1.日時:平成9年2月4日(火) 10時00分〜12時00分 2.場所:合同庁舎第4号館 大蔵省第二特別会議室 3.議題:外部有識者からのヒアリング 4.議事概要: 前回までの特別メンバーからのヒアリングに続き、外部有識者からヒアリングを行った。 今回は、松田 一男氏((株)日栄 代表取締役社長)、阿達 哲雄氏((株)オリエント総合研究 所顧問)、土屋 泰昭氏(日本ゼネラル・エレクトリック(株)代表取締役専務)及び山川 丈 人氏(GEキャピタル・コンシューマー・ファイナンス(株)代表取締役社長)の4名からヒア リングを受け、自由討議を行った。 主な内容は次のとおり。 ・ 旧来、金融機関の融資は担保主義であり、中小企業の資金調達に支障があった。このため 中小企業向け専門の金融業を創業したものである。 ・ 経営理念は、(1)堅実経営の堅持(審査体制を充実し、広く浅く融資する)、(2)攻めと守り のバランス感覚の堅持(多くの新規顧客の獲得、資金運用・調達のバランスに配慮)である。 ・ この経営理念のもと、他の手形業者との差別化の戦略(訪問外交による攻めの営業、対物 信用より対人信用を重視、スケールメリット追求のため全国規模の手形業者への脱皮)をと ったが、金融機関の中小企業向け融資の拡大に伴い、手形割引業者から商工ローン業者への 転換を図った。 ・ 貸手は、融資先の内容調査等を十分に行って融資する等リスク管理の徹底が基本であり、 バブル時代は貸手にも大きな責任がある。 ・ CP、社債の資金調達規制は撤廃してもらいたい。また、貸金業規制法についても実態に そぐわない規制が行われているところもある。 ・ 米国では、コマーシャルバンク(Commercial bank) 以外をノンバンク(Non bank institu- tion) と呼ぶことが多い。そのうち、ファイナンスカンパニー(Finance company) は、「個 人あるいは企業向けに信用供与する金融仲介機関」と定義されている。 ・ ファイナンス・カンパニーは伝統的には、消費者金融会社(Consumer finance companies) 販売金融会社(Sales finance companies) 、事業金融会社(Commercial finance companies) の3タイプに分類されるが、実態的意味は薄れており、実際には、Diversified Commercial (50%以上が産業金融)、Diversified Consumer(50%以上が消費者金融)、Specialty Finance (高成長のニッチ分野に焦点)のカテゴリーに分類するのが適当。 ・ ファイナンスカンパニーの資金調達構造をみると、企業規模が大きく、個人ローンのウェ イトが小さくなるほど、CPによる調達ウェイトが高まっている。大規模会社でみると、銀 行借入2%・CP38%・社債35%の調達構造であり、小規模会社は銀行借入21%・C P5%・社債8%の調達となっている(1988年のデータ)。 ・ ファイナンスカンパニーの最近の特徴をみると、(1)消費者金融に対する規制強化等を受け た事業貸付、不動産融資への傾斜、(2)大型ビジネスローンの組織等ニッチ戦略の展開、(3)株 式公開の盛行、(4)大手業者のグローバル化、(5)銀行との競合激化 等が挙げられる。 ・ 米国では、銀行とノンバンクは棲み分けの一方で競合を強めているが、制度上の位置付け、 規制の度合いから生じる自由度等の違いから、適度の緊張関係が金融パフォーマンスに貢献 している。我が国でも、中小企業等取引において競合が強まると考えられるが、取引層ごと に金融ニーズは異なること等から共生する可能性は高い。 ・ 我が国ノンバンクの課題は、(1)金融サービスの差別化に注力(ニッチ戦略も重要)、(2)資 金調達面での規制緩和、(3)他律的規制に代わって市場規律の確立 が必要である。 ・ GEキャピタルは、GE本体の売上増加を図る戦略から、GE製品の信販業務を行うこと から始まった(現在そのシェアは数%程度)。独立した26の金融・サービス事業を展開し ており、大きく(1)消費者向けサービス分野、(2)専門的金融分野、(3)設備運営管理サービス分 野、(4)中間市場向け金融分野、(5)特殊保険分野 の5分野に分けられ、相当に独立して(各 々権限を与えられて)運営されている。 ・ 資金調達の状況については、短期借入はCP調達が過半を占め、長期借入は社債調達が大 半を占めている。また、相当額のクレジットラインを確保している(使用実績はない)。 ・ ニッチ市場狙いの経営戦略。当社は、例えれば、デパートではなく、言わばブティックの 集まり(各々の分野に精通している)である。お客様の手伝いをするという意識(資金を貸 すのではなく、借りてもらうとの考え)で経営している。 以上を受け、自由討議を行った。主な意見等は次のとおり。 ・ 日本のノンバンクが世界で活動できるポイントは、資本市場への自由なアクセスが可能か どうかであろう。また、日米の消費者保護制度の違いは、例えば、各州ごとに規制が異なる (例えば取立時間の規制等)点が挙げられる。 ・ 貸付金利は、信用等のリスクを反映するもの。金融機関とノンバンクでは、融資先の信用 度等の違いがあり、金利差はあってしかるべき。 ・ 借りてもらうのが金融業であり、総花的ではない専門分野の売り込みが必要。 ・ 他律的規制は、モラルハザードが生じるおそれがあり、自己規律が原則。ディスクロージ ャーが大事である。
問い合わせ先 大蔵省 3581-4111(代) 銀行局中小金融課金融会社室 (内線)5164 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。 |