意見を公表する。それを採用するかしないかは、最終的な国会の決議かもしれませんけれども、そういうふうな役割がやっぱりあってもいいんじゃないか。ほかに何かそういう役割のある審議会があれば別ですけれども、そのような疑問を持っているんですけれども、的外れでございましょうか。
○貝塚会長 大蔵省の方には答えにくい。私が勝手に申し上げますが、要するに、金融システムが破綻をして、その処理については、従来から、多分ある時期から、これも前回の金融制度調査会で預金保険その他のことでいろいろ議論されました。しかし、結局、現実の事態の推移は、そこの範囲を超えたというのか、それでうまくスムーズにいくかいかないか、非常に微妙なところなんですが、そこを超えて進行したということは、多分そうなんだろうと思います。
 ここは銀行の方がおられないので非常にしゃべりやすいんですが、都銀の大手行と言われるものが突如として破綻したというふうなケースは余りは予想されていなかったんですね。そういう事態が発生して、それで、ある意味では非常に事態は混迷の状態に陥って、それがずっとある程度続いておりまして、そこで確かにスキームとしては、預金保険機構を使うとか、それから、新たに公的資金を入れるとかいうやり方で、それなりに対応してきたわけですが、そこのところの処理の仕方が、全体のシステムが十全であったかということになると、私はやっぱり予想しないような形でいろんな事態が発生して、問題は、ここの審議会でこれからやることは、私は、それ自身を議論するということは、正直言うと、個人的な意見は、過去のいろんなことを今もう一度、これはまずかったとか言って議論するのじゃなく、過去の経験を踏まえて、これから、ここに書いてございますが、2001年でペイオフがなくなるわけですね。その事態、これは非常に重大なことなので、そこに焦点を合わせて、やはり日本の金融システムの安定策を何らかの意味できちっと構築するということをデザインをする必要があって、この点について言えば、この審議会はそちらの方にウェイトをかけてやるというふうにした方が、まさに大蔵省の方は大変労力を割かれたわけですが、もうそういう労力を余りそれほど割かなくても、それなりに処理できるような枠組みを作るのが我々の任務じゃないか。
○片田委員 もう一言恐縮でございます。
○倉澤部会長 片田委員、どうぞ。
○片田委員 今の金融システムの枠組みは、国会で成立しました3法によって、一応枠組みとしてできた。あとは、どういうふうに実際にレールを走るかという問題に来ておりますから、そのこと自身の議論は、もう必ずしも必要でないと思うんです。
 しかし、今先生がおっしゃったことに対して、予想外のことが起こったからと、だから、我々協議できなかったんだというふうに私聞こえるんですけれども、これからも予想外のことは起こると思うんです。これだけ激動の時代なんですから。そのときに、この金融審議会、こういう専門・中立的な見識の高い方の集まりが、それに対する最終解決をするという立場にもちろんないですけれども、それに対して、我々は公正中立にこういう見解なんだということを発表する役割というのは、やっぱり国家的、社会的に見てあるんではないかな。全くノータッチでいくということは、私はむしろおかしいんではないかな。ちょっと言葉が過ぎて恐縮なんですけれども、わかりやすく言うと、そういう印象を持っているわけでございます。
○貝塚会長 おっしゃる御趣旨は、よくわかります。
○倉澤部会長 深尾委員、ございますか。
○深尾委員 私も審議会という立場ではないんですけれども、シャドーの研究会を作っておりまして、そういったところでいろいろな提言をやっておりまして、ここに参加していらっしゃる堀内先生とか翁先生なんかと一緒にそういう問題意識でやってきたといいますか、何も言わないでいいんだろうかということで提言活動をやってきております。私もそういう意味では、これは大事だというときには、やはり一言言うということは必要なのではないかなというふうに思います。
 それから、もう一つは、議論の内容なんですけれども、確かに制度を一つずつも大事ですけれども、同時に、その監督体制全体について、監督庁、それから金融企画局、預金保険機構とどんどんどんどん建て増しされてきまして、建て増し旅館の見取図みたいな格好になっていて、どういうふうにそれぞれその責任体制、コマンドラインですね、それから、どこが責任を持つのかというのが非常にわかりにくいという感じを受けておりまして、こういった点についても国会だけに任せておきますと、場当たり的に法律が出てくるという感じがありますので、やはりどういうプランが要るのか。もちろん国会でごちゃごちゃになる可能性はありますけれども、こういうふうにしないとおかしいのですよといった大きなグランドデザインみたいなことを言っていく必要があるんではないか。
 それから、もう一つは、やはり細かい点も大事ですが、同時に全体感といいますか、方向感というのが大事かなと思っていまして、そういう意味では、そもそもどの程度自己責任を求めるのか。つまり預金者なり、保険契約者なり、証券をやっている人にどの程度自己責任を求めるのか。また、それについてどの程度求めるのがシステムとしていいのか。もちろん、全部投資家の自己責任ですよというふうにしますと、多分どこかでそれで済まないところで政治介入が出てきますので、やっぱり事前的にある程度の方向を考えておく必要があるわけでしょうが、同時に、それによってモラルハザードといいますか、行動や市場に歪みが生じないような方向性を考えていく必要があって、その大きなデザインというものの方向性を考えていく必要があるのではないか。
 三つ目は、現状認識なんですけれども、今、金融システムが安心かどうか。安心でないと思うんですけれども、その理由は、現状が見えていないということですね。これは銀行については相当程度、個別行が破綻して、その後の処理なんかでもある程度は見えてくるわけですけれども、まだ見えてない部分が大分あって、こういったところ、例えば、資産の規模でいきますと一番大きいのが銀行で、次が保険会社かと思うんですが、あとは財投ですね。このあたりをどういうふうに考えていくのか。金融ですから、金融市場が一体ですので、民間金融機関だけ幾ら整備しても、財投との関係が出てきますから、財投の方が郵貯なり貸出サイドで大きなプレーヤーで、大体マーケットシェアで個人預金と保険で3分の1ぐらい持っていますので、このあたりをどういうふうにしていくのかという点についても、やはり一括してやっていかないと物が動かないんではないか。
 それから、金融ビッグバンの方は大体動きつつありますが、次に多分ビッグバンとして必要なのは、税だと思うんですね。現在の税では、とても回らない状態に来ているのではないか。こういった点、もちろん税は税の方でやっている審議会がありますけれども、金融サイドとして、やはりこういうふうにしないとそもそも機能しないんだよ。特に金融の場合はお金ではっきり利回りとして出てきますので、税の方をしっかりしないと、例えば、いかに投資信託を自由化して銀行に売らせても、個別のミニ株を持った方が税制上有利であれば、やっぱりプロは使わないわけですから、こういったところを税についても一言言っていかないと、終わらないのではないかというふうに思います。
 以上です。
○倉澤部会長 翁委員、何かございますか。
○翁委員 私は、先ほど貝塚先生からもいろいろ御説明ございましたけれども、やはりビッグバンという大きな目標がもう国際的に公約されている以上、そして、過去の審議会のいろいろな提言も紹介されましたが、それ以降の動きというのは目まぐるしくて、どんどん外国系の金融機関が日本の市場に入ってきているという状況にありますので、今の金融不安という状況はございますけれども、とにかく、透明で効率的な金融市場を作っていく。そして、直接金融のルートにせよ、市場型間接金融のルートにせよ、そういったところを早く基盤整備していくことが、金融不安解消の一つの大きな方向づけにもなりますので、その歩みを止めないように、やはり早くこういった議論をやっていくことが重要だろうというように思います。
 それから、もう一つ私が思いますのは、今、深尾先生からもございましたけど、ここの切り口にまだいろいろあるのではないかと思います。一つは、財投とか公的金融と民間金融機関の関係ということを御指摘ございましたが、そのほかには、私はここでの議論というのは、やっぱりインスティチューショナルな部分に縛られている部分が非常に多いのではないかというように思います。
 例えば、一つ年金というものをとってみましても、これから高齢化で日本の資金の大きな部分は年金が占めていくということだろうと思いますが、それが新しく従来の間接金融ではなくて、資本市場であったり、又は市場型間接金融というところを通して、その年金資金が大きなウェイトを占めていくと思うんですが、そこの環境整備は非常に遅れているのではないか。
 例えば、受託者責任の考え方、企業年金法とかそういったことが議論されていると言われていますけれども、これだけ大きな資金がどういう形で運用されていくのか、そういった環境整備が非常に遅れていまして、それはひいてはコーポレート・ガバナンスの問題点ということにもつながっていくと思うんですけれども、そういう切り口。インスティチューショナルの部分にこだわらずに、新しい視点で、もっといろいろ考えていくということも必要なのではないかと思います。
○倉澤部会長 杉田委員、どうぞ、お願いいたします。
○杉田委員 資料のどこかに書いてありましたね。この審議会に求められる「安心で活力ある金融システム」、そういうことを議論してくれと。僕は意外に難しいんじゃないかと思っているんですよ。つまり、安心な金融システムとなると、やっぱりいろんな預金者に安心をさせるということなんで、いろんな保証措置、それから、場合によっては、業界の過度と思われる行動に規制の枠をはめるとか、そういうことをどうしても考えがちですよね。
 だけど、一方、活力あるということを考えると、その枠はできるだけ小さい方がいいということになってまいりますから、今度我々が議論する場合に、安心というだけに目をいくか、活力というところに軸足を置くかによって議論が違ってくる局面があり得るんじゃないか。だから、そこを我々が相当気をつけて議論しなきゃ、やっぱりバラをとっていかなきゃいけないというふうに思うんです。
 私は、今回の金融危機と将来の日本の流れを考えてみますと、今回の金融危機というのは、一つには、今、翁さんもちょっとおっしゃったけれど、私は金融の流れが、従来どうしても間接金融重視型ですよね、日本は。これはいろんな流れがあった。これはしようがないと思うんですが、そこがやはりこれから、少なくとも今までの間接金融重視から直接金融にも相当軸足をかけて、直間比率を金融の面でも是正していくという一つの転機になってきているんではないか。そうしないと、なかなか日本の経済あるいは産業が21世紀に活性化しないんではないか。
 というのは、一つは、金融機関の皆さん、貸し渋りが問題になっていますけど、マクロ的に見ると過剰融資という問題があって、これはある程度縮小していく、どうしても必然性があるということが一つ。
 それから、公的資金の投入が今いろいろ監督庁と銀行の間で交渉されているようで すけど、これは返済が意外に大変だと僕は思っているんですよね。例えば、10年で 5,000 億借りると簡単に言いますけど、これを今議論されている形態でもし優先株で借りるとすると、年間 500億ずつ元本を返していくということになると、大体その4倍の経常利益がないと多分回らないんだろうというふうに思います。そうしますと、自己資本のその間の積み増しというのは非常に難しくなって、銀行はどうしても経営の方針としては、総資産を縮小したいと、それで自己資本比率を維持しなきゃいかぬ、こういう要請に政府資金を返している間、どうしてもなりますので、なかなか新規の貸出余力というものがない。そうすると、間接金融が将来の日本の成長を支えていくということは、だんだん限界が出てくるんじゃないか。
 ですから、そこにやはり直接金融市場をもう少し活性化して、我々としては、産業にお金を流せるようなシステムを作り上げていくというのが、21世紀の活力ある金融システムにつながっていくんじゃないかというふうに思うんですね。これは当然第一部会でも議論されると思うので、そうすると、そういうところでいろんな商品が自由化されてくる。そうすると、これは自己責任、リスクが増すと、こういう問題にぶつかるわけですよね。それをどこまでこの第二部会の方で、いや、それは危ないから、ここはやめようとか、規制の枠を抑えるのをどうするか、それが余りにも消費者、ユーザー本位だけで議論しますと、そういう歴史的な金融市場の直間比率の是正が、結果としてできない金融市場構成につながっていくんではないか。
 それは、今も出ているように、税調の問題とも絡んでくるんですよね。例えば、貝塚先生が税調の大ベテランだけど、私も税調に8年におりまして、あそこで痛感したことは、やっぱり利子と配当が差別されているということですよ。私はどっちにも味方するわけじゃないけど、今日の時点で考えると、去年出した中期答申の中には、配当については総合課税の方向が出ているんだけど、利子については書いてないとか、そういう不公平が起きているんですね。これはやっぱり大蔵省の中の主税局に長年、利子と配当についての違う考え方がある。ですが、こういう時代になってまいりますと、金融商品については税制の等距離の考えがないと、今私が申し上げたような間接金融一点張りから、直接金融にも軸足を置いたバランスのとれた金融の構築というのは、日本は非常に難しい。
 ですから、そうすると、そういう税制についてもきちっと睨みをきかした議論をこの金融審議会も考え、幸い会長が税制の大ベテランでいらっしゃるから、その辺のことを頭に置いた議論というものが必要になってくるんじゃないか。与えられたテーマを見ながら、非常に難しい問題だなと思いながら、そういうふうに感じているんです。
○倉澤部会長 どうぞ、会長、お願いいたします。
○貝塚会長 ちょっと元へ戻って、片田委員と深尾委員の御意見に関係して、不良債権の処理の問題が日本が、私が気楽に言っているとこっちの方で怒っておられるかもしれない。必ずしもスムーズでなかった。ただし、やっぱり私は、日本自体はかなり異常な事態で、アメリカの1930年代の大恐慌にやや近い側面があって、アメリカは結局どうしたかというと、ほとんどまともに1930年までは金融システムのこういう処理の方式は持ってなかったわけです。すごいことが起きて、そしてその後、現在のは、要するに金融の規制というのは、基本的には1930年代の恐慌をアメリカが規制ですね。
日本も、ですから、残念ながら、いろいろ試行錯誤で遅れたり、いろんな問題があって、結局、私は、現在の経験を踏まえて、今後2001年以降、金融の安定については、最小限ここまでは金融当局はやるけれども、それから先は、というあたりのところをきちっとメッセージとして、ちゃんとわかるように、しかも、法律的な基礎的な枠組みとして、一応原則はきっちり書いて、あとの適用の部分は、実際問題いろいろ金融商品が新しくできたし、非常に複雑になりますけど、最小限そこのところは、安心でというのは、必ずしも全部安心すればいいというものでは本来もうなくなってきたという意味で、しかし、どこまでは安心できるかということをきちっとさせて、その仕組みもやっぱりきちっと、そこのところはかなり重要な任務で、逆に言えば、非常に苦い経験を我々は実際今もしつつあるかもしれないんですが、それを基礎にして、今度は、次のときに備えて、そこのところをやるのが我々の任務だというのが私の意見で、ここにも書いてある意味は、そういう意味だと思います。ですから、そこのところはきちっとやらなくてはいかぬということは、そのとおりだと思います。
一応それだけ申し上げておきます。
○倉澤部会長 私からもお時間をいただいて恐縮ですけれども、制度を変えるというときに、理念的方向なしに、どっちに向かって変えていいのかわからぬなんていうことは制度改革になりっこないんですから、お話のようにあるべき理念的な金融システムみたいなものを捉えずに、制度の議論をやるなんていうようなことは、恐らくこの第二部会でもあり得るはずはないとは思うんでございますけど、大臣諮問としては、「21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築に向けて、金融制度」と、こういう一つのものですけれども、その中で、先ほど御採択をいただいた金融審議会の運営についての中の「審議の大枠」の2.で、この第二部会として、テーマそのものはここには、「金融システム改革の積み残しの問題はあるか。」、「不良債権処理と金融システムの再生・安定を図りつつ、どのように21世紀の金融システムにつなげていくか。」というような形で出ておりますけれども、金融システム改革の積み残しの問題といったって、何が積み残されているかというためには、先ほどから議論になっているようなことなしに、何が積み残されているかなんていうことも決まらないということはおっしゃるとおりなんでございますけれども、そういった点で、例えば、私が、おまえ、やっぱり法律家で制度論者だといふうに最初の質問の出し方でお受け取りいただいたかもしれませんけれども、そういう多角的なものの中の一つは、制度の問題というものは、やはり現在を出発点としてと今会長がおっしゃったように、現在というのは、過去を切断するというか、その時点で今このシステム改革の積み残しの問題はあるかといったようなことをやはり第二部会は考える役割は担わされているんだろうとは思うんでございますよ。
 ただ、その場合に、やはりあるべきこの第一部会のテーマになっているような事柄抜きにやれるなんていう話でないことは、もうこれは委員の方々のおっしゃるとおりでございますけれども、そういう意味で言えば、テーマとして、いかにも制度論的な表題が出てくるかもしれないということは、二つの部会に分けたということの性格上あり得べしという感じが私はするんでございますけれども、部会長としては門外漢で、しかも、にわか部会長としてはちょっとピント外れなことをかえって言っているのかもしれません。
○貝塚会長 今の部会長の御発言は、要するに二つの部会の議論の仕切りをどうするかということで、第一部会は明日開かれるわけで、平たく言えば、金融サービス全体の一般的な法的な枠組みないしは考え方ですね。ですから、要するにやや金融サービス法的な考え方をどういう原則で考えて、どういうふうにある程度まで。
 前回のいろんな積み残しというと、どういうことがあるか、私は余り詳しくないんですが、例えば、やや具体論に入りますが、これは倉澤先生が一番お詳しいんですが、保険会社の経営形態自身が御存知のように相互会社ですよね。それで、今までずっとそれでやってきたんですが、我々が普通議論しているのは、今、例えば信用金庫とか信用組合というのはちょっと違うんですが、だけれども、どちらかというと、普通はやっぱり法人企業を念頭に置いて、株主がどうであるとか、いろんな議論をしているわけですが、そうすると、それと非常に違う経営形態になっているときに、いろんな問題が発生したときに、一体どうするかというのは、これは極めて私もよくわからないんですが、多分そういうふうな問題も非常に重要ですね、個別問題として。保険会社というのは資金運用の起債として、非常に今重要なところで、多少金融的にも問題がある程度起こっているらしいんですが、そういう話があります。
 逆に今度はコングロマリットというのは、非常に多角的にやったときに、例えば、具体例を申し上げれば、要するに銀行は、ちょっと話をわかりやすくすれば、オリックスさんが銀行をやるというのは現在では無理だ。だけど、やっぱりその周辺領域というのは、ほかのいわゆるノンバンクと言われている人とか、場合によってほかの企業でも参入したいわけですね。そこのところの仕切りを一体どういうふうに考えるかというのもかなり重要ですし、例えばの話、そういう話があり得るわけで、ここで今申し上げているのは、どういう問題があるかということを、皆さんにむしろ問題提起をある程度していただければありがたいというところでもあるんです。そういうことでございます。
○倉澤部会長 相互会社はオリジンがフレンドリーソサエティーで、むしろ紳士じゃないと入れてやらないという仕組みになったそういうものを、今の金融商品の組織というようなことで、しかも、株主のような企業リスクのリスクテイカーがいない。全部が取引相手だけというようなことですけれども、しかし、今の相互会社において、そんなことはあり得るはずがないので、どこかに資本に相当するものがあって、その資本について、それが価格が下がれば、リスクを負うべき人がいなければならないはずなのが、行方不明になっちゃっているというようなことがあるわけなんでございますね。
 しかし、それだけの制度論をやろうということではもちろん私もございませんので、あるべき直接金融、間接金融についての姿の中で、今を出発点として、何かこの改革の積み残しの問題はあるかとか、あるいは曲がったシステムの部分はあるかとかといったようなことが、第二部会の運営についてを見ると課題のように私は受け止めたものでございますから、そんなふうな形で最初に質問の口火を切らせていただいたということで、それだけをとてもやれるということでないし、私の考えでこの課題を限定しようなんていう趣旨でもないことだけは御了解をいただきたいと思います。
 課長、どうぞ。
○三國谷企画課長 いろいろ御指摘、御意見いただきまして、ありがとうございました。いろんな御意見、私どもも謙虚にと申しますか、むしろ真剣に、あるいは深刻に受け止めさせていただく話が大変多かったと思います。
 若干個人的な感想になってしまうのかもしれませんが、私が発言するのが適切かどうかわかりませんが、ここのところ、世の中全体あるいは金融の世界も含めましてでございますが、何となくこれまで常識と思っておったことが、実は結果論として見てみたら、その常識というのが随分変わってきているという中で、一つは、組織あるいは意思決定システム、あるいは一つの情報に対する世の中の反応、インプットとアウトプットの関係、そういったことが今再構築というか、それを模索している過程にあるというような感じもしております。
 この金融企画局という組織自体、これまでの銀行局、その中には保険部というのもございました。それと証券局が合体いたしまして、一方で金融庁ができる。また、再生委員会もできるということの中で、これまでの意思決定システムという伝統が変わった段階でこれからこの金融審議会の審議を進めていく必要があるわけでございます。発想といたしまして、私ども凝り固まることなく、諸先生のいろんな御意見を私ども事務局も一生懸命フォローしながら、取り進めてまいりたいと思っております。
 また、一方で、世の中にテーゼとアンチテーゼというのがあったとすれば、テーゼに対するアンチテーゼで使用するというのが、最近でございますと、どっちがテーゼでどっちがアンチテーゼなのか、どこが使用するのかということ自体、実は世の中全体が今迷いつつあるのかなという感じもしております。
 そういうことで、私どももこの金融審議会、これからどういう形で進めていくか、あるいは事務的にお手伝いさせていただくか、非常に悩み多い段階でございますが、私どもできるだけお伺いするなりさせていただきまして、率直に御意見をお聞かせいただきたいと思っておりますし、私ども何といっても世の中の実態の動き、あるいは情報から隔絶されたときに、少なくともアウトプットの面でも大きな間違いのもとになるということを自戒しながら、取り進めていきたいと思います。
 どうぞ、今後とも、会長、それから部会長、委員の皆様、耳痛い話も含めまして、御叱責あるいは御協働いただければと思っているわけでございます。今日お伺いしました話も、また事務局なりにちょっと整理させていただきまして、会長、部会長と相談させていただきながら、またいろんな資料の作成とかに意を用いてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○倉澤部会長 私が勝手に御指名したので、まだ発言をなさっておられない方で、何かこの際、御意見ございましょうか。時間は予定をちょっと経過はしたんでございますけれども。部会長に折角杉田委員その他の方々に推薦されたのに、固定的に運営するということでリコールされないようなことだけは努める所存でございますので、どの問題についても非常に柔軟にというか、もともとのあるべき理念からのお考えをお述べいただきたいと思いますが、では、議題を進めさせていただいてよろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日、予定しております最後の議題に移らせていただきます。
 保険会社のソルベンシー・マージン等を巡る問題につきまして、本日、金融監督庁の樋口保険監督課長においでいただいておりますので、御説明を承りたいと思います。
 樋口課長、よろしくお願いいたします。
○金融監督庁樋口保険監督課長 保険監督課の樋口でございます。
 それでは、お手元の「保険会社に係る早期是正措置制度について」という資料に則しまして御説明をしたいと思います。
 初めに、資料の一番最後のページをお開きいただきたいと思いますが、現在、私ども、それから、大蔵省におきまして、保険会社に係る早期是正措置制度の総理府令及び大蔵省令の制定作業をしております。その状況について御説明したいと思います。お手元の資料を読みながら御紹介します。
 本年12月1日から施行された改正保険業法に基づき平成11年4月1日から生命保険会社、損害保険会社につきましても、いわゆる早期是正措置制度が導入されるということが決まっておりまして、そこにございますように、骨格というものは既に法定されているところでございます。
 申し上げますと、第 132条によりまして、行政当局は、保険会社に対して、当該保険会社の「保険金等の支払能力の充実の状況によって」「当該保険会社の業務の健全 かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるとき は」、「保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ総理府令・大蔵省令で定める」命令を行うことができる、とされております。
この「総理府令・大蔵省令で定める」命令としては、同条第1項に、経営改善計画の提出、提出された改善計画の変更、期限付きの業務の全部又は一部停止命令等が規定されているところでございます。
 また、この「保険会社の保険金等の支払能力の充実の状況」とは、諸外国の例を見ましても、また、条文の解釈上も同じく改正保険業法第 130条に基づき定められる、いわゆる「ソルベンシー・マージン基準」を指していると考えられます。このソルベンシー・マージン基準とは、保険会社が、引き受けている保険に係る保険事故の発生その他に関し通常の予測を超えるリスクが発生した際に、資本、基金、準備金その他これに対応することが可能な支払余力、いわゆるソルベンシー・マージンをどの程度保有しているかを示す指標でございます。
 このように第 130条に基づき定められる「ソルベンシー・マージン基準」及び第132 条第2項に基づき定められる「早期是正措置制度」の詳細は、先ほど初めに申し上げましたように、総理府令・大蔵省令及び一部告示により定めることとされております。
 それから、この今御説明した内容は、内国法人である保険会社に適用されるものでございますが、同じように支店形態である外国保険会社や免許特定法人に適用される条項についても行われており、これによりまして早期是正措置制度は外国保険会社等についても導入されることとなるわけでございます。
 大蔵省及び金融監督庁においては、この総理府令・大蔵省令を定めるに際して、本日の当審議会に御出席の吉野先生、それから、本日は御欠席のようですが、第二部会のメンバーの東大の山下先生のほか、会計学者の方などによる検討の場での議論も踏まえて、早期是正措置に係る骨子を作成したということでございますので、1ページに戻っていただきまして、その概要を御紹介したいと思います。
 そこで、1.2.と分けてございますけれども、順に御紹介しますと、保険業法第132 条第2項云々に基づき、保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ総理府令・大蔵省令で定めることとされている命令は、概要以下の通りとするということで、ソルベンシー・マージン比率に着目をいたしまして、 200%以上について非対象。200 %というのはソルベンシー・マージンの計算式、現在告示で示しておりますけれども、そういったものによりまして、通常の予測を超えるリスクに見合うソルベンシー・マージンを有している状況というのが 200%と考えられておりますので、 200%以上は非対象。
それから、第一区分としまして、ソルベンシー・マージン比率 200%未満。この段階が法律の条文からいきまして、経営改善計画の提出及びその実行命令ということを措置内容と考えております。
 それから、第二区分としまして、ソルベンシー・マージン比率が 100%未満ということで、ここはそこに書いてございますように、自己資本充実に係る計画の提出及びその実行などをその内容と考えております。
 それから、第三区分としましては、ソルベンシー・マージン比率0%未満ということで、ここは業務の一部又は全部の停止命令という内容を考えております。
 そして、2.でございますけれども、これに加えて、以下のような措置も併せて講ずることとしておりまして、まず、?でございますが、第三区分に該当する保険会社であっても、有価証券の含み損益等を反映した資産の額と負債の額の差が正の値である場合又は明らかに正の値になると見込まれる場合には、第二区分の措置を講ずることができることとする。
 ?第三区分に該当しない保険会社であっても、有価証券等の含み損益を反映した資産の額と負債の額の差が負の値である場合又は明らかに負の値になると見込まれる場合には、第三区分の措置を講ずることができることとする。
 ?保険会社が、第二区分又は第三区分に該当する保険金等の支払能力の充実の状況に陥ったことを知った後、自ら速やかに合理的と認められる経営改善計画を策定し、当該計画が比較的短期間で確実に達成できると見込まれる場合は、当該計画達成後に該当する区分(非対象区分を除く。)の措置を講ずることができることとする。
 ?経過措置として、制度導入から一定期間(半年間)の間に、保険会社が措置区分に該当する保険金等の支払能力の充実の状況に陥ったことを知った後、自ら速やかに合理的と認められる経営改善計画を策定し、当該計画が比較的短期間で確実に達成できると見込まれる場合は、当該計画達成後に該当する区分の措置を講ずることができることとする。
 ?このほか、現行のソルベンシー・マージン基準については所要の見直しを行うこととする。
 以上でございまして、今後さらに詳細を詰めて、年内には決定していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見や御質問があればよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○堀内委員 ソルベンシー・マージンの影響をちょっと教えていただきたいと思います。
○金融監督庁樋口保険監督課長 一言で申し上げるのは非常に難しいのでございますけれども、ソルベンシー・マージン比率というのは分子分母の関係になっておりまして、分母には、通常の予測を超えるリスク。御承知のように、例えば利率のリスクでございますとか、災害のリスクといった諸々のリスクを考えております。分子の方は、ソルベンシー・マージンということで、例えば資本の部に該当する部分、あるいは有価証券の含み損益といったようなものを分子と置いておりまして、それに100 を掛けるというようなことでございます。
ただ、実は分母の方に全体に2分の1を掛けるというようなことをしておりまして、これは既に現在、省令あるいは告示で、2年前でございましたか、お示ししているものに既にそうなっているわけでございますので、分母で2分の1を入れているというようなことから、ソルベンシー・マージン比率が 200あれば、分子と分母が等しい。すなわち通常の予測を超えるリスクに該当するだけのソルベンシー・マージンを有しているというように言うことができるんだろうと思います。
やや数式的なものでございますので、口頭の説明でおわかりにくい部分があることは、御容赦を願いたいと思います。
○倉澤部会長 堀内委員、よろしゅうございましょうか。
○堀内委員 これはディスクローズはないわけですか。個別の詳細。
○金融監督庁樋口保険監督課長 数字でございますか。
○堀内委員 はい。
○金融監督庁樋口保険監督課長 個別会社のソルベンシー・マージンの数字というのは、今度の金融システム改革を受けまして、来年度の決算からディスクロージャーの対象となるというふうに考えております。
○倉澤部会長 田島委員、お願いいたします。
○田島委員 今のソルベンシー・マージン比率の計算式は、法令に計算式が出ておりますのでしょうか。
○金融監督庁樋口保険監督課長 省令・告示で現在の計算式を示しております。
○田島委員 どういうものに出ているか、教えていただけますか。その省令の名前。
○金融監督庁樋口保険監督課長 現在は、保険業法の施行規則平成8年大蔵省令第5号、それから、平成8年2月大蔵省告示第50号でございます。
○倉澤部会長 どうぞ。
○貝塚会長 要するに平たく言えば、今の消費者から見たときに、一体この比率は何であるかというのをもうちょっとわかりやすく説明したのがないと、銀行の場合は割合とわかりやすいんですが、保険会社の場合は非常に長期的で、その辺のところ、説明の文章とか、そういうのは作られた方が私はいいんじゃないかと思うんですが、それはちょっと難しいかもしれないけれども。
○金融監督庁樋口保険監督課長 御指摘のように、実はこれまではソルベンシー・マージン比率というのは、保険会社が各社が自ら経営を判断するに際して使うということを専らの目的としてきたわけでございますけれども、今後はディスクロージャーの対象となり、また、それによって早期是正措置制度の発動の理由となるということからしますと、今の御指摘を踏まえまして、何らかの形で、よくわかりやすく示していくというようなことは努力してみたいと考えております。
○倉澤部会長 ほかにございましょうか。
吉野委員、名前がちょっと出ましたから、補足ございますか。
○吉野委員 今、会長がお話しになって、皆さんがソルベンシー・マージンとは何だという御質問があったものですから、簡単に申し上げますと、分子の方が銀行でいう自己資本のようなものでありまして、分母がリスクでありますが、リスクもスクエアルートの2乗とか、そういうのが掛けてございまして、銀行のやり方とはちょっと違うんですけれども、根本的にはリスクに見合った分だけの支払余力があるかどうか、そういうことでして、ここに 200と書いたのは、今課長おっしゃったように分母が2で割ってありますので、 100%あるということが 200%である、そういうふうに理解していただければ、あとは公式を見ていただければ細かくはいいのではないかと思います。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 どうぞ、深尾委員。
○深尾委員 ソルベンシー・マージンについて幾つか問題かなと思っている点を申し上げますと、一つは、資産サイドについては、これである程度リスクをはかっているわけですが、負債サイドのリスクは全くはかられていないのではないかと思われるわけです。特に生命保険会社の場合は、債務サイドに非常に長期の負債があって、物によっては20年30年というものがあって、確かピークは6.25でしたか、予定利率、最低保証利率を6.25、場合によっては 5.5%ぐらいの高利の保証利率のものが相当あって、しかも、今払い込んでいるのもそれだけの金利を保証している。個人年金なんかではそれだけの金利を保証していると理解しています。
そうしますと、アメリカのS&Lとちょうど逆でして、あちらは短期で調達して長期で運用して、金利が上がって引っ繰り返ったわけですが、生保の場合は長期で調達して、どちらかといえば短期で運用して金利が下がっておりますので、これも相当危うい状況にあるかと思います。
そうしますと、ソルベンシー・マージンを計算する場合でも、負債サイドの時価評価、あるいはある程度のリスクのカウントをしないことには、全くの片手落ちといいますか、リスクが全くはかられていないのではないかということ。
 2番目は、会計方式が各社相当ばらばらのようでして、募集費用を繰延資産として載せるか載せないかというのは相当いろいろやっているようでして、当期で全部募集費用を落とせば一番コンサーバティブですが、これを全部繰延資産にしますと、相当程度コストを繰延資産にして、損を先送りできてしまう。こういったところがばらばらになっているので、そもそも比較できないのではないかと思われる点があります。
 それから、3番目としては、有価証券の含み損益の問題でして、日産生命の破綻のときは、確か私募投資を簿価評価でずっと走っておいて、最後に損が出て、高金利で回るけれども、最後に損がぼんと出るというようなもので決算を処理して、利益を過大計上して、最後に引っ繰り返った。こういったところで、会計方式をしっかりしない限りは、ソルベンシー・マージンを決めても余り始まらないのではないのか、あるいはちゃんとやっているのかということです。
 また、経営改善計画は、ここに書いてあるようなことで本当に改善になるのかというのが一番心配なところでして、ここにあるのは一番大きいものは、多分新規保険契約の予定利率の切り下げでしょうけれども、新規契約というのは今非常に落ち込んでいて、新規契約の部分だけ予定利率を下げても、多分回らないだろう。そうしますと、既存の契約の予定利率のカットということが多分一番強力なわけでしょうけれども、これについて、確か96年の業法改正で予定利率の切り下げをできなくしたと理解しています。つまり、それまでは大蔵大臣命令で、既存の契約についても将来にわたって予定利率をカットできるようになっていたものが、96年改正でそれをできなくした。憲法違反ではないかというような意見があったらしいようですが、つまり、既存の私人間の契約を勝手に大蔵大臣が書き換えてしまうということです。
○倉澤部会長 いわゆる保険金の削減条項。
○深尾委員 はい、そうです。
それがないわけですから、対応ができないということなのかもしれませんけれども、これをやらない限りは、本当に回らないのではないか。しかも、待てば待つほど、高利の負債がどんどん残っていって、低利の資産の方はどんどん金利が下がっていきますから逆鞘、これがどんどん積み上がっていく。早くやればコストはある程度コントロールできますけれども、待てば待つほど損失が拡大していく。それによる処理費用がどんどん拡大していくリスクがあるのではないか。
このあたりは、この早期是正措置の内容を場合によっては法改正してでも、既存の契約についての予定利率の切り下げ条項を復活しないと対応ができないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○倉澤部会長 今の点でちょっと私からいいですか。一つだけ。
保険金削減条項があった頃は、相互会社の保険契約者というのは株主と同じで、株主責任と同じような発想法だったんですね。株価が下がるというのと。ところが、保険契約者というのは保険取引の消費者であるという考え方が相互会社についても確立いたしまして、そういう関係であれは落ちたというような面もございます。
○金融監督庁樋口保険監督課長 それでは、私の方から、いろいろな御指摘を頂戴しましたので、お答えできる範囲でと思いますけれども、ソルベンシー・マージン基準の計算方式につきましては、お手元の資料の?に「現行のソルベンシー・マージン基準については所要の見直しを行う」ということで、今作業をしているところでございます。
そうした中で、御指摘のありました、例えば、予定利率について現状より高いというようなところは、まさに御指摘のとおりかなというふうなこともございますので、何がしかの見直しということはしていきたいというふうに考えております。
それから、時価評価的なことというのは、その検討の場でいろいろ議論もしてみたのでございますけれども、今後の保険会社に関する時価評価の議論の状況を見ながら、さらに検討していくということは考えられるのかなというふうに考えております。
それから、有価証券の含み損益どこまで考えるか。今は上場有価証券に限っておりますけれども、これにつきましても、より数値の正確性を期するということから、その対象範囲の拡大といったことも考えていく必要があるのかなというようなことを念頭に置いておりまして、そうした方向で今最終的な詰めを行っているところでございます。
それから、既契約の契約条件の変更ということは、今、倉澤先生からお話しございましたことに尽きると思いますけれども、やはり保険会社について、いわゆる三俚言と申しましょうか、費差、死差、利差というようなことを考えていった場合に、保険会社の経営におきます圧迫要因の一つが、いわゆる逆鞘であるというようなことは私どもも理解をしているつもりでございます。
 しかしながら、今まさに深尾委員からも御指摘のあったところでございますけれども、現行の保険業法上、保険会社が重要な契約条件の変更をできる場合というのは限定列挙されているわけでございまして、保険会社が債務超過等により債務を十分履行することができない状況に陥った場合に、当該いわゆる破綻保険会社の全部の保険契約の移転を行う場合などに限りまして、保険会社が当該保険契約について保険金額の削減その他の契約条項の変更を定めることができるというふうにされているわけでございますので、そういった意味からは、府省令の中に契約条件の変更命令を規定することはできないというふうに考えております。
 以上でございます。
○倉澤部会長 よろしゅうございますか。
 それでは、そろそろ残りの時間が近づいてまいりましたので、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただいてよろしゅうございましょうか。
 松下委員、どうぞ。
○松下委員 ごく簡単なことで結構なんですが、2点お伺いしたいのですが、現在の行政上の破綻処理制度と本日のこの資料の1−2にございます早期是正措置の関係というんでしょうか、これをまず一般的なこととして教えていただきたいのが1点。
 それから、先ほど出てまいりました相互会社から株式会社への組織転換の完了する前の話でございますが、現在は司法上の手続、破綻処理、倒産処理手続について何も特則がないわけでございますけれども、この審議会でも何らかの特則を設けるということが審議の対象になり得るのか、およそそういうことはここでは審議しないということなのか、何か御予定がありましたら、あるいは意向がありましたら、お聞かせいただければと思います。
 以上です。
○倉澤部会長 では、後半の部分を私がやります。
○金融監督庁樋口保険監督課長 では、1点目を私の方からわかる範囲でお答えしますけれども、保険業法によりますと、 130条、 132条というところが、いわゆる早期是正措置制度に係る部分でございまして、この 130条並びに 132条における財務の状況というのは、保険会社が自ら経営改善努力をする、あるいは行政がそこに一定の関与をすることによりまして、保険会社の財務が健全な状況に立ち戻り得る状態というふうに理解できるのではないかなと思います。
 一方で、いわゆる破綻処理の制度というのは、保険業法上 241条以下に、保険契約者保護のための特別の措置というふうなことで規定されておりまして、ここに至りますと、先ほど来話が出ておりますように保険契約の包括移転あるいは合併の協議の命令というふうな行政の処分、あるいは保険契約者保護機構への契約の移転といったようなことに動いていくわけでございます。
○倉澤部会長 その後の方の問題で、この審議会の部会で相互会社の株式会社化というものについて、仮に可能な、あるいは容易にでき得る制度を作っても、なお相互会社の問題はあり得るだろうと思うし、それから、株式会社になったって、破綻の問題はもちろんあるわけでございますので、もし今の半世紀ぶりに改正された救済制度というもので、なおかつ足りないという問題が出てくれば、ここのテーマに上がり得るものと思います。ただ、やはりそれは今度は、金融制度破綻における消費者保護との整合性という形で登場してくるのではないか。それが保険審議会における支払保証制度研究会とは違った顔の出し方をするかなということは思いますけれども。
 それでよろしいですか。何かそちらで困るようなことを私言ったんじゃないでしょうか。
いいですか。
○松下委員 第1点ですが、つまり先ほど保険金の削減条項がどういう位置づけになるのかということなんですが、もし早期是正措置が健全な状態に立ち戻ることができるものであれば、その中にその保険金削減条項を入れるということができるのかという問題意識でお尋ねいたしました。
以上でございます。
○倉澤部会長 多分それはやはり今の不特定多数の第三者を相手に企業的に保険を販売していて、相互会社組織で反対のリスクテイカーの方がはっきりしないということでこの審議会で議論されている中で顔を出してくるんじゃないかと思いますけど、よろしゅうございますか。
 それでは、予定の時間が参りました。
なお、今後の部会の取り進め方ですが、問題に応じて、適宜ワーキング・グループを設置し、これを活用しながら部会の審議を運営してまいりたいと考えております。このワーキング・グループにつきましては、イシューによりまして何か報告書的な取りまとめをするものもあるとは思いますが、先ほど来申し上げましたように余り固定的に考えるのではなくて、部会での検討項目の論点をワーキング・グループで予め整理し、提示してもらって、それをまた部会で審議した後でまたワーキング・グループで検討を行うなど、柔軟な活用の仕方も考えていきたいと思っております。
その設置につきましては、今後の部会の審議に応じ、様々なものが考えられますが、今もいろいろな問題が出てまいりましたが、とりあえずは「生命保険の株式会社化に関する問題」、これは保険審議会の残された問題。それから、金融制度調査会の下の懇談会で検討が進んでおりました「個人信用情報保護の問題」につきまして、ワーキング・グループを設置させていただければと考えております。また、個人信用情報保護につきましては、問題が金融機関のみならず、割賦販売業者等にも関係をし、先の懇談会でも通産省と大蔵省との共同の懇談会であったといういきさつも踏まえ、今回につきましても、通産省の産業構造審議会、割賦販売審議会と金融審議会の合同分科会という形のワーキング・グループの形をとらせていただきたいと考えております。
 なお、もし、委員の方で、ワーキング・グループで取り上げるテーマに御興味があり参加したいという御希望があれば、事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
また、ワーキング・グループにつきましては、実務家の方にも積極的に御参加いただきたいと考えております。
こうした点も踏まえ、ワーキング・グループの人選につきましては、私に御一任をいただければと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤部会長 ありがとうございました。それでは、ワーキング・グループの事務を進めさせていただきます。
 最後になりましたが、次回の日程につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○三國谷企画課長 今後の予定でございますが、大変スケジュールお忙しい中とは存じますが、できれば本年中にもう一度開催させていただければと思っております。現在想定されます日程といたしまして、一つは、18日(金曜日)の10時から、又は21日(月曜日)の10時からのどちらかということが今考えられております。
テーマといたしましては、例えば、個人信用情報保護についての議論、金融システム改革を踏まえての金融界の取組みと認識等につきましてのヒアリングなどが考えられるところでございます。先ほどお決めいただきました実務界の方々も参加されるわけでございますから、まず、実務界の方々からヒアリング、御意見をここでまたお伺いするというようなことを考えればなと思っているところでございます。よろしくお願い申し上げたいと思います。
○倉澤部会長 以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
                                (以 上)