第18回証券取引審議会総合部会議事要旨
1.日時 :平成9年5月23日(金) 10時15分~12時15分
2.場所 :合同庁舎四号館12階 大蔵省第1特別会議室
3.議題 :残された諸問題について
4.議事内容
今回は、「残された諸問題について」をテーマに、持株会社についての審議が行われ
た。まず、事務局からの持株会社についての論点の説明がなされ、その後委員による一
般討議が行われた。
一般討議による具体的な意見は以下の通り。
<一般討議での主な意見>
1.証券会社の持株会社及びその子会社等に対する規制、監督のあり方に関する論点
○持株会社についても、ディスクロージャーの充実等による市場のチェック、ガバナ
ンスのメカニズムが働くようにすべきであり、また、民事法上問題があった場合に
責任を追求する枠組みの整備が必要。その上でどのような行政上の規制・整備が必
要かを考えるべき。基本的には証券会社本体を規制するという方向でよいが、それ
だけで充分かどうか検討する必要がある。当初は、証券会社と持株会社の関係がど
のようなものであるかわからないので、証券会社本体だけでなく親会社に対する規
制も視野に入れておくべきではないか。
○純粋持株会社の100%子会社は親会社と一心同体。純粋持株会社に対し証券会社と同
じ規制をかける必要はないが、証券会社の規制・監督の実効性確保の観点からは、
証券会社本体のみでは不十分であり、親会社に対しても手当てが必要ではないか。
○銀行はセーフティーネットのために伴うある種のsubsidyをうけており、そのスピ
ルオーバーが起こりえることから、銀行持株会社については証券持株会社よりも規
制、監督的な色彩が強まらざるをえないのではないか。
○銀行に一定のSubsidyというものがあることは認めるが、今後は銀行においても自
己責任原則が強まり、Subsidyも制限的になっていく。
2.証券会社を傘下に有する持株会社が同時に銀行等を有する場合の考え方に関する論点
○信用秩序維持のため銀行持株会社全体の健全性に配慮する必要があり、銀行を傘下
にもつ以外はその銀行の規模にかかわらず等しく規制・監督を行う必要がある。銀
行の健全性の確保のためには、銀行持株会社が一般事業を保有することは適当でな
い。
○証券会社の信託銀行子会社程度の小規模の銀行を他の銀行と一様に規制する必要は
ないのではないか。また米国の金融制度改革論議においてもホールセール金融機関
は銀行持株会社規制の対象としないとの考え方が示されている。どのような実体を
有しているのかをみるべき。
○銀行と証券を傘下に有する持株会社の規制のあり方については、具体的にもっと詰
めるべきではないか。
○持株会社方式を導入すれば今まで以上にグループ色が強まると考えられる。兄弟関
係は親子関係と比してリスク遮断効果の点で優れているというのは疑問。
○持株会社が解禁されても、引き続き子会社方式を選択する者もあると考えられるの
で、業務範囲やファイヤー・ウォールの取り扱いにおいては、持株会社方式と子会
社方式の相互のバランスをとることも必要。
○銀行本体については株式保有制限を厳しくするべきであり、持株会社についても制
限を考えるべきである。
○銀行による株式保有は禁止し、持株会社が持つこととすべき。持株会社制度の導入
というのは、銀行の株式保有を規制し、持ち合いを解消させる絶好のチャンスであ
る。
○最終報告書では、株式の持ち合い構造が市場にどのような影響を与えているかとい
う問題についてとり上げるべき。
○銀行経営や金融政策が株価に左右されることは適当でなく、銀行の株式を持株会社
に移す方が良い。
○持合いは広い意味での経済合理性があり、市場を歪めているとはいえない。持合い
は減ってきており、市場に委ねるべき。
┌───────問い合わせ先────────────┐
│大蔵省証券局総務課調査室 亀水、小桐間 │
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│本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。│
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