第12回証券取引審議会総合部会議事要旨
1.日時 :平成8年12月20日(金) 10時00分〜12時00分
2.場所 :合同庁舎四号館 第一特別会議室
3.議題 :「市場」について(一般討議)
4.議事内容
最初に、平成8年12月19日に外国為替等審議会法制特別部会においてとりまとめられ
た報告の概要について事務局より説明がなされた後、今回の総合部会のテーマである論
点整理の具体的な改革の3つの類型の2番目の「市場」についての議論が行なわれた。
まず、事務局より「市場」の検討参考資料の説明がなされ、当説明をもとに委員によ
り一般討議がなされた。一般討議の具体的な内容は以下の通り。
なお、「市場」の各検討項目については、本日の議論を踏まえ、ワーキング・パーテ
ィーでより具体的検討がなされることが合意された。
○論点整理に「取引所集中主義の見直し・店頭市場の位置づけの見直し」という項目
があるが、この2つの問題に限定することなく、より広い範囲の市場全体の見直し
を念頭に検討を行なうべき。
○情報技術の進展を考えると、既存のシステムよりも効率的な市場を考える余地があ
り、市場参加者の選択肢の拡大が市場の発展につながる。
○現在の取引は、時間優先、価格優先であり、量についての考慮がなされていない。
大口取引のときと小口の取引のときで価格が異なってもよいのではないか。そうい
う観点からも取引所集中義務の見直しが必要。
○多数の市場ができると、市場間競争が進み、各市場の価格情報の統合が図られない
かぎり上場商品の「市場価格」が一物一価ではなくなり、一物多価になると考えら
れるが、これをどのように評価するのか。
○多数の市場ができた場合でも、マーケットが効率化していけば裁定が働き、最終的
には、価格も収斂していくと考えられる。
○取引所集中義務は、バスケット取引についてはバスケット取引の範囲等を定めた上
で見直すべき。但し、小口取引については、個人投資家の利便性の観点から市場集
中主義原則の尊重が必要。
○電子取引の発展により、私設取引制度の登場が想定されるところであり、取引所集
中義務に加えて、市場類似施設禁止規定との関連についても考え方を整理する必要
がある。
○店頭市場を、取引所市場と対等なものと位置づけ、市場間競争を図るべき。
○店頭市場のあり方の見直しはすべきであるが、補完的市場と位置づけられているか
らうまくいかないということはない。店頭市場そのものの機能向上の努力をすべき。
また、その際には、上場制度についてもあわせて考え方を整理すべき。
○店頭市場の流通面の改善についてであるが、店頭市場は投信への組み入れが難しく
個人投資家の参入は難しい。また、値がさ株が非常に多く流動性がない。よって、
現在の千株の単位から100 株に単位を変更し、流動性を高めるべき。
○流動性の低い銘柄に対するマーケットメイク機能を発揮するためには貸株市場の存
在が必要。
○東京市場をニューヨーク並の市場にしようとするならば、貸株市場の整備をすべき。
また、個別株式オプションが導入される場合には、個人の売りのヘッジ手段として
もこれを活用すべき。
○電子取引が発達していく場合には、取引記録の保存を誰に、どのような形態で行わ
せるのか等、公正確保の観点からの判断も必要。
○債券の決済システムについては、将来への発展という視点も持っておくべき。
○ディスクロージャーの電子化については、インサイダー取引との関係にも留意する
必要がある。
○ディスクロージャーの整備の留意点として、連結決算重視は重要であり、国際的動
向とも一致するが、セグメント情報の充実も重要であり、あわせて留意点に盛り込
むべき。
○発行市場における売出し価格の決定について、現在の一部入札制度は配分の公平性
・価格決定の公平性の確保の観点から設けられたものであるが、決定価格がよりマ
ーケット感覚に近いブック・ビルディング方式に移行すべき。また、この際の投資
価値の分析については、アナリスト機能を重視すべき。
○投資に対する啓蒙活動についてであるが、小・中学生に証券教育を行うべき。また、
取引所や協会の啓蒙活動の積極化が必要。
○自己責任原則は、個人投資家と機関投資家とでは異なった意味合いを持つものであ
り、個人投資家については情報格差があるということからも、適合性原則等の投資
家保護のための制度的基盤を充実させる必要がある。
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|本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。|
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