1.日 時 平成8年11月26日(火) 10時00分〜12時00分 2.場 所 合同庁舎第四号館 共用第1特別会議室(12F) 3.議 題 消費者信用業界(特別メンバー)からのヒアリング 4.議事要旨 まず、金融会社室長より、ノンバンクを取り巻く多重債務問題等の現状について事務 局ペーパーに基づき説明した後、特別メンバーである嶋田一弘氏(アコム(株)取締役 営業企画部長)、海老江茂和氏((株)ジェーシービー企画部部長)、佐藤良治氏(日 立クレジット(株) 経理部長代理)、林正孝氏(日本信販糟o営企画本部部長)の4氏 から消費者信用業界の現状等についてそれぞれ報告があった。その主な内容は以下のと おり。 (1) 嶋田氏 ・ 消費者ニーズに的確に対応するとともに、経営の効率化を図るため、ロードサイド 型の立地、無人契約機等を含む店舗の再編、CD、ATMの提携を強力に推し進めて おり、また乗り遅れないようインターネットへの対応にも取り組んでいる。 ・ 消費者向無担保貸金業界においては、大手と中小零細の二極化が顕著であり、残高 ベースでは、大手5社で業界全体の6割弱、0.6%の業者で同83%を占めている 現状にある。 ・ 多重債務問題については、昭和60年代の始め頃までは大手においても破産者数の 拡大に対応して償却額も増加していたが、現在では与信技術の向上やコンピュータに よるリスクマネジメントの開発等により、償却率も安定的に推移(2〜3%)してお り、破産者数の動きとのギャップが著しくなっている。 ・ 自動契約受付機(無人契約機)については一部に大きな誤解があるが、遠隔操作に より通常の店舗と同様の与信審査を行っており、対面与信よりも客観的な判断が可能 であることから延滞比率も低い現状にあり、自動契約受付機が即多重債務につながっ ているという指摘は当たらない。あくまで業者側の与信姿勢の問題と考える。 ・ 消費者金融専業界には本格的なカウンセリング機能がないことから、任意団体のJ CFA(日本消費者金融協会)において、米国のCCCSを参考にした日本版のカウ ンセリング事業をできるだけ早期に開始すべく検討を始めている。個社としても、来 年1月からカウンセラー制度の試行導入を予定している。 ・ 金利についてはこれまで各社とも引下げに取り組んでおり、大手は他業態とほぼ同 様の水準となっている。今後も、市場金利が下がっていること、金利選考の新たな顧 客層の開拓が進んできたことから、顧客主導の金利競争が続くものと思われる。 ・ 貸出金利の引下げにより消費者ニーズに応えていくため、資金調達の低コスト化、 安定化を図りたいと考えており、社債、CPの発行による直接金融については一般会 社並に開放していただくよう是非お願いしたい。 ・ 貸金業規制法についても、法施行後10数年が経過し、その後の契約形態の多様化 等により実態にそぐわなくなっている部分もあることから、業務面の取扱いについて 是非見直しをお願いしたい。 (2) 海老江氏 ・ 最近のトピックスとしては、情報インフラ技術の革新に対応した電子商取引への取 り組みがあり、エレクトロ・コマースの実用化に向けて、電子決済インフラのセキュ リティ、電子マネー、ICカード等に積極的に取り組んでいる。 ・ 信用情報の交流については、昔から言われていることではあるが、多重債務の防止 にどんな情報が有効であるかを踏まえ、何らかの前進が必要であると考えている。 ・ CP、社債発行に係る資金使途制限の完全撤廃とともに、特債法上の対象債権につ いて当業態の主たる業務範囲であるショッピング、カードローン等への拡大を是非お 願いしたい。 ・ 銀行系クレジットカード会社は、信販系等の他のカード会社に認められている総合 方式の割賦購入あっせんを割賦販売法の運用上の業務規制により行うことができない 現状にあるが、消費者の利便性向上の観点からも是非この解禁をお願いしたい。 (3) 佐藤氏 ・ 当社の特徴は、ビジネスボリュームが拡大する中で借入比率を低下させていること にあり、資金の大半はキャピタルマーケット(社債、CP)で調達している現状にあ る。 ・ クレジット会社の発行するCP、社債は、投資家に対する発行体としての当然の義 務であるディスクロージャーに加え、社債管理会社、公認会計士による会計監査や常 勤監査役の設置等の商法・商法特例法の規制等により広い意味での投資家保護がなさ れており、出資法が保護する預り金とは全く性格を異にするものと考える。 ・ 現行以上の業務規制については必要性を感じないが、金融取引、ネットワーク取引 において詐欺的行為が行われる蓋然性は高いと思われ、これらを防止・処罰する観点 からの規制は必要と考える。 ・ クレジット業界は、銀行が対応していないニッチな個人・中小に対するファイナン スの分野を対象に誕生し発展してきた。最近、銀行とノンバンクの類似性が指摘され ているが、銀行がノンバンク化してきた側面もあり、こうした背景を考えると、ノン バンク規制のあり方は、後見的監督ではなく、ルールの明確化にあるものと考える。 (4) 林氏 ・ ノンバンクには、消費者信用の他にリース、銀行系のファイナンスカンパニー、独 立系の事業者金融など、多種多様な業態があり、一括りに議論することは現実的では ないと考える。 ・ 大手ノンバンクについては、現行の業務報告書、事業報告書等により既に実質的に モニタリングが十分なされていると考える。 ・ 一般事業会社と同様の資金調達ができるよう出資法2条3項の改廃を強く望むとと もに、その精神が色濃く反映されている特債法の緩和、その他債権の流動化・証券化 に係る法令の整備について配慮をお願いしたい。 以上の報告を受け、質疑が行われた。主な質疑に対する回答は以下のとおり。 (資金調達について) ・ 社債、CPの引受先は、機関投資家がほとんどである。 ・ 社債等の発行要件が緩和されても、中小零細業者は今後も銀行借入に依存していか ざるを得ないと思われる。 (多重債務問題について) ・ 個人信用情報の適正管理については、個社レベル、信用情報機関において厳しく徹 底されている。 ・ 破産者数の増加は、住宅ローン債務者の破綻の増加や、紹介屋等のアウトサイダー による被害の拡大がその背景にあると考える。 ・ 多重債務問題は、信用情報の交流だけで解決するものではなく、クレジットに対す る一般の認識を高めることも必要であり、中高生への啓発等にも取り組んでいる。 (以 上)
問い合わせ先 大蔵省 3581−4111(代) 銀行局中小金融課金融会社室 (内線)5164 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。 |