「新しい金融の流れに関する懇談会」第6回会合議事要旨

 

1.日時:平成10年1月20日(火)  10時00分〜12時30分

                      

2.場所:合同庁舎4号館  大蔵省第一特別会議室

                            

3.議題:オブザーバーによる意見発表

                                      

4.議事概要:                                                            

    本日は、三和銀行企画部金融調査室・秋山室長、朝日生命総合企画部・高木制度

  問題担当審議役、日本証券業協会企画部・菊一部長、不動産シンジケーション協議

  会・佐藤専務理事、オリックスPFS事業部・福島課長、三菱商事財務部・犬飼部

  長代理総括チームリーダーから意見発表があり、その後、質疑応答及び自由討議を

  行った。                                                                

                                                                          

    質疑応答及び自由討議における主な意見等は次のとおり。

                  

  ○  新しい金融制度のあり方全般を検討するに当たっては、グローバル・スタンダ

    ードの観点から他国の制度を参考にするだけではなく、クロスボーダー問題につ

    いての議論も避けて通ることができないのではないか。

                    

  ○  変額保険は投資信託に類似した商品であり、英国の金融サービス法でも投資商

    品として規制対象に含まれている。我が国において変額保険は保険業法の行為規

    制等の対象となっているが、新たなルールを検討するに際しては大きく二つの方

    法があるのではないか。一つは引続き保険業法でカバーするとしても、募集等に

    関する規制の内容は投資信託等と同様のルールとする方法であり、もう一つは投

    資リスクを伴う保険商品は投資信託等と同じくいわゆる金融サービス法でカバー

    していく方法が考えられる。

                                            

  ○  ルールの実効性の確保のためにどのように公的規制と自主規制を組合せるかは

    難しい問題である。いわゆる民・民規制への抵抗が強まることも予想される中で、

    自主規制のメリットとデメリットをどのように考えるのか。

                

  ○  公的当局がいわゆる「ウォッチ・ドッグ」としての監視機関に徹するのであれ

    ば、機能や組織の大小にはこだわらなくてもよいのではないか。

            

  ○  新しい金融のルール体系において、銀行が投資・運用サービスを手掛け、また

    株式等に対する主要な投資家でもあるということにも照らして、銀行をどういう

    ふうに位置付けるのかが基本的な問題といえるのではないか。

              

  ○  銀行は公共性を有しているという観点から、銀行とそれ以外との隔離を有効に

    行うという役割を出資法1条に担わせてきたのではないか。その一方で、出資法

    1条が不合理な規制となっている面も否めないのではないか。

              

  ○  仮に出資法1条が廃止されたとしても、同法2条が残るのであれば、商品開発

    への制約も残ることになるのではないか。また、仮に出資法上の制約がなくなっ

    た場合でも、預金の受入れを銀行に限定している銀行法との関係が問題として残

    るのではないか。

                                                      

  ○  銀行法の保護法益として決済システムの維持を考えるのであれば、銀行の決済

    機能が、明示的な使命として行われているものなのか、それとも経済活動の中で

    自然の成り行きとして担われているものなのかを議論していく必要があるのでは

    ないか。

                                                              

  ○  「預金」の定義は実質的に捉えられており、コアの(決済性)預金については

    銀行のみが取り扱えるという見方もあれば、ドイツのように預金をより幅広いも

    のとして捉えた上で、これら全てについて銀行のみが取扱いを認められるとする

    考え方もある。                                                        

      このほかにも、銀行のみが取り扱いを許される業務としては、最も狭く預金の

    みとする見方から、我が国のように為替業務も含めるもの、さらにドイツのよう

    に広範に銀行業務を捉えるものまで様々であり、この点についても考え方を整理

    していく必要があるのではないか。

                                      

  ○  新しい金融の流れに関する議論の切り口として、投資・運用サービスの観点か

    ら考えるのが一般的だと思うが、同様に与信や決済といった切り口からも考えて

    いく必要があるのではないか。

                                          

  ○  銀行の決済機能という古くて変わらないものについては引き続き銀行法等で守

    っていくことになると思うが、一方、投資・運用サービスについては証券取引法、

    証券投資信託法といったルール・レギュレーションとオーバーラップし、共通化

    していくことになるのではないか。なお、デリバティブ業務については、当事者

    間の相互依存とリスクの波及という問題があり、投資・運用サービスとは多少異

    なった整理が必要なのではないか。

                                      

  ○  与信に関して、貸金業者には行為規制が課されている一方、銀行には厳しい財

    務規制、参入規制はあるものの、融資等に関する行為規制は殆ど課されていない。

    このように同じ業務でもルールが異なっているという現実がある。

          

  ○  「投資」とは何か、という定義が必要ではないか。決済手段としての預金と保

    障機能としての保険を除けばすべて「投資」であり、投資信託、変額保険、商品

    ファンド、実績配当型信託、確定拠出型企業年金等は同じルールで規制されるべ

    きではないか。また、銀行の行う業務は伝統的な「銀行」という名称にそぐわな

    くなり、例えば、「決済性銀行」と「資産運用銀行」といった区分が必要とされ

    るようになるのではないか。

                                            

  ○  改正外為法施行後、一般の投資家が海外の金融商品に投資することによって国

    内規制の枠外での被害が増加することが予想されるのではないか。こうした取引

    はインターネット等を通じてさらに広がっていくと思うが、自己責任で放ってお

    いてよいのか。国境を越える取引についてどのようにルールに取り込んでいくの

    か、難しい問題である。

                                                

  ○  銀行や生保が提供する固有の商品(預金、保険)とその業務範囲は一致しなく

    なってきており、「商品」が特別であるからといって「業態」も特別のものであ

    ると議論をすることはできないのではないか。                            

                                                                          

                                                                  (以  上)  

                                                                            
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本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。