金融審議会「第二部会」第9回会合議事録

 日時:平成11年8月5日(木)10時00分〜12時08分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室

○倉澤部会長 ちょうど定刻になりました。ただいまから、第9回金融審議会「第二部会」を開催いたします。
 皆様、御多用のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。
 本日は、先般の部会よりの「中間的な整理」公表後、第1回目の会合でございますけれども、今しがたカメラ撮りもございましたように、当部会への関心も非常に高まっておりまして、際立って暑いこの真夏にこういうことを申し上げるのは大変恐縮ですけれども、我々も審議に一層熱意を持って取り組むべきことが期待されている状況かと思います。
 議事に入ります前に、交代がございました委員、オブザーバー及び異動がございました事務局メンバーについて御紹介をさせていただきます。事務局の方からお願いいたします。
○玉川調査室長 それでは、まず、今回、新たに第二部会に参加していただくことになったお二人の委員から御紹介させていただきます。
 坪井孚夫委員でございます。
○坪井委員 坪井です。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 八木良樹委員でございます。
○八木委員 八木でございます。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 八木委員は、総会委員及び第二部会委員としての御参加となります。よろしくお願いします。
 続きまして、今回交代・追加となりました3名のオブザーバーを御紹介いたします。
 斎藤勝利オブザーバーでございます。
○斎藤オブザーバー 斎藤でございます。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 河野正道金融監督庁長官官房企画課長でございます。
○河野金融監督庁企画課長 河野でございます。よろしくお願いします。
○玉川調査室長 山崎穣一金融再生委員会金融危機管理課長でございます。
○山崎金融再生委員会危機管理課長 山崎でございます。よろしくお願いします。
○玉川調査室長 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、総会、第二部会の入れ替え後のメンバー表がお手元の「部会資料9−1」にございますので、適宜御参照ください。
 次に、事務局メンバーにつき、大幅な異動がございましたので、ここで改めて全員を御紹介させていただきます。
 まず初めに、委員席から向かいまして会長席の右隣になりますが、新任の金融企画局長、福田でございます。
○福田金融企画局長 福田でございます。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 以下、座席順に御紹介させていただきます。
 委員席から向かいまして会長席の左の方から、松川市場課長でございます。
○松川市場課長 松川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 林信用課信用機構室長でございます。
○林信用機構室長 よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 畑中信用課長でございます。
○畑中信用課長 よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 窪野大臣官房審議官でございます。
○窪野審議官 窪野です。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 内藤企画課長でございます。
○内藤企画課長 内藤でございます。
○玉川調査室長 続きまして、委員席から向かって福田局長席の右より、高木大臣官房参事官でございます。
○高木参事官 よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 新原関東財務局東京証券取引所監理官でございます。
○新原監理官 新原でございます。
○玉川調査室長 三國谷総務課長でございます。
○三國谷総務課長 よろしくお願い申し上げます。
○玉川調査室長 さらに、本日は、座席数の関係上バック・シートに控えておりますが、大藤大臣官房参事官でございます。
○大藤参事官 大藤でございます。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 菅野大臣官房参事官でございます。
○菅野参事官 菅野でございます。よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 森市場課投資サービス室長でございます。
○森投資サービス室長 よろしくお願いいたします。
○玉川調査室長 乙部企画課細溝債権流動化室長でございます。
○乙部債権流動化室長 よろしくお願いします。
○玉川調査室長 岡田大臣官房企画官でございます。
○岡田企画官 よろしくお願いします。
○玉川調査室長 そのほか、神崎大臣官房企画官は、本日欠席させていただいております。
 最後になりますが、私、以降第二部会の議事進行等をお手伝いさせていただきます企画課調査室長の玉川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上、新しい事務局を紹介させていただきました。よろしくお願いいたします。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 ここで、福田金融企画局長より、新事務局を代表しての御挨拶がございます。どうぞお願いいたします。
○福田金融企画局長 このたびの異動で金融企画局長を仰せつかりました福田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
 金融審議会第二部会委員の皆様方、そしてオブザーバーの皆様方におかれましては、日頃より御多用中のところ、金融審議会の活動に御参加、御尽力いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、本日は、特に暑い日にお集まりいただきまして恐縮をいたしております。
 さて、金融審議会におかれましては、昨年8月の発足以来、「21世紀を見据え、安心で活力ある金融システムの構築に向けて、金融制度及び証券取引制度の改善に関する事項について、審議を求める。」旨の大臣諮問に基づきまして、骨太の御議論を積み重ねていただいております。
 中でも、この第二部会は、「安心で活力ある金融システムの構築」を主題に掲げ、21世紀の金融システム構築に向けての問題解決の積み重ねと環境整備を目指し、これまで計8回に及ぶ精力的な御審議をいただいております。
 また、部会の下に設けられました三つのワーキンググループでは、それぞれ実務的・専門的な観点から御検討を深めていただいております。
 先般7月6日の金融審議会総会・部会合同会合におきまして、そうした御審議の中間的な報告書として、「保険相互会社の株式会社化に関するレポート」、「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」及び「個人信用情報保護・利用の在り方に関する論点・意見の中間的な整理」を御了承、御公表いただくことになりました。
 本日からは、今回の報告書に寄せられました国民の皆様方の御意見等も踏まえて、さらなる御審議の積み重ねをいただく段階に入っていただくということでございます。
 特に、預金全額保護の特例措置終了後の預金保険制度につきましては、国民最大の関心事となっておりまして、御案内のとおり日々報道を賑わしているところでございます。大蔵大臣が国会で答弁されておりますように、預金者の不安といったものを、できるだけ来さないように、最終答申は年内としても、基本的な方向性はできるだけ早くお示ししていただく必要があると考えておりまして、大臣からのお願いもあり、皆様方にはこの夏の暑い頃ではございますが、本日の会合を開催させていただいた次第でございます。
 これまでも大変精力的に御検討を進めていただいており、大変恐縮ではございますが、そのような事情もございまして、今後検討をより一層早めていただきまして、秋には骨格となる基本的な考え方につきましては、何とか議論を集約していただければありがたいと考えております。
 その後、所要の手順を踏んだ上で、年内には最終的なとりまとめをいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 21世紀に向けて、残された時間が多いとは言えない中で、内外の高い注目を集めながら、金融システムを巡る様々な問題に取り組むことは決して容易ではございませんが、来世紀に向けまして、「安心で活力ある」誇るべき金融システムといいますか、そういうものを引き継いでいけますように、今後とも幅広い御議論を御期待申し上げたいと存じます。
 簡単でございますが、以上をもちまして、私の御挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、議事次第に従いまして、本日の議事を進行させていただきたいと思います。
 本日は、7月6日の合同会合で御承認をいただき、公表となりました「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」について、金融機関の方々からのヒアリングを行うことを予定しております。
 預金保険制度に関する議論ということで、本日は特に「預金保険制度に関するワーキンググループ」の座長をお願いしております神田委員にも御出席いただいております。また、第一部会の田中委員、吉野委員も総会委員としてのお立場で御出席をいただいております。
 それでは、早速、金融機関の方々からのヒアリングに移ります。本日は、金融機関関連の協会から、計6名の方々に御意見を伺うことといたしております。なお、議論にめり張りをつけるために、この6名の方を3名ずつ二つのグループに分けまして、それぞれに意見を陳述いただいた後に自由質疑を行っていただくということで進めさせていただきます。
 それでは、全国銀行協会を代表して野田オブザーバーからお願いいたします。
○野田オブザーバー 第一勧業銀行の野田でございます。座ったままでよろしゅうございますでしょうか。
○倉澤部会長 どうぞ。
○野田オブザーバー 恐れ入ります。
 ただいま御紹介いただきましたとおり、私は現在、全国銀行協会で企画委員長を務めさせていただいておりますけれども、本日は、都銀、長銀、信託銀行、いわゆる大手銀行の立場で現時点でのお話をさせていただければというふうに存じております。
 まず初めに、最近、ペイオフ解禁後の預金保険制度のあり方を巡って議論がいろいろと本格化してきておりますけれども、この2001年4月からのペイオフ解禁というものにつきましては、政府が96年の預金保険法改正の際に示したいわば既定方針であると理解いたしております。
その背景には、預金等の全額保護は、あくまでも信用不安を醸成しやすい状況下での例外的、臨時的な措置であり、そうでない状況、つまりいわば平常時においては金融機関と預金者が自己責任原則に則って市場規律の下で行動することがこれからの我が国の金融システムを強化するために不可欠であると、こういう判断があるものというふうに認識いたしております。
そこで、何よりも重要なことは、私ども金融機関の信用を早急に回復し、また、それを万全なものとするということであるというふうに考えております。私どもはペイオフ解禁を前提といたしまして、一層の財務内容の強化に努め、強い体質を作り上げていくことがまず肝要であると考え、現在懸命に経営努力を重ねているところでございます。
以下では、先ほど申し上げたいわば平時における恒久的措置としての預金保険制度につきまして、先日この場で公表されました「中間的論点整理」を踏まえまして、二、三意見を申し述べさせていただきたいというふうに存じます。
 さて、預金保険制度のそもそもの目的は、少額大衆預金者を保護することにより信用秩序を維持すること。すなわち破綻金融機関の預金者に対する保険金支払いや救済金融機関への資金援助などにより、直接的・間接的に少額大衆預金者を保護することを通じまして取付けの発生を防止し、もって金融システム全体の安定性を維持しようとするものであるというふうに理解いたしております。
 ただし、この場合、預金保険制度で一定の預金を保護するということは、その範囲において、モラルハザードの発生を容認することでもあります。今後の我が国の金融システムのあり方を考えた場合、市場規律を機能させる。言い換えれば、市場参加者のモラルハザードをできるだけ小さくすることが望ましいということは、私からあえて申し上げるまでもございません。
 また、モラルハザードが大きくなればなるほど、社会的なコスト負担を増大させるということもまたしかりであろうと存じます。この意味で、恒久的制度を考える際には、基本的には小さな制度を目指すべきであろうというふうに考えております。
 なお、預金保険制度の費用負担ということで付け加えさせていただければ、現在私ども金融機関が精いっぱいの預金保険料を負担する一方で、経費の大幅な削減など経営の合理化、健全化に懸命に取り組んでいるということにつきましても、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
 続きまして、預金保険と密接な関係にある破綻処理の枠組みについて述べさせていただきたいと存じます。
 今さら申し上げるまでもないかもしれませんが、広い意味でペイオフが解禁されるということは、金融機関の破綻の際に預金者が何らかの負担を求められる可能性があるということであります。ここで重要なことは、預金者が負担を求められることもあり得るという前提に立って、その場合でもなおコストが小さく、かつ、実務的にワーカブルな破綻処理スキーム、こういうものをいかに構築していくかということであるというふうに考えております。
 特に破綻処理の迅速化により、預金者の流動性を最大限確保し、資金決済や資金仲介など、金融機能の連続性、継続性にできるだけ支障を来さないようにすることが重要なポイントであります。こうした観点からは、例えば米国におけるP&A方式のように、迅速に資産・負債の継承を行う手法というのは大いに検討に値するのではないかと考えております。
 ただし、我が国でP&A方式のような仕組みを導入しようとする場合には、法制面、実務面で多くの課題を解決する必要があると考えております。
 例えば、譲渡先を円滑に見つけるための工夫として、ロスシェアリングの手法を導入することが考えられます。一般に破綻金融機関の規模が大きくなれば、譲渡交渉に必要な資産内容の評価にも、より多くの時間が必要になりますが、こうした資産内容の評価などの手続をできるだけ迅速に行うためには、受け皿金融機関が譲り受け後に被るかもしれない損失について、一定割合の補填を受けることができるようにすることで健全金融機関が破綻金融機関の業務を引き受けやすくするということも必要であろうかと考えます。
 また、例えば、破綻金融機関の規模が大きい等の理由で、短期間で受け皿金融機関を見つけにくい場合で、時間をかけて受け皿金融機関を見つけることが最終的な営業価値の維持につながると見込まれる場合には、ブリッジバンクへの一時的な譲渡等の措置がとれるようにすることも選択肢の一つになろうかと考えます。
 ただし、預金者に対して負担を求めることがあり得るということが前提となりますと、同じブリッジバンクという言葉を使いましても、現在の金融再生法に基づく枠組みとは異なるものではないかと認識いたしております。
 さらに、預金者の流動性をより多く確保するという観点からは、預金等債権の買取り制度について、保険金支払方式の場合だけに限らず、資金援助方式の際にも利用できるようにすることも検討すべきではないかと考えます。
 また、債権買取りの対象につきましても、最終的な費用負担が預金保険料に及ばないという範囲で現行よりも広げることが考えられるのではないかと考えております。
 これらに加えまして、まず第1に、金融機関の倒産法制等の見直し。第2に、名寄せや資産内容の把握、譲渡先の選定など、一連の作業を事前に行い得るような仕組み作りなどの課題についても解決する必要があります。
 ただ、これらの課題が解決され、一連の処理が円滑かつ迅速になされるならば、預金が全額は保護されない可能性が残るものの、金融機関の破綻に直面しても一定の金融機能が維持され、預金者の流動性についても連続的に確保されることになるのではないかと考えます。
 破綻時における流動性の確保という点に関しましては、決済性預金の全額保護という議論もありますけれども、ただいまも申し述べましたように、一連の処理が円滑かつ迅速になされるならば、この問題は一義的には解決できるのではないかと考えます。それでもなお決済性預金を全額保護すべきであるということでありますならば、それが負担の増大やモラルハザードの増大につながることからも、そもそもこの問題を現在の預金保険制度の中で考えるのかという点も含めて、さらなる議論が必要になるというふうに考えます。
 さて、ここで実務面から大きな問題の一つになりますいわゆる名寄せの問題について触れたいと存じます。
 P&A方式に限らず、広い意味でのペイオフを実施する場合には、損失負担額を確定させるために名寄せ作業というものが必要になってまいります。御存知のとおり現在のように預金が全額保護されている状況にありましても、金融機関が破綻して、預金保険機構が資金援助を実施いたす場合、一般勘定から支出される金銭贈与額の上限となるいわゆるペイオフコストというものを算定するために、破綻金融機関の預金者データに基づき、現在預金保険機構自身が自らの名寄せシステムを使って名寄せ作業を行っております。この名寄せ作業をいかに迅速に行うかという観点から、例えば、平時から金融機関における名寄せを求めることはどうかという意見もあるというふうに承っておりますが、破綻という非常時の備えとしての名寄せを平時から健全行を含む全ての金融機関が求められるということになりますと、業界全体のコストは極めて大きなものになるのではないかと思われます。
 ちなみに、手前ども第一勧業銀行では、営業上の観点からの名寄せは営業店単位ということで十分であるという考えから、全店ベースでの名寄せは行っておりません。仮に私どもの預金口座数、現在およそ 2,100万口座ございますが、これに対しまして、オンラインベースで常時かつ全店ベースでの名寄せを実施し、いわばリアルタイムでデータを集約する体制作りを行うということになりますと、現在の顧客データに関する管理、運営体系というものを抜本的に見直すことが必要になると思われます。
 まず、顧客ファイル等を大幅に変更することにもなるでしょうし、バックアップセンターなどの増設ということも必要になると思われます。さらに、事務運用面でもメンテナンスなどによる負担の増加が見込まれます。
以上、総合いたしますと、預金者の同一性の確認などがどう求められるかという正確性のレベルによっても異なってまいりますけれども、オンライン・リアルタイムベースでの名寄せは全体として膨大な投資負担になるのではないかと考えております。
そこで、私どもといたしましては、預金保険の支払人でありますところの預金保険機構が名寄せを行うという原点に立ち返りまして、いかに名寄せ作業を迅速に行うかという観点から、例えば預金保険機構の名寄せシステムと金融機関の預金者データのやりとりなどをスムーズに行うにはどのようにすればよいか等々、預金保険機構と金融機関との連携について、実務面から真剣に検討していく必要があるというふうに感じているところでございます。
なお、この場合、処理量の大きさ等を考えますと、名寄せについても資産内容の把握とか、譲渡先選定など他の一連の処理作業とともに、何らかの形で破綻公表前に行うという仕組みにしておくことが迅速化の観点から重要になるというふうに認識いたしております。
最後に、可変保険料率の問題について触れたいと存じます。
現在、我が国では一律の料率が適用されておりますが、御承知のとおり米国などのようにいわゆる可変保険料率を導入している国もございます。こうした中、預金保険の発動リスクに見合った保険料率を適用するとの考え方から、可変保険料率を導入すべきではないかとの意見も大手行の中には出ております。可変保険料率につきましては、経済・金融情勢等を踏まえ、その導入のタイミングとして妥当か否か、また、具体的な料率設定をどのような基準で行うのか、さらには、適用する料率を公表すべきかどうか等、いわば政策的な判断による点も多々あるわけでございますが、冒頭にも申し上げましたとおり、平時の預金保険制度、平時の恒久的な預金保険制度を考える場合におきましては、検討に値するのではないかというふうに考えている次第でございます。
 以上、私ども本格的な検討に着手してまだ間もないということもございますので、本日のところは、確たるところは申し上げられませんでしたけれども、私どもといたしましては、今後、実務面から精力的に検討を重ねてまいりたいと考えている次第でございます。
 私からは、以上でございます。ありがとうございました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
では、引き続きまして、全国地方銀行協会、松崎オブザーバー、お願いいたします。
○松崎オブザーバー ただいま御紹介をいただきました全国地方銀行協会で一般委員長を務めております横浜銀行の松崎でございます。
当部会には従来からオブザーバーとして参加させていただいておりますが、本日は、地方銀行協会の代表といたしまして、預金保険制度に関する意見を述べさせていただきます。本日は、このような機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
 現在、私ども地銀界では、2001年4月のペイオフ解禁を前提に、ペイオフ解禁後も取引先の皆様が安心してお取引いただけますよう、個別金融機関による不良債権の処理や、財務内容の改善促進等による経営体質の強化、ディスクロージャーの拡充による透明性の確保など、最大限の経営努力を行っているところでございます。
 と申しますのも、そもそも一連の金融システム改革は、ペイオフ解禁をタイムリミットとして進められておりまして、2001年4月までの間はその準備期間と位置づけられてきたはずでありますし、また、預金保険上の種々の措置もそれを前提としているものと理解しておりますので、各行がペイオフ解禁後を睨んで最大限の経営努力を行うということが本件を検討する前提としての私ども地方銀行の共通認識であるからでございます。
 ただ、具体的な個々の論点に関する地銀界の意見につきましては、現時点では集約するに至っておらず、先般公表されました第二部会の「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」を踏まえ、8月中旬を期限に中間的な整理に対する地銀各行の頭取方の意見を集めているところでございます。したがいまして、地銀界におきましては、中間的な整理で示されました八つの論点につきまして、現時点では部分的にしか議論がなされておりません。
 そこで、本日は、これまでの地銀界での議論の中で各行から出されました主な意見について、若干論点に偏りがあろうかと思いますが、率直に紹介をさせていただきたいと存じます。
 まず、2001年4月のペイオフ解禁にあたりましては、その前提といたしまして、一つは、預金者の皆様がペイオフについて御理解いただき、自己責任原則を御認識いただけますよう、当局及び金融機関が最大限の努力をすることでございます。
 現在、ペイオフの解禁の問題につきましては、様々な媒体で、また、様々な人々によって論じられておりまして、その際に「ペイオフ」という言葉が人によって様々な意味で使われるといった状況がございます。そのため、現場からは、預金者の方々の中には、本来のペイオフという言葉の定義を理解しないまま、ペイオフは 1,000万円を超える部分は全額カットされることであると考え、非常に不安に思われている方もいらっしゃるとの声も聞こえてまいります。
 また、預金の全額保護につきましても、我々は現在の措置があくまで例外的、臨時的な措置でありまして、本来的には金融機関と預金者が自己責任原則に則って行動するべきであると認識しておりますが、預金者の方々にはまだまだそうした意識は定着しているとは言えない状況にあると思います。もちろん、我々金融機関としても、機会を捉えて預金者の皆様に対し、そうした考え方や、自行の経営の実態や経営努力について御説明し、不安感の軽減や自己責任原則の浸透に努力しておりますが、ペイオフ解禁の前提として、マスコミ対応も含めた幅広い範囲でのさらなる努力が必要かと思われます。
 二つ目には、郵便貯金と民間との公正な競争条件が確保されますよう、政府におかれましては、そのための体制整備に努めていただく等の環境整備が必須であるものと考えております。
 国家という信用力を背景に種々の優位性が付与されている郵貯とのイコール・フッティングの実現がないまま、同じ土俵で勝負をすれば郵貯への預金流出を招き、預金流出が貸出減につながり、地域経済に悪影響を及ぼすとの意見も根拠のないものではないと思います。
 そして、決済機能の保護、金融機関の借り手の保護につきましては、預金保険制度そのもののあり方を踏まえた十分な検討が必要であるとの意見が大宗を占めております。
 当部会委員の皆様には、今さら御説明申し上げるまでもございませんが、我が国における預金保険制度の推移について概略を振り返ってみますと、昭和46年に金融機関間の相互扶助の観点から、 100万円を上限に保険金を支払う預金保険制度が創設されて以降、昭和61年の保険金の上限の 1,000万円の見直し、平成8年には信用組合の相次ぐ破綻発生を踏まえた、いわゆる金融3法による措置、そして平成10年には、破綻の波が信用組合にとどまらず、銀行にまで及んできたことを受けて、金融安定化2法等による措置が行われてまいりました。
 こうして俯瞰してまいりますと、預金者の保護を図り、もって信用秩序の維持に資するという制度本来の目的こそ一貫しておりますが、預金保険制度及びその中核である預金保険機構の規模や役割は、時代時代の要請の下にかなり変遷しております。
 当然のことながら、預金保険制度を論ずるにあたっては、こうした背景や預金保険制度の本質をどう捉えるかによって考え方も変わってまいります。そして、地銀界では、預金保険制度の本質は、一般大衆預金者等の貯蓄を保護するとの預金保険制度創設時の趣旨にあるとの意見が多く出されていることから、決済機能の保護、金融機関の借り手の保護といった問題は、必ずしも預金保険制度の中で対応すべき問題なのか。むしろ銀行システムを含めた我が国経済システム全体の仕組みの中で対応すべき問題ではないかといった点を含めて、さらに議論を重ねるべきであるとの意見が出されております。
 また、預金保険制度が一般大衆預金者等の貯蓄を保護するとの趣旨を超えて拡大することについては、モラルハザードの観点はもとより、預金保険料の観点からも懸念の声が上がっております。
 例えばモラルハザードについてですが、一昨年の11月に大規模な金融破綻が発生した際、近畿地方のある地方公共団体では、預金の預け入れ等にあたっては、金融機関の健全度に応じ移転すべきとの方針が一旦打ち出されたものの、その後、預金等に関する全額保護の方針が明確になりますと、今度は金利の高いところへ移転すべきとの方針に転換されたということが実際にあったとも聞いておりますし、現実問題として、十分な配慮が必要ではないかと思われます。
そして、預金保険料についてですが、現在の預金保険料のうち、特別保険料につきましては、2001年4月までの臨時的、例外的措置であるとは認識しておりますが、今日の我々地銀界の保険料負担の割合を見てみますと、地銀64行の平均ベースで見ても、業務純益対比で平成8年度から直近の平成10年度まで、8%を超える水準で高止まっております。
 ちなみに、預金保険料が7倍に引き上げられる前の平成7年度の利益に対する保険料負担の割合は 1.2%であり、当時の保険料の引上げに関する金融制度調査会の議論でも、米国の金融機関の保険料負担のピークが8%であることなどを踏まえ、我が国金融機関の国際競争力への悪影響等をも勘案すれば、この水準を超える負担を金融機関に求めることは極めて困難との指摘がございましたが、現在でもそうした状況は変わっていないというふうに認識をしております。
 そして、64行の平均ベースで8%を超える比率と申しましたが、個別に見ますと、業務純益の13%を超える割合で預金保険料を負担している銀行もありまして、こうした水準は経営にとって極めて影響の大きい水準であると言わざるを得ません。したがいまして、もし仮に預金保険料負担が増加につながるような形で預金保険制度が拡大された場合、金融機関のリストラ努力、公的資金による資本注入効果の減殺、不良債権処理の遅れや信用収縮といったマイナスの副作用をもたらす危険性が非常に高いのではないかといったことを心配する意見も多く出されております。
また、一方で金融システム不安の再燃を抑えるためにも、現在特例措置として設けられているセーフティネットが2001年3月末に終了することを踏まえ、それに代わる何らかの体制整備や、破綻処理迅速化のための措置について幅広く充実が図られるべきであるとの意見も多く出されております。
 2001年以降の破綻処理につきましては、特例措置の廃止による自己責任主義の徹底が原則でありますが、実際の破綻処理につきましては、コスト、効率性、金融システムへの影響を考えて、破綻金融機関の規模に応じて多様な処理手順がとられるよう制度的な手当てが用意されていくことが必要かと思われます。
 例えば、米国におけるP&A方式や、我が国倒産法制の見直しなども大いに検討に値する方式の一つではないかとの意見も多く出されております。
 ただし、2001年4月以降の破綻処理スキームを考える上では、過度に金融機関の初期コストを要するものは望ましくないのではないかとの意見もかなりございます。これは先ほど全銀協の御意見も中にありましたが、名寄せシステムについてでございますが、名寄せのシステムというのは、大まかに申しますと、仮名氏名や住所といったキーを用いて、一つの銀行において複数の取引がある取引先を同一と認識し、預金残高を合計する仕組みでありますが、例えば、銀行では、取引先が結婚して名前が変わっていても、住所が変わっていても、先方から届け出でがなされていなければ、こちらから把握するのは不可能でございますし、また、マンションの管理組合名義の口座や、〇〇同好会といった口座の預金残高が誰にどう帰属するのか把握するのは非常に困難でありまして、このように金融機関が名寄せに完璧を期すのは事実上不可能な状況でございます。
 さらに、ほとんどの銀行が名寄せの仕組みを営業単位で持っておりまして、これらを全店名寄せできるようなシステム対応するためには膨大なコストがかかるというのが実態でございます。このコストは銀行の規模やシステム体系によって大きく異なりますが、複数の支店に口座を持つ同一顧客について、オンライン・リアルタイムでの一元管理を可能にするため、各行独自に全店共通の管理番号を再番する方法をとるとすれば、規模の大きい地銀では 100億円を上回ることになろうかと思われます。とはいえ、どのような方法で破綻処理手続を行うにしましても、名寄せの作業自体は必要な手続でございます。
 したがいまして、一つの方法といたしましては、預金保険機構が現在有している名寄せシステムに対するデータの提供をいかに迅速に行っているかという観点から、金融機関としてもコスト面を踏まえ、さらに実務的な検討を進めていくことも必要かと思われます。
 そして、本件を検討するにあたっては、破綻処理の迅速化によって破綻金融機関の資産の劣化を最小限にとどめようという社会的コストの最小化という観点から、例えば預金者からの自己申告をもとに保険金を支払い、その後、名寄せにより過払いが判明したときに返還請求を行うといった方法の検討も必要かと思われます。
 また、預金者サイドにもある程度データの変更や異動に関する正確な申告への義務感を働かせる仕組みにすることも、名寄せの有効性を高めるためには必要なことかと思われます。
 そして、金融機関破綻時の預金者の負担についてですが、現在では早期是正措置という制度が導入されており、基本的には債務超過に陥る前に監督行政上の何らかの措置は事前にとられているはずでありますので、ペイオフコストを超えるような極端な債務超過に陥って金融機関が破綻するケースは、今後はほとんどなくなっていくのではないか、そういう意見もございます。
 もちろん、破綻すべき金融機関は市場から排除し、生き残るべき金融機関は公的資金による資本注入や、再編等による抜本的な業務の再構築を実施するなどして、万全、磐石の体制を整えていることが前提となりますが、破綻処理コスト、ひいては社会的コストの最小化のポイントは、当局による早期是正措置の厳格、かつ、きめ細かな運用であり、そうしたモニタリング機能の強化により、金融機関が大規模な破綻に至る前に処理が行われ、もって社会的なコストの最小化を図られるといった効果も期待しておるところでございます。
 いずれにしましても、私ども地銀界といたしましては、金融機関の社会的、公共的責任を強く認識し、ペイオフ解禁後におきましても、取引先の皆様が安心してお取引いただけますよう、それぞれが経営体質の強化やディスクロージャーの拡充等につきまして全力を挙げて取り組む所存でございます。
 また、当金融審議会では、引き続き預金保険制度について精力的に、本質的かつ実践的な議論が行われていくものと認識しておりますが、当事者である我々地銀界におきましても、本会と平仄を合わせて活発な議論を行っていきたいと考えております。そうした中から出てまいります意見につきましては、必要に応じ、こうした場で申し上げてまいりたいと存じますので、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、第二地方銀行協会、吉本専務理事よりお願いいたします。
○吉本第二地銀協会専務理事 ただいま御紹介いただきました第二地方銀行協会副会長専務理事、吉本でございます。
 せっかく機会を与えていただきましたので、当協会においてこの関係の専門の委員会を作っていろいろ議論しておりまして、現在ほぼ集約されている意見をただいまから申し上げたいと存じます。お手元に御参考までに一枚紙の骨子ということで論点のポイントをお配りしてございます。これを見ながらお聞きいただきたいと存じます。
 まず、金融というのは経済の血液でございまして、それが安定的に機能することが国民経済の安定と反映のための前提であることは論をまちません。新銀行法ができまして、それから預金保険法、金融再生法、健全化法、こういう枠組みの下で現在金融界においては、金融システムの信頼性確保に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございますけれども、21世紀初頭において、このペイオフの前提となります信用不安を生じやすいような環境が、そういうような状況でなくなっているといたしましても、万一の事態に備えて、多様な選択肢を含めたセーフティネットの枠組みを整備しておくことが肝要だと思料しております。そのような枠組みの存在自体がまた金融システムに対する信頼の確保にも資するものであると、こういう基本的な考え方でございます。
 さて、そういう意味でセーフティネットの枠組みというものの整備が必要なわけでございますけれども、その際、一番基本的な問題でございますが、この2.にございますけれども、地域経済と地域金融安定の視点、これが特に重要だということを本日強調させていただきたいと思います。
 我が国経済社会を支えているのは地場の中小零細企業であります。事業所数で約640 万件、そこで働く従業者は約 5,000万人。全従業者、これは一次産業あるいは公務員を除きますけれども、それの80%程度に達する規模であります。その工業出荷額、いわゆる出荷額は全体の51%を占めると、非常に大きなウェイトを持っているということであります。これら中小零細企業の活性化なくして、国民経済社会の安定と均衡ある発展はあり得ないというのが基本的な考え方でございます。
そういうことの重要性に鑑みて、このセーフティネットを構築する必要があるわけですが、その場合に、中小零細企業に係る特質、金融取引の特質というものに十分留意してこのことを考えていかなければならないというふうに思います。
中小零細企業の特質と申しますのは、まず1番目に、中小零細企業にとって金融の円滑ということがその使命を制するほど重要であるということであります。
 それから、特質として第2番目に、地域金融の担い手は地域金融機関であるということであります。しかも、多年にわたる付き合い、そういう中から金融取引が続いておりまして、地域性とか個別性が非常に高い。金融取引の代替性がきかない。実はそのバックに、ほとんどの取引先が赤字であるという現状がございますが、赤字企業が非常に多い。これを最近はやりの言葉で言いますと、第 II 分類とか要注意先とか言ってますが、そういう相手先が非常に多いということもその原因の一つであります。そういう特質を十分わきまえた上でこのセーフティネットを考えなければいけない。
 さらに3番目といたしまして、中小零細企業にとりまして、その保有する定期預金とか普通預金、こういうものは事業遂行のための信用力の証となっております。そういうことで、事業活動の基盤そのものでありますということであります。この中小企業問題とか地域経済問題を考えると、これら事業性預金の保護について特別な配慮が必要だということを十分ひとつ御認識いただきたいと思います。
 それから、さらに4番目といたしまして、個人や、特に零細企業にとりまして、金融取引の自己責任を求めるというのが、基本的な考え方はもちろんそうなんですが、これを求めることは、これは建前論はそのとおりだと我々も認識しておりますが、実際問題として非現実的だという認識を持っております。
 安心して彼らが個人とか、特に零細企業が金融取引を行うことができるような環境を整備する、これが必要であるというのが現実であろうかと思います。信用の証としての預金、定期預金その他普通預金、そういうものがなかなか現実として相手を選んでいろいろ動かすことができないとか、いろいろ取引のしがらみの中から発生しているということを十分わきまえて、このセーフティネットということを考えていただきたい、こういうことであります。
 なお、ついでに、この地域金融の特質との関係で付言させていただきますと、個人や零細企業には自己責任を問い得ないのが現実であるということは、逆に言いますと、同時に風説が流布されたいろいろな問題が出てきたら、途端に過敏に反応するという側面も持っておるということであります。
 一昨年、実は早期是正措置が導入されまして、いわゆる貸し渋りと呼ばれる信用収縮が生じて、景気低迷を深刻化させたと言われておりますが、これがこのまま進みますと、2001年の4月に向かって同じ轍を踏むことになるのではないか、再び景気底割れとかそういうことを招くのではないかとの強い危惧が実は我々多数の会員銀行から、各地区から寄せられております。実はそういう意見が非常に強い、現場はそういう意見が非常に強いということにぜひ御留意をいただきたいと存じます。
 さて、この地域金融の今申し上げましたようないろいろな特質を前提にいたしまして、具体的なセーフティネットの枠組みを整備するということが大事なわけでございますけれども、その場合に、まず1番目に出てくる問題が、借り手保護を含む破綻処理の枠組みの整備の問題であります。
 金融機関が万一破綻した場合、最も深刻な影響を受けるのは地場の中小零細企業であります。近年いろいろ起こりました金融破綻の実例からもこれは明らかでございます。そういうことで、その場合に、例えば預金払戻しの手法がペイオフとしてはあるわけでありますが、そういう手法は、迅速性とかコスト面とか、いろいろ問題が甚だ多いということでございまして、特に借り手保護の問題も加えて考えてみますと、破綻金融機関が万一発生した場合に、そのバランスシートを承継して移管する制度、いろいろな制度がございますが、そういう制度をぜひ恒常的枠組みとして整備するという必要があろうかと思います。
 これが、まず借り手保護を含む破綻処理の枠組みの整備の問題であります。
 ついで、二つ目の具体的な枠組み整備の問題としては、やはり決済性預金の全額保護ということをぜひ考えていただかなければいけないというふうに考えております。事業活動を行う個人や中小法人が保有する当座預金とか普通預金等は、決済性預金としてその全額を保護して、優先して決済の円滑処理を終えることができるよう措置することが肝要でございます。
 この問題は、果たして預金保険の世界であるかどうかという基本的な議論がいろいろあろうかと思いますが、もちろん預金保険で現実的に可能な方策がございましたら、それも検討することはできるでしょうが、現実には預金保険の体系の中で既に拡充した世界があって、これを今後どうするかという問題が現在の時点でございますので、これを取り上げようとすれば、どうしても預金保険の世界で検討するのが現実的であるというふうな認識を我々持っておるということを付言させていただきたいと思います。
 それから、3番目の問題として具体的な枠組みの問題としては、中小零細企業の事業性預金全般に対する特別な配慮をぜひお願いしたいということであります。
 中小零細企業の先ほど申し上げました信用力の証となっている事業性預金。これは安心して預け入れができるような枠組み整備をしてあげるということがぜひ必要であると思います。また、そういう手当てがあるということで、例えば風説等による大口預金の流出とか、それに伴う信用不安を防止することができるものと確信しております。
 そもそも考えてみますと、これからは、検査とモニタリングを充実させまして、早期是正措置を厳正に、適正に運用することによりまして、いわゆる債務超過型破綻は回避されることになるはずでありますし、そういう行政展開をしていただかなければならないというふうに考えております。
 さすれば問題は何かといいますと、例えば、自己資本比率が4%ぎりぎりになった、あるいはそれを若干切ったところで早期是正措置が発動されたというようなのが一つの典型的な事例でございますが、そういう場合に資金の流出が起こるという問題であります。問題は、そういう風説等による資金の逼迫とか流動性危機、そういうことに伴う破綻、いわゆる流動性破綻でありまして、これをいかに防止するかがこれからのポイントになるというふうに認識しております。
 また、ここで破綻させますと、いわゆる資産の劣化の問題がまた起こってくるわけでありまして、それを防止するのが最もコストが安く、現実的な解決策であるというふうに考えております。
 したがって、それをいかに構築するかということでございますが、例えば、必要な場合に預金保険機構が所要資金を供給することが可能な緊急融資制度を整備しておくということが望まれるところでありまして、そういうことの措置を伴うことによって、安心して預金を預け入れることができるという意味での中小零細企業の預金に対する特別な配慮が講じられるということになると、こういうふうに認識しておることをひとつ御理解を賜りたいと存じます。
 それから、最後になりますが、預金保険の性格と保険料負担のあり方の問題でございます。
 私どもは、この名称は「預金保険」でございますけれども、その実態は、信用秩序維持保険、あるいは金融システムの安定保険というものにほかならないというふうに認識しております。現に保険料の負担者が預金者ではなくて金融機関であること、あるいは今暫定措置ではございますけれども、特別保険料等による借り手保護とか、インターバンク保護等が行われていることがそれを如実に示しているというふうに認識しております。今後とも信用秩序維持のための保険であり続ける必要があるというふうに考えております。
 そうしますと、そのためには、この保険が成り立つためには、広く受益を享受する全ての金融機関を対象として、公益目的のための強制保険として、広く、薄く負担を求めるという考え方で保険料体系を組み立てることが適切であるというふうに考えております。
 そうしますと、その際、特に留意すべきことは何かといいますと、第1に、信用秩序維持のための保険であることから、預金やこれに類するものをもっと広範に捉えまして、これに対し、広く、薄く負担を求めるということが肝要であろうかと考えております。
 第2に、郵便貯金につきましても、広い意味での金融システムを構築する責任ある存在として、応分の保険料相当額の拠出を求めるということ。これによって、少しでも民間とのイコール・フッティングに近づけるという効果もございますので、そういうことが肝要であるというふうに考えております。郵便貯金問題は、なかなか大蔵省の世界で難しい問題でございますが、ひとつ金融審議会におかれましても、ぜひ郵貯問題に言及していただくということを強くお願いをいたしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ひとまず、お三方の御意見をお伺いしたところで、御自由に質問、討議をいただければと存じます。
 石委員、どうぞ。
○石委員 今、二方から名寄せのコストについて膨大になるというお話いただきました。では、代表して野田さんにお答えいただければいいと思いますが、番号制というのは、今後いろんな意味で問題になってくるんですね。例えば今既に年金番号できておりますし、今、国会で住民基本台帳の番号が出てきておりまして、それから、政府税調ではこの秋から本格的にその番号の導入を含めて、納税者番号の議論が出てきますので、必ずこの問題に触れてくると思うんですよ。つまり、番号はせっかく入れるなら、幅広く使った方が国民的にはコストが安くなりますからね。
 それで、質問は、既にそういう番号を入れると、私は恐らく名寄せのコストはかなり安くなると思いますし、政府が番号を付けてくれるんですから、銀行は一向構いませんよね。そういう意味で議論されているかということと、しかし、預金者の側から言うと、うっとうしいですよね。各支店にばらまこうというのは、やっぱり知られたくないという意味もないことはないんでしょう。ただ、それは、つぶれたときの名寄せで協力してくれるというようなことができるかと思いますが、そういう意味で、これから本格的になる番号について、どういうお考えか。政府税調でそういうことをやられると迷惑なのか、歓迎すべきなのか、その辺も併せて。
○野田オブザーバー 非常に微妙な問題であると認識いたしておりますけれども、先ほど私が御説明して、あるいは松崎オブザーバーが御説明された部分で、名寄せの技術的なところで申しましたけれども、名寄せするには、私ども独自のコードが別に必要になってきます。それが銀行で独自のコードを設定するか、あるいは社会インフラとしての何らかの番号があるかという違いだと思うんです。この違いというのは、実は単なる違いじゃなくて、極めて大きな違いだと思います。
 例えば、私どもが銀行で任意でやる場合には、私、野田なら野田というのに番号が付されましても、仮に別にところにある預金に必ずしもその同じ番号が付与されるかどうかというのは、これはわからない話、難しい話なんですけれども、後者の例えば社会インフラとして、納番制という、そういう番号ができますと、何らかの強制が働くんだろうと思いますが、そこにまさに1人1番号という制度になれば、それは非常に正確性を増すということであろうと思います。
 ただ、申し上げたいのは、技術的に言えば、我々今御説明の中で申し上げましたように、オンラインのシステムを構築しようとすれば、何らかの番号が要るということは一緒でございます。
 ただ、コストの面でどうかといいますと、そういう社会インフラがあることによって、例えば平時の名寄せにかかるメンテ、そういうコストというのは確かに相当縮小はしてくるというふうに思いますけれども、それがどの程度、両者を比べた場合に減るのかという点については、ここで私今検証もいたしておりませんので、お答えしかねる部分かと存じます。
 以上でございます。
○倉澤部会長 では、松下委員。
○松下委員 今の点に関連しまして、中間的な論点整理で、保険料算定の母数を保険金の支払限度額、現行であれば 1,000万円を上限とすることで名寄せを促進することはできないだろうかという指摘がございます。つまり、名寄せをした結果、 1,000万円を超える分については保険料を払わなくてよろしいという形で先ほど再々言及のありました保険料負担の軽減ということをしながら、名寄せを果たすという指摘があるのですが、これに対して実務的に、これが大した負担軽減にならないから余り意味がないのか。そういうものがあるならば、名寄せするコストを吸収できるのかどうか。細かい計数的なものはここではもちろん結構でございますが、もし何か御感触ありましたら、お聞かせいただければと思います。
○倉澤部会長 どなたか協会で。野田オブザーバー、お願いいたします。
○野田オブザーバー 確かに 1,000万円以上のものについて預金負担料は要らないよということについてのインセンティブは大きなものがあると、これは否定できないところでございますけれども、先ほど私詳しくは触れませんでした。松崎さんの方がむしろ詳しく触れられたんですけれども、その名寄せの正確性、すなわち別の言葉で言えば、同一性に関する正確性。これは言ってみれば、多々ますます弁ずということでありまして、切りのないところであるというところがございます。
 ですから、名寄せの正確性をどういうふうに見るかということで、完全な正確性が得られない以上、そういうインセンティブというのは、過去、金融機関の正確性の程度に応じて公平性を保つというのは非常に困難ではないかという問題が一つあります。
 それと、そもそもの話になりますけれども、そもそも預金保険料の負担というのは、そういう名寄せのシステムがうまくいっているかどうかということではなくて、やはりそれぞれの金融機関のいわば破綻リスクといったものに応じて払われるというのがそもそもの考え方でございましょうから、論点整理にありますような考え方というのは、必ずしも私ども賛同しかねるという意見も多くあることを申し添えたいと存じます。
 以上でございます。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
 深尾委員、どうぞ。
○深尾委員 決済性預金についての保護について意見が多少異なったと思うんですけれども、私のお伺いしたいのは、まず、預金について決済性と非決済性を完全に分けることができるのかどうか。預金担保で普通預金なんかでも 200万円まで借りられますし、また、普通の定期預金なんかでも、普通の場合であれば、即日解約ができるということで、実際上流動性と考えている企業も、あるいは個人も多いのではないかと思います。そうすると、その決済性か、非決済性かというところで、すかっと線を引くのは非常に難しいのではないか。
 そうしますと、例えば、仮払いなり暫定払いを即座に行う。金月ぐらいで仮払いが相当の高い比率で、預金をほかに移して、すぐ使えるようにするとかいうような形にすれば、必ずしも決済性を全部保護する必要はないのではないか。
もう一点は、決済性預金と言った場合に、決済途中にある資金をどう考えるか。例えば業後に振込が行われる場合とか、これが金曜日の夕方に行ったものが月曜日までまだ振り込まれていない宙ぶらりんの状態、あるいは現金で振込を行うような場合、これはATMでもできますが、実際誰から受け取ったのかよくわからない預り金みたいなのも出てくるかと思います。
そうしますと、むしろ未決済残高といいますか、決済途中のものについては決済を完結させるところまでちゃんとやる。その後で残高について仮払いを行うというような形をすれば、必ずしも決済性預金を全部保護する必要はないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○倉澤部会長 どなたか。特に決済性預金の保護で吉本さんが強調なさいましたが、ございますか。
○吉本第二地銀協会専務理事 やり方としては、結論としていろいろ議論が出ているんですが、私どもの結論としては、一つの割り切りをするしかないであろうと。だから、預金の性格で、例えば普通預金、当座預金、あと通知預金もございますが、そういうものは全額保護しますということの割り切りが一番現実的だろうと思っております。
ただ、今おっしゃるように、決済の保護の仕方としては、決済性預金の保護というやり方と、決済システムを全体として保護するというやり方と両面ございますから、考え方は、いろんなやり方は可能であることは事実だろうと思います。
ただ、技術的な問題、実務の問題、いろいろございますので、制度としてどう割り切るかということが一番簡単であろうというふうに考えております。
○倉澤部会長 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 吉本さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話でもありましたように、第二地銀もしくは信金、信組の場合は、地元に極めて長い密着性を持っているというお話がありまして、そのとおりだと思います。
そこで、たびたび米国型のP&Aの話が出るわけですけれども、これは大変な情報公開が必要になりますし、地元との密着の度合いが長ければ長いほど、例えばその分類の見方についても、各銀行もしくは金庫の組み方がマニュアルどおりいかないことも出てくるんじゃないか。そういう形を見たときに、必ずしもP&Aが、今の日債銀、長銀でさえ、こういう形でまだまだ引受けがない状態で、簡単にお互いがいわゆる資産と負債の譲渡を受けてやれるような関係の体質が今、いわゆる第二地銀協にあるのかどうか。
 私どもが地方で見ていますと、例えば私どものA地点でそれが起きたとき、遠い鹿児島のB地点に一緒になるというような感覚は全く不可能ですね。そうなると、同じ地域での合併もしくは移動を可能ならしめるためには、相当な内容の、だめになったときの状態の以前の対処の方が非常に大事であるんだと思うんですが、日本型P&Aというのが、もし考えられるとすれば、どういうことが必要になるのか、その辺のことで、もしお考えがあれば伺っておきたいと思うんです。
○吉本第二地銀協会専務理事 非常に難しい問題でございますが、正直申し上げて、非常に難しい問題であるというふうに思っております。
現実に先ほどもちょっと松崎さんの方からも話があったと思うんですが、実際の引受けをやる場合には、資産の劣化の問題に対する何らかの補填システムはやっぱり要るんだろうと思いますけどね。そこが一つ。
 それから、もう一つは、例えば北海道のものを九州が引き受けられるかと、それは現実的に無理でありますから、そういう意味では同地域の金融機関が引き取るしかないと、こういうことになります。そうしますと、そんなにたくさんあるわけじゃありませんから、現実には非常に難しいということは、おっしゃるとおりだと思います。
一つは、今申し上げたような何らかの保証システムを作るということ。もう一つは、結局、ブリッジバンクみたいな、P&Aというようなこともそうですが、多様なと申し上げているのは、いろいろな形のシステムを残しておいていただかないと、うまくいかんだろうということがあります。
それから、何よりも現実的で、かつ、コストが安い話というのは、行政がこれからやろうとしております、いわゆる債務超過を引き起こさないような運用をやることによって金融機関の破綻を起こさせないということが一番のポイントでありますから、そこへ全てが収斂しているというふうに私どもの意見はどうしてもなっていくわけでございますので、ひとつその点をよくお考えいただいて、そういうふうな運用ができるような最後のリゾートとしての仕組みだけを作っておいて、現実にはそういうことが発生しないようにいかに持っていくかということが、現実の運用の問題だろうと思っております。よろしくお願いいたします。
○倉澤部会長 では、手短にお願いいたします。坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 それで、そのとき、破綻処理の段階において公的資金の導入という問題があるわけですね。これは例えば第二地銀協、全銀協あたりは余り考えていらっしゃらない。そうすると、第二地銀協としては、そういうことがあってもやむを得ない、もしくはそれは好ましいことだというふうにお考えになっているわけですか。
○吉本第二地銀協会専務理事 ちょっと趣旨がわからないんですが、2001年以降に公的資金制度を残すというお話でございますか。
○坪井委員 そういうことです。
○吉本第二地銀協会専務理事 ちょっとその事態は想定していなかったんですが、それは要するにペイオフを延期するという話でございますね。今の制度を暫定的に延ばせという話でございますから、それはそういう経済実体であるならば、そういう実態でなければいけないと思っておりますが、そういうものでない前提に立ったときの今話だと思っておりますので、そういうときには公的資金制度はないという前提で今考えておるものでございますから。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
議事の進め方として、このあたりで討議を一旦中断させていただきまして、引き続き後半、お三方による意見の陳述に移らせていただきたいと思います。おっしゃり足りなかった点等につきましては、後ほどの自由討議の際にお願いいたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは、全国信用金庫協会、井須副会長よりお願いいたします。
○井須信金協会副会長 それでは、井須でございますが、全国の信用金庫の立場を代表いたしましてお話ししたいと思いますが、私どもの主張は、ただいまお話しいただいた第二地銀協さんの意見にかなり似通っているのでありますが、信用金庫というのは 100兆円の資金量を持って、地域限定、中小企業限定、しかも会員制の金融機関であるということでありますが、本日の会合では、7月上旬に公表された「預金保険制度に関する論点・意見の中間的な整理」の項目に沿ってお話を申し上げるのでありますが、内容的にはどうしても、いわゆるペイオフ問題と重なる部分がございまして、それをちょっと説明しておかないと理解しづらい面がございますので、まず冒頭に、ペイオフ問題に関する私どもの考え方をちょっとお話し申し上げることをお許し賜りたい。
 私どもでは、このペイオフ問題については、先週末の自民党の会合におきまして、次のように主張いたしております。
 すなわち、ペイオフを実施するためには、幾つかの前提条件をクリアする必要がありまして、現時点ではそれが満たされていないので、当面は預金の全額保護を維持することが望ましい。この前提条件としては、1.預金保険制度の抜本的な見直しが行われ、金融システムの安定性が確保されること。2.郵便貯金への資金シフト、預金のシフトが起こらず、中小企業金融が、あるいは地域金融が円滑に行われる。そういった円滑化に支障を生じないこと。3.ペイオフの手順等が明確になり、実務的に迅速な処理が可能となること等の3点がある。このうちでは、特に一つ目の金融システムの安定性が確保されることが重要なわけでありますが、それは我が国では間接金融のウェイトが圧倒的に高くて、特に地域金融機関である信用金庫の場合は、地域の資金を地域に還元するという裾野金融の役割を果たす必要がございますし、仮に預金等の流出が生じますと、地域の中小企業、零細企業等に重大な影響が及ぶことが懸念されるためでありますということを主張しておきました。
 それでは、まず、預金保険制度の見直しについて述べたいと思いますが、この中間的な整理に沿って簡潔に申し述べたいと思います。
 まず初めに、「預金保険制度のあり方に関する基本的考え方」についてでありますが、信用秩序の維持ということは、預金者の保護や決済機能の保護はもちろんのこと、金融システムを守る危機管理の対応ということがその柱として位置づけられるべきものであると思います。
 また、心配されるモラルハザード。このモラルハザードはいろんなところに出てきますが、ペイオフを実施するということよりも、監督当局や預金保険機構のモニタリングやディスクロージャーの強化、さらには悪質な経営者等に対する是正指導や罰則の強化等によって対応することが妥当であるし、また、可能なことだと考えられます。
 次に、「保険金支払方式」のうちの「保険金支払いの迅速化」については、現行の事務処理システムで全店の名寄せを行うことはほとんど不可能であるとともに、プライバシーや事務コストなどの面で問題がありますので、実務上は非常に難しいと言わざるを得ません。
 また、一般資金援助方式では、アメリカのP&A方式等を参考にして、多様な方策を導入するとともに、時限的な手当てを行っているブリッジバンクなどを恒久的な制度とする必要があると考える次第であります。
 さらに「流動性の問題」、特に決済性預金の取扱いについては慎重に考えていただきたいと、こう思うわけであります。実務上は決済性預金と貯蓄性預金、法人預金と個人預金を明確に区分することは中小零細企業では困難なわけであります。また、決済性預金と区別して保護しようとすれば、そんなら全部定期預金、普通預金の方に振り替えちゃえという、預金の振替等が起きますし、そうなると歪な金利競争というようなことや、あるいはモラルハザードが発生する。さらには経営が不安定化を招来するということが懸念されます。したがって、当面は、従来からの一般的な預金については区別せずに全額を保護する必要があると考えるわけです。
 中小企業者、零細企業者の定期性預金というのは、これは最終的には決済性預金なんですよ。そういうことでございまして、例えば、現実に1カ月物定期とか2カ月物定期なんていうのは、これはやはり決済性預金ですよ。
 また、「システミックリスク」について、アメリカのように緊急避難条項を設けてシステミックリスクに対応できるようにしておくべきでありまして、その際には、中小企業や地域経済の重要性ということを考慮して、いわゆるトゥ・ビッグ・トゥ・フェイルということではなくて、中小金融機関にも適用できるようにしておく必要がある。
 トゥ・ビッグとは、何をトゥ・ビッグと言うのかということでありますが、地方においては、シェアという面で見ると、信用金庫なんていうのはトゥ・ビッグなんですよ。 100%のシェアというのはたくさんある、市町村別で言うと。
 次に、「付保対象」についてでありますが、一般大衆向けの預金商品をできる限り幅広く付保対象とすることが望ましいと、こう思いますけれども、金融債については流通上の問題とか、社債との区別とか、非常に難しいから、これは対象外にすべきでないかと、こう考えます。
 さらに「預金保険料」についてであります。
 ペイオフコストを超えた資金援助等を可能とするためには、2001年以降も現行の特別保険料を何らかの形で継続することは、私どもはやむを得ないと考えております。しかし、この可変保険料ということについては、預金保険料というのは金融システム維持のための共通の費用なわけですね。ですから、平等、公平に一律的に負担すべきであるという考え方でございまして、可変保険料は採用すべきでないと考えております。
 仮に可変保険料を採用して、そのメルクマールを自己資本比率、全部が自己資本比率でなくても、自己資本比率というようなものに求めることに相なりますと、では、公的資金によって自己資本を充足させてもらって、巨額の償却を済ませた金融機関の同比率が高くなっているから保険料安いという、ばかばかしいことになるんですね。これは不合理であります。そもそも自己資本比率を算出する基礎となりますのは、自己査定をやって、預金保険料という公的賦課基準を、自己査定が保険料という公的賦課基準として客観性を有するのかどうかという疑問が非常に出てまいりますので、この辺のところは考えておいていただかなきゃならないと思います。
 参考のために、そういうから、おまえのところの金庫は自己資本比率低いからそう言われると困るので、私のところの自己資本比率は28%を超えているから、可変保険料にしてもらったら大変助かるんですが、そういうことではない。これは不合理で不公平だ。だから、これはいかんのだと、こう申し上げているわけであります。
「環境整備」等で、最後に最も重要なことは、金融システムを守るということでありまして、この観点から議論を深めることは非常に大切です。その次に重要なことは、社会的なコスト、経済的なコストを最小にするということだと思うわけであります。預金保険制度の整備が不十分であるほど信用不安を引き起こすおそれが大きくなり、それを鎮めるためのコストが結果的に膨れ上がるのが現実の状態となっております。したがって、国が金融システムを断固守るんだという強い意思を示して、一刻も早く預金保険制度の抜本的な見直しを行うとともに、その内容を広く国民に周知徹底することが何よりも肝要と思われます。
最後になりましたが、まだ時間がありそうなので、実は私は、全信協の副会長をやっておりますけれども、この会合に出るために、昨日、北海道の稚内市から出てまいりました。御承知のとおり北海道の地域経済というのは、一昨年11月の拓銀の破綻によりまして、昨日の新聞にも出ておりましたが、地価の下落率は全国で一番大きいんですね。30%ぐらいになっている。一段と冷え込みが強まっておりますけれども、北海道にある地域金融機関の立場から若干の補足をしておきたいと思います。
北海道−−北海道には限らないのでありますが、地域の特徴の一つは、都市部を離れるに従って、代替し得る金融機関が少なくなるということであります。そういうことで信用金庫のシェアが非常に高まっているということなわけであります。
これは、例えば北海道で言うと、全道には 212市町村があります。しかし、信用金庫以外の一般金融機関の存在しない市町村。言い換えれば、その市町村に信用金庫の店舗が1店舗しかないのは幾らあるかというと、 212市町村のうち 108なんです。それが信用金庫しかないんです。本州でもそういうところがかなりあるはずでございます。
また、この 212市町村のうち、信用金庫を指定金融機関にしているところは 132あるんです。これは66%がそうなんで、しかも中核都市の旭川市でさえ信用金庫なんですね。
それから距離。北海道は非常に広うございますから距離的に見ても、隣接市町村まで30〜60キロメートルあるんです。それから本店間、信用金庫の本店があるのは 100キロメートル、 200キロメートル離れているのが通常なわけであります。しかも冬は雪が降ると交通が非常に不便なところです。したがって、私どもは健全経営に絶対努めなきゃいけないんだという使命感でやっておりまして、健全経営を実践しております。
全道平均の自己資本比率が 12.33%です。そういうことでおりますけれども、仮に北海道の町村部で信用金庫が破綻した場合を想定すると、承継先となる金融機関が見つからないんですね。一つしかないんだから、見つからない。隣町はというと、隣町も同じ信用金庫の支店なんです。その隣もそうなんです。そういうようなことなんです。地域経済がまさに、オーバーでなく、崩壊の危機に瀕するおそれが強いということであります。
果たして自分の住むまちに金融機関がたった一つしかない場合、預金者に自己責任を問えるのかどうか、非常に悩むところであります。自己責任で選べと言ったって、郵便局はございます。それから、農協、漁協はございます。しかし、農協は農業者しか組合員になれない。漁協は漁師の人しかなれない。一般中小企業者はなれない。したがって、金は借りられない。こういうことです。預金をすると、いや、うちの方は法定限度超えているから、おまえさんの預金を預かれないと言われる。郵便局は融資業務はやってない。それから、郵便局の預金だって 1,000万が限度だと、こういうことでございますね。そういったように、一時的にはそういうところに流れたとしても、これはもう資金需要なんていう問題でありません。
それから、さらには市町村の指定金融機関が破綻するということになりますと、市町村の預金は、もうなくなってしまうわけですよ。小さな村でも5億や10億はあるんです。大きいところは 200億から持っているんです。これがゼロなんですね。もっとも、5億、6億のところ、 1,000万保護してもらったって、どうにもならない話でありますが、これは地方財政も破綻するおそれがあるんです。この影響ははかり知れないんですね。
 北海道のみではなくて、全国には金融過疎地とも言うべき地域が数多くあるんです。預金保険制度の見直しにあたっては、都市部のみでなくて、このような金融過疎地の実情にも十分配慮して御検討賜りたいものだと思うんです。特に地方公共団体の問題につきましては、これは指定金融機関であろうとなかろうと、その公共団体が、市町村が、これは自己責任だと、危ないかもしらんから、預金をよその銀行へ移そうとか、どこかへ移そうということ、動きがちょっとあっただけで、これはうわさとなって、風説流布、伝わったら、健全な金融機関もたちまちおかしくなっちゃうという、非常に恐ろしいことがあるんです。この辺のことは十分お考えおきいただきたいなと、こう思います。
 私は、余談ですが、感想を申し上げますと、17年間理事長をやっております。大体毎日出てまいりますと、営業室、本店営業部のロビーへ行きますが、大勢のお客さん が見えていますね。私のところは小さな金融機関で、本店の1店だけでも1日に 1,500 人から、多いとき 2,500人のお客さんが見えるんです。このお客さん方、一体誰を信用してうちへ来てくれるんだろうか。預金証書は私の名前で出しているんですが、とても2億、3億という預金を私の名前で、私を信用しているとは思えない。何を信用しておいでになるのか。そうすると、当金庫の財務内容かと。それは確かに財務内容は良いけれども、そんなことお客さんわからないんですよ、一般的には。みんなわかりません。だから、それを信用してでもない。
 何を信用しているのかというと、これはやっぱり国家なんですよ。日本の金融システムを信用しているんですよ。国が免許を与え、そして監督し、指導しているということを信用して、おいでになっているんだというふうに私は考えて、それだけに我々の責任というのは非常に重いなと。
 これは半分は冗談で言っているんですが、私は業界内では、モラルハザードとか何とか言うけれども、金融機関というのは非常に公共的な使命があり、社会的責任が重いんだから、別に今日関係ありませんけど、この会議とは。法律上、金融機関破綻罪みたいなものを作ったらどうだと。そうして金融機関の経営者、職員、それから悪い取引先なんていうのは、それによって処罰するという別な法制を考えたらどうだと、そのぐらいの価値はないかなと、こんなひどいことになったんだから、日本の国は。ということを30%ぐらい冗談で言っているんですが、7割は私は本気なんですよ。時効なんかの特別背任罪の7年なんていうのでなくて、10年ぐらいにしたらいいんだというふうなことを言うことがございますが、それだけやっぱりまだ国民は国を信用して、そしてやっているんです。
 ですから、真剣にやっていかなきゃならぬ。もちろん我々経営者はしっかりやらなきゃならない。
余計な感想を申し述べましたが、以上で私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、全国信用組合中央協会、坂本専務理事、お願いいたします。
○坂本信組中央協会専務理事 全国信用組合中央協会専務理事の坂本でございます。
 御意見を申し述べます前に、信用組合の中から多くの経営破綻が発生し、我が国金融システムの安定化に関しまして、大変な御迷惑をおかけしておりますとともに、この部会の検討テーマであります預金保険制度そのものに対しまして大きな影響を及ぼすこととなっておりますことにつきまして、大変申し訳なく、この機会をお借りいたしまして、お詫び申し上げたいと思います。
 当業界といたしましては、我が国金融システムの一翼を担う者といたしまして、その安定化のために最大限の努力を行わなければならないとの認識の下に、経営の健全化に向け、また、破綻に際しましては、円滑な処理のために極力、信用組合が受け皿金融機関となることなど、目下懸命の努力を行っているところであります。どうぞ、御理解を賜りたいと思います。
 本日は、金融審議会第二部会の会議におきまして、私ども業界の預金保険制度に関する考え方につきまして御説明を申し上げる機会を設けていただきましたことに対し、お礼を申し上げたいと思います。
 この預金保険制度の問題、特にペイオフ解禁に関しまして、各方面から様々な意見が出されているところですが、私ども信用組合業界におきましても、当面特に関心が強い問題の一つであります。
 このため、この問題につきましては、今後、信用組合業界としての意見を集約の上、御要望等を行ってまいらなければならないものと考えておりますが、現在のところ、意見の集約の最中でございまして、意見集約の結果として業界の意見を今日述べさせていただくことができない状況にございます。当業界では、毎年7月に中央団体、これは私ども中央協会と連合会でございますが、この中央団体の役員が全国を回りまして、各信用組合のトップと意見交換を行う機会を設けておりまして、今年はこの預金保険制度の問題につきましてもテーマの一つとして取り上げ、今後の意見集約の参考にするべく意見交換を行ってきたところであります。
 したがいまして、本日は、その際に出されました意見等をベースにして、二、三意見を述べさせていただきたいと考えております。
 最初に、預金保険制度の見直しとは若干論点がずれるのかもわかりませんが、業界として最も関心が強い問題でありますペイオフ解禁について申し述べさせていただきたいと思います。
 各信用組合の代表者とも、2001年4月の解禁に向け、経営の健全性の面において、預金者の信頼に十分応え得る経営内容の実現に最大限の努力を傾注しているところでございます。しかし、先ほど申し上げました中央団体と各信用組合トップとの意見交換の場におきます発言といたしまして、実際に現時点でどの程度の資金シフトが生じているかなど、正確な分析を行っておりませんけれども、現場のトップが肌で感じている発言といたしまして、預金者による金融機関選別の動きが既に生じており、特に国家信用を背景とした郵貯への資金シフトが顕著に生じているとの発言が多く出されたところでございます。今後、ペイオフ解禁の時期が近づくにつれまして、そのような動きに一段と拍車がかかることを懸念する声を多く聞かされたところであります。
 信用組合業界といたしましては、中小零細企業への金融に支障を来すような事態はぜひとも避ける必要があると考えておりますので、預金者一般の金融システムへの信頼感が確保されること、郵貯との不公平性の是正が図られること、並びに新しいセーフティネットの構築が行われることがペイオフ解禁の前提条件であると考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、金融システム安定化等の見地から、ペイオフ解禁の時期を含め、慎重な検討が行われることを期待しているところであります。
 次に、金融機関の健全性等に応じて預金保険料率に差を設けるという、いわゆる可変保険料率の導入を巡る論議について述べさせていただきたいと思います。
 信用組合は、目下、不良債権処理に全力を挙げ、財務内容の健全性確保に腐心しているところであり、また、御承知のとおり、信用組合の場合、その制度、成り立ちからいたしまして、小規模で体力も脆弱なものが相対的に多いという実態にございます。そのため、この可変保険料率の基準がどのようなものとなるか、また、それはどう考えられているかということについては、当然のことながら定かでございませんけれども、仮に可変保険料率制度が導入されることになりますと、経営内容の苦しい、経営が悪化した信用組合にとりましては、より一層大きな負担を強いられることとなると同時に、各金融機関の保険料率が仮に公表された場合に、あるいはオープンとなった場合、その地域における市場リスクにさらされることとなり、ひいては信用組合の社会的使命であります中小零細企業者等の金融の円滑化に寄与することが難しくなる事態が生じかねないと懸念しているところであります。
 可変保険料率の導入を巡る論議に際しましては、個々の金融機関の負担能力にも配慮する必要があると考えますので、その導入につきましては慎重であるべきものと考えているところでございます。
 最後でございますが、決済性預金の保護を巡る議論についてでございます。
 中小零細企業を主要取引先といたします信用組合の場合、取引先のうち、例えば、1,000 万円を超えるような決済性資金を常時保有している先は相対的に少ない実態にあると考えますけれども、それがどの程度あるのか、今後その実態を調査する必要があるものと考えております。
しかし、いずれにいたしましても、事業活動を行う中小零細企業が保有する決済性預金が、当座、普通にとどまるのかどうか、実態的には先ほど信用金庫さんの方から発言がございましたが、定期預金も実質的な決済性資金というふうに捉えられているのが現実かと思いますが、その決済性資金は事業活動の基盤でございまして、その全額保護を図るか、少なくともペイオフの実施に際しまして、速やかな払戻しが可能となるような取扱いがぜひとも必要であると考えるところであります。
今日はその3点のみに絞りましてお願いをさせていただいたわけでございますが、今後、業界として、この預金保険制度につきまして意見集約を進めるとともに、実態等についても調査を行いまして、また、後日ワーキンググループ等の場で意見を申し述べる機会が与えられる予定と聞いておりますので、必要に応じその際にまた業界としての考え方の補足をさせていただきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、全国労働金庫協会、千頭和常務理事、お願いいたします。
○千頭和労金協会常務理事 労金協会の千頭和でございます。よろしくお願いしたいと思います。
 検討項目に対します御意見を申し上げる前に、私ども労働金庫の現状なり、預金保険制度に関する基本的な考え方等について、お手元にメモを御用意させていただきましたので、これに基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず第1点、私ども労働金庫業態といたしましては、今言われておりますペイオフにつきましては、かねてから内外に公約されているように、予定どおり2001年4月に解禁されると、そういう認識でいるところでございます。そういった認識に立ちまして、この間、私ども金融システムの一員として、信頼され続ける金融機関たることを目的に、この数年、全労働金庫の共通の課題として取り組んでまいったところでございます。
 そこで、特に、当然のことでございますが、信頼性を確保するという面では、何といっても財務体質の強化が第一でございまして、この間、業界を挙げてこれの健全化と内部留保に努めてきたところでございまして、96年3月期における総貸出に占めるリスク管理債権の割合は、業態平均では0.74%に抑えることができてございます。
さらに自己資本比率につきましては、業態平均で8.61%、最高では 12.38%、最低の金庫でも国内平均4%を上回る5.06%まで到達をすることができてございます。
 併せて、個々の労働金庫の自己努力だけでは、将来2001年、21世紀の金融環境の中では、労働金庫たりといえども、大変難しい状況も想定されるということもございまして、かねてから私ども最終的には、日本労働金庫の創設ということを掲げてございますが、まずはそういった金融環境の変化に対応するために、地域における合併・統合を進めてきたところでございまして、昨年10月に近畿地区の7労働金庫が合併をいたしました。そして、2001年4月には関東の8金庫、四国の4金庫、九州の7労働金庫が合併いたしまして、ペイオフ解禁までの2001年4月には、労働金庫業態ではかなり地域における合併が進展する。その後、2001年10月には北陸3金庫等も予定してございまして、業界全体としての経営基盤の強化に努めてまいっているところでございます。
 加えまして、私ども労働金庫は、こういったことと併せまして、何としても業態が一致したいわば業態内セーフティネットということがどうしてもやっぱり金融秩序の上でも必要だろうということでございます。特に労金の場合、御案内のような労働組合を中心にした会員構成でございまして、1金庫でも経営破綻をすると、預金保険機構の適用を受けるということになれば、これは全労働金庫に関係することでございますし、労働運動全体に関わるものでございます。そういう意味で、協会・連合会を中心に業態内セーフティネットを取り組んできたところでございまして、協会としては年2回の全金庫のモニタリングの励行と、それに基づく監査機構による経営改善指導も行ってきておりますし、最悪の場合には、労働金庫連合会による相互救済制度の適用等もやってきたところでございまして、何よりも労働金庫の場合には、労働組合を中心にした会員の努力、労働金庫の経営については、最大限労働組合自身が責任を負うという形で進めてまいりまして、こういった労金固有のセーフティネットについてもさらに強化しようという意味での幾つかの組織作りに取り組んでいるところでございます。
 当面こういった取り組みをしてまいりまして、私ども労働金庫としては、預金保険制度というのはあくまで補完的といいましょうか、いわば最終的なセーフティネットであり、まず、自らやるべきことをやっていくということが、より金融システムの安定の上では必要だろうと、こう認識しているところでございます。
 こういった考え方に立ちまして、預金保険制度そのものは少なくともより「小さい制度」を目指す方向で、ぜひとも御検討いただけないかというように思っているところでございます。
 併せて、勤労者の小口の預金を預かる金融機関という立場から、以下、若干の御意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 第1に、預金保険制度のあり方に関する検討項目でございますが、言われておりますような決済性資金の払戻しに関わる保護の問題ですが、決済性預金の払戻し停止による企業の連鎖倒産ということをどう防いでいくかという問題は、金融システムの安定化の上でも非常に重要な役割だろうということは理解はできますが、しかし、先ほども御意見ございましたように、決済資金と家計資金なり、決済資金とそうでない資金をどう区分するのか、あるいは全額保証する決済資金と 1,000万円まで保証する保証料の体系をどうするのかということも含めて、一つの預金保険制度の中で全部それが機能できるのかどうなのか、私も不勉強ですが、いささか疑義がございます。貯蓄性預金の保護という本来の預金保険制度の目的に照らしますと、それをグルーピーな制度ではなくて、もしそういった決済性資金の保護が必要となれば、それは別途別な制度としての対応を考えるべきではないかと、こういうふうに考えているところでございます。
 次に、これは先ほど申しましたように小さな保険制度にしていただきたいという意味では、その保険制度でカバーされる対象その他についても限定的に考えていただきたいし、同時に保険料についても各金融機関の負担能力を十分考慮した上で決定されるべきではないかと考えているところでございます。
 それから、2番目に、保険金の支払方式として仮払いの問題がございますが、現行は20万円だと聞いてございますが、昭和61年当時の状況で決められたことですから、実態に即した見直しは必要ではないかというように思うところでございます。ただ、その場合に、名寄せ漏れによる過払い云々ということが言われていますが、これは仮払いの限度を20万円から30万円に引上げても、結果的には同じ問題が起こるのかなと考えます。
それから、破綻金融機関の承継先が見つからない場合のシステミックリスクが予想される場合についてでございますが、これも、これまでの御意見ございましたように、破綻金融機関の破綻の程度が著しいといった場合には、あるいは地域の金融の状況で救済金融機関が現れないということは十分予想されることではなかろうかというように思います。そういう意味では、現行、時限的にとられている処置のさらなる延長等、何らかのこういった破綻処理を想定した手立て、制度が必要かなと考えているところでございます。
次に、付保の対象でございますが、基本的には現行の預金保険法が想定している付保対象範囲でよろしいかと考えています。もともと金融機関が共同して大衆預金を保護していこうという、いわば相互扶助的な役割で来たわけですが、一部の金融機関しか取り扱わない商品も含めた金融債とか外貨預金とか、その他諸々のものまで入れていくということになれば、これはむしろ大きな保険制度になるわけでして、結果的に保険料負担を含めて、私どもにも大きな影響を及ぼしますし、基本的には現行の付保対象範囲にとどめていただきたいというのが私どもの考え方でございます。
 それから、預金の支払限度は 1,000万円云々の問題がございますが、これも諸外国の例から見ても、現行 1,000万円の範囲内でよろしいのではないかというのが私どもの考え方でございます。
 最後に、保険料ですが、保険料の引下げをお願い申し上げたいと思っているところでございます。資料にも業務純益に占める我が業態における保険料負担の割合が書いてございますが、先ほど地銀協からも出まして、大変金庫によって差がございますが、業態として平均でも10%に近い負担料になっているわけでして、先ほどから申し上げたような業態内のセーフティネットの充実等々から預金保険制度そのものはラストリゾートというように位置づけています。保険料の負担軽減というのは、現在でもそうですが、これ以上重いということは大変経営的に問題でございます。そういったことから、将来的には、保険料の引下げの方向でこの審議会の中で御検討賜ればと考えているところでございます。
なお、可変保険料率の導入ということもございます。公平云々という点から見れば一定の理解をできないことはないわけですが、しかし、これによって料率等に大きな格差がつくというようなことがもしあるならば、これはこれでまた新たな問題も生じかねないではないかというように考えますので、この可変保険料率の導入については慎重な対応をぜひともお願い申し上げたいと考えているところでございます。
以上、私どもの考え方を申し述べさせていただきました。よろしく御理解を頂戴し、御審議を賜ればと思います。
以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、お三方の御意見を踏まえたところで、また御自由に御発言いただければと存じますけれども、先ほど申し上げましたように、特に後半お三方の御指摘内容には限定せずに御発言いただいて結構ですが、本日の会議の主たる目的は、我々が公表いたしました論点の「中間整理」に対するコメントをお聞きするのが主たる会議の目的でございますので、できれば、発言された方について御質問という点を重視して御発言をいただけたらと思います。どうぞ、どなたからでも結構でございます。
 私が時計を見ながら余計な前置きを少し言い過ぎたかもしれませんが、どうぞ御自由に、預金保険制度全般に関する御意見でも結構でございますので、御発言をお願いしたいと思います。
 杉田委員、どうぞ。吉野委員、その次お願いいたします。
○杉田委員 全信協の井須副会長にお伺いしたいんですが、先ほど決済性の預金に関しまして、これは見分けがなかなかつかないので、中小企業の預金は定期、決済性を全部保護してはどうかというような御趣旨に承ったんですが、そうしますと、中小金融機関に限って言えばそういうことをしたらどうかということなのか。それとも、都市銀行も含めて、企業の預金は全額保護ということをおっしゃっておられるのか。その辺はいかがでございますか。
○井須信金協会副会長 これは、私は、この会議では中小企業、中小零細企業の決済性預金の把握というのが、とこまでがどうかということは極めて難しいということから、全額保護すべきであるというふうに申し上げました。
 私も舌足らずでございましたが、やはり全額保護すべきだということと、ペイオフをやめろとか、延期せよということは議論が別でございまして、それがグローバル・スタンダードであり、国際公約であるとすれば、それはそれで進めざるを得ないだろうなと思います。
 ただ、そういう制度はあったとしても、預金というものを預金者の責任を問うということは極めて難しい環境にある。特に地域の金融機関においてはありますよと。ですから、制度はあっても、実際は保護するという形でなければ、これはシステムの信頼が得られないということを申し上げたいんですが、そういうことで私は限定的に信用金庫の取引先である中小零細、個人企業の決済性預金と、それから、そうでない預金との区別は非常に難しいと、こういうふうに申し上げたわけであります。
 以上です。
○倉澤部会長 よろしゅうございますか。
 吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 決済性預金とか流動性預金を全額保護いたしますと、先ほどほかの方からありましたモラルハザードの問題というのは随分発生するのではないかと思うんですが、きちんとした金融機関がその地域におられる限りは、それは非常にいいことだと思うんですが、それとの関連で、いかにしたら代替的な金融機関がいろいろな地域に育つんだろうか。つまり、弱い金融機関があるときに、指定金融機関としてほかに選べるようなことが北海道のようなところで起これば、恐らく決済性預金、流動性預金を全額保護しなくても理論的には移るのではないかと思うんですが、モラルハザードの関係で、長期で見ますと、国民の税金がすごく使われてしまう可能性がなきにしもあらずだと思うんですが……。
○井須信金協会副会長 これは先生、議論が非常に難しいですよ。代替すべき、あるいは競争原理を働かすべき金融機関ができるのが望ましいし、我々も望ましい。本当は。独占は嫌なんです。望ましいけれども、反面、市場原理というのは、競争原理というのは、効率の悪いところからは引き揚げていくということですから、自由競争というのは、効率の良い儲かるところにシフトする、経営資源をシフトする。そうすると、どうしても非常に過疎的なところは出てくるんですね。
 反面、出てきたら、今度は、逆に言うと、こういったような危機的な状況のときには代わるべき金融機関がないという現象が起きてくると、こういう非常に相矛盾する現実が我が国にあるということです。ですから、それを踏まえて議論しませんと、東京とか大阪とか都市部ばかりではございませんので、困るなと、こういうことなんで、どうすれば新しい金融機関がそこに立地するか。それは、儲かれば立地しますよ。儲からないから引き揚げていったんだから。利尻島、礼文島、奥尻島なんて、昔は銀行がたくさんあった。都銀も地銀も第二地銀もあったんですよ。あったんだけど、儲からないからと引き揚げた。
 我々は地域限定で、一種の倫理観というか、使命感みたいなもので残ったということなんで、残らされたと言ってもいいんですけど、残ったということなんです。そういうことでございます。そういう交通整理が過去の金融行政にはあった。それは正しかった。それで我が国は非常にトータルで良い経済発展をしてきたと私は思いますから、決してそれは間違いだったとは申し上げません。それは正しいですよ。経済合理性から言えばそうなんだから。そういうことなんです。ここが非常に難しいので、どうか御理解いただきながら、そういうところもあるんだと。
 たった一つしか一般金融機関ないのに、自己責任だから、選ばなかった方が悪いんだと。選ぶ選択の余地がない。マーケットというのは、先生方たくさんいるのに、こういうこと言ったら口幅ったいけれども、寡占とか独占状態のときに市場原理というのは働かないですよ。これはマーケットのしくじりなんだ。だから、それを言ってくると、どうにもつかなくなっちゃうんですね。そういう現実がございます。
○倉澤部会長 池尾委員、どうぞ。
○池尾委員 今一連出ている話の関連でちょっと御質問したいんですが、千頭和理事からは、決済機能の保護の必要性は理解できるけれども、別立ての制度で対応するというふうに考えた方がいいのではないかという御指摘がありましたが、私自身もそういう方向の方がいいのではないかというふうに考えているんですが、それとの関連で、業態内の相互援助制度ですね、それと預金保険制度の関係をどう考えられているのかということですね。
 例えば、預金保険制度はあくまでも 1,000万円までしか保護しないけれども、法人預金について、特に中小については保護する必要があるとすれば、それは業態内の相互援助機構で対応するということがまず一義的に要請されるというふうには考えられないんでしょうか。
○井須信金協会副会長 これは私に対する質問でしょうか。
○池尾委員 そうです。
○井須信金協会副会長 これは、相互援助制度というのは、私どもの業態ばかりでなくて、おとりになっている業態が信用組合さんもあれば、労金さんもあったかと思いますが、第二地銀さんも一部あったのかと思いますが、私どもが今まで一生懸命やってきましたから、私の方を先生向いていらっしゃるので私答えますが、信用金庫は年間 800億円ぐらいの預金保険料を払っているんです。今まで一銭も使ったことないんです。全部業界内の相互援助資金で改めて上乗せしてお金を出して、そして処理をしてきたんです。しかし、限度があります、これは。業態内で処理するには。
 それで、とうとうこれは限度いっぱいっぱいまできてしまって、今は相互援助資金で保護するということはいたしておりません。一部、会員権を守るために、出資金を合併等とか営業譲渡の場合、守るために、その出資金に限っての最低限度の分を補完するということに今年から。去年までは一銭も使っておりません。今年からそうさせていただくことになりました。
 したがって、先生の御質問のように、その分で決済性とかその他何とかならないのかと。もう何ともなりません。何年も自分のところでやってまいりましたので、御理解を賜りたいと、こう思います。歯を食いしばってやってきた実績があるということだけ。
 これは業界に入るとひどい議論がありまして、我々零細な金融機関が出したもので都市銀行を救うのかというようなことを言う人いっぱいいますよ。そうではないんだと、我が国のシステムを守るんだと、大蔵省に代わって私どもは言ってきたわけでありますが、どうか、そんなことでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○倉澤部会長 深尾委員、どうぞ。
○深尾委員 名寄せの問題についてお伺いしたいんですけれども、確かに名寄せをやるのは大変かと思うんですが、これについて、例えば預金保険を掛けるに当たって、本人確認を改めてやるといいますか、付保対象にするために一度確認を求めるといったような形で、もう一度洗い替えを行って、それで本人確認を行ったものについて付保対象にしておく。あるいは逆にそれをしなければ保険の対象外にして、保険料も課さない。もちろん駆け込み的な保険の付保みたいなことが起きる可能性がありますので、例えば3カ月なり半年ぐらい前までにやっておかないものにはカバーしないといったようなやり方が必要かと思いますが、こういった名寄せについて、納番とこれを一緒にしますと、これまた税との関係で大問題になってしまうということもあって、私としては、多分、納税者番号の問題とは別に名寄せ問題を考えておいて、もちろん納番が入ってくれば、それを使えばいいと思いますが、それがない場合には、何らかの別の方式といいますか、実際上やるに耐えるような名寄せの方法といいますか、本人確認の方法と残高のチェックの方法ということができないものかどうか。
 また、その場合には、例えば、通帳の色を変えるなり、シールを張るなりといったような形で、付保対象であることを明示するようなことを同時に行うといったようなやり方で名寄せ問題を解決できないかと思うんですが、これについていかがでございましょうか。
○倉澤部会長 どうかお願いいたします。
○野田オブザーバー 第一勧銀の野田でございます。お答え申し上げます。
 今の御質問は、破綻前に私どもが日常の営業活動を通じて、同一性の確認、正確性の向上に努めるようなことはできないのかということだと思いますけれども、現実問題、破綻後にやるというのは、保険金の支払いということが目の前に見えているわけですから、相応の預金者の協力を得るということは可能だと思いますけれども、破綻前の言ってみれば、平常時にあえてそういう目的を示しながらも、同一性を確認すると。これは店頭で行ったり、あるいは訪問したり、あるいは場合によってはダイレクトメールでとかいうようなこと、いろいろあるんでしょうけれども、その場合ですと、多分−−多分と申し上げざるを得ないんですけれども、その場合、先ほどありましたような納番制なんかの導入に伴う一般預金者、消費者からの抵抗というのは小さくないのではないかというふうに予想しております。
 それと、先ほどもちょっと申し上げました。私、 2,100万口座というふうに申し上げましたが、これは実際に睡眠に近い、かなり不活性なものも含まれておりまして、私どもマーケティング上からは個人預金の口座数は約 1,200万口座というふうに公表しているわけですけれども、この 1,000万以上の口座について、そういったことをやっていくことについては、量的な面、その作業が膨大になるということも含めて、先ほど申し上げた点と併せて、かなり厳しい話ではないかというふうに考えております。
ほかにあれば、お願いします。
○松崎オブザーバー 松崎でございます。
今と同じような話になりますが、現在、先ほどもちょっと意見を申し上げたときに触れましたが、今の銀行のほとんどは店舗を単位に番号を付しているということでありまして、それぞれその支店ごとに本人を確認するということは、現在でも、最近のマーケティングとか何から言いますと、かなりしっかりやっておるわけですが、それが他店でそういう口座を使った場合には、それを管理するというか、システム上でチェックする方法がない。先ほど申し上げました莫大なコストがかかるというのは、それをシステム上でやるとすると、莫大なお金がかかる。
 では、システムでなくて、何とか人手でできないかと、こういうことになりますと、私どもも第一勧銀さんほどでありませんが、 700万口座ほどございまして、それを人手でやるというのは、これまた別の意味での膨大なコストがかかると、そういう観点でなかなか難しいというようなことを申し上げたわけでございます。
以上であります。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
翁委員、どうぞ。
○翁委員 今の点に関連するんですけど、先ほど全銀協の方も、それから、地銀協の方も御説明に触れられていた点で、預保の名寄せシステムを使うということで銀行のデータ提供をすることによって、そういった名寄せを工夫する余地がないか検討するというようなお話があったんですけれども、具体的にはそういった連携という方法をとった場合の銀行にとってのコストとか、それから、迅速性の確保というのは、どの程度のフィジビリティがあるのかという感じをお持ちなんでしょうか。
○野田オブザーバー よろしいですか。
○倉澤部会長 どうぞ、野田オブザーバー。
○野田オブザーバー 私も松崎委員も意見の中で申し上げたんですけれども、現実にこれはまさに実務的に今後、預金保険機構とも十分協議を行いながら、各行の規模も踏まえて、それが本当にどの程度フィジブルなのか。フィジブルだとしても、どの程度のコストがかかるのか、各行のシステムによっても違うと思いますので、そのインターフェイスのとり方をどうするか、様々な実務的、技術的な問題が当然明らかになってくると思います。そういったものがまだ大変申し訳ございませんけど、この時点では必ずしも明確になっておりませんので、どの程度のコストで済むのかとか、あるいはかかるのかという点については、この時点ではお答え申しかねるということで御了解いただきたいと思います。
○倉澤部会長 深尾委員、一言お願いいたします。
○深尾委員 一つお伺いしたいのは、昔はマル優があった時点では当然名寄せしていらっしゃいましたですね。また、現時点でも一部にマル優が残っておりますので、こういった点では、既に名寄せシステムは内部的にはお持ちだと思うんですね。ですから、こういったものを広げるといいますか、高齢者のマル優みたいなのありますから、こういったもののシステムを流用するような形でやることは可能ではないかなというふうに思っているんですが、いかがでございましょう。
○倉澤部会長 野田オブザーバー。
○野田オブザーバー 確かにマル優というのは、一時ほどの口座数はございませんけれども、現在も引き続き制度としてございますし、名寄せが求められておりますので、それについては当然やっておりますけれども、これは先ほど申しましたように、先ほどは触れませんでしたけど、あくまでも申込書あるいは申告書に基づいて、それぞれの個別の預け入れ時にマル優の適用対象者からの申込みに基づいて名寄せをしているという、いわば私どもとしては受身の対応をしておりますわけでございまして、その面でいきますと、システム的には全部の口座を名寄せするというのとは、全く規模とかシステムそのものが違うというふうに理解しておりまして、そのシステムをそのまま全預金、あるいは全店の名寄せシステムに応用するというのは非常に難しいのではないかというふうに考えております。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。まだ御発言の向きはあるかと思いますけれども、司会者不手際で12時を過ぎてしまいました。
 本日、先ほど申し上げましたように、主たる会議の目的は、各業界からの、実際界からのコメントをお聞きするということで、本日のヒアリングは目的を達成したものということで……
○杉田委員 すみません。終わられる前にですね、ちょっと今後の審議で要望があるんですが、今の御意見いろいろお聞きしましても、それから、我々の中の議論でも、一つのポイントは、要するにアメリカがやっているようなP&A的なものが日本でどの程度有効に取り入れられるのかというところの位置づけによって、ペイオフについての考え方が、実はかなり変わってくるんではないか。つまりP&Aのようなものが日本に本当に取り入れられるとすれば、かなり原則に近いペイオフ制度を考えられるけれども、それが非常に難しいということになると、幾つかのいろんなものを用意しておかないと危ないということになるんだろうと思うんです。
 そこで、ここには法律の専門家たくさんいらっしゃるので、私、余分なことかもしれないけど、私自身も、それからマスコミも、みんなわかってないのは、P&Aの導入ということを簡単に考えて書いているんですが、日本にそれを当てはめた場合に、どこに問題があるのか、どこが難しいのか。つまり何をどうすればいいのかということで、専門家によると日本では難しいよというふうに言い切る人もいるので、その辺のところをちょっとクリアにしたいわけですね。
ですから、次回でも、あるいはその次の機会でもいいんですが、これは事務局の仕事だと思うんだけれど、どこに問題点があるのか、どこをブレークスルーしなければいけないのか、法務省に対しては既に協力を要請しているのかどうか、そういうことも含めて御報告をいただきたい。それによって私は審議内容が変わってくるというふうに思います。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○窪野審議官 それでは、事務局の方から御説明をいたします。
実は、アメリカ型のP&Aを日本に応用した場合の幾つかのツール、これは、この中間的な論点整理の中にも入っておりまして、まさに名寄せを迅速化するとか、営業譲渡を迅速化する。特に営業譲渡の中で一部、今は日本の預金保険法では全部の営業譲渡だけでございますが、一部。具体的には、特に付保対象の 1,000万円までの預金と、例えばあと正常資産、そういうものを急いでできないか。それから、司法制度、破産法制との関係では、場合によりまして、会社更生手続の中で速やかに、あるいは会社更生手続の外でできないか、その辺は論点に入ってございます。そういった一連のもの。それから、特に重要なのは、預保なりが管財人機能を平時から持つこと。大体こんな要素になろうかと思いますが、その辺につきましては、預保あるいは関係省庁といろんな意見交換はしておりますが、次回は確かユーザーの方からヒアリングをということで予定をしておりますので、既にそちらの準備を始めておりますので、いずれかできるだけ早い機会に、場合によりましては、一度ワーキングなりで技術的な問題を詰めた上で、そういった迅速なアメリカ的なP&Aに相当するような日本の一部の営業譲渡をやる場合の考えられる仕組みと問題点というようなことで一度御議論をいただきたいと思います。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
では、最後に、次回の日程等につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。
○玉川調査室長 次回の日程につきましては、8月24日(火曜日)の午前10時から開催させていただきたいと存じます。テーマは引き続き預金保険制度に関するヒアリングで、産業界、労働団体、消費者団体、地方公共団体等からの意見聴取を予定しております。
なお、今後、審議の基本部分は部会で進めていくことになりますが、技術的・専門的な事項につきましては、引き続きワーキンググループで並行して検討し、その成果報告に基づいて部会での議論を進めていくこととなります。
また、前回の合同会合で設置の了承をいただきました保険分野の問題を扱うワーキンググループにつきましては、現在メンバー等を選定中でございまして、次回会合で成案を御報告申し上げられるのではないかと考えております。
以上、よろしくお願い申し上げます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
次回の進め方は、これでよろしゅうございましょうか。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。
                                (以 上)