第11回証券取引審議会総合部会議事要旨
1.日時 :平成8年12月17日(火) 10時00分~12時00分
2.場所 :合同庁舎四号館 第二特別会議室
3.議題 :「投資対象」について(一般討議)
4.議事内容
まず、デリバティブ特別部会より公表された証券取引所における個別株式オプション
導入についての公表文、及び12月13日に開催された第208 回証券取引審議会総会におけ
る審議の概要が説明された。
その後、論点整理の3つの具体的な改革項目の最初の項目である「投資対象」につい
て、事務局からの資料説明及び一般討議が行われた。
一般討議における意見の主なものは、以下の通り。
なお、「投資対象」の各項目については、今後、原則としてワーキング・パーティー
において、より具体的な議論を行なうこととされた。
○総合部会の議論は、N.Y.やロンドンの金融資本市場並みにするということである
が、そのためにはあらゆる改革を1つのパッケージにして一気に行うべき。
○証取法の有価証券定義は、業規制とワンセット規制になっているため、どうしても当
商品をどこが取り扱うかという点から有価証券か否かを論じがち。このようなアプロ
ーチではなく、この商品にはどのようなディスクロージャー及び公正取引ルールが必
要かという点をつめていくという議論が必要。
○幅広い有価証券定義の実現が基本的方向。現行法は取引法と業法が一体的であるが、
市場法と業法とを分ける考え方が適当であろう。証取法は市場横断的なマーケット法
に特化し、自由な参入や業者を通さない電子取引等の仕組みを念頭に置いた業法を別
建てにする、もしくは、今の基本的な枠組みを変えずに幅広い担い手に幅広い取引が
扱えるようにするため兼業禁止を緩和する、等の整理を行うという方法が考えられる。
○有価証券概念について、平成4年に「流通性」・「紙」という点が必要であるとされ
たが、時代の流れにより、債券の流動化やコンピューターの発達により「紙」に化体
しない「権利」の有価証券がますます出てくる。よって、「紙」を念頭に置いたCer-
tificate Lawではなく、「権利」を念頭に置いたSecurities Lawに変わるべき。
○現在の日本の証取法は、米国の証取法と比較して、有価証券定義が限定列挙主義でわ
わりやすい。よって、この形式に米国の投資契約概念を入れることができたなら、自
己責任に伴う法律の周知という面からいっても、日本の証取法のほうが良いと思う。
○商品供給費用については、投資家の行動に影響があるか否かに関わらず、コストの削
減に努めるべき。
○持合いについてであるが、ダウが下がると銀行の経営が危うくなるというくらい金融
機関が株を持ちすぎているところに本当の問題がある。よって、金融機関がもつ株式
の量の制限が必要。
○株式の持合いについては、望ましい株式の所有構造は如何にあるべきかという観点で
積極的に検討すべき。具体的には、純投資家に対して株式を持たせるような方向づけ
をしていくべき。
○利益消却のための自社株消却の問題であるが、成熟企業はその資金を市場に返し、新
たに資金を必要とする新興企業にまわす、といったシステムにおいて自社株消却を位
置づけるという視点が重要。
○機関投資家の資産に占める有価証券の割合は、直接金融化の流れとも関連し、ウェイ
トを増している。資産がマーケットリスクに大きく晒されており、リスクヘッジのた
めのデリバティブ商品の活用が重要な課題になっているので、デリバティブ商品の多
様化について積極的に検討・推進すべき。
○機関投資家は、ROE向上に熱心な企業に積極的に投資するという具体的行動を通し
てその役割を発揮することが大切。
○配当性向の留意点として「意識改革」とあるが、これを行うもっともよい方法は、ス
トック・オプションを経営者に与え、株価経営を意図させることである。
○投資信託の銀行窓販について、預金保険の対象になるものとならないものが金融機関
で取り扱われることに対する配慮も大きな留意点であろう。
+--------問い合わせ先-----------+
|大蔵省証券局総務課調査室 森田、小桐間 |
|TEL 3581-4111 (内線 5434) |
|本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。|
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