金融審議会「第二部会」第17回会合議事録

 日時:平成11年12月14日(火)10時00分〜11時57分
 場所:大蔵省本庁舎(4階)第四特別会議室

○倉澤部会長 定刻になりました。ただいまから、第17回金融審議会「第二部会」を開催いたします。
皆様、御多用のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。
本日は、年内の総会への報告に向け、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方」及び保険会社のリスク管理と倒産法制のあり方について当部会としてのとりまとめを行うとともに、生命保険会社に係るセーフティネットについての審議を行うこととなっております。
初めに、預金保険制度のあり方についての審議を行いたいと思います。
こちらのテーマにつきましては、前回の会合においてお示しいたしました「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方(案)」に、前回会合における審議を踏まえ、修正を加えた案文をお配りしております。
審議に先立ちまして、事務局から、前回会合でお示ししたバージョンからの変更点等につきまして説明をいただくことといたします。
林室長、よろしくお願いいたします。
○林信用機構室長 それでは、お手元の「会議終了後返却」というスタンプが押してございますけれども、案を御覧いただきたいと思います。修正点については下線を引いておりますので、その部分について御説明させていただきたいと思います。
 まず、2ページ目を御覧いただきますと、「市場規律を中心とした預金者の保護」の?の一番下のところが、「制度面でも一層の環境整備が望まれる。」ということが書いてございます。前回のときは、21世紀を見据えた真摯な努力が求められるということの後に、「なお、そのための環境整備の一環として、金融機関自身の業務再編等の可能性を拡大するためにも、営業所の認可制や代理店制度に関する制度面での見直しについて検討することが適当である。」というところまで書き込んであったんですけれども、そこまであってもいいけれども、なくてもむしろいいんじゃないかという御意見もあったこともあり、この部分を簡単にしております。
 それから、?の一番最後のところですけれども、これは前回お示ししたバージョンには入れておらなかったんですけれども、ちょっと読ませていただきますと、「なお、協同組織金融機関における外部監査制の導入や員外監事の登用に関しては、預金等総額が一定規模以上のものについて義務付けられているが、上記の観点からも、その規模要件を大幅に引き下げることが適当である。」。それぞれ 2,000億円、 1,000億円以上の金融機関についてという規模要件が政令上課せられておるわけなんですけれども、このディスクロージャーの徹底の観点から、こういったものについて引き下げる方向で今後私どもとしても検討していきたいと思っておりまして、その頭出しをさせていただいているところでございます。
それから、?の中ほどにも下線が引いてございますけれども、これは、特例措置終了後においては、多様な資金運用・調達・決済手段が提供されるべきであるということだけ前回は書いてあったわけですけれども、むしろ、それとともに、従来の慣行がより合理的なものになるだけでも随分違うんじゃないのかということで、その従来の慣行をまず見直しということを書いてはどうかということで、ここをさらに入れているところでございます。
それから、3.の下の方でございますけれども、この部分は、基本的な考え方ということで、「小さな預金保険制度」を目指すべきであるということだけ書いて、むしろ、その後、この下線部のないところにございますように、これまでに破綻した金融機関の例をみると、大幅な債務超過である。下線部のないところに続いて、預金者の損失及び預金保険の負担を最小限に止めるために、債務超過が極力小さい段階で早期処理していくべきであるというふうにだけ書いてあったわけですけれども、これと2.のところの「市場規律を中心とした預金者の保護」で言っている早期発見・早期是正というものが関連していくわけで、ここの構成については、いかがなものかと。むしろ構成を逆にした方がいいのではないかという御意見もあったわけですけれども、基本的な考え方の段階から、こういう構成で進めさせていただいているということもあり、我々としては、こういう形でその基本的な考え方に書いているところと、この2.のところの考え方がきちんと有機的に関連しているんだよという形で、こういう形でまとめさせていただきました。
 もう一度読みますと、「これまでに破綻した金融機関の例をみると、破綻処理の結果、大幅な債務超過を生じているという問題がある。したがって、「2.市場規律を中心とした預金者の保護」で述べたように、市場規律を有効に機能させて問題のある金融機関を早期に発見し早期に是正していくことを基本とした上で、仮に金融機関が破綻した場合においては、これに伴う預金者の損失及び預金保険の負担を最小限に止めることが重要であり、回復の見込みがなくなった金融機関は、債務超過の程度が極力小さい段階で早期に処理していくべきである」というふうにつなげさせていただいたところでございます。
 それから、3ページの真ん中辺でございますけれども、「これらを踏まえれば、決済機能の保護や借り手の保護は、破綻処理コストの最小化に寄与し、ひいては預金者保護にも資することから、預金保険制度の役割・機能において考慮すべき点になると考える。」ということが書いてございます。
 前回のバージョンでは、決済機能の保護や借り手の保護が破綻処理コストの最小化に寄与し、ひいては預金者保護にも資するため、そのような意味で預金保険制度の役割・機能に追加して考えることができるというふうに、決済機能も借り手の保護も、ある意味では預金保険制度の役割なり機能の一環であるというような形で書いておったわけですけれども、前回も「小さな預金保険制度」という目指すべきものについて議論があり、それから、神田座長の方から、それに答えて、ワーキングの考え方としてももちろん目指しているのは「小さな預金保険制度」である。ただ、いろんな局面でこの預金保険の適用のあり方について、細かいところまでいろいろ考慮して、配慮が可能である点は配慮しているんだというふうな御説明があったわけですけれども、そういうことを踏まえまして、この預金保険制度の役割・機能に追加するというよりは、この役割・機能において考慮すべき点になるというふうに書き換えさせていただいております。
 それから、3ページの一番下のところ、「経済全般」というふうに書いてございますけれども、これは「地域経済」という言葉を使ってみたり、いろいろ言葉を使っておったので、大体において「経済全般」という書き方に変えております。
 それから、4ページのところですけれども、下の方の名寄せのところですけれども、前回は、少なくとも当面は名寄せを金融機関には求めないけれども、データをスムーズに引き継ぐようにすると。ただ、なお書きで、今回は平時から名寄せまでは求めないが、自主的に名寄せが行われることが望ましいということで、その関係が不明確であって、わかりにくいのではないかというようなお話もあったものですから、この部分はかなりがらっと書き換えておるところでございます。
 下線部を読ませていただきますと、「金融機関から引き継いだ預金者データを基に、預金保険機構において名寄せを行うというシステム開発は既になされている。したがって、破綻処理の迅速化という観点からは、金融機関に対して、名寄せと保険金額等の計算に必要な預金者データの整備及びその預金者データを預金保険機構にスムーズに引き継ぐことができるためのシステム対応を平常時から求めることが適当である。更に、預金保険機構が金融機関のシステム等の対応状況を把握できるようにしておくも必要である。
 なお、破綻処理のための名寄せが金融取引全体に過大なコスト負担をもたらすことを回避する観点から、今回の預金保険制度の見直しの中では、金融機関に対してそれぞれが平常時から名寄せを行うことまでは義務付けないが、−−「求めないが」と前回のバージョンでは書いておりますが−−預金保険制度は預金者の名寄せが行われていることを前提としており、また、顧客サービスという観点からも、個々の金融機関において自主的に名寄せが行われることが望ましいと考える。」というふうに明確にさせていただきました。
 その後、6ページの下の方は、ここも「経済全般」というふうに、「地域経済」と書いておったのを書き改めております。
 それから、7ページでございますけれども、流動性預金についてですけれども、まず、流動性預金は何かというところがはっきりしていないということもございましたので、流動性預金に続けまして、「主に決済のために使用される期限の定めのない預金」というふうにこの文章では考えているということで掲げさせていただいております。
 それから、8ページのところの真ん中、「以上のような議論に基づき、」というところでございますけれども、まず読ませていただきますと、「以上のような議論に基づき、流動性預金の扱いについて検討を進めた結果、迅速な破綻処理が確実なものとなり、また、民間の決済サービスの多様化が図られるまでの間は、企業や個人の決済が滞ることを通じて経済全般や金融システム等に大きな影響を与える事態とならないよう、流動性預金に関して何らかの特別な措置を時限的に講じることも止むを得ないのではないかと考える。但し、その場合においても、できる限りモラル・ハザードの発生を抑えることが必要であり、例えば、全額保護される流動性預金を付利されない預金に限る(又はその金利に上限を設ける)ほか、その負担については、それ以外の預金よりも重い保険料負担を課して納税者負担によらないなどの手法を採ることが考えられる。」ということでございまして、時限的にということをここでもはっきり入れたということと、それから、括弧の中で、「付利されない預金に限る(又はその金利に上限を設ける)」ということで関係をはっきりさせたということと、それから、「納税者負担によらない」というのは、前回は「保険料負担で賄うことを前提として」ということで書いておりましたけれども、むしろこの「納税者負担によらない」ということをはっきり書いたということでございます。
 それから、9ページでございますけれども、二つ目のパラグラフのなお書きのところで、上の方のなお書きのところでございますけれども、「相殺適状」という言葉が適切かどうかというコメントがございましたので、書き換えておりまして、「借り手が預金を有している場合、継続的な取引関係を維持する観点からは、営業譲渡において預金と借入金をともに譲渡することが、借り手及び譲受金融機関の双方にとって望ましい扱いになると考える。こうした観点から、破綻処理においても預金が借入金と両建てになっている場合は、預金と借入金を両建てで譲受金融機関に譲渡しても他の債権者を害しないことを考慮して、その預金を、譲受金融機関に譲渡される借入金の額までともに譲渡する扱いとすることが、預金者保護の観点からも望ましいと考えられる。」というふうに書き換えております。
 その後ずっとなくて、15ページでございますけれども、一番下のところでございますけれども、金融機関のディスクロージャーに関しまして、上の方では順次ディスクロージャーがどんどん行われているということが書いてあるわけですけれども、一番の最後のところに、「なお、今後の我が国金融システムにおいて市場規律の機能がますます重要になることを踏まえると、決算期にとらわれることなく、金融機関が自己の経営・財務状況について適時適確に情報開示を行うことが適当であると考える。」ということで、この点について今後の課題であるということで書き加えさせていただいているところでございます。
以上、前回の御議論を踏まえまして、神田座長、それから、第二部会の倉澤部会長とも御相談の上、書き直させていただいた部分の御紹介をさせていただきました。
私からは、以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、この「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方(案)」につきましての討議を行います。
なお、先ほどから申し上げておりますとおり、この報告案につきましては、前回の会合において既に一度御議論いただいているところでございます。したがいまして、本日は、修文が行われた箇所を中心に、ぜひともおっしゃりたい御意見ということに限って御発言をいただくこととさせていただきます。どうぞよろしく御協力のほどお願いいたします。
田中委員。その後お願いいたします。田中委員、どうぞ。
○田中委員 ありがとうございます。8ページの「流動性預金に関して何らかの特別な措置を時限的に講じることも止むを得ないのではないかと考える。」と、この1条に関してであります。
 ビッグバンを通じて、我が国における投資資源の配分を改善しなければ、日本経済の活性化ができないということについては概ね合意があると思います。しかし、こうしたデレギュレーションだけでは、実際には投資資源の配分が我々が期待するものにならないことは当然でありまして、競争秩序の維持、及びこの領域におけるベンチマークの成立が極めて重要であることについても経験上、だんだん我々が学習してきているわけですが、今回のこうした流動性預金についての特別措置が講じられるということは、競争秩序の確立を通じて新しい秩序を求めるということが止まりますし、まして、ベンチマークの確立ということについては、この間、期しがたいというふうに思われます。どうしてこういうことになるのかわかりませんが、住専のときに公的資金の導入を阻んだ幾つかの事情が推測できます。
 あのときは、本来は公的資金が金融機関に投入されてしかるべきだったにもかかわらず、銀行はそれをやれば、例えば責任をとられるということから先送り。恐らく行政当局においても、従来の行政との延長上それがとりにくいということがあったかもしれません。あるいは国会も、 6.5ミリオン円のお金でこれだけ国会が止まるわけですから、国会においても躊躇があったのかもしれません。結果として、誰も球を拾いに行かない形でシステミック・リスクが起きました。
今回のケースもいろんなことが考えられますが、やっぱり球を拾いに行かないということについては、同様ではないかというふうに思っております。
 すなわち、本来でしたら、投資資源の配分の変化を通じて活性化を行うべきであるにもかかわらず、そのことを自明にすると、これまでのそれぞれのインスティチューションにおいて不都合があるということが暗黙にあるのではないかというふうに思います。
例えば、日本版P&Aを通じて問題の果敢な処理をやるということになりますと、デュデリジェスについても、あるいは買い手の登場についても、そうした責任を負うということになると、そこは責任持てないということがあるのかもしれません。
あるいは日本銀行が預金保険に対して融資をしなければいけないというと、結果として政府赤字の貨幣化につながる。余りこの問題については表に出られないということがあるのかもしれません。あるいは民間銀行の一部に現状を維持したいという気持ちから、背景に借り手の問題とか預金者の問題を出して、問題を糊塗しようというのがあるのかもしれません。
いずれにしろ、日本経済、前回の住専の場合はシステミック・リスクの顕在化という形で大変なコストを国民は払ったわけですが、今回は、投資資源が動かないということを通じて日本経済の不活性化が持続するというコストを国民は払うことになるのではないかと懸念されます。したがって、もしティンバーゲン以来といいますか、目標に対して手段が足りないというなら、手段を用意すればいいわけでありまして、破綻金融機関に対してデュデリジェスが的確にできるかどうかとか、今のままでは買い手の登場を促すようなことができないということでしたら、例えば、金融再生委員会を改組して、2001年4月以降も別の委員会にする。あるいはそれがフルタイムで現在の日銀の政策審議委員のような形で必要な人をリクルートして、これに充てるということも私は可能ではないかというふうに思います。
 いずれにしろ、ポテンヒットになるということは、誰も拾いに行かないからポテンヒットになるわけでして、大きなグローブを持って球は拾いに行くべきだ。誰も責任をとらないということを通じて日本経済、ここにも「経済全般」というふうにありますが、経済全般の不活性化を行ったのでは、もうどうにもならないわけであります。
 どこかでステータス効を維持したいという気持ちがある中で、例えば、協同組織金融機関について、デポジットペイオフに別枠を設けるというような議論まで出始めているやに聞きますが、これはどこかでモラル・ハザードが起きていることの弱みに乗ずる人々が既に生まれ始めている。コンテージョン、汚染は既に放置すれば進むのではないかというふうに思われます。
 北海道で拓銀がつぶれたことをもって、北海道が大変迷惑を被ったという例が紹介されることがございますが、よくよく考えてみますと、北海道の経済の不活性化が拓銀の資産内容を悪化させたのであって、問題は、経済の不活性化を持続すれば、不良債権の処理にさらに時間がかかるということでもありまして、我々にとって、経済の活性化というのは極めて重要なテーマである。もし我々が目標に対して手段が少なければ、手段を用意するという形で問題に対処すべきだ。やっぱりグローブをはめて、球は拾いに行かなければいけない。ポテンヒットから大きな破綻につながるということに我々はもっと考えるべきではないかと思います。
 ありがとうございました。
○倉澤部会長 池尾委員、どうか。
○池尾委員 小さな修正点を申し上げようと思ったんですが、今、田中委員がおっしゃった意見からすると非常に矮小なことを言う感じなので、私も意見を言ってからと思います。
 場合には、取引の類型に着目したアプローチや取引主体と取引類型を組み合わせるアプローチについても併用していくことが考えられる。
○倉澤部会長 この際、小さな意見、非常にありがたい。
○池尾委員 私の基本的な考え方は、今後の預金者保護は、ここにも書かれておりますが、問題金融機関の早期発見・早期処理によって預金者保護を果たすというのが基本にされるべきだというのが基本的な考え方で、ワーキングのメンバーですが、その場でも何度も繰り返しその点は主張申し上げたんですけれども。
 仮に早期発見・早期処理という、早期是正が実効的に実現されるような状況が出現すれば、預金保険制度というのは、表現はよくないかもしれませんが、盲腸のような存在になるはずなんですね。我々が目指すべきところは、預金保険制度を盲腸のような存在にすることだというふうに私は考えておりまして、「小さな預金保険制度」の意味というのは、私なりにはそういうふうに理解しておりまして、そうしますと、議論の力点が置かれるべきところは、早期是正が本当に実効的に行われ得るのか、あるいは早期是正を実際実効的に行われるように担保するためには、どのような措置がとられるべきなのかというところに議論の最大の力点が置かれるべきだし、エネルギーが投入されるべきだというのが私の考え方でありまして、しかるに、保護範囲をどうするかというところに現実には非常に大きなエネルギーが向けられている。これはある意味で徒労だ、エネルギーの向け方の焦点が違うのではないかというふうに私は思っておりまして、早期是正さえやれば、保護範囲なんてどうでもいいと、そういう預金保険制度にむしろしなければいけないというふうに考えております。
 その限りにおいて、私、8ページに書かれている話に関しましては、特段の異議は、最終的にはこういう考え方を、ワーキンググループのメンバーとしては承認させていただきました。
 ただ、今回の修文で、8ページのところの「納税者負担によらないなどの」という、「など」という言葉の位置をちょっと前の方に持ってきていただいて、「保険料負担を課すなど」にして、「納税者負担によらない方法」と明確にして、「など」は前の方に持ってきていただきたいと思います。
 こうすれば、邪道ですけれども、レギュレーションを回避するような形のイノベーションを起こす誘因にもなりかねない。わたる可能性もあり得ると思いますので、私個人は先取特権よりも、必要な保険料はきっちりもらうと、かなり重いものになる可能性。早期是正措置が徹底されなければ、かなり重いものになる可能性がありますが、そうすると、それを回避するようなイノベーションを日本の金融機関が起こしてくれることを次善の策として期待したいというふうに思っております。
 以上です。
○倉澤部会長 蝋山委員、どうか。次にお願いいたします。
○蝋山委員 2ページの「従来の慣行等を見直していくとともに、」という1句が入ったわけですが、この句が入っております2.の?、あるいは今、池尾さん、田中さんも指摘された流動性預金の問題、8ページのところ等も関係するわけですが、何か決済のシステムが変わっていくことが人ごとみたいに書いてあるんですね。しかし、金融当局の姿勢というものはものすごくこの点、影響が大きいわけです。
 今ネット銀行とかワーキングとか、あるいは決済専門銀行の創設と民間で叫ばれているわけですけれども、それに対してどういう対応するかという点に関して金融当局は何ら姿勢を、少なくともマスコミでは示していない。いわば決済の多様化ということは、よりいろんなタイプの、安全で、かつ、コストの安い決済システムが日本の中に新たに生まれてくるということは、大変こういう点で預金保険制度の問題とも関連してくるわけなんですが、したがって、私の理解は、こういう句が入ったということは、そういう点に関して前向きであるというふうに理解したいと思いますので、その点を改めて、ちょっと暴動ぎみかもしれませんけれども、この場で、ほかに場がないものですから、そういうふうに解釈してよろしいですねということを確認させていただきたく思います。
○倉澤部会長 坪井委員、どうか。
○坪井委員 先ほどの田中委員のいわゆる手段を考えるということについては全く同感でして、そういう手段をとっていただく、また、池尾先生のように早期是正を完璧なものにすることによってその他の問題はもう解決するということ、これも全く同感でして、今の我々経済界にとりましては、大変ありがたいといいますか、そういう形でいくべきだと思うんですね。
 原則として、実は今までこういう手厚い保護の対策が講じられてきた背景は、やっぱり日本の経済情勢というのは、構造がそれぞれの業界で全て変わってまいりまして、福祉とか労働とか雇用とか、こういう問題を考えたときに、それから、アジアとかヨーロッパの問題等考えたときに、成長が著しく進むというような経済にはならないんじゃないかというふうに考えているわけです。
 したがって、言うならば、北拓の問題も今話が出ましたけれども、確かにいろんな問題があってああいう形になったことは確かなんですけれども、その大前提は、いわゆる土地本位制による金融のあり方があったわけでして、その土地本位制にはいわゆる不動産の劣化が、バブル以降いろんな形で押し寄せてきたことによって、ここへいろんな金融問題が出ているわけです。これがまだ進んでいるわけですね。土地がまだ下がっているわけです。
 したがって、不良債権というものがまだまだこれからも出てくる可能性があるという現況。そういう中で貸し渋りが起きて、いろんな金融問題が出てきている。そこでこのペイオフが行われたらどうなるかということでの大きなテーマが出ているわけです。
 ですから、そう簡単に右肩上がりの経済情勢にはならないだろうということを考えると、各金融機関の今後の対応というのは、まさに我々中小企業者にとっては大変な問題を抱えているということであります。
 去年の10月に行われた特別保証制度、 5,000万までの、これによって今一息ついていますが、これもなかなか大変だということで1年延長。しかも10兆円の積み増しというような現状があるわけです。ということは、担保の劣化と、こういう経済状況を踏まえたときに、いわゆるペイオフを行うことが果たして適当かということが今最大のテーマであって、これはいずれ行わなくちゃならん問題ということは誰でも理解しているわけです。
 そういうことを踏まえた上での手厚い保護という形は、やはり安心を得る。そして、例えば預金のシフトが行われないような形でいければ、これは公金までも含まれておりますが、そういう形になるとすれば、地方の金融も安定する。そういう中で中小企業の我々の関係の安定も図られるということが目的で作られているというふうに理解するわけです。
 したがって、手段を整えて、それから、早期是正によって、また再生委員会のようなものを形を変えて残していくという形によって、もう大丈夫ですよという安心感を与えさせてくださると同時に、今やっている再生委員会は、もう再来年の3月までに何はともあれ、つぶすところは全部つぶして、あとはもう大丈夫ですよという、そういう安心感を与えてくださるのが、私は今回の答申の重要な意義だと思っておりますので、この点を申し上げさせていただく次第であります。
○倉澤部会長 翁委員、どうぞ。
○翁委員 流動性預金の点ですけれども、私の基本的な考えも、田中委員と池尾委員がおっしゃったことと全く同じでして、基本的には早期処理、迅速処理ということで預金の保護を図っていくというのが基本的な考え方だと思いますし、預金保険制度も本来、小口預金の保護というのがもともとの目的でございまして、その範囲を広げるべきではないというようなことに立っております。
 この8ページでは、確かに今日、時限的に講じるという、「時限的」という言葉が入って、少し前進はしているんですけれども、その条件が迅速な破綻処理が確実なものになり、また、民間の決済サービスの多様化が図られるまでの間というのは、解釈仕様によっては、その時限的な期間が一体どの程度になるのかというのが全くはっきりしないという点もあると思います。
 その意味で私は、その時限性ということを、もっともっと明確に明らかにして、担保するということが必要ではないかというような感じを持っておりまして、そのためには幾つか案が考えられるんですが、一つは、保険料の負担ということに関して、もともと預金保険制度というのは、小口預金者の保護のためのものですから、そういった別途の目的のものの勘定は、別勘定でやるというような明確な区別を保険料の徴収について考えてはどうかというのが一つでございます。
 それから、もう一つは、民間の決済サービスの多様化が図られるということで、これはまさに民間がやるべきことなんですが、同時に行政も、そういったサービスがどんどん多様な形で参入できて、また新しいビジネスが出てくるような、そういった環境整備を行うということをきちんと明記してはどうかという点がもう一つでございます。
 それから、もう一つは、その時限性のところに、「少なくとも数年程度の時限措置」というようなことを書けないかということが私の案でございます。やはり民間のインセンティブをもっともっと促進する意味でも、その時限性ということをもっともっと強調して、やるべきではないかというのが私の意見でございます。
○倉澤部会長 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 今さらながらのプリミティブな話で申し訳ないんですが、決済性預金の保護を述べた8ページの上から8行目ぐらいでしょうか、「こうした仕掛かり中の決済取引は当座預金や普通預金に滞留していることが多いという実態を踏まえると、」とありますけれども、この実態は変えられないということなんでしょうね。
 つまり私のような素人がこれを読みますと、なぜ決済途中にある別段預金とそうでないものとが分別管理されないのかということについて、多少やっぱり疑問を持つんですね。ですから、そこを分別して管理することができない、あるいはやれないことはないけれども、むしろ全部保護するよりコストがかかるということをきちんと説明していただかないと、素人が読むとよくわからないという感じがするんです。そこがはっきりしないと、何か仕掛かり中の決済取引を完結させるという問題と、一方では決済の前、あるいは後の流動性預金の保護という、もともと別の問題が一緒になっていると、そういう印象を持ちかねない感じがいたしまして、もしできることならば、そういうところについて、わかりやすく説明を追加していただけるとありがたいという感じがいたします。
○倉澤部会長 何かありますか。室長、どうか。
○林信用機構室長 幾つか今御質問とか御指摘等がございましたので、御意見にわたる部分はもちろん委員の皆さんの御意見ということでございますけれども、質問的なことについて若干お答えさせていただきますと、一番最後の仕掛かり中の取引については、前にも一度御説明したかと思いますけれども、中小金融機関が中小企業を相手にしている取引では、現実問題として、当座預金や普通預金に滞留している場合が多いということをまずこの間も御説明させていただきました。
 その場合に、別段預金に入っているものと、それから、こういった形で当座預金に入っているものとが質的に異なるかというと、そういうわけでもなくて、その別段預金だけを切り分けて、これだけを保護するということについて、その部分についてのみ預金保険制度でも、あるいは先取特権でもなのかもしれませんけれども、その部分についてだけ保護するということが公平であると言えるのかどうか。あるいはそういったことが法律的に仕組めるのかどうかという問題があろうかと思っているということでございます。
 仕掛かり中の取引と申しましても、ここにいろいろ書いてございますように、なかなかそれ自体の定義がはっきりしないということでもあり、また、その部分だけ取り出して優先権なり預金保険の仕組みで保護するというところも、なかなか難しいこともあり、こういうことを書かせていただいたということでございます。
 少しわかりにくいという部分があれば、その点については、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
 それから、あと、流動性預金については、いろいろ御意見があったかと思います。1点だけ、翁委員が言われた別勘定というのは、法律的にそこまで仕組めるかどうか、今の時点では、ちょっとまだ自信が持てないかなと思っております。
 それから、蝋山委員が御指摘になりました、こういったことについて、当局として前向きに取り組んでいくのかどうかという点でございますけれども、こういうふうに答申に、こういうことが望まれるとか、見直していくことが適当であるとか、そういうふうに書いておる以上は、「人ごとのように」とおっしゃいましたけれども、人ごとだと思っているわけではございませんで、そこは何と申しますか、事柄の性質によって、今回の預金保険法の改正等で進めていきたいもの、あるいは、考えていきたいけれども、もう少し先のもの、あるいは、非常に大きなテーマであり、できるところから取り組んでいくものなど、いろいろ精査があるところでございまして、決して人ごとではないということでここに書かせていただいているんだということを御理解いただきたいと思います。
○倉澤部会長 坪井委員、どうか。
○坪井委員 8ページのマル3のちょっと上の「納税者負担によらないなどの手法」、先ほどもそれは先にするかというお話もあったようですけれども、この「など」というのは、預金保険料負担のほかに、借入金等を想定して、その「など」というふうに付けたのかなというふうに私は実は理解したんですけれども、現在も預金保険機構そのものは借入金の方がオーバーしていて、いずれこれは返済していく形になりますね。ですから、この借入金のようなものを「など」というふうに言っておけば、それはいずれ返済されるものですから、納税者負担にはならないわけで、それを想定してそういうふうにここに書かれたのかと私は思ったんですが、ちょっとこの点質問としてお伺いしておきたいと思います。
○林信用機構室長 では、これも答えさせていただきますと、前は、「それ以外の預金よりも重い保険料負担を課すなどの手法を採ることが考えられる。」ということで、もう少し上の方のところに「保険料負担で賄うことを前提として、」というふうに書いてあったんですけれども、納税者負担によらないということをはっきりさせようということで下の方に移したところ、むしろそこが不文明ではないかという御指摘かと思っております。
 私としても、納税者負担によらないということはまずもってはっきりするように書いた方がいいと思っておりますので、よらないなどというと、よることもあるいはあるのかというふうにも読まれかねませんので、そこは池尾委員がおっしゃったようなことで少し修文を考えたいと思っております。
○倉澤部会長 田島委員、どうぞ。
○田島委員 ただいまの8ページの流動性預金の第2パラグラフのところなんですけれども、最後から2行目、「その負担については、それ以外の預金よりも重い保険料負担を課して」というふうにありますのは、これは流動性預金の預金者が直接負担するような形を想定されているのか、あるいは金融機関がその部分について重い保険料負担を全預金者の負担でといいますか、そういうような形になることも考えられているのか、その辺を教えていただきたいと思うんですが。
○林信用機構室長 保険料の仕組み自体が金融機関にその保険料を課していくということになっておりますので、ここの部分だけ特に預金者に直接負担を課すというようなことを考えているわけではございません。
 ただ、その保険料がどういうふうに転嫁なりされるのか、あるいは転嫁することができるのか、あるいはそれが明示的になり得るのかというところまでは、我々として書き切れるところではありませんので、いずれにしても、金融機関に保険料を負担していただくということ、その部分についてですね。それから、もう一つその前に書いてございますように、付利されない預金に限るとか、金利に上限を設ける形で、併せて、できる限りモラル・ハザードの発生を抑えることとしてはどうかということを書いているわけであります。
○倉澤部会長 どうか。
○田島委員 私は、預金保険の仕組みの中で流動性預金の全額保護するということには反対なんですけれども、どうしてもやむを得ないということであれば、ここに書いてあるような条件付きで保護するのはやむを得ないかなと思いますが、ただ、やはり全預金者の負担でというのはちょっと問題があるように思いますので、できるだけ流動性預金者の負担になるような形で仕組みを考えるべきではないかなというふうに思います。
○倉澤部会長 ほかに何か御意見ございませんか。
 どうか、蝋山委員。
○蝋山委員 修文のところだけにしろという部会長の御指摘だったので遠慮していたんですが、私は金融債と公金預金、特殊法人預金のところは、前回最後に何か急いで意見を申し上げましたけれども、非常に私としては引っかかります。
 均衡という考え方が特に出ている。前回ちょっと読み過ごしたんですが、今回読んでみますと、公金預金のところに、「企業との均衡を勘案すれば」、均衡論が出てきているわけですね。そうすると、あらゆるところで、これから均衡論というのが出てくると思うんですね。
 金融債と銀行の発行する社債との均衡を考えればと、どんどんと均衡が広がってという可能性を秘めているようなふうに、どうもちょっと読み過ぎなのかもしれないけれども、私は気になってしようがないんですけれどもね。
 以上です。そういう点だけをリマークとして申し上げます。
○倉澤部会長 それでは、ここで私の方から確認させていただいてよろしゅうございましょうか。
 「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」については、本日委員の皆様からいただいた御意見をもとに、さらに原案に対して適宜修文を施した上、必要と認める場合には個別に委員の皆様に御相談を行ってとりまとめさせていただくこととしたいと考えております。また、来週に開催が予定されている金融審議会総会に対して、修文後の「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」を、総会の答申としての公表を前提に、提出・報告することとしたいと考えております。
 そのように取り進めますことにつきまして、私どもに御一任いただけますでしょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤部会長 どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 なお、この「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について(案)」は、ただいま申し上げましたとおり、現時点で固まったものではございませんので、本日は一旦回収させていただくことといたします。お帰りの際に、席上に残してくださいますよう、お願いいたします。
 ありがとうございました。
 では、引き続きまして、保険会社のリスク管理と倒産法制のあり方についての審議を行いたいと思います。
 本日は、これまでの当部会及び「保険の基本問題に関するワーキンググループ」での検討の成果を踏まえて作成した「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間とりまとめ)(案)」を御用意いたしました。
 討議に先立ちまして、この「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間とりまとめ)(案)」の概要を把握していただくため、事務局より説明をお願いいたしたいと思います。
○山名補佐 それでは、保険関係について御説明いたします。
 お手元に、「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備中間取りまとめ(案)」という資料があると思います。それを3枚目をおめくりください。「保険の基本問題に関するワーキンググループ」につきましては、保険会社を巡るリスク管理のあり方、あるいは保険会社に係る倒産法制の整備のあり方につきまして、これまで11回にわたりまして御議論をいただきまして、12月8日にこのレポート案をおとりまとめいただいたところでございます。
 さらに1ページおめくりいただきまして「目次」を御覧いただきたいのですが、まず、 I 、 II で検討の背景、あるいは現行制度の概要について整理してございます。本体になりますのが、「 III  保険会社の健全性規制と破綻処理制度の見直しの基本的考え方」というところ。それから、「 IV  リスク管理の充実」の具体的な内容。それから、「 V  保険会社に係る倒産法制の整備」という部分でございます。
 本日、このレポート案につきましては、初めてお配りしたところでございますので、この内容につきましては、資料「中間とりまとめ」の概要、右肩に「第二部会17−1」と書いてある資料がございますので、これに沿いまして御説明したいと思います。
 まず、「保険契約者保護の基本」ということでございますが、何よりも健全経営を確保する、破綻を未然防止するということで、会社自身による内部的なリスク管理の充実、あるいは監督当局によるモニタリングの充実強化といったことが課題となります。
 また、問題保険会社につきましては、早期発見・早期処理を行う。例えば早期是正措置の適時適切な運用を行うというようなことが課題でございます。このような面につきましては、保険会社につきましても、金融機関と同様の考え方でございます。
 仮に万一、経営が悪くなりまして破綻に至るような場合に、保険会社特有の問題といたしましては、その次の「保障の継続」ということがございます。特に生命保険につきましては、年齢ですとか健康状態によりましては、同じ内容の保険に加入できない場合があることから、「保障の継続」が重視される。
 また、破綻会社の損失の状況に応じまして、保険契約者の権利が縮減されますので、契約者の権利を適切な水準まで保障するということも重要になってまいります。そういうことで、再建型倒産手続の整備というのが課題として残されていた。
 特にこれまでは、保険業法上の行政手続によりまして破綻処理を行ってきたところですけれども、手続の厳格性ですとか、破綻処理手法の多様性といった観点からは、倒産手続による処理というものが考えられるのではないかということ。
 それから、倒産手続と、昨年、いわゆるセーフティネットとして整備されました保険契約者保護機構との連携を適切に図りまして、保険契約者の保護をきちんと図っていくと、こういうことが基本になろうということでございます。
 次に、まず、健全経営を確保するための「リスク管理の充実」の内容でございます。
 これは1枚おめくりいただきまして、保険会社特有の構造といたしまして、負債サイドにおきましては、その9割を責任準備金というものが占めております。保険会社のリスク管理におきましては、この責任準備金確保ということが重要な課題になるということで、簡単に現行の制度を申し上げますと、まず、標準責任準備金制度というのがございまして、責任準備金の積立方式というものが平準純保険料式ということで定められております。また、標準基礎率の設定ということで、予定利率、予定死亡率というものも定められております。
 右側の真ん中ですけれども、仮に将来の保険金支払に支障を来すおそれがあるような場合、このような場合には追加の責任準備金の積立てを行う必要がある。これにつきましては、将来収支分析、一定の金利ですとか、株価ですとか、シナリオに基づきまして保険計理人が確認するものですけれども、これに基づいて追加の責任準備金を積み立てていくということでございます。
 一番右側ですけれども、この責任準備金の積立てないし確保につきましては、保険数理の専門家でございます保険計理人というものが確認をすることになっております。保険計理人による確認業務といたしましては、責任準備金の積立水準が適正であるか、日本アクチュアリー会の「実務基準」に基づいて確認するということになってございます。
 また、その確認に基づいた意見書を取締役会に提出する、あるいは監督官庁に提出することによりまして、責準の積立ての適正性を担保しているということでございます。
 現行制度につきましては、いろいろ課題が指摘されておりまして、今回のレポートの中では、以下に掲げているような項目について、充実の方向で見直すということになっております。
 一つ目が、標準責任準備金の対象となる契約を拡大するということでございます。二つ目が、標準を下回る積立て。例えば純保険料式で現在積み立てているところ、様々な事情でチルメル式に変更するというようなことも可能でございますけれども、その際の認可の基準を明確にしていく必要があるというようなこと。
 あるいは三つ目に、現行の「実務基準」につきまして、シナリオが余り精緻なものではないということで、これを明確化・精緻化するということ。
 それから、保険計理人と取締役会の関係について、この責任を明確化する。
 さらに、監督当局によりまして継続的にこの将来収支分析に基づく責任準備金の積立計画というものをチェックしていく。こういったことが指摘されてございます。
 1枚目に戻っていただきまして、「リスク管理の充実」の三つ目にソルベンシー・マージンの確保というのがございます。ソルベンシー・マージン比率の算出方法につきましては、昨年も一定の見直しがなされたところですけれども、これにつきましては、さらに不断の見直しを行っていくということが指摘されております。
 そういうことで、問題保険会社というものを早期に発見して早期に是正するということになるわけですけれども、仮にそういう手当てがうまくいかず、破綻処理の世界に入っていく場合に、どういう形でやるかというのが、その下の「倒産法制の整備」という課題でございます。
 まず、一つ目に、再建型倒産手続である会社更生法の適用という問題でございます。これにつきましては、資料の3枚目を御覧いただきたいと思います。
 「保険会社の破綻処理制度の見直しの方向性」ということで、最初に再建型倒産手続とございます。現行は、保険相互会社につきましては、株式会社のみを対象とする会社更生法の適用はございません。そういうことで保険業法に基づく行政手続によって破綻処理を行っているということでございますが、これに更生手続を適用できるようにするということでございます。
 二つ目で、保険契約者の手続への参加ということでございますが、仮に司法手続が適用されるとしても、現実問題といたしましては、保険会社には数百万人、あるいは1,000 万人に及ぶような保険契約者がございますので、なかなかこのままでは適用が難しいという問題がございます。
これに対しまして、保険契約者保護機構によりまして、保険契約者の手続代理を行って手続への参加を確保する。これは現行の預金保険機構についても設けられている制度でございますが、そういったことを手当てする。
それから、三つ目に、破綻処理の内容ということでございます。
まず、債権者間の権利調整ということでございますが、一般債権者。現行の行政手続では、一般債権の縮減というのは本人の同意等がない限り難しいということでございますが、司法手続の中では一般債権の縮減も可能になる。
それから、二つ目に保険契約者でございますけれども、保険契約者につきましては、現在は優先権はございません。他の債権者と同列ということでございますが、今回の見直しによりまして、保険契約者に対して、一般の先取特権を付与してはどうかという提言がなされております。
それから、保険契約者の権利も破綻処理手続の中では、予定利率の引下げ等縮減されることになるわけですけれども、現行の制度では、これは契約を全部他の会社に移転する場合、あるいは合併の場合のみに限られておりますけれども、司法手続を適用いたしますと、その他の場面も含めまして、より弾力的な対応が可能になるということでございます。
それから、?保障の継続の方法でございますが、今申し上げましたように、現行の破綻処理は、受皿会社への全部の契約の移転、あるいは合併の場合に限られておりますが、今後は、その受皿会社への全部あるいは一部の契約移転、あるいは更生計画の中で組織変更を行いまして、相互会社を株式会社化いたしまして、その株式取得方式によって処理するといったようなことが提言されてございます。
 そういう受皿会社が出てこない場合には、最終的には保護機構による引受けということになるわけですけれども、この点につきましては、現行制度を踏襲してございます。
 それから、破綻処理開始のタイミングでございますけれども、現行の運用は基本的には会社が債務超過になった後、対応しているということでございますけれども、見直し後は、破綻処理に伴う社会経済的コストが大きくならない時点で対応するということで、いわゆる債務超過の生ずるおそれの段階で事業継続困難である旨の申出を会社自身に義務づけまして、その上で会社自身ないし監督当局による更生手続開始の申立ということで手続に入っていくことが提言されてございます。
 最後に、倒産法制につきましては、もう少し具体的にレポートの中で制度の骨格が示されておりますので、一番最後の「保険会社の更生手続の基本的イメージ」という資料で御説明したいと思います。
 まず、一番左側一番上でございますけれども、保険会社について、責任準備金、ソルベンシー・マージンの不足を解消できるかどうか、あるいは、将来収支分析により、将来、責任準備金が不足すると見込まれる場合に、追加積立てや合理的な経営改善計画によりその事態の発生を回避できるかどうか、そういうやや危機的な状況になってまいりました際に、監督当局は、モニタリングにより監視する、あるいは早期是正措置を打つという対応が考えられますが、効を奏さずに右側の世界に入っていく場合に、弁済期にある債務弁済困難、あるいは破産原因(支払不能・債務超過)の生ずるおそれのような状態になってきた場合に、会社自身が、まず、事業継続困難である旨の申出を監督庁に行う。また、会社自身が更生手続の申立を行うという形で手続に入ってまいります。仮に何かの事情で会社自身が申立てない場合には、監督当局自らが申立てるという流れも考えられるところでございます。
 その後、更生手続に入ってまいりまして、まず保全管理人が入る、あるいは保全処分が下りるということで、一番上を見ていただきたいんですけれども、保全処分が下りますと、基本的には弁済禁止ということになりますけれども、保険会社の場合には、預金と異なりまして、保険料については破綻保険会社に保険契約者はその後も納め続けていく必要がある。一方、保険金については、事故が起こっても支払われないということになりますと、なかなか保険契約者が保険料を納め続ける意欲がわくかどうか等々の問題がございます。
 そういったことから、更生手続中に払い込まれた保険料については、これは削減の対象にしないということで保護を行う。あるいは、更生手続中に発生した保険金等につきましても、いわゆる手続期間中であっても一定限度額までの支払いを行うということによりまして、保険契約者の保護、あるいは更生手続の円滑な処理というものを確保しようということになっております。
 それで、更生手続が開始いたしますと、債権届出というのが必要になりますけれども、一番下に保険契約者保護機構という欄がございます。保険契約者個々人が1人1人届出を行うということではなくて、保険契約者保護機構が保険契約者表を作成いたしまして、保険契約者に代わってこれを提出するということで、保険契約者の負担を軽減しようということでございます。
 それから、手続が進んでまいりまして、更生計画案の提出、あるいは計画案議決のための関係人集会という場面におきましては、それぞれ保険契約者へ計画の内容を保険契約者保護機構が通知したり、あるいは保険契約者のための議決権行使を代わって行うということでございます。
 最後に、裁判所による更生計画案の認可が下りますと、計画の遂行ということになりますけれども、計画の中身の主なイメージといたしましては、一般債権の縮減。保険契約者に優先権を付けた上で、それぞれ一定の権利の縮減。それから、契約自体は受皿となる会社へ全部移す、あるいは一部移す、あるいは株式会社化する、あるいは保護機構による引受けという形で契約を継続していくということでございます。
 また、一番右下でございますが、保険契約者の権利につきましては、これを補償水準を適切な水準まで確保するということで、現行の保護機構の制度におきまして、補償対象契約については、責任準備金の90%まで補償するという形で保険契約者の保護を図るということでございます。
以上、レポート案の中に書いてございますことを、概要に基づいて概略御説明申し上げました。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
本日は、この「保険の基本問題に関するワーキンググループ」の座長をお務めいただきました山下委員が御出席でございますので、補足的に御説明をしていただきたいと思います。
○山下委員 ただいまワーキンググループの検討結果については、概要を御説明いただきましたので、若干の補足をさせていただきますと、大きな課題といたしましては、レポート本体の方の4枚目、「目次」を御覧いただきますと、「リスク管理の充実」という課題と、「 V  保険会社に係る倒産法制の整備」という課題を与えられたわけですけれども、今回のこの報告では、「リスク管理の充実」につきましては中間的な報告と、倒産法制に関しては、一応これでワーキンググループとして結論的なところに至ったということで御理解いただければと思います。
 以前の報告で、「リスク管理の充実」の課題につきましては、私の方から大きな法制度上の道具立てとしては一応整理されているんだけれども、その実効性がどうであろうかという問題だろうと御説明したんですが、やはりワーキンググループの中で実効性という面からは、現在の状況は相当に問題があるであろうということでは大方の意見が一致しております。ただ、これをどういうふうに改善していくかというあたり、実務的な詰めも含めまして、まだ相当議論すべき課題が多いということで、来年に入りまして、なお検討していくということになろうかと思います。
 中心は、やはり標準責任準備金制度というものをどういうふうに充実していくかということになろうかと思いますが、これもレポートの7ページから8ページにかけまして、後で御覧いただきますと、いろんな意見がまだあるわけでございまして、このあたりをなお審議していくということでございます。
 それから、リスク管理と倒産法制をつなぐキーポイントが9ページの「事業継続困難である旨の申出義務の基準」ということでございまして、なるべく早期に破綻を把握して、その処理手続に移っていく。
 では、どこで引導を渡すかという話でございまして、そこが9ページの「? 申出基準」ということで、将来収支分析を行いまして、そこで、将来、適正な責任準備金が積み立てられなくなると判断される場合に申出を義務づけ、そこから更生手続等の破綻処理に移っていくということでございますが、では、具体的にはどういう水準に なればこの申出がかかるかというのが?の最後の方のパラグラフでございまして、 「解約返戻金と全期チルメル式責任準備金との大きい方」というか、大小チェックをする、こういうあたりが一応の考え方になるのではなかろうかというわけですが、最後の方で「ただし、」ということで、最近では市場にいろいろ新たな商品が現れておりますので、そういうものについてどう考えるか。このあたりもかなり激しい議論がまだあるところでございます。
 更生手続、倒産法制の方につきましては、かなり早くからこういう手続法制の整備というものが必要であろうということは関係者の間で言われていたわけですが、ようやく今回この法制化へ向けてのある程度の目処が立ったということでございまして、かなり私個人としては時間がかかったけれども、ようやくここまで来たかという感想でございます。
 この制度は基本的には銀行等の更生特例法の枠組みを参考にしながら、ただ、保険の場合には契約を続けていくと。そしてまた、集団性を維持していくという、やや通常の預金金融機関とは違った配慮が必要になります。そのあたりをどういうふうに盛り込むかと、保険特有の制度をどういうふうに工夫していくかということが課題になったわけでございます。そのあたりについて、先ほど御説明がありましたような個別の点で、いろいろ工夫をしてみたというふうなことではなかろうかと思います。
 私の方から、以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、討議に移ることといたします。ただいま御説明のありました「中間取りまとめ(案)」につきまして、概要の御説明と山下委員の補足の御説明も踏まえまして、御意見、御質問等ございましたら、御自由にお出しいただきたいと思います。
 蝋山委員、どうか。
○蝋山委員 基本的な考え方というのが私にはどうもよくわからないんですが、今ある生命保険会社というのは、全て生命保険会社としての機能を国民に提供していると、一括り、そういう考え方だろうと思うんですね。それはそうかもしれないけれども、もう少しアンバンドルしてみれば、現実の日本の生命保険会社は、一つは、加入者の相互保障をアレジメントする、そういう機能を営んでいるわけですね。その機能の面では様々な私は特別な機能であって、それは株式会社でやろうが、相互会社でやろうが、どちらでもいいですよ。それはちゃんと保護すべきだというふうに思います。どこかがその面でうまくいかなかったときに、それが満たされないというのは大変まずい。だから、基本的には、他の生命保険会社の加入者も負担になるような形で様々なセーフティネットを作るというのは結構だと思うんです。
 しかし、日本の生命保険会社はそれに加えて、資産運用業務を渾然一体をなして、保険者に資産を提供しているわけですね。そこのところまでも十全なるセーフティネットといいますか、あるいは様々なこういう、これはその次の議題で議論した方がいいのかもしれませんけれども、手当てをしているというのは、私はどうもよくわからない。
銀行の場合に定期預金というものまでも 1,000万円のレベルで考えるというのは、それなりの小口性とかそういうことがあるわけですが、生命保険会社について資産運用、今ある生命保険会社のいろいろな、しかもこれからますます拡大する様々な業務を、これは全部保険契約ですという形でカバーして、手当てをするということについては、私は非常に疑問があるわけですね。その辺のところの基本的な捉え方というのはどうなっているんでしょうかというのが私の質問であり、同時に意見です。
 以上です。
○倉澤部会長 今の点について、山下委員ございますか。その後で高橋委員。
○山下委員 とてもお答えするだけの能力はないんですけれども、今のところは、生命保険というものは、保障ということが第一義的にあるかと思うんですけれども、そこへ資産運用というのが一つの商品の中へ必然的に組み合わさってくるというふうな面がございます。そういうものを今の段階で何か区別をしていくということは、まだ制度的になかなか難しいのではないかということでありまして、あるいは年金等の、機能的にはもう資産運用に限りなく近いというふうな機能もあるかと思いますけれども、こういうものばらしていけば、やはりそういう制度に最終的には個人の生活保障がかかってきているという面もあって、現在考えているような保護機構による保護というものを考えることが必要ではなかろうかと、こういうようなことでございます。
○倉澤部会長 高橋委員、どうか。
○高橋委員 関連の意見でございますけれども、今制度的に難しいというお話があったんですが、この全体の報告を読ませていただいた感想なんですけど、やはり保障の継続をもってその保険契約者を保護するという大前提に立っておられるようなんですけれども、やはり保険の機能を見た場合に、死亡保障や医療保障の継続というのと、貯蓄機能の継続というのは本来別物だというふうに思うわけですね。死亡保障とか医療保障については手厚い保護が必要であると私は考えます。
 ただ、貯蓄部分につきましては、生命保険会社の拠出による保護機構とか、公的資金ということを考えますと、ほかの保険会社の契約者とか一般国民にその負担を強いるというのは、いかがなものかというふうに感じる部分もございまして、やはり保障機能別に明確な書き分けをしていただきたかったというのが大きな感想でございます。
 せめて部会報告において、このサマリーを付けるなりして、貯蓄なり、保障なりという部分をある程度明確にしていただかないと、この中身であります予定利率の引下げであるとか、早期解約控除であるとか、そうしたことに一般の方の理解、世論の支持を得るのは、私は難しいのではないかなというふうに思っております。
 それから、もう少し中身に踏み込ませていただきますと、全体の理念というのは保障の継続にあるのですけれども、更生手続を開始して以降というのは、この15ページ以降になると思いますけれども、保険契約の継続ということが今度は大事であると、保障の継続から保険契約の継続というふうになっていまして、保険集団の維持ということが非常に重要であるというふうに変わっているわけなのですけれども、この書かれている内容を見ますと、議論のほとんどは、多分逆ざや問題の解決というのに向けられたのではないかなというふうに思うのですけれども、実際に今まで2社破綻が起きていて、一般の方々は、死亡保障なり医療保障の削減について、いろいろ御不満をおっしゃっているのではなくて、資産価値の部分で将来価値が目減りすることであるということに対して非常な不満の声があるわけなのですけれども、今回のこの御提案では、早期解約控除という形で、保険契約者が更生手続に入った以降に解約する場合は非常に重いペナルティが課されているというふうに思います。
 これが、こういう制度があるよということをわかった段階で、一般の契約者の方というのは、特に優良契約というのは、更生手続開始前に解約あるいは失効の形で流出するのが、私、素人読みで考えられるところなのですけれども、そういったことも考慮に入れた上でこの制度は大丈夫であるというふうに考えられているのかというのが1点御質問です。
 それから、全体的に現行の保険契約者保護機構の制度にせよ、この今回新しく考えている破綻処理制度にせよ、その後の基礎率の見直しということが考えられるわけなんですけれども、今回のこの報告書は、予定利率というその基礎率の一つだけを取り上げて議論がされていて、多分時間切れだったのかもしれませんけれども、例えば、継続後の保険会社のコスト負担軽減ということであれば、各保険会社が独自の商品をたくさん出していらして、そのシステム維持にかかるコストというのも非常なものなのですけれども、その商品の絞り込みを行うとか、貯蓄機能と保障機能を分離して整理していくとか、それによって例えば事業費率を引き下げることができないかとか、それによって保険契約者の負担を軽減することができないかとか、そういった議論がなされたのかどうか、2点目それをお伺いしたいと思います。
 以上です。
○倉澤部会長 お願いできますか。山下委員。
○山下委員 あと何かあれば、事務局から補足していただきまして、この予定利率等の問題について、どういうふうに考えているかということですけれども、結局、破綻といっても、いろんなパターンがあり得るわけで、どういう処理をするか、どういうところに破綻の原因があって、そこをどういうふうに変えていけば破綻処理がうまくいくかというようなことは、なかなか一概にここで考え方を示すのは難しいわけで、ここでの制度としては、更生計画の中で破綻の原因を十分分析した上で、例えば保障型の商品、それから、貯蓄型の商品ですね、これらにどういうふうに損失を分担していただくのが公正かということを判断して、更生計画を練り上げていくというわけでございますから、そこは、例えば非常に予定利率の高いような商品が破綻の原因になったということになれば、そういうところに負担が多く求められるというふうなことは当然のことだろうと思います。
 そういうのを裁判所が、更生手続ですから、最終的にはチェックしていくことで透明性も確保していくということだろうと思います。
 その中で、早期解約控除というものが盛り込まれている点につきましては、これは放っておけばかなり解約失効が出ていくだろうというのは自然の勢いでございまして、そういう人々に負担を強いていいかという話はあるんですが、保険集団の維持という点は、どうしてもある程度必要ではないか。更生の中で移転等の手続をうまく実施していく上でも、急速に集団が小さくなるというのは好ましくないということは言えようかと思います。
 解約しなければ、最低限の保障は与えられているわけでございます。そのあたりちゃんと情報をディスクローズした上で、契約者の方々に判断していただかないといけないとは思います。一応そういうふうな多面的な利益を考えていくと、こういう結論になるのかなということでございます。
 それから、予定利率ばかり議論して、それ以外の基礎率はどうなっているかという点は、これは今急に質問されたので、レポートの何ページにあったかはわかりませんが、決して予定利率問題だけを考えていたんじゃなくて、基礎率全般について、それが考慮されるということを明らかにしております。
 あと、将来、破綻した会社の事業をどういうふうなものとしていくかというあたりも、更生手続の中で考えていくということでございますので、そこら辺は従来よりも、ある程度の柔軟な処理はできるのかなとは思っております。これも更生手続きとしてどこまでいけるかという、一つの制度上の限界がありますが、そこらあたりについては今確定的にどういうふうになるというのは、私の方からちょっと申し上げられませんけれども、一応そういうことではないかと思います。
○倉澤部会長 どうかお願いいたします。
○斎藤オブザーバー オブザーバーとして一言申し述べさせていただきます。
 3カ月という大変短い期間で、大変精力的に御審議いただきまして、リスク管理の充実、それから、倒産法制の整備、私どもの業界にとりましては、ともに大変重たいテーマでございますが、これについて具体的な方向性を示していただくことにつきまして、山下先生をはじめ、関係の皆様に厚く御礼申し上げます。
 それで、以下、若干のお願い事でございますが、まず、この倒産法制の整備につきましては、法制化につきまして、また早急な御検討をぜひお願いしたいと思います。
 それから、リスク管理の点につきましては、標準責任準備金制度と将来収支分析の改良について基本的な方向性を示していただいておりまして、私どもの経営の健全性の確保という点では、一層の充実が図られるというふうに思っております。今後、具体的な見直し内容について深掘りしていただくということで、これをよろしくお願いしたいと思います。
 それから、倒産法制について1点触れさせていただきますと、特別勘定の契約者に対する優先権の付与については、レポートの中で継続検討の必要性というものを御指摘いただいております。現行の保険業法の破綻処理におきましては、特別勘定の財産といいますのは、一般勘定と同様に、その責任準備金につきまして、削減の対象となっております。一方で、特別勘定の財産といいますのは、御契約者が資産運用のリスクについては、その責任を負担していただいているという事実がございまして、ここについては優先的な取扱いが必要であろうというふうに考えております。
 かねがね御契約者の方から、特別勘定の財産の保全について強い要望もございます。今後この特別勘定の資産の保全策につきまして、実務的な対応を含めて、ぜひ御検討いただければというふうに思います。
 以上でございます。
○倉澤部会長 どうぞ、斎藤委員。
○斎藤委員 極めて細かいことなんですが、商売柄一言言っておく義務がありそうな気がいたします。
 報告書、この「中間取りまとめ(案)」の10ページの一番最後のところで、「会計監査人による」云々というところがありまして、「会計監査人のアクチュアリー能力の向上についても検討が必要ではないか。」という文言がございます。これは従来、公認会計士の監査では、私の聞くところでは、アクチュアリーの仕事については完全にブラックボックスにして扱ってきているようです。実際問題としても、アクチュアリーが計算したものを、全然専門能力のない公認会計士が計算し直すと言われても、それは責任のとりようがないというところがあると思うんですね。
 現在は、一部の監査法人では、アクチュアリーを少し雇ったりして、いろいろ苦労しているようですけれども、公認会計士の役割とアクチュアリーの役割との関係はかなりデリケートな問題でありますので、一応注意をして取り扱っていただければという感じがいたします。
○倉澤部会長 わかりました。
 それでは、このテーマについて、ここで確認をさせていただいてよろしゅうございましょうか。
 「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間取りまとめ)(案)」については、本日、委員の皆様からいただきました御意見をもとに、この原案に対して適宜修文を施した上、必要と認める場合には個別に委員の皆様に御相談を行ってとりまとめることとしたいと考えております。また、来週に開催が予定されている金融審議会総会に対して、修文後の「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間取りまとめ)」を公表を前提として提出・報告することとしたいと考えております。
 このように取り進めますことにつきまして、私方に御一任をいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉澤部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 なお、この「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間取りまとめ)(案)」は、正式にお諮り申し上げたのは本日初めてということもありまして、いろいろな方向性等については中間報告をたびたび座長からお願いしておりますが、まとまったものとしては初めてということもございますので、内容をよく御吟味いただく意味で、ということはちょっとまずいんですが、あえて回収はしないことといたしますが、特段のコメント等ある場合には、遅くとも15日(水曜日)というのは明日でございますので、よく御吟味いただく。遅くとも15日(水曜日)中に事務局まで御連絡いただけますよう、お願いいたします。
なお、15日(水曜日)というのは、カレンダーの日付いっぱいでいいそうでございます。
御如才なきことながら、本案は、適宜修正後、来週の総会を経て公表の運びとなる予定のものでございますので、取扱いにはくれぐれも御配慮のほど、お願いいたします。
最後に、生命保険会社に係るセーフティネットについて議論があるようですので、事務局より現在の状況等について御報告をお願いしたいと思います。
○山名補佐 それでは、お手元に、右肩に第二部会17−2、「生保のセーフティネットの整備と課題」という資料があるかと思いますので、それに沿って御説明いたします。
 生保のセーフティネットの整備といたしましては、健全性確保のためのソルベンシー・マージン比率に基づいた早期是正措置の導入、それから、昨年、生命保険契約者保護機構が創設されたところでありますが、2.でございますが、課題といたしまして、一つ目として、保険相互会社の株式会社化。こちらは7月にレポートをおとりまとめいただいたところでございます。
 それから、二つ目に、保険会社に係る倒産法制の整備。これは本日、御議論いただいたところでありますけれども、?といたしまして、保険契約者保護機構の機能の維持という問題が出てまいります。
 金融監督庁によりますと、最初の○でございますが、東邦生命の破綻処理について最終局面に来ている。また、この処理によりまして、保護機構の財源、現在、 4,600億円ございますが、その相当部分が使用される見込みであるという状況になっているということで、このままでは、生命保険に対する国民の信頼が失われるおそれはないかということで、12月2日でございますが、自由民主党の金融問題調査会の方でも、この生保のセーフティネットの問題について御議論が行われ、自民党におきましては、その作業チームを設置され、連日のように御議論がなされた。
 それから、その他、与党・公明党、自由党の方でも、それぞれこの問題について検討が開始されたということでございます。
 そういった御議論を参考にしつつ、本日、大蔵省・金融監督庁といたしまして、この問題についての一つの考え方というものを試案として出してございます。それがもう一つの紙でございます。
 いずれにしましても、今後、与党各党におきまして、これを基に本格的な議論が行われることになるというふうに考えております。
 それで、資料の2ページ目をおめくりいただきたいんですが、「生命保険契約者保護機構の財源問題」という横紙がございます。
 現行の保険契約者保護機構の仕組みのおさらいでございますが、まず、破綻した会社の保険契約者が一定範囲、自己責任をとるということで、責任準備金について10%のカット。それから、将来の予定利率の変更が行われるということになっております。
 それから、この資金援助を支える費用といたしましては、業界が機構の基金に拠出を行っておりまして、現在、年間 460億円拠出されてございます。このほかに、日産生命の処理の際には、まだ現在の保護機構がございませんでしたので、この制度とは外側の制度によりまして、年間約 230億円、総額 2,300億円の拠出がなされているということでございます。
それから、保護機構は昨年できたばかりですので、この基金への拠出は積み上がってございません。したがいまして、破綻が生じた際には借入金で対応する必要がございますが、この借入金につきまして、特例期間中、これは平成13年3月末までですけれども、政府保証が付けられるということになってございます。
いずれにしましても、現在対応可能な資金援助額は 4,600億円ということですが、東邦生命の要処理額が相当多額になる見通しであるということで、このセーフティネットとしての機能の維持に関する議論が出てきている。その際のいわゆる財源と申しますか、これにつきましては、下の三つについてどう考えるかという問題がございます。
それで、もう一つの「生命保険のセーフティネットの再構築」という資料を御覧いただきたいと思います。
最初に、生命保険のセーフティネットの財源不足を放置すれば、どうなるかということで、保険契約者保護に支障が生じるほか、国民の基礎的な生活保障手段である生保に対する信頼を失うおそれがあるのではないか。
また、安定を取り戻している金融市場に不測の混乱が発生するおそれはないかということで、生保のセーフティネットの再構築が急務であるということでございます。
 生保業界の現状ないし今後の見通しが不確定な中、平成15年3月末までに生じた破綻に要する費用のうち、業界の特別負担金を超える部分について、時限的に財政措置を可能とする制度を設けてはどうかということでございます。
まず、保険契約者保護による国民生活の安定ということといたしましては、現在、世帯ベースで生命保険には国民の9割の方が加入されております。これは簡保も含めた数字でして、民保だけですと、約8割ということでございます。
 それから、1社当たり 100万人から 1,000万人に及ぶ契約者の方がおられる。
 また、個人金融資産に占める保険の割合は、預貯金につきまして全体の25%という状況にございます。
それから、金融市場の安定の側面でございますけれども、生保は、いわゆる金融市場における重要な機関投資家であるということ。
それから、融資規模におきましても、都市銀行、地銀、信金に次ぐ規模でございまして、そういう大きな存在であるということでございます。
それで、次のページ、「生命保険のセーフティネットの再構築」、縦紙、これが具体的な内容でございます。
 目的は、省略いたしまして、先ほどの三つの要素をどう考えるかというところにつきまして整理してございます。
 まず、現行の契約者の保護の水準を引き下げるかどうかということですが、この問題については、現行の水準を堅持する。原則責任準備金の90%ということでございます。
 それから、(注)でございますが、現在、2001年3月末までは死亡保険金等については全額保護、あるいは個人年金の責任準備金については 100%保証等々の特例措置がございますけれども、これにつきましては、現行のとおりの期限までとするということでございます。
それから、東邦生命処理によって失われるセーフティネットの規模をどこまで回復 するかということでございますが、最小限現行規模以上に復元するということで、 5,000 億円を追加してはどうかということでございます。
それから、業界負担といたしましては、追加的な負担金として特別負担金(仮称)を徴収いたしまして、 1,000億円追加してはどうかということでございます。
それから、公的関与でございますが、現行の 4,600億円の毀損後、平成15年3月末までに発生した破綻の処理に要する費用のうち、業界の特別負担金の総額を超える部分について、財政措置を可能としてはどうかということでございます。差し引きますと、 4,000億円が限度ということになります。
この趣旨でございますが、仮に資金援助を業界のみが負担することになれば、経営の長期的健全性が維持されなくなる事態を招き、ひいては、国民生活の安定や金融市場に不測の混乱が生じるおそれが認められるような場合に、財政措置をもって対応するということでございます。
それから、もう一つ、現在の政府保証措置でございますが、これについては、回復するセーフティネットの規模に合わせた保証枠の拡大と、特例期間後も継続を行ってはどうかということでございます。
 それから、あくまでこれは時限的な措置でございまして、その期限といたしまして、平成15年3月末までに発生する破綻を対象としてはどうか。この期限の考え方でございますが、現在、倒産法制の整備ですとか、株式会社化の制度整備といったものを予定しておりますけれども、これらの運用が軌道に乗るまでには一定の時間がかかるということで、それまでの時限措置としてはどうかということでございます。
それから、これらの環境整備ということでございますが、破綻会社自身の経営者責任の追及のほか、健全生保につきましても、ディスクロージャーの強化、経営の合理化の徹底等が求められるということでございます。
それから、最後に、今申し上げました内容を絵解きしたものが、この図でございます。
 セーフティネットの規模を 5,000億円追加する。現行は 4,600億円でございます。一番右の上の肩に 9,600億円と書いてある部分でございます。それから、業界の追加的な負担は 1,000億円ということで、やや濃い網がかかった部分でございます。対応不能部分については、平成15年3月末までの破綻を対象に公的資金 4,000億円を充てることが可能ということで、国と書いてある部分でございます。
一番左に現行の借入限度額 4,600億円とございますが、波線が入っているところまで、今回、東邦生命処理により使用するとして、今後の破綻に備えるものとしては、この現行部分の残り、それから、追加的な業界の負担分。基本的にはこれによって対応することになるわけですけれども、その上で、右上の肩に四角がございますけれども、平成15年3月末までの期間において、保険契約者保護のための資金援助の財源について業界のみが負担することになれば、経営の長期的健全性が維持されなくなる事態を招き、ひいては、国民生活の安定や金融市場に不測の混乱が生じるおそれが認められるような場合には、そのような破綻が起きた段階で財政措置が可能となるような制度を設けてはどうかということでございます。
それから、全体につきまして、一番右でございますが、借入れについて政府保証を付けるということでございます。
それから、これはあくまでもまた時限措置ということでございますので、現在、見直し規定というものがございます。先ほどの17−2、縦の「生保のセーフティネットの整備と課題」という資料の上から4枚目ですが、「見直し規定」というのがございます。
 これは保険業法と金融システム改革法にこのセーフティネットの制度についての見直し規定というのがございまして、保険業法の方をちょっと読みますと、「金融再生委員会は、機構の利用可能な資金の状況が著しく悪化し保険業に対する信頼性の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置に関し、大蔵大臣に協議しなければならない。」となってございます。
 下の金融システム改革法の附則にも同様の趣旨のことが書かれておりまして、これに基づいてセーフティネットのあり方を見直すというものでございます。
 以上でございます。
○倉澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、御自由にお願いいたします。
 蝋山委員、お願いいたします。
○蝋山委員 たびたびで申し訳ないんですが、非常に初歩的な質問させていただきます。
 業界というのは何ですか、これは。
○山名補佐 生命保険業界でございます。
○蝋山委員 いやいや、生命保険業界って何でしょうか。何か法的に業界という定義がきちんとされているわけですか。
○菅野保険企画室長 ここで言っている業界と申しますと、この保護機構に加盟している会社の総体でございます。具体的には個々の会社ということになります。我が国の保険業法上は、この保護機構については、いわゆる強制加入というような形になっていますので、生命保険会社全社ということになります。
○蝋山委員 そうすると、 1,000億円というのは、たくさんの会社が負担するということになりますね。その 1,000億円のいわば業界の中での負担というのはどういうふうにして決まるんでしょうか。
○山名補佐 これは 1,000億円というのは総額でございまして、年間の負担金。現在の考え方は、今 4,600億円総額ですけれども、年間 460億円ずつを10年間かけて払っていくという考え方になっております。
その 460億円、年間の負担金のとり方ですけれども、これはストックベースとフローベースと両方の要素を足して考えておりまして、責任準備金の大きさ、それから、入ってくる保険料収入の大きさ、それに従って計算したもので、各会社に割り振られていくと、そういう仕組みになっております。
○蝋山委員 預金保険については、基本的な考え方としては、財務状況等に応じた保険料率の導入ということが基本的に望ましいと。しかし、当面はちょっと難しいから、せめて置いておきましょうと、そういう基本的な考え方は非常にはっきりしているわけですね。今の話を伺いますと、モラル・ハザード防止という観点からも、やっぱり財務状況が悪いというところには、本来はたくさんもらうというぐらいの抑制措置が契約者保護機構にないと、乱用されるおそれが多分にある。これは将来の問題だということであれば、将来考えますというのかもしれませんけれども、その辺のところはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○山名補佐 先ほどのレポートの方でも……
○蝋山委員 中間取りまとめ。
○山名補佐 はい。19ページに真ん中辺に「? その他の検討事項」とございまして、まさに「預金保険制度等に関する議論の動向をも踏まえて、検討する必要がある」という形でメンションはしておりますが、ここも言われましたように、預金保険の方でも、考え方としてはそうだけれども、現段階ではなかなか難しいという考え方が当てはまるのかということでございます。
○蝋山委員 「検討する」と書いてあるわけですな。どうもありがとうございます。
○倉澤部会長 高橋委員、どうか。
○高橋委員 関連質問です。業界の負担というのは、例えば相互会社で言えば、保険契約者の負担になるわけですけれども、現行制度で言えば、例えば一般的な会社を想定した場合に、契約者1人当たりどのぐらいの負担になるのか、あるいは保険金1,000 万円当たりどのぐらいの負担になるのか、当局が把握していらしたら教えてください。それが1点です。
 それから、2点目は、いわゆる業界の負担とされているものがその財源、 4,600億という数字と 4,000億という数字が平成13年3月末を境に二通り出ているようですけれども、これが今度の新しいセーフティネットの再構築で、平成15年3月という、また全然違う期限が出てきておりますけれども、その場合に、この業界負担は 4,000億なのか、 4,600億なのか、そのあたりについて教えてください。
○山名補佐 まず最初の、保険契約者1人当たりの負担というのは、今手元に数字がございませんので、また調べまして計算してみますが、現行 4,600億円の拠出となっておりますが、これは一応法人税上は損金に落ちますので、実際にはこれに税率が掛かった分というイメージでございます。
それから、 4,000億円と 4,600億円の違いの問題でございますが、現在は特例期間中ということでございますので、 4,600億円をベースに業界負担については考えているということでございます。
○倉澤部会長 斎藤オブザーバー、お願いいたします。
○斎藤オブザーバー 今、高橋委員から御質問した件でございますが、私どもの会社で例を申し上げますと、生保会社で日産生命を合わせて、先ほど御紹介ありましたとおり、 6,300億のコミットをしております。これで私どもの会社は 1,000億の負担でございます。ちょうど契約者の数が 1,000万人でございますので、1人当たり1万円という負担を現在していただいていると、こういうことでございます。
 それから、この案についての現在の私ども業界のポジションについて若干御紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど御紹介ありましたとおり、東邦生命の処理というものを現在視野に入れていまして、生命保険契約者保護機構の財源がほぼ底をつきかけるということで、先週10日の保護機構の総会におきまして、定款に従って、先ほどの金融システム改革法の191 条を受けた定款でございますけれども、政府に所要の措置を要求したところでございます。
今日これを見せていただいた限りでは、私どもといたしましては、随分、他業態のセーフティネットへの財政措置とは違ったものであるという印象と、それから、個別に言いますと、やっぱり業界負担のさらなる引上げというものがあるということ。それから、財政措置の部分につきましても、一旦は業界が借入れを起こして、それで賄うという点で、そこにコストの負担が生じているということ。それから、経営の合理化という点。これは個別に資本注入を受けている場合と、こういうセーフティネットに財政資金が入る場合とは自ずから違いがあるのではないかという点。こういった点が今後、業界の議論の論点になっていくかというふうに思っております。
ただ、今後、これが正式に政府案等々として決まっていけば、保護機構の総会にお諮りをして、意思決定をしていくことになるというふうに考えております。
それから、先ほど来、蝋山委員、高橋委員の方から、いろいろと先ほどの破綻処理の部分についての個別の御質問がございましたけれども、私どももこれは生保のセーフティネットというものの全体像につきまして、この部会とか、それから、総会において、ぜひ今後十分な御審議をいただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○倉澤部会長 予定の時間も参りましたが、よろしゅうございましょうか。
ありがとうございました。
なお、お手元の資料中、「生命保険のセーフティネットの再構築」という表題の3枚紙につきましては、まだ十分に熟していない内容を多く含むこともあり、本日のところは回収させていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上で本日の議事は終了いたしました。
 これをもちまして、7月に当部会の抱えるテーマにつきまして中間的な取りまとめを公表して以来、我々が主として取り組んでまいりました「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方」及び「保険会社の倒産法制のあり方」という課題には、一応の区切りがついたことになります。
 委員・オブザーバーの皆様方におかれましては、特に暑さの厳しかった8月に審議を再開してから約5カ月間にわたり、御多忙の中、実に9回にも及ぶ大変精力的な御審議をいただいたこととなります。この場を借りまして、メンバーの皆様方の多大な御尽力に厚く御礼を申し上げるとともに、事務局の皆さんの御努力にも敬意を表したいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、次回の日程等につきまして、事務局より連絡させていただきます。
○玉川調査室長 次回以降の日程につきましては、今のところは未定でございます。正式な日程・議題等が固まり次第、追って事務局より御通知申し上げます。
 なお、先ほど部会長からもお話がございましたが、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方(案)」等につきましては、この会議後、回収させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、「保険会社のリスク管理と倒産法制の整備(中間取りまとめ)(案)」につきましても、審議会の報告後、部会報告として公表する段取りとなっておりますので、本日における取扱いについては、くれぐれも御注意いただくようにお願いいたします。
 それで、総会は、今度の21日の火曜日、午後1時を予定しております。
○倉澤部会長 ただいまの連絡事項につきまして、御質問はございませんでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。
 ありがとうございました。
                                (以 上)