第5回証券取引審議会公正取引部会議事要旨




                                

                                                                        

1  日  時:平成10年1月29日(木)14時00分〜16時00分            

                                                                        

2  場  所:合同庁舎4号館共用第2特別会議室                            

                                                                        

3  議  題:残された諸問題について                                      

                                                                        

4  議事内容:                                                          

                                                                        

                                                                        

  まず事務局より、証券市場改革の進捗状況等について報告が行われ、引き続き  

公正取引ルールの整備について2回目の審議が行われた。主な意見は以下の通り。  

                                                                        

                                                                        

(1)行為規制違反の罰則強化                                            

                                                                        

  ○  立法化に当たっては、不法利益と構成要件との関係を十分整理することが必要

    ではないか。                                                            

                                                                            

  ○  現行の没収制度は複雑なので、どういう場合に、没収・追徴が必要か、実務的

    検討が必要。ただし、立法化に当たっては、構成要件を余り細かく場合分けすべ

    きではなく、包括的な規定とし、後は運用で対応すべきではないか。  

                                                                    

  ○  必要的没収とするか裁量的没収にするかという問題があるが、必要的没収とし

    た場合、運用が窮屈になるおそれがある。このため、裁量的没収とし、かつ斟酌

    規定を設けて運用に委ねるのが良いのではないか。                  

                                                                    

  ○  裁量的没収であれば、斟酌規定は不要な筈であるが、これについても十分検討

    する必要があろう。                                                      

                                                                            

  ○  現行証取法では、損失補填が必要的没収とされており、これとのバランス上、

    インサイダー取引等も必要的没収とした方が良いが、その場合でも、斟酌規定は

    必要であり、これにより妥当な結論を得るべきではないか。              

                                                                            

  ○  刑法197条の5で金融の利益を正確に算定できず、19条の任意的没収とし

    て没収した判例があるなど、必要的没収とした場合、立証が難しいのでないか。

                                                                            

  ○  刑法19条では、没収・追徴の対象が有体物に限定されているが、これを証取

    法で拡大していく際には、オプション等についても対象とすべきではないか。  

                                                                            

  ○  不法な利得は、全額没収すべきであり、例外扱い(斟酌)する場合でも、その

    範囲は限定すべきであり、ガイドラインのようなものを作るべきではないか。  

                                                                            

  ○  差額を没収するということであれば、インサイダー取引では一方取引だけでも

    対象になる。重要事実公表前に売却し、買戻ししていない場合は、公表後の一定

    時間後の相場との差額を、公表前に購入し売却していない場合は、同様に差額を

    没収するということになるのではないか。                              

      相場操縦等の場合は、ある時点ですぐに反対売買をするはずで、一方取引のみ

    ということは少ないはずであり、差額を算定するに当たって難しいことはないの

    ではないか。                                                        

                                                                        

  ○  取引の中には、非常に複雑なものもあり、全てを法律に書き込むことは法技術

    的に難しいのではないか。規定ぶりは包括的な形にするのが妥当である。ただ、

    ガイドラインという形にするかどうかは別にして、没収の範囲等を構成要件との

    関係で示すことが必要なのではないか。                                    

                                                                        

                                                                        

(2)空売り規制                                                        

                                                                            

  ○  売り崩しの規制の関係では、借りてきている株の場合にも規制をかけるのが妥

    当であると考える。相場下落時に空売りをするということになると、価格下落が

    不当に加速するため、規制が必要である。                              

                                                                        

  ○  大量買い、大量売りは、不公正取引と結びつきやすいと考えられるが、これに

    ついて証取法157条を活用するなど、何らかの規制が必要なのではないか。  

      また、「空買い」についても何も規制がないが、買った方のコントロールも必

    要なのではないか。                                                      

                                                                        

  ○  アメリカにおいても、空売り規制はあるのに、なぜ空買い規制はないのか、と

    いった議論があるが、我が国では、証取法159条1項の活用によって対処する

    のが基本ではないか。                                                

                                                                        

                                                                        

(3)その他                                                            

                                                                            

  ○  取引所集中義務の撤廃に伴い、取引所内・外をまたがった相場操縦等の不公正

    取引が行われることも考えられるので、価格形成を透明なものとするよう公正取

    引ルールの整備が必要ではないか。                                        

                                                                            

  ○  昨今の証券会社の不祥事を踏まえ、証券会社の内部管理の強化を図ることが必

    要。このため、例えば、社内で何かおかしなことがあった時、トップに直接情報

    が入るホットラインのようなものを設置することも一案ではないか。        

                                                                            

                                                                        

  最後に、市場整備部会における審議の進捗状況について報告が行われた。主な意見

は以下の通り。                                                          

                                                                        

  ○  PTSは便利な制度であり、大きくなる可能性があると考えるが、そうなると

    取引所との関係が難しくなるのではないか。将来の証券取引所の姿はどうなるの

    か、ということを十分踏まえて制度を考えることが必要ではないか。          

                                                                        

  ○  証取審報告では、PTSについては取引所ほどには高い価格形成機能は有しな

    い、といった仕掛けになっており、取引所に対し先進的な対応をとるよう刺激す

    る形でPTSの存在を認める、といったような考え方になっている。

 

問い合わせ先

大蔵省証券局調査室  森田、御厩

TEL03(3581)4111  内線2709

本議事要旨は暫定版であるため今後修正があり得ます。