特例措置終了後の預金保険制度及び 金融機関の破綻処理のあり方の概要 |
1.市場規律を中心とした預金者等の保護
(1) | 預金者保護の基本=金融機関による健全で収益力の高い経営 | ||
(2) |
問題金融機関の早期発見・早期是正が重要 |
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市場規律によるモニタリング 監督当局の役割 |
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検査・モニタリングの充実・強化 早期是正措置の適時適切な運用 |
2.金融機関の破綻処理のあり方
(1) | 基本的考え方 | ||
・ | 「小さな預金保険制度」を目指す(現在の特例期間中は全預金・全負債保護) | ||
− | 回復の見込みがなくなった金融機関を早期に処理 | ||
・ | 受皿が存在する場合の一般資金援助方式を優先的に適用 | ||
− | 破綻金融機関の金融機能を受皿に引継ぐ(営業譲渡等) 保険金支払方式(狭義のペイオフ)はできるだけ回避 |
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(注)破綻に伴う損失負担により預金が一部カットされる点は同じ | |||
・ | 破綻処理を迅速化・破綻処理方式を多様化 |
(2) |
一般資金援助を伴う営業譲渡等の迅速化 金融機関の破綻に伴う預金者や地域経済等への影響を最小限に止めるために、破綻金融機関が有していた金融機能を迅速に受皿に引き継ぐことが重要 |
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・ | 事前準備(名寄せ等) 金融機関の持つ預金者データをスムーズに預金保険機構に引継ぐ |
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・ | 資金援助が可能になる場合の拡大 営業の一部譲渡(例えば、健全資産と付保預金)の場合の資金援助 |
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・ | 営業譲渡手続の迅速化・簡素化 公的な管理人制度の導入、営業譲渡に関する裁判所の代替許可制度 |
(3) |
金融機能の維持(営業譲渡までに時間がかかる場合への対応) 営業譲渡のための準備が十分でない場合でも、破綻金融機関において一定の金融機能を継続できるようにすることが重要 |
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・ | 預金者等の利便性の確保 | |||
┌ │ └ |
預金保険機構による仮払金の支払 破綻金融機関における付保限度までの預金の払戻し 付保限度を超える預金については、預金等債権の買取制度の適用 |
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・ | 流動性預金の問題への対応 金融機関の破綻に伴う企業の決済等への影響を勘案すると、迅速な破綻処理が確実なものとなり、民間の決済サービスの多様化が図られるまでの間は、流動性預金(主に決済のために使用される期限の定めのない預金)について時限的に特別な措置を講じることも止むを得ない。但し、その場合、重い保険料負担を課すなどのモラル・ハザードの回避策が必要 |
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・ | 借り手の保護 | |||
┌ │ └ |
破綻金融機関からの融資、国・地方公共団体における対応 金銭消費貸借契約における約款等の見直し(保険事故が発生したときには、期限未到来の預金債権と借入金債務との相殺を預金者が可能とする) |
(4) |
受皿(譲受金融機関の問題)への対応 |
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・ | 譲受金融機関が現れやすい環境の整備 ロス・シェア(プロフィット・シェア)、受皿への資本増強 |
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・ | 譲受金融機関が直ちに現れない場合の対応 ブリッジ・バンク、整理回収機構の受皿機能 |
3. |
危機的な事態が予想される場合の対応 |
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信用秩序全体の維持等に重大な支障が生じうるような万が一の事態に備えて、例外的な措置を可能としておくことが必要であるが、その場合厳格な手続が求められる | |||
・ 例外的な措置の内容及び手続 | |||
┌ │ └ |
金融危機対応会議(平成13年1月設置)の関与 具体的な措置内容(資本増強、ペイオフコスト超の資金援助、特別公的管理) 金融機関の特別な負担(財政措置を講じざるを得ないこともある) |
4.預金保険制度の他の論点
(1) | 付保対象 − 以下のものを対象にすることが適当 | |
・ | 金融債(個人の貯蓄向けで転々流通しないものに限る) | |
・ | 公金預金・特殊法人預金 | |
・ | 預金利息 |
(2) |
預金保険の対象金融機関 |
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・ | 協同組織金融機関の連合会を新たに対象とする | |
・ | 外国銀行在日支店 − 引き続き検討を進める(検査・監督のあり方を含む) |
(3) |
保険金支払限度額等 |
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・ | 保険金支払限度額 | 現行水準(1000万円)の維持 | ||
・ | 仮払金 | 現行水準(20万円)を相当程度引上げ |
(4) |
預金等債権の買取り |
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・ | 現行は付保対象預金等に対象が限定されているが、債権及び債権者が明確に確定できるものに限定するなどの工夫を行った上で、付保対象となっていない預金等にまで対象範囲を拡大 |
(5) |
預金保険料 |
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・ | 特例措置終了後の預金保険料の水準 | ||
− | 借入金の早期返済という観点から、現行の水準をベースとして検討 | ||
・ | 可変保険料率(金融機関の財務状況等に応じた料率)の導入 | ||
− | 検討は早く進めるべきであるが、当面、慎重に対応 |
5.特例措置が終了するまでに整備すべき環境
(1) | 金融機関のディスクロージャー | |
・ | SEC基準と同様の基準による不良債権の開示(平成10年3月期から) | |
・ | 業務・財産の状況に関し法令に規定された具体的な事項の連結ベースでの開示を罰則付きで義務化(平成11年3月期から) | |
・ | 金融機能再生法に基づく資産査定の開示(平成12年3月期から全金融機関) |
(2) |
金融システムの安定 − 平成13年3月末までの間に |
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・ | 金融システムの安定を一層強固なものとする取組み | ||
− | 金融機能再生置法及び金融機能早期健全化法等の枠組み等の活用 | ||
・ | 個々の金融機関における経営基盤の強化 |
(3) |
その他 |
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・ | 預金保険制度等に関する広報 |