金融審議会第一部会「中間整理(第二次)」のポイント
(いわゆる「日本版金融サービス法」関連)


1.はじめに

(1 ) 新しい金融のルールの枠組みとして、金融取引を幅広く対象とし、縦割り規制から機能別規制に転換するとともに、ルール違反には行政上の規制に止まらず、民事上の責任も追及される仕組み(いわゆる「日本版金融サービス法」)の整備を念頭に検討を進めてきた。

(2

) 今回、「日本版金融サービス法」の第一歩として、集団投資スキーム及び販売・勧誘ルールについて、当面可能な法制化にかかる検討結果を「中間整理(第二次)」としてとりまとめる。

2.集団投資スキームの整備について

 多数の投資者から資金を集めて市場で専門家が管理・運用する、いわゆる集団投資スキームについて、以下の法整備を行う。

(1 ) 資産流動化型スキーム(特定の資産を企業から切り離し、証券化等により流動化を図る仕組み)について、以下の方向で「SPC法」を改正する。


投資者保護に配意しつつ簡素・合理化を図り使い勝手をよくする。
流動化対象資産を拡大する(不動産、指名金銭債権等を幅広い対象へ拡大)。
流動化の器として、SPCに加え信託も利用可能とする。

(2

) 資産運用型スキーム(投資者から集めた資金を合同して専門家が運用し利益を投資者に配分する、資金運用のための仕組み)について、「証券投資信託及び証券投資法人法」を改正し、不動産を含めた幅広い資産への投資運用を可能とする。

3.金融商品の販売・勧誘ルールの整備について

(1 ) 説明義務の明確化と民事上の効果
 金融商品の販売に際して、販売業者に一定の説明義務を課し、これに違反した場合に損害賠償責任が生じることを明確にする。


 金融商品の範囲は、できるだけ広く対象(一般的に定義することは将来の検討課題とし、商品を幅広く列挙)。
 販売業者の範囲は、対象金融商品の販売行為を業として行う者を広く対象。
 説明すべき内容は、顧客のリスク判断にとって重要な事項とし、収益の変動や元本割れの可能性を、商品の仕組みに沿って説明。
 いわゆるプロが顧客である場合や、顧客が説明を不要とした場合には、説明は不要。

(2

) 販売業者のコンプライアンス(内部管理)体制の整備
 販売業者に対し、勧誘に関する社内規程の整備・遵守を義務付けるとともに、同規程の基本的な方針について公表等を義務付ける。

(注

)なお、詐欺的な勧誘等については、国民生活審議会で検討中の消費者契約法が適用。

4.裁判外紛争処理制度の整備等と消費者教育の充実について

 まずは、業界団体等における自主的な取組、行政当局の努力を期待。
 最終報告に向け、更に検討。

5.終わりに

 今回の議論のとりまとめは、「日本版金融サービス法」の重要な枠組みを構成するものであり、法制化の実現を期待。
 更に、来年6月を目途に最終報告のとりまとめに全力で取り組む。