1 日 時:平成10年1月20日(火)14時00分~17時00分 2 場 所:合同庁舎4号館12階大蔵省第1特別会議室 3 議 題:残された課題について 4 議事内容: まず、事務局より、証券市場改革の進捗状況等について事務局より報告が行わ れた。 次に、証券市場の改革項目の実施に係る法整備について、二度目の審議が行わ れた。主な意見は以下の通り。 (1)投資対象 ○ アメリカでは、投信委託会社が運用会社を乗り換えて、パフォーマンス の向上を図るようなことが頻繁になされているが、このようなことにも留 意が必要ではないか。 ○ 会社型投信については、ある程度の規模がないと運用の効果があらわれ にくいと思われるが、小さい規模のファンドが乱立する恐れはないのか。 ○ 銀行等の他の金融機関による投信の販売についても、取次ぎにした方が 販路の拡大に繋がるのではないか。募集の場合でも取次ぎが可能になれば、 自力で募集できないような中小金融機関でも投信の募集ができるようにな るのではないか。 (2)市 場 ○ 今回の空売り規制の見直しについては、その意図が一般に必ずしも十分 理解されていないように思われる。相場操縦の防止、公正取引の確保のた めという考え方をうまく法案に落としていくことが必要ではないか。 ○ 監視委員会等の役割になってくるかと思うが、空売り規制の実効性の確 保についても十分考慮しておく必要があるのではないか。 ○ 今後の株式市場においては、マーケットメイク機能を重視していくべき と考えるが、上場銘柄についてのマーケットメイク機能の強化についてど のように考えていけばよいか。 ○ 取引所市場も大口取引制度等いろいろな取引制度を導入し、執行能力を 高める努力をしてきている。今後さらに取引所集中義務の撤廃、PTSの 導入等により、上場銘柄の取引所外取引も行われるというように、何重も 方法によって取引の執行能力を高めようというのが今回の制度改正の考え 方ではないか。 (3)市場仲介者 ○ アメリカでは、証券会社が本体で資産運用業を行えるにもかかわらず、 別会社方式をとっているのは、法技術的な問題というよりも、フィデュー シャリー(信認、受託者責任)の概念から、利益相反の問題を考えてのこ とだと思う。新しい金融の流れを考える場合、フィデューシャリーという ものを真ん中に据えて、チャイニーズウォール等利益相反の防止措置を十 分なものとしていくことが必要なのではないか。 ○ 一つの会社で行える業務の範囲については、制度的には広くしておいた 方が良いが、個別の経営問題としては、個々の部門のリスク管理が重要で あり、これは制度の問題というよりも、企業の経営責任の問題ではないか。 ○ 公的資金の問題について議論する前提として、寄託証券補償基金の補償 範囲、基金の積み方、民間ベースの役割等について十分詰めておかなけれ ばならないのではないか。将来の基金の積み立てを見合いに日本銀行が基 金に融資するということもあり得るが、まずは民間ベースの借入れを考え るべきではないか。 ○ 山一証券の場合のように、非常に大きな規模の破綻が起きた際には、個 別対応をとらざるを得ないのであって、このような例を念頭に置いて寄託 証券補償基金の在り方を考えるのは適当ではないのではないか。 ○ 預かり資産は数量ベースであり、かつ証券会社のバランスシートには載 らない資産であり、これを基に基金への拠出額を決めることは困難ではな いか。自己資本比率の高低で算出するという考え方もあるのではないか。 ○ 銀行と証券とでは、決済機能の有無といった点で大きな違いがあり、公 的資金について同様に論じられないというのが一般的な考え方ではないか。 ○ 預金者と投資家は違う、という考え方でいくのならば、預金と同様に顧 客資産も2001年3月末までは全額返還するということについてはどう 考えるのか。 ○ 1顧客1千万円を補償の上限とするならば、これまでの1社20億円の 原則からして、一時期に大変大きな額が必要となることが予想されるが、 これに対して十分備えておくことが必要なのではないか。 ○ 信託銀行等、資産運用の委託を受ける者の責任の範囲はどうあるべきか といった点についても検討すべきではないか。 ○ 基本は分別管理の徹底にあり、分別管理の実施状況が顧客に十分ディス クローズされることが重要である。その上でいろいろと問題が出てきた場 合に、どうするか検討しておく必要があるし、さらに基金の範囲を超えた 大きな問題が生じた際には、臨機応変な対応が必要である。 また、2001年3月末以降のシステムをどのようなものとするかによ って、分別管理への取り組みも異なってくるのではないか。