1.日時 :平成9年1月28日(火) 14時00分~16時00分
2.場所 :合同庁舎四号館 第一特別会議室
3.議題 :デリバティブ取引の多様化(4)
(有価証券関連店頭デリバティブ取引について(1))
4.議事内容
(1) 事務局より、有価証券関連店頭デリバティブ取引についてこれまでの議論をも踏
まえて、論点の説明がなされた。
(2) 続いて参考人の意見陳述が行われた。まず、山元参考人(日興證券株式会社常務
取締役)から、エクイティものを中心とした店頭デリバティブ取引について商品内
容、利用形態等の説明が行われた。次に、吉川参考人(日本証券経済研究所大阪研
究所主任研究員)から欧米や国際機関におけるデリバティブ取引に係るこれまでの
議論の歴史的経緯と各論点についての最大公約数的な方向性について説明が行われ
た。
(3) その後、委員と事務局により質疑応答がなされた。
<参考人による意見陳述での主な意見>
○ 店頭デリバティブは高い機動性・柔軟性を提供し、市場参加者のニーズの橋渡しや
市場の効率化に資するものであるが、一方、業者にとっては競争力を問われることと
なる。
○ 現在、欧米では、フォワード、店頭オプション、エクイティ・スワップ、エクイテ
ィ・リンク債、カバード・ワラントといった商品が活発に取引されている。
○ 導入された場合、(1)保有ポートフォリオのマーケットリスクのヘッジ、(2)投資運用
手段の向上、(3)取引コストの低減、(4)投資手法の多様化、(5)アセットアロケーション
手段としてのエクスポージャーの効率的コントロール、(6)ALM手段として自己資本
規制対策や資金調達への改善、といった効果が期待できる。
○ 業者間取引やプロの投資家の取引に関しては自己責任原則の徹底を図り、むやみに
規制をかけるべきではないのではないか。
○ これまでの主な海外での報告書に示された基本的考え方をまとめれば以下の通り。
(1)店頭デリバティブ取引は、基本的に従来から存在するリスクの組合せにすぎず、
むしろリスク管理の手段としての有効性を有する。
(2)店頭デリバティブ取引のリスク管理の方法としては、監督当局による一律的な規
制よりは、利用者による健全な内部管理体制の構築によるべきである。
(3)また、リスク管理の方法は、エンドユーザー、ディーラー、ポジションディーラ
ーといった利用者の区分毎に一様でなく、各々に適切な方法がとられるべきであ
る。
○ 店頭デリバティブ取引が解禁された場合、それに見合って、現物取引についても整
合性ある何らかの対応が必要となる可能性がある。
<一般討議での主な意見>
○ 有価証券関係の店頭デリバティブ取引が賭博罪に該当する疑義があるということは、
この取引を「勤労の美徳を堅持し、徒らに射幸心を煽ることを禁止する」として刑法
の対象となっている賭博と同様に扱うということになるが、こういう発想自体を根本
的に変える必要があり、デリバティブ取引は本来的に違法ではないとの考え方を確立
すべきである。
○ 証取法201条や刑法の賭博罪の規定が存在し、有価証券関連の店頭デリバティブ
取引を行うことにはリーガルリスクがあることを前提に議論を進めるならば、自由な
商品化や取引をなるべく阻害せずにリーガルリスクをどのように除去するかを検討す
るということが重要ではないか。
○ 店頭デリバティブ取引の違法性阻却の問題以外に、取引主体の問題についても別途
議論を行う必要がある。
○ 業者の立場からすれば、一般投資家向けの店頭デリバティブ関連商品の開発の可能
性も十分に考えられる。またその場合は適合性原則等の投資家の保護も必要と考えら
れる。
+--------担当者及び連絡先---------+
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|大蔵省証券局総務課調査室 茶谷、星野 |
|TEL 3581-4111 |
|本議事要旨は暫定版であるため今後修正があり得ます。|
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