1.日時:平成9年10月28日(火) 10時00分〜12時00分 2.場所:合同庁舎4号館 大蔵省第一特別会議室 3.議題:ゲストスピーカーからのヒアリング −金融ビックバン後のわが国金融市場の姿− 4.議事概要: 本日は、野村総合研究所・淵田資本市場研究室長、同・大崎主任研究員、さくら総合 研究所・早瀬上席主任研究員、ベアリング投信・ポール=シェアード ストラテジスト から、金融ビックバン後のわが国金融市場の姿をテーマとしてヒアリングを行い、その 後、質疑応答及び自由討議を行った。 質疑応答及び自由討議における主な意見等は次のとおり。 ○ 今後の行政当局の役割は零細投資家、情報弱者の代理人たるものに限定すべきであ り、そうすることがすっきりとした金融システムへの移行の前提となる。 ○ 規制体系を事前的なものから事後的なものに変えた上で、市場メカニズムを活用し ていくという方向性に対し、行政当局や実務関係者からは現実には監視コストが嵩む ので困難であるという慎重な意見が聞かれることがある。事前規制から事後規制への 移行に際して、どうすれば監視コスト、司法コストを節約できるのかを具体的に検討 すべき。ビックバンの進展に間に合わせるためにも、金融サービス法の議論に早急に 目処をつけていくことが必要。 ○ バブルの崩壊による負の遺産の処理と、ビックバンでの前向きな取り組みが並行し て行われる中で、金融システムに対する当局のガバナンス機能のあり方が問題となる。 ○ 市場規制のルール自体やその制定プロセスの透明性を高めた上で事後的規制の体系 に移行していくべき。米国を例にすれば、強い行政措置と刑事罰は我が国でも有効で ある一方、市場規律確保のために民事上の制裁金等を用いることは、米国の特殊な事 情を反映しており、我が国では難しいのではないか。 ○ 事前的規制は、競争制限的な参入規制ではなく、リスク負担能力といった最低限の 参入要件を定めるものとすべきである。規制の方向性は変わるが、その実効性確保の 面では、行政権限が強化されるのではないか。 ○ 金融サービス法のアプローチは、私人間の利害調整というよりも、原則として行為 に対する罰則等により公正性、健全性の規律を確保するという公法的なものであるべ きではないか。 ○ 預金保険等のセーフティーネットは、通常、システミックリスクの削減のための最 低限のものとして考えられているが、情報弱者に安全資産という選択肢を与えるとい う役割を持たせることも、現実的な妥協として考えられるのではないか。 ○ 情報弱者を保護する一方で、プロによる効率性の向上を引き出すため、一定のプロ 向けの取引については、情報弱者が入ってこれない仕組みを作る必要があるのではな いか。 ○ 情報弱者に対しては、ディスクロージャーによって情報の格差をなくすということ と、セーフティーネット等で積極的に保護するという2つの方向があるが、後者は情 報弱者を増やす可能性があり、それらの両立は難しいのではないか。また、弱者保護 と事後的規制は当局のスタンスとして両立し得るのかという問題も考える必要がある。 ○ 保護の対象については、預金性商品か否かという観点ではなく、金融商品について 一定のキャッシュフローが保証されているかどうかに着目するというアプローチもあ るのではないか。 (以 上)
問い合わせ 大蔵省 3581−4111(代) 銀行局総務課金融サービス室(内線5408、5952) 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。 |