金融審議会「第二部会」第14回会合議事録
日時:平成11年11月10日(水)14時00分〜15時51分
場所:大蔵省本庁舎(4階)第三特別会議室
○倉澤部会長 時間になりました。ただいまから、第14回金融審議会「第二部会」を開催いたします。
皆様、御多用の中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日はまず初めに、前回の会合で杉田委員から御要望のございました、民事再生法案の概要につきまして、事務局から御説明いただくこととなっております。その後、先般10月19日の金融審議会総会に当部会として報告し、同日公表いたしました「特例措置終了後の預金保険制度等に関する基本的な考え方」に対し、各方面から寄せられましたパブリック・コメントについて事務的から御紹介いただくとともに、預金保険制度に関する残された論点のうち、付保対象各論について討議を行いたいと思います。
それでは、まず、民事再生法案の概要につきまして、林信用課信用機構室長よりお願いいたします。
○林信用機構室長 信用機構室の林でございます。それでは、お手元の「第二部会14−1」という資料に基づきまして、民事再生法案の概要につきまして御説明させていただきたいと思います。
この民事再生法案でございますけれども、既に11月8日の月曜日に閣議決定がございまして、国会の方に提出されております。今臨時国会において提出がなされているところでございます。
初めに、「立法の目的」、それから、「法律案の概要」のところをざっと読ませていただきますと、経済的に窮境にある債務者について、その事業又は経済生活の再生を合理的かつ機能的に図るため、和議法に代わる新たな再建型倒産処理手続の基本法を制定する。
それから、「法律案の概要」として、中小企業等に再建しやすい法的枠組みを提供し、債権者等の利害関係人にとって公平かつ透明であり、現代の経済社会に適合した迅速かつ機能的な再建型倒産処理手続を新設するということが書いてございます。
再建型倒産処理手続は、破産や特別清算のような清算型に対する再建型の倒産処理手続として和議手続と、それから、会社更生手続があるわけですけれども、和議手続については、いろいろ使い勝手が悪い。あるいは会社更生手続については非常に重くて、なかなか中小企業にとっては使い勝手が悪いというようなことから、和議法に代わる新たな、中小企業にも使いやすい倒産処理手続を新たに作っていくというのが今回の立法の目的でございます。
一番最後の4ページ目を御覧いただきますと、和議手続の問題点、どういうことについて問題点があって、どういう観点からその解消を図っているかということが書いてございます。
例えば、一番初めの手続開始時期の早期化ということについては、和議手続については、破産原因があるということが手続開始の原因とされているために、開始の時期が遅れて、結果的になかなか事業の再建が困難になるということでございますけれども、新たな再生手続におきましては、債務者が経済的窮境にあれば、破産原因がなくても、手続の開始が可能になっております。
それから二つ置きまして、「担保権の実行の制限」というところを御覧いただきますと、和議手続の場合は、担保権者は手続と無関係に担保権を実行ができるために、事業の継続に不可欠な財産が散逸するおそれがあるわけですけれども、新たな再生手続の場合でございますと、相当の期間、競売手続の中止を命ずることができるとか、あるいは担保権付財産が事業の継続に欠くことができないときには、相当額を裁判所に納付して、担保権を消滅させることができるというような規定もございます。
それから、その次の「債務者の事業経営及び財産管理処分の適正化」のところを見ていただきますと、和議手続では、破産管財人、更生管財人のような管理機関を選任する制度がなく、従前の経営者が引き続き事業経営や管理処分を行う。従前の経営者にこれを行わせることが適当でないときに対応することが困難なわけですけれども、この新たな再生手続においては、原則としては、従前の経営者による事業の経営を継続を原則としながら、必要な場合には、裁判所において管財人を選任することができるとされております。
それから、一番下の「再生計画の履行確保措置の充実」というところでは、和議手続では、この履行を監督する機関が存在しないということから、履行の確保が十全になされないということがあったわけですけれども、新たな再生手続におきましては、監督委員による監督や管財人による管理を継続することができるとか、あるいは一番下の方の、履行を怠った場合は、裁判所が再生計画を取り消すことができるといったような形で履行の確保にも充実した措置がとられるようになっているところが、和議法の問題点を改善した部分でございます。
1ページ目に戻っていただきますと、あとはこの手続の特色と書いてあるところを会社更生法との対比で説明していきますと、「中小企業等に再建しやすい法的枠組みを提供する手続」と四角で囲んだ部分でございますけれども、に書いてあるように、全ての法人及び個人が利用可能ということでございまして、会社更生法の場合は株式会社に適用が限られているわけですけれども、民事再生法の手続の場合は、全ての法人と個人が利用可能である。
それから、でございますけれども、従前の経営者による事業経営が原則であるというふうに書いてございます。この部分は、会社更生法の場合は更生管財人を選ぶことによって、その手続も特に報酬などの費用がかかっていくということで、先ほど御覧いただきましたように、基本的には従前の経営者により事業経営を原則とする。ただ、必要な場合には、管財人を選任することができるという規定になっております。
それから、「債権者等の利害関係人にとって公平かつ透明な手続」というものが定められておりまして、例えば、一番下の方ののところを見ていただきますと、手続中の営業譲渡を裁判所の許可制とし債権者等の利益を保護ということが書いてございます。
会社更生法の世界では、基本的には更生計画の中で営業譲渡を行うということが念頭に置かれておりますけれども、ただ、解釈上、更生計画の外での営業譲渡もできると解されておるわけですけれども、この新たな民事再生手続におきましては、手続中の営業譲渡というのを正面から認めて、これを裁判所の許可に係らしめる。ただ、その際、債権者の利益を保護するために意見聴取の機会を与える。
その場合に、に書いてありますような債権者委員会の制度を導入しまして、債権者の手続の関与を強化するとともに、簡易な手続にもよれるようにしているというところが特徴でございます。
それから、2ページ目を御覧いただきますと、「現代の経済社会に適合した迅速かつ機能的な手続」ということで、に書いてあります、債権者集会を任意化し書面決議の制度を導入。あるいは
の、債権の調査・確定手続を簡素・合理化ということでございまして、これらの点が会社更生法では、債権者及び株主の権利を代表するために非常に重い手続になっている点が、画期的な簡素な手続が定められております。
それから、の規定ですけれども、これは新設の手続でございまして、債務超過の場合には、営業譲渡や減資につきまして株主総会決議に代わる裁判所の許可制度が新たに設けられております。これは私ども金融再生法においても債務超過の場合の株主総会による代替許可というものが置かれているわけですけれども、新たな民事再生手続におきましては、こういった制度が創設されたということでございます。
以上が大体この民事再生手続の概要でございますけれども、このような手続が私どもの念頭にある金融機関の破綻処理にどういった場合に適用することが考えられるかということでございますけれども、先の基本的考え方でも、望ましい基本形というものと営業譲渡までに時間がかかる場合と二つに分けて話が進んでおります。
一つの望ましい基本形として、十分な事前準備が行われて、司法手続の外でまず営業譲渡が行われる。付保預金とか健全資産について営業譲渡を行い、その後で、残った部分について司法手続で処理していくといったような場合には、そもそも営業譲渡を司法手続の外でやりますので、民事再生手続に入っていくということは余り考えられないわけですけれども、もう一つのケース、望ましい基本形のように事前準備が十分に行われなかった。極端な場合には、金融機関がサドンデスのような場合であって、実際に破綻してから営業譲渡まで時間がかかるケース、このような場合には、金融整理管財人のような新たな公的な管財人の下に金融機関を置く上に司法手続が必要になる。預金等の債務の一部カットのためには司法手続が必要になる。
その場合に、司法手続をどのようなものを使うかということについては、会社更生法のような重い手続よりも、今回の民事再生手続というものが使えるのではないか。したがいまして、行政処分として、公的な管理人の下に金融機関を置くとともに、この民事再生手続によりまして保全処分などをかけていく。それで、民事再生手続の中で営業譲渡を行っていき、営業譲渡が行われず、破綻金融機関に残った部分について整理・清算していくといったような手続が考えられるわけでございます。
ただ、その場合には、更生特例法というのがございまして、金融機関の更生手続あるいは破産手続について特例を設けておりますけれども、今回の民事再生手続についても更生特例法を改正するなりして、金融機関に再生手続を使うための規定を設けなりません。
それから、もう一つは、民事再生手続にある場合に、どういった債務を弁済できるかということでございますけれども、これについては、会社更生法と同じく少額債権でございますとか、中小企業向けの債務については弁済が可能になっておりますけれども、破綻金融機関の場合には付保預金、
1,000万円までの付保預金の部分を支払えるようにしてやらなければならない。
あるいはまた、健全な借り手に対するロール・オーバーの資金の融資を継続してやるような仕組みを作らなくてはいけないというようなことが、今後我々の方で課題となるところでございます。
この民事再生法は、6カ月以内で政令で定める日ということで、来年の4月1日に施行することを念頭に置かれておりますので、2001年3月という、特例措置が終了する時点には、この民事再生手続が使えるようになっているということでございます。
以上、簡単ですが、私から紹介させていただきましたが、私も専門家ではございませんので、専門家の方から訂正なり、追加していただくようなことがあれば、お願いしたいと思います。
私から、以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
では、ただいまの御説明につきまして、御質問等がございましたら、御自由に御発言をいただきたいと思います。
よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。
続きまして、預金保険制度に関する討議に移りたいと思います。
まず、「特例措置終了後の預金保険制度等に関する基本的な考え方」に対するパブリック・メントを紹介していただき、御意見、御感想を伺った後、付保対象各論に関する資料について御説明いただき、自由討議を行うことといたします。
では、引き続き、林室長お願いいたします。
○林信用機構室長 それでは、お手元に「第二部会14−2」という資料をお配りしておるかと思いますので、これに沿いまして、11月5日締切りで出されました「基本的な考え方」に対するパブリック・メントを御説明させていただきたいと思います。
全部で41件のパブリック・メントがございまして、金融界からは6件ということで、都銀、長銀、信託という大手行、それから、地銀協会、第二地銀協会、信用金庫協会、信用組合中央協会、信用金庫連合会から出されております。各種団体ということでは11件でございまして、日本商工会議所、大阪商工会議所、全国商工連合会、日本労働組合総連合会、京都府、整理回収機構の弁護士の方、全国労働保険事務組合連合会、経団連にあります企業財務協議会の企業の資金調達の円滑化に関する協議会、全国中小企業団体中央会、通産省の産業政策局産業資金課、それから、日本公認会計士協会からいただいております。その他24件は、個人の方ですけれども、うち、肩書のようなものがある方としまして、金融再生委員の片田委員、桃山学院大学の津田教授、財政金融研究所の田辺特別研究官、日本総研調査部の湯本さんからもコメントをいただいておりまして、全部で41件ということでございます。
パブリック・メントについては、お手元の資料に項目毎に並べております。基本的には、この基本的考え方について、まるっきり方向が違うよというような御意見はなかったわけですけれども、特例措置を終了することの是非なり、その条件につきましては、かなり様々な御意見がございました。
それから、個別の項目の中では、この「基本的な考え方」でも幾つかの議論が併記されて、さらに議論することになっております流動性預金の部分につきましては、最もボリュームが多いと申しますか、いろいろな御意見をいただいているところでございます。
それでは、1ページ目から、順次、項目に沿って御説明したいと思います。
まず、「はじめに」のところですけれども、この部分は特例措置を解除すべきかどうか、あるいはその条件ということについていろいろコメントがありました。
一つ目のところを読ませていただきますと、これは連合とか信用組合中央協会からのコメントでございますけれども、特例措置を解除するに当たっては、金融システムの安定性の確保、景気回復、それから、破綻金融機関の処理のあり方についてのセーフティネットが整えられているというようなことに最大限努力し、このような条件が整った時点で判断すべきであるということでございます。
それから一つ置きまして個人の方から、ペイオフ解禁は見送るべきである。三つ目の○でございますけれども、ペイオフに甘んじろというのは到底納得できない。ペイオフに真っ向から解禁について反対するというのは、この1点の意見でございました。
四つ目から最後の○までは、ペイオフ凍結をぜひ解除すべきであるという意見でございまして、例えば、再生委員会委員の方の、預金保険法に定められたとおり、2001年4月以降は予定どおりペイオフ凍結を解除すべきであるというような意見でございます。
2ページ目を御覧いただきますと、上から三つはいずれも個人の方の御意見でございますけれども、いずれもペイオフのといいますか、特例措置を予定どおりやめることについて賛成という観点から、金融改革が中途半端に終わってしまうとか、そういった観点から基本的に特例措置を予定どおり終了させるべきであるという意見でございますけれども、四つ目の○のところは、金融機関の再編の途中なので、預金を分散しても、大きな銀行などの合併が起こると、1行当たりの
1,000万円を折角分散したのに超えてしまうので、再編成が一段落した後まで延期するというような意見でございます。
それから、次は、「特例措置が終了するまでに整備すべき環境」という点でございまして、多く挙げられているのは、不良債権の処理が進展すること。それから、金融機関のディスクロージャーがきちんと行われること。さらには、預金保険制度に対する国民へのPRがしっかり行われることということでございます。
例えば下から二つ目の○を御覧いただきますと、全国中小企業団体中央会からのコメントでございますけれども、各金融機関の自助努力を前提とした経営の健全化が不可欠である。可及的速やかに、金融監督当局による全ての金融機関に対する検査の実施と、これに伴う所要の是正措置等が講じられることが肝要であるということが書いてございます。
3ページ目を御覧いただきますと、一番上から五つ目までの○は、きちんとディスクロージャーをすべきであるということでございます。経団連の企業財務協議会からは一番上の○でございますけれども、金融機関の情報開示を行うことが必要である。
それから、次のところでも日本商工会議所等も、ペイオフについての正確な情報を国民に周知徹底する。また、適切な情報開示が、金融機関自身によってなされることが必要であるということが書いてあります。
それから、六つ目の○、七つ目の○の方は、預金保険制度の一層の周知が必要であるということでございまして、地銀協の方からは、
1,000万円を超える預金は全額カットという誤解が未だにある。預金保険制度の一層の周知が必要であり、マスメディアや評論家によるいたずらな不安をあおる報道や風説の流布で混乱しないようにというようなことでございます。
次の通産省は、この特例措置終了後の預金保険制度を国民全般に根付かせるために、この制度に対するPR活動が極めて重要であるということ。
それから、次の個人の方も、これは銀行に対して、 1,000万円を超える預金について、自己責任となることを説明して預かるのが銀行の義務だということをおっしゃっておられます。
以上が「はじめに」という点についてのパブリック・メントでございまして、4ページが「市場規律を中心とした預金者等の保護」という項目についての御意見でございます。
例えば二つ目の○のところでは、経団連の企業財務協議会でございますけれども、ディスクロージャー強化等による問題金融機関の早期発見・早期是正、あるいは経営努力により、破綻を未然に防止することが望ましいというコメントがございました。
それから、三つ目の○は公認会計士協会として出していただいているものでございますけれども、早期発見・早期是正の方策の一つとして具体的なコメントをいただいております。
一つには、公認会計士が監査実施報告書等に内部統制の状況等に関する発見事項を追加記入して当該銀行の頭取及び監督当局に提出する。公認会計士監査に重大な過失があった場合には、監督当局は金融機関に対し担当公認会計士交代等の措置を講ずるよう指導する。監督当局及び公認会計士協会は、監査日数等が異常に不足している場合、当該金融機関及び監査人に是正を促す。従来の財務諸表監査制度に加え、制度として、公認会計士等の外部監査人による業務監査を導入するなどの公認会計士監査機能の金融機関についての監査機能の充実・強化の提案を行っておられるところでございます。
次に、「3.金融機関の破綻処理のあり方」でございます。
まず、一つ目には「基本的考え方」。「小さな預金保険制度」でやるかどうかという点でございますけれども、一番下にございますように、地銀協からは、社会的コストを減少させ、モラル・ハザードを防止するため、基本的に「小さな預金保険制度」を目指すべきであるというコメントがございました。
それから、5ページにいっていただいて、第二地銀協からは、信用秩序の維持。少額預金者の保護というのはもちろんであるけれども、信用秩序の維持ということも重要な狙いとしていると考えるべきであるということ。
それから、次のところにございますように、そういった観点から、流動性預金や借り手の保護について万全の体制を整備する。それから、定期性預金についても安心して預け入れできるような配慮がぜひとも必要ということをおっしゃっておられます。
それから、三つ目の大手行のところでは、当該金融機関を自主的な再建が困難であると監督当局が判断するに至った場合には、この金融機関を早期に処理することが必要である。債務超過に至らずとも自己資本比率が一定水準を割り込んだ場合には、発動できるような基準を設ける。
あるいは次の四つ目の○ですが、エコノミスト及び再生委員会の委員の方から、問題金融機関の自己資本比率が例えば2%程度まで低下した場合には、金融監督当局が、資本の再建を促す一方で、破綻処理の事前準備にも入れるように、早期是正措置を見直すことが不可欠であるということが言われております。
それから一つ置きまして、下から三つ目の○では、「ペイオフコスト」とか「破綻処理に必要なコスト」と言っておりますけれども、「いつ」「誰が」「どのように」最小コストを判断するのかを検討する。それから、事後的なアカウンタビリティも求められるべきであるという御意見でございます。
また、この破綻処理のコストについては次の○にございますように、破綻処理コストを最小化するのは望ましいけれども、それは預金保険制度を小さくするよりも、破綻による社会的なトータルコストを最小化するという観点から判断すべきであるというコメントもございます。
6ページ目でございますけれども、上から三つ目の○でございますけれども、連合の方から、破綻した金融機関の経営者に対しても責任をきっちりとらせる。株主、出資者にも損失責任をとらせる。借り手への責任追及。こういった点は前に第二部会でヒアリングをしていただいたときにもお話しになっておられましたけれども、そういうコメントが寄せられております。
?が望ましい基本形としての「一般資金援助を伴う営業譲渡等の迅速化」に係る部分でございますけれども、二つ目の○、三つ目の○は整理回収機構の弁護士の方から、行政措置を先行させ、後で司法制度を利用するのかどうするのかということについて、当初から司法手続を活用して進めていくことが適切であるというようなコメントがございました。
それから、一番下から二つ目の大手行からの御意見として、保険金支払方式、狭い意味でのペイオフの発動の場合に、預金者からの請求がなくても支払を可能にすることも検討に値するのではないかというコメントがございました。
それから、の「事前準備」でございますけれども、名寄せに関しまして、全国中小企業団体中央会からは、保険金支払の迅速化のため、名寄せを日常的に行える体制の早急な構築が必要であるというコメントがございましたけれども、7ページの方では、ふだんから預金者のデータを銀行に名寄せをするように求めるということには相当な経費がかかるのではないかというようなコメントが上から四つほどございます。
例えば三つ目の○を御覧いただきますと、大手行、地銀協、信用金庫からのコメントでございますけれども、平時から健全行を含む全ての金融機関が名寄せを求められるというのは合理的でなく、その場合の業界全体の投資負担・コストは極めて大きい。したがって、「基本的な考え方」に示されておりますように、平時から預金者データを預金保険機構にスムーズに引き継ぐことができるためのシステム対応に注力するというのは必要であろう。
ただ、「基本的な考え方」では、少なくとも当面、そういうふうにするべきだと書いてあるわけですけれども、四つ目の○では、第二地銀協からのコメントとしまして、3行目の「更に、」というところですが、更に、今後、金融機関が名寄せシステムを整備することが求められるか否か明らかではない。やはり名寄せを金融機関が独自にやるのには大変なコストがかかるということが書いてございます。
それから、一番下とその上の下から二つまでは、これは、金融機関が名寄せをするとしても、完全な名寄せは困難であるということでございまして、下から二つ目の○の一番最後にありますように、データの正確性の責任を金融機関側に持たせることは非現実的である。
さらに一番下にございますように、保険金の過払いが判明した場合には、反則金付きで不当利得返還請求を行うことができるような措置を検討すべきであるというコメントもございました。
8ページ目を見ていただきますと、事前準備に関しまして三つ目の○のところでございますけれども、破綻処理の迅速化のためには事前準備が不可欠でございますが、破綻処理に備えた事前準備の対象金融機関は、検査やモニタリングを通じまして、破綻の可能性が増加したと合理的に判断した問題金融機関に限られるべきであるというコメントもございました。
次に、「資金援助が可能になる場合の拡大」については、二つ目の○と三つ目の○で、ロス・シェアリングの導入について、「基本的な考え方」では検討が必要とされているわけですけれども、これについて連合の方から、公的資金の野放図な投入につながらないよう、この部分は特例措置終了後は基本的には一般保険料の世界になるわけでございますけれども、厳格な手続・基準を定め、公正・透明な運用が必要である。
それから、次の「最小処理コスト原則」に反しないよう留意すべきであるというコメントがございました。
それから、「営業譲渡手続の迅速化・簡素化」という点につきましては、一番下から二つ目の○あるいはその次、次のページにわたりまして整理回収機構の弁護士の方からいろいろコメントがございまして、基本的には公的管理人について預金保険機構が出ていって、預金保険機構とその下部組織の整理回収機構がいろいろ不良債権の処理とか、破綻金融機関の営業に当たって活躍することが現実的ではないかというようなことが9ページの一つ目の○にかけて書いてございます。
以上が望ましい基本形についてのコメントでございますが、もう一つの営業譲渡までに時間がかかるケースにおける金融機能の維持というところでございますけれども、一つ目の「預金者等の利便性の確保」という点につきましては、大手行の方から、預金の流出により破綻金融機関の営業権が減価する懸念があることに留意する。
あるいは三つ目の○に整理回収機構の弁護士として書いてございますが、営業譲渡に際して、預金者との取引はなるべく引き継がれた方がいい。一番最後の方にありますように、預金者の払出し行為を極力少なくさせる工夫をすべきであるということが指摘されております。
次に、「流動性預金の問題」でございますけれども、これは初めに申しましたように、この部分が最もいろいろコメントが多かった部分でございます。
下から2番目のところは第二地銀協からのコメントで、中小企業等が安心して預金できるよう全額保護すべきであるというコメント。
それから、一番下の全国商工連合会、全国中小企業団体中央会からは、一番下の方にありますように、預金がカットされれば、資金決済に大きな影響を与え、倒産など経済的な混乱を引き起こす可能性がある。そのため、決済資金については全額を保護すべきである。
続きまして、10ページ、次のページを見ていただきますと、ここの一番上の○では、連鎖倒産をできるだけ避けるため、全額保護の必要性が高い。
二つ目の○で連合の方からは、付保限度を超える一定額をあらかじめ定められた一定比率で迅速に払出しできるスキームを用意すべきである。
それから、三つ目の○は経団連の企業財務協議会と通産省からも同じようなコメントをいただいていますけれども、企業にとって即座に影響を及ぼすのが資金決済である。特に現状の資金決済のやり方として、にありますように、月末等の特定日に一時的に大きな金額が口座の残高になっている。それから、
では、業種によっては個人顧客と大量の小口決済を毎月行わなければならないような業種が、公益企業等がある。それから、
にありますように、自動引落しのケースで、支払人口座からは引落し済みである。向こうには未入金という場合には大きな混乱の発生も予想されることから、資金決済に重大な支障を来さないような手当てが必要であるということでございます。
それから、下の方から数えて三つ目の○までは、これは流動性預金の全額保護は問題であるということでございまして、例えば下から三つ目の○は、モラル・ハザード防止の観点から問題。あるいは技術的にも他の預金との明確な区分は不可能であるということでございます。
それから、一番下の信金の方はちょっと違う観点でありまして、流動性預金については何らかの保護が図られる必要があるわけですけれども、これは預金保険制度でやるのではなくて、むしろ他の一般債権に優先して弁済を受けられる優先権を預金に与えるということがいいのではないかという意見でございます。
11ページを御覧いただきますと、一番上は地銀協から、流動性預金の特別の取扱いに反対の立場から、これはモラル・ハザードを助長するおそれがある。それから、他の預金との区分が実務上不可能である。さらには優先権を与えるという考え方も預金者平等の観点から問題があり、預金保険制度とは別の制度的工夫によるべきである。
それから、次の大手行も、基本的には迅速かつ円滑な処理により対応すべきであるということでございます。
それから、六つ目の○では個人の方でございますけれども、決済のための当座預金だけを保護すればいいのではないかということがございます。
それから、その次の大手行の方では、3行目の「但し、」というところにありますように、政策的判断として流動性預金全額保護ということであれば、費用負担の増加に対する考慮が必要で、この部分については預金保険制度の枠外ということも含めて更なる検討が必要であるとコメントされています。
それから、12ページも引き続き流動性預金の問題でございますけれども、一番上のエコノミストの方は、預金保険制度で対応するというのは論外である。それから、4行目にありますように、優先弁済権を付与するというのも同じ問題である。
次の個人の方ですが、これは、企業活動にリスクはつきものだから、自らの判断でリスクを回避すべきであるということが書いてあります。
それから、優先権の付与につきましては三つ目の○で大手行からさらに御意見といたしまして、これは検討する必要があるけれども、その場合には、他の預金から流動性預金への資金シフトが加速する、あるいは金融機関の資金調達構造に不安定化を招くといったようなことにも留意する必要があるとされております。
それから、大阪商工会議所、四つ目の○でございますけれども、これは、中小企業の決済資金の確保のため、当座預金、普通預金、納税準備預金を優先債権扱いとする。それから、支払手形等の決済に係る手続が済んだ預金について優先的に決済する。それから、預金者の申し出によりまして担保に入っている預金と借入金を優先的に相殺する。仮払金の限度額を20万円とか、あるいはこの金額を引き上げるというより、むしろ預金額の50%としてしまう。それから、破綻金融機関における預金を担保とした政府系金融機関による緊急融資制度を創設するといったコメントがございます。
それから、通産省と経団連の企業財務協議会からは、この流動性の問題は、日本において、短期の資金調達手段が限られているということから一層問題になっておるので、短期資金調達運用の環境を整備する。具体的には、CPの市場を整備し、ペーパーレス化、かつ、即日入金を可能にすることが必要だということをおっしゃっておられます。
それから、「借り手の保護」という次の課題でございますけれども、これは例えば一番下の方では、きちんと万全の制度整備ということを明確にすべきであるという御意見でございます。
それから、13ページ目にいっていただきますと、一番上で大手行の方から、司法手続の下で破綻金融機関からの融資を実施にするかどうかは、管財人の個別判断による。したがって、融資実行が結果として破綻処理費用を拡大させる可能性もあることに留意すべきであるということが書いてあります。
その後の日本商工会議所あるいは全国商工連合会、このあたりについては、破綻金融機関の取引企業が資金繰りに窮することが想定されるということで、資金供給策が必要であって、政府系金融機関の制度の活用も含めて必要な対策を講ずることが必要であるというようなことを書いてございます。
それから、上から六つ目の○、「借り手の保護」の一番最後のところでは通産省からのコメントといたしまして、民間の契約慣行においても、例えば、銀行取引約定書において銀行の期限の利益喪失事由を明確にし、期限未到来の預金債権と借入金との相殺ができるよう配慮することも重要であるということが書いてあります。
次に、「? 譲受金融機関の問題」でございますけれども、「
譲受金融機関が現れやすい環境の整備」ということでございますけれども、一番下の○でございますが、大手行から、具体的な誘因として、ロス・シェアリングなどの「基本的な考え方」にも言及があった部分のほかに、譲受候補先に対する適切なデータの提供、破綻金融機関が受け入れておりました高金利預金を是正するような方策とか、それから、承継預金に関しては保険金支払限度額に特例を設ける。あるいは事業譲渡に係る事務経費を軽減してもらうといったようなことが挙げられております。
それから、14ページの方では、全信協、信用金庫協会の方から、ロス・シェアリングなどのほか、譲受けの際の諸費用についても資金援助の対象とする。
あるいは二つ目の○のところでは、自己資本の充実策として、協同組織金融機関において優先出資や劣後債の発行が認められるべきであるということが書いてございます。
それから、の「譲受金融機関が直ちに現れない場合の対応」では、一つ目の○と二つ目の○はブリッジ・バンク制度を導入することが必要であるというコメントでございますが、一番下の○は、特に設立する必要がない。管財人の管理でいいのではないかという御意見でございます。
それから、4.のシステミック・リスクの場合でございますけれども、この二つの○は、いずれもシステミック・リスク回避のような例外的な処理を可能にしておくことが必要であるということが書いてございます。
15ページの一番上の○では、具体的な手続として「金融危機対応会議」に預金全額保護の権限を明示的に付与しておくべきではないかという意見。
それから一つ置いて三つ目の○では、システミック・リスクの場合の財源についても、預金保険料とは別の財源措置を発動できる仕組みを整備しておくことが望ましいという御意見でございました。
それから、四つ目の○と五つ目の○は、システミック・リスクが大手であるからということではなくて、破綻時の地域経済の状況なども含め、多面的な観点から判断する。
あるいは五つ目の○にありますように、中小金融機関に不利な取扱いにならないようにすべきだということも挙げられてございます。
次は、5.は「預金保険制度の他の論点」ということで、まず、「付保対象」に係る部分でございますけれども、一番下の○の第二地銀協からの意見では、付保対象について、広く認めることが適当であるということが書いてございます。
16ページにいきますと、上の方から五つぐらいまでは大体付保対象を拡大すべきでないという方向からの意見でございまして、一番上の地銀協からの意見といたしましては、4行目にありますように、付保対象の拡大は、社会的コストの増大や銀行経営者のモラル・ハザードの助長につながることから適当でない。
次の○も、対象は広げないことが望ましいというようなことが書いてあります。
それから、四つ目の○も、付保対象をいたずらに拡大するべきではないと書いてございますけれども、預金利子については、預金保険の対象とすべきであると書いてございます。
それから、下から三つ目の○でございますけれども、これも預金利子について連合の方からのコメントでございますが、郵便貯金の限度額とのバランス上、利子について支払対象とすべきであると考えてございます。
それから、下の二つの○は公金預金についての御意見でございまして、まず、再生委員会の委員の方からは、預金保険というのは少額預金者の保護が目的であって、公金、公的な資金を全額保護するというのは筋違いである。ほかの枠組みでやるべきである。
一番下の地銀協ですけれども、公金預金というのは、預金者の規律が厳しく求められる預金であり、他の預金とは性格が違う。実際、多くの地方公共団体が競争入札で高金利で運用するということが一般化しているので、モラル・ハザードの問題が生じるから適当でないという御意見でございます。
17ページを御覧いただきますと、二つ目と三つ目の○は、この第二部会でも京都府知事に来ていただきまして、ヒアリングを行いましたが、京都府からのコメントでございまして、二つ目の○を見ていただきますと、にございますように、指定金融機関を変更するのは、地域の金融システム全体に大きな混乱をもたらすおそれがある。それから、中小企業の振興のために、、各種制度融資の預託金を多数の中小金融機関に預け入れるという現状からすれば、公金預金の管理について自己責任を強調するのは、当を得た議論ではない。
あるいは三つ目の○にありますように、公金預金の特殊性を踏まえた別途の保護措置が検討されるべきであると言われております。
それから、四つ目の○では個人の方からも、公金預金を全額保護すべきであるという御意見がございました。
それから、下から四つ目の○では、連合の方から、生協や労働組合などの非営利団体の預金について別途の保護策を用意すべきである。
下から三つ目の○について、労働保険料というのが事業組合から集めて、一時的に預託される部分について、全額保護の措置がとられるべきであるというようなコメントがございました。
18ページを御覧いただきますと、 1,000万円という保険金支払限度額についてでございますけれども、大手行の方から、現行水準を引き上げる必要性が乏しいということが書いてございます。
それから、「仮払金」につきましては、連合の方から、3倍程度に引き上げるべきである。
あるいは中小企業団体中央会から、引き上げが不可欠であるという御意見がございました。
次に、「預金保険料」でございますけれども、一つ目から四つ目の○については、主に金融界の方から預金保険料を引下げの方向でやるべきだということでございまして、第二地銀協から、合理的な水準に引き下げるべきである。あるいはできる限り抑制すべきであるというような御意見がございました。
それから、一番下の大手行からの御意見でございますけれども、一般勘定の財務状況の健全化が急務であることから、現在の特例措置に基づきましていろんな措置を講じているわけですけれども、これに係る費用については、特例措置終了後に具体的にロスが発生するといった形で健全化されるものも含めて特例業務勘定、すなわち公的資金も入った形での処理が行われるべきであって、これが一般保険料に負担が及んでいくということがないよう、所要の手当てを行うべきであるという御意見でございます。
それから、19ページにおきましては、可変保険料とか、あるいは保険料の弾力化ということについての御意見でございまして、上から二つは、そういった弾力化をすべきだという方向からの御意見でございまして、例えば、一番上の大手行からは、アメリカにおきましても保険数理に基づく厳密な保険料率ということではない。金融機関に経営の健全化を促すインセンティブの一つとして考えられる。自己責任原則に則った経営の徹底ということから、基本的な方向性として望ましいという御意見でございます。
それから、三つ目から六つ目ぐらいまでは、財務状況に応じた保険料率の導入について慎重な立場からのコメントでございまして、検討すべき課題が多く、時期尚早である。
あるいは五つ目の○、信用金庫協会からございますように、保険料は公平、平等に負担すべきである。
それから、その次の信用組合中央協会からは、合理的な基準が考えられるかどうか。例えば、資本調達手段やその構成が違う株式会社と協同組織を一つの基準で考えるのはどうか。あるいは公的な資本注入が行われている銀行とそうでない協同組織金融機関を一つの基準で考えるのは適当かどうかということを十分議論をすべきであると書いてございます。
それから、一番下の「その他」というのは、「基本的な考え方」に触れられている部分ではございませんけれども、その他の点についてのコメントが幾つかございました。
まず、一つには郵便貯金の関係につきまして信用金庫協会から、民間とのイコール・フッティングの観点から郵貯からも預金保険料を徴収すべきである。
それから、20ページにいきましても、地銀協の方から、郵貯は民間金融機関の補完であって、公正な競争条件の確保。
第二地銀協からもイコール・フッティングの確保といった御意見がございました。
それから、さらに「その他」の「その他」というところでは、二つ目の○にございますように、連合の方から、営業譲渡が一旦全員解雇を条件としているというのは雇用の安定の目的に反しておる。このようなことは公的資金の投入の場合には禁ずべきである。合併などにおいて、安易な人減らしリストラが計画されているのは、社会的なコストを増やし、国民に二重の負担を課すということをおっしゃっておられます。
その次にさらに連合の意見ですけれども、個人預金者のローンやカードの決済が遅延することにより、ペナルティが個人に課されないような制度を構築することが必要であるというコメントがございました。
以上、パブリック・コメントということで項目別に概略御説明させていただきました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御紹介のありましたパブリック・メントにつきまして、御質問なり御感想等ございましたら、お伺いいたしたいと思います。どうぞ、どなたからでも御自由に御発言ください。
江頭委員。井上委員、次にお願いいたします。
○江頭委員 通産省はパブリック・メントに対して意見を寄せておられるようですが、裁判所にも意見を聞く必要があるんじゃないかという気がしています。迅速に営業譲渡するために裁判所の許可があれば営業譲渡できるというようなことが「基本的な考え方」にアイデアとして出ておりましたけれども、裁判所だって、できることとできないこととあるのです。
資料を持ち込んで一晩で許可してくれと言われても、どんな資料が出てくるんだかわかりませんが、できることとできないこととあるでしょうから、可能なのかどうかという検討は必要ではないかという気がいたします。
それから、この意見の中にも出てきますけれども、流動性預金に優先権を与えるという考え方は、余りここで議論しておりませんけれども、どういう考え方に基づいているのか。私はかなり疑問に思っていまして、現在確かに定期性預金が多いわけですけれども、そういう制度ができれば、それは流動性預金に随分流れるでしょうし、そ
うしたら、ほかの預金の弁済率は随分下がるでしょう。どういう前提の下に議論され
ているのか、私はちょっと疑問に思っております。それが感想です。
以上。
○倉澤部会長 何かございますか。では、室長、どうぞ。
○林信用機構室長 裁判所の方には、我々がこの問題を考えていく上で、あるいは基本的な考え方を作ったり、いろいろな作業をする過程で、折に触れ御相談はさせていただいております。ただ、裁判所の性格として、組織としてのコメントといいますよりは、いろいろお聞きしても、大体これは最終的には個々の裁判官の判断になるけれども、こういうことになるんでしょうかねというような感触をいただいているというような感じでございますので、なかなか一つのまとまったコメントという形ではいただきにくいかなとは思っておりますけれども、今後もいろいろと御相談していきたいと思っております。
それから、優先権の点でございますけれども、これはワーキングの議論の中で出て、それで「基本的な考え方」にも触れている部分でございますけれども、流動性預金について、特に決済に関わるような部分について、他の債権に優先する優先権、先取り特権のような優先権を与えることによって保護すべきではないかという議論がございました。
そもそも流動性預金のようなものについて一定の保護、全額保護というようなものをするかどうかということについては議論が分かれるわけですけれども、全額保護する場合に、預金保険制度の中で流動性預金については重い保険料を課すことによって、それとの見合いで保護していくという考え方もあれば、それから、流動性預金に優先権を付すことによって、他の大口預金者とか、あるいは一般債権者のある程度の犠牲の上で流動性預金を保護していくという考え方もあろうかと思っております。この点については、さらに議論いただかなければならないと考えているわけですけれども、他方で保険の方のワーキンググループでは、保険債権について優先権を与えるということも議論いただいておるものですから、これとの関係も含めて、今後議論していかなければならないと考えているところでございます。
○倉澤部会長 よろしゅうございますか。
では、井上委員お待たせしました。
○井上委員 多少全体にまたがって感想といいますか、意見みたいなもの、余りここの中のメインに入ってないところを中心に気がついたことを申し上げたいと思いますが、まず一つは、特例措置の解除の問題なんですけれども、これは読みますと、正面から反対というのは非常に少ない。ただ、どこまでも本当に金融システムが大丈夫だろうかという懸念があって、それについて条件付き反対とか、条件付き賛成ということ。これはつまり我々の努力如何でクリアできるというふうに読むことも可能かなと私は感じました。
それに関わって、これには当然出ないのでありますけれども、私もアメリカのSECを見たり、イギリスの金融監督に係る新しい機構、多少調べてみるんですが、金融監督庁や大蔵省の金融企画局、大変有能な方がおられますけれども、そういう一連のみんなの懸念は、本当に事前の調査や監督が徹底できるんだろうか。これだけ例外的に少ない陣容でできるんだろうかというのをむしろ執行上心配する人もあるんです。私もややそんな気がするんです。幾ら有能な方でも、わずかこれだけの期間で、事前にきちんとした対応をとれといって、そういうふうなことができるんだろうかということで、当然このコメントには出ないんですが、いろいろな人員整理の問題、官公庁含めてあるんですけれども、ここについては特例的に少し必要なことは必要なんだと、日本の市場金融システムを改革する上でどうしても必要なことなんだという点で、書いてないというコメントを一つ指摘しておきたいと思います。
二つ目は、日本で余り議論されない金融政策のソーシャル・ダイメンジョン、特に完全雇用という問題であります。
つい最近もイギリスの大蔵大臣の大きな記念のスピーチがありまして、その中に、「完全雇用と金融政策」というペーパーが出ております。ほかに欧州の学会やいろんな関連の集まりに行きますと、大概、金融政策というと、マクロ金融政策もマイクロもあるんです。必ずそこに雇用や社会的なポリシー、社会政策の問題がほとんど一体となって議論されるのが常識なんですが、どうやら余り日本ではそれが常識でないということに関わる点があります。
つまり、コーポレート・ガバナンスについても、OECDと言えば、これはアメリカも入り、日本も入り、ヨーロッパも入った場での、企業は誰のものかという議論の中でも、日本の法体系とはちょっとずれたところで、つまり日本の法体系は多分、民法、商法、会社法というのは英米法的なんだろうと思うんですが、実際運用上は随分違った内容を持っている。
したがって、OECDのコーポレート・ガバナンスのビルスタイン報告でも、スティクホルダーの位置というのがかなり明記されています。それが日本の多分、商法や会社法に入らない問題だと思うんです。つまり、こういうところである金融に従事している一般従業員の雇用というものをどの辺に位置づけるかという議論をヨーロッパではやっていて、EUのいろんな規則、指令、それから裁判。
裁判の判例を見て私もびっくりしたんですが、本採用の職員だけでなくて、関連する臨時職員も雇用が営業譲渡と言えば当然一緒に入ってしまう。なるほど、徹底した判例もあるもんだなと思うんですが、日本ではそこまでどころか、恐らくその従業員、役職以外の普通の金融関係の従業員の雇用についても営業譲渡のときには一斉にぱっとファイアしても構わないんではないかというような、大変なとんでもない誤解があるようなんですね。
そういう点で、はみ出したその他の中に一部意見があるようでありますけれども、その営業譲渡というのは、そこに関わる雇用関係を含めたものであるという基本原則は当然踏まえるべきだ。こういう法的な前提を踏まえるならば、当然これに違反して営業譲渡にかこつけて、大量のファイアを労働契約の見直しをしないで、いきなりやってしまうという場合は、公的資金で社会的なパブリックなものを関与するのはおかしい、公的資金を投入するのはおかしいと、当然そういう論理になるのではないかと、このように思われます。
そういう点について議論が余り深められていないものですから、今ヨーロッパの中でも判例が行ったり来たりして、大変難しいようでありますが、それについてひとつ、金融の社会的側面について注意を喚起しておきたいなというのが2点目です。
三つ目は、これはもう少し小さい問題ですが、集められた預金、つまり公金といっても、先ほど自治体の税金の問題がありました。自治会の恐らく公金というのもあるでしょう。同じようにNPO団体で住宅管理組合とかマンションの管理組合費を積み上げているものであるとか、生協のお金であるとか、あるいは組合費であるとか、こういうものの扱いを一般の預金と同じように扱えるかどうかということについては、これは法律でできるのか、それとも、運用面に係るのかわからないと思うんですが、集合体としての預金、集められた預金という特性を踏まえた対応をすべきではないかと思います。
以上3点です。ありがとうございました。
○倉澤部会長 では、坪井委員の後お願いいたします。
○坪井委員
流動性預金と公金の全額保護すべきであるという意見が圧倒的に多いわけですけれども、その際に、ここではこれは対応できないだろうということも相当皆さん考えて出されているわけですが、そのとき、全てそれを補完すべきであるという原資は、一体どこを考えておられるのか。そういうテーマがあったでしょうかね。
言うならば、政府なのか、日銀なのか、もしくは再生委員会なのか。そういうところの何かあったら、それを一つお教えいただきたい。
もう一点は、それと同じように、やはりブリッジ・バンクは必要であるというような意見が何個かありましたけれども、このブリッジ・バンクも一体どことブリッジするのか。これは今の長銀がやったような、日債銀がやったような、いわゆる一つの国家の一時保有ということも含めての話なのか。それとも、預金保険機構とブリッジするのか。その辺の何かニュアンスがありましたでしょうか。ありましたら、お教えいただきたい。
○倉澤部会長 室長、何かございますか。
○林信用機構室長 流動性預金を全額保護するとか、あるいは公金預金の全額なのか、どうなのかはいずれにしても、保護について具体的に誰が負担してやるのかというようなところも含めた御提案というのは特になかったのかな。むしろそれに否定的な立場から、誰が費用を負担するのかというような御意見であったというふうに思っております。
それから、ブリッジ・バンクについては、長銀とかそういった特別公的管理銀行を念頭に置いているというよりは、「基本的な考え方」にもございましたように、ペイオフコストの範囲内で普通の営業譲渡が行われる際に、直ちには受皿金融機関が見つからないことから、ブリッジ・バンクを入れて、その間に普通の金融機関が受皿となることを模索していく。金融機関に営業譲渡ができれば、その時点でブリッジ・バンクから営業譲渡していくということを念頭に置いた議論であると承知しております。
○窪野審議官
前段ちょっと補足させていただきますと、全額保護について、大略、預金保険で全額保護というのと優先弁済権を付与することで全額保護という二つの考え方がございまして、前者の方は当然預金保険料で、つまり全国の零細預金者も含めた最終的には預金者に転嫁される可能性が多いと思いますが、あるいは一時的には金融機関が払うということで金融機関が負担する場合もありますが、預金保険料で。
後段の優先弁済権の場合には、これは先ほど江頭先生のちょっと話もございましたように、むしろ破綻した当該金融機関に
1,000万円を超えて定期性で運用していた方、そういう大口の定期性預金者の方のカット率が結果的に高くなることで決済性預金が全額保護される可能性があると、こういうことでございます。
○坪井委員
今の決済性預金保険という新しい制度を設けるべきであるという意見が先生方、世界でどこかこれを適用しているところはあるんでしょうか。それだけちょっと教えていただきたい。
○林信用機構室長 ないと思います。聞いたことはございません。
○倉澤部会長 森本委員、どうか。
○森本委員 これは要旨をまとめられたと思うんですが、例えば、3ページに二つぐらい、「預金者がリスクを判断するのに十分な、金融機関の情報開示を行う必要がある」とありますが、これは一般論としてはこのとおりだと思うんですが、具体的に何を、どのような頻度で開示する、どんな媒介を使ってということになるかと思います。具体的にそろそろ考えなきゃいかぬと思いますが、そういう点についての具体的な御提案というのか、御示唆があったのか。もしあればお教えいただけたらと思うんですが、一般論でおっしゃっただけということですか、現状では。
○林信用機構室長 具体的なパブリック・メントを企業財務協議会からのコメントが手元にございますけれども、そこでは特に具体的なことは示されておらないようでございます。
○倉澤部会長 ほかに御意見、御感想等ございましょうか。
いずれこのパブリック・メント、我々の審議の参考になるということでございますので、この程度で次の議事に進んでよろしゅうございましょうか。
ありがとうございました。
それでは、引き続いて、付保対象各論に関する資料について、御説明をお願いいたします。
○林信用機構室長 それでは、また御説明になって恐縮ですけれども、「第二部会14−3」という資料、預金保険制度に関する説明資料で付保対象、先の「基本的な考え方」では、いわば総論だけ書いていただいて、各論の部分については、さらに検討ということになっているわけですけれども、それに係る資料を取り揃えましたので、御説明させていただきたいと思います。
まず、1ページ目でございますけれども、これは前にも御覧いただいたところでございますけれども、付保対象となっている預金あるいは預金等と、付保対象でないものでございます。
この右側の付保対象となっていない部分について、特に一つ目の外貨預金でございますとか、四つ目の国、地方公共団体、地方公共団体の公金預金、あるいは特殊法人の預金というものが話題になっておる。それから、右下の箱にありますように金融債、これが議論になっているということでございますし、それから、預金保険制度の対象金融機関が下の(注)のところに書いてございます。それから、これ以外に、農協などは貯金保険制度という横並びの制度の対象になっているわけですけれども、外国銀行の在日支店が対象になっておらない。あるいはまた、預金の元本のみが付保対象になっておりますが、利子が対象になっていない。その点をどう考えるかということでございます。
2ページ目を御覧いただきますと、この表は、預金保険の対象となっております金融機関の預金の残高に、流動性預金とか、個別の付保対象とするかどうかが話題となっている預金がどれだけの割合を占めているかということでございます。
11年3月末でございますが、一番左の合計の欄を御覧いただきますと、単位が億円でございますので、
607兆円の預金。これを 100%といたしますと、流動性預金は3割弱を占めるということでございます。ただ、このうち、右の方にいっていただくと都銀とか地銀の場合は3割を超えるわけですけれども、右の方にいっていただいて、だんだん数字が下がっていって、信用金庫では20.5%とか、信用組合では14.3%とかいったことで比率が下がっていくということでございます。
それから、流動性預金、定期性預金、非居住者預金とございまして、外貨預金でございますけれども、これについても21兆円、
3.5%を占めるに至っているということでございます。
それから、一般預金の次に公金預金と書いてございますけれども、これは23兆円ということで
3.8%を占めているということでございます。
3ページ目を御覧いただきますと、上の方には先般の「基本的な考え方」で示された考え方が書いてございます。上の方の「付保対象」というところでは、「預金保険の対象商品であるか否かについては、従来から、・基本的な貯蓄手段として国民の間に定着していること ・元本保証がなされていること ・債権者が特定され、転々流通しないことが主な基準となっていたところである。
今後、預金利子の扱いを含めた付保対象の見直しに関する検討を進めていくが、その検討に当たっては、上記の基準を基本として、預金者の混乱の防止や迅速な破綻処理という観点を考慮することが必要になる。」ということでございました。
次の(参考)のところには、夏の中間論点整理とか、あるいは基本的考え方を議論いただく前に第二部会で議論いただくときに使いました「討議用メモ」などにどういったことが書かれていたかということを書いてございます。
まず、金融債につきましては、転々流通する有価証券であり名寄せにより一人当たり一定限度までを保護することが技術的に困難であること等から、預金保険の対象になっていない。しかしながら、例えば、貯蓄手段となっている個人向けの、しかも転々流通しないもので名寄せが可能であれば、付保対象とすることが考えられるか。
次に、外貨預金につきましては、為替リスクが存在する等もともとリスク性の高い商品であること等から、預金保険の対象になっていない。付保対象とするためには、少なくとも、貯蓄や決済の手段としての利用が国民にとって一般的になっていることが必要であると考えられるが、外貨預金の利用の現状からみてどうか。
公金預金・特殊法人預金については、預金者が一般大衆でない上に1000万円まで保護しても実質的な意味はないこと等から、預金保険の対象となっていない。しかしながら、企業との横並びを勘案すれば、付保対象とすることが考えられるか。
預金利子につきましては、預金者や金融機関経営者のモラル・ハザードを助長する上に事務手続が煩雑になること等から、預金保険の対象となっていない。しかしながら、預金利子を守ることで少額預金者に安心感を与え無用の資金シフトを防止するという側面や、債権者の集約による倒産手続の迅速化及び郵便貯金との均衡等を勘案した場合、付保対象とすることが考えられるか。
外銀在日支店の預金については、管轄権の問題から破綻処理に当たって迅速かつ適切な対応をとることが困難であること等から、預金保険の対象となっていない。しかしながら、預金者保護の徹底や諸外国の預金保険制度とのイコール・フッティングを考慮すれば、付保対象とすることが考えられるかということでございました。
次のページ、4ページ目は、主要国の預金保険対象預金ということでございます。
一番下の我が国の預金保険対象は、どちらかというとカバレッジが少ない預金保険になっておりますけれども、一番上のアメリカが最も広い形でございまして、外貨預金、公金預金、さらには金融機関の預金まで対象となっている。対象外はオフショア勘定預金とか海外預金に限られているということでございます。
ヨーロッパは、そこまで極端ではないということでございまして、例えば、イギリスでは、ユーロとかEEA通貨建ての預金は対象であるけれども、それ以外の外貨預金あるいは金融機関が対象になっておらない。
ドイツでは、金融機関や公的部門の債務が対象になっていないといったような推移になっているところでございます。
さらに、5ページ目以降は、個別の付保対象に関する資料を付けておりますけれども、個別の付保対象につきましては、10月26日にワーキンググループでヒアリングを行っております。外国銀行の在日支店については、シティバンクと、それから、韓国のハンビット銀行の東京支店の方に来ていただきましたし、金融債については、日本興業銀行と東京三菱銀行の方からヒアリングを行いました。
それから、その他の各論につきましては、全銀協、地銀協、第二地銀、信金、信組と、それぞれの協会の方に来ていただきまして、全銀協からは大手行を代表して、それから、地銀の方から御意見を伺い、その他の業態の方からも必要に応じて補足していただくというヒアリングを行いましたので、以下、そのヒアリングの状況も合わせて御紹介したいと思います。
5ページの資料は、金融債の発券状況の資料でございます。
金融債、これは、ここに掲げておりますのは、長信銀3行の合計額、一番右にございますように平成11年3月末の残高で31兆円となっております。ただ、このうち、一番上の方の利付募集債・募集発行、利付債・募集発行と書いた部分につきましては、これは金融法人でございますとか機関投資家を対象に、最低でも
1,000万円、あるいは1億円といった券面で払出しをしているものでございまして、これははなから預金保険の対象とは考えられないわけでございます。
むしろ下の方の売出発行の個人向けのもの。例えば、ワイドですとか財形債、あるいは割引債でも個人の保護預りにしている部分、これらについて、ヒアリングを行いました興銀の方からは、金融債も一定の部分に限って保護すべきであるという観点からの御意見を頂戴いたしました。
すなわち、先ほど御覧いただきました付保対象とするメルクマールが三つあるということに基本的な考え方になっておったわけですけれども、これらのうち、基本的な貯蓄手段として金融債は国民の間に定着し、元本保証がなされている。それから、保護預りの部分については払出しができなくて、債権者が特定されているというような観点から、対象とすべきである。
それから、長信銀につきましては、長信銀法上で預金の受入れが制限されているということからも金融債を対象とすべきであるという御意見でございました。
さらに、質問に答える形で、興銀については今回の3行統合ということを踏まえても、この金融債を対象としていくのが必要かどうかという質問がございまして、これについては第一勧銀と富士の個人預金が25兆、外部資金の取入額が3行合わせて25兆、合わせて50兆ということに関しますと、興銀だけでも金融債20兆円。うち個人が7〜8兆円というものを預金で代替できるかということを考えると、営業上どうしても必要であるということをおっしゃっておられました。
これに対しまして金融債については、もう1行、東京三菱銀行からも御意見を聞いておりまして、東京三菱銀行の方からは、特例措置終了後の預金保険制度の基本的なあり方として、「小さな預金保険制度」を目指すべきである。特に先ほどの三つの判断条件、判断基準に加えて、預金者の混乱防止ということも必要である。金融債のうちで、例えば、長信銀の金融債の一部が対象になる一方で、証券会社の保護預りの部分はどうなるのであろうか。あるいは農林中金とか、全信連とか、そもそも預金保険や貯金保険の対象となっていない発行体の債券がある。金融債と総称するものの中で一部付保対象になったり、ならなかったりというのはお客様にとって混乱が生ずるのではないか。あるいは今後この10月から発行が普通銀行に対して認められた普通社債との関係というものも考えなければならないのではないか。東京三菱銀行としては、付保対象となっておらなくても何ら問題はないのだという御意見でございました。
それから、その後ワーキングで大手行の方からもヒアリングをしたのですが、大手行の方からは金融債について賛成の意見と反対の意見と半ば、半々であるというようなことがございました。
次に、資料の6ページを御覧いただきますと、地方公共団体の預金の取扱いについての規定を掲げております。
まず、地方自治法上の規定でございますけれども、 235条では、都道府県は、金融機関を指定して、出納を取り扱わせなければならないとしております。
それから、さらに市町村については、取り扱わせることができるということになっておりまして、
3,232市町村のうち、大半でございます 2,824の市町村が指定金融機関を設けております。
それから、 235条の4では、歳計現金について、「最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。」と書いてございまして、政令が一番下に書いてございますが、「歳計現金を指定金融機関その他の確実な金融機関への預金その他の最も確実かつ有利な方法によって保管しなければならない。」と書いてございます。
自治省から都道府県や政令市における実際の運用を聞いておりましたところ、歳計現金全体の64.7%が一般の預金者であれば付保対象であります預金、あるいは元本保証付きの信託によって運用されている。それ以外の35%分ぐらいについては、外貨預金とかCD、あるいは国債、地方債、現先といったもので運用されているということでございました。
それから、地方公共団体についてのヒアリングの結果ということでは、地銀協の方から、地方公共団体の公金預金については預金保険制度で対象とするのは適当でないということで、先ほどパブリック・メントで御紹介したような御意見を伺ったところでございます。
それから、7ページ目を御覧いただきますと、預金利子の諸外国における扱いでございますけれども、米英独仏いずれも利子も保険の対象になっております。ただ、例えば米国では、自己資本比率規制におきます自己資本未達銀行が市場金利を大幅に上回る預金金利を設定する場合には付保対象から除外されるというようなことで、ドイツやフランスにおいてもそういった高金利についての除外措置を設けているようでございます。
ワーキンググループでのヒアリングでは、大手行の方から、預金利子についての御意見を聞きましたけれども、大手行の中でも反対意見と賛成意見がございまして、反対意見については、モラル・ハザードを助長しかねないという意見。賛成意見については、郵貯とのイコール・フッティングを考慮すべきである。あるいは債権者の集約により倒産処理の迅速化を図るべきである。それから、高金利による預金吸収については、監督当局の早期是正措置により適時適切に対応すべきであるということでございました。
さらに8ページにいきますと、外国銀行の在日支店についての状況がございます。
銀行の数では、89銀行、 135の店舗がございます。預金は9兆 4,000億円ございますけれども、うち
6,000億円余りが外貨預金でございますので、外貨預金が対象でないとしますと、円貨に限っても3兆円が外国銀行の在日支店にあるということでございます。
これについてはワーキングでシティバンクの方と韓国のハンビット銀行の方からお聞きしております。
シティバンクは、個人部門の預金でも約1兆 2,500億円の残高があるということでございました。預金保険についての考え方としては、シティバンクとしては、信用秩序の維持には個別銀行の経営の健全性の確保、特に強固な資本構成ということが非常に重要である。それから、アメリカでは、金融機関の健全性リスクに応じた異なる保険料が適用され、自分のところは一番上の自己資本充実かつ健全というところで保険料率がゼロになっている。我が国でもあるべき姿として、ぜひゼロというようなカテゴリーを作っていただきたいという話でございました。
それから、韓国のハンビット銀行。これは韓国第4位の韓一銀行と第5位の韓国商業銀行が合併した新しい銀行だそうでございます。この方からは、韓国の預金保険制度の御紹介がございまして、韓国では1995年の12月に預金者保護法が成立されて、97年の1月1日から預金保険業務が開始され、その制度の下では、外国銀行の支店も強制加入になっているということでございます。ただ、韓国でも、2000年末までは特例措置ということでございまして、付保対象商品について全額保護の措置がとられているということでございます。
ハンビット銀行の方からは、預金保険に加入を希望するというお話がございました。1,000
万円未満の小口の預金が20億円、 1,000万円以上が 192億円。名寄せをしてみると、65億円ぐらいが付保対象の預金になる。この預金の不安感を除去するために、ぜひ営業戦略上の観点から加入を希望するというお話でございました。
資料の方に戻っていただきますと、9ページでございますけれども、主要国における外国銀行支店の預金保険制度加入についての考え方でございます。
一番上のアメリカを見ていただきますと、小口預金を受け入れている場合は強制加入とされております。加入外銀支店については、保険料支払義務が当然課されるほかに、一定金額の担保資産差入れ義務や適格資産の保持義務が課されるということでございます。
ただ、(注1)を見ていただくとわかりますように、現在では小口の預金獲得を外銀支店の形態で新規に行うことは認められておりませんで、91年12月の法律改正以降は、子会社を設立の上、子会社であれば当然FDICに加入するという仕組みになっております。
それから、イギリスやフランスの場合ですと、EEAの外に本店を有する金融機関の在英支店は、我が国の銀行の支店の場合には強制加入になるが、EEA内に本店を有する金融機関の場合は、母国で預金保険には当然入っているわけですけれども、それに補完する意味でイギリスの預金保険に加入することもできる。そういった制度になっているところでございます。
この外銀支店の問題につきましては、ワーキンググループでは、金融監督庁の方から外銀支店の管轄の問題、あるいは実際に破綻処理をする場合にどれだけ資産を確保できるかといったような問題。更生特例法をどういうふうに使っていくかというような問題、実務的にはなかなか難しい問題が多いという御意見もございました。
それから、外貨預金については、特に資料を付しておりませんけれども、ワーキングで大手行からお話をお聞きしたときには、大手行としては反対意見が多数である。一つには、為替リスクが存在する。それから、投資的性格が依然強い商品であるという話がございました。それから、少数である賛成意見の方は、既に外貨預金も国民の貯蓄手段として定着しておるのではないか。それから、経済活動の国際化に伴い、生活資金や決済資金を外貨で保有する個人や法人が増えているのではないかという議論もございました。
それから、最後に付け加えますと、ワーキングでこういった付保対象の議論をいたしましたときに、いろいろ議論すると、やはり個別の金融機関の利害が対立する。したがって、厳密な金融機関の倒産リスクに応じた可変保険料率というのは慎重に考えるとしても、現在の一律の保険料率を弾力化していかないと、ゼロ・サムの利害対立であるという問題について、公正な判断がなかなかしにくいのではないかという御指摘もございましたので、併せて紹介させていただきます。
私からは、以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、先ほど御紹介のありましたパブリック・コメントの内容等も踏まえつつ、御自由に御議論いただければと存じます。
室長、この付保対象の総則というか、この基準自体については格別な異論というようなものは出てわけでございますね。
○林信用機構室長 はい、そうでございます。
○倉澤部会長 主としてこの付保対象の各論、どういう預金が付保対象となるかということについて、パブリック・コメント等でもいろいろな意見が出ておりますが……。
杉田委員、どうぞ。
○杉田委員 質問なんですけど、外国における外国銀行支店あるいは現地法人の扱いについてちょっと質問なんですが、4ページの資料と9ページの資料と両方見ながら考えなきゃいけないんだろうと思うんですが、それぞれの国で、例えばアメリカとヨーロッパの主要国におけるそれぞれの国内通貨預金と外国通貨における扱いは、アメリカについては両方とも強制加入のようですから、はっきりしているんですが、他の主要国についてその辺の区別はどういうふうになっているんでございましょうか。
○倉澤部会長 室長、どうか。
○林信用機構室長 外貨預金がどれだけ付保対象になっているかという点については4ページの資料を御覧いただければよろしいかと思います。イギリスにおきましては、ユーロ建て、あるいはEEA、欧州経済地域の国の通貨建ての預金については対象としつつ、これ以外の預金、米ドルとか日本円建ての預金については対象の外になってということでございます。
それから、フランスにおきましては、同様にユーロ、EEA通貨建ての預金については対象としつつ、それ以外の預金については対象の外になっているということでございます。
○杉田委員 そうすると、念のためですが、9ページのところに、アメリカ以外のところも強制加入というふうになっておりますのは、それぞれの対象通貨における外国支店の扱いと、こういうことでよろしいわけですね。
○林信用機構室長 と申しますか、まず主体として外銀支店が入るかどうかという意味では、強制加入になった上で、それの具体的なユーロ建て、あるいはEEA建て通貨については対象とし、それ以外の外国には対象となっていないということでございます。
○杉田委員 そうすると、その関連で意見は、これは全く思いつきなんですが、そういうふうにして国によって共通している部分があるし、共通してない部分があるということになると、日本においてどうするかという場合に、私はそれぞれの通貨国が日本の円預金に対して、あるいは外国預金にどういう対応をとっているかということとイコール・フッティングの対応をとった方がいいのではないかなという感じがいたしますが、どうなんでしょうかね。
○林信用機構室長 特に外銀支店の扱いについてはイコール・フッティングということも十分に考えなければならないのかなとは思っております。ただ、どの通貨を対象にするかということについては、イコール・フッティングというよりは、それぞれの国の状況に応じて考えればいいのではないか。
例えば、イギリスやフランスにおきましては、恐らくヨーロッパ域内の通貨については、しょっうちゅう乗り換えも起こるでしょうから、そういった観点から対象にしているというのは、割と常識的にも考えられるのかなと思っております。
○倉澤部会長 深尾委員、どうかお願いいたします。
○深尾委員 1点気がついた点は、まず、預金保険料の付加対象をどうするかということなんですけれども、保護される預金だけに付加するのか、そうでないのかということがまず一つ関係があるかと思います。
例えば、決済性預金については全額保護ということであれば、その決済性預金について全額保険料を課すと。そうすると、決済性でないものについては全額保護されないわけですから、それについては例えば
1,000万の保護される分だけ課すということにしないと、公平性が保てないのではないかな。
そういうふうに考えた場合に、例えば、金融債について保護預りのものだけ保険料を課して、それ以外のものは課さないというようになりますと金利が二つに分かれるかと思うんですが、こういったことについては例えば興銀の方はどういうふうにお話しになっていたんでしょうか。
それから、2番目としては、外銀についてなんですけれども、外銀の支店について、日本の場合は信託銀行以外は全部外銀支店になっているかと思いますので、そうすると、外銀支店についてどうするかということが問題になるかと思うんですが、実際上の監督を外国の銀行の支店についてまでやるというのは、多分監督庁でもできないでしょうから、そうすると、やはり担保なんかを提供してもらわないとその預金保険対象にするのは難しいのではないか。
逆に全部保険対象にしてほしいというのであればというか、そういう担保なしで保険対象にしてほしいというのであれば、現地法人にしてもらって、それについての預金保険なり監督なり全部を受け入れてもらうということが必要なのではないかなというふうに思います。
以上です。
○倉澤部会長 室長、どうかお願いいたします。
○林信用機構室長 流動性預金について仮に全額保護になった場合のその負担の求め方につきましては、一つには、先ほど窪野審議官が申しましたように保険料を重くするということであって、それは深尾先生おっしゃるようにタックスベースを変えるのか、料率を上げるのか、どちらかの方法があるかと思います。もしそのやり方として、先取り特権を付与することによって特別なものとして保護し、万が一何かあった場合には、大口預金者とかCDとか、一般債権者に負担を求めるということになるかと思います。
金融債についてどうするかということについては、もちろん興銀の方も、この対象にした場合には、それに係る残高について保険料をお納めするということではあるんですけれども、その場合に金利を変えるかどうかというところまでワーキングでは議論になりませんでした。
我々が事務的にいろいろ話している部分では、少なくとも今のような低金利で変えることが可能なのかどうか。あるいはそういった差を設けることについて世の中の人がどのように考えるかとか、そういうことも慎重に考えなくてはいけないのかなという議論をしているところでございます。
いずれにしても、東京三菱銀行の方からの御指摘で、わかりにくいというのもありますまので、少し違った商品だというのがわかるような形でないと、少なくともいけないねというようなことを議論しているところでございます。
外銀支店については、監督庁の方で何かございますれば……。
○倉澤部会長 どうか、河野課長。
○河野金融監督庁企画課長
もちろん私ども銀行法上、外銀支店というものに免許を与えています以上、監督ができないということを申し上げるわけにいかないんですが、ただ、むしろ制度として、これをどう取り扱うかという点はやはり避けて通れないのかなという点はございまして、支店毎に免許を与えていることでございますとか、あるいは銀行法上の取扱いもさることながら、やはり倒産法制の上で、例えばP&Aをするにしましても、在日支店だけを営業譲渡する際の手続はどうなのか、できるんでしょうけれども、それが資金援助との関係でどういう扱いになるのか、いろいろそういう意味で制度的な検討がかなり必要な部分があるのかなという気がいたします。
○倉澤部会長 渡辺オブザーバー、どうか。
○渡辺オブザーバー 金融債の問題でございますが、深尾先生の御指摘ごもっともだと思います。それで、事務的な混乱といいましょうか、同じ金融債で付保になるものとならないものがあるという、こういった混乱は避けるべきだと思いますので、私どもとしては別の商品といいましょうか、付保の対象であるということが明確にわかるような別の商品といいましょうか、そういったもので考えていくのかなと、事務的に可能かどうか、今詰めているところです。
それで、その場合は当然それ以外の金融債と付保の対象になる金融債とでは、いろんな面で違いが理屈の上では起きてくるわけでございます。最も当たり前というか、常識的に考えますと、やはり金利の差がある。預金保険料を負担しているために金利の差があるというのが一番わかりやすいというか、常識的な差異だと思いますが、今おっしゃったとおり、今の金利の中で今すぐ差をつけることがそう簡単にできるかどうかということは、実務的に考えさせていただくということで考えているわけでございます。
○倉澤部会長 もともと付保対象となるべき金融債というものが商品としても違うという御認識でございますか。
○渡辺オブザーバー というより、もともと、根本的な議論に立ち返りますと、この預金保険制度は小口の預金者の保護というところにあるわけでございまして、そういう議論の中で言いますと、流動性の預金ですとか公的預金の議論とは若干性格が違っておりまして、その範疇の中で議論できる話ではないか、金融債につきましてはですね。
「小さな預金保険制度」というのも我々も賛成でございますが、モラル・ハザードの問題とか、そういった問題には余り関わらない「小さな預金保険制度」という考え方の中で金融債の問題というのは十分議論できる話ではないか。その中で三つの条件は一応我々の金融債に出しているということでございます。
その上で、問題点として幾つかあると思いますが、その中で一番大きな問題点といたしましては、同じ金融債という個人の方にお持ちいただいている金融債という中で、付保対象になるものとならないものがはっきりと預金者の方にわかるようにしていく、そこが必要かなと、こういうことでございます。
○倉澤部会長 森本委員、どうか。
○森本委員 外貨預金の実情についてなんですが、もちろんこれが預金保険の付保対象になりますと、またばらすということで現状と質的に異なる状況になるのかもわかりませんが、現状だと、直観的には外貨預金なさっている方は
1,000万円超える人がほとんどかなと思うんですけど、必ずしもそうではない、ないしはこういうように付保対象になると、それをばらして何か一般国民に積極的メリットがあるのか、そこら辺の感触をお教えいただけたらなと思うんですが、外銀支店を入れる場合には別ですけれども、国内銀行だけを考えました場合に。
○林信用機構室長 1,000万円以上のものか、 1,000万円以内のものかという観点からの資料は持っておりません。
先ほど説明しました資料の2ページに、全体として 3.5%、21兆円ということで書いてございますけれども、比較的都銀とか信託銀行とか長期信用銀行とか、そういったところでは外貨預金の比率というのがかなりあるということは、この資料でも御覧いただけるかと思っております。
○倉澤部会長 坪井委員、お待たせしました。
○坪井委員
公金預金の問題なんですけれども、都道府県の預けている金融機関の場合は、それほどでないと思うんですけど、この前もちょっと申し上げましたように地方公共団体、先ほどちょっと紹介がありましたけれども、
3,000くらいの数があるわけですが、そこの預金は大体が、地元のいろんな問題が関係があるために、第二地銀、それから信金、信用金庫にほとんど預け入れしています。したがって、ここにありますような規定で先ほども紹介されましたけれども、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならぬということになりますと、これが例えばペイオフされるということになったときには、その資金の移動というのが地方においては大変大きな形で起きる。これはもう起きざるを得ない。
実はある程度の村長さん、町長さんにお聞きしてきましたけれども、やはりそうだと。それから、私の県の知事にもいろいろお聞きしましたけれども、もしそういう心配があると言われれば、やはりどこかへ持っていくしかない。そういうようなことになると大変な混乱が起きる。したがって、
1,000万円まで保証してもどうにもならんから、公金を外すというのは別な考え方。
もう一つ、今言ったように金融市場の混乱を招かさせないという観点から見ると、この公金の全額保護ということは、また大きなテーマじゃないのかなと。ですから、流動性預金と同じように考えられて、それがもし全額保護されるということになるとすれば問題ないんですけれども、あくまでも流動性預金と公金は別だという形になったときは、やっぱり公金としての部分を、今の
1,000万円まで保証するかどうかと別なサイドでの考え方を示さないと、これは非常に危険じゃないのかなというふうに思います。
以上です。
○倉澤部会長 その場合にも、やっぱり預金保険制度としての保護というようなことが地方公共団体にとってやっぱり必要なことということでございますか。それとも、このパブリック・メントでは、別建ての制度によるべき性格ものだという意見も出ているようでございますが、お考えは。
○坪井委員
ですから、流動性預金が全額保護されなければ大変なことになるとこのパブリック・メントでは圧倒的に多いわけですね。私どももちろんそう思っているわけです。ですから、これがどこで、先ほどのコメントの中には、誰がこれを保証するのかとなると、これは公的資金ということになるのかどうか、ここが問題なんでありますが、それがまた日銀の借入れによるものなのかどうか、問題になるところですけれども、何はともあれ、要するに全てを全額保護するという形になれば、これは考え方はそこに準ずるというふうに思っております。
○倉澤部会長 ありがとうございました。
では、深尾委員、どうか。
○深尾委員 一つは地公体の預金なんですけれども、私は一つは普通の会社の預金と同じように例えば
1,000万円まで保護するとかいうことはあり得るかなという気もします。つまり、保護する意味がないから始めからやめるという場合、大きな地方公共団体も小さな村みたいなところもありますので、こういったところについて一般の企業並みにするということはあり得るのかなというふうに思います。
ただ、それを超えて地公体を保護して、そのかわり一般企業や個人は保護しないということになると、これはどう考えてもおかしいのではないかな。そうであれば、例えば国なり自治体が共同で基金を設定するなりして、自ら付保すべきではないかなというふうに思います。
次に、利付金融債について、むしろちょっと質問なんですけれども、現物債を買った人が後で保護預りを例えば興銀に持ち込んですることはできないんでしょうか。そうした場合に、当初から保護預りしているものと、保護預りしていないものについて、うまく分けられるのかどうかというのは、実際の制度としての質問です。
それから、最後に、流動性預金について優先権を与えるという考え方もあり得るかとは思いますが、ただ、それをしますと、結局それ以外のものが劣後するわけですから、金融機関の例えば資金調達をする場合においても、流動性預金が多くて、しかもそれが全部シニアになっているという場合ですと、一般の資金調達する場合のコストが上がったりするということもあって、必ずしも全体として望ましくない可能性があるのではないかと思います。
むしろ流動性預金の保護としては、それを全部保護する、あるいはシニアにするということよりも、私が前から提案していますが、
5,000万程度まで 1,000万を超える分については何割かカットして、即座に払えるといったような制度の方が歪みが少ないのではないかなというふうに思っております。
以上です。
○倉澤部会長 この金融債の保護預りについて、渡辺オブザーバー、どうぞ。
○渡辺オブザーバー システムとしては、途中で入れたものと、最初から持っているものとは分けられます。それから、当然でございますけれども、危ないからといって現物で持っているものを保護預りに途中でなったものというのは対象としては考えておりません。
○倉澤部会長 どうぞ。
○林信用機構室長 先ほど外貨預金の資料でございますけれども、先ほどの2ページの資料とは時点などが違いますのですが、11年9月の日銀の資料でございますけれども、国内銀行では外貨預金が全部で13兆
7,000億円ほどございまして、 1,000万円未満の部分は 4,600億円。13兆
7,000億円のうち 4,600億円ぐらいですから非常に少ない。限られているということでございます。ただ、特にそのうちの大口の10億円以上というのは、金融機関と公金がかなり占めているということでもあるようでございます。
○倉澤部会長 森田委員、どうか。
○森田委員 決済性預金とか流動性預金の問題とは別に、パブリック・メントの中で決済途中の資金についてということに関しましても何点か意見があったかと思いますけれども、論点の整理の問題としましては、この問題は付保対象の問題ではなくて、何らかの形で優先的な扱いをするかどうかという問題だという理解でよろしいかどうかということについて質問させていただきたいと思います。
○倉澤部会長 どうぞ。
○林信用機構室長 その分は、流動性預金の問題を考える際に、決済途中のことも含めて考えたいと思っております。
○倉澤部会長 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員
今のに関連して、要するに振込等の、引落し等の問題で、ここにもテーマにありましたけれども、途中でこちらの口座からは落とされている。しかし、あちらの口座にまだ入らないうちに破綻するという現況になったときどうするんだと、この決済の行き着く先、言うなら日銀の当座勘定を通って各行に入るまでのコンピュータ処理の問題は、勉強させてもらえば、されるほど大変複雑で、どこでどういうふうにそれを引き止めたり、また、措置するのかなんて全く難しい話だと思うんですね。やっぱり流動性預金の全額保護ということになれば、これは全く問題ないわけなんで、この辺もひとつ、非常に難しい部分であることを提示すべきじゃないのかというふうに思います。
○倉澤部会長 深尾委員、どうか。
○深尾委員 今の点についてなんですけれども、やはり決済途上の預金といいますか、資金については、結局、決済を完結するまでは支払ってしまうということが必要になるのではないかな。ですから、破綻金融機関に振り込まれたのは、やはり振り込まざるを得ないので、振り込んでしまうということだと思いますね。
また、破綻金融機関から払われた場合は、これはどこかの時点で切らざるを得ないわけですが、何時かで切った上で、そこまでの処理分についてはやはり処理をせざるを得ないのではないか。つまり最後まで払ってしまわざるを得ないのではないかなというふうに思います。そうすることによって、未決済についての宙ぶらりんの段階は一応区別できる。
ただ、問題は、そうすると、破綻金融機関の預金を払ってしまう方はいいんですが、受け取った場合にはリスクをかぶる。このところが問題かと思います。これについては、要はそれがすぐ使えるかどうかということが大事で、その部分を例えば
5,000万までぐらいを8割ぐらいカバーするというような方法で保護できないだろうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○倉澤部会長 この付保対象の問題について、オブザーバーの方々の中には直接当事者だから言いにくい方もおられるかもしれませんが、どうぞ御遠慮なく御発言をお願いいたします。
ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。
では、森本委員、どうか。
○森本委員 利子のことが全然これまで議論にならなかったと思うんですが、7ページの説明を見ますと、諸外国では元本と利子とも付保の対象にしているのが一般的だけれども、極めて高金利なものは元本自体も対象から外すと、備考の説明はそう理解してよろしいわけですね。これに対して日本は、どんな預金であっても元本はともかく保証すると、こういう差だということで、確認だけですが。
○林信用機構室長 そういうふうに理解しておりますけれども、その点はもう一度確認しておきたいと思います。
○森本委員 むしろ日本の制度よりはこちらの方が合理性があるかな。とりわけ、日本の元本というのも、定期預金だって、元本に組入れられたら、それは利子ではなくなるわけですね。ですから、せいぜい半年とかそれだけの利子を外すか、外さんかというマイナーな話よりは、もっと大きい問題があるのかなという感じがいたします。
○林信用機構室長 今確認しましたら、やはり元本自体を外すということです。
○倉澤部会長 では、深尾委員。
○深尾委員 今の点に関連して質問なんですけれども、元本を外すということになりますと、その認定基準がはっきりしていないと、預金者は自分の預金が保護対象か否かということがわからないのではないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○林信用機構室長 少し調べて御回答いたしたいと思います。
○深尾委員 もしそうであれば、やはり事前にある預金が保護対象であるか否かがはっきりする日本の制度の方が、私はむしろ合理性が高いのではないかという気がします。
○窪野審議官 ちょっと一つ。
○倉澤部会長 どうぞ。
○窪野審議官
部内でもいろいろ議論しておりまして、なかなかこのための金利を設定したり制限するのは難しいなという議論がありますが、一応今、早期是正の枠組みの中で自己資本比率がある程度低くなりますと、監督庁の方で高金利での預金を集めることを是正命令でチェックできるという措置がございます。
○倉澤部会長 ほかに御意見、御質問等ございませんか。
ちょっと早目ですが、超過勤務のときもありますので、相殺は常に可能だと思うので、それでは、以上をもちまして、本日の議事を終わることにいたします。
それでは、最後に、次回の日程等につきまして、事務局より連絡させていただきます。
○玉川調査室長 次回の日程は、11月22日(月曜日)の午前10時からとなっております。議事といたしましては、預金保険制度等についての御審議に加え、保険の基本問題に関するワーキンググループからの審議状況について報告いただくとともに、有価証券報告書等のディスクロージャー制度の電子化に関する御審議をいただくことを予定しております。
○倉澤部会長 次回の議事につきまして、何か御質問、御意見ございますか。
こういう予定で進めさせていただいてよろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
(以 上)