1.日時:平成9年3月26日(水) 10時00分〜13時00分 2.場所:合同庁舎第4号館 大蔵省第二特別会議室 3.議題:事務局説明・メンバー意見開陳等 4.議事概要: 今回は、欧米諸国の消費者信用保護法制等について事務局から説明し、併せて、本懇談会 のメンバーである京都大学法学部の森本教授、明治学院大学法学部の京藤教授から御意見の 発表があった。その後、これらについて、自由討議を行った。 (事務局説明の概要) ・ 消費者信用分野における主要各国の法規制の特色としては、貸付信用、販売信用を問わ ず、また業種の如何を問わず、統一的な消費者信用法を制定している国が多い。 ・ 代表的なものが、米国の「連邦消費者信用保護法(CCPA)」であり、各州法と併せ て、消費者保護のための規制が行われている。欧州では、86年のEC指令を受け、包括 的消費者信用法を有していなかった国においても、同様の立法措置が行われてきている。 ・ わが国においては、貸金業規制法等の各業法に基本的な消費者保護規定は盛り込まれて いるが、その規制内容について、業種毎に若干のばらつきがあり、今後消費者信用の一層 の多様化が予想される中にあって、消費者保護と事業者の公正かつ自由な競争確保の観点 からの消費者保護策の検討が課題であると考える。 メンバーからの主な意見発表の内容は、次のとおり。 ・ 多種多様なノンバンクの健全な発展は、基本的に市場規律に委ねなければならないが、行 政も業者が自己責任原則に基づいて財務・業務の健全性を確保する基盤を整備する補完的役 割が期待される。ディスクロージャーと外部監査、行政による開示内容のチェックと不適切 な場合の是正措置制度が基本。 ・ 大規模ノンバンクの開示の透明性・信頼性、さらには財務の健全性を確保するために、監 査法人又は公認会計士による監査を義務付けることが合理的であり、併せてリスク管理・内 部管理体制の確立が必要。 ・ ディスクロージャーの一方法として、貸金業の登録申請書を活用する方法(申請書に審査 ・リスク管理体制等の記載を求める)も考えられる。また、業界の自主規制団体の設立等が 期待される。 ・ 証取法や商法の社債関連法の改正により、社債権者(投資者)保護システムが改善されて いること等に鑑みると、出資法2条3項の存在理由について根本的に検討する時期にきてい ると考えられる。しかし、出資法の存在によって、これまで顕在化しなかった投資者保護問 題について十分考慮する必要がある。 ・ 消費者向け貸金業規制は、消費者保護理念を基礎とする統一的な消費者保護法に純化する ことが合理的であり、行政の積極的な関与が必要であると考えられる。 ・ 消費者保護問題に関して留意すべき点は、金融システムを自己資産の形成・防衛のために 消極的に利用する消費者(パッシブな投資家)の保護という問題がある。そうした人々の財 産を保護する仕組みが必要。その最低限の仕組みとして、消費者信用保護法は必要であり、 そのような法整備なしに金融システムの自由化を進めることは適当でない。 ・ 出資法2条3項を廃止するとした場合、悪徳金融業者から大衆投資家を保護するという制 度が必要であり、悪徳業者に関しては何らかの形で行政当局が関与する仕組みが必要。また 破綻した業者の発行した社債に投資した大衆の被害が最小限になるよう、経営に関する行政 的規制等が望まれる。 以上の報告等を受け、自由討議を行った。主な意見等は次のとおり。 ・ ノンバンクについて、一般事業会社よりも特別な投資家保護が必要と言われるが、投資家 の区分に応じた検討が必要。社債は有価証券であり、現行の証取法におけるディスクロージ ャーを中心とした投資家保護、発行体に対する外部チェックは十分図られていると考えられ る。しかし、ノンバンクについて、現行の開示項目で十分であるかどうか検討を要する。 ・ 出資法2条3項の廃止(社債の解禁)は、事情の変化に伴うものであり、方向性はよいと 思う。しかし、現行の出資法が預り金のみをとらえて禁止するという、やや硬直的なものと なっているのは、時代の流れに合わなくなってきている。行為規制的なものを取り込んだも のに組み替え、例えば、「悪徳業者取締り法」と、投資商品全般についての「証取法的な投 資家保護法」に再編するという考えもある。 ・ 社債等の発行体への規制強化ではなく、ディスクロージャーと公正取引規制が基本である が、工夫が必要。ディスクロージャーにあたっては、例えば業種別ディスクロージャー制度 や、その実効性を担保する手段を考慮すべき。 ・ 金融分野は、事前規制から事後規制に変わっており、民事責任を問うのは難しい分野であ ることから刑事責任が主体になっているが、(金融に限らず全ての問題ではあるが)罪刑法 定主義をどう考えるかということもある。 ・ 様々な法規制を行っても、悪徳商法等の金融犯罪は法の隙間をぬって行われるものであり その被害を最小限に止める等の対応をどうするのか検討すべき。 ・ 融資業務の特性を投資家に理解してもらうべきかどうかである。一般事業会社とは異なる 何らかのガイドラインは必要。 ・ 機関投資家の立場からは、社債市場と貸付市場の裁定が働くようにすべきであると考える。 また、格付け情報の充実も必要。
問い合わせ先 大蔵省 3581-4111(代) 銀行局中小金融課金融会社室 (内線)5164 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。 |