ノンバンクに関する懇談会」第1回会合議事要旨




                                                                                    



  1.日時:平成8年11月5日(火)  10時00分〜12時00分                                  



  2.場所:合同庁舎第4号館  第二特別会議室                                        



  3.議題:事務局説明                                                              



  4.議事概要:                                                                    



      今回の会合は初回であることから、各メンバーの自己紹介、銀行局長挨拶の後、ノンバン



    クの概況等について事務局より説明を行い、メンバーから質疑・意見が出された。      



    (事務局説明)                                                                  



      ・ノンバンクの現況について                                                    



      ・貸付残高が一定規模以上のノンバンクの貸付金の実態調査結果について            



      ・ノンバンク研究会報告書、ノンバンク問題懇談会中間報告書の概要について        



      ・貸金業規制法、出資法の概要等について                                        



      ・ノンバンクの資金調達に係る規制緩和について                                  



                                                                                    



  <<主な質疑・意見等>>                                                              



    ○アメリカのノンバンクについて勉強させてもらいたい。日本のノンバンクが海外のノンバ



      ンクと対等にやっていけるとか、そういった形で今後世界に広がっていくようにするとい



      うことも重要。                                                                



    ○ヨーロッパでも、いわゆるデポジット・テイキングをしないでレンディングのみを行う機



      関というのは当然あると思う。「ノンバンク」という言葉もよくわからない言葉であるが、



      いろいろな切り口があると思う。与信行為を行っているところは他にいくらでもあり、貸



      付を行っているところ、預金を受け入れているところ、それとそうでないところ、それが



      金融システムへの影響度とかを議論する場合の切り口として、どの程度有効性があるのか



      ということも結局考えていかなければならない。                                  



        一番難しいのは、ノンバンクというのはいろいろな業態、二極化だけでは語りきれない



      ものがあり、何を想定するのかで全然実態との議論が違ってくる。結局レンディングとい



      う切り口だけでは切れないのではないか。そのほかに何が有用な変数になるのかという意



      味でも諸外国はどういう概念で切っているのか関心がある。                        



        アメリカでは、例えば、銀行というものをレンディングではなく、コマーシャル・レン



      ディングという切り方をしている。本日の資料の区分では、ノンバンクを消費者向けとか



      事業者向けとかいう分類になっているが、金融システムに与える影響とか、機能的に分析



      を行うときの変数に必ずしも一致するという保証はない。そういう意味でも今後こういう



      点を問題意識として議論していく必要がある。                                    



    ○登録制と免許制の関係であるが、貸金業の場合登録制度であり、登録業者数が約3万3千



      もある。そういう多数ある業態と、金融機関のように割合少なくてうまくみていける業態



      をモニターしていくのは自ずと今後違ってくるのではないか。ある程度以上の規模のとこ



      ろだけみておけばいいのかということと、自由に参入・退出のある業態に対して、どうい



      うモニタリング、あるいは行政が適切かということも議論していきたい。            



    ○先のノンバンク問題懇談会の中間報告において「業界団体による自主規制が望ましい」と



      いうのがあったが、事業者向貸金業界の自主規制団体の状況はどうなっているのか。いろ



      いろな問題が生じた時にうまくワークしていたのか。                              



        (事務局説明)  事業者向けの業界団体は、まだ設立されていないのが現状。自主規制



            団体については、例えば貸金業規制法上の貸金業協会があり、他にも法律に基づか



            ないリース事業協会等の業界団体等もあり、趣旨・目的は様々である。        



    ○ノンバンク研究会、ノンバンク問題懇談会で報告したことについて、実現したものと、そ



      うでないものは具体的に何か。                                                  



        (事務局説明)  ノンバンク問題懇談会の中間報告では、かなり具体的な指摘がいくつ



            か行われているが、そのうちCPの一部解禁について措置している。ディスクロー



            ジャーや大口融資規制等についての自主的な業界のガイドライン作りということも



            報告されているがそれほど進展をみていないのが現実。ただ、行政当局によるモニ



            タリングの必要性については、平成3年、4年の貸金業規制法改正により、ある程



            度の報告義務を課したことで、実態把握体制というものは一定の進展がみられると



            いうところではなかろうか。                                              



    ○現在、ノンバンクは金融機関からの資金調達依存度が高く、この依存度が低下すれば金融



      システム全体への影響も減少することになるが、CPや社債を発行することによりこれを



      購入した個人にリスクが転嫁することになる。したがって、今後の資金調達の状況によっ



      ては、リスクがどういうふうに波及するかが異なることに留意すべき。              



    ○金融機関といってもいろいろあり、銀行から農協、あるいは保険会社とか外資系とかある



      わけだが、調達先を分散化していればノンバンクの破綻の影響も総体的に少なくなるし、



      特定の所に集中していれば影響が大きい。そういうシステムの安定性という観点から、ど



      ういうふうに資金調達先を分散させているかということをみるのも重要。            



    ○出資法2条3項の趣旨は何か。どういう形であれば、社債が発行できるのか。        



        (事務局説明)  同法2条3項は、社債発行によって調達した資金を貸付業務に使用す



            ることを禁止している、と理解されている。ノンバンクの場合、例えばリース会社



            ではリース資産を購入するといったようなリース本業を行う一方で、貸付業務を併



            せ行っており、この場合リース業務のための発行であれば2条3項に違反しないと



            いうことである。                                                        



    ○出資法でいう「預り金」というのは何を指すのか。それから、多重債務問題も視野に入れ



      て議論していくということだが、お金を貸す側としては貸金業規制法上は登録業者だけで



      あるが、登録していない業者の問題というのも視野に入れるべき。                  



    ○証取法が変わり、「不特定かつ多数」という言葉はなくなり「多数の者」というふうにな



      った。しかし出資法では、「不特定かつ多数」というところは依然として残っている。そ



      うすると、証取法上の社債と出資法上の社債のコンセプトは異なるということになり、証



      取法でいう社債は既に発行しても構わないという解釈にならないか。                



        また、特定かつ少数の50人以下の者を相手とする私募債は構わないということになるの



      か。                                                                          



        (事務局説明)  その点は、これから本懇談会において議論していただくべき点である



            と思うが、これまでの整理としては、出資法2条3項は「不特定かつ多数の者から



            貸付資金を受け入れる手段としての社債の発行を取り締まる」という大衆保護の観



            点からの法益を守るものである。私募債の発行が総額引受でなされる場合、これを



            引き受けた者がそのまま保有している限りにおいては、本条に違反しないのではな



            いかという理解もされている。ただ、総額引受の場合でも、引受者がその社債を不



            特定多数の者に売り出すことについて発行者との間で予め意思を通じていた場合は、



            脱法行為になるといった点が残っているところ。                            



    ○今後の議論の進め方であるが、ノンバンクはバラエティに富んでおり、中にはうまくやっ



      ているところと、例えば事業者向けのように問題含みのところがある。本懇談会の議論は、



      おかしなところを何とかしてやろうというふうに後ろ向きに考えるのか、もう少し前向き



      に考えるのかで大分議論のスタイルが変わってくる。前向きの方にウェイトがあると考え



      てよいか。                                                                    



        (事務局説明)  前向きな議論をお願いしたい。                                



    ○ノンバンクのイメージをどこに置くかで大分考え方も変わってくるというところが、ノン



      バンク問題の悩ましいところ。「金融システム上の位置付け」という問題提起について、



      単に金融機関と比較して云々ではなく、ファンクションとしてどんな役割を果してきてい



      るのか、今後どうなるのか、あるいは既存の金融機関との関係がどうなっていくのか、ト



      ータル的なファンクションのイメージが本懇談会で生まれればありがたい。          



    ○規制緩和の流れだと思うが、消費者がどういう情報を得られるかという条件が非常に重要



      になってくる。消費者というのを非常に自立した消費者とみるのか(十分な情報提供をす



      ることにより後は自己責任原則)、あるいはある程度最低限の保護が必要だとみるのかで



      随分議論が異なってくる。その辺の消費者の想定の仕方というのを、少し具体的に考えて



      いきたい。                                                                    



    ○消費者をどういうコンセプトで捉えるかということは、ものすごく意見の分かれるところ



      ではないか。「情報さえ与えれば自己責任」というふうに割り切れるかどうかであろう。  



                                                                                    



                                                                            (以上)  



                                                                                   



 
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銀行局中小金融課金融会社室 (内線)5164





本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。