1.日 時 :平成9年10月30日(木) 10時00分~12時00分
2.場 所 :合同庁舎4号館 大蔵省第2特別会議室
3.議 題 :投資対象について
4.議事内容:
(1) まず事務局より証券市場改革の進捗状況について前回の部会以降の進展を中心に報告が
行われた。
(2) 次に、各改革項目のうち、「投資対象」に関するものを中心に、その実施の具体化につ
いて審議が行われた。主な意見は以下の通り。
(a) 有価証券店頭デリバティブの全面解禁について
○ 有価証券店頭デリバティブ業務については、認可性を導入するとのことであるが、
それはリスク管理体制がきちんとしているということを確認するといった程度の意味
だと思う。例えば、アメリカでも、商品スワップを行う際には確認の意味で認可が必
要とされている。あらゆる場面においてリスク管理が十分なされているかということ
の確認は必要であり、それを認可制と呼ぶかどうかは法技術上の問題にすぎないので
はないか。
○ 有価証券店頭デリバティブ業務には認可が必要であるとして、例えば、エクイティ
スワップには認可がいるが、コモディティスワップや金利スワップはどうなのか。ど
こで線を引くのか整理することが必要ではないか。
○ 業として有価証券店頭デリバティブを行うことについて認可が必要なのであって、
自分の資産運用手段としての有価証券店頭デリバティブ取引には認可は必要ないとい
うことをはっきりさせておいた方がよいのではないか。
(b) 投資信託の整備について
○ 委託業の位置付けという点に関して、公募投信を扱う委託業と、私募投信を扱う委
託業を制度として分けるかどうかという問題があるが、制度として分けるかどうかよ
りも、公募の方の規制を強くしなければならないという感覚に引きずられて、私募の
規制を必要以上に緩くしないように注意すべきであり、私募の方も競争制限的になら
ないようにすることが必要なのではないか。
○ 基本的には運用能力を保証する一定の人的・財務的な要件という面では、公募・私
募で変わりはないと思う。しかしむしろ、運用規制が緩くなるわけであるから、私募
についてはより高度な運用が要請されるという観点では、より高い基準の適確性が必
要であり、こうした面を考えると、公募・私募で分けるという考え方をする方が良い
のではないか。
○ 海外では1人を対象とする私募投信があるが、これについてどうするのか、投資家
のニーズ、利便性からはどうなのか。
○ 投信会社の直接販売は投信を広く利用してもらうための1つの手段になるだろうが、
ここで、投信会社が保護預りをできないということになると、販売面で、証券会社、
銀行と差が出てくる。投信会社の直接販売を円滑に拡大するということを考える中で、
これは検討できないものか。
○ 外国投信の導入についてであるが、仮に円建てを考えた場合、当然ながら、海外に
おける投資というのは有価証券の範囲であり、投資対象の範囲であり、あるいは税制
の面であるとか、いろいろな面で違うが、そういう面を十分に考慮すべきではないか。
○ 既存の契約型投信への外部監査の導入についてであるが、現状において受託銀行と
投信会社の双方で、毎日、財務諸表について計算を行って、付け合わせているという
実態を考えると、いたずらにコストがかかるということが懸念される。そうした面で、
ディスクロージャーについて不十分であるというのであれば、現行制度の中で、見直
しを行ってはどうかと思う。
○ 現在の投信と信託商品との関係であるが、それぞれ法規制が異なっているが、私募
投信を投信法の中で位置付ける際に信託商品との境界線がやや不分明なのかなという
感じがする。今後の議論でここが明確になっていくことを期待するが、投信法の2条
等で規定されているように、受益権の分割というのがメルクマールとなるのではない
かと考えている。金銭という形の信託で、受益権を分割し、主として有価証券の運用
を行なう信託商品は投信法のルールに服するとし、一方、合同型の金銭信託のように、
受益権の分割を前提としていない信託商品については、現行の信託法に服するとする
のが明瞭な整理なのではないか。
○ ローリスク・ローリターンのものからハイリスク・ハイリターンのまでそろえて一
般投資家に証券投資のある種の教育システムとして投信を位置付ける現行投信法と、
私募投信はやや色合いが異なる。従って、現行投信法の中に私募投信を組み込む場合
には、それなりの整理が必要なのではないか。
○ 会社型投信に関しては、これは新しい営利法人を作るという野心的な試みであるが、
万が一のことも考えて、一般投資家の保護に遺漏がないようにしなければならない。
現在の改革の流れに沿って、免許制から認可制、認可制から登録制というふうにして
いく際にも、一般投資家保護の観点から、会計監査人や資産運用会社の責任をきちん
としなくてはいけない。商法上、会計監査人に対しては投資家(株主)は第三者とし
てであるが、直接訴訟を提起することができるが、資産運用会社に対してもこれと同
様な制度を整備すべきではないか。
○ 代表取締役の背後に存在する法人の責任明確化の観点から、法人代表取締役という
方法も考慮する必要があるのではないか。
○ 会社型投資信託についてであるが、コーポレートガバナンスの点についても目配り
がされていて、導入自体については賛成である。しかし、現在、日本企業のコーポレー
トガバナンスについて問題になっているのは、役員と取締役が同化しているというこ
とであり、日本においても企業と役員の関係については執行役員と取締役を分けよう
という動きがある。一方、この制度改革において想定されている会社型投信の役員に
は監査役としての役割も期待されている。取締役でさえ、監視責任を果たせない現状
にあって、取締役と監査役の両方の機能を「役員」という機関あるいは人に期待する
のは難しい面があるのではないか。
○ 外国投信について円建てを認めてはどうかという議論があったが、今回は投資信託
についての包括的な制度改正であるから、円建ても認めるべきではないか。
○ 銀行の投信窓販についてはできるだけ規制を緩やかにしようという方針であるが、
不必要な規制については極力撤廃すべきという点について異論はないが、銀行が行な
うのであるから規制を緩やかにしなければならないという考え方から行なうのであれ
ば、これはおかしいのではないか。顧客との関係に関する規制については証券会社と
銀行で異なるものではあり得ないと思う。
○ 運用規制を外していくというのは、様々な観点から考えて賛成できるものであるが、
多様な投資信託がどのような運用をするか、どのような運用規制がかかっているかと
いうことはきちんと顧客に開示して、かつ、開示したものはきちんと守られていると
いうことをチェックする必要がある。その意味で、ディスクロージャーや、約款の審
査の体制を確立しておかなければならないのではないか。
○ ある者が公募投信と私募投信、それも複数の私募投信を運用するようになると、ファ
ンド同士の利益相反について考慮する必要が出てくるのではないか。例えば、極端な
例でいうと、公募の方で得た利益を私募の方に移してしまうということもありうる。
これに対する方法としては、外国の例にあるように、関係者はファンドを購入しては
いけないようにするということ等が考えられるのではないか。
○ 今回の制度改革である種のファンドについては全面的に外部委託することが認めら
れるが、極端な例でいうと、国内の投信会社に全面委託され、それがさらに、外国の
投信会社に全面委託されるということも考えられる。これはどのようにチェックする
のか。
○ 私募投信からの退出を届出にするのは妥当かどうか疑問がある。きちんとした退出
の方法を整備する必要があるのではないか。
○ 外国投信の問題であるが、これまで証券業協会における自主規制に基づいて販売さ
れており、この点も考慮する必要があるのではないか。
○ 発行者概念の整理は、ABSや投資信託についても行うことが必要なのではないか。
○ なお、今回の審議資料はインターネット等を通して公表し、広く一般からご意見を
頂くことを歓迎するとの取扱いとされた。
┌──────── 問い合わせ先 ───────────┐
│ 大蔵省証券局調査室 森田、御厩 │
│ TEL 03(3581)4111 内線2709 │
│ 本議事要旨は暫定版であるため今後修正があり得ます。 │
└───────────────────────────┘